◆ シルヴェスター・リーヴァイ氏 インタビュー ◆
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西田シャトナー作・演出 『ソラオの世界』 が7月に上演されます。
『ソラオの世界』は、西田シャトナー氏の代表作のひとつ。
2009年の初演から4度の上演を経て、自身の作品を上演する"SHATNER of WONDER"シリーズ第四弾として、戯曲段階から再構築して上演されます。
本作は、昏睡状態に陥り自分の夢の中に閉じ込められてしまったソラオが見る、夢の世界の物語。
現実の世界で、自分は動かず"誰かがやってくれる"ことで楽しんできたソラオ。夢の世界に閉じ込められても、「きっと誰かが起こしてくれる」と人任せで楽しんでしまうが――。
今回、主人公・ソラオを演じるのが、多和田秀弥さん!
ミュージカル「テニスの王子様」2ndシーズンの手塚国光役や、「手裏剣戦隊ニンニンジャー」のスターニンジャー/キンジ・タキガワ役を演じ、現在はテレビドラマ「不機嫌な果実」や「めざましテレビ」(リポーター)にも出演中と幅広い活躍をされています。
舞台は約1年ぶりの出演。そして今作が初主演です!
そんな多和田さんに、『ソラオの世界』への想いを語っていただきました。
――出演が決まったときの感想を教えてください。
「率直に嬉しかったです。これまでの経験から、主演の人の姿を思い返すと『責任を持たなきゃいけない』っていうプレッシャーから不安にもなりました。」
――それって主演の方を役だけじゃなく本当にそばで見てきたからこそ感じることですね。
「そうですね。それがなかったら普通に『やったー』っていう感じだったかもしれないです。
でも多分『やったー』だけで挑むより、そういう想いを持って挑むほうがいいと思います。」
――演出の西田シャトナーさんとはお話しされましたか?
「まだ作品については詳しく話してないですが、舞台を観て、楽屋でお会いしたときの一言目が『おもろかったやろ?』だったんですよ。演出家の方がここまで自信を持って言うって、演者もすごく頼もしいだろうなと感じました。
この方が『行こう!』って言うところで、一緒に同じ方向に走れたらって思います」
――『ソラオの世界』はご覧になりましたか?
「拝見しました。けっこう突発的だし、セットをものすごく動かしたりして。勢いが重要なんだと感じました」
――今回のソラオという役はどうですか?
「もしかしたら僕に近い役かもしれないです。『ソラオの世界』を観たとき、
ソラオを昔の自分のように感じて。だから今までと違う、多和田秀弥が演じる新しいソラオをお見せしたいです」
――パワーマイムもありますが。
「いやー......(不安な表情)。パントマイムが苦手で、『さっきとドアの位置違う』ということになりそう。
でも作品に欠かせないものですし、これを経験することで、絶対この先の自分の財産になりますし、新たな挑戦にもなるので、がんばりたいって思っています」
――楽しみにしてることはありますか?
「舞台セット、空間が楽しみです。シャトナーさんのイメージ図を見たのですが、シンプルなんだけどそこにいる自分を想像するとワクワクしました。それと歌。舞台上で歌うのは久しぶりなので、ガツンといきたいです!」
――この作品にも挑戦がありますが、最近は『めざましテレビ』リポーター、連ドラ出演(『不機嫌な果実』)、CM出演とチャレンジが多いですね。
「そうですね。この6月で、初めて舞台に立ってから5年経つんですよ。
その中でもこの2015年から2016年の1年間はすごく怒涛だったなって思います」
――その中でこの作品へのチャレンジってどんなものですか。
「僕個人としてもすごく重要だと思っています。ここで新たな扉を開けたいです。そこからまた新しい道が待っていると思うので、自分にプレッシャーをかけてやらなきゃいけない......勝負どきです」
――ソラオは夢の話でもありますが、多和田さんの夢は?
「例えば歌番組でアーティストが歌ったり踊ったりしているのを見て、自分もあそこに入ってみたいな。
僕はダンスが好きなので、ステージで踊ってるところを想像したり。朝ドラにも出たいです。いろいろと想像しちゃいますね」
――それは、叶えるつもりで夢をみてますね。
「叶えたいものしか想像してないです。叶えていくと充実感もありますし、どんなことでも無理とは思わずにやりたい。この作品も、未来の自分を想像できれば楽しくやれるんじゃないかなって思います」
――最後に作品を楽しみにされてる方、ファンの方にメッセージをお願いします。
「シャトナーさんの作品を愛している方々には、『おもしろかったよね』って言ってもらえるように誠心誠意ソラオとして世界を生きたいと思います。そして、僕を楽しみにしてくださる方々には、いつもの僕とは違う姿を絶対に見せたいです。
暑い時期ですが、劇場にはソラオの世界が待ってるので、浸りに来てください!」
SHATNER of WONDER#4『ソラオの世界』は
7月28日(木)から31日(日)まで、東京・Zeppブルーシアター六本木にて。
(中川實穗)
この夏、8月11日(木・祝)から、明治座にて舞台『TARO URASHIMA』が上演されます。その名のとおり、おとぎ話の「浦島太郎」をもとに、大人だけでなく子どもも楽しめるミュージカルになるそうです。脚本は自身も俳優であり、また脚本や演出でも活躍中の池田鉄洋さん。いったいどんな話になるのでしょうか?お話を伺ってきました。
――今回の舞台の話はどのように始まったんですか?
「明治座で、ミュージカルで、浦島太郎を」から始まったんです。でも、最初は、なぜ私に話がくるんだろう? 声をかけてくれた理由はなんだろうと思いました。でも、スタッフたちと話していると、僕がおもしろい、と思うポイントが彼らのそれと近いなと感じたんです。それでお受けしました。
――今回は出演ではなく脚本で参加とのことでしたが、執筆でいちばん苦労されたのはどの場面ですか?
玉手箱の場面ですね。元の話がよければそれをベースにすればいいけど、割と残念な話なので、本当に悩みました。浦島太郎がその箱を開けざるを得ないようにするにはどうしよう、と本当に悩みました。結局、何かの理由で乙姫を守るために開けるという展開がいいということになり、それならば、玉手箱をあげるときは、乙姫が浦島太郎を守りたいからという理由で玉手箱が存在するようにしました。いうなれば、二人の愛の結晶ですね。
――浦島太郎が「とことんツイてない人」という設定はどこから出てきたんですか?
あの浦島太郎は、演出の板垣恭一さんと、千葉プロデューサーと、何度も話をしながら作り上げたキャラクターなんです。
もともと浦島太郎って不思議な話で、最初に亀を助け、そのあと竜宮城でいい思いをして、最後は玉手箱でひどい目に遭う。冷静に考えるとここまでの話は、ツイてない男の「プロローグ」。すべてがツイてないことに結びついていく話なんじゃないかなと思ったんです。そこから「とことんツイてない、だけどメゲない男っておもしろいよね?」って展開になって。そして乙姫についても「どっちもツイてないキャラクターだったらどうでしょう?」ということになり。どうしても中身がスカスカな浦島太郎の話に向き合ったときに、とんでもなく個性的な感じにしてやろうかなと思ったんです。
――脚本に描かれている海の世界と陸、人間の世界。その設定がおもしろいですね。
海の生物ってそんなに陸の生物を食べたりしない。だから、その背景を考えてみた結果、こうなりました。以前、魚の干物を食べていたときに、「この様子を元の魚が見たらショックだろうな...解剖されて開かれて干されている訳だし。元の形がわからないくらい加工されているならともかく、干物ってまるわかりだし!」...っていろいろ考えていて(笑)
今春、「海の風景」という舞台(草笛光子、串田和美、小島聖、池田鉄洋の4人芝居)をやっていたのですが、全然話は違うのですが、海について考える時間がたっぷりあったんです(笑)。そこから考えて、おもしろいと思うものを全て脚本に入れました。
浦島太郎の話って基本的にハッピーエンドじゃないですよね。鶴になって飛んで行ったという結末もあるようですが、それで果たして幸せか? とも思いますし。この舞台では、大人にも子どもにもわかりやすい「ハッピーエンド」な終わり方にしたいです。でも、もともとの浦島太郎の話を子どもたちの知己とは大きく変えたくはなかったです。「全然ちがう!」って言われたくないですし。
――今回、登場人物が相当多いですよね。
私が手掛けた作品では過去最多です。一人ずつの物語を書いていくと2,3時間で終わらない舞台になるので、最後に話がうまくまとまったときには「よくやった、自分!」と思いました(笑)
キャスティングはプロデューサーに一任しました。僕より千葉さんの方がよく知っているし。今回アテ書きはしてないんですよ。木村了くんの出演が決まったときに、もっといろいろやれるだろうと加筆をしたくらい。その後、次々に素晴らしい人たちが参加してくださることになり、それならば...と、他の役にも嬉しい書き直しをしましたね。
――浦島太郎役の木村了さん、そのほか気になるキャストの話も聞かせてください。
まず、「了くんが浦島太郎をやるなら間違いはない」と思いました。木村さんのすごさは知っているから。彼の舞台は「帝一の國」シリーズの2と3、「ライチ★光クラブ」を拝見しています。
浦島太郎は、結構難しい役だと思うんです。ツイてない役だから華は出ないでしょうが、木村さんならそんな設定でも華に変えられる力を持っているから。また、「どんな球でも受けるよ!」という度胸もある。
あと、亀役が斉藤暁さんで嬉しかった。...かわいいし。帝役を和泉元彌さんがやってくださることも嬉しかったです。帝ってかなりハードルが高い役ですが、和泉さんなら完璧。浮世離れ感もピッタリです。タカアシガニ将軍役の舘形(比呂一)さんには筋肉を見せつけて踊ってほしいですね。本当に贅沢極まりないです。
プロデューサー的には「ディズニーに負けない作品」「宮崎アニメに負けない作品」とおっしゃっていたんです。そこで(脚本が)俺でいいの?とは思ったんですが(笑)
演出の板垣さんはエンターテイメントを突き詰めている人であり、役者さんの持てる華は全部見せたいという欲張りな人。俺も頑張って書いてますが、板垣さんはさらに欲張りに仕上げてくると思います。
――「TARO URASHIMA」の登場人物の中で、池田さん自身に一番近いキャラクターは?
浦島太郎ですね。というのも、僕はとことんツイてなかったんです。厄年くらいからずーっと。何をやっても裏目に出て、結婚したときに「もう、どうでもいいや!家族が大事!」と思うようになってからはすごく楽になりました。でも、バリに行けば台風に遭い、ハワイに行けば年に一度の大嵐に遭う。「はい、本番!」って声がかかった直後にヘリコプターがバラバラ飛んできたこともある。撮影でも必ず雨になるので「池田のせいじゃないか?」と言われるたびに猛烈に否定していたんですが、心の中では「すみません、私のせいです」って思っていました。だからツイてない、でもメゲないキャラクターということで、浦島太郎の中に僕が入っていますね。でも、ハワイで嵐に遭っても、僕は当然雨が降ると思っているのでイライラしない。その姿を当時の彼女、つまり今の奥さんに「素敵」と言われましたが!内心、この雨は俺のせいなんだけど...と思っていたけど(笑)
――池田さんから観て、この作品の見どころは?
「大祓」(おおはらえ)で検非違使たちが歌い踊るところは、かなりショーアップしてほしいと思ってます。タイやヒラメの舞い踊りも、「る・ひまわり」といえば板垣さんですし、思いっきりやってくださると思います。かわいい子たちがダンスして歌うというのも「る・ひまわり」ならではですしね。
僕が初めて明治座で観たのは風間杜夫さんの「居残り佐平次」でした。明治座って割と声を出しながら観ても許される「王道の演劇」を上演してきた場所なので、「今回もそういう場にしなさいよ」って言われているような気がします。
あと、今回は「お客さん」として自分の作品を観ることができるので楽しみです。これまでに大きな舞台の演出などをやらせていただいたときは、出演もしていたので直接観ることができなかったし。自分が演出して出演する舞台の場合、舞台を録画したものを見ながらダメ出ししてましたから(笑)
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