■ミュージカル『王家の紋章』#3■
連載開始から40年を迎える少女漫画の金字塔『王家の紋章』が、初のミュージカル化!
累計発行部数4000万部超を誇る少女たちのバイブルを、脚本・演出=荻田浩一、音楽=『エリザベート』のシルヴェスター・リーヴァイという豪華クリエイターがどうミュージカル化するのか、期待が高まるところ。
物語のヒロインは、考古学を研究するアメリカ人少女・キャロル。
あるピラミッドを発掘したことをきっかけに古代エジプトにタイムスリップしてしまい、そこで出会うエジプト王・メンフィスをはじめ、古代エジプトの人々と愛憎のドラマを繰り広げていきます。
そのキャロルを演じるのは、新妻聖子と宮澤佐江。
ミュージカル界の歌姫としてその名を轟かす新妻さんと、AKB48グループでも上位の人気を誇る宮澤さん、まったく個性の違うおふたりのWキャストも、注目です。
ビジュアル撮影レポ&インタビューシリーズ、今回は新妻聖子さんに密着です!
◆ ビジュアル撮影レポート ◆
撮影はこんな雰囲気で行われています。
衣裳を着けて撮影現場にやってきた新妻さん、鏡に映る自分を見て「...キャロルだー! こんにちは、小学生の時から読んでます!」とご挨拶をしたところから始まり...。
身体の向きや角度などを細かく指定するカメラマンさんに「こっち?ハイ!」等々、しゃきしゃきと対応していく新妻さんには、カメラマンさんも思わず「楽しい人だなあ...」と呟いていましたよ。
演出の荻田浩一さんからは、「キャロルは、基本的に明るく。多少、途方にくれたような表情があってもいいけれど、マイナスの感情はナシね」というリクエストが出ていました。
新妻さん、少女マンガらしい"キラキラ感"が出てます!
後半は、フリーセッションな撮影へ。
黄色い印象的なライトが、キャロルの髪に当たって、本当に金髪が美しく映えるんです。
(キャロルの金髪は、作中の重要アイテムですよ!)
こんなカットからは、砂漠の風景が、後ろに見えてくるようで...。
そして、様々な奇跡を起こし"ナイルの娘""黄金の姫"と称えられるキャロルの聖性まで、すでに感じさせる新妻キャロルの撮影でした。
新妻さんにもお話を伺ってきました!
◆ 新妻聖子 INTERVIEW ◆
――勝手な想像なのですが...、絶対に新妻さんは『王家の紋章』、読んでいらっしゃると思っていました。
「もちろんです、全巻持ってます。知らない人なんているんですか!? いたら「ちょっと、みんな並んでそこに座って、私が説明するから!」って感じです(笑)。このタッチの漫画、どストライクの世代です」
――良かったです(笑)。撮影でも最初に鏡に向かって「キャロルだ!」とご挨拶していらっしゃいましたね。
「ファン目線で、あの衣裳を見て「キャロルだ」と思ったんですが、中身は私でした...私、大丈夫でしたか? 私、(衣裳の)絵コンテをもらった瞬間、高まりで紙を持つ手がぶるぶると震えたんですよ」
――とっても美しかったですよ! さて、そんな少女漫画のバイブルがミュージカル化されると聞いて、まずはどう思いましたか?
「正直「本当!?」と思いました(笑)。マネージャーさんが「『王家の紋章』というミュージカルが...」とお話をはじめたところで「ちょっと待って」といったん止めましたから。「王家の紋章がミュージカルになるの? 私が何役とかいったん置いておいて。『王家の紋章』が?ミュージカルになる?それは本当ですか」と。続いて自分じゃなくまず「メンフィスは誰がやるの」と聞いて、そのあとでふと自分は何役かと思い至り...。でもキャロルかアイシスかといったら、私は身長が小さいので、あまり大人っぽい役はこないので「これは...キャロルでは?」と思ったんですが、いや待て、たしかキャロルは16歳だった...とぐるぐるして、「えーと?」と訊いたら、キャロルでした(笑)。いいのかなーと思いつつ「...やりたいッス」ってすぐ答えましたよ。別の仕事の楽屋だったんですけど、心ここにあらずで...細かいことは一切耳に入れずに踊り始めました(笑)」
――帝国劇場でやる、というのにも意外性を感じます。
「よく皆さん、宝塚でやるイメージだと仰っていますよね。たしかにビジュアルは宝塚にうってつけだと私も思います。それを宝塚ではなく、2.5次元でもない、リアルワールドに落とし込む帝劇でやる。きっと、コミックの原作ありきのミュージカルというより、東宝さんがヒューマンミュージカルを作ろうとしているんだなという気合をひしひしと感じました。少女漫画や宝塚スターのような外見でなくても、ハートで頑張りたいですし、そういう脚本が出来るんだと思っています。演出も荻田(浩一)さんですし、信頼してついていきます」
――キャロルはどんな女の子だと思っていらっしゃいますか?
「キャロルって、男が女の子にこうあってほしいという要素が全部詰まってると思うんです。か細いルックス、でも気が強い。自分にはむかって来るんだけど、その細い腕を押さえたらもうはむかえない。はむかってきて欲しいんだけど、自分が本気を出せばいつでも止められるサイズの子。しかも賢いし、怪我をしたら、ものすごく献身的に介抱してくれる。お飾りではない、正しいヒロインだと思います。だからさらわれるし、さらわれても何度も自力で脱出する。自分で道を切り拓いていくけれど、でも出来れば助けてあげたい、という。男性の心も女性の心もくすぐりますよね。ジャンヌダルク感もあるんですよ。その時代に新しい知恵を持ち込むし、普通の女の子だったら恐怖で後ずさってしまうような状況でも前のめりにいくし、度胸もある。かっこいいし可愛いなと思います」
――ご自身と似てるところは?
「無鉄砲さは似ているかも。鼻っ柱が強いところも。あと、権力に対抗したがるところ、そして弱いものは守りたいところも似てますね(笑)。私の性格がこうなったのは、小学生の頃からずっと読んでいた、キャロルのせいかもしれません!」
――また、シルヴェスター・リーヴァイさんが作曲というのも、大作感がひしひしと伝わってきます。
「『マリー・アントワネット』に出演して以来、お付き合いさせて頂いていて、先日の私のソロコンサートも観に来てくださいました。「キャロルのいい曲がたくさんあるよ、いい曲を書いたよ!」と仰っていました。また春あたりに来日されて、ワークショップ的なことをやりながら、キーなどを決めていきたいと仰っていたので、それも楽しみですね」
――『マリー・アントワネット』でも新妻さんはオリジナルキャストでしたね。大作のオリジナルキャストというのはどんなお気持ちなんでしょう。
「『マリー・アントワネット』の際は、すごく誇らしかったです。自分がやるお芝居が、今後もこのミュージカルの色にすごく影響を与えるということで、責任感と楽しさと苦しみ、全部がありました。音楽面でいえば、面白いことに自由に挑戦させていただけることが嬉しかったです。たとえばとてつもなく高い音も、まずは歌ってみさせてもらえる。平均の枠にハマっていない曲をもらえることがすごく嬉しかったです。今回もそういったキャッチボールが出来ると嬉しいですね」
――キャストも、魅力的ですね。
「メンフィス役の浦井(健治)さんとは、実は初共演です。昔、コンサートでデュエットしたことがあるのですが、それでも10年ぶりくらいだし、お芝居では初共演。
宮野(真守)さんは全くの初めまして、なのですが、先日ラジオ番組に出演したときに、たまたま宮野さんがその生放送の放送を局内で耳にされたようで、わざわざご挨拶にいらしてくださったんですよ。とても丁寧で感じのいい好青年でいらっしゃって、背も高くてスタイルがいいので、『王家の紋章』ファンとしては期待大ですね! メンフィスは絶対的ヒーローなんですが、一番のモテ男ってイズミルじゃないですか? 女子目線で言えば、萌えポイントはイズミルなんですよ! 片思いしてる男って萌えますし。だからその一角を担われるのはぴったりだなって思いました!
元基君は、昨年コンサートではじめてご一緒させていただいたんですが、本当に面白い子ですよね。なんだか私、小学校の学級委員時代を思い出しました。「ちょっと男子、静かに!」みたいな(笑)。宮野さんとはまた違う、やんちゃなイズミルになるんじゃないかな。
(伊礼)彼方君は、(ミュージカル『GOLD』で)弟だったのに、今度はお兄さん(笑)。付き合いも長く、ツーカーですので、きょうだい感はバッチリだと思います!」
――イズミルが萌えポイントと仰っていましたが、ライアン兄さんもかなりの萌えポイントですよね。
「わかる、わかります! ライアンってかなりのシスコンですよね! 妹への執着心がすごい。『GOLD』でも彼方君の(私が演じた)姉を執拗に追い回すストーカーっぷりがすごく良かったので、私たちそういうきょうだい、大丈夫です!」
――では最後に、今あげたイケメン3キャラクター、新妻さん個人として誰が好みですか?
「えーー!! (しばし沈黙ののち...)メンフィス。やっぱり生まれながらの王だから。で、私が政権を握る!(一同笑) ...生まれながらの王って私たちが現代では出会うことができない高貴さ、オーラを持ってると思うんです。その国で一番エラい人に選ばれる優越感たるや、ないと思いますよ! しかも美形でしょ、これは奇跡ですよ!!」
取材・文・撮影:平野祥恵
【公演情報】
・8月5日(金)~27日(土) 帝国劇場(東京)
※8/3(水)・4(木)プレビュー公演あり
一般発売:5/28(土)
【『王家の紋章』バックナンバー】