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■ミュージカル『ビューティフル』特別連載 vol.5■


【公演レポート】


ミュージカル『ビューティフル』が7月26日に東京・帝国劇場で開幕した。『You've Got a Friend』『A Natural Woman』といった名曲を数々送り出したアメリカのシンガー・ソングライター、キャロル・キングの半生を、彼女自身の曲を使って描きだすミュージカル。トニー賞、グラミー賞、オリヴィエ賞などを世界各国の名だたる賞を受賞した作品の、日本初演だ。主人公キャロル・キング役は、水樹奈々平原綾香がWキャストで務める。さっそく両バージョンを観劇した。

beautiful05_01_0913.jpg△水樹奈々

beautiful05_02_0148.jpg△平原綾香


多くのスターたちに楽曲を提供し『Will You Love Me Tomorrow?』『The Locomotion』などのヒット曲を作曲、さらに自身のアルバム『つづれおり』は2500万枚の売上げを記録したキャロル・キング。本作は、60~70年代にアメリカのみならず世界でヒットした彼女の楽曲が散りばめられた、いわゆる"ジュークボックス・ミュージカル"だ。ミュージカルファンのみならず、キャロル自身のファンも、懐かしい名曲目白押しのステージを楽しめるに違いない。


......と書き出したものの、正直なところを言えば、筆者は「キャロル・キング」をほとんど知らない。かろうじて2・3曲、なんとなく聴き覚えがある程度である。なので、「あの曲がこのシーンで!」といった、ジュークボックス・ミュージカルならではの楽しみ方は残念ながら出来なかったのだが、しかし、それが何の問題があろうかと思えるほど、ミュージカルとして極上の作品だ。キャロル・キングの生き様はドラマチックでありながらも、観る者の背中をも押してくれるような優しい力強さに満ち、その物語を彩る楽曲は、世界の多くの人に愛されたという事実が納得できるキャッチーさ。ブロードウェイ仕込みのオシャレで洗練された舞台美術・演出も観ていて楽しく、何よりも、英語圏以外では初めて上演されるというこの日本版キャスト陣が、素晴らしい歌唱と演技で魅せている。

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alata_09.jpg 「アラタ~ALATA~」早乙女友貴

ノンバーバル(非言語)パフォーマンスのお楽しみが満載! 「アラタ~ALATA~」観劇レビュー

こんにちは! 観劇レビュー書かせて頂きます小暮智美(青年座/On7)です。 有楽町から世界へ。今までにないエンターテインメントを発信する最先端劇場"オルタナティブシアター"がオープン。そのスタートにお邪魔させて頂きました。 劇場が産声をあげる瞬間に立ち会うのは初めてだったので、なんとも可能性を感じる晴れ晴れしい気持ちを頂きました! 世界中から来場されるすべての方が言葉の壁を超えて楽しめるよう、ノンバーバル(非言語)でのパフォーミングアーツを提供していくという劇場コンセプト。とてもその点に興味がひかれました。どんな感じだろう??
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(撮影・編集・文:森脇孝/エントレ

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5月8日に東京・日生劇場にてミュージカル『グレート・ギャツビー』 が開幕しました。

原作はアメリカ現代文学を代表するF・スコット・フィッツジェラルドの名作小説。

これをを1991年に宝塚歌劇団雪組でミュージカル化、その高評価が現代の活躍にも繋がっている演出家・小池修一郎が、井上芳雄を主演に据え、新作として創出する意欲作です。


★公演の模様はコチラで→ 開幕レポート


初日公演には、小池修一郎版『グレート・ギャツビー』のオリジナル版とも呼べる、1991年に宝塚歌劇団雪組公演『華麗なるギャツビー』で主演・ギャツビーを演じた杜けあきさん、デイジーを演じた鮎ゆうきさんもご来場!

井上芳雄さん曰く"レジェンド"のおふたりが、終演後、舞台裏でキャストと交流をはかりました。


▽ 左から、杜けあきさん、ギャツビー役:井上芳雄さん、デイジー役:夢咲ねねさん、鮎ゆうきさんgatsby2017_04_01_9914.JPG


杜さんと鮎さんのおふたりに2017年版『グレート・ギャツビー』の感想を伺いました。





―― 2017年版『グレート・ギャツビー』をご覧になった感想を。

「素晴らしかったです。1幕は、自分たちがやった台詞も多く、懐かしく拝見していたのですが、2幕は私たちのものより大人の世界を表現されていて、まったくの新作のようで、とても新鮮に拝見しました」

「ギャツビーの世界は独特の世界観があります。衣裳や音楽含め、媚薬のような毒気もあり、この世界に気持ちよく酔わせていただきました」gatsby2017_04_02_0572.JPG

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ミュージカル『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』が4月9日、ついに開幕しました!
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チャールズ・M・シュルツ原作のコミック『ピーナッツ』の世界観がそのままミュージカルになった本作。
誰もがよく知るキャラクター ―― チャーリー・ブラウン、スヌーピー、ルーシー、サリー、ライナス、シュローダーが、ありふれた日常にある悩みや喜び、笑いを届けてくれて、そして、そばにある幸せに気付かせてくれる......そんなミュージカルです。

4月8日には初日を目前に控えたキャスト6名が、舞台衣裳姿で登場、意気込みを語りました。
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チャーリー・ブラウン=村井良大さん
「この衣裳を着ると、すごく若返るなという気持ちがあります(笑)。久しぶりにこんな短パンをはいて舞台をやるということもありますし、すごく元気な色なので、見ているだけで癒されるし、元気をもらえる。素敵な衣裳だなとみんなで話しています。
この『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』というミュージカルは、観るだけで、心が温かくなるような、そして明日への元気をもらえるような、素敵なミュージカルです。シアタークリエにてお待ちしていますので、ぜひご来場ください!」
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ルーシー=高垣彩陽さん
「舞台上もポップなセットが出来ています。その中でこの衣裳でルーシーをやらせていただいたら、また元気がプラスされて、新たな気持ちでやれるようです。私に限らずみんな目が覚めるような色なので、ステージ上で待ち時間に、ただ普通にこの衣裳でならんで喋ってるだけで、客席から見ているスタッフさんが「かわいい!」って言ってくださって。ですので、6歳と8歳と犬、みんなそれぞれ、この衣裳で生き生きとステージ上で飛び回りたいです」
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サリー=田野優花さん
「自分が出ていないシーンの時に客席から観ていると、皆さんのシルエットが子どもなんです。衣裳もダボっと、ゆったりとしていて、そういうところの工夫にも衣裳さんの愛を感じたりもします。自分的にには(衣裳の)ピンクが本当に恥ずかしくて(笑)。普段、黒とか白とかグレーとか、暗い色しか着なくなってきたから...すごく恥ずかしいんですが。でも6歳の役なので、この衣裳の力もお借りして演じたいです」
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ライナス=古田一紀さん
「この衣裳を着て、人前に立って、本当にいよいよ始まるんだなと思って、すごくドキドキしてます。僕、赤が好きなんですよ。ライナスは漫画だと水色の服の時と赤い服の時があるんですが、赤の方をチョイスしていただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます(笑)」
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シュローダー=東山光明さん
「僕は生まれて初めてこれくらいの明るい髪の色にさせていただきました。そして最後の段階で、今日、足(すね)まで綺麗に...(まわりが笑う)。完全にシュローダー...『ピーナッツ』のキャラクターになっています。気合い入っています!」
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スヌーピー=中川晃教さん
「実はチラシの衣裳から、実際に舞台用には色々と変更されています。軽量化されたり、実は(内側が)シースルーになって風通しがよくなっていたり、膝にはニーパットが入っていたり、機能性に優れている衣裳です。ただ...暑い! 汗がすごく出るので、ナイアガラフォールにならないように(笑)、そこが楽しみであり不安でもあります。でもスヌーピー役なので愛くるしく、一生懸命演じるには最高のアイテム、コスチュームをいただけたなと思っています。気合い十分です!」
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台所② 風間・大倉・青木・赤堀・梅沢.jpg
市井の人々の心の揺らぎを丁寧にすくいとり、絶妙なテンポと言葉選びで演劇化する。赤堀雅秋が書き下ろすシアターコクーン・シリーズ第3弾『世界』は、日常とはこんなにもドラマが溢れているのか!と裏寂れた舞台上の光景とは裏腹に、目の覚めるような感情に満たされる。鋭い観察眼に裏打ちされた、人間讃歌の物語だ。町工場を営む足立家と周囲の人々の営みを描いた本作は、会話の内容からおいおいその場の状況が見えてくる日常の切り取り方もユニークで、過去の赤堀作品にならい陰鬱なホームドラマかと身構えていた向きには、拍子抜けするほどの楽しさに面食らうはず。と同時に、不意打ちの本音がストンと胸に響き、老若男女に寄り添う作家の温かな視線に何度も目頭が熱くなった。

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熟年離婚を告げられた足立家の家長を演じる風間杜夫は、誰彼構わず罵詈雑言を浴びせる下衆の極みのような親父を嫌みたっぷりに好演する。そんな夫に完全無視を決め込む妻役の梅沢昌代は、揺るぎない怒りと決意がにじむ"あの一言"が印象的。同居する長男役の大倉孝二は中年特有の熱をくすぶらせ、嫁の青木さやかはコップすれすれの不満が時折波打つ程度で献身さを失わない。その他、風俗嬢役で初舞台に挑む広瀬アリスを始め、キャストそれぞれが日常に溶け込む"普通の人々"を見事に立ち上らせる。とりわけ若者特有の不可解さを体現した早乙女太一の存在が光った。

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願わくば年末に観たかった。そうすれば近すぎて距離を置きたくなるような家族や友人、あるいは苦手な相手とも素直に向き合える時間を持てたかもしれない。途中までそんな思いが募ったが、ラストシーンを見て変わった。登場人物にならい神の視点(歩道橋)に立ち物事を俯瞰すれば、うつむきがちな日々も昨日よりは少し視線を上げて歩んでいけるのかもしれない。このささやかな爽快感は、なるほど年始向きかも。最後に、作品のテーマにも通低するある思想史家の言葉を引いて終わりたい。〈人に情を持てなくなったら、それこそ生きるのは地獄です〉
                                               
取材・文/石橋法子
撮影/細野晋司

<東京公演>上演中 ~1月28日(土) シアターコクーン
<大阪公演>2月4日(土)~5日(日) 森ノ宮ピロティホール

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ミュージカル『フランケンシュタイン』が現在、日生劇場で好評上演中だ。メアリー・シェリーが19世紀に世に送り出した有名なゴシックホラーを原作に、オリジナル要素をふんだんに盛り込んで韓国で2014年に初演された、韓国ミュージカル界を代表するヒット作。日本では今回が初演となるが、韓国産らしいドラマチックで壮大な音楽が印象的なこの作品を、中川晃教、柿澤勇人らが見事な歌声と鬼気迫る演技で魅せている。メイン2役がWキャストになっているが、「中川晃教×加藤和樹」「柿澤勇人×小西遼生」の2バージョンを観劇した。
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"生命創造"に挑む科学者ビクター・フランケンシュタイン(中川晃教/柿澤勇人のWキャスト)が、禁断の研究の結果"怪物"(加藤和樹/小西遼生のWキャスト)を生み出してしまう...という骨子は原作のままだが、怪物の材料となる人体(脳)が、ビクターの友人・アンリ(加藤/小西)であるという点がオリジナル要素。そしてそのことから「ふたりの男の友情」がこの物語を中心を貫き、単なるホラーやスリラーものでも、科学者の葛藤ものでもない、多くの人が共感し得る作品になった。
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物語は19世紀ヨーロッパが舞台。"死んだ人間を蘇らせる"研究をしているビクター・フランケンシュタインは、ひいては死体から新しい兵士を生み出すために、戦場で働いている。そんな中、あるいざこざからアンリ・デュプレの命を助けたビクター。最初はビクターの研究に反発していたアンリだが、そのゆるぎない信念にひかれ、ふたりはやがて固い友情で結ばれることに。だが戦争後もビクターの故郷に戻り研究を続けるふたりだが、殺人事件にまきこまれたビクターを救うために、アンリは自らを犠牲にし、命を落としてしまう。ビクターはアンリを生き返らせようと研究の成果を注ぎ込むが、誕生したのはアンリの記憶を失った"怪物"だった。そして怪物は自らを作り出し、消そうとした創造主・ビクターに復讐を誓う...。
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2019年大河ドラマを担う脚本家としても注目を集める宮藤官九郎。

作・演出・出演を務める大パルコ人③ステキロックオペラ『サンバイザー兄弟』大阪公演が、12月8日(木)~18日(日)まで森ノ宮ピロティホールで上演される。大人計画とパルコが共同プロデュースする人気シリーズ第3弾。アメリカ映画『ブルース・ブラザース』を下敷きに、2033年の池袋で歌のうまいヤクザ、サンバイザー兄弟(瑛太、増子直純)が巻き起こす愛と抗争の日々を描く。劇中には出演者によるバンド演奏も盛り込まれ、全編を上原子友康(怒髪天)の書き下ろし楽曲で綴るギャグ満載のオリジナル・ロックオペラだ。

年号が平成から「素敵」に替わり、その恩赦で刑務所から釈放されたヤクザの金目鯛次郎(増子直純)。出迎えた舎弟の小鰭光(瑛太)の隣には、すっかり大人になった一人娘ぬめり(清野菜名)の姿もあった。その足で組長に挨拶に向かった鯛次郎だが、組長からは組を息子に継がせ、鯛次郎には若頭を担うよう昇進を告げられる。暴排条例の影響で今や組は崩壊寸前。そうと知った鯛次郎は、光と共に組建て直しのため奔走するのだった......。

『ブルース・ブラザース』への憧憬に留まらず劇中には映画、テレビ、音楽など、様々なカルチャーの名作、名盤、スターへのオマージュがさりげなくも随所に散りばめられている。衣装や小道具、映像を使った演出は質感やデザイン、配色まで「もう絶対にこれしかない!」と思わせるこだわりぶりで、見せ場の大型セットに至っては原寸大で思いの丈がドドーン!と再現される。作家やキャストが作品を愛し、それをも上回るサービス精神で観客を楽しませようという思いが120%のパワーで溢れ出すから、観客もサンバイザーを被るくらいの勢いで参加して欲しい。その最たるものが出演者によるバンド演奏だろう。役を担ったままドラムの合図で鍵盤を叩き、喉を震わせ、弦をはじき管楽器を響かせる。真剣勝負な眼差しにキャストの素顔がチラリと垣間見え、その虚構とリアルのブレンド具合が何ともいえない高揚感を生み出していく。とどめに、本作では不甲斐ないヤクザに徹する本家本元、怒髪天のフロントマン増子直純がひとたびマイクを握れば、渾身の涙声と、殿堂入りの名曲にも似た艶歌で日本人の"哀愁DNA"を共鳴させる。まるで居間のこたつで紅白歌合戦を観るような気分。たったワンフレーズで、別次元の歌世界へと誘うカリスマ性は本物。加えて、今言ったすべてを内包しつつ、ひとつの物語へと集約させていく作家の力量にも舌を巻かずにはいられない。

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冒頭から未体験の感性を奮い立たせ中盤にはメロウな歌声も披露する瑛太、マジか!な言動で周囲を翻弄する清野菜名、不動の女優オーラが見た目のインパクトを超えて作品に深みを与えるりょう、全方位見せ場尽くしな三宅弘城、鋭利なツッコミも痛快な少路勇介、存在自体が18禁な皆川猿時など。その他、宮藤を含むキャスト全員が意外性と持ち味を発揮している。

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「たまたま芝居ができるミュージシャンとたまたま楽器ができる役者が一緒にやることで、"ちゃんとしてないもの"が生まれる。それが3作目にしてやっと」と事前の稽古場インタビューで語っていた宮藤。それも増子を筆頭にこの11人が集えばこその境地だろう。音楽って素晴らしい演劇って面白い。そう手放しで絶賛したくなる、シリーズ史上最強の到達点がここに!

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取材・文/石橋法子
撮影 引地信彦

【公演情報】
大パルコ人③ ステキロックオペラ「サンバイザー兄弟」
2016/12/8(木) ~ 2016/12/18(日) 森ノ宮ピロティホール
2016/12/21(水) ~ 2016/12/23(金・祝) 仙台サンプラザホール

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長塚圭史初期の代表作『はたらくおとこ』12年ぶり再演!

12月2日(金)、3日(土)、松下IMPホールにて阿佐ヶ谷スパイダースPresents『はたらくおとこ』大阪公演が上演される。今年で結成20周年を迎えた阿佐ヶ谷スパイダースが、最も再演を望む声が多かった"暴走する男たちシリーズ"より、2004年初演の本作を12年ぶりに再演する。作・演出の長塚圭史にとって、初の全国9都市での上演を成功させ、複数の演劇賞を獲得した記念碑的作品。「青臭い反面、当時の自分からは『最近ちょっと考え過ぎるようになってない?』と言われてるような気もする」と40歳を迎えた長塚が、20代の自分と"タッグを組んだ"注目作だ。

北国の工場を舞台に、幻のリンゴ作りを夢見る5人の男とその家族を描いた物語。舞台には中央の壁を境に、右側に工場の事務所、左側に室内から続くトイレが奥にあり、手前には裏庭のような一角が広がっている。そこに、しんしんと音もなく雪が降り積もっていた。幻のリンゴ作りが頓挫し、残されたのは借金だけ。情熱があるのかないのか、男たちは事務所のストーブを取り囲み、やることと言えば机上の空論、あるいは他人へのダメ出しばかり。一向に状況は上向かない。そんなある日、地元の若い女が事務所にあるモノを持ち込んだことで、事態が一変する。事務所内の小競り合いは骨肉の兄弟喧嘩へと派生し、同時に地元女を巡る三角関係も勃発。気づけば農協からもマークされ、事務所を襲撃される事態に。冒頭から暴力的な場面の連続だが、衝撃度で言えば序の口。登場人物らはこの先、思いもよらぬ"ラスボス"とあいまみえることになる。そこで男たちがとった行動とは。そして明かされる、幻のリンゴ作りに秘められた真実とは......。

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初演から紅一点の北浦愛をのぞき、奇跡的に初演メンバーが集結。舞台上では池田成志を筆頭に、魅力的な俳優陣が丁々発止の会話劇を繰り広げる。汗だくになりながらテンポ良く、危機的状況にも笑いを巻き起こす。とりわけ、中村まこと演じる工場長が追い詰められた末に見せる奇行の数々には、爆笑を禁じ得ない。しかし同時に、「喜劇はここまでだろう...」という一抹の不安もつきまとう。まるで巡ってきたジョーカーがいつ鎌を振り下ろすとも限らない、そんなヒリヒリとした緊張感を伴う演出は健在だ。作り込まれた美術や扇情的な音楽、手の込んだ仕掛けも多く、休憩なしの構成も観客の集中力を切らさない。役者の体温を皮膚感覚で感じられる小空間も功を奏し、贅沢な劇体験を約束してくれるはずだ。

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長塚作品をどの時期で観始めたかによって、その印象は大きく異なるかもしれない。初演を観劇した人は今の自分にこの作品がどう響くのかも楽しみだろうし、2000年代から観始めた人には、彼の作品に対する見方が変わるかもしれない。いずれにせよ、小説のように何度も目にすることが難しい生の舞台において、名作を"読み返せる"絶好の機会となりそうだ。

(取材・文/石橋法子)
(撮影/引地信彦)

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ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)新作舞台「世田谷パブリックシアター+KERA・MAP#007『キネマと恋人』」が、11月15日(火)・16日(水)にシアタートラムにてプレビュー公演を行い、11月18日(金)に本公演の初日を迎えました。
本作はウディ・アレン監督の映画「カイロの紫のバラ」にインスパイアされKERAさんが書き下ろしたもの。 シアタートラムの小空間に映画への愛が満ち溢れた夢の世界が出現。 ひととき現実を忘れるKERA流ファンタジック・コメディに観客も大喝采の初日でした。

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初日を終えたKERAさんと出演の妻夫木聡さん、緒川たまきさんが次のようにコメントを寄せました。



◆ケラリーノ・ サンドロヴィッチ (台本・演出)

『キネマと恋人』は、『カイロの紫のバラ』というとても好きな映画がモトネタなので、そういう意味でも特別な作品なのですが、プレビュー3公演を経
て、今日の芝居が一番良かったです。みんな楽しんでやってくれていて、今日も妻夫木に「楽しい?」って聞いたら「めちゃくちゃ楽しいです」という答えが返ってきたのでホッとしたんですけどね。今回は振付の小野寺(修二)くんや映像監修の上田(大樹)くんの力をいつもの倍以上費やしてもらい、スタッフや色んな人の力を借りて完成に至りました。演劇は総合芸術だということをまさに体現したような作品になったんじゃないかと思います。

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◆妻夫木聡 (高木高助/間坂寅蔵役)

『カイロの紫のバラ』のように、観ている間は夢見心地で、劇場を出た後も「ああ、良い夢だったな」と甘くも苦い切なさが余韻として残れば良いなと思っていましたが、やはり人間が生で演じることによって、自分の想像以上に、さらに豊潤な作品になったと感じています。きっとエンディングには色々な受け取り方があって、僕が演じる寅蔵の「考え方だな」という台詞にもあるように、皆にとってのいつかのハッピーエンドにつながればと思っています。とにかく僕たちは演じていて楽しくて、いつまでも続けば良いという気持ちでいるので、これから一日一日、一分一秒を本当に大切にしながら演じていきたいです。

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◆緒川たまき (森口ハルコ役)

この作品の中の登場人物は皆、厳しい現実と、甘い夢を見る時間とを行き来するようなところがあるんです。例えば私が演じるハルコさんは、大好きな映画を観ることで辛い現実を忘れることができます。上演時間が3時間を超えるお芝居ですが、疲れるというよりはむしろ、演じる度にまたこの作品に会えたという喜びで元気がチャージされていきます。私にとってそういう力がある作品なので、観てくださる方にとってもそうでありますように、と思っています。

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■2016年版『ミス・サイゴン』 vol.9■


ミュージカル『ミス・サイゴン』が現在、帝国劇場で上演中だ。ベトナム戦争という重くシリアスな史実を背負った作品ながら、エンタテインメントとしての華やかさも併せ持つミュージカル。世界各地で公演され、日本でも1992年以降コンスタントに上演され続けている。大作ミュージカルらしく、プリンシパルキャストはダブル・トリプル制をとっているが、今回も個性豊かな顔ぶれが揃った。キャスト評含め、2016年版『ミス・サイゴン』の感想を記す。
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舞台は1970年代ベトナム戦争末期。村が焼かれ、両親を失った17歳の少女キムは、サイゴンの町でナイトクラブを営む男・エンジニアに拾われる。エンジニアやクラブの女たちは、ベトナムを出て自由の国・アメリカで暮らすことを夢見ていた。そんな中で初めて店に出たキムは、アメリカ兵クリスと出会い、恋に落ちる。だがサイゴン陥落の混乱の中、引き裂かれてしまうふたり。3年後、戦争が終わり社会主義国家となったベトナム。クリスとの息子・タムを生んでいたキム、相変わらずアメリカ行きの夢を諦められないエンジニアを中心に、キムの許婚トゥイら、様々な人々の思惑は絡まり、キムの運命はさらに過酷な渦の中に。一方アメリカでは、帰国したクリスがエレンと結婚、しかしいまだ、戦争の悪夢に苦しんでいる。そしてキムが生きていること、息子がいることを知るのだが...。

戦争という極限状態の中で、それでも激しく誰かを愛し、あるいは憎み、また生に執着する生々しい人間の姿を切り取った作品だ。特に新演出になった2012年以降は感情のひだをいっそう繊細に表現、悲しいほどに必死に生きる人々の姿が浮き彫りになった。今回も舞台上に出てくる登場人物すべて、舞台の隅に至るまで全員がリアルに、地に足を付けて生きている。そしてベトナム人もアメリカ人も、等しく傷付いていく。この作品は「戦争は何も生み出しはしない」という人類の反省と、平和への祈りがテーマ。そのことをキャスト全員が深く重く受け止め、覚悟を持って作品に向き合っているのだろう。メインキャラクターがたどるドラマチックな物語に引き込まれながらも、時折視線をはずすと、サイゴンやバンコクの街角で、必死な目をしている人の姿が目に入りハッとする。やはり『ミス・サイゴン』は、ほかのミュージカルとは何か違うのだ。観ているこちら側も、背筋が伸び、彼らが訴えかけることをきちんと受け止めねば、と思う。
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とはいえやはりアラン・ブーブリルとクロード=ミッシェル・シェーンベルクによる珠玉の楽曲は美しく、悲壮なだけではないミュージカルらしい楽しみももちろんある。逆に、ミュージカルという広く大衆に訴えかける手法の中に描かれるからこそ、シリアスなテーマがストンと素直に心の中に落ちてくるのかもしれない。

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