大阪公演を経て、2月1日には東京公演初日を迎えた『CHESS THE MUSICAL』。
チェスの世界大会を舞台に、米ソ冷戦という時代背景に翻弄されている人々のドラマを描き出すミュージカルです。
今回の上演ではラミン・カリムルー、サマンサ・バークス、ルーク・ウォルシュ、佐藤隆紀(LE VELVETS)をメインにした日英精鋭のキャストが、ベニー・アンダーソン&ビョルン・ウルヴァースというABBAのふたりが生み出した珠玉の音楽に溢れるこの作品を素晴らしい歌唱力で歌い上げ、客席も大盛り上がり!
東京公演が開いたばかりの2月2日にはラミン・カリムルー&ルーク・ウォルシュ&佐藤隆紀によるアフタートークが開催されました。
その模様をレポートします!
劇中ではソ連のチェスチャンピオン、アナトリーを演じるラミンさん。
文句なく、いま世界トップクラスの実力&人気を持つミュージカルスターです!
まずは日本語で「こんばんはございます。きてくれてありがとうございます。あいしてる」とご挨拶し、客席も大盛り上がり!
「毎日毎日楽しく過ごしています。毎回、公演をするたびにちょっと寂しくなる。ひとつショーが減ってしまう、そしてまた帰国する日が近付いているなって思って」と現在の心境を。
▽ ラミン・カリムルー
アメリカ代表にしてディフェンディングチャンピオン、フレディを演じるのはイギリスの新星、ルークさん。
「来てくださってありがとうございます。そして(アフタートークに)残ってくださってありがとうございます。今日のお客さまが最高だったと思います!」とご挨拶。
さらに「大阪も大好きですが、東京も好きです。そして本当に昨日(初日)の観客の皆さんが素晴らしかった。たくさん歓声をいただき、キャストも興奮しました。でも今日のお客さまも同じく素晴らしかった。私たちが本当にいい作品だと思って作り上げたものを、このようにご覧いただいてありがとうございます」と話します。
ルークさん、このアフタートーク中、多方面に「感謝」を述べていらっしゃいました。人柄がにじみでますね。
▽ ルーク・ウォルシュ
チェスの審判(アービター)役は、日本から佐藤隆紀さん。
ラミン&ルークのご挨拶の流れで英語で「Ladies and gentlemen,Thank you,I Love you」と英語でご挨拶をし、「本当に今回、アンサンブル含め日本勢も頑張っていて、1月3日頃かな、僕がまだセリフも半分くらいしか覚えていなかったときに、アンサンブルの皆さんが歌詞を暗譜して振付している動画が送られてきて、めちゃくちゃ焦りました。そこから寝られない日々が続きました......。でもみんなの「頑張ろう」「いいものを作ろう」という意識が、この作品を良いものにするパワーになったんじゃないかなと感じています」と現在の気持ちを。
▽ 佐藤隆紀
ちなみに佐藤アービターの髪型、こうなっています。
佐藤さん曰く(ヘアメイクじゃなく)「朝起きたらこうなっている」そうです(笑)。
そして来日公演らしく、日本の感想を問われたラミンさん&ルークさん。
ラミンさんはもう、何度も来日されているのに対し、ルークさんは初来日です。
ラミン「日本のスピリットが好きなんです。生活もですし、皆さんが愛に溢れていて、国としても類をみない素晴らしさ。来日するたびに、観光客というより住人のような気持ちになりますし、これからもそうなればいいなって思っています」
ルーク「本当に皆さん人がいい。最初にこちらにきたときに食べ物やコーヒーを買いに行ったんですが、どうぞどうぞーって感じで、イギリスでは考えられない対応をしてもらいました。さらにお金を払ったときに2千円をカウンターに忘れてしまったんですよ。そんなの、イギリスではすぐ誰かがポケットに入れちゃうと思うんですが、店員さんが僕を呼び止めて2千円を返してくれた! とっても楽しくて、文化も素敵ですし、皆さんとってもフレンドリー。だから朝起きるといつも「ここにいられて嬉しい」って思いますし、とにかくキャスト含め、日本の方とお話するのが大好きです」
なお佐藤さんから見たUKキャストは
「皆さんフレンドリーに話してくれるので、すごく仲良く出来ました。皆さんが優しいんですよ...! そういえばキャストの染谷洸太君が、皆さんに食べてもらおうと納豆を持ってきて......」
......と話をしたところで、微妙な表情をするラミン&ルーク。
「あれ?あのとき食べていた表情と違うなあ(笑)。気を遣っていたんでしょうねえ(笑)」と笑う佐藤さんでした。
そんなラミンさんとシュガーさんは、同じく33歳でジャン・バルジャン(レ・ミゼラブル)を演じているという共通項があります。
お互いについて問われ......
佐藤「似ているところは......似ているなんておこがましいですが......優しいところですかね(笑)! さっきもラミンさんが優しいなと思ったことがあって。今日実は二宮愛さんが誕生日で、昼夜の公演の間にみんなでお祝いしようって話していて、ハッピーバースデーを歌ってケーキ持ってきて......ってやることになったんです。そうしたら隣でラミンさんが(日本語で)「おたんじょうび おめでとう」ってすごく練習してるんです「あってる?」って。「オッケーあってるよ」「おたんじょうび...おめでとう...」ってずっとやってて。で、みんなで歌いましょう!ってなったら「ハッピバースデー」ってみんなが(英語で)歌ってラミンさんが「......おたんじょうびおめでとうって歌わないの!?」って(笑)。でも日本語で歌ってあげようとしてたんですよ、優しいですよね」
ラミン「ジャン・バルジャンの役は大変な心の旅があります。シュガー(佐藤)さんは親切で心があたたかいビッグハートな方なんですが、私はシュガーさんほど優しい人間とはいえないから、大変。シュガーさんはとてつもなく特別で素晴らしい人間」
......という素敵なエピソードを披露。
ほかにもルークさんが稽古中、入り込みすぎて「Pity the Child」で佐藤さんを殺しかねない(!?)勢いでチェスの駒を投げて、駒を投げる動作は禁止となった......という話や、アンサンブルさんの英語が素晴らしい、英語母国の米英でもここまでクリアに物語を伝えられないと思う、というお話などを、和気藹々とした雰囲気の中、話してくれました。
最後に3人がそれぞれ、
佐藤「このメンバーでこうやってステージに立たせてもらえていることを誇りに思いますし、このステージを色々な人に観ていただきたいと思います。日本と海外の(混合)キャストでも、こうしていいものを作ることができるんだなと身を持って体感しましたし、本当に来日した皆さん、人格が素晴らしくて優しい、それも嬉しい。この『CHESS』が終わってもまた日本に来てほしいなと思います。ありがとうございました」
ルーク「サンキュー、(日本語で)ありがとうございまーす。どんどん進化していますので、ぜひ皆さん、また観にきてください。私たち自身が誇らしく思っている舞台を皆さんにご提供できて嬉しいです。そしてこういう作品は舞台上にいる人間だけでは作れません。オフィスで一日中働いてくださっている方、袖の中でがんばってくださっている方、音響さんはいまもマイクの調整をしてくれていますし、オーケストラの皆さん、たくさんの方がいてこの作品が出来上がっています。そのことも、皆さんもしっかり受け止めてくださってありがとうございます」
ラミン「みんなシュガーさん、ルークさんが言ってくださいましたが...それに加えて。(日本語で)ほんとうにありがとうございます。きてくれてありがとうございます。あいしてる、またねー」
とご挨拶、皆さんの人柄も垣間見れる笑顔あふれるアフタートークは終了しました!
公演は2月9日(日)まで続きます。......2月9日(日)までしか観られるチャンスはありません!ぜひお見逃しなく!
▽ 最後に、グータッチ!
取材・文・撮影:平野祥恵(ぴあ)
【『CHESS』バックナンバー】
●2020年ミュージカル版
#1 公開稽古レポート
#2 サマンサ・バークス インタビュー
●2012年コンサート版
# 開幕レポート
●2013年コンサート版
#1 マテ・カマラス インタビュー
#2 安蘭けい&荻田浩一 インタビュー
#3 石井一孝&中川晃教インタビュー
#4 まもなく開幕
#5 稽古場レポート
#6 開幕レポート
●2015年ミュージカル版
#1 田代万里生インタビュー
#2 公開稽古レポート前半
#3 公開稽古レポート後半
#4 開幕レポート
#5 アフタートークレポート
【公演情報】
1月25日(土)~28日(火) 梅田芸術劇場メインホール(大阪)※終了
2月1日(土)~9日(日) 東京国際フォーラム ホールC