ミュージカル『CHESS』アフタートークイベント「CHESS ミュージカル版を語る!」レポート

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■ミュージカル『CHESS』■


2度のコンサート形式での上演を経て、ついに日本初演の幕を開けたミュージカル『CHESS』
冷戦下のチェスの世界大会を舞台に、恋愛と政治の駆け引きが絡み合う奥行きのある物語が、ABBAのメンバーが手がけた美しく繊細な楽曲に載せ紡がれる作品です。
何より、カンパニーの『CHESS』への愛情がひしひしと伝わる、熱い熱いパフォーマンスは感動必至!
必見のミュージカルです。

★開幕レポートはコチラ

稽古場からこの作品を追っているげきぴあですが、本日は去る9月28日に行われたアフタートークイベント「CHESS ミュージカル版を語る!」のレポートをお届けします。

出席者は石井一孝田代万里生AKANE LIV戸井勝海、そしてゲストに『CHESS in Concert』初演(2012年)にアービター役で出演していた浦井健治という豪華な顔ぶれです!
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まず、作品を観た感想を求められた浦井健治さん。
「もう大感動しております! そして、楽曲が難しい! (難しいことを)思い出した! みんなすごいな~って...」と開口一番の賞賛の言葉でした。
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そしてソ連側の代表選手・アナトリー役をコンサート版初演から演じている石井一孝さん。
「長い道のりの3時間ですが、今回コンサートバージョンと一番違うのは、妻のスヴェトラーナが1幕で近くにいること。これがやっぱり、一番違うかな。だから(スヴェトラーナ役の)AKANEちゃんと何度も話し合いました。一番最初に、2階の居間に出てくるじゃない? ...あ、2階の飛び出たところを我々は居間と呼んでいるんですが(笑)。あそこではどんな会話をしているとかも。その段階から亀裂が入っているわけではなく、普通の家庭。ただ試合が近くて、これからメラーノに乗り込んでいくところなので、イライラしている。でも愛してないとか溝があるとか、そんなんじゃない方がいいよねとかも話し合って、演じているのがすごく新鮮。(コンサート版では)失われた、見せていなかったピースだからね。子どもがふたりもいるんだよ?名前も決まってるの。その辺がすごく新しくて。より辛くもあるけれど、よりリアルな感じで挑めているのが嬉しいです」
...と、コンサート版との違いを語ります。
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ちなみにこの日は司会ということで、控えめにしていたAKANE LIVさんでしたが、彼女によると「長男がアレクセイで、次男がニコライ」とのこと。長男は大野幸人さんですね。

さらに石井さんは、にこやかな笑顔で司会進行をしているAKANEさんを見て「こうしてニコニコしているAKANEちゃんを見れて嬉しい! いつも悲しい目か怒った目で向き合うことばっかりで、本当に申し訳ないと思っています。...普段は仲いいですよ?」というフォロー(?)も...。
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そしてこちらは、審判・アービター役の田代万里生さん。
勝負の世界の絶対的支配者!自分がルールブック!というぶれない正しさをもって舞台上にいる、不思議な存在です。
「最初に台本を読んだり映像資料を見た時に、これはアービターが登場人物として出てこなくても、話としては成立すると思ったんですよね。なぜここにアービターという役を、意味深に置くのか。(演出の)荻田さんには、年齢も国籍もルーツもすべて非公開の役にしてほしい、さらにミステリアスな感じが、いわゆる死神とかではなく、人間でいて欲しいと言われました。"なんでもあり"ではない中で、一番ミステリアスで、ふわふわしているようで一番芯のある人物を作りたいと思って色々やっていたら、手がこう(歩きながら手すりを叩いているように)動いていたり...となりました。あれも、本当にチェスのことを愛している、チェスのことばかり考えている人なので、いつでも指しているイメージです。あとは、白手袋も僕から提案してみました」
と、試行錯誤の末の、"あの"アービターになったと明かします。
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浦井さんと田代さんは「アービター繋がり」なのですが、同じ役とはいえ、まったく異なる役作りになっていることから、こんな話で盛り上がります。

浦井「僕、コンサート版ではアービターをやったんですが、だいぶ違うアービターで...」

田代「ロン毛だったんですよね?」

浦井「"高見沢さん"と言われてました」

田代「僕、この役をやるかもしれないって言われた時に、浦井さんの写真見て、「これか...」と(笑)。レベル高いな~!と思いました(笑)」

浦井「どういうこと(笑)。でもすごかった(手をスクエアに動かす動作の真似をする浦井さん)」

AKANE「あれ、万里生君自ら、編み出したんですよ!」

石井「そう、あれ演出じゃないんですよ。自主提案なんです!」(客席から拍手)

田代「アービターはチェスのことをずっと考えていたり、人間関係を常にチェスに置き換えて考えたりしているので、頭の中で何面もの盤で試合をやっている...ような動きをやったら、OKが出たんですよ」

浦井「髪の毛はどうしたの?染めたの?」

田代「...なんでしょう、ストレス(で脱色した)ですかね(笑)? ...これは演出の荻田さんから。ビジュアル撮影の時点ですでに「銀髪になるよ」と言われていたんですが...」

浦井「カッコいい!」

石井AKANE「でも高見沢さんも素敵だったよ!」
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ほか、「異常に手を撫でていたり、愛していたりと、"職業病"を表現できたらなと、色々と考えてやりましたね。台本に深く描かれていない役なので。浦井さんはどうされたんですか?」と言う田代さんに、「自分で色々と模索して...却下!却下!みたいな(笑)」と返す浦井さんでした。

★浦井アービターがなぜ"高見沢さん"なのか気になる方はコチラをどうぞ!(コンサート版開幕レポートより)



そしてコンサート版セカンド・バージョン(2013年)から参加、ウォルター役の戸井勝海さん。
ウォルター役は初演版ではキャスティングされておらず、浦井さん扮するアービターがウォルターのセリフを担ったりしていたということで、浦井さん曰く「(自分が演じていた時に比べ、アービターからウォルター要素が抜けたことで田代アービターは)悪の部分がなくなり、中立に、まっとうに自分の任務をしている。その後ろに誰がいるんだろう?とは思いますが。その(黒幕の)人ではないんだろうけど、(戸井ウォルターは)一番悪い人だなと思った!」との感想。
戸井さんにしても、前回ともまた立場が少し違っているようで...。
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「前回はマテ(・カマラス)さんがアービターをやっていたのですが、アービターのセリフを、僕・ウォルターが一緒に喋っていたりもしていたんですね。僕も、審判のようであり、ちょっとだけ"悪の人"だったり、微妙なポジションだったのですが、今回は(アービターのセリフを)全部万里生君に返上するということで、完全に悪い人だけが残っちゃった(笑)。さらに、モロコフ(ひのあらたさん)という前回は登場しなかった人も出てきて、(米ソの)対局がはっきりしてきたおかげで、コンサート版より怖い。ドロドロしている。コンサート版の初演の感想は、曲も綺麗だし、"恋の物語"という印象だったんですね。それが2回目で「あれ、なんかきな臭いものがあるぞ」となり、今回カンペキに...僕とひのちゃんが色々やらせて頂いてます。カズちゃん(石井)のあんな表情...怒りと哀しみで震えながら涙流すとか、見た事ない表情が今回見えて、もちろんカズちゃんだけでなく色々な人の今までになかった顔が見えて、それがすごく新鮮です」
と話しました。
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...ただ戸井ウォルター、「ウォルター、すごい悪の根源みたいに言われてるけど、よーーく思い出してみたら、すごい悪くない?この人。子どもふたりもいてさ。俺の影に隠れてる感じがするんだけど...。そりゃああいう表情になりますよね奥さんも」と石井アナトリーを糾弾していました(笑)。


で、「後ろの方(舞台奥)でも、ものすごくカズさんを見てる」と言われたアナトリーの妻・スヴェトラーナ役のAKANE LIVさん。
自分は今日は司会なので...と控えながらも、興味深い話をしてくれました。
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「私の父も、同じような時代に、ポーランドからスウェーデンに亡命しています。亡命したいわけではなく、パスポートとかを剥奪されて亡命者になったんですが、父の話を色々聞いていたので、1幕ラストでカズさんが歌う『Anthem』を聴いていると、「父はどういう思いで祖国を捨てたんだろう」と色々感じながら今、舞台に立っています。子どもがいるのに、あの時代に子どもを置いていって逃げてしまう人。苦しいのですが、でも1幕を一番近くで演じていて思うのは、カズさんが演じるからこそ、というのと、アナトリーのチェス愛は妻は誰よりも近くで見て知っているから、100%嫌いにはなれない。1幕から(スヴェトラーナとして)出てよかったなとすごく感じています」


ほか、このトークショーには登場していない、安蘭けいさん、中川晃教さんについての話題も...。

AKANE「『Pity the Child』は、(今回は)アッキー(中川)のアカペラから始まるのですが、それは初日当日に変更したんですよ。ああいうことが出来るアッキーはやっぱり本当に(天才である)フレディ。...フレディじゃないね、それモーツァルトですね(笑)。でもフレディは、(実在するチェス・チャンピオンである)ボブ・フィッシャーをモデルに書かれているのですが、ボブ・フィッシャーは「チェス界のモーツァルト」って言われているような人物なので、このふたりを演じている中川晃教さん、やっぱり繋がっていますね」

石井「自由で、破天荒で。ぴったりだよね」

浦井「コンサート版初演の時も、(中川が)あの曲でセッションをし始めて、ギターではじめようとか...」

AKANE「そうだったね!」

浦井「自分で指示して空間を支配するところから始めるから。この間、妹さん(中川和泉さん/『ボンベイ・ドリームス』で共演)とも共演したんですが、その時、アッキーは曲を1曲全部、構成していると聞いたんです。一度英語に直したり、逆に英語の歌詞を日本語に置き換えたり、細かいことをして。だからこそ、ああいう歌い方もできるんだろうなと。天性でもあり努力でもある。...いざ楽屋で会うと、どこからその笑顔?みたいな顔で「どうだった、どうだった!?」って来るんですが(笑)」

石井とうこちゃん(安蘭)はエピソードだらけだよね。本当に面白くて姉御肌」

田代「主演なのに、舞台稽古の時とかも、ひたすら共演者の写真を撮影している。カンパニー愛がある」

石井「みんなに優しく声かけてくれるし、自ら率先して場を和ませようとする。あんな座長なかなかいないよね。ボケなきゃきがすまないしさ(笑)」


...といったような話題で、盛り上がっていました!



最後に浦井さんからは
「アービターもすでに様々な形がありますが、この作品はこれからも様々な形でトライアルされて、挑戦をしていくのだと思いますし、よりたくさんのお客さまに楽しんでもらえるようなものに、ブラッシュアップされていくんじゃないかなと思いました。今日も、『Quartet』などすごく難しい曲の後だと、お客様も「...うーん!」みたいな拍手になるのを肌で感じましたが(笑)、「難しいんだろうなー!」みたいになる拍手って、なかなか劇場ではおこらないと思う。でもそういう作品は実は僕、大好きなんです。そういうものをこのカンパニーで和気藹々とやっていることを誇りに思いながら、最後まで皆さん怪我なく風邪をひかず、やっていってください!」とエールが。
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出演の皆さんからは次のような挨拶で締めくくられました。

戸井「明るい結末ではないこの作品ではありますが、僕はどこか、それでも生きていくんだというフローレンスの力強さに勇気をもらって、毎日ここにきています。そういう元気がお客様に届けばいいなと思っています」

田代「本当に、ほかに似たようなミュージカルはないと思います。そして音楽、演出、すべて、ミュージカル界にとってもチャレンジングな作品だと思います。そんな作品を今日、、たくさんの方が見届けてくださって本当に幸せでした。またお会いできる日を楽しみにしています」

石井「<『CHESS』を語る会>をやったら一晩じゃ足りないんじゃないかなというくらい複雑で多面的で奥深い作品。健治といっしょにやりはじめた2012年の『CHESS in Concert』を今でも思い出します。なんて難しい曲ばかりで、歌いたくない曲ばかりだなと思ったのですが、そこから葛藤しつつ、みんなで一緒に手に手をとって、譜面と向き合い、ドラマと向き合って、荻田先生の奥深い演出を受け、そして3年。ミュージカル版ということで劇場に立たせて頂いていることが光栄ですし、幸せですし、言葉がないくらい嬉しいです。一筋縄ではいかないし、手ごわいし、ここまで打ちのめされるストーリーはないのですが、だからこそ『CHESS』が愛しいのかなと思ってやっています。大きい海原にひとりで孤独に立っているような気持ちの役なのですが、それでも実は皆さんに見守られて、手ごわい海を一歩一歩漕ぎ進んでいます。もっともっと皆さまに愛される作品にしていきたいですし、素晴らしいキャスト、仲間ばかりなので、この絆が、パワーが皆さまに届けられたらと思います。これからも『CHESS』をよろしくお願いいたします」


取材・文・撮影:平野祥恵(ぴあ)



【バックナンバー】

【公演情報】
・10月12日(月・祝)まで 東京芸術劇場 プレイハウス
・10月19日(月)~25日(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ(大阪)


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