スイスの劇作家フリードリヒ・デュレンマットによる戯曲を、ノゾエ征爾の上演台本・演出で立ち上げる『物理学者たち』。げきぴあ編集部は、この稽古場をリアルタイムで"リモート見学"し、後日動画でも視聴しました。

稽古場レポートの前編では、タイトルロールの"物理学者たち"が入院するサナトリウムの院長マティルデ・フォン・ツアーントを演じる草刈民代さんの登場シーンをお届け。後編はその翌日に行われた稽古の様子をお伝えします!

▼『物理学者たち』について
                            
■INTRODUCTION
とあるサナトリウムを舞台に、自らをニュートンやアインシュタインと名乗る精神病棟の患者と、院長をはじめとする施設スタッフの会話で構成される本作。第二次世界大戦での原爆被害も記憶に新しく、ベルリンの壁建設や水爆ツァーリ・ボンバの爆発実験など世界
情勢が緊迫した1961年に執筆され、時代背景にあった"科学技術"や"核"をめぐる人間のモラルと欲望が描かれます。

■あらすじ
舞台は、富裕層向けのサナトリウム「桜の園」の精神病棟。ここに入所する自称ニュートン(温水洋一)、自称アインシュタイン(中山祐一朗)、「ソロモン王が現れた」と言うメービウス(入江雅人)の患者3人はいずれも"核物理学者"だ。

ある日、自称アインシュタインが若い看護婦を絞殺してしまう。数ヵ月前には、自称ニュートンも看護婦の命を奪ったばかり。院長のマティルデ・フォン・ツアーント(草刈民代)は「放射性物質が物理学者である彼らの脳を変質させた結果、常軌を逸した行動を起こさせたのではないか」と疑う。

そんな中で起きる第三の殺人によって、事態は思わぬ方向へ。彼ら3人はなぜこのサナトリウムに入所しているのか、タブーを犯すのか──。

詳しくは、翻訳を手がけた山本佳樹さんによる"作品解説"をご一読ください。

▼稽古場レポート後編
                               
8月30日。セミの鳴き声が背後に聞こえる稽古場では、2場面のブラッシュアップが行われていました。外の猛暑に負けないほど熱いキャストの演技に、画面越しながら手に汗を握ってしまいます!

①メービウスとモーニカ
サナトリウムの精神病棟に入院している物理学者の一人、メービウスに扮するのは入江雅人さん。長らく彼の世話を焼いてきたと思われる看護師モーニカ(瀬戸さおり)との応酬は、1幕ラストの急展開を飾る迫力に満ちたものでした。

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患者と看護師の関係性を超えた結びつきを感じさせる二人。精神病棟で起こった2件の連続殺人をきっかけに担当を外れることになったモーニカは、メービウスと離れがたい様子です。演出を手がけるノゾエさんは、モーニカ演じる瀬戸さんに「メービウスのペースを
崩しているように見えるといいね」と声をかけました。

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その最たる例と感じたのが、いきなり放り込まれるモーニカの英語。椅子の上に乗ってメービウスへの想いを高らかに宣言するひと幕では、ノゾエさんから「I Love You, I Love You, I Love You!!!!!と3回くらい続けて言ってみて」と指示が飛びます。これを受けてすぐ実践した瀬戸さんは、2回も増量して応戦。毎回ニュアンスを変える変幻自在の「I Love You」に、入江さんがアドリブで「I Love You"Too!!!"」と返すと稽古場は爆笑に包まれました。

モーニカの勢いに圧される様子を、入江メービウスとノゾエさんは巧みな動きで表していきます。後ずさりのタイミングを緻密に計算したり、モーニカの耳打ちから逃れるような仕草を取り入れたり。二人の心理的なマウント合戦が観客にしっかり伝わるほど、1幕ラ
ストでメービウスが見せる激情が映える構成になっていることに気づきました。本番でも固唾を飲んで見守ることになりそうです。

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②物理学者3人(ニュートン・アインシュタイン・メービウス)
続いて行われたのは、物理学者たち3人が一同に会するシーン。殺人が行われた現場で食事を楽しもうとする自称ニュートン(温水洋一)のもとに、気が滅入った様子のメービウスが現れます。やがて自称アインシュタイン(中山祐一朗)も加わると、次第にそれぞれ
が唱える説を戦わせる不穏な展開に──。

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ここで論じられているのは、科学者の責任について。内容が少々難しいということもあって、ノゾエさんは「流してしまわず、キーワードになりそうな"責任"や"自由"って言葉を立てて発してください」と3人にオーダーします。続いて「黒板を使って議論してみましょう」と言って温水ニュートンと中山アインシュタインに実践させると、何のアクションもない状態より長ゼリフが耳に残るような気がしました。

中山さんは、時間を見つけては一人セリフをそらんじる姿を見せるなど準備に余念がない様子。常にいつの間にかその場に現れる、飄々とした自称アインシュタインのたたずまいは、こうした地道な努力から生まれているのかもしれません。ノゾエさんとのやりとりにも、信頼関係を感じさせます。

しまいにはメービウスの存在をめぐる緊迫感あふれるシーン。にもかかわらず、食事と殺人が並列で語られるなどシュールな"不協和音"が鳴り止みません。彼ら物理学者たちは何者で、本当に狂ってしまっているのか、いないのか──。真相はぜひ劇場でお確かめを。

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取材・文:岡山朋代
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ワタナベエンターテインメント DiverseTheater『物理学者たち』

2021年9月19日(日)~26日(日)
本多劇場
[作]フリードリヒ・デュレンマット
[上演台本・演出]ノゾエ征爾
[プロデューサー]渡辺ミキ、綿貫凜
[出演]草刈民代、温水洋一、入江雅人、中山祐一朗、坪倉由幸(我が家)、吉本菜穂子
、瀬戸さおり、川上友里、竹口龍茶、花戸祐介、鈴木真之介、ノゾエ征爾

稽古場プレトーク配信中!
温水洋一×入江雅人×中山祐一朗
前編 https://youtu.be/MpNJwkkKSyo
後編 https://youtu.be/2Zb6tYjrY6U
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脚本・演出を開沼豊が手掛け、
田中尚輝、鷲尾修斗、北澤早紀 、井澤勇貴、石田隼、
加藤健、毎熊宏介、田中晃平、五十嵐啓輔 ら、
いま注目の若手俳優たち が挑むリーディングドラマ
『 「幽霊ハウス」 〜あなたは死んでも彼女を守れますか?〜 』 が、 本日 9月11日( 土 )に ヒューリックホール東京 で初日を迎えました。

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『「幽霊ハウス」 〜あなたは死んでも彼女を守れますか?〜 』 は、 2016年上演 の 「 LDK ミディアム」の作・演出を手掛けた開沼 が、
「人間以上に人間らしい幽霊」をテーマに自ら筆をとり、リ ーディングドラマとしてリメイク。
物語は、さまざまな時代で亡くなった 5 人の霊が暮らす古ぼけた一軒家に、莉奈という女性と、
彼女の元カレで霊の健太が引っ越してきたところから始まります。
莉奈と健太を軸に進むストーリーはもちろん、 個性の強い霊たちのテンポの良いやりとりも楽しいラブコメディ作品となっています。
朗読劇ならではの演出もお楽しみください。


公演は、9 月 12 日(日)まで上演中。 グッズの販売などは、オフィシャルサイトでご確認ください。


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【あらすじ】
夏の終わり。
自分を変えたくて上京した1人の女と
そんな彼女について来た男。


古ぼけた一軒家での生活が始まろうとしていたが、
そこには既に 5 人の地縛霊が暮らしていた。


この不思議な関係の共同生活がスタートして数日、
男が彼女に言った。
「何のために東京に出て来たの?」
しかし、その言葉は届かない。


裏のお寺から聞こえるお経の声がリビングに響き渡る。
1人の女と 8 人の男たちが紡ぐ究極のラブコメディ。


「あなたは死んでも彼女を守れますか?」


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■公演概要
【公演名】リーディングドラマ「幽霊ハウス」〜あなたは死んでも彼女を守れますか?〜
【公演日時】2021年9月11日(土)、 12日(日) 各日開演 12:30/17:30
【会場】 ヒューリックホール東京 (東京都千代田区有楽町2丁目5ー1 有楽町センタービル 11F)
【出演者】田中尚輝、鷲尾修斗、北澤早紀 (AKB48) 、
     井澤勇貴、石田隼、加藤健、毎熊宏介、田中晃平、五十嵐啓輔
【チケット料金】全席指定:6,500 円(税込)
【スタッフ】作・演出:開沼豊
【主催】サンライズプロモーション東京
【公式HP】 https://www.yuureihouse.com/
【公式Twitter】 https://twitter.com/yuureihouse
【チケット】<<当日引換券>> 各回開演前日まで発売中

ぴあ:https://w.pia.jp/t/yuureihouse/
Pコード: 507-947

≪当日券≫
各回開演45分前から劇場にて販売致します。
※前売券と同額

【お問合せ】サンライズプロモーション東京
0570-00-3337 (平日 12:00 ~ 15:00)

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スイスの劇作家フリードリヒ・デュレンマットによる戯曲を、ノゾエ征爾の上演台本・演出で立ち上げる『物理学者たち』。開幕を約3週間後に控えた稽古場の映像には、緻密なシーン稽古に臨むノゾエさん、そして草刈民代さんらキャストの様子が映し出されていました。

とあるサナトリウムを舞台に、自らをニュートンやアインシュタインと名乗る精神病棟の患者と、院長をはじめとする施設スタッフの会話で構成される本作。第二次世界大戦での原爆被害も記憶に新しく、ベルリンの壁建設や水爆ツァーリ・ボンバの爆発実験など世界情勢が緊迫した1961年に執筆され、時代背景にあった"科学技術"や"核"をめぐる人間のモラルと欲望が描かれます。
→詳しくは、翻訳を手がけた山本佳樹さんによる"作品解説"をご一読ください

■あらすじ
舞台は、富裕層向けのサナトリウム「桜の園」の精神病棟。ここに入所する自称ニュートン(温水洋一)、自称アインシュタイン(中山祐一朗)、「ソロモン王が現れた」と言うメービウス(入江雅人)の患者3人はいずれも"核物理学者"だ。

ある日、自称アインシュタインが若い看護婦を絞殺してしまう。数ヵ月前には、自称ニュートンも看護婦の命を奪ったばかり。院長のマティルデ・フォン・ツアーント(草刈民代
)は「放射性物質が物理学者である彼らの脳を変質させた結果、常軌を逸した行動を起こさせたのではないか」と疑う。

そんな中で起きる第三の殺人によって、事態は思わぬ方向へ。彼ら3人はなぜこのサナトリウムに入所しているのか、タブーを犯すのか──。

稽古の映像を見て驚いたのは、シリアスな内容の中に"笑い"が生まれていたこと。看護婦殺しの顛末が明かされるサスペンスでありながら、浮世離れした患者や施設スタッフ、事件の現場検証に訪れた警察らのシュールな掛け合いに思わずほくそ笑んでしまいます。

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8月29日の稽古では、冒頭から各シーンの精度を上げる作業が繰り返されていました。ノゾエさんの演出は、意図して劇世界に"ノイズ"を発生させる面と、観客が作品に没入できるよう"必然性"を高めていく面を使い分けているように見えます。何度もトライ&エラーを繰り返すと、いずれもぐっと魅力あるシーンに変化していきました。草刈さん演じる院長は、ト書きで「背中の曲がった老嬢」とあるほどのクセの強い人物。

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バレエダンサーとして培った姿勢のよさを封じ、背中を丸めながら特徴的なしわがれ声で登場します。とはいえ、少々早口でシャープな印象。ノゾエさんから飛んだ「ゆったり大きく構えてください」という指示に、草刈さんは「単なるおばあさんにはしたくないんですよね......」と悩みました。「底知れない彼女のイメージはそのままに、悠然さを出してください」と返したノゾエさんの指示に、草刈さんも得心して次のシーンに移ったようです。
患者で自称ニュートン(本名:ヘルベルト・ゲオルク・ボイトラー)役の温水さんは、ウェーブがかった金髪カツラ(当時の扮装)をかぶって登場。ノゾエさんの「不自然なくら
い食い気味で切り返してみてください」という指示にも緩急自在の演技で応戦し、出オチに負けない存在感を見せていました。

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坪倉由幸さんは、事件現場に出入りする警部リヒャルト・フォスに扮します。映像に収められていた稽古では、院長と自称ニュートンに対峙するなど出演シーンが目白押し。頭のネジが数本外れた登場人物が勢揃いする中で唯一まともなキャラクターといってよく、エキセントリックな患者や院長と向き合う"受け"の演技で安定感を発揮していました。

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この日の稽古終盤に登場したのは、看護婦長マルタ・ボルを演じる吉本菜穂子さんです。
殺人が続き精神病棟から離れるよう院長から指示されたことで生じる動揺を表すために、ノゾエさんは「ペンとかいろんなものを床に落としてみて」と指示。デフォルメしながら実践する吉本さんの姿に、稽古場から大きな笑い声が上がりました。

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稽古場レポート後編では、3人の物理学者たちが一堂に会し"不協和音"を響かせる様子をレポートします。お楽しみに!

取材・文:岡山朋代
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ワタナベエンターテインメント DiverseTheater『物理学者たち』
2021年9月19日(日)~26日(日)
本多劇場
[作]フリードリヒ・デュレンマット
[上演台本・演出]ノゾエ征爾
[プロデューサー]渡辺ミキ、綿貫凜
[出演]草刈民代、温水洋一、入江雅人、中山祐一朗、坪倉由幸(我が家)、吉本菜穂子
、瀬戸さおり、川上友里、竹口龍茶、花戸祐介、鈴木真之介、ノゾエ征爾
稽古場プレトーク配信中!
草刈民代×坪倉由幸×ノゾエ征爾
前編 https://youtu.be/0hIVwsUlouk
中編 https://youtu.be/G8UBKmilOOA
後編 https://youtu.be/m6B7Y-ZGDTs
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サイモン・スティーヴンスの戯曲を、劇団「ゴジゲン」主宰の松居大悟による演出で日本初上演する『Birdland』が9月9日(木)、東京・PARCO劇場にて開幕した。

撮影:引地信彦

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サイモン・スティーヴンスといえば、日本でも2014年に上演された『夜中に犬に起こった奇妙な事件』でオリヴィエ賞・トニー賞を受賞したイギリスを代表する劇作家。演出を手がける松居は、自身が主宰をつとめる劇団「ゴジゲン」で作・演出・出演をこなし、近年は映画『くれなずめ』やドラマ『バイプレイヤーズ』シリーズを手掛けるなど、ジャンルや枠に捉われない活躍を見せる注目の演出家だ。松居にとってPARCO劇場での演出は本作が初。開幕にあたって松居からコメントが届いた。


【演出:松居大悟 初日開幕コメント】
遠いけど近くて、暗いけど明るい。吐息まで届きそうな気がする。
今まで客席で笑ったり泣いたり衝撃を受けたりしたPARCO劇場に入って、Birdlandを初めて浮かべた時に、なんとなくそう感じて。お、いいぞ、なかなかどうして匂ってくるような鋭さがあるぞと、不安を塗り潰す高揚感がありました。
本日より、舞台『Birdland』開幕します。
何年もこの戯曲を準備して、1ヶ月間マスクで稽古して、劇場で照明や音響と組み合わせて。新PARCO劇場になって初めてピンスポットを使ってないんです。それは別に主張することじゃないか。
無理やり答えを出さずに、答えを出さないという答えを確かめ合える座組です。9年前に青山円形劇場で演出した時に「彼にはまだ円形劇場は早い」と言われたことは忘れられないけれど、あの時以来の海外戯曲。でも今、劇を届ける自信があるのは、あの時よりも周りの顔つきが見られているから。マスクで顔わからないけど。まだ実感は追いついてないけど。ゴジゲン的には、目次がどう立ち向かうのかもポイントです!
戯曲の危うさ、小劇場の泥臭さ、スタッフによる繊細さによって、面白い作品ができていると思っています。
無事に幕をあけて、最後まで無事に走り抜けて、見にきた人も全員無事であってほしいです。"生きたい"と思う劇です、なにより生きていてください。劇場のガイドラインに則って、健康にお越しくださいませ!


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砂の女メインビジュアル.png2020年、劇作家・演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下KERA)と女優・緒川たまきが結成した演劇ユニット「ケムリ研究室」。
2020年の旗揚げ公演『ベイジルタウンの女神』に続き、2021年8月22日にシアタートラムで開幕し、9月10日兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールで無事大千穐楽を迎えた第二回公演『砂の女』。
緊急事態宣言の影響を受け売り止めとなり、カンパニーの、「チケットをご購入いただけなかったお客様、感染拡大下でご来場を断念されたお客様にご覧いただく機会を」という思いから、オンデマンド配信が決定した。


舞台『砂の女』は、安部公房の傑作小説「砂の女」を原作とし、KERAが上演台本と演出を担当した。砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、村人の誘いで案内された砂に埋もれゆく家に閉じ込められる。その家には寡婦が一人住んでいた...。一見奇想天外な設定でありながら、普遍的でリアルな肌触りを持つ稀代の名作の舞台化は、上演前から注目を集め、その注目は評判へと繋がった。
緒川たまき、仲村トオル、オクイシュージ、武谷公雄、吉増裕士、廣川三憲、といった実力派キャストの力演により作り上げられる密度の濃い空間、そして音楽・演奏の上野洋子の眩惑的なインプロビゼーション、小野寺修二の物語に溶け入るステージング、美術・加藤ちかの生み出す圧倒的な砂の世界、映像・上田大樹の肌に迫るような映像表現...。全てが緻密に織り上げられた総合芸術は、各新聞評やSNSなどを通じ、瞬く間に大きな話題となった。

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撮影:引地信彦

全国各地の演劇ファンが、この"研究室"の挑戦的で実験的なコラボレーションを逃さず体感できる絶好の機会だ。

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ケムリ研究室no.2 『砂の女』  オンデマンド配信
<配信期間>9/30(木) 10 :00 配信開始 (10/6(水)23:59までアーカイブ有り)
<配信元> 「PIA LIVE STREAM」(チケットぴあ)にて配信 
<チケット料金> 3,500円
<チケット発売期間> 9月11日(土)10:00 ~ 10月6日(水)21:00販売
<チケット取り扱い> チケットぴあ https://w.pia.jp/t/sunanoonna/
※ 配信される舞台映像は、シアタートラムにて収録された映像を配信用に編集した"配信限定編集版"となります。
 詳細:キューブオフィシャルサイト https://www.cubeinc.co.jp
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<公演概要>
ケムリ研究室no.2 『砂の女』 
原作:安部公房
上演台本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
音楽・演奏:上野洋子  振付:小野寺修二 
出演:
緒川たまき
仲村トオル
オクイシュージ
武谷公雄
吉増裕士
廣川三憲

【東京公演】2021年8月22日(日)〜9月5日(日) シアタートラム
【兵庫公演】2021年9月9日(木)〜9月10日(金) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
企画・製作=キューブ

<ケムリ研究室とは?>
劇作家、演出家、音楽家のケラリーノ・サンドロヴィッチと女優・緒川たまきが2020年に始動させた演劇ユニット。企画、キャスティング他、多くのパートを二人三脚で担う。旗揚げ公演は同年9月『ベイジルタウンの女神』(世田谷パブリックシアター他)。本作『砂の女』は第二回公演にあたる

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気鋭の劇作家・演出家の加藤拓也と15名の多彩なキャスト陣による安部公房の傑作戯曲「友達」の上演が、9月3日(金)に新国立劇場小劇場(東京)にて開幕した。

写真提供:シス・カンパニー

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原作は戦後日本を代表する作家の一人であり、「シュールで不条理」が代名詞の作家・安部公房の戯曲「友達」。その傑作に対して、演劇と映像の両分野で新世代を代表し、常に心をザワつかせる世界観を提示してきた加藤拓也が演出と上演台本を手がける本作。特異で不思議で可笑しな関係性を演じる15名の役者陣にもまさに心がザワつく驚きの顔ぶれがそろった。

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不条理な状況に追い込まれていく「男」を演じる鈴木浩介に迫るのは、安部公房スタジオ出身の祖母:浅野和之を筆頭に、父母:山崎一キムラ緑子、3人兄弟・3人姉妹(林遣都岩男海史大窪人衛富山えり子有村架純伊原六花)の9人家族。そこに、内藤裕志長友郁真手塚祐介西尾まり鷲尾真知子がさらに加わる。

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~INTRODUCTION~
ある夜、ひとりの男(鈴木浩介)の日常に忍び寄る、見知らぬ「9人家族」の足音。
祖母(浅野和之)、父母(山崎一・キムラ緑子)、3人兄弟(林遣都・岩男海史・大窪人衛)、3人姉妹(富山えり子・有村架純・伊原六花)から成る9人家族は、それぞれに親しげな笑みを浮かべ、口々に隣人愛を唱えながら、あっという間に男の部屋を占拠してしまう。何が何だかわからないまま、管理人(鷲尾真知子)、警官(長友郁真・手塚祐介)、婚約者(西尾まり)、弁護士(内藤裕志)と、次々に助けを求め、この不条理な状況説明を試みるが埒があかない。しかも、彼らは、どんどん「家族の論理」に加勢していく流れに...。一体、この「9人家族」の目的は何なのか? どこからが日常で、どこからが非日常なのか? この男を待ち受けるのは、悲劇なのか、はたまた救済なのか?

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和やかで楽しそうに響くタイトルとは裏腹に、足を踏み入れれば、どこか怖いような滑稽なような不思議な別空間が・・・。
初日をむかえるにあたりキャストを代表して、鈴木浩介・山崎一・林遣都・有村架純の4名のコメントが届いた。

【男:鈴木浩介 コメント】
この戯曲は、僕がかつて所属していた劇団青年座で初演された伝説的な戯曲です。今、こうして「男」という役を演じる機会をいただけるなんて、不思議なご縁を感じています。安部公房作品は初めてですが、演出の加藤拓也さん、共演の皆さんと、とにかくいつ初日が来てもいいくらいの覚悟で、練りに練り、深めに深め、稽古を進めてきました。
男の日常があっという間に侵食されていく物語は怖いけれど怖すぎて笑えます。是非笑いながら観ていただきたいですね。

【父:山崎一 コメント】
もともと別役実さんが大好きで不条理劇には長く親しんできましたが、安部公房作品は僕にとっては全く質感が違うもの。
そこに、初めてご一緒する加藤拓也さんの視点を通して作られたこの世界観です。
加藤さんの稽古の進め方から言葉、指示に至るまで初めてのことばかりの稽古場でした。
この新世代の"得体の知れなさ"に出会えたこと、探求できたことに、ずっとワクワクし続けている自分がいます!
是非、お楽しみください!

【長男:林遣都 コメント】
舞台は、僕にとっての鍛錬の場です。そして、稽古は自分の余計な部分を削ぎ落し、時間をかけて芝居を追究できる大好きな場所なんです。今回の作品は、自分の価値観とは違う次元で生きている役で、加藤さんは自分では到底到達できない視点を提示してくださいました。ずっと頭を働かせ、神経を張り詰めて稽古をしてきて、気が付くと1日が終わっている感覚でした。それが何よりも楽しくて、役にも戯曲にも発見がとても多く、それをきちんと自分の身に落とし込んで、毎日の本番に臨みたいと思っています。

【次女:有村架純 コメント】
安部公房さんの戯曲が演出家の加藤さんの手によって文字に起こされ、何度台本を読んでも、私の頭だけでは到底理解には辿り着けないだろうと思いながらの稽古でしたが、そんな時間も心底楽しく、カンパニーの皆様と一緒に、無事に初日を迎えました。
とても幸せです。男と9人の家族による、正義の分断、正義のぶつかり合い。お客様が観劇し終わったあと、心に残るものがどんなものなのかとても気になりますが、是非余韻に浸っていただけたら、と思います。カンパニーの皆様全員で完走します!

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<公演情報>
【東京公演】
2021年9月3日(金)~26日(日)
新国立劇場小劇場

【大阪公演】
2021年10月2日(土)~10日(日)
サンケイホールブリーゼ

作:安部公房
演出・上演台本:加藤拓也
出演:鈴木浩介 浅野和之 山崎一 キムラ緑子 林遣都 岩男海史 大窪人衛 富山えり子 有村架純 伊原六花 西尾まり 内藤裕志 長友郁真 手塚祐介 鷲尾真知子

お問合せ:シス・カンパニー
03-5423-5906 (営業時間 平日11:00~19:00)

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小劇場ミュージカルとして絶大な人気を誇るミュージカル『SMOKE』が、8月28日(土)、東京・浅草九劇で開幕した。韓国で誕生し、日本では2018年に初演。3人の俳優のみで、ひとりの天才詩人の苦悩と葛藤をドラマチックに描き出すミュージカルだ。上演を重ねるごとに"愛煙家"と呼ばれる熱狂的なファンを生みだし、今回で四演目となる。初演からのキャストである大山真志池田有希子に加え、8名の新キャストが加わり計10人の俳優たちが挑んでいる2021年版の観劇レポートを記す。

物語はふたりの青年・超(チョ)と海(ヘ)が、三越デパートの令嬢だという紅(ホン)を誘拐してくるところから始まる。身代金を得て、まだ行ったことのない海を見に行くのだと。しかし目隠しを外された紅は、海を見て、懐かしそうな表情を浮かべた。彼らは知り合いだったのか......? サスペンスのように始まったミステリアスな物語は、予想のつかない展開へ。やがて、自分の才能に絶望し、苦悩し、その中でもひと筋の光を掴もうとするひとりの天才詩人の内面が浮かび上がっていく。モチーフは、20世紀初頭に生きた韓国の詩人、李箱(イ・サン)の遺した詩と彼の人生。文学的奥深さと、激しい感情のキャッチボールが同居する作品を、3人のキャストが時に激情をぶつけ合い、時に仕掛け合い、時に寄り添い紡ぎ出していく。

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超役は大山真志、東山光明、伊藤裕一、山田元の4名。兄貴分的存在で、常に何かに苛立っているような役柄だ。大山の超は低く深い声と大きな存在感で頼りがいのある、しかし暗い道をひとりで突き進んでいくような孤独も感じさせる超だ。もしかしたらこの『SMOKE』という作品を初演から引っ張ってきたトップランナー・大山の孤高の戦いが役柄に反映されているのかもしれない、そう思わせるストイックさが魅力だ。東山が見せたのは鋭角的な超だ。だがその荒々しさは怯えからきているような心許なさがあり、ひどく悲しい。主に小劇場で活躍する伊藤は、この情熱的で激しい作品においても細部まで無理なくナチュラルな超。ことさら自分の"個"をひけらかすことなく、素直に作品と向き合った思われる役作りで、物語の中に息づいている。ミュージカル2作品目ながら安定した歌声を聴かせてくれたのも頼もしい限り。そしてパブリックイメージでは柔らかなイメージを持つ俳優である山田が、4人の中で最も猛々しい超を作り出していたのも面白い。激しさゆえ、絶望の深さも際立つような超だった。

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27歳だが精神は14歳で止まっている少年、海役を務めるのは大山真志、内海啓貴、中村翼の3名。超と2役演じる大山の海は、日本初演から磨き続けてきた海役のまさに集大成と言えそうなパフォーマンス。特に終盤、物語の全貌が見えてからの演技は圧巻で、劇場全体が彼の内面世界に飲み込まれてしまったかのようだった。内海は少年性の強い海であどけなさが可愛らしい。だが後半、自身の記憶を取り戻してからの表情が冷え冷えとしていて、そのギャップが面白かった。中村も幼さが全面に押し出されている海だが、内海とは違いずいぶん超への依存度が高そうな繊細さが印象的。まだ大学生とのことだが、素直で伸びのある歌声もいい。物語の要である海を、3人がまったく異なるアプローチで作り上げているため、作品自体のカラーが海の役者によって全く変わってくるのも見ごたえがある。

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紅役は池田有希子、木村花代、井手口帆夏、皆本麻帆の4名。世代の違う4人が配役されたが、いずれも美しく強く、ミステリアスな女性を作り上げ中ている。韓国産ミュージカルの特性であるアップダウンの激しい感情を、しかしナチュラルに自由に見せられる稀有な女優である池田は、3度目の『SMOKE』でもハッとさせられるほど新鮮。特に今回は、"恋しい"という感情を通奏低音として流しているように見え、ひとつ物語に揺るぎない芯が通った感。木村の紅には"切なさ"が常に漂う。もともとの彼女の魅力である柔らかさと相まって、台詞にあるように海のような紅だ。また、高音も低音も自在の歌唱力も圧巻だった。面白かったのは皆本の紅だ。もともとコケティッシュな魅力のある女優だが、"夢の女"といった風情の、どこからやってきたかもわからない不思議な浮遊感。様々な女優が演じてきた紅だが、確実に新しく、そして目が離せない紅だった。そして、これがデビューとなる井手口。フレッシュさはもちろんのこと、まぶしいほどの透明感だ。大切にしたかった、守りたかった純粋な心の欠片がそのまま具現化したかのようで、新鮮でありながらも、ある意味この作品のテーマをど真ん中を突いているのでは、と思わせる紅になっていた。歌声も美しく、これからのミュージカル界での活躍も大いに期待できる。

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......と、駆け足でそれぞれの役柄の印象を述べたが、もちろん組み合わせによってもどんどんその印象を変えていくに違いない。例えば今回見た大山・超と池田・紅の組み合わせは、長年本作に関わっているふたりなだけあって、ののしりあっていても、その息の合いっぷりからどこか共犯者めいた空気が出てくるのが面白かったが、同じシーンを頑なさを強く感じた山田・超と、その場でどんどん感情を変えていく池田・紅がぶつかったらどうなるだろう? というような興味もムクムクと沸いてきた。今回は36通りのキャストの組み合わせがあるとか。自分だけのお気に入りの『SMOKE』を見つけるのも楽しみのひとつかもしれない。

演出についても特筆したい。今まで浅草九劇では四方を客席で囲ったセンターステージで上演、観客の眼前に俳優がいる緊密さ、迫力も話題のひとつだった。今回はコロナ禍もあり物理的"密"は避け、三方囲み、ステージは特殊フィルムとビニールシートで囲まれた。しかし"囲まれた"ことを利用し、ステージを煙で満たしたり、特殊フィルムを駆使しあえて観客の視界を遮り想像力に委ねたりと、現状を逆手にとった演出の巧みさが見事。時に光の加減でスクリーンやビニールシートに俳優の姿が反射し鏡のようになるなど、作品の内容ともリンクし、面白い効果が生まれた。何よりも3人ずつの俳優たちが相手役と息を合わせ、心情で"密"な作品を作り上げている。これまで『SMOKE』を何度も観ている人にとっても、また新しい『SMOKE』になっているはずだ。

公演は10月3日(日)まで浅草九劇にて。その後10月15日(金)から17日(日)にかけ、大阪・シアタードラマシティでも上演される。9月3日(金)19:00、9月6日(月)19:00公演はライブ配信も決定。公演・配信チケットは発売中。(取材・文:平野祥恵)

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Diverse Theaterとは、Diverse(多様さ)をかかげ、ワタナベエンターテインメントが新たに立ち上げた様々なクリエーター、プロデューサーとのコラボレーションにより、演劇の可能性を拡げる実験的な新プロジェクトです。この第1弾となるDiverse Theater『物理学者たち』では、スイスを代表する劇作・小説家・推理作家のフリードリヒ・デュレンマットによる二幕の喜劇を、ノゾエ征爾さんが上演台本・演出を手掛けます。出演は草刈民代温水洋一入江雅人中山祐一朗坪倉由幸(我が家)ほか。
今回は、その作品解説が到着しましたのでお届けします!

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3人の物理学者と3つの殺人事件、彼らが抱える真実とは?

物語の舞台は、サナトリウム「桜の園」の精神病棟。そこに入所する3人の核物理学者、自称ニュートン(温水洋一)、自称アインシュタイン(中山祐一朗)、「ソロモン王が自分のところに現れた」と言うメービウス(入江雅人)。彼らは本当の狂人なのか?
このサナトリウムで若い看護婦が絞殺された。犯人は"アインシュタイン"を名乗る患者。ここでは3カ月前にも看護婦が殺害されていた。院長のマティルデ・フォン・ツアーント(草刈民代)は放射性物質が物理学者である彼らの脳を変質させた結果、常軌を逸した行動を起こさせたのではないかと疑っていると言う。そして第三の殺人事件が起き、やがて彼らがなぜこのサナトリウムにいるのかが解き明かされていく・・・。

草刈民代が新たな役に挑戦!笑いと悲哀とサスペンスの渦

永遠の白衣をまとった地元名門の出であり、その最後の末裔であるマティルデ・フォン・ツアーント院長。ト書きでは"背中の曲がった老嬢"と書かれている役に、元バレエダンサーで清廉なイメージを持つ女優・草刈民代が挑戦します。"グロテスクな誇張"という文体表現を得意とするデュレンマットの歪んだ世界で、底知れぬ恐ろしさを造形していく草刈民代は見逃せません!

60年を経た今でも色褪せない戯曲は私たちの心にどう突き刺さるか?

2011年の福島第一原子力発電所事故の傷が未だ癒えない日本を生きる私たちに、この作品はどのように映るのでしょうか?
デュレンマットは「物理学者が今日の世界でどのような行動をとるべきか?」という問いを容赦なく観客に投げかけてきます。
では彼ら物理学者たちはどうすれば良かったのか? その迷宮の出口を見つけ、この負の連鎖からいかに脱するかは、私たち自身がこれから考えるべきことなのでしょう。


作品解説/翻訳 山本佳樹

スイスの劇作家フリードリヒ・デュレンマット(1921-1990)の代表作『物理学者たち』は、冷戦下の1961年、核戦争の危機のなかで書かれ、世界の劇場で大ヒットを収めました。近年では、福島原発事故の後、ドイツ語圏を中心にリバイバル上演が盛んに行なわれました。物語は精神病院を舞台とし、ある殺人事件を発端に、科学者の責任が問われていきます。
世界の秩序が失われた現代に悲劇は存在しえないと考えていたデュレンマットは、この作品を「喜劇」として構想しました。前半からジャブのように繰りだされる笑いの数々。第二幕に入って大きなアッパーカット。なんとか身をかわしたかと思ったとき、まさに笑うしかないような最悪な結末でとどめをさされます。
登場人物の性格の誇張や設定の抽象性もデュレンマットの戯曲の特徴であり、それは寓意的で普遍的な世界像と表裏一体をなしています。

『物理学者たち』が書かれた時代の脅威が核戦争だったとすれば、2021年のそれはずばりパンデミックでしょう。デュレンマット生誕100年となる本年、パンデミックのなかを生きる私たちの前に『物理学者たち』が予言劇のようによみがえり、その比喩の力で私たちの心を揺さぶってくれるものと期待しています。

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<公演情報>
ワタナベエンターテインメントDiverse Theater
『物理学者たち』
2021年9月19日(日)~26日(日)
本多劇場

作 フリードリヒ・デュレンマット
翻訳 山本佳樹
上演台本・演出 ノゾエ征爾
プロデューサー 渡辺ミキ・綿貫 凜

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中川晃教がアメリカン・ハイスクールの先生になって、音楽の素晴らしさを実技たっぷりに解説!? なんとも楽しそうなステージ『SCORE!!〜Musical High School〜』が7月24日、25日に明治座で開催される。ミュージカルのみならず演歌やポップス、アニメソングまで披露されるというこの舞台、生徒役には石川由依、上口耕平、おばたのお兄さん、佐藤友祐、徳永ゆうき、夢咲ねねと多彩なジャンルで活躍する面々が揃い、特別講師には坂元健児が参戦。音楽好き、ミュージカル好きにはたまらないステージになりそうだが、本作のみどころについて、《先生》中川晃教《特別講師》坂元健児《学級委員長》上口耕平に語ってもらった。

----どんなステージになるのか予想がつきません。台本もあるとのことですが、ミュージカルなのでしょうか、コンサートなのでしょうか。《先生》役の中川さん、教えてください!

中川 どちらでもあり、どちらでもないというところでしょうか。二部構成で、一部は私が先生役で生徒役の皆さんとの関係性の中、授業を行い、ミュージカルの面白さを届けていく。しっかりとしたシナリオがあり、今そこに、稽古をしていて、それぞれの人の個性が上乗せされつつあるところです。二部は一転してショータイムで、皆さんの持つ素晴らしさが存分にお客さまに伝わるような内容なのですが、ある意味一部で学んだことの回収が二部であったり......というようなところもあります。シナリオはちゃんとあるのですが、稽古ですでに、いただいた台本の上に自分の手書きの台本を用意されている方も......(と坂元さんに視線を送る)。
坂元 ははは!
中川 一方でこちらは完全に台詞を入れてきていて......(と上口さんに視線を送る)。
上口 僕は台本に忠実にやるタイプですから。
坂元 でももともと台詞どおりに言っていいという台本ではないんですよ。僕が勝手に変えたみたいに思われたら困ります(笑)。
上口 僕も最初は忠実にトライして、そこから膨らませていくのが大好き。どんどん広がっていきそうで、最高ですね!

『反応工程』稽古場レポート

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新国立劇場が、全キャストをオーディションで選考し、上演するという企画で昨年、コロナ禍により上演が中止となった千葉哲也演出による『反応工程』が、全キャスト・スタッフが再結集して7月12日より上演される。昨年の中止決定前に行われた通し稽古の模様をつづったレポートを再掲する。

『反応工程』は、学徒動員された経験を持つ宮本研が、自らの経験をもとに執筆した作品。終戦間際の九州の軍需工場で働く動員された学生たちや古株の工員らの人間模様が描き出される。

昨年の4月9日に幕を開ける予定だった本作だが、新型コロナウイルスの感染拡大によりまず4月12日までの公演の中止が決定。さらにその後、緊急事態宣言の発出を受け、全日程の中止が発表された。この通し稽古が行われたのは、全日程の中止が発表される前の3月下旬。そのため、まだマスク無しでの稽古だった。先行きの不透明な状況の中でも、キャスト陣14人は約1500通もの応募者の中からオーディションを経て役を勝ちとっただけあって、意気消沈するどころか、高いモチベーションと集中力を持って稽古に臨んでおり、1ステージも無駄にすまいという強い思いが伝わってくる。

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もともとは染色工場だったが、現在はロケット砲の推進薬を作っている軍需工場という設定で、工場へとつながる休憩室、仮眠室のあるスペースで展開。奥の柱には「火気厳禁」「生産増強」などと書かれた貼り紙が見える。 戦時中であり、若き学生たちが兵器を作る工場への動員を余儀なくされるという非常事態の中にあって、それでもここで主に描かれるのは、彼らの日常である。若者たちは奇妙なほど明るいテンションで日本の勝利を信じ、仕事に励み、酒を飲み、召集を受けた者にも明るく「おめでとう」という祝福の言葉を送るが、そこにはどこか虚しさが伴う...。

"反応工程"という言葉は、ロケットの推進薬を作るプロセス、原料となる薬品が混ざり合い、化学変化を起こしていく過程のことを指しているが、若き学生たちと昔ながらのベテランの職工たち、経営陣、女学生、憲兵など、立場もこれまで歩んできた道のりも思想も異なる者たちが混ざり合い、影響し合っていくさまこそ、まさに"反応工程"と言える。

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もちろん、単なる日常のみが描き出されるわけではない。学生のひとり・影山は軍からの招集を拒んで逃げ出す。同じく学生の田宮は、勤労課の年上の職員・太宰から"禁書"とされているレーニンの著書を渡され、その影響を受けて戦争や正義、国家、そして自分自身に対しての迷いや揺らぎを感じ始める...。

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戦時中、しかも終戦間際の特殊な状況を描きつつも、現代を生きる我々に深く問いかけるようなセリフややりとりも劇中、多く見られる。印象的なのが、禁書を持っていた田宮を教師・清原ら大人たちが見咎め、なんとか穏便に事態を収めようとするシーン。清原は「今はこういう時代」であり「国という一つの全体が激しい力でどんどん変っている。......というより、一つの力でぐんぐん前に進んでいる」のであり、そうした状況にあっては、全体の意思や秩序の下で、個人が制約を受けるのはやむをえないと説き、「制約なり規律なりを、むしろ、積極的に受取ってゆく。......つまり、そういった制約の中でこそ自分を生かしてゆこうという、積極的な身構えが必要だと思うんだ」とまで言い放つ。

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教師のそんな言葉に激しく反発する田宮だが、彼もまた心の中に激しい葛藤を抱いている。彼に禁書であるレーニンの本を渡した太宰は冷静に「日本は敗ける」と語るが、田宮はその言葉を理屈の上では理解しつつも受け入れられない。「明日を見る」と諭すように語る太宰に対し「今日しかない」と叫ぶ田宮...。

物語が始まるのは1945年8月5日。そこから日々、工程が少しずつ進んでいく様子が描かれるが、芝居を見ている我々は、黒板に書かれた日付を見つつ「あと何日で終戦」と頭の中に浮かべる。だが当然ながら、劇中を生きる彼らは、そんなことは知る由もない。いや、その日が近いことは皆がどこかで感じているのかもしれないが、そんな日が来ることが信じられずに今日を生きている。

それは、いつの日か危機的な事態が収束するであろうことを願い、信じつつも、それがいつになるのか見えずに不安を抱え、大切な人々のことを案じる、いま現在の我々の社会とも重なる。

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最終第四幕では、少し時間を置いた戦後が描かれる。第三幕までの数日を生きのび、終戦をまたいだ若者、そして大人たちがどう変化し、戦中の時間をどのように受け止めているのか? 最後までじっくりと見届けてほしい。

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『反応工程』は新国立劇場にて7月12日より上演

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