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2013年に初演され、人気を博したジェットコースターサスペンス「WORLD」!その第三弾となる「WORLD」~Change the Sky~が今月6月27日(日)から開幕します

今回の上演にあたって稽古場からキャストの皆さんからのメッセージが届きました!

早速ですが、第1回目にメッセージを寄せていただいたのは、、、

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校條拳太朗さん!
今回、主役の三上龍司役を演じる校條さんにお聞きしました!

――Q1. 舞台「WORLD~Change The Sky~」の魅力・見どころを教えてください。

この作品は様々な登場人物の側面が描かれているので、見る度に寄り添う登場人物を変えれば見え方も変わる、そんな楽しみ方が出来る作品だと思います。
世の中にある「真実」とされる物が本当に真実なのか、そんな事も改めて考えられるのではないでしょうか。

――Q2. ご自身の役どころ・キャラクター・お客様に注目いただきたいシーンなどあれば教えてください。

三上龍司は18年前に起きた事件がきっかけで、消えることのない強い思いを抱いています。
この思いが愛に見えるのか、憎悪に見えるのか、また別のものにみえるのか、皆さん次第だと思います。そんな強い思いの先にある物を見る、龍司が普段と違う顔をするシーンは是非注目して頂きたいです。

――Q3. 稽古をしてみて感じること、稽古中のエピソード等を教えてください。

作品柄的にもシリアスな空気感の稽古場(勝手な想像)だと思っていたんですが、、、凄く賑やかな現場でした!笑
芝居中以外は笑顔で溢れています!

―― 読者の方へメッセージをお願いします!

ひとつの事件をきっかけに、強い愛に縛られた人間たちの生き様が描かれています。すぐ側にあるかもしれないお話。
ぜひこのスリルを劇場でご覧下さい。


以上、校條さんありがとうございました!
今後もキャストの皆さんからのメッセージをどんどんお伝えしてまいりますので、どうぞお楽しみに!



<公演情報>
「WORLD」~Change the Sky~
公演期間:6月27日(日)~7月4日(日)
会場:なかのZERO 大ホール (東京都)
チケット料金:全席指定 9800円(税込)
お問合せ先: サンライズプロモーション東京:0570-00-3337

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長年愛され続けているNHK Eテレの人気子ども番組「天才てれびくん」舞台化第2弾『天才てれびくん the STAGE~バック・トゥ・ザ・ジャングル~』が、2021年6月21日(月)にいよいよ開幕します(当初、6月19日(土)開幕予定でしたが緊急事態宣言により6月19日(土)・20日(日)の2日間は公演中止)。開幕を控え、今回は主演・矢部昌暉さんのインタビューをお届けします。

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◇台本を読んだ時の印象はどうでしたか?

コロナで色々と規制されている世の中で、「今、やる意味がある作品だな」と強く感じました。娯楽がテーマですが、「本当に娯楽は必要なのか?」、「娯楽の重要性」というものをわかりやすく描いてるので、子どもが観ても楽しめると思いますし、大人の方が観てもたくさんのことを感じてもらえる作品だと思います。

◇ご本人役ですが、役作りはどのようにしていますか?

自分役っていうのは、難しいですよね。でも、演出の小林さんとお話しさせていただいたときに、「みんなのパーソナルな部分をどんどん出していくような演出をしたい。」とおっしゃっていたので、キャラクターを作るというよりかは、"素の自分"に近い感じで演じていいのかなと考えています。ただ、僕はすごく人見知りなので、そこは直していきたいですね。今回は座長ですし、みんなとコミュニケーションをとって、引っ張っていけるように頑張りたいです。

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◇ビジュアル撮影はどうでしたか?

タイムスリップをして落ちていくイメージだったので、椅子に座って、「ワー!」という感じで撮影をしました。足を上げていますし、何度も撮りなおしたので、ものすごく腹筋を使いました(笑)。

◇作中でもタイムスリップをするようですが、実際に行ってみたい時代はありますか?

歴史がすごく好きなので、織田信長が生きていた時代に行ってみたいです。 武将たちの会談はどんな感じだったのかなっていうのも気になりますし、実際に会ってみたいですね。

◇最後に、どんな作品にしていきたいですか?

僕にとって「天才てれびくん」は原点なんです。だから、そこに帰ってこれた喜びもありますし、その当時を知っているスタッフの方や視聴者の方に、「矢部昌暉、成長したな!」って思ってもらえたら嬉しいです。もちろん、子どもたちにも楽しんでもらいたいですし、「てれび戦士ってカッコいいな!」思ってもらえる作品にしていきたいです。あとは、みんなで笑いあえる楽しい空気を作れるように、座長としてしっかりとみんなを引っ張っていきたいです。



公演情報
「天才てれびくん the STAGE ~バック・トゥ・ザ・ジャングル~」

<東京公演>
公演日程:2021年6月19日(土)~6月26日(土)
 ※6月19日(土)・20日(日)は緊急事態宣言により公演中止。
会場:渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール
チケット料金(税込)
・全席指定:8,500円
・U22チケット:3,000円(当日引換券)

<大阪公演>
公演日程:2021年7月10日(土)~7月11日(日)
会場:COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
チケット料金(税込)
・全席指定:8,500円
・U22チケット:3,000円(当日引換券)

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日本で一番上演されている戯曲と呼ばれている『楽屋―流れ去るものはやがてなつかしき―』
チェーホフの『かもめ』を上演中の劇場の楽屋で交わされる、女優4人の会話劇だ。
これまで数多の女優たちが挑んできたこの名作に、彩吹真央大月さゆ小野妃香里木村花代という実力派女優たちが挑む。
4人がいま感じている、本作の魅力とは......。

――皆さん主にミュージカルを主戦場にしていらして、共演経験もあるかと思います。勝手に「仲良し4人組」という印象があるのですが、ご自分たちはこの4人で『楽屋』を、と聞いた時はどう思いましたか。

木村「私は実は、皆さんとお芝居で絡むのは初めてで。ゆみこさん(彩吹)とさゆちゃんは事務所が一緒で、コンサートでゆみこさんとデュエットしたりということはあるのですがお芝居での共演はなく、さゆちゃんとは初めましてに近い。ひーさん(小野)とは本当に初めましてですし」
小野「私はこのお話をいただいてびっくりしました。花代さんとは初めてなのですが、実はこのコロナ禍下で、おふたり(彩吹・大月)と何かやりたいなと思っていたんです。そうしたらふたりの名前があったので「うそーん!」と(笑)」
彩吹「ひーさんが引き寄せちゃったんだね」
大月「私も意外で、びっくりドンキーでした(笑)」

――お稽古場はどんな雰囲気ですか?

木村「楽しいですよ」
小野「楽しいですよね。お芝居させてもらえることが、楽しい」
彩吹「私も、久しぶりに濃密な芝居なので。創作していく過程が好きなので、稽古場で"蓄積"(※劇中のセリフの引用です)されていく感じが肌で感じられて楽しいなって毎日思います」
小野「共演者に対しての信頼感がありますしね」
木村「ひーさんは、笑いすぎ! いつも変なところで笑いだすんですよ」
大月「よく震えていますよね。ゲラですか?」
小野「ゲラ。何でもないところでハマっちゃう。いまマスクしているからちょっとのことじゃバレないかなと思っているんだけど、マスクとるのが怖いくらい(笑)」
彩吹「私はそれを前から見ていて「ひーさんはどこにツボったんだ...」と詮索しています」
小野「何で笑ってるんだろうね。たいてい自分自身に対して笑っちゃってるかも。なんでこんな言い方したんだろう! とか」

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数多くのカンパニーで上演され、「日本で最も上演されている戯曲」とも言われる清水邦夫の『楽屋―流れ去るものはやがてなつかしき―』の上演歴に、新たな1ページが加わる。彩吹真央、大月さゆ、小野妃香里、木村花代。いずれも主にミュージカル界で活躍、実力派として知られる彼女らが紡ぐ『楽屋』はどんな舞台になるのだろう? 5月末、その稽古場を取材した。

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稽古場に入ると、まだ稽古開始時間になっていないようで、4人が思い思いに柔軟をしたり、台本を確認したりしている。4人の人柄か、落ち着いた、柔らかな空気が漂う稽古場だ。ディスタンスを保ちつつ交わす会話のトーンも和やか。そんな中で、演出・稲葉賀恵が立ち上がり、稽古がスタートした。

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物語の舞台となるのはチェーホフの『かもめ』を上演中の劇場の楽屋。部屋の主は、ヒロイン・ニーナを演じている女優C。ただし、この楽屋の"住人"は彼女だけではない。すでにこの世にはいない女優A、女優Bがなぜか居付いて、Cにちょっかいを出したりしている。この日の稽古はちょうど物語中盤あたり。Cの元プロンプターで、体調を崩し現場を離れていた女優Dが現れたことで、Cのイライラが頂点に達している場面だ。

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「(アクションを)考えてきました」と、稲葉。アクティブな場面にしたいようで「ティッシュを投げたい」「ここでもう一個」と動きをつけていく。女優Cを演じるのは彩吹。「これを投げる心理としては......」と稲葉に相談しつつ、動きを身体に入れていく。稽古の進行的におそらくこの場面を付けるのはこの日が初めてだと思われるが、それにしても彩吹のセリフ回しの巧みさよ。ABが見えていないCのセリフは、ほぼ"独り言"だ。それがまったく単調に聞こえず、見ていてぐいぐい惹きつけられる。

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一方で舞台をかき回していくのが女優Aと女優B。死んでもなお舞台に未練を残すふたりのやりとりの可笑しさがこの戯曲の見どころのひとつでもあるが、今回は女優Aに小野、女優Bに大月。たいていのカンパニーでは、ベテランふたりがABに配役されることが多いが、今回は最若手の大月が女優Bというのは意外なところ。しかし小野&大月コンビ、緩急のバランスがなんとも絶妙! モノに当たり散らすCが投げつけるあれこれの被害を受けるくだりの情けない表情がじわりと可笑しいのでぜひご注目を。

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そして女優Dに扮するのが木村。枕を抱えてすーっと近寄ってくるさまは、よくわからないけれどとっても"気になる"。取材している中ではセリフを発する場面はなかったが、この何とも言えない不気味さに木村の美しきソプラノボイスが合わさるといったいどうなるのか。楽しみでならない。

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稲葉は「こうと思わせて、こう見せたい。とするには、どうすればいいでしょうね?」「口紅を塗るところはキレイに見せたい。となると、場所はどこにしましょうか」といったように、ゴール地点は決め、その道筋は俳優に委ねるタイプのよう。キャストも「こういうのはアリですかね?」と積極的に意見を出し、それを見ている別のキャストが「面白い、面白い!」と反応する。どうやらこの女優たちのリアルな姿は、劇中の女優たちのドロドロした雰囲気とはほど遠そうだが、前向きで気持ちのよい稽古場で作られる彼女らの『楽屋』は、ぐんぐん面白いものに育っていきそうだ。

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公演は69()から13()まで、博品館劇場にて上演。チケットは現在発売中。

取材・文:平野祥恵
撮影:岩田えり

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日本で最も上演されている戯曲と言われている、故・清水邦夫の傑作戯曲『楽屋―流れ去るものはやがてなつかしき―』。舞台の楽屋で繰り広げられる女優4人の物語は、やはり女優たちが我が身を投影するところがあるのか、多くの演劇人に愛されてきた。この"女優4人芝居"を男優のみで上演したのが2020年1月のこと(西森英行演出。21年4月に再演)。その舞台に出演していた佐藤アツヒロが、今度は演出として手掛ける『楽屋』が5月31日(月)から東京・浅草九劇で上演される。伊勢大貴、瀬戸祐介、照井健仁、星元裕月といった若手俳優を起用し、同じくオールメールで挑む新生『楽屋』の稽古場を5月末の某日、取材した。

『かもめ』のヒロインを演じている女優Cの楽屋で繰り広げられる、ワンシチュエーションの物語。1977年初演の戯曲ということもあり、もともとは"昭和"の香りが漂う作品だが、今回の舞台セットは、革張りの椅子だったりシックな机だったり、ずいぶん、現代風だ。楽屋らしい調度品がある中で、エレキギターやら木馬といった、少し意外な小道具も。効果音も不穏な嵐の音が鳴ったりして、一風変わった『楽屋』が始まりそうな予感を漂わせている。――と、ロックなBGMの中、物語がスタート。伊勢大貴扮する女優Aと、照井健仁扮する女優Bが登場。テンション高めに化粧をしたり、カードゲームに興じたり。

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物語をどんどんかき回していくポジションであるAとB、口汚くお互いに悪態をついたり、ここにはいない女優Cの悪口を言ったりしているのだが、パワフルに動き回る伊勢と照井が可愛らしく、なんだかふたりの女優が"同志"のように見えてくる。特にやはり、西森演出版にも出演していた伊勢が、戯曲の緩急を掴んでいるようで、繰り出すセリフがリズミカルで良い。前回は最若手として女優Dを演じていたが、先輩格の女優Aをチャーミングに演じてくれそうだ。

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物語の芯を担う女優Cは瀬戸祐介。まだ稽古着ながら、黒のロングスカートにハイヒールも履き、すっと伸びた背筋に"女優感"を漂わせている。AとBに調子を狂わされ、常にイライラしている姿が、ロックテイストな佐藤演出とマッチし、空気をヒリつかせる。

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Cのプロンプターだった若手女優Dは、星元裕月。愛らしい外見と魔性めいた個性をいかんなく発揮し、Dの"不思議ちゃん"的キャラクターを造形。

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どこか宝塚歌劇めいた仕草も、妙な迫力があって印象に残った。佐藤、伊勢らが出演した西森演出版では、女優4人が密やかな宇宙を作り上げた印象だが、この佐藤演出版は、内なる衝動をストレートに外に向けているロックのような『楽屋』になりそう。全体を通したあと、佐藤も「いいと思います。このベースを守りつつ、もう少し洗練させていきましょう」と出演者たちに声をかけた。また新しい『楽屋』の魅力と出会えそうだ。

公演は5月31日(月)から6月13日(日)まで、浅草九劇にて。チケットは現在発売中。5月31日(月)18:30公演はPIA LIVE STREAMでのライブ配信も決定(アーカイブ5月31日(月)23:00まで)。

取材・文:平野祥恵
撮影・岩田えり

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DAZZLE(ダズル)新作公演『NORA(ノラ)』
公演期間:2021/6/25(金)~2021/7/4(日)
会場:あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター) (東京都)
昨年なくなく公演中止となった公演がまもなく開演!
当時のインタビューを再掲します!
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「すべてのカテゴリーに属し、属さない曖昧な眩さ」を掲げ、1996年に結成されたダンスカンパニーDAZZLE(ダズル)。ストリートダンスとコンテンポラリーダンスを融合した独自のダンススタイルを武器に、これまで数々のダンスコンクールで優勝の栄冠を獲得。さらに、ファジル国際演劇祭での審査員特別賞・舞台美術賞の二冠獲得を始め、世界の演劇祭でも受賞暦を重ねている。そんな輝かしい功績を持つDAZZLEのカンパニー結成に至った経緯から、新作公演「NORA」のみどころまで、主宰の長谷川達也さんと飯塚浩一郎さんにお話を伺った。

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─DAZZLEとはどのようなカンパニーなのでしょうか?

長谷川 今年で結成から24年目を迎えるダンスカンパニーです。元々はストリートダンスの世界で名をあげたいと思い結成したのですが、当時はストリートシーンで抜きんでた存在になるのは容易ではありませんでした。そこで、色々考えた末に独自性が重要なのではないかと思い、物語を軸にしたダンスパフォーマンスを長尺の舞台として披露するというスタイルをとるようになったんです。

─ストリートダンスを長尺の舞台で魅せるのは、かなりの挑戦だったのでは?

長谷川 そうですね。でも踊るだけではなく、音楽であるとか、ファッションや空間や照明、美術であるとか、そういった要素を組み合わせると無限に可能性は広がっていきますよね。その選択の仕方で自分たちらしさを見出していけると考えたんです。とはいえ、ストリートダンスというのは見ていて高揚感はあるものの、長尺で魅せるには難しいことは早い段階で気づきまして、コンテンポラリーダンスの芸術性を組み合わせることでそれが叶うと辿り着きました。

飯塚 僕はDAZZLEが初めて長尺の舞台公演をやるというタイミングでカンパニーに加わったのですが、一番の魅力だと感じたのはダンスに関する考え方の違いでした。ストリートダンスはダンスそのものが目的ですが、DAZZLEは踊ることによって何を伝えるかが重要なんです。その一つとして、物語のキャラクターになり、ダンスを感情表現として取り入れるというスタイルをとっているのですが、これが面白いなと。これならばダンスが好きな人だけではなく、ダンスを知らない人にも見てもらえますよね。

長谷川 そうなんです。結成当初からダンサーとしてだけではなく、アーティストとしても活動していきたいと思っていましたので、これまで通りダンスが好きな人だけに向けて踊るだけではダメだと思ったんですよ。より多くの人に共感してもらうために、ダンスを知らない人にもダンスの魅力を伝えたいという想いが強くなって、違う方向にも視野が広がっていった結果が独自性にもつながりました。

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─結成から24年が経つと、お客様にも変化があったのでは?

長谷川 そうですね。最初はダンサーに向けて踊っていましたので、お客様もダンサーがメインでした。それが今ではダンスは知らないけれど舞台は好きという方が興味を示してくださって、今ではダンスを知らない人の方が多くなりました。

飯塚 確かに、以前はダンスが上手い人の踊りが観たいという人が多かったのですが、今は自分も舞台に出たい、もしくは自分も舞台を作りたいと考えている方も多いと感じています。

─これまでにはないジャンルですから、多くの人が興味を持たれるのもわかります!

長谷川 はい。より多くの人の心が動く表現を目指して活動していますので、その思いが伝わっているのなら嬉しく思います。

─さて、3月に行われる新作「NORA」ですが、どのような舞台なのでしょうか? 

長谷川 未来の東京をイメージしたお話です。規律が厳しくなった社会構造の中で人々が抑圧されながら生きている現実世界と、それとは対極する非現実的なオンラインゲームの世界があって、その2つの世界が主軸になっています。このゲームというのが配信停止のいわくつきのゲームで、そのゲームは誰が何の目的で作ったのかという謎に迫る物語です。

─オンラインゲームをテーマにした理由は?

長谷川 僕自身がゲームが大好きということもありますが、抑圧された世の中でオンラインゲームってそれを解放できる場所なんですよ。それが面白かったり、恐ろしかったりというのを僕自身が感じていて。例えばゲームの世界なら人を殺しても、銃を打ちまくってもいいですよね。そういう本能を解放する場所というところに魅力を感じてテーマとして取り入れました。

─今回はマルチストーリーということですが、舞台で実現するというのは珍しい試みですよね?

長谷川 そうですね。僕も見たことはありません(笑)。ゲームの場合はキャラクターを人が操るわけですが、舞台の場合は人が人をコントロールします。この面白さだったり、恐ろしさを体感する中で、何か感じるものがあったら面白いかなって思って挑戦してみようと思い立ったんです。

飯塚 3年前からイマーシブシアター(体験型公演)という、建物のいたるところで演者が動き、観客もそれについてまわるという、観客と演者が一体になる作品を作ってきたのですが、舞台上でもそれに近い感覚のものが作れるとまた、舞台作品というものが新たなステージに行けるのではないかと思ったんです。一番は、観客を傍観者ではなくしたい、と思って。自分はこっちだと思うんだけど、違う選択をする人もいて、その度に自分が否定されたり肯定されたりっていう多数決の中で、観客の皆さんもきっと傷ついたりとか「あ、自分は多数派だったんだ」という思いが起こる舞台はなかなかないと思うので、今回の作品で新しい体験をしてもらえると思います。

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長谷川 前作(20周年記念公演「鱗人輪舞」)では選択は結末だけでしたが、その選択肢を増やしたのが今回の作品です。従来の舞台では主人公の選択に対して観客が干渉することはできなかったのですが、今回は観客が選んだ道に主人公が進んで行く、しかもリアルタイムに物語が変化していくというのが面白いのではないかと。ゲームなので、誤った選択をするとゲームオーバー...とまでは行きませんが、あらぬ方向に進んでいくという仕掛けがあります。

─では、エンディングもグッドエンドとバッドエンドが存在しているんですか?

長谷川 はい。いくつかの分岐点がありますので、観客の皆様の選択次第で主人公の運命が変わってしまいます。

─ますます面白そうですね!

長谷川 その分、もしかしたら選ばれないシーンもあるかもしれませんが、なんども足を運んでいただき、全てのシーンをご覧いただけると、作り手としてはそうあってほしいという思いはあります。

飯塚 でも練習は地獄です(笑)。

長谷川 練習量は倍どころではないですからね。でも挑戦には痛みが伴うものですし、それを乗り越えることで新しい表現が見つかるかもしれないし、舞台の世界の可能性が発見できると考えているんです。もし世界で初めてだったら凄いことだし価値があることですから!

─そもそも舞台鑑賞は映像作品にはない没入感が楽しめるものですが、またそれとも異質な興奮がありそうですね。観客も翻弄されるというのも是非体験してみたいです。

長谷川 ぜひ。刺激を得るというのは感覚を豊かにしていく行為ですから。例えば、動物図鑑を見るのか、実際に動物を見るのかくらいの違いがあると思うんです。動物図鑑は視覚的な情報しかないですが、実際の動物園に行くと匂いや音や温度とか色々な情報が入ってきますよね。人生を振り返って、どちらが印象に残っているかといえば、実際に動物園にいった記憶だと思うんです。それは刺激の量が多いから。

飯塚 2つは似ているけれど、全く違うものだと思います!

長谷川 今は在宅のまま楽しめるコンテンツが充実していますから、ますます舞台を観に行くハードルは上がっているとは思うんですが。そんな時に、舞台へ行く重要性、面白さというのは、人間が生で踊っていたり演じていることのエネルギーを感じたり、そういったものを刺激として得られるというのは感覚がより豊かになると思うんです。そういう意味でも価値があることだと思うので、だからこそ観に来てほしいなと思います。

─これまでの舞台でも様々な分野のゲストが出演されていますが新体操グループのBLUE TOKYOがご出演されるとのこと。コラボに至った経緯は?

長谷川 実はBLUE TOKYOの結成当社から作品の振り付けを僕が担当しているんです。以前、青森で開催された「BLUE」という新体操の舞台の演出を担当させていただいたのですが、そこで物語と新体操を掛け合わせるというおそらく世界初の試みに挑戦したことがあったんです。そこで世界最高峰の身体能力を誇る彼らの迫力と美しさを目の当たりにしまして、彼らが参加することで、例えるなら平面が立体になるくらいの変化が出てもっと面白い舞台が作れると思い、出演をお願いしました。

飯塚 僕らは振りが揃っているとか、動き自体が美しいことを考えながらダンスをしてきたんですが、彼らはまた違う形の美しさを持っていて勉強になる部分と真似できない魅力もあって。だからこそ一緒にやる価値があると思っています。

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─一見、新体操とダンスには交わりにくいものに感じるのですが、これまでの信頼関係で乗り越えるというか、融合しているところが大きいのでしょうか?

長谷川 最初に新体操と一緒にやると決まった時に、とにかく新体操の演技をたくさん観たんです。DAZZLEの舞台構成は緻密に人の配置を動かしていくのですが、そこに共通するものを感じて「あ! 合うんじゃないか!」と、すぐに感じました。実際にスタートしてみたら、彼らは演技に対する精度が物凄かったんです。僕たちはそこまでの精度のものはできないけれど、舞台に立つものとしての演じる想いは強いので、そこを融合させて、彼らが『演じる』ということを獲得したらもっと高いクオリティーの作品ができると思ったんです。

─想像ができないのでとにかく早く観たいという思いが高まりますね!

飯塚 ありがとうございます。昨年はDAZZLEで浅田真央さんのフィギュアスケートの振り付けもしたのですが、それもいい経験になりました。そもそもスポーツとダンスは身体能力の高さという点では共通していますし、今後は競技とエンターテインメントの融合というのが、もっともっと面白くなっていくんじゃないかなと思っています。

─最後に『NORA』の見所を教えてください。

長谷川 最高の身体能力を誇るBLUE TOKYOが参加してくれるというのは大きな見所の一つですし、マルチストーリーや、感情を揺さぶる物語性も見所になっています。観客の皆様の選択次第で物語が分岐していくという世界でも稀有な作品になると思うので、皆様にも、ぜひ体験していただきたいと思います!

飯塚 DAZZLEのダンスが他と違うのは、そこに伝えたい想いがあること。物語やキャラクターの感情を伝えることプラス、メンバー自身、自分に中にあるものを踊りとして表現することをすごく大事にしています。だからこそ、言葉の通じない海外でも想いが伝わっているのだと実感していますし、それが僕らの舞台の見所だと思っています。みなさんの心を動かすためにダンスしていますので、ダンスを知らない人、見たことがない人もぜひ観に来てください。

ダンスの躍動感、心を刺激するストーリー。この2つの要素が着火剤となって観るものを興奮の炎に包みこむDAZZLEの舞台。ダンスに興味がない人でも不思議と虜になってしまう魅惑的な世界観に、今回さらに新体操とマルチストーリーという要素も加わり、天井も底も見えないほどその魅力は無限大に広がっているように感じた。

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新作「NORA」は、観客をただの傍観者にさせないアグレッシブな体験型舞台。自分さえ知らなかった自分の本能があけすけになるかもしれないスリリングな経験をぜひ多くに人に味わっていただきたい。

取材・文・撮影:浅水美保

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平方元基×ウエンツ瑛士×笹本玲奈のトリプル主演で、ブロードウェイミュージカル『メリリー・ウィー・ロール・アロング』が2021年5月17日から新国立劇場・中劇場にて上演される。

merrily_cast_6_2.jpg本作は、ブロードウェイのショービジネス界を舞台に、3人の人生の遍歴を中心に現在から過去へと約20年間を遡っていく群像劇だ。

『スウィーニー・トッド』などで知られるスティーブン・ソンドハイムが作詞・作曲を手掛け、本作のメアリー役を演じ、オリヴィエ賞最優秀リバイバル賞を受賞した経験がある女優のマリア・フリードマンが演出を担う。日本では2013年に初演されており、8年ぶりの上演となるが、今回は「新演出版」という位置づけ。平方、ウエンツ、笹本のほか、昆夏美、今井清隆、朝夏まなとら実力派キャストが顔をそろえている。

今回、げきぴあでは、メインキャストの6名に、文面によるショートインタビューを実施。それぞれの役どころの見どころなどを語ってもらった。

ーーご自身の役どころについて、どんなところが見所になるか教えてください。

平方元基(作曲家・プロデューサーのフランク役):もう少し選択が早ければ、あともう少し出会うタイミングが違えば、など、考えるとキリがないほどの人生の選択。それを一つとして見誤らないで生きていくことなど誰も出来ないでしょう。彼が最後に孤独になった理由、その先にあるものは何か、是非皆様の目で確かめていただきたいです。

ウエンツ瑛士(脚本家のチャーリー役):個人の見所はどこか分かりませんが、前に進む人、とどまる人、それを引き留める人、声をかけない人、それぞれに選択の瞬間があり、それの積み重ねで生きている。そこに誰も成功や失敗のジャッジは必要ないし、見る世代などによって捉え方が変わるのが、全体の見所だと思います。

笹本玲奈(小説家・演劇評論家のメアリー役):私が演じるメアリーは小説家で、演劇評論家。かつてはベストセラー作家でした。この作品は、20年間をフランクの脳内で逆再生で振り返っていくので、シーン毎に年代や状況が変わっています。ひとつひとつの謎が解決されていく所が面白く、見どころです。

昆夏美(女優・フランクの前妻のベス役):フランクの元妻という形から登場しますが、ストーリー全体を通してベスの存在でフランクという人間がより、お客様に鮮明に映る1つになれれば嬉しいです。

今井清隆(BWプロデューサーのジョー役):若い才能を探し出して成功に導くプロデューサーの役。最終的には、自分がスターにしてやった女性に捨てられて、落ちて行くという役どころ。人生は諸行無常!人の心も運命も、常に変化を続ける......。成功したからといって良い気になるな!逆に今ダメだからといって、希望は捨てるなとも言える!

朝夏まなと(女優・フランクの妻のガッシー役):ガッシーはとてつもない野心家で強烈なキャラクターです。ほかのキャラクターの人生を引っ掻き回す竜巻のような存在なのですが、そんな彼女がどうしてそうなったのか遡っていくとわかってくる彼女の半生にも注目していただきたいです。

ーーみなさまが「なぜこうなってしまったのか?」「どこで間違えたのか?」「抗うことのできない運命だったのか?」と感じられた瞬間や出来事を教えてください

平方:役を演じているときに強く思うことがあります。普段生きていて思うこともありますが、舞台で感じるそれは、役とともに感じるので非常に強く感じることが多いです。

ウエンツ:間違えと思うことが無いです。わからないので。少なくともその瞬間は正しい選択だと思っているし、後々に「あれが間違い」と見つけるのは、相当難しいと思います。

笹本:家族には心を許しているからこそ、傷つけるような事を言ってしまったなと、あとで後悔する事は多々あります。だけど人生においては今のところ間違えたと思う事は無いと思ってます。

昆:幼い頃、両親に牛乳飲んでたくさん寝ないと大きくならないよと言われていたのに、それをしませんでした。あの時言うことを聞いていたらもうちょっとだけ背が大きくなっていたかもしれません。

今井:たまたま行った英語学校にミュージカル評論家の先生がいらっしゃって、今の職業に着いたので、運命を感じます!

朝夏:今の状況ですね。コロナがひどい世界にしてしまいました。たらればを言ったらキリがないですが一年たっても変わらない状況に悲しくなりますね。早く収束することを心から願います。



取材・文:五月女菜穂

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平方元基×ウエンツ瑛士×笹本玲奈のトリプル主演で、ブロードウェイミュージカル『メリリー・ウィー・ロール・アロング』が2021年5月17日から新国立劇場・中劇場にて上演される。

本作は、ブロードウェイのショービジネス界を舞台に、3人の人生の遍歴を中心に現在から過去へと約20年間を遡っていく群像劇。『スウィーニー・トッド』などで知られるスティーブン・ソンドハイムが作詞・作曲を手掛け、本作のメアリー役を演じ、オリヴィエ賞最優秀リバイバル賞を受賞した経験がある女優のマリア・フリードマンが演出を担う。日本では2013年に初演されており、8年ぶりの上演となるが、今回は「新演出版」という位置づけ。平方、ウエンツ、笹本のほか、昆夏美、今井清隆、朝夏まなとら実力派キャストが顔をそろえている。

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本番まで1ヶ月を切った、4月下旬。東京都内で行われている稽古場を取材した。新型コロナウイルスの感染予防対策のため、手指の消毒や検温に加え、15分ほどで結果が分かる抗原検査にて「陰性」であることを確認してから取材にあたった。出演者は歌を歌う時であっても、常時マスクを着用し、それぞれの待機場所はシートで仕切りがなされるなど、感染予防対策が徹底されていた。

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平方、ウエンツ、笹本は、意外にも初共演。全員1985年生まれの同い年で、親友同士の役柄ということもあってか、稽古の合間に「SNSで誰が一番ポエティックな投稿をできるか」を争うなど、終始、和気藹々とした雰囲気だった。

この日は、物語の後半、フランク(平方)、チャーリー(ウエンツ)、メアリー(笹本)がまだ21歳だった場面の稽古。若き希望に燃えている3人が歌う楽曲「オープニング・ドアーズ」をはじめ、畳み掛けるようなセリフとメロディの応酬が続く。ソンドハイムらしい難曲で、1つでも何かを間違えば、すべてが上手くいかなくなってしまうような、緻密さと正確さが求められる場面だが、出演者らは、とても自然に、そして、実に楽しそうに(たとえミスをしても、その失敗さえも楽しむほどの余裕を持って)稽古をしている姿が印象的だった。

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海外スタッフと、都内の稽古場をリモートでつなぎ、画面越しにやりとりをする。コロナ禍ならではの風景ではあるが、双方がこの"リモート稽古"に慣れてきたのだろう。スムーズに進行していた。特に、演出のマリアは、リモートながら時に身振り手振りを交えつつ、俳優たちの役づくりのヒントとなるような話を多く展開していた。

人生を「逆再生」で描くという斬新さもありながら、人との絆の大切さやすれ違う恋の切なさが心を打つ、普遍性もあるミュージカル。感染対策が万全にされている劇場で、心の癒しと栄養を受け取りたい。

東京公演は5月17日から31日まで。大阪公演は6月11、12日、梅田芸術劇場メインホール。チケット発売中。

取材・文・撮影:五月女菜穂

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昨年、45回の予定だった公演がわずか10回で止まってしまった時、すぐさま「再演を、リベンジ公演をやろう」と声を上げたのは渡辺謙だった。その願いが実現して4月、大階段のセットが組まれた稽古場に、総勢29名のキャストが結集。スペイン将軍ピサロに扮する渡辺とインカ王アタウアルパ役の宮沢氷魚、
そして栗原英雄、大鶴佐助、首藤康之、外山誠二、長谷川初範ら、初演をともに立ち上げた懐かしい顔が揃い、一部新メンバーを迎えての再始動である。演出席には、この状況下で幸いにも来日を果たせた演出の
ウィル・タケット、演出助手兼振付のシドニー・アファンデル=フィリップスの姿もあった。稽古場の隅々で黙々とウォーミングアップや台詞を反芻する俳優たちの様子からも、再演にかけるチーム全体の並々ならぬ熱意が伝わって来る。

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少数の兵を率いて、大国インカ帝国を征服した老将軍ピサロの物語。この日の稽古は、戦いによる大殺戮が繰り広げられた一幕ラスト、その鮮烈な余韻を残しての二幕頭からスタートした。回想する老マルティン(外山)が見つめるなか、おぞましい光景を見たことに打ちひしがれ、嘔吐する小姓マルティン(大鶴)。副隊長デ・ソト(栗原)がそんな彼を励ますところに、ピサロの一喝が刺さる。渡辺の険しい眼光、雷鳴のような一声に稽古場中の息が止まった瞬間、長身のタケットが立ち上がって芝居を止め、一気に緊張が解かれた。穏やかに、丁寧に指示するタケットを、大鶴はしっかり見つめて何度もうなずく。囚われの身となったアタウアルパとして大階段の上に座っていた宮沢が、二人の近くまで降りて来て、そのやりとりを集中して聞いていたのが印象的だった。

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続いては、ピサロが初めてアタウアルパと対話するシーンへ。黄金を与える代わりに自由の身を要求するアタウアルパと、デ・ソトの反対を押し切ってその取引に応じるピサロ。黄金よりも太陽の子アタウアルパに惹かれ始めているピサロの心の動きを、渡辺が鋭利な視線を放って豪気に、かつ俊敏に、多彩な表現で魅せていく。驚くのは宮沢が醸し出す、肝の据わった安定感だ。初演の舞台で見せた神々しいほどの立ち姿、透明感ある毅然とした美に、さらに太い芯が備わったようだ。名優・渡辺謙と対峙するに引けを取らない強靭さが頼もしく、ピサロとアタウアルパ、両者の関係から浮かび上がる人間愛のより深い哀切を期待せずにはいられない。

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 英国ロイヤルバレエ団で長く活躍したタケットが指揮する、群舞の力強くも洗練された動きにも注目だ。物語の流れに溶け込むようにして、首藤ほかキャスト陣が卓越した身体性を発揮し、場のイメージを増幅させていく。この意気あふれる稽古場の風景に、美術、衣裳、音響、照明等の効果が加わり、圧巻の歴史ドラマが再び立ち上がろうとしている。劇場でこそ味わえる演劇の力、この衝撃を、今度こそ多くの人に受け止めてもらいたい。

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▼公演情報
PARCO PRODUCE 2021『ピサロ』(原題:The Royal Hunt of The Sun)
日程:2021年5月15日(土)~6月6日(日)
会場:PARCO劇場
作:ピーター・シェーファー 
翻訳:伊丹十三 
演出:ウィル・タケット

出演:渡辺謙 
宮沢氷魚 栗原英雄 大鶴佐助 首藤康之 菊池均也
浅野雅博 窪塚俊介 小澤雄太 金井良信 下総源太朗 
竹口龍茶 松井ショウキ 薄平広樹 中西良介 渡部又吁 渡辺翔
広島光 羽鳥翔太 萩原亮介 加藤貴彦 鶴家一仁 
王下貴司 前田悟 佐藤マリン 鈴木奈菜 宝川璃緒 
外山誠二 長谷川初範

▼あらすじ

西暦1531年。齢60を超えた粗野な成り上がりの将軍ピサロは、彼の人生の最後の遠征となるインカ征服への準備を始めた。
集まった兵士は一攫千金を夢見る平民たち。
そんな傭兵を含む167名を率いて、ピサロはペルー征服へと出発した。
6週間をかけ、森をぬけ、2週間かけてアンデスを超える過酷な行軍の末に、数千人のインディオを虐殺し、自らを太陽の子と謳うインカの王アタウアルパを生け捕りにする。
ピサロは、アタウアルパを釈放する代償として、莫大な黄金を要求する。
そして、莫大な黄金を手にしたピサロとスペイン人たちは・・・・

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舞台を中心に活躍する出演者が、ソング&ダンスや芝居、タップ、ミニミュージカル、スケッチなど、エンターテインメントのあらゆる要素を詰め込んだ怒涛のジェットコースターステージを繰り広げる『CLUB SEVEN ZERO』のシリーズ3作目が2年ぶりに上演されます(※『CLUB SEVEN』は2003年から上演。2017年から『CLUB SEVEN ZERO』に)。

出演するのは、脚本・構成・演出・振付の玉野和紀と、玉野が絶大な信頼を寄せるレジェンドメンバー吉野圭吾東山義久西村直人。さらに前作から続投の大山真志、そして凰稀かなめ妃海風

今作について、玉野、吉野、東山、西村、大山の男性キャスト5人にお話をうかがいました!

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