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今年、2月に東京・新橋演舞場で上演される舞台「喜劇 お染与太郎珍道中」の製作記者発表会見が1月7日に行われた。昭和54年(1979)3月明治座にて「与太郎めおと旅」として上演された喜劇の名作を、本作では今回大劇場初進出となる寺十吾が演出する。会見には渡辺えり、八嶋智人が登壇した。

渡辺は「コロナ禍で演劇界が1年間本当に大変な思いをして我慢に我慢を重ねて年を越したからこそ、いかに演劇が大切かを再確認しました。今稽古場での毎日が改めて幸せだと思います。」と改めて演劇への熱い思いを語った。

本作の上演については「初演とは全く異なる新しい形の喜劇としてお届けできると思います。」と意気込みを示しながら、お客様にはマスクの下で泣いて、笑って観ていただきたいと語った。

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八嶋は「昨年はコロナ禍で試行錯誤の1年だったが、こうして2021年の頭に喜劇と銘打って舞台ができることは幸せです。粛々と準備をし、喜劇を『真面目に』つくっているので、それを楽しんでいただければ」と思いを述べた。

上演に際してのコロナ対策についても「劇場は人が集まっているというイメージだと思いますが、劇場の方、スタッフの方、そして今足を運んでくださるお客様含め、とても誠実で真面目に一緒に舞台をつくろうと思いが強い方が集まっているので、お客様としては劇場は安全な場所だと思います。」とコメント。

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喜劇では初共演となるお2人ですが、のお互いの印象は?という質問に対しては、渡辺が八嶋に対して「いつも一言二言、三言多い!笑」と述べると、八嶋が「余計な一言」を言う度に渡辺が「そういうこと言いなさんなって!」とつっこむ、既に息ぴったりのやり取りで会場の笑いを誘った。

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公演は2月1日(月)~2月17日(水)に東京・新橋演舞場にて上演。チケットは発売中。

【あらすじ】
江戸時代、指折りの大商人、米問屋「江戸屋」にお染(渡辺えり)という箱入り娘がいました。
久兵衛夫婦にとっては一粒種の娘で、わがまま放題に育ち過ぎてのグラマー美女に。
蝶よ花よと、金にあかせての花嫁修業、お茶にお花、お琴に三味線、踊りに料理、更に手習いにと大忙し。
ついでの事に恋の手習いにも精を出して、お出入りの大名・赤井御門守の家中での美男の若侍・島田重三郎と良い仲でした。

ところが、二人の仲を裂く悲しい出来事が起こります。
重三郎が京都藩邸へ転勤という事になったのです。
追い討ちをかけて、赤井家からお染を妾に差し出せとの無理難題を突き付けられました。

お染は、一つには赤井家から逃れるため、また一つには重三郎を追って、京へ旅立つ事になりました。
過保護で親馬鹿の久兵衛夫婦は、お染に付き人まで付けて京都に送り出す事に。
その付き人に選ばれたのが手代の与太郎(八嶋智人)、ドジで間抜けでおっちょこちょい、先輩の番頭・同僚の手代・ずっと年下の丁稚小僧まで日頃馬鹿にされている頼りない人物ながら、すこぶるつきのお人好し、無類の忠義者で、年頃の娘と一緒に旅をさせても、間違いも起こらないというのが与太郎当選の理由ですので、男としてはだらしがない話です。
もっとも久兵衛もその点は抜かりなく、出入りの鳶の者、べらぼう半次をこっそり見張り役で跡を追わせる事にしました。

かくて、お染・与太郎は表向きは夫婦という態を取り、五十三次の珍道中が始まるのですが、世間知らずの娘と頼りない手代の二人旅、騒ぎが起こらぬ訳もなくーーー。

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アメリカを代表する喜劇作家、ニール・サイモンの晩年の傑作『ローズのジレンマ』26()より東京・シアタークリエで上演される。大物女流作家ローズと、その恋人で同じく作家(ただし5年前にすでに亡くなっており"亡霊")のウォルシュ、ローズの助手アーリーン、そして売れない作家クランシー。登場人物はこの4人のみ。経済的に困窮しているローズのため、ウォルシュの未完の小説を完成させ発売しようという計画の顛末とは......

ニール・サイモンらしい、笑いとしゃれた会話の中に、じんわり人生の悲喜こもごもが浮かび上がる戯曲が、大地真央、別所哲也、神田沙也加、村井良大の出演で上演される。

小説を完成させるパートナーに選ばれた売れない作家クランシーに扮する村井良大に話を訊いた。

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◆ 村井良大 INTERVIEW ◆

―― まずは台本を読んだ感想からお伺いしたいです。

「難しいなと思ったのは、この物語はひとことで言うと何? と訊かれたら、なんて答えていいかわからないな、と。悲劇のような喜劇で、喜劇のような悲劇で......とぐるぐるしちゃう。ほぼワンシチュエーションの作品で、物語は、昔さまざまな賞を獲った大作家であるローズは最愛の恋人ウォルシュを亡くし、その亡霊が見えている。死んだウォルシュはローズがお金がないのを知っていて、なんとかまた新しく本を書いてほしい......つまり幸せになってほしいんですよね。そしてローズを支えるアーリーンがいて、僕の演じるクランシーは新しい本を書くためのゴーストライターみたいな感じでローズに呼ばれる。そこから話がどんどん膨らんでいきます。ですが、話が脱線脱線また脱線、みたいなことばかりで、しかもニール・サイモンらしいセリフ回しがあったりで、いったいこの舞台、どうやって見せていくんだろう、と僕も思っている状態です」

―― 手ごわそう?

「うーん、道筋が見えてくればスムーズにいく気はします。セットとかも手助けになると思うし。でもまだ(稽古も始まっておらず)わからないです()。あとローズのキャラクターが想像できてなくて、大作家らしい物言いもすれば、普通の価値観からくる発言もある。彼女がどういう人生を歩んできたのかが僕はまだ掴めていませんが、大地さんがローズをどう演じられるのか、今すごく興味があります。ただ、登場人物4人が4人とも変なやつばっかり、というのはありますね!」

―― どのようなところが""ですか?

「何考えてんの、って言動ばかり。ある意味人間味がある。一番まともなのはアーリーンかな。ローズも、お客さんからしたら"追いやすい"人なのですが、でも曲者。本当の気持ちはどこにあるの? という。そして人生において色々なものを見てきていないと出てこない台詞ばかり。女性の気品みたいなものがあって、大地さんはまさにお似合いなのではないでしょうか。でも、僕にローズ役が来たら難しくて「無理です」と即答しているような役柄ですよ()。」

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―― 村井さんが演じるのは売れない作家クランシーですね。

「はい。クランシーは、"今、手に入れたいもの"が明確で、比較的わかりやすい。一点集中型。髪はボサボサでヒゲも生えていて、ボロボロのスニーカーを履いていて、と見た目はすごくダメな感じで、ローズと並んだときの真逆のようなところが面白いんじゃないかなと思います。でも物書きとしての美学があるし、ちゃんとその仕事に対して愛情もある。才能のある人なんだと思います」

―― クランシーを作るにあたって、どんなところを手掛かりにしようと現時点で思っていますか。

「第一に必要なのはふてぶてしさかな。だらしなくて、田舎者っぽい感じもするけれど、遊んでいる雰囲気もあるし、だけど誠実さも見えるかも。不思議な人間ですね。どういう魅力なのかまだ僕もわかっていませんが、アーリーンがちょっと惹かれるような人物にはしなきゃいけないので。考えます()

―― やはり肝となるのはローズ。ローズを演じる大地真央さんの印象は?

「笑顔が素敵な方という印象です。凛としていらっしゃる。でも、ローズはすごく喋るので、その反対のイメージがある大地さんがどんな風になるのか楽しみです。あと......コメディもお好きなのかな、と思っております。つい先日も同じニールの『おかしな二人』をやられてましたしね!」

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―― 共演のお三方、皆さん初共演でしょうか。

「はい。神田さんとはご挨拶をさせていただいたことはあるのですが、共演自体は初です。皆さんがどういう風に役を作っているのか楽しみです。会話だけで魅せる物語ですから、しかもしゃれた言い回しなどもあって、4人が4人、ちゃんと色々なことをわかっていないと難しいと思うんです。たぶん、それぞれの思い描くローズ像、ウォルシュ像、アーリーン像をすり合わせていく作業になっていくんじゃないかな」

―― ニール・サイモンは日本でも人気がありますね。村井さんは初出演でしょうか。

「そうです。正直、僕はそんなにニール・サイモンに詳しくはないですが、やればやるほどハマっていく作品だなとも思いました。大人になればなるほど好きになる気がします。ちょっとおしゃれなチョコレートみたい。「やった、この美味しさがわかる!」みたいな」

―― コメディと言ってもおなかを抱えて笑うタイプではなく、笑いの奥に含蓄がある作品ですね。

「劇中に「嫌いじゃない」という台詞があるんですよ。それがなんか、真理だなと思っていて。「彼のことが好き」でも「いいわね」でもなくて「嫌いじゃない」。「......ってことは?」というような台詞が多いんです。そういうところを演者がかみ砕いてやらないと、と思っています。そういう、ストレートに言わないところ含め、この作品は台詞の端々に「うん、わかるなぁ」という人生のヒントのようなものがたくさんあるんです。洗練したものとしてお届けしたい作品だなと思っています」

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取材・文:平野祥恵

撮影:源賀津己

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サンシャイン劇場にて12月27日(日)まで上演中の「成井豊と梅棒のマリアージュ」、12月17日(木)"plat de 成井豊"の初日ライブ配信を実施いたしましたが、なんとこの度アンコール配信が決定いたしました!

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時間が合わずに諦めてしまった・・・、もっともっと観たかった!という方、
年末・お正月に、お家でどうぞごゆっくりマリアージュをご堪能ください。

配信決定を受け、脚本・演出の成井豊さんからコメントをいただきました!

仲村プロデューサーから、年末年始にアンコール配信が決まったと聞きました。うれしい! 『彼女の空に雪が降るまで』は、私が生まれて初めて書いた連作短編集。7つの短編に、演劇人としての自分、作家としての自分の思いをギュギュッと詰め込みました。さらに、この作品は梅棒とのコラボ。梅棒のメンバーが振付してくれた、ストーリー性のあるダンスが実におもしろい! 何から何まで、初めての挑戦。劇場での公演や前回の配信を見逃した人にはぜひとも見てほしい! 絶対に後悔させませんぜ! 

■アンコール配信概要■

配信公演:12月17日(木)19:00の回("plat de 成井豊")
配信期間:12月28日(月)12:00~2021年1月5日23:59
販売価格:3,500円(税込)
チケット販売:12月27日(日)10:00~2021年1月5日(火)20:59

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画家、絵本作家の「たなかしん」。
その温かく、ユーモアに富んだ作風は全国の多くのファンを魅了してやまない。


そんな たなかしんが、2019年に新聞連載小説として執筆、2020年にBL出版より単行本出版とな
った、「一富士茄子牛焦げルギー」(いちふじなすうしこげるぎー)。

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第53回日本児童文学者協会新人賞を受賞した本作は、関西風味な笑いの世界にハマり、
笑っているうちにうっかり涙を流していた...そんな物語。
「ぼく」の目線で、また、「おとん」や「おかん」の心情で、それぞれに読み進めていった先に現れる結末に、誰もが心を奪われます。


舞台にいるのは3人の俳優。「ぼく」と「おとん」と「おかん」。
三人が時には物語の「語り部」や「ぼくの親友」となり物語を紡ぐ...。


「おかん役」には沢口靖子、「ぼく役」には外部への単独出演は初となる小柴陸(関西ジャニーズJr.)
「おとん役」には生瀬勝久、という関西出身の俳優が共演、贅沢な布陣でお届けします。

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感性を刺激する演出で、作品に新たな命を吹き込む河原雅彦の演出、宝塚歌劇団公演の音楽を担当するなど多方面で活躍するシンガーソングライター・瓜生明希葉のオリジナルの楽曲が、作品の世界観をさらに広げ、ある一家族の物語を客席と共鳴させます。

◎沢口靖子コメント

たなかしんさんの原作を読み涙が止まりませんでした。関西弁の温かさと生きていく上での大事なメッセージに心が震えました。
生瀬さんとは三谷幸喜さんの舞台で共演した以来19年ぶりにご一緒させていただきます。今回もまた熱く頼もしいお父さん役でぴったりだと思いました。
小柴さんとは初共演になりますが、自分の甥っ子に接するような気持ちです。お二人とご一緒できるのを今から楽しみにしています。

◎小柴陸 コメント

今回初めての朗読劇でわからないことが多く、沢口さん生瀬さんのような素晴らしい役者さんと共演させていただけることにとても緊張していますが、お二方に劣りを見せないくらい食らいついて頑張ります。
是非ご期待ください。

◎生瀬勝久 コメント
原作を読ませて頂きました。
読み進むにつれて、複雑な気持ちになっていき、胸が締め付けられ この先、どう展開してどう着地するのか、最後まで結末が気になる作品でした。
とても心温まる作品ですし、ちょっと暗いニュースの多い世の中なので、是非今回の作品を多くの方に見て頂きたいです。
共演者の沢口さんとは三谷幸喜さんの舞台以来ほぼ20年ぶり、小柴さんは同じ関西出身という事で共演楽しみにしています。

◎たなかしん コメント
小学生のとき、学校に劇団が来てくれました。演目はたぶんピーターパンで、海賊が舞台を降りて来て僕たちをさらおうとしました。怖くて怖くて最悪な観劇でしたが、それ以来劇が大好きになりました。今回、一富士茄子牛焦げルギーが舞台化されると聞いたとき、海賊の笑い声がして僕を舞台へと連れて行ってくれた気がしました。舞台上には生瀬勝久さん、沢口靖子さん、小柴陸くんがいて、まもなく幕が開くのです。最高のメンバーで最高の観劇になること間違いなしです!

◎河原雅彦 コメント

朗読劇の演出は初めてですが、大変良き本があるし、大変良き読み手が揃ってるし、大変良き音楽家までいてくれてるので、僕なりのシンプルで十分なのかな、と。あくまで僕なりの、だけど。
とにかく、冬場にお送りするに相応しい優しくあったかい空気が劇場中に充満するような、そんな素敵時間を全編関西弁でお送りさせてもらいます。乞うご期待。


<公演概要>
リーディングアクト『一富士茄子牛焦げルギー』
【大阪公演】2021年1月30日(土)〜31日(日) サンケイホールブリーゼ
 1 月 30 日(土)14 時・18 時開演

 1 月 31 日(日)12 時・16 時開演
【東京公演】2021年2月9日(火)〜11日(木祝) 東京芸術劇場シアターイースト
 2 月 9 日(火)18時30分開演

 2 月 10 日(水)15 時・18時30分開演
 2 月 11 日(木祝)12 時・16 時開演


原作:たなかしん 演出:河原雅彦
脚本:野上絹代 音楽:瓜生明希葉
出演:沢口靖子 小柴 陸(関西ジャニーズJr.) 生瀬勝久  

一般発売日:2021年1月16日(土)

チケット料金:
【大阪】S席 7,500円 A席 6,000円 ブリーゼシート 5,000円(全席指定・税込)
【東京】
7,500 円(全席指定・税込)


企画製作:キューブ  制作協力:リコモーション
大阪公演協力:サンケイホールブリーゼ

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『成井豊と梅棒のマリアージュ』が1217日(金)から27日(日)まで東京・サンシャイン劇場にて上演中です!

※公演概要はこちら:http://napposunited.com/mariage/

plat de 成井豊】と【plat d' 梅棒】の2バージョンで上演されるこの公演。先日、ぴあニュースでもお伝えした【plat de 成井豊】の通し稽古後、「演劇集団キャラメルボックス」(現在活動休止中)の代表である成井豊さんと劇団員の原田樹里さん・阿部丈二さん、「梅棒」の遠山晶司さん・天野一輝さん・野田裕貴さんにお話をうかがいました。

*****

――初めて【plat de 成井豊】の通し稽古を終えて、作・演出の成井さんはいかがでしたか?

成井 今日は面白かったですね。役者たちがみんな達者なので、昨日までの稽古よりもさらに良くなっていて。何カ所か「ああ、それ、そうやるんだ!」と驚かされたりもして。作者としては大満足な通し稽古でした。演出家としては「もっと」と思いますけどね(笑)。

――『彼女の空に雪が降るまで』という作品は、成井さんにとって約2年ぶりのオリジナル作品で、全7作品(各話15分)の連作短編集になりますね。

成井 なにしろ連作短編集というのが、59歳にして初めての経験で。私は脚本を書くことは大嫌いだけど今回は苦しまなかった......と言えばうそになりますが(笑)、でも、書いて楽しかったし、手ごたえもありました。一つずつの話を工夫する楽しさがあったし、野田くんに演じてもらった和彦は作家になる男で、私も作家の端くれですから、そうとう自分の体験や想いを盛り込んで書いたんです。そういった意味でも、出来不出来ではなく「書けたな」という手ごたえはありました。

――出演者の皆さんは通し稽古を終えてどのように感じていらっしゃいますか?

阿部 コロナ対策もあって、それぞれの話を別の時間で稽古していたので、今日通しで観て、こういう話なんだなと初めて気づかされるところがありました。この作品は(成井作品の特徴でもある)SF要素が全然ないけれど、それでもやっぱり成井さんの作品だなと感じましたね。

――というのは?

阿部 「時間」と「好き」という気持ちがテーマになっている気がして。失う時間、もう一度取り返せる時間、人以外にもいろんなものに対する好き......。タイムトラベルものではないけどすごく成井さんっぽい作品だし、キャラメルボックスのテーマにもなっている「人が人を想う気持ち」というものがたくさん入っていました。久しぶりに成井さんの世界を堪能できるなという思いでした。

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――主演の原田さんはいかがですか?

原田 【plat de 成井豊】は、7作中6作がふたり芝居がメインなので派手さはないんです。【plat d' 梅棒】がバンバン派手なので、こちらの作品はお客様にどう楽しんでいただこうかと実はけっこうずっと考えていました。でも今日観ていて、いろんな登場人物のいろんな感情がバンバン出てきて、そういう感情のダイナミックさでお客さんを巻き込んでいけたらいいんだろうなと思いました。登場人物みんながなにかをがんばってるし、お客様にはすごく共感していただきやすいと思います。

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遠山 僕は今日、通し稽古を観て「いいなあ~」と思いました。成井さんならではの作品で、どのお話も涙腺をガリガリ刺激されて、涙ぐみながら観てしまいました。ふたり芝居でこれだけ豊潤な世界を醸し出すことができる成井さんの作・演出、そしてキャラメルボックスの方々のお芝居。この少人数でこれほど感動させられるということに、羨ましいなという気持ちがあります。その中で、手前味噌ではございますが、うちの野田が!普段、梅棒の公演では台詞を使わずに演じている野田が!喋っても、こんだけ、ね?

野田 (恐縮している)

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遠山 すごく誇らしい気持ちになっております!僕らも出演しますから、そこで足を引っ張らないようにしなきゃなと思いました。

――野田さんは、メインの大切な役柄を演じられていますね。

野田 僕は今日初めて自分が出ていない作品も生で拝見して、すごく面白いし、胸も熱くなりました。自分もちゃんとこの作品に加われるようにならなきゃって、改めて思いましたし、すごく素敵なものがこんなふうにありありと立ち上がっているんだって体感できたので、すごく本番が楽しみです。これからの本番までの稽古の時間を大事に過ごしていきたいです。

天野 僕は出演者でもありますが、企画者として、これが観たいというのが形になっていて、本当に面白くて。ほとんどの作品は舞台上にいるのは、たったふたりなんですけど、作品の一つひとつで繋いできたバトンのようなものが、どんどんどんどんパワーを増しているなと感じました。

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――要素としてはすごくシンプルな作品ですよね。

阿部 実はこの作品は、「いつでも、どんな場所でも、少人数で上演できる作品」なんです。舞台って、基本的には場所、道具、複数のキャストなどいろんな要素が必要ですが、この作品はふたりいればできるので。

成井 僕ははじめ役者たちに「"出前演劇"をつくりたい」と言ったんですよ。例えば震災などの大きな災害があった時に、役者に何ができるのか。演劇人に何ができるのか。そういうことを考えてつくった作品です。普通、芝居を観てもらうためにはいろんなものが必要になってしまうけど、そうではなくて、身体ふたつだけでどこでも演じられる。街頭でも体育館でも、どこでも演じられるものをつくっておけば、いざというときにやれる。そういう"出前演劇"をたくさんつくって、キャラメルボックスの引き出しに入れておくといいんじゃないかと思いました。それでなるべく道具を使わないものをわざと書いたんですね。だから7本中3本は道具もなしです。それと、梅棒さんが派手なので、対抗するにはシンプルでいったほうがコントラストが生まれるんじゃないかなって。

――確かに。逆に両者の共通点はどのようなところですか?

成井 "役者の身体でみせていく"という部分は共通していると思います。どうして私が梅棒をこんなに好きなのかと言うと、やっぱり動いて感情を表現してくれるからなんですよ。それは舞台の面白さでもあります。映像でそれをやったら気持ち悪いけど、舞台だったら、思いきり身体を動かして感情表現するのは面白いし気持ちいい。そこが我々の共通点なんじゃないかなと思います。

――梅棒メンバーとして成井さんの作品に参加して、野田さんはどのように感じていますか?

野田 キャラメルボックスの皆さんの想いを伝える強さみたいなものに、自分はすごく惹かれるし、好きなんだなって、今日も観ていて思いました。もちろん言葉の力もありますが、それだけじゃない、気持ちがすごくあるから、舞台上で動いた時に本当に伝わってくる。そのすごさを、「これだあ」と思いながら観ています。そこにちょっとでも近づけるようにがんばりたいなと思っています。

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原田 プロデュース公演で、成井さんの作品を、これだけキャラメルボックスの劇団員がメインでやるのは初めてだと思います。キャラメルボックスの看板を背負って出ているような気持ちがあるので、劇団の公演ではないですけど、初めて観ていただく方にも「キャラメルボックスってこういうのなんだ」と思っていただけたらなと思いますね。

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――【plat d' 梅棒】の魅力も教えてください。

遠山 僕、個人的には、原田樹里さんを観てほしい!

原田 (立ち上がって)えー!!

一同 (笑)

遠山 僕らの公演は【plat de 成井豊】が開幕した5日後に開幕するのですが、あれだけの芝居を見せた後の、梅棒×原田樹里のマリアージュをぜひとも楽しんでいただきたい!

天野 【plat de 成井豊】では見られなかった樹里さんを、僕らがお見せします!

原田 なにそれなにそれー!

一同 (笑)

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――遠山さんは【plat d' 梅棒】で主に作・演出をされますが、どのように感じていらっしゃいますか?

遠山 僕ら梅棒は台詞を使わずに物語を表現していく作風なのですが、キャラメルボックスの方々とご一緒して、想像を超えた力を感じています。言葉がなくても身体で発するものがあって、それを音の中でリズミカルに発している。すごいパワーを持った方々なので、そのマリアージュをぜひ観ていただきたいです。そして4作中1作は成井さん作・演出の会話劇『CROSSROADS』を梅棒でやらせていただきます。僕らも喋るんだぞ!っていう.........泥臭い僕らの俳優魂を見せられるように!がんばりますので!!ぜひとも期待して!!!ください!!!!!

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一同 (笑)

野田 梅棒の4作品はどれもカラーが違っていて、僕らが喋るというのもそうですし、それ以外でもいろんな梅棒が見られると思います。そういう機会は初めてに近いと思うので......

遠山 (唐突に)うちの野田くんが!すごくかわいいですから!!!

一同 !?(笑)

野田 (笑)。いろんな役とか、いろんな格好とか、やりますので(笑)。ただただ楽しみに来ていただけたら嬉しいなという感じです。

天野 野田も言ったような、フラットになにも考えずに観て「ああ面白かった」と思ってもらえる作品づくりというのが僕らの根幹にあります。そこは実はキャラメルボックスさんと共通しているところなんじゃないかなと僕は勝手に思っていて。僕らの公演は後半ですが、成井さんに書いていただいた『CROSSROADS』は、梅棒とはまた違う手法でグッと引き込まれる作品で、観ると必ず【plat de 成井豊】が観たくなると思います。そういう方は、2627日公演は昼と夜で両バージョンが上演されるので、そちらでぜひ観ていただきたいです。

――キャラメルボックスの皆さんは【plat d' 梅棒】に参加してみてどうですか?

阿部 梅棒さんの、誰が観ても入り込めるキャッチーさはとにかくすごいです。ダンサーさんや役者さんの表現力もすごいんですけど、そこにさらにエンタメ性もあるのが素晴らしいというか......リスペクトしかない。そういう中で自分は何ができるんだろうということを毎日考えています。梅棒さんの作品は観ると絶対元気になると思うんです。僕自身も、参加しているだけでもすごく元気がもらえますし、フィジカル的にも元気な自分に戻りたいっていうような勇気ももらっています。そういうエネルギーが必ず伝わる作品だと思います。

原田 (阿部と)全く同じです。とにかく面白い。本当に面白い!自信を持って、声を大にして言えます。梅棒を観たことない人は絶対観たほうがいいし、梅棒ファンの人も絶対観たほうがいい!『CROSSROADS』は、梅棒ファンの人は見ない手はないっていうくらい、皆さんめちゃくちゃよいです!カッコいいんですよ!キャラメルボックスの役者がやったらあの空気感は出ないと思う。男らしくて、みんな。

阿部 ばかにすんなよ!(笑)

一同 (笑)

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原田 いやでも、醸し出す雰囲気が全然違うんですよ!あの姿を観たら、みんな好きになっちゃうと思います!

阿部 でも本当に、僕たちにとって成井さんの世界観ってとても好きでとても大切なものなんですけど、『CROSSROADS』で梅棒の皆さんがそこに対してすごく真摯に向き合ってくださっていることが感じられて、とても嬉しいし感謝しています。

天野 そっくりそのまま、いや、何倍にもしてお返ししますよ!

遠山 皆さんめちゃくちゃ練習してくれるんですよ!

原田 (笑)。愛し合ってるな~。マリアージュしちゃってる!

――『CROSSROADS』の作・演出をされる成井さんはいかがですか?

成井 前提として、本人たちは認めないんですけど、僕は梅棒のみんながカッコよく見えるんですね。その人たちに僕が脚本を書かなければいけないときに、カッコ悪く見えちゃうとまずいわけじゃないですか。カッコいいんだから。でも私は、カッコいい男を書き慣れてないんです。カッコ悪いヤツが一生懸命がんばって、結果的に2時間後にカッコよく見えるかもしれないものを書きたい人なので。だから、"20分後(上演時間)にみんながカッコよく見えるもの"にしようと思って書きました。先日、通し稽古で観た時、みんなカッコよかったのでホッとしました。それは本当に、阿部が言ったように、真摯に取り組んでくれたからで。ちょっとしたダメ出しも有効に利用してくれて、ダメ出し聞きすぎなんてこともあるくらいなんですけど(笑)、とにかく真摯に取り組んでくれました。だからこそ『CROSSROADS』は高い質まで来ましたね。稽古は残り一週間ありますが、あとは精度を上げるだけです。そしたらお客さんはきっと満足してくれるんじゃないかと思います。今は、ホッとしているところです。

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plat de 成井豊】バージョンは1217日(木)から、【plat d' 梅棒】バージョンは1222日(火)から、共に1227日(日)までサンシャイン劇場にて上演中!

文:中川實穂

撮影:川野結李歌

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ノゾエ征爾が演出を務め、「ピーター・パン」の物語の前日譚を描く音楽劇「ピーター&ザ・スターキャッチャー」が新国立劇場で12月10日より幕をあけた。11月中旬、主演の入野自由、ヒロインの豊原江理佳、そして宮崎吐夢、櫻井章喜ら実力派キャストが揃った稽古場に足を運んだ。

2012年にブロードウェイで上演され、トニー賞5部門を受賞するなど高い評価を得た本作。ピーター・パンはなぜ空飛ぶ永遠の少年になったのか? ネバーランドはどのようにして生まれたのか? 誰もが知る物語の誕生の秘話が描き出される。

のちにピーターとなる"少年"を演じるのは入野自由。登場時は、苗字はおろか名前すらも与えられていない孤児の少年で、孤児院の院長により異国へ向かう船に売られてしまう。"ピーター・パン"の萌芽を垣間見せつつも、いまだ何者でもない彼が徐々に成長し、リーダーシップとカリスマ性を手にしていく様を入野が生き生きと表現する。

そんな少年の運命を変える存在であり、本作において強烈な輝きを放っているのが、豊原江理佳が演じるヒロインのモリー。「なによ? 女の子だって夢を見るの!」というのは、彼女の冒頭のセリフ。女は男に従うのが当然だった時代に、好奇心旺盛な10代の少女は、持ち前の知性と行動力で少年と共に冒険を繰り広げ、新しい時代の女性像を体現。ピーター・パンの誕生に大きく関わっていくこととなる。

ユーモラスな"敵"の存在も「ピーター・パン」に欠かせない要素だが、本作にもしっかりと魅力的な敵たちが登場する。海賊・黒ひげを演じるのは文学座の実力派・櫻井章喜。そして、大人計画の宮崎吐夢が、オリジナルの「ピーター・パン」でもおなじみの海賊・スミ―を演じている。他にも、モリーの父親で、ビクトリア女王の命によりある使命を遂行しようとするアスター卿を新川將人が、モリーの乳母ミセス・バンブレイクを岡田正が演じるなど、経験豊かなベテランが脇を固めている。50代以上の面々からは、ダンスの稽古の際には「腰問題」「肩問題」といった自虐的な言葉が苦笑まじりにたびたび漏れていたが、いざ始まると一同、キレのあるダンスと美しいハーモニーを披露し、この魅惑のファンタジーの世界を確かな実力でしっかりと支えていた。

そしてもうひとつ、本作を語る上で欠かせないのが元SAKEROCKの田中馨&野村卓史の生演奏による音楽。舞台の後ろに控え、各楽曲の伴奏に加えて、この日の稽古中もノゾエのリクエストに応じて船の汽笛の音を再現するなど、多彩な音で楽しませてくれる。

実力派の俳優陣の演技と歌声とダンス、そして魅力的な音楽が重なり合い、あの「ピーター・パン」の世界がどのようにして作り上げられていくのか? 完成を楽しみに待ちたい。

「ピーター&ザ・スターキャッチャー」は新国立劇場 小劇場にて上演中。

取材・文/黒豆直樹

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── 今回はコロナ禍をふまえて急遽、奇跡的に実現した企画だと伺っています。

 もともと私、今年の後半に演出の仕事を入れていなかったんですね。でもコロナによって春に準備していた作品がなくなってしまい、さらにお休みが延びてしまったように実感して。自粛の期間、休んでいる場合ではないなという気分になったり、自分は何の役にも立てていないとイライラすることもありました。そんな中、埼玉の制作の方から「ネクスト・シアターの俳優たちと、朗読劇をやってほしい」というお話をいただいたんです。自分に出来ることは何だろう、何かの役に立つ機会をいただけるならやりたい! とお受けしたのが正直な気持ちでした。

── ネクスト・シアターにはどんな印象を持っていますか?

 やっぱり、蜷川さんのもとで学んだ人々というイメージはありますね。公共劇場にネクスト・シアターとゴールド・シアター、その両方があるのは素敵だな、大事なことだなと思っていました。蜷川さんの作品は結構観ていまして、これは私の勝手な分析ですけど、蜷川さんは商業の中にちゃんと芸術を持ち込む、その流れを作った方だと思っています。大衆性と芸術性、その両方を備えた舞台を開拓してくださった方という印象です。ネクストの皆さんとはこれからお会いして、ワークショップをやらせていただきながら稽古を進めていければと。若い人たちがどんどん自由に挑戦していくこと、それが大事なので、一緒にチャレンジさせてもらえるのは嬉しいですね。

── 挑むは、イタリアの劇作家ルイージ・ピランデッロが1921年に発表した『作者を探す六人の登場人物』です。この戯曲を選んだ理由は?

 ピランデッロの作品が好きで、いつかやってみたいと思っていた戯曲でした。これ、役者さんたちのほとんどが出ずっぱり、台詞があってもなくてもつねに舞台にいなくちゃいけないという作品なんですね。私、そういう一度出たら最後まで!(笑)っていう、『十二人の怒れる男』みたいな作品が好きなんですよ。今回は、私が普段どのように台本にアプローチしているかをネクストの皆さんにお伝えできる機会だと理解しているので、そうなるとあんまりポエティックな、非常に感性豊かに書かれているホンだと、私が持っている論理では太刀打ちできないところがあって。やはりリアリズムをベースとする戯曲で、自分がきちんとその趣旨に応えられるものを探さなきゃと思い、いろいろ精査したうえでこの戯曲に決めました。決め手はまず面白いホンだということ、登場人物が多くて今回の参加者全員が出られること。そして、現代演劇の原点みたいな作品なんですよね。演劇論、芝居とは何ぞやといった話であるところがいい。で、芸術がどうこう〜と言いつつ、それだけじゃないぞ、とも語っていて。理想と、本当に生々しいものがぶつかり合うところが面白いんです。ただ、何せ難しいホンなので、まだ自分の中で引き寄せきれていない点はあります。ラストに向かって「あ〜これ、私の苦手な"演出の主張"が入ってくる! どうしよう〜」みたいなところもあるので(笑)、なんとか自分の中で落としどころを掴んでいかねばと思っています。

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── 小川さんが感じているピランデッロの魅力を教えてください。

 シアトリカル(演劇的)で、絶対に普遍的なことしか書かない人ですね。この『作者を探す〜』にしても、実はすごく地に足の着いた話なんですよ。そこがいいなと。どんなにシアトリカルに、キャッチーに書いていても、根底がしっかりしている。『花を口にした男』(1923年)とか、短編にもいい作品がたくさんありますよ。人間の心理、人と人との関わりについて書くことが多いので、100年前に書かれたものであっても、文化や時代を越えて非常に共感しやすいと感じています。

── 朗読劇としてどう立ち上がるのか楽しみです。世の中はまだ落ち着いてはいませんが、多くの方が小川演出とネクストとの化学反応に期待し、劇場にいらしてくださるのでは。

 今までも劇場に足を運んでくださることに感謝していましたが......、これは(芸術監督を務める)新国立劇場の話で申し訳ないのですが、自粛期間の後、最初に開けた公演にお客様が来てくださった時は、感動しましたね。本当に嬉しかったし、勇気をいただきました。今回の機会を作ってくださったこと、関わってくださる人たちに感謝して、いい意味でフラットにやれたらいいなと思っています。戯曲の面白さも、役者さんの素敵さも伝えられるよう、精一杯やるつもりです。人間同士、その関係の面白さを感じていただけたら嬉しいです。

取材・文:上野紀子(演劇ライター)

Photo:宮川舞子

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三谷幸喜が2018年末に放ったオリジナル・ミュージカル「日本の歴史」。この待望の再演が2021年夏に決定した。
もともと歴史好きで知られている三谷幸喜は、近年多くの歴史ドラマや舞台を手がけ、2022年放映予定の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」も執筆するなど、もはや単なる「歴史好き」の枠を越えた脚本家。その独自の着眼点とアイデアは止まることを知らず、エンターテイメントの姿を通して、改めて歴史の面白さや奥深さを語りかけてくれる存在だ。
2018年に初演した本作は「卑弥呼の時代から太平洋戦争までの約1700年に亘る日本の歴史を凝縮」した大河ミュージカル。
60人以上にも及ぶ歴史上の人物たちや市井の人々を、たった7名の俳優陣たちが演じ・歌い・踊ることで紡いでいくという大胆な構成に加え、脈々と次世代につながっていく人間の因果のドラマと、ただの歴史の出来事の羅列ではない骨太な物語が展開し、大好評を得た。長きにわたって三谷作品の世界観を支えてきた作曲家:荻野清子によるキャッチーなメロディーも秀逸な一作だ。

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出演は、中井貴一、香取慎吾、新納慎也、シルビア・グラブ、宮澤エマ、秋元才加の初演メンバーに加えて、段田安則が参加。唯一無二の歴史ミュージカルの再演に期待が膨らむ。

・ ・ ・ ・ ・

<公演概要>
【東京公演】2021年7月上旬~中旬 新国立劇場中劇場
【大阪公演】2021年7月下旬 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
【作・演出】三谷幸喜
【音楽】荻野清子
【出演】中井貴一 香取慎吾 新納慎也 段田安則 / シルビア・グラブ 宮澤エマ 秋元才加

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12月17日(金)から27日(日)まで東京・サンシャイン劇場にて上演される『成井豊と梅棒のマリアージュ』。

【plat de 成井豊】と【plat d' 梅棒】の2バージョンで上演されるこの公演、一体どんな作品になるのか! げきぴあは稽古場におじゃまして、成井豊さんと、梅棒の遠山晶司さん・天野一輝さん・野田裕貴さんによる座談会を行いました。全③回連載の最終回です。

公演の内容などは、その①からご覧ください!

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*****

――お話をうかがっていると、どちらのバージョンも楽しみなことが盛りだくさんですね。
天野 はい。僕は出演もさせていただきますが、イチお客さんとして【plat de 成井豊】を観たいなと思っていたので、まずシンプルにそれが楽しみです。それにこの企画で、まだ梅棒を観たことがない人、まだ成井さんの作品を観たことない人が、その世界に触れるきっかけになったらいいなとも思っているので、そのお客さんたちの反応もすごく楽しみ。
――本当にそうですね。
天野 僕自身は、遠山や野田と違って演劇ゼロ人間で、梅棒に加入するまで演劇に触れてこなかったんですよ。たった一本しか観たことなかったんですけど、その一本が実はキャラメルボックスだったんです。その時に「演劇ってこういう世界なんだ、面白いな」と思いました。今回、そういう方々とご一緒できるということは、本当にすごいことだと思っています。成井さんの作品って、演劇ってこんなに面白いんだぞってことが、当時の僕もそうでしたが初めて観る人にも伝わるものだと思うんです。それは実は梅棒も言われることで。演劇っていうと敷居が高いけど、梅棒の公演はわかりやすいし観やすいと言ってくれてる方がけっこういらっしゃる。そういう意味では、梅棒が好きな方はキャラメルボックスも好きになると思うし、逆にキャラメルボックスが好きな方も梅棒を好きになってくれるはず!(笑)そんなお客さんがたくさん出てきてくれたらいいなと思っています。僕自身は台詞を喋るのが不安でしょうがないですけど(笑)。お客さんの"楽しみ"を自分が削らないように頑張らなければいけない......。
――天野さんは今までに台詞を喋ったことってありますか?
天野 ほぼゼロです! だからノイズにならないように......。
遠山 伊藤も「大丈夫か? 成井さんだぞ?」って(笑)。
天野 (不安そうに)がんばります。でも今回は本当に、盛りだくさんで、おなかいっぱいで、いいクリスマスだった!と思っていただけるものになっていると思います!
――野田さんが楽しみにしているのはどんなことですか?
野田 【plat de 成井豊】は7本中6本が二人芝居ということで、自分へのプレッシャーは一旦置いて、濃密な二人芝居を成井さんの演出で見られるのも珍しいんじゃないかなと思うので、それが立ち上がるのが楽しみですね。【plat d' 梅棒】に関しては、4本のうち2本はキャラメルボックスの役者さんがメインになって話を回していくのですが、今まさに稽古場で、感情を繋げて、お話を繋げていく力のすごさを感じているので。お互いにどんなふうに影響し合ってできていくのかな、というのを楽しみにしています。
遠山 僕が楽しみにしていることは、ひとつは「挑戦」で、ひとつは「お祭り」です。「挑戦」のほうはふたつあって、まずはやっぱり作・演出として成井さんと並んで名前が出ること。僕にとっては作・演出自体もほとんど初めてのことですから、大きな挑戦です。そしてもうひとつは、僕も【plat de 成井豊】と【plat d' 梅棒】で、役者として成井さんに演出をつけていただくことです。成井さんの作品で生きることは、ずっと夢見ていたことなので。そのぶん、成井さんの想像を超えていきたいし、身を粉にしてがんばりたいです。「お祭り」は単純に、憧れの方々と一緒にやれるので。梅棒は客演に来てくださった方々が楽しんでくださるので、みんなで「楽しかった」っていうふうにできたらいいなと思っています。
――成井さんはいかがですか?
成井 私がへたに年取っちゃってるから皆さん、謙虚すぎて。別に梅棒の方々をおだてるつもりは毛頭なく、僕は本当に梅棒ショックを受けているんですよ。まず面白さにショックを受けたんだけど、それに加えて、言葉を発しないからこそ、いつでも世界に打って出られる表現なんだっていう時点で、日本語で喋るキャラメルボックスは敵わないんです。うらやましい。明日、海外に行ってもやれる芝居を、皆さんはやっているんです。恐らく、海外の方々も面白がると思いますよ。もちろんこれから技術的にもいろんな意味でも成長なさると思いますけど、とにかく世界で戦えるものを今つくっていらっしゃるんだから、こんなに謙虚になる必要はないんじゃないですかね。
遠山・天野・野田 ありがとうございます!
成井 梅棒スタイルという発明は画期的だと思います。90年代に平田オリザさんが現代口語演劇を発明したのもすごいことだと思っていますが、今、梅棒が、この梅棒スタイルを発明したことも、演劇史に残る素晴らしいことなので。ぜひ世界に打って出てほしいし、その前に僕らと一緒にやったことを忘れないでほしい!
遠山・天野・野田 いやいやいや!
成井 今はそれが楽しみです!

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『成井豊と梅棒のマリアージュ』は、12月17日(金)から27日(日)まで東京・サンシャイン劇場にて上演。

取材・文 中川實穂
撮影:源賀津己

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12月17日(金)から27日(日)まで東京・サンシャイン劇場にて上演される『成井豊と梅棒のマリアージュ』。

【plat de 成井豊】と【plat d' 梅棒】の2バージョンで上演されるこの公演、一体どんな作品になるのか! げきぴあは稽古場におじゃまして、成井豊さんと、梅棒の遠山晶司さん・天野一輝さん・野田裕貴さんによる座談会を行いました。全③回連載の今回は第②回です。

公演の内容などは、その①からご覧ください!

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*****

――【plat d' 梅棒】では梅棒の本公演で作・演出を手掛ける伊藤今人さんではなく、遠山さんが作・演出をされますが、遠山さんならではのものは感じていらっしゃいますか?
天野 今人と決定的に違うのは、構成を全て遠山が手掛けることです。今人は、みんなの意見の良いところを吸い上げてそれをバランス良くアウトプットするのに長けているのですが、遠山は「これがやりたいんだ!」と引っ張る感じ。そういう違いがありますね。あと、エモさ......エモーショナルな感じは、遠山のほうが強い気が僕はしています。
――なるほど。成井さんの作品もエモーショナルですよね。
成井 そうですね。定義として、俳優がやることは感情表現なので、僕はいかに感情を表現するかということが大事だと思っていますし、お客さんもより劇的な感情の表出を見たいんだろうなと思っています。"ドラマチック"ってそういうことだろうと思うので。ですから僕は、90年代に静かな演劇がブームになっても「静かじゃエモくない!」って感じで、85年の設立からずーっとうるさい芝居をやり続けてきました。今回もうるさいですよ!
――「静かじゃエモくない」というのはどうしてですか?
成井 私にとっての"演劇"ってやっぱりサウンドなんですよ。というのも僕は、高校時代につか(こうへい)さんの舞台を観たことから始まっているから。つかさんの舞台は、役者が台詞をまくしたてているかうるさい曲がかかっていて、無音の時間がないですから、そういうものだと僕も捉えているんですね。だから今回の【plat de 成井豊】もそうですし、【plat d' 梅棒】で梅棒さんに書き下ろした『CROSSROADS』も無音の時間はほぼないだろうと思います。特に『CROSSROADS』は22~23分の作品だけど、全編クライマックスだもんね。
遠山 あはは! そうですね。
成井 アクションドラマの一番盛り上がっているところだけやるっていう感じだから。すごいテンションとスピードとパワーでやらなきゃいけないと思います。
――なぜ梅棒にそういう作品を書き下ろされたのですか?
成井 プロット(あらすじ)を3本出したらこれが選ばれたっていうのもありますけど(笑)、でも、キャラメルボックスって女性のほうが多いんですよ。最近では男性中心の芝居もありましたけど、もともとは女性中心の芝居をやり続けてきたんですね。だから梅棒は男性しかいないってことが、私にとっては新鮮で。キャラメルボックスでできないものにしました。申し訳ないけど、やりたかったことをやらせてもらう!って感じで書きました(笑)。
――楽しそうです(笑)。
成井 【plat de 成井豊】がリアリズムなので、逆に『CROSSROADS』はタイムトラベルものにしたんですよ。だから、話はすごく男臭いんだけど、内容はキャラメルボックスの35年の路線に最も近い話になりました。テーマは「父と息子」です。梅棒さんの作品を観させてもらっていると、父と息子の関係っていうのが非常に大事なんだなと思ったんですよ。なので、テーマは梅棒さん、ネタはキャラメルボックス。
天野 プロットを読ませていただいた時点で、これだな、というものがありました。僕と遠山の間でも即一致したくらい。
遠山 そうだったね。『CROSSROADS』はうちらでやりたいなって思ったんですよ。
――成井さんは梅棒にはどんな印象がありましたか?
成井 本公演は2回観ているのですが、そもそも私はつかさんから始まっているから、キャラメルボックスも身体表現をすごく重要視しているつもりなんです。だから"全身で台詞を喋る""全身で感情を表現する"ということは、キャラメルボックスはやってきたほうなんじゃないかと思っています。そういう一種のプライドを持っていたのですが、梅棒を観たら、もっとすごいヤツらがいた。喋らないのにこんなに感情を全身で表現している......というのが、羨ましいやら悔しいやらで。
――本公演が最初の出合いですか?
成井 いえ、初めて観たのは『15 Minutes Made Anniversary』の通し稽古です。うちがやる前に梅棒を見せられちゃって。すんごい面白さで、衝撃的でした。そのショックで筒井が台詞を忘れたりして(笑)。僕と筒井の間で梅棒ショックがあったんですよ。すごいの見せられちゃったって。
遠山 ......知りませんでした。衝撃です。
成井 ですから僕も【plat de 成井豊】の中で"梅棒"をやりたくて。1曲なんですけど、遠山さんに演出してもらって、キャラメルボックスのメンバー7人と野田くんと合計8人で、梅棒をやるシーンがあります。
――えー! 楽しみ!
成井 梅棒、やりたいんですよ。やってみたい!
遠山 ストーリーと曲はいただいて、方向性はゆだねてもらっています。
――それ、たまんないですね!
遠山 でも成井さんのお話にびっくりしました。梅棒がやりたいって......。僕なんて高校生の時からキャラメルボックスをやりたいって思っていたのに。
――ちなみに成井さん演出作品の出演者としての梅棒はどうですか?
成井 みんなカッコいい。キャラメルボックスの男たちがいかにひ弱か(笑)。
遠山 いやいや!
成井 ただ、僕は「カッコ悪いヤツが、2時間経つとカッコよく見える」をやりたいんですよ。自分という人間がカッコ悪いからこそ、困難を乗り越えたり悪戦苦闘する姿を観ていただいて、こんなヤツだってカッコよく見える、ということをやりたいとずっと思っています。でも梅棒のメンバーは既にカッコいいので、どうしたもんかな、っていうのはちょっと困りましたね(笑)。結局書いたものは、脚本上は誰もカッコよくないものです。みんな欠点とか弱点とか間抜けな部分がある。だけど6人がそれぞれがんばることによって、最終的にはカッコよく見えるものになったと思います。まだ稽古してないですけどね(笑)。
遠山 それができるかどうかは僕ら次第ですね。
――野田さんはどのように感じていますか?
遠山 あ、すいーつ(野田)喋ってない!
一同 (笑)
野田 期待に応えられるようにがんばらなくちゃいけないなって思います。梅棒メンバーとお芝居で共演するってことも実はなかなかないことなので、それも新鮮ですし。僕は成井さんと『かがみの孤城』('20)で初めてご一緒して、また成井さんの演出を受けられるのが嬉しいですが、2回目だからこその新しい自分も見せられるようにしなければいけないなという気持ちもあります。
――成井さんと一緒にやれる嬉しさってどんなものですか?
野田 僕も遠山と同じで、高校生の演劇部の頃からキャラメルボックスの「ハーフタイムシアター」とか観て育っているので。「あの時の自分に言いたい」じゃないですけど、こんなにがっつり組んでやらせていただけるなんて夢みたいですし、胸いっぱいって感じです。
成井 でも野田くんの演じる和彦には、僕自身を投影しちゃっているんですよ。和彦ほど僕はカッコよくないですけど、でも多分に投影しています。好きな人に好かれるためには立派にならなきゃダメなんだ、愛される価値のある男にならなきゃダメなんだっていうようなことを書いていて。そんなふうに生きられたかどうかはわかりませんが、でもやっぱりそういう愛のカタチっていうのを書てみたかった。そして野田くんにぜひそれを体現してほしいので。
野田 僕も読んでいて、和彦に成井さんをすごく感じました。責任重大ですし、そんな役をまかせていただけたことが本当に嬉しいので。ちゃんといいものにできるようにがんばります。

その③につづきます!)

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取材・文 中川實穂
撮影:源賀津己

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