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鞘師里保さんが主演する<shared TRUMPシリーズ>音楽朗読劇『黑世界 ~リリーの永遠記憶探訪記、或いは、終わりなき繭期にまつわる寥々たる考察について~』が920日(日)から東京・大阪にて上演&配信されます。

HP▶▶https://trump2020.westage.jp/

本作は、劇作家・末満健一さんがライフワークに掲げ、2009年から展開する人気演劇公演「TRUMPシリーズ」の新しい試みとなる「shared TRUMPシリーズ」の第一弾。

ひとつの世界観を複数の作家が共有して創作する"シェアードワールド"の手法を用いた短編アンソロジー形式での公演となり、今回は

<雨下の章>中屋敷法仁(劇作・演出家、劇団柿喰う客 代表)、降田天(小説家・推理作家)、宮沢龍生(小説家)/末満健一

<日和の章>岩井勇気(お笑いコンビ・ハライチ)、葛木英(脚本家・演出家・俳優)、来楽零(小説家)/末満健一

という面々が脚本を手掛けます。

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描かれるのは、TRUMPシリーズ2作目『LILIUM -リリウム 少女純潔歌劇-』('14)の主人公・リリーが不老不死のあてなき旅の中で出会う<雨下の章>と<日和の章>のふたつの物語。二作同時上演です。

そもそもTRUMPシリーズとは?▶▶こちら

本作で、『LILIUM』に続き出演する鞘師さんと、脚本・演出を手掛ける末満さんにお話をうかがいました。

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*****

――おふたりは舞台『ステーシーズ 少女再殺歌劇』('12)、『LILIUM -リリウム 少女純潔歌劇-』('14)ぶりのタッグとなりますが、会われたのは久しぶりですか?

末満 この作品のビジュアル撮影が5年ぶりの再会でしたね。

鞘師 そうですね! 最後にお会いしたのがNAPPOS UNITEDTRUMP』('15)を観劇したときだったので。

――今作『黑世界』は、TRUMPシリーズ最新作として本来やるはずだったミュージカル『キルバーン』がコロナの影響で上演が難しくなり、生まれた作品だそうですね。

末満 はい。舞台上のソーシャルディスタンスをはじめとするいろんな条件を考えると、朗読劇は一つの手段だとは思ったのですが、僕、もともと朗読劇に対して食わず嫌いなところがあったんですよ。お手軽感のようなものが出ちゃったらいやだなと思って。なのでこの機会に、自分がやる朗読劇というものを探ってみようと思いました。

――リリーを主人公にした"音楽"朗読劇にしたのはなぜですか?

末満 『キルバーン』がミュージカルの予定だったので、歌ものではありたいなと思って。その中でいろいろと考えたときに、シックで落ち着いた世界観のイメージが自分の中に浮かび、リリーのロードムービー的なお話が合うんじゃないかと思いました。TRUMPシリーズではいろいろな時代を描いていますが、『LILIUM』のその後の時間軸は描いたことなかったですし。そういう、いろんな状況に導かれるようにして行き当った作品ですね。

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――鞘師さんは'15年にモーニング娘。を卒業されて、海外留学も経験され、久しぶりの舞台となりすますが、どうして出演を決めたのですか?

鞘師 "決めた理由"というより"迷うことなく"という感じです。もちろんブランクがあるので、尽くさなきゃいけないことがたくさんあると思いますが、やりたいと思いました。

――それは『LILIUM』の経験もあってのことですか?

鞘師 そうです。『LILIUM』という作品は、モーニング娘。として活動をさせていただく中でやらせていただいたもの(作品にはモーニング娘。'14選抜メンバー、スマイレージ、ハロプロ研修生が出演した)ではあるのですが、「新しい一面を見せる」みたいに単純に語れるような出来事ではなかったというか、自分の中ではすごく大きな出来事だったんです。TRUMPシリーズのファンの方に観ていただけましたし、歌や表現に対する考え方も変わるきっかけになった作品だったので。自分にとってすごく大きな経験になっています。

――そんな場所に鞘師さんが6年ぶりに戻ってこられる『黑世界』ですが、まず、<雨下の章><日和の章>というタイトルはどういうことでつけられたのですか?

末満 これ、実はもともと、<100年後編><200年後編>という予定だったです。『LILIUM』の100年後の話、200年後の話、という意味で。それで作家さん達から届いた脚本を読んだら、<100年後編>の話はどれも雨が降っていたんですよ。それで、だったら<雨下の章>とつけようかな、と。『LILIUM』も雨が降っているお話だったので、その名残もありつつ。逆に<200年後編>は雨が降らない世界ということで<日和の章>なんですけど、内容的にも割とハートウォームな感じなんです。TRUMPシリーズって悲劇的な話が多いし、今作でもそういう要素がないわけでもないんですけど、<日和の章>は太陽が温かい感じがある。なので、この世界を楽しむための新しい見え方としてアリかなと思ってつけました。

鞘師 そういうことだったんですね。 実は今、台本を覚えている途中で。新良エツ子さんと会話するシーンが多いので、最近ふたりでリモートで読み合わせをしているんです。

末満 そうなんだ。ひとりでやるより覚えやすいもんね。

鞘師 その読み合わせの初日に、ふたりで「<雨下>と<日和>は対照的な話だね」と話して、悲しいお話が多い<雨下>のほうを先に覚えようってことになったんです。未来に明るいことがあるほうがいいで。「日和が待ってる!」みたいな感じで。

末満 ははは!

――ちなみに『LILIUM』は6年前の作品ですが、新良さんと読み合わせをされる中で感覚はスッと戻るものですか?

鞘師 いえ、最初は舞台に立っている想像もできませんでした。でも読み合わせをしたり、過去の作品を観させてもらって、TRUMPの世界観や空気感を今、身体に取り入れている感覚です。

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――末満さんが現時点で「ここは大切にしてほしい」ということはありますか?

末満 特にないです。

鞘師 (笑)

末満 でも、6年の歳月がもたらすものは確実にあるだろうから。過去作品を観てもらうのもありがたいけど、どちらかというと、自分が経験してきたものを大事にしてもらえたらいいなと思います。

鞘師 はい!

――脚本は読んでいかがでしたか?

鞘師 読んでいてすごく楽しいです。短編アンソロジー形式で、どんどん話が変わっていきますし。お客様には新しい見応えを感じていただけるんじゃないかと思います。

――本当に多種多様なストーリーが楽しいですよね。そしてそれによってTRUMPシリーズの器の大きさも感じられました。岩井さんの脚本なんて、TRUMPの世界観でここまで笑うことできます!?って。

鞘師 たしかに(笑)。

末満 10年やってきましたからね。10年かけてしっかりした土台ができていったんだなと思います。でも実は、岩井さんの最初の脚本はシリアスなラブストーリーだったんですよ。だけど先入観で、僕、それをコメディだと誤読してしまって。

――ええ(笑)。

末満 それで、最初の脚本もすごくよかったんですけど、他にもシリアスなラブストーリーがあったので、岩井さんに「僕はこのラブストーリーをこういうふうに誤解したんです」とお伝えして、その方向で書き直していただいて、今の脚本になりました。だから最初とはガラッと変わったんですけど、僕も読んで、「ちょっと待てよ、これ。おもしろい」って(笑)。TRUMPの設定をうまく利用したコントになってますよね。

――皆さんそれぞれにすごく魅力的な脚本でしたね。

末満 できあがった脚本を最初に読んだ時、「そうそう、こういう俺からは出ないものが欲しかったんだ!」という気持ちでした。宮沢さんのお話は優しいヒューマンドラマだったし、来楽さんのシリーズの設定を巧みに使ったラブストーリーもうまいなと思ったし、降田さんのお話は流石ミステリー作家という驚きもあって。葛木さんのお話は観念的な罪悪と贖罪に関する物語で、お客さんによって捉え方が違うみたいな作品に仕上がっていて、僕はどうしてもわかりやすく書きがちなので、これをこの世界観の中で成立させられたら面白いなといました。中屋敷さんのお話は中屋敷さんワールドでぶっ飛んでいるし(笑)。純粋に読者として、読むのが楽しかったです。

――そして末満さんの書かれた脚本が大きな軸になっていました。

末満 一本の軸として僕の脚本がありながら、他の作家さんの脚本が振れ幅を出してくれるという感じですよね。いろんなストーリーがあるので、キャストたちのいろんなお芝居を観られる楽しみもあるだろうなと思います。

――そのキャストの皆さんもバラエティ豊かですよね。(キャストはこちら

鞘師 私はキャストの皆さんのお名前を拝見してから、考えないようにしています。プレッシャーになるので(笑)。稽古では前のめりに勉強させてもらいたいという気持ちもありつつ、「『LILIUM』に出させてもらった」という気持ちもどっしり持って、やりたいです。

末満 ミュージカルにしても、僕が関わっている2.5次元作品にしても、TRUMPシリーズにしても、「なんかこの顔ぶれよく見るよね」とか「この人はいつもいるよね」みたいなことって見かけると思うんですけど、今回は、そういうことがない、あまり見たことのないようなキャストの並びにしたいなと考えました。ミュージカル俳優もいれば大ベテラン俳優もいて、声優もいて、芸人もいて、モデルもいて......とバラバラになりました。今回、他の作家さんに脚本をお願いしたのもそうですが、TRUMPシリーズを10年やってきて、物語を完結させるまでには多分あと最低10年くらいかかりそうな見通しなので、今までやってきたことをなぞるだけでは、これからの10年を自分の中で楽しめないなと思って。ここまでに固まってきたものを未来でまた強く固めるために、一旦ほぐしたい。今回はそれができる面白い顔ぶれが集まったから、このゴリゴリに固まった世界をかきまわして、また違った見え方を、お客さんにもそうだし、僕自身にも見せてくれるんじゃないかなという期待感があります。

――その中心に立つ鞘師さんは。

鞘師 私は変わらないほうがいいんですかね。

末満 うん。真ん中、中心軸だからね。自然と変わっている部分もあるだろうから、そこは大切にして、無理に変わろうとはしなくていい。

――音楽はどのようなイメージですか?

末満 どちらかというと、落ち着いた大人な雰囲気の楽曲世界になるんじゃないかな?と思っています。極力、生演奏にしたいんですよ。打ち込みも流すとは思いますが。ただ、そういうクラシカルな中でも、ロックのイメージがある松岡充さんに合う曲も、アイクさんが歌うラップの曲もある予定です。作曲の和田さんに「クラシカルな中でそういうことってできるの?」って聞いたら、「できます!」と言っていたので(笑)。

――ちなみに鞘師さん、末満さんってどんな印象ですか?

鞘師 なんか......親戚のおじさんみたいな(笑)。

末満 (笑)

鞘師 撮影で5年ぶりにお会いできたときに、「やっと会えたー!」みたいな気持ちになりました。実は休業していた間も、ファンの方からメッセージをたくさんいただいていて、その中に「もう一回TRUMPシリーズに出てほしい」というものが多かったんです。だからずっと頭の片隅には常に末満さんとTRUMPシリーズのことがあり、やっと会えた気持ちになりました。

末満 『ステーシーズ』で初めて会った頃、鞘師は1314歳とかだったよね?

鞘師 そうです!

――当時はどんな印象でしたか?

末満 僕はアイドルとお仕事するのは『ステーシーズ』が初めてだったんですけど、やっぱり皆さん、何万人、何十万人に見てもらう世界で生きてる人たちなので、自己表現やキャラが飛び抜けている印象でした。でもその中で鞘師はなんか......嵐の中でそこだけ風が吹いてない、みたいな。落ち着いた子でした。

鞘師 本当ですか!

末満 さっきも"中心軸"みたいな話をしたけど、『LILIUM』のときも、鞘師が中心にいると組み立てやすかった。周りのキャラを濃くしても、芯(鞘師)がしっかりしてるから、作品が崩れないなっていうのがあって。でも当時、鞘師は「私、大丈夫ですか?」みたいなことを言ってたよね。

鞘師 え、覚えてないです(笑)。

末満 だから「そのままでいいから」みたいな話をした。鞘師がいると軸が通るというか。その軸があるからこそ、『LILIUM』の凛とした情緒のある世界観ができあがった。だから逆にサブにて暴れる鞘師もいつか見てみたいとも思ってるんだけど。今回は怪物みたいな表現者がゴロゴロしているので(笑)、鞘師を真ん中に置けば一本筋が通るなという安心感があります。

鞘師 今のお話を聞いて、余計なことを考えずにがんばろうと思いました。

――本番を無事、迎えられることを祈っています。

末満 感染者を出さないように気を付けながら。ただ、どれだけ予防しても、かかるときはかかっちゃうので。最大限予防しつつ、運に委ねつつ。

鞘師 こういう時だからこそ楽しみにしてくださっている方もたくさんいらっしゃると思うので。無事に開幕に辿り着けたらいいなという気持ちでいっぱいです!

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920日(日)から104日(日)まで東京・サンシャイン劇場、1014日(水)から20日(火)まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて上演。

ライブ配信は922日(火・祝)、26日(土)、27日(日)、103日(土)、4日(日)の10公演。

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8/9(日)~11(火)にて配信の~韓流ぴあPresents Kミュージカルシネマ~ 「モーツァルト!」

韓国版 「モーツァルト!」プロデューサー キム・ジウォン(EMK)さんの特別インタビューを掲載いたします!

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1.「モツァルト!」10周年公演おめでとうございます。今年の公演は、過去のものと比べても特別ではないかと思いますが、制作過程で最もを配った部分がありましたら教えてください。そして10周年公演の観覧ポイントもえていただけますでしょうか。

EMKの最初の作品でもあるミュージカル「モーツァルト!」が韓国で10周年を迎えました。このように、10年間愛されることができた理由は、なによりも「モーツァルト!」という言葉が持っている力だと思います。唯一舞台の上でのみ新たに感じることができる、天才音楽家の人生と成長過程、苦痛と喜びを作品を通じて経験して頂きたいと思います。今回の10周年公演はまさに「モーツァルト!」とEMKが積み上げてきた10年のノウハウの集大成だと思います。 5回の韓国公演を経て最も良かった構成を、完全に新しくなった舞台美術の中に溶け込ませてお見せしたと思いました。何よりも、新型コロナウイルスにより全世界的に危機を経験している時期に、「モーツァルト!」が与える慰めと希望のメッセージに耳を傾け、観覧して頂きたいと思います。

2. 10年前に初めて公演した時、このように10年間公演することを期待されていたでしょうか?

一回の失敗を経験して、すべてを注いで準備した作品だっただけに、大きな期待をかけていたのは確かですけれども、このように長い期間大きな愛を受けることは思いもしていなかったです。20年、30年後も愛される作品になることを願います。

3.日本の「モツァルト!」もご覧になったと思いますが、韓国版「モツァルト!」との違いがありましたら教えてください。

もちろん、日本の「モーツァルト!」を拝見いたしました。日本版は作品の中にはっきりと見えるモーツァルトとアマデの関係性、そして各キャラクターたちのドラマが生きる描写に大きな感銘を受けました。キャラクター間の関係性がはっきりしているので、劇の構成がしっかりして、よりドラマチックに感じました。その後、韓国での初演を準備するときに大きな参考になるほど印象深く鑑賞いたしました。

韓国版との違いがあるとしたら音楽的構成ではないでしょうか。日本の「モーツァルト!」がドラマを強調して感情を引っ張って行く作りだとしたら、韓国版は観客が感情表現をすることができるように、曲の中に手拍子するポイントを入れるなど異なった構成になっています。韓国で「モーツァルト!」が公演されている劇場の規模が非常に大きく、また韓国の観客は派手な舞台を好むため、日本の舞台とは違った魅力を感じることができると思います。

4.10周年公演のモツァルト役で、パクウンテ、キムジュンス、バクガンヒョンの3人をキャスティングした理由をえてください。

10周年公演であるだけに、「モーツァルト!」と言えば浮び上がる俳優をキャスティングしたいと思いました。

初演当時、パク・ウンテさんはアンサンブルの一人として、ドラマチックな主演デビューを飾り、今では韓国ミュージカル界に欠かせない代表的な俳優になりました。キム・ジュンスさんは、ミュージカルデビュー作として「モーツァルト!」の舞台に立ち、当時3,000席の世宗文化会館を初めて完売させた俳優となりました。この二人の俳優は「モーツァルト!」に格別な愛情を持ち、今回快く舞台に立ってくれました。この場を借りてお礼を伝えたいと思います。そしてバク・ガンヒョンさんは、10年前にパク・ウンテさんとキム・ジュンスさんが「モーツァルト!」で新たなスタートを切ったように、これからの10年を担う新しいモーツァルトとしての期待を抱いてキャスティングしました。

5.  EMKが制作した「モツァルト!」を、今回初めて日本でオンライン配信をすることになりました。今回の配信をするにあたり、特にを配った部分がありましたらえてください。

新型コロナウイルスによりアンタクト(非接触)サービスが台頭し、世界の公演文化にも映像サービス産業が大きく注目を集めています。 EMKも以前から映像サービスを準備していましたが、今回の「モーツァルト!」が初めての有料のオンライン公演になるので、多くの部分で悩んで準備しています。会場の臨場感をより一層生き生きと伝えるために、シーン別の撮影会議を細かく行うなど、万全を期した事前準備を進めています。今回をきっかけに映像サービスがさらに活性化され、発展をし、より多様な作品を日本の皆さんに紹介することができるよう、多くの応援をお願いします。

6. 海外の作品を選定するとき、基準となるものがあればえてください。

EMKが追求するスタイルの作品なのか、韓国の観客たちの情緒に合った作品かを最初に考えて作品を選びます。 10年前の「モーツァルト!」をEMKの最初の作品として選んだ時、原作元であるVBWはもっと有名な「エリザベート」をすすめました。しかしオーストリアの皇后は、当時韓国人にはあまり知られていない人物でした。しかし、モーツァルトは韓国人なら誰でも知っている人物だと思いましたし、その予想は的中しました。このように、当時の社会的雰囲気や国民が好む人物も一緒に考えながら作品を選定します。

7. EMKの作品の中でキム代表が最も愛着を持っている作品をえてください。そして最も大だった作品をえていただけますでしょうか

最も愛着を持っている作品は、断然「モーツァルト!」です。今一番好きな公演を挙げる時は「モーツァルト!」を最初に挙げます。一番大変だった作品は、EMKの最初の創作作品である「マタハリ」を挙げたいです。初の創作作品だっただけに試行錯誤も多かったですし、EMKの創作作品への観客の期待に応えたいと思い、最後まで悩んで相談して作り上げた作品です。

8. EMKの今後の計と目標をえてください。また、韓ミュジカルのグロバル展開のためにどのようなことを考えていらっしゃいますでしょうか?

新型コロナウイルスにより映像化が必須とされている今、さまざまなプラットフォームを通じて韓国ミュージカルを世界中に知らせて、大きな相乗効果を出すことができるよう多角的な努力しています。映像化だけでなく、海外進出も加速すれば、日本でもすぐにEMKのさまざまな作品を見ることができると思います。

9.「モツァルト!」10周年公演をしみにしている日本のミュージカルファンに一言お願いします

「モーツァルト!」を、そして韓国ミュージカルを愛してくださって誠にありがとうございます。新型コロナウイルスにより、劇場で見ていただくことができませんが、このように映像で披露することになりうれしく思います。誰もが難しい状況である今この時期、「モーツァルト!」の歌を通じて皆さんを慰めることができたら幸いです。

韓国公演を日本語字幕付きで自宅で体験できるチャンス!集大成を飾るべくキム・ジュンス、パク・ガンヒョン、パク・ウンテの豪華キャスト陣が繰り広げる感動の物語を是非お見逃しなく!

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新国立劇場オペラパレスにて、子どものためのバレエ劇場2020「竜宮~亀の姫と季(とき)の庭~」が開幕した。

オペラパレスでの公演は、2月26日のバレエ公演(『マノン』)以来5カ月ぶりの再開。

初日を前に公開されたゲネプロの模様をレポートする。

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久しぶりに多くの観客を迎え入れる劇場は、マスク着用の要請はもとより、サーモグラフィによる検温、

アルコール消毒液による手指の消毒、客席には1席おきに空席が設けられ、トイレの前には順番待ちの人が密にならないよう立ち位置の目印が記され──と、

観劇時の安心につながるさまざまな配慮が施されている。

そんな中で上演される「竜宮」は、コンテンポラリー・ダンスのダンサー、振付家として知られる森山開次が手がける、

子どもも楽しめる新作バレエ。「森山開次がバレエを?」という話題性もあって、広く注目される舞台だ。

モチーフは「浦島太郎」だけれど、皆の知っている昔話とひと味違うバレエであることは、冒頭から登場する「時の案内人」(貝川鐵夫)の存在で強く印象付けられる。

バレエ化にあたって森山が注目したのは、「御伽草子」(室町時代から江戸時代初期にかけて成立した物語草子)に語られる浦島太郎の物語。
それは、私たちが子どもの頃から知っている昔話とはちょっと違って、

助けた亀が実はプリンセスで、玉手箱を開けた浦島はその後鶴に変化、亀の姫とともに夫婦明神として島の守神に。

また、竜宮城にあるという四季折々の風景を見せる不思議な庭の存在も、森山の心を捉えた。

森山は、浦島太郎「時の物語」と捉え、これをもとにオリジナルのストーリーでバレエを創り上げた。

この物語へと私たちをいざなうのが、顔は白塗り、紋付袴をアレンジした衣裳で現れる時の案内人。

あらゆる場面のそこここで活躍する、狂言回し的存在だ。

主人公、浦島太郎(井澤駿)は心優しい朗らかな青年。彼が亀を助け、翌日海の中からプリンセス亀の姫(米沢唯)が現れて竜宮城へ招く──。

そこはまるで昔話の絵本が立体化したような美しい空間で、亀の甲羅の柄のチュチュをまとったプリンセスの上品な愛らしさ、

群舞のダンサーたちによるダイナミックな波の踊り、映像を巧みに用いた潜水シーンと、退屈する間はない。

振付家・森山開次のバレエへのリスペクト、憧れはいたるところに見え隠れするけれど、

その一つが、第1幕後半の竜宮城のシーン。そこに登場するのは、全幕バレエで活躍する各国の踊り手たちのような、個性たっぷりのキャラクターたち。
たとえば、イカす3兄弟はキレのいいタンゴ、サメ用心棒たちはラテン系のエネルギッシュなダンス! 

さらに、亀の姫はバレリーナの美しさを存分に表現し、バレエってこんなに素敵なんだと思わせる説得力だ。

第2幕も、日本の四季折々の美しさが表現される「季(とき)の部屋」やクライマックスの太郎の変身シーン、

主役二人のデュエットなど、バレエらしい見どころが満載で、大人も思わず感動だ。

何よりも、子どもも大人もすんなりと寄り添える物語の強さと、バレエだからこそ味わえる楽しさ、美しさが大きな魅力。
これから多くの子どもたちが、劇場に足を運び、何の不安もなくこのバレエを楽しめるようになればと思うと同時に、

緊急事態宣言下の活動休止状態を挟んでの創作に、ダンサーとすべてのスタッフに拍手を。

公演は7月31日(金)まで、新国立劇場オペラパレスにて。

(取材・文 加藤智子)

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"ニューノーマル"を具現化する観劇スタイルの確立を目指し、劇場公演とVR配信の2形態で行われる「STAGE GATE VRシアター」シリーズ。現在上演中の第1弾『Defiled-ディファイルド-』において、前山剛久さん・中村まことさんの回をVR視聴してみました!

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立てこもり犯とベテラン刑事の緊迫感あるやり取りが、リーディング形式で繰り広げられる本作。2017年版を手がけた鈴木勝秀さんが引き続き、演出を担当します。出演者は他に猪塚健太さん、伊礼彼方さん、上口耕平さん、加藤和樹さん、岸祐二さん、小西遼生さん、章平さん、鈴木壮麻さん、成河さん、千葉哲也さん、羽場裕一さん、東啓介さん、松岡充さん、三浦宏規さん、水田航生さん、宮崎秋人さん、矢田悠祐さんがキャスティング。2人1組が回替わりで出演するため、組み合わせのバリエーションが豊富に楽しめるのも企画の特徴といえるでしょう。

以前、会場となる東京・DDD AOYAMA CROSS THEATERでの観劇レポート を届けたげきぴあ編集部。久しぶりの劇場で迫力の朗読劇を堪能した一方で、着席した最後列からキャストの表情や細やかな動きを肉眼でとらえることはできませんでした。しかし、上手・下手と客席正面に3台設置されていた球体カメラのVR映像であれば、キャストに肉迫できるのでは......?劇場でのリアルな演劇体験をスマートフォンでも味わえることを期待し、視聴チケットを手配します。

VR視聴環境チェック&視聴チケット購入方法

本作のVR画像は、動画配信サービスのプラットフォーム「Blinky」にて届けられます。まずはVR配信アプリ「Blinky」ダウンロードし、お手持ちのスマートフォンが対応しているか確認してください。

動作環境に問題がなければ、次に『Defiled-ディファイルド-』公式サイトのVR配信日程表から、応援したいキャストや目当てのペアを探しましょう!

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VR配信全39公演のうち、今回は舞台『刀剣乱舞』シリーズなどで幅広く活躍する前山さんと、猫のホテル創設メンバーで声の仕事にも定評がある中村さんの回をチョイスしました。各回ともにアーカイブや巻き戻し再生機能はなく、毎回19時からの配信"一発勝負"はまるで劇場公演のよう!前後の予定と突き合わせて、時間に余裕のある日程を選ぶとよいかもしれません。

配信日程表の下部にある「チケットぴあ ▶ お申し込みはこちら」ボタンから、視聴チケットの購入手続きページに進みます。購入方法はいつも通りですが、ぴあCloakにおけるチケットの引き取り手段は「Quick Ticket by MOALA」一択。引き取るとスマートフォン上に表示されるVR視聴券に"シリアルコード"が発行されるので、テキストコピーするなどして控えておきましょう。コードはのちほど、シリアルコード入力サイトにて使用いたします。

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なお「STAGE GATE VRシアター」シリーズでは、より臨場感を味わえるようスマホ装着型の"VRグラス"が数量限定で販売されています。VR映像はヘッドマウントディスプレイや専用ゴーグル、グラスがない場合でも"2Dモード"で視聴できますが、今後も続くシリーズを楽しむためにも、これを機に揃えてみてはいかがでしょうか?

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シリアルコードを動画配信サービス「Blinky」アプリに入力

配信時間より前に余裕をもって「Blinky」にて自分のアカウントをつくってください。設定方法はこちらに詳しいので参照しましょう。

アカウントを作成し終えたら、Blinkyのサイトにアクセスし、ログインした後、シリアルコードを入力してください。シリアルコードの登録完了後、アプリを起動すると、アプリ上の「ライブラリ」に『Defiled-ディファイルド-』が登録されました!

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次はVR映像の動作確認をして、スムーズに当日の19時を迎えられるようにしましょう!

③動作確認

(※検証に使用した「緊急事態宣言解除ビフォーアフター 渋谷」映像は、【アーカイブ】コンテンツであり、【ライブ配信】コンテンツである『Defiled-ディファイルド-』とは、再生可能な端末、通信環境が異なります。『Defiled-ディファイルド-』をご視聴の際は、【ライブ配信】対応機種確認コンテンツを必ずご確認ください。)

ステージがどのように映るのか、本番中に"2D"や"VR"モードの切り替えはどうやって行うのか──。少しでも万全な態勢で本番を迎えられるように、Blinky内の映像を活用して動作確認を行いました。使ったのは、話題のニュース"現場"をVRカメラで撮影した「blinkynewsジャパン」チャンネル。新型コロナウイルス感染症の流行下における渋谷のスクランブル交差点を定点観測した「緊急事態宣言解除ビフォーアフター 渋谷」の映像で検証します。

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はじめにiPhone XSの場合、本体の左側面上部にあるスイッチを切って"消音モード"をオフにしましょう。これがオンのままだと、イヤホンを繋いでも音声が聞こえないので注意してください。

視聴モードは3種類あって、それぞれ以下のように見えます。

1.2Dモード......画面スワイプで視野を広げられる

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画面をスワイプすることで、上下左右に360°視野を広げることができます。この映像では寄り引きできませんが、本番の『Defiled-ディファイルド-』には手動ボタンによるズームアップ・ズームアウト機能があります。詳しくは後述する視聴レポートをご覧ください。

2.VRモード(一眼)...画面スワイプまたはスマホの向きを変えると視野を広げられる

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2Dモードに同じく、画面をスワイプすることで上下左右に360°視野を広げることができます。

また、首や体の向きを変えたりスマホ本体を動かしたりするだけで見たい方向の映像が映し出されます。
この映像では寄り引きできませんが、本番の『Defiled-ディファイルド-』ではズームアップ・ズームアウト機能があります。

「VRグラスでの鑑賞は酔ってしまいそう」と心配する方は、この一眼モードでご覧いただくとよいかもしれません。

3.VRモード(二眼)......スマホにVRグラスを装着

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スマホにVRグラスを装着してレンズを覗き込むと、渋谷のスクランブル交差点に立っているかのような臨場感が味わえました。画面をスワイプする2Dモードとは異なり、首や体の向きを変えたりスマホ本体を動かしたりするだけで見たい方向の映像が映し出されます。

周囲が覆われ映像だけに集中できる環境が広がるため、没入感はひとしお。それだけに、SNSをはじめとするポップアップ通知が目立ってしまいました。「本番では各種通知をオフにすべし」と学べただけでも、動作確認した甲斐があったというものです。

いざ本番へ!『Defiled-ディファイルド-』VR視聴レポート

配役ペアの"妙"や意外性も『Defiled-ディファイルド-』を楽しむ要素のひとつ。体験日は、若き元図書館員の犯人ハリー・メンデルソンを前山さん、初老の刑事ブライアン・ディッキーを中村さんが演じます。前山さんは1991年生まれ、中村さんは1963年生まれということもあって、今回のペアは役の年齢に則した比較的スタンダードな組み合わせといえるかもしれません。

動作確認を経て、より強い没入感を味わうべく開演前に以下の準備を行いました。

■スマホの各種ポップアップ通知を「オフ」に

■部屋を薄暗くする

■音質のよいBluetoothイヤホンを装着する

 ※Bluetoothイヤホンは遅延が目立つものもあるそうなので予備があるといいかもしれません。

■家族に向けて「今夜、VR演劇体験する」と告知しておく

 →「集中したいので緊急時以外は入室しないで」と時間指定するなど徹底(笑)

開演15分前から入室できたので改めて各モードの動作確認を行ったところ

1.客席最前列中央

2.ブライアン側

3.ハリー側

の3視点からひとつを選べることが判明。それぞれ画質(標準or高画質)も設定できるサービス精神に感心しながら、同時に「確か劇場公演では暗転板付き、刑事ブライアンのセリフから始まっていたよな......?」と記憶を手繰り寄せます。結果、ブライアン役のキャストが着席する「ブライアン側(高画質)」のカメラ視点を選び、開演時刻を待つことに──。

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もちろん、ハリー役キャストの反応や第一声が気になる方は最初から「ハリー側(高画質)」のカメラ視点を選んでも大丈夫です!

5分ほどの暗転オープニングが終わってステージが照らし出されると、刑事ブライアンに扮する中村さんの姿が浮かび上がります。ここで手動ボタンによるズームアップ・ズームアウト機能があることに気づき、激高する犯人ハリーとの交渉にやって来たブライアンの表情を捕らえようと中村さんへ"寄って"みることに。最大限近づいて、胸元から上の様子が映し出されました。

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一方、目録カードに代わるコンピューター検索システムの導入に反対し、建物爆破を予告するハリー。「コーヒーでも飲もう」となだめるブライアンの提案に苛立つ様子を、前山さんは髪をむしる・前傾姿勢になるなど全身で表現します。そこでカメラ視点を「ハリー側(高画質)」に切り替え、ハリーの大きな動きを確認しようと"引いて"眺めることに。すると、貧乏ゆすりで揺れる足元までとらえることができました。イヤホンからは水を飲む時に喉が鳴るリアルな音も聞こえるほど。スワイプして画角を調整すれば、中村さんのリーディング風景も同じ画面に収められます。

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その後は「客席最前列中央(高画質)」の固定カメラ視点で最前列の観客気分を。VRモードでは一眼・二眼のいずれも没入しながら鑑賞できましたが、二眼ではズームアップ・ズームアウト機能はないため、役者の表情や動きに注目したいシーンでは、再び2Dモードの「ブライアン側」「ハリー側」視点に切り替えて楽しみました。

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劇中で繰り広げられるのは緊迫した心理戦ですが、モードやカメラ視点の変更に気を取られていると、作品の魅力を十分に味わえない可能性も。交渉を通じてハリーとブライアンに芽生える関係性や、各キャストがどのように役を立ち上げるか注目するためにも、VR配信は複数回の鑑賞をオススメします。

上演時間は約70分(休憩なし)。VR配信は8月14日(金)まで。キャストの組み合わせと出演スケジュールは、チケットぴあの販売ページでも確認できますよ!

取材・文:岡山朋代

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今春、新型コロナウイルスの影響を受け、ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)と古田新太のタッグ企画舞台『欲望のみ』が中止になった下北沢本多劇場。

KERAと俳優・古田新太がタッグを組み、過去3本ナンセンスコメディの舞台を上演してきたが、そのレギュラーメンバーが集結し、7月12日、CUBE produce『PRE AFTER CORONA SHOW』に挑んだ。

本作は、劇場でのリーディングアクトプラン変更 〜名探偵アラータ探偵、最後から7、8番目の冒険〜』の無観客上演生配信と、コント映像作品『PRE AFTER CORONA SHOW The Movie』配信、という2つのコンテンツで構成され、PIA LIVE STREAMより配信された。

また、前日の7月11日には、下北沢本多劇場で、"公開ゲネプロ"(無配信)が行われ、このゲネは、緊急事態宣言解除後初めて、本多劇場に一般観客が足を踏み入れた公演となった。

11日の公開ゲネプロは、約100名の観客が観劇。劇場入口では、全入場者にサーモグラフィ検査、手指の消毒、フェイスシールド配布などの感染症対策が行われ、客席は3席ごとに仕切り版で間仕切りされ、客席入口の扉はすべて開放されたまま、フルキャパシティの約30%の配席で上演された。

前説でKERAが登場し観客に挨拶。7月11日が偶然にも本多劇場の創始者本多一夫氏の誕生日である事を観客に伝えると拍手が起こった。KERAの冗談に、穏やかな空気で応える客席。劇場に観客が戻って来たことが実感された。

16時からは『PRE AFTER CORONA SHOW The Movie』の上映。KERAが脚本・構成・総合演出を担当したモンティ・パイソンさながらの、ナンセンスコントのオムニバス。人形劇、オフィスコント、劇場コント、サスペンス調コント、、、盛り沢山の容赦ないコント映像が一気に畳み掛けられる。

大竹しのぶ宮沢りえ井上芳雄小池栄子ファーストサマーウイカなどスペシャルゲストが次々と登場。上映終了後、観客は暖かい拍手を送った。

そして、休憩を挟み、18時からは、リーディング『プラン変更 〜名探偵アラータ探偵、最後から7、8番目の冒険〜』上演。

舞台上、7名の出演者がアクリル板で分けられたエリアでリーディングを行う形式、、、と思いきや、キャストは次々に役を変え、衣装を着替え、立ち上がり、時には台本を手にせずに演じている。

リーディングの枠を超えた舞台となった。

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撮影:引地信彦

KERA×古田シリーズではお馴染みの古田新太演じるアラータ探偵、犬山イヌコ演ずるアルジャーノン、大倉孝二演じる神様、、、入江雅人演じる"あの"キャラクターも登場。

山西惇入江雅人八十田勇一のKERA組お馴染みのメンバーがナンセンスを支え、奥菜恵は可憐ながらヘンテコな世界に解け込んでいる。

KERAのナンセンスコメディを演じ続けてきた"鉄人キャスト"が規格外のセリフの応酬を紡いでゆき、登場人物一人として普通の人がいない、という異次元空間が繰り広げられる。観客がセリフの応酬を聞き逃すまいと集中していることが肌で感じられた。

終演後は、カーテンコールにキャストが正面に一列に並ぶと約100人の観客からは惜しみない拍手が起こった。

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撮影:引地信彦

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撮影:引地信彦

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撮影:引地信彦

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撮影:引地信彦

次の日12日には、15時から、リーディング『プラン変更〜』の無観客生配信がPIA LIVE STREAMより行われた。

昨日とは打って変わって客席には配信用のカメラが立ち並び、俳優たちはカメラの向こうの視聴者に向け高いテンションで演じていた。

KERAだからこそ創り上げた映像と演劇の2本立ての企画、『PRE AFTER CORONA SHOW』

まだまだコロナ禍の中忍耐が求められる時節だが、この作品を見て、一時、シニカルに笑い飛ばして、楽しんでもらいたい。

PIA LIVE STREAMでは、19日までアーカイブ有料配信の形で作品を視聴可能。

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<ケラリーノ・サンドロヴィッチ コメント>

11日の公開ゲネプロは、劇場に約100人のお客様がいらしてくださいました。観客と空間を共有することで、キャストのテンションが俄然高まるのを実感しました。今まで沢山やってきた「ナンセンス」ですが、ナンセンスはラフには作れないものだなと改めて思いました。ここの間尺で、このトーンで、と緻密に作っていかなければならず、それをこの短期間でまとめ上げてくれた、キャスト・スタッフに感謝しています。このチームでこれまで3本の作品を創り上げてきた経験は大きく、このメンバーだからこそ出来たのだと思います。

『プラン変更』を観ていて、やはりここでやるはずだった中止公演『欲望のみ』のことがチラチラちらつきましたね。もし上演できていたらどんな作品になったのだろう、と。

一方、映像作品『PRE AFTER CORONA SHOW The Movie』については、僕が学生時代から手本にしていたモンティ・パイソン同様、ナンセンスな上にストーリー性がない。日本では少なくとも地上波でも映画でも上映は難しいのではないかと思います。コロナ禍で嫌なことばっかりですけど、こういうことがなければ創る機会もなかったでしょう。奇しくもこのコロナ禍から受けた恩恵、というと変な話ですが、それは良かったなと思います。

芝居はお客さんが劇場に入り、様々な反応があって初めて完成すると思いますが、配信の場合はお客様の顔は見えません。視聴者にそれぞれの場所で受け止めてもらうことで完結するのではないでしょうか。スマホ画面で見るのと客席で見る劇場観劇との落差はなかなか大きいと思うので、出来る限り大きい画面でご覧になって頂けると嬉しいです。アーカイブも観られますので、初回はただ楽しんでもらって、次はどんな作りになっているのか、見直すような楽しみ方もあるんじゃないかなと思います。

<古田新太 コメント>

やっぱり皆でものを創るのは楽しいなと思いました。まあ自由ではないけれど。

不自由な中でも面白いものが出来たと喜んでおります。

劇場はまだ満員には出来ないので、早く満員の中でやりたいですね。

配信をご覧になる方は、一所懸命デタラメを作っていますので、お家で過ごす時に少しでも楽しんで頂けたら幸いです。

また観たら感想を何かにあげてください。

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CUBE produce『PRE AFTER CORONA SHOW』上演記録 

配信舞台上演作品

CUBE produce PRE AFTER CORONA SHOW presents

リーディングアクト

『プラン変更 〜名探偵アラータ探偵、最後から7、8番目の冒険〜』

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作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

出演:古田新太・大倉孝二・入江雅人・八十田勇一・犬山イヌコ・山西惇 / 奥菜恵

7月12日(日)15:00開演 

料金:3,500円

7月19日(日)までアーカイブ販売有

視聴券購入&詳細 → https://w.pia.jp/t/pacs/

配信映像作品

『PRE AFTER CORONA SHOW The Movie』

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脚本・構成・総合演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

共同脚本:ブルー&スカイ・他

出演:古田新太・大倉孝二・入江雅人・八十田勇一・犬山イヌコ・山西惇 / 小池栄子・奥菜恵・中越典子・ファーストサマーウイカ・伊藤梨沙子・小松利昌・ブルー&スカイ/ <声の出演> 橋本さとし・壮一帆・喜安浩平 <特別出演>大竹しのぶ・宮沢りえ・井上芳雄・緒川たまき・村井國夫

7月12日(日)17:00 配信スタート

料金:2,500円

7月19日(日)までアーカイブ販売有 

聴券購入&詳細 →  https://w.pia.jp/t/pacs/

【公演&配信日程詳細】

<公開ゲネプロ>(配信無し)

日時:2020年7月11日(土)

『PRE AFTER CORONA SHOW The Movie』上映

CUBE produce PRE AFTER CORONA SHOW presents

リーディングアクト『プラン変更 〜名探偵アラータ探偵、最後から7、8番目の冒険〜』上演

劇場:下北沢 本多劇場

●企画製作 株式会社キューブ

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zombi2020visual.jpgゾンビフェス THE END OF SUMMER 2020

ゾンビフェスとは、『ゾンビ』をテーマにしたCBGKシブゲキ!!が提案するお祭りです。

『ゾンビ』をテーマにした作品を数多く手がけてきた入江雅人がホストを務める

晩夏、初秋の恒例イベントとなっております。

入江雅人のひとり芝居は、笑いながらも胸を打つ作品が多く、中でも『ゾンビ』をテーマにした作品は、多くのファンを魅了してきました。

今年で4年目のゾンビフェスは、

毎年心揺さぶるダンスを披露する入手杏奈

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撮影:市川唯

しみじみと染み入るギターの音色と声で魅了する塚本功

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撮影:市川唯

そして入江雅人の一人芝居で編成いたします。

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撮影:市川唯

今年だからこそできる内容でお届けいたします。

―――入江雅人コメント―――

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2020年のゾンビフェスは客席数を半分に減らして一夜だけの開催となります。

夏の終わりに いつものメンバーに逢えないのは、とても残念ですが

この3人で最高のダンスと音楽と一人芝居をお届けして

来年の5周年を一緒に迎えられることを願っています。

僕は、たっぷりゾンビ一人芝居をやります。

今年の「帰郷」は、より一層と味わい深いものになる気がします。

9月の終わり 渋谷でお待ちしてます!

・・・・・・・・・・・・・・・開催概要・・・・・・・・・・・・・・・

[日程] 2020年9月29日(火) 19:00開演(18:00開場)

[会場] CBGKシブゲキ!! (東京メトロ渋谷駅 A0番出口直結)

[出演者] 五十音順

入江雅人(一人芝居)

入手杏奈(ダンス)

塚本功(エレクトリックギター演奏と歌)

[料金]  5,500円 (前売・当日とも/税込/全席指定)

[チケット発売日]  

先行受付:7月17日(金)12:00~7月28日(火)12:00 cubit club

http://www.e-fanclub.com/cube/ticket/index.asp

一般発売:8月22日(土)10:00 チケットぴあ

http://w.pia.jp/t/zombiefes/ (PC・MB共通)

※セブン-イレブン、チケットぴあ店舗でも直接販売

[電話]0570-02-9999 (Pコード:502568)

[お問合せ]  CBGKシブゲキ!!

http://cbgk.jp/schedule/index.html#zombiefes2020

電話: 03-6415-3363 メール: info@cbgk.jp

ナイロン100℃を主宰し、演劇界を牽引する劇作家・演出家ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)と女優・緒川たまきが立ち上げたユニット「ケムリ研究室」

ユニット旗揚げ第一回公演となる、新作『ベイジルタウンの女神』の、公演ビジュアル、各地劇場名、公演日程等、詳細が公開された。東京は9月13日から世田谷パブリックシアターでの上演となる。

  

出演は、緒川たまき仲村トオル水野美紀山内圭哉吉岡里帆松下洸平尾方宣久菅原永二植本純米温水洋一犬山イヌコ高田聖子など、豪華キャストが勢揃いしたこの公演。

物語は、ふとした事から貧民街で暮らすことになった、俗世知らずの女社長を巡るコメディになる模様。

  

新型コロナウィルスの影響で、演劇界でも辛抱強い模索と努力が続く中だが、この公演も、少しずつ歩みを始めるカンパニーの一つとして、文化の秋に待ち遠しい公演だ。

  

KERAは公演チラシに下記のコメントを寄せた。

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緒川さんと新しいユニットを立ち上げました。どうぞよろしく。

記念すべき一作目は賑やかで誰もが楽しめる作品にしたいと考えています。大企業のワンマン女社長がふとしたことから貧民街で暮らすことになり、そこから巻き起こるあれこれを描くコメディになるはず。

なにしろこんな時代なので、なにかと御不便をおかけするかもしれません。このチラシの写真も、自粛期間中にキャスト各自にスマホで自撮りして頂きました。

やる側も観る側も安全第一で、今でき得る限りの舞台を創りあげられるよう精一杯やります。観に来てくれろ。

作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

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キューブの無料メルマガ会員 cubit clubにて、7月10日より東京公演のチケット最速先行受付をスタート。その後、各プレイガイドでの発売を予定している。

その他詳細は、順次、キューブオフィシャルサイトに掲載予定。

http://www.cubeinc.co.jp

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ケムリ研究室 no.1ベイジルタウンの女神> 公演概要

<スタッフ>

作・演出  ケラリーノ・サンドロヴィッチ

振付    小野寺修二

映像    上田大樹

音楽    鈴木光介

<キャスト> 

緒川たまき 仲村トオル 水野美紀 山内圭哉 吉岡里帆 松下洸平

望月綾乃 大場みなみ 斉藤悠 渡邊絵理 依田朋子 荒悠平

尾方宣久 菅原永二 植本純米 温水洋一 犬山イヌコ 高田聖子

<公演日程>

【東京公演】

9月13日(日)〜27日(日) 世田谷パブリックシアター

※未就学児の入場はご遠慮ください。

※車椅子でのご来場は事前にキューブまでご連絡ください。

<チケット料金>  S席12,000円 A席 8,800円 学生割引席 6000円

<チケット一般発売日>

9/13(日)〜20(日)の公演→8/22(土)発売

9/21(月)〜27(日)の公演→9/5(土) 発売

<お問合せ(東京公演)>

株式会社キューブ03-5485-2252(平日12:00〜18:00) 

http://www.cubeinc.co.jp

<主催> 株式会社キューブ

【兵庫公演】   10月1日(木)〜10月4日 (日)兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール

【北九州公演】

10月9日(金) 18:30開演

10月10日(土) 12:30開演 / 18:00開演

北九州芸術劇場 中劇場

<チケット料金>

一般8,500円

ユース 4,500円(24歳以下・要身分証提示)

高校生(的)チケット 1,500円(枚数限定、劇場窓口にて前売のみ取扱、要学生証提示)

<チケット一般発売> 8月23日(日)

<主催> (公財)北九州市芸術文化振興財団

<企画・製作> 株式会社キューブ

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7月2日、銀座・博品館劇場でミュージカル『BLUE RAIN』が開幕した。1日にはPARCO劇場で三谷幸喜の『大地』が開幕するなど、コロナ禍の公演自粛を経て再始動し始めている演劇界だが、ミュージカルでは本作が再開第一号。出演は吉野圭吾水夏希佐賀龍彦東山光明とのダブルキャスト)、木内健人池田有希子今井清隆。演出は荻田浩一。入場時の検温・消毒、さらに入退場時の混雑を避けるため、座席位置に準じ時間を区切ったりと最大限に感染症対策を講じた上での開場だったが、事前告知もあったためか混乱はなく、無事、開幕した。

前日の激しい雨はどこへやら、からりと晴れあがった空の下での初日となったが、一歩客席に足を踏み入れると、青い水の底に沈んだような世界が広がる。舞台上には、少し汚しの入った透明なアクリル板やビニールシート。飛沫感染対策を組み込んだセットだが、雨に濡れたガラスのような、あるいは水槽の壁面のようなそれは、それだけで美しい。客席内も、ひとつ置きに間隔をあけた座席に加え、席と席のあいだにはパーテーションもしつらえられている。ビニールの仕切りが立ち並ぶ客席は、今まで劇場で見たことのない光景ではあるが......これが奇妙に舞台美術とリンクし、観る側も、水槽の中に沈んだかのような錯覚に陥る。客席の仕切りはおそらく舞台セットとは関係なく用意されたものであろう、だが劇場とは不思議な効果が生まれるものだ、と、こんなところから"劇場の力"を認識する。

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作品は、日本でも『SMOKE』がスマッシュヒットした韓国の気鋭の作家コンビ、チュ・ジョンファ(作演出)&ホ・スヒョン(音楽)が2018年に制作したもの。日本ではこれが初演となる。ドストエフスキーの名作『カラマーゾフの兄弟』をベースに舞台を1990年後半のアメリカ西部に移し変え、強欲な富豪・ジョンが殺害された事件の真相をたどっていくミステリー仕立てのストーリー。その中で、家族間での猜疑心や愛憎の葛藤、神と悪魔の存在についての問い、傷を負った人間たちの孤独などを複層的に描き出す。ジョンファ氏の描く作品は人間が心の奥底に抱く感情を深く抉ることから"ハマる"と称されることが多いが、本作もやはり、人間の根源的在り方を問うような奥深さと熱がある。スヒョン氏の美しく哀愁ある音楽と相まって、中毒性の高そうなミュージカルだ。

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6人のキャストも、それぞれが熱演。犯人と目される長男テオを演じるのは吉野圭吾。粗暴であるが情に深く、誰よりも傷つきやすい繊細な青年を、激しくも切ない叫びの中で作り出している。その恋人であるクラブ歌手・ヘイドンを演じるのは水夏希。こちらもひとりでは立っていられなさそうな寂し気な女性像が切ない。吉野と水の"大人カップル"が、大人であるがゆえのピュアな愛を丁寧に描き出していて、魅力的だ。ふたりの歌うテーマ曲「ブルーレイン」も美しく心に沁みる。テオとは母親違いの弟で、優秀な弁護士であるルークは佐賀龍彦と東山光明のダブルキャスト。初日の公演は佐賀だったが、弁護士らしく論理的・理性的であろうとしながら、だんだんと混乱していくルークを、時に持ち味である美声をゆがませながら熱演。一方で東山は(※前日のゲネプロで観劇)、すっとした立ち姿に切れ者弁護士らしい説得力がありながら、感情の起伏が激しくいらだちも隠さない役作りで、父や兄と同じ血が流れていることを強く感じさせるルークだ。使用人サイラスを演じる木内健人は、後半のソロナンバーからの爆発が圧巻。この人のくせのない綺麗な歌声が、いっそう悲しみを増幅させる。家政婦エマを演じる池田有希子は、持ち味であるポジティブさと懐の深さがマッチし、作品の良心をしっかり描き出した。そして誰からも憎まれる一家の主・ジョンは今井清隆。感情を揺らしぶつける若者たちに対し、誰よりも響く、びくともしない歌声で対抗。どっしりと作品を貫いた今井の存在なくしては、この作品の成功はなかっただろう。その今井ジョンの"血"に囚われ、父と似たところを自分の中に見つけてはおびえ、そこから逃げようともがく息子たちの姿は、つまりは過去のしがらみを乗り越えようと戦う人間の姿だ。闇にもがき、その戦いにやぶれてしまう人もいるが、最後に少し見える光が、ことのほか明るくあたたかく感じられる。


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また、冒頭に述べた、透明の仕切りを効果的に使った舞台美術は、"withコロナ"の時代に即したセットであることは間違いない。実際、俳優が向き合って怒鳴りあうシーンなどは必ず間にこのセットが挟まれ、飛沫感染リスクに気を遣っているのであろうことがわかる。ただ実は、物語が進むにつれ、このセットの意図や、使い方の巧みさすら、あまり意識しなくなっていった。作中、登場人物が水槽の中にいる魚を見て、雨が降っていても水の中は関係なく自由だと彼らをうらやむシーンがある。アクリル板を挟み、どちらが中でどちらが外なのか? 水槽の中に入れられ観察されているのは一体誰なのか? そして水槽の中と外、どちらが自由なのか? ......透明な仕切りを挟み感情をぶつけあう彼らの姿に、そんなことに思いを馳せる、純粋なる演劇体験が味わえた。それは繊細な表現に定評のある荻田の演出の力と、キャスト陣の魂からの演技ゆえだろう。

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初日の公演は、本来の客席からすれば半数の人数とは思えない観客の、大きな、とても大きな拍手の中、終了。この日はカーテンコールでキャストからの挨拶も。「開演前の注意事項のアナウンスが長くて、こんなにお客さまにご協力をいただかなくてはいけない状況になってしまったんだなと思うと胸がいっぱい。でもこうやって公演にこぎつけたこと、本当に感謝しています」(池田)、「皆さまがいらっしゃるからこそ、私たちは舞台ができる」(水)、「これが新しい舞台、ミュージカルのスタートになることを心から祈っています」(佐賀)、「劇場やスタッフが、できるだけの対策をとって、上演に向けて務めてくれた。なぜ舞台をやりたいかというと、皆さんの喜ぶ顔が見たいから。全員そういう思いでやっています。まだ先はどうなるかわからない状況なので一回一回、死ぬ気でやります」(吉野)等々、みな、感無量の面持ちで、舞台を上演できることの喜びと感謝を語った。「新しい生活様式」を求められている今、舞台芸術も今までとは違う上演形態が求められている。正直なところ「新しい演劇様式」とは何なのか、どういったものが正解なのかはわからない。誰もが手探りでそれを探している最中だろう。ただ、それでも劇場で作品を上演したい、劇場で観劇をしたいという人々の思いが結集して、大きな混乱もなく、この日の幕は開いた。来場客は客席やロビーでの会話も控え、とても静かな空間だった。その静謐さの中にこそ、演劇を愛する人々の熱い思いが感じ取れた一夜だった。

東京公演は7月12日(日)まで、博品館劇場にて。7月22日(水)には大阪・シアタードラマシティでも上演されるほか、オンラインでは実際の開演時間と同タイミングでのライブ配信(Wキャスト両名の初日・楽日/詳細は公式HP:http://g-atlas.jp/bluedramatico/)、収録配信もある。いずれもチケットは発売中。

(取材・文:平野祥恵)

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7月2日(木)に銀座・博品館劇場で開幕するミュージカル『BLUE RAIN』。このコロナ禍の公演自粛期間を経てチラホラと再始動し始めている演劇界だが、その中でも先陣を切って開幕する新作ミュージカルだ。6月末、その稽古場を取材した。出演は吉野圭吾水夏希佐賀龍彦東山光明木内健人池田有希子今井清隆。演出は荻田浩一

6月末の某日に取材に行った稽古場所は、東京公演本番の会場である博品館劇場。と言っても、セットが建て込まれたいわゆる"舞台稽古"ではなく、仮のセットで、俳優たちも衣裳ではなく稽古着だ。まず目に飛び込んでくるのは、俳優たちのいでたち。マスクの上にフェイスガードという、二重のガードがとられている。どうやら出演場面以外に待機する客席の居場所も、お互い距離をとった上で、座る場所が固定されている様子。簡易楽屋的になっているロビーも、一席ごとにアクリル板の仕切りが用意されている。3月以前の現場とはまったく違うその稽古風景に、感染防止に最大限に気を遣い、"withコロナ"の時代に上演を実現させようとするカンパニーの切実たる思いがひしひしと伝わってくる。

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作品は、ドストエフスキーの名作『カラマーゾフの兄弟』をベースに、舞台を1990年後半のアメリカ西部に移し変えたもの。今井清隆扮する強欲な富豪の殺害を軸に、一家の愛憎が描かれていくサスペンスだ。舞台上にある仮のセットは、可動式のビニールシートのパーテーション。この時期の上演となることで、それまで予定していたセットプランを変更し、このような形の美術となったそう。仮のものであるため全貌はまだわからないのだが......それでも、この「透明な仕切り」が、非常に効果的に作品に組み込まれているのがわかる。犯人と目される吉野扮する長男が拘留されている場面では、そのままその仕切りが面会室のアクリル板になるし、時には対立する人々の心の距離を表すメタファーになったり、もしくは自分のこころを防御する盾になったりもする。演出の荻田の手腕が光る。

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キャストも、憎しみと猜疑心と苦しみと愛が混然一体となったこの激情の物語に、熱い情熱を注ぎ込む。朗々とした歌声を響かせる今井は、その揺るぎない存在感で憎々しい父親ジョンを表現。容疑者筆頭の長男テオに扮する吉野は父への憎しみを切ない叫びでぶつけ、その恋人ヘイドンを演じる水は寂し気な立ち姿と哀愁のある歌声で、新境地を見せてくれそうだ。弁護士である次男ルークをダブルキャストで演じる佐賀と東山、使用人サイラスに扮する木内、家政婦エマ役の池田らもその実力を存分に見せ、マスク越しでもキャラクターがクリアに際立つ。6人という少人数編成でのミュージカルだが、それぞれの個性が光り、見ごたえのある作品になりそうだ。その上で演出の荻田からは「もっとダイナミックに」という注文がついていたので、さらにパッショネイトなものになっていくだろう。

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メロディアスな音楽も印象的で、やはり劇場で聴く生の音楽は良いものだと再認識。実力派が揃った6人(7人)が、ソロナンバー以外にもコーラスでも大奮闘。歌唱指導の治田敦からは「コーラスでも、それぞれソロのように遠慮なく歌って」とリクエストが。火花を散らしあう表現は、近寄って掴みあうだけではない。観客の想像力を得て、飛翔するドラマが生まれそうだ。

公演は7月2日から7月12日まで東京・博品館劇場、7月22日 大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて。チケットは発売中。

取材・文:平野祥恵

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2020年初頭から全世界を巻き込み、私たちの日常を一変させた新型コロナウィルス。
この影響で、エンタテインメント界も多大なる大打撃を受けてしまっています。
演劇では、2月26日に政府が出した「大型イベントの自粛要請」以降、3月末に発令された「緊急事態宣言」を経て3~4ヵ月、ほとんどの公演が中止に。劇場は休眠してしまっています。
この業界に関わる者は個人、団体、企業、すべての人間が経済などの面で、大小の差はあれどダメージを受けています。

そんな演劇界を支援しようと、いま、様々な動きが多数立ち上がっています。
そのうちのひとつ、<舞台芸術を未来に繋ぐ基金>、通称<みらい基金>は、活動停止を余儀なくされた舞台芸術に携わる出演者・クリエーター・スタッフに対して今後の活動に必要な資金を助成する公益基金

スタート時はクラウドファンディングでの支援を募りますが、その後も長期的に活動を続けていく基金であることが公言されています。

200人(団体)を超える俳優、スタッフ、関係者が<賛同人>として名を連ねるこの基金では、その多彩な賛同人たちが無償ボランティアで出演するオリジナル配信プログラム、MiraiCHANNEL(YouTubeにて配信)が活発なのも特徴。
その内容もまた、演劇の基本的知識(ex:制作とは?舞台監督とは?)からオンラインレッスン、演劇と社会のかかわりの上で必要なもの(ex:法律)とバラエティに富んでいます。

みらい基金発起人のひとりであるconSeptの宋元燮さんによると、<MiraiCHANNEL>自体は教育バラエティチャンネルで、「楽しみながら学んでもらう」ということを目的としているそう。楽しく学んで<みらい基金>へ繋がれば、ということですね。
このコロナ禍で演劇界でも様々な配信、新しいチャンネルが誕生していますが、「ただ楽しむだけではない」というところがあまり他ではみられない特徴です。

このMiraiCHANNELの6月特番に、俳優の井上芳雄さんが登場。
内容は、以前より井上さんが提言していた「日本にも、トニー賞のような賞があればいいのに!」ということをテーマにゲストと話し合うもの。

6月27日(土)13時に初回配信、その後もアーカイブで見ることができます。

 
今回げきぴあはこの収録の様子を取材。
ひと足先にその内容を、チラリとご紹介いたします!
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まず井上さんが<みらい基金>の賛同人として手を挙げたことについて。
ご自身も『桜の園』『エリザベート』と、2本の公演が中止になり、ほかにもコンサートが延期になるなど大きな影響がある中「自分もいろいろ考えた」と井上さん。

「特に若い出演者やスタッフの皆さん、もちろん自分たちも含め、困った人も多くいただろう」と語り、その中で何かできないかと思っていたことと、この基金の活動が一致したので賛同した、と話します。

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