ナイロン100℃を主宰し、劇作家、演出家、音楽家、映画監督など多彩な顔を持つ、ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)

劇団公演、プロデュース公演、ユニット公演など、舞台作品を、精力的に、立て続けに創作している。そのKERAが、2020年、新たなユニットを結成する。

共にユニットを立ち上げるのは、女優・緒川たまき

ユニット名は、その名も「ケムリ研究室」

ケムリの向こうに立ち上がるのは、果たして何色の景色だろうか。

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今回、KERAと緒川は、記者向けのオンライン映像で、ユニット結成披露を行ない、立ち上げの経緯や、今後の構想など熱く語った。

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KERAが「創作のパートナー」と公言する緒川と、今回改めて、共同企画者として作品作りをスタートさせるが、ユニット立ち上げは、5、6年程前から構想し、準備に時間をかけて結成に至った。

「ケムリ研究室」というユニット名は、実験基地を想起させる"研究室"と、2008年上演『シャープさんフラットさん』の、KERAが自身を投影したキャラクター"辻煙"にちなんで名付けられたとのこと。

また、9月上演予定となる、ユニット旗揚げ第一回新作公演『ベイジルタウンの女神』の上演も発表された。

出演には、緒川たまきの他、仲村トオル、水野美紀、山内圭哉、吉岡里帆、松下洸平、尾方宣久、菅原永二、植本純米、温水洋一、犬山イヌコ、高田聖子など、強力な話題のキャストが集い、「ケムリ研究室」の立ち上げを華々しく飾る。

KERAは「作風は、公演ごとにバラバラになると思います。旗揚げ作品『ベイジルタウンの女神』は『キネマと恋人』同様、間口の広い誰でも楽しめる作品になると思います。ふとした事から貧民街で暮らすことになった、俗世知らずの女社長を巡るコメディです。頭の中には3本分位の構想があり、年一本か少なくとも二年に一度のペースで公演を打ちたいと思っています。

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緒川さんは、今回ユニットの企画者、主宰者ですので、若干今までと心持ちが違うと思います。世の中の方が目にしていない緒川たまきさんもいっぱいいるような気がしていますし、年輪を重ねて若い時には見せてこなかった幅も、もっと見せたいと思います。

できる限りのことをやっていきたいと思っています。是非とも客席で、お会いできることを楽しみにしています。」と抱負を語った。

 

緒川たまきは、「KERAさんが得意とされる群像劇以外でも、短くて少人数のお芝居など、今まであまりやって来なかったものも出来たらいいなと思っています。演劇と映画の繋がり方なども追求していきたいと思います。秋の新作も、演劇ファンのみならず、映画ファンの心もくすぐるようなものになればいいなと考えています。

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皆様にお届けできるように頑張りたいと思います。そして劇場でお芝居を見るということを楽しんでいただける状況になっていることを祈っています。」

とユニットへの意気込みを語った。

KERAと緒川たまきの創作のラボラトリーがどんな実験作を生み出すか、期待は尽きない。

詳細は順次、キューブオフィシャルサイトで確認。

http://www.cubeinc.co.jp

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ケムリ研究室 no.1ベイジルタウンの女神> 概要

<スタッフ>

作・演出  ケラリーノ・サンドロヴィッチ

振付    小野寺修二

映像    上田大樹

音楽    鈴木光介

<キャスト> 

緒川たまき 仲村トオル 水野美紀 山内圭哉 吉岡里帆 松下洸平

望月綾乃 大場みなみ 斉藤悠 渡邊絵理 依田朋子 荒悠平

尾方宣久 菅原永二 植本純米 温水洋一 犬山イヌコ 高田聖子

<上演時期>

2020年9月 東京公演

2020年10月 各地公演予定

<企画・製作>

株式会社キューブ

<お問合せ(東京公演)

株式会社キューブ 03-5485-2252(平日12:00〜18:00) 

http://www.cubeinc.co.jp

島田歌穂 「Musical, Musical, Musical!!」 第2弾の開催決定!

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~「聴く」「学ぶ」「歌う」のすべてを体験する、特別な時間~スペシャルゲストに山崎育三郎

ミュージカル『レ・ミゼラブル』の世界ベストキャストに選ばれ、エリザベス女王の前で歌を披露した島田歌穂。ミュージカル界のレジェンドが、"ミュージカルの楽しさ"を伝える、まったく新しい特別な時間を贈る大人気公演の第2弾の開催が決定した。

「聴く」「学ぶ」「歌う」のすべてを体験する「Musical, Musical, Musical!!」シリーズは、「今までにない新しい形で、沢山の方にもっともっとミュージカルを好きになっていただきたい!」という島田歌穂の想いを形に、2019年夏にスタート。ミュージカルファンの期待を胸に始まった第1弾では、島田歌穂自身が選ぶ、ミュージカルの名曲のほか、スペシャルゲストも登場し、この日にしか見ることのできない特別なステージを届けた。続いて新しい挑戦となった「学ぶ」のコーナーでは、島田歌穂の代表作「レ・ミゼラブル」初演時の稽古場裏話など、ファンにはたまらない貴重なトークを展開。さらに大阪芸術大学教授も勤める島田歌穂直伝の、歌うための「呼吸法」や「発声法」を学び、最後には会場全員で「星に願いを」の大合唱。

来場者からは「久しぶりに本物だと心に響き、涙が止まらなかった」「今日のことは一生忘れない!」「とても大切な時間。言葉で表現できない」などの声が集まり、会場は二度とない感動の一体感に包まれた。

第1弾終演後、この感動のステージをぜひシリーズ化してほしい、という多数の要望が寄せられ、2020年夏、渋谷Bunkamuraオーチャードホールにて第2弾の開催が決定。折しも世界的イベントを目前に控える7月5日、ミュージカルの名曲で世界を一周する。また、スペシャルゲストに山崎育三郎も登場。日本のミュージカル界の先頭を走るプリンスとレジェンドによる「一夜限りのスペシャルステージ」は必見だ。

さらに、前回も大好評を博した「学ぶ」「歌う」のコーナーは、「身体で感じるミュージカル」をテーマに、島田歌穂の溢れ出るアイデアで、ステージと客席がひとつになる瞬間が作り上げられる。

ミュージカルが大好きな人も、ミュージカルを知らない人も。いつもの劇場では味わえない、それ以上の「ミュージカルの世界」を一緒に体験してほしい。

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<<島田歌穂からのメッセージ>>

「ミュージカルの名曲を、魅力を、楽しさをたっぷりとお届けする体験型コンサートです。

ぜひこのコンサートならではの特別なひと時をご一緒にお過ごしください!」

【公演概要】

開催日:2020年 7月5日(日) 18:00開演(17:15開場)

会 場:Bunkamuraオーチャードホール  住所/東京都渋谷区道玄坂2丁目24-1

チケット料金:S席8,000円、A席6,000円、プレミアムシート(特別企画への参加特典付き)30,000円(全席指定/税込)

※プレミアムシートはチケットポートでのみ取り扱い(電話のみ)

※未就学児のご入場はご遠慮ください。

お問い合わせ:チケットポート 03-5561-9001[平日10:00~18:00]

出 演:島田歌穂、島健 & The Happy Fellows、スペシャルゲスト 山崎育三郎

  [音楽監督] 島健 [構成・演出]下山啓 [振付・ステージング]広崎うらん

主催・企画:ANY(J:COMグループ)

制作:エピモッソ

古田新太が座長をつとめKERA(ケラリーノ・サンドロヴィッチ)が作・演出を担う"KERA×古田"企画


6月〜7月公演予定の新作『欲望のみ』は、"ブラック・コメディ"と銘打ち、古田新太小池栄子秋山菜津子大東駿介大倉孝二犬山イヌコ山西惇ほか、剛腕の俳優陣が顔を揃える。


この度、公演チラシ、及び、全キャストの宣伝ビジュアルが公開された。


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公演は、6/18〜7/12下北沢 本多劇場、7/16〜7/19兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール兵庫にて
予定。但し、慎重に状況判断の上、開催を検討中とのこと。(6/13〜14豊橋 プレビュー公演は開催中止)

今後の詳細は、キューブHP http://www.cubeinc.co.jp 他各地主催者HPにて確認して欲しい。

 

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----------------------公演情報----------------------
cube presents 『欲望のみ』
作•演出: ケラリーノ•サンドロヴィッチ
出演: 古田新太 小池栄子 秋山菜津子 大東駿介 近藤公園 尾上寛之 板垣雄亮 小柳心 福地桃子
大倉孝二 八十田勇一 入江雅人 犬山イヌコ 山西惇
【東京】2020年6月18日(木)〜7月12日(日) 下北沢 本多劇場
     チケット一般発売予定 5月16日(土)
     詳細:キューブ  http://www.cubeinc.co.jp
【兵庫】7月16日(木)〜7月19日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
    チケット一般発売予定 5月24日(日)
    詳細:芸術文化センターチケットオフィス http://www.gcenter-hyogo.jp
※公演中止
【豊橋】プレビュー公演 6月13日(土)〜6月14日(日)
    穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール


企画・製作:キューブ

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5月9日(土)から17日(日)まで東京・シアターサンモールにて舞台『インディゴの夜』が上演されます。

『インディゴの夜』は、加藤実秋による大人気ミステリー小説シリーズ。一風変わったホストクラブ「club indigo」を舞台に、ひとクセもふたクセもある個性的なホスト達が、身の回りで次々と起こる事件を解決していくストーリーです。演出・脚本は「TAIYO MAGIC FILM」主宰の西条みつとし氏が手掛けます。舞台公式サイトはこちら

本作にテツ役として出演する阿部快征さんTKO(たけお)役の佐藤信長さんにお話をうかがいました。

*****

――『インディゴの夜』に出演が決まっていかがですか?

佐藤 僕はナンバーワンホストの役なのですが、そういう「俺、カッコいいだろ?」という役をやったことがなかったので、楽しみだなと思いました。でも台本をいただいて読んでみたら、思ったほど"完璧"じゃないというか。人間臭いところもあったので、尚更楽しみになりました。
阿部 ホストクラブの話と聞いて、劇場がホストクラブみたいになればいいなとか、お客様も巻き込んでいけたらとか、そういうことを考えていました。ホストの振る舞いもこれから研究したいです、ローランドさんとかから。

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――ローランドさんはだいぶ濃いですね(笑)。脚本を読んでいかがでしたか?

佐藤 僕はミステリーが好きなので、脚本を読んだだけで引き込まれる作品でした。舞台で演じるのが楽しみだなって。
阿部 どちらかというと事件にまつわるエピソード中心で描かれているなという印象でした。その中で、僕らがホストであることはこの作品のベースだと思いますし、役作りでキャラクターを出していく必要があるんだろうなと思いました。

先日、主催公演であるミュージカル『HUNDRED DAYS』(藤岡正明、木村花代出演)の中野公演を新型コロナウィルスの影響で中止した企画会社conSeptが、過去作の一部を期間限定で配信することを発表した。

詳細は下記。


●配信期間:2020年4月1日~30日

●配信予定作品:
『In This House~最後の夜、最初の朝~』2018初演版
『いつか~one fine day』
『In This House~最後の夜、最初の朝~』2019再演版
※In This House 2019再演版の映像は販売中のDVDとは別会場のものとなります。
※配信は有料となります(1回のレンタル購入で48時間ご覧いただけます)。
※動画は観客席最後部からカメラ1台の定点で撮影されたものです。

視聴方法等のより詳しい情報は配信サイトよりご確認を。
www.conseptmovie.com


なお、今回の配信の収益は出演者、クリエイターに還元するのみならず、COVID-19対策現場にも一部寄付をするという。配信にいたる経緯、思いを代表の宋元燮氏がブログに記しているので、そちらもご一読されたい。
https://www.consept-s.com/blog/2020/03/31/3272/

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【開幕ニュース】

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花屋で働く冴えない青年が手に入れた奇妙な植物。不思議な魅力があるその植物は、水ではなく人間の血を要求してきて......。1960年の同名ホラー映画を『美女と野獣』『アラジン』などを手掛けた名コンビ、ハワード・アシュマン(脚本・歌詞)とアラン・メンケン(音楽)がミュージカル化した人気作『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』が、久々に日本で上演されている。主演をWキャストで務めるのは、鈴木拡樹三浦宏規。今をときめくイケメン若手俳優のふたりが、なんとも冴えない青年をチャーミングに大熱演。新型コロナウィルス感染対策により当初の予定より1週間後ろにずれ、3月20日が初日となったが、ナンセンスなホラーコメディで、鬱屈した空気をパワフルに笑い飛ばしている。
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古田新太が座長をつとめKERA(ケラリーノ・サンドロヴィッチ)が作・演出を担い、4,5年に1度のペースで上演されてきた"KERA×古田"企画。このタッグが、6月、下北沢 本多劇場に帰ってくる。2016年の『ヒトラー、最後の20000年〜ほとんど、何もない〜』まで3作に渡って"ナンセンスの極致"と言える作品を上演してきたが、今回、従来の"ナンセンス3部作"とは異なる、"ブラック・コメディ"に挑む。

古田新太小池栄子秋山菜津子大東駿介大倉孝二犬山イヌコ山西惇ほか、剛腕の俳優陣が顔を揃え、KERAの書き下ろし新作となる強力な布陣の今作の、古田新太と小池栄子のビジュアルが公開された。

ともに、作・演出のKERAの今公演に向けたコメントも届いた。

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<作・演出 ケラリーノ・サンドロヴィッチ コメント>

古田新太を座長に据えた愉快なチームで2007年から2016年にかけて作った3本のデタラメなコメディは、私にとってそれはそれは大切な人生の宝物です。

が、同じメンバーに新たなキャストをジャンジャカ加えた座組でお贈りする新作は、あれらとはまた別種の喜劇。ナンセンス・コメディではありません。それが良いこととは言いませんが、なにしろ今回はストーリーがあるのです。無理矢理ジャンル分けするなら「ブラック・コメディ」ということになりましょうか。

久々に酷い人間が大勢出てくる芝居になりそうなものの、稽古場での作業は優しく労わり合いながら、丁寧に行いたいものです。仕上がりについては、多少の不快さを感じさせる代物になる予感は拭うに拭えません。そうは言ってもきっと今の現実の世の中ほどではないので、よろしくお付き合いのほどを。                     (チラシコメントより)                       

                                                     

----------------------公演情報----------------------

cube presents 『欲望のみ』

作•演出: ケラリーノ•サンドロヴィッチ

出演: 古田新太 小池栄子 秋山菜津子 大東駿介 近藤公園 尾上寛之 板垣雄亮 小柳心 福地桃子

大倉孝二 八十田勇一 入江雅人 犬山イヌコ 山西惇

【豊橋】<プレビュー公演> 2020年6月13日(土)〜6月14日(日) 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール 

料金:(全席指定・税込) S席:8,000円 A席:7,000円 B席:5,000円 U25(B席):2,500円 高校生以下(B席):1,000円

チケット一般発売日:4月25日(土)

問い合わせ:プラットチケットセンター TEL 0532-39-3090(10:00〜19:00休館日を除く) http://toyohashi-at.jp

【東京】2020年6月18日(木)〜7月12日(日) 下北沢 本多劇場  

     料金: (全席指定・税込) 8,500円(前売当日共) 学生割引券 4,500円(チケットぴあ前売のみ取扱)

     チケット一般発売日:4月18日(土)

     問い合わせ:キューブ 03-5485-2252 (平日12:00-18:00)  http://www.cubeinc.co.jp

【兵庫】2020年7月16日(木)〜7月19日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール

    料金:(全席指定・税込) 9,000円

    チケット一般発売日:4月26日(日)

    問い合わせ:芸術文化センターチケットオフィス 0798-68-0255 (10:00-17:00 月曜休み ※祝日の場合翌日休み)

    http://www.gcenter-hyogo.jp

企画・製作:キューブ

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4月に上演されるミュージカル『VIOLET』

梅田芸術劇場が英国チャリングクロス劇場と共同で演劇作品を企画・制作・上演する本作は、演出家と演出コンセプトはそのままに「英国キャスト版」と「日本キャスト版」を上演する日英共同プロジェクトの第一弾です。(詳しくはコチラhttps://www.umegei.com/schedule/820/

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演出を手掛けるのは、藤田俊太郎氏。19年1~4月に現地のキャストとつくりあげた「英国キャスト版」は大好評を得て、オフ・ウエストエンド・シアター・アワードでも6部門にノミネート。中でも日本人演出家の作品が栄誉ある「作品賞」候補に選ばれる快挙となりました!

そんな注目作の「日本キャスト版」稽古がいよいよスタート。稽古に先がけて行われた、藤田さんによる事前レクチャーの様子をお届けします。

***

<あらすじ>

1964年、アメリカ南部の片田舎。幼い頃、父親による不慮の事故で顔に大きな傷を負った白人のヴァイオレット(唯月ふうか優河 ※Wキャスト)は、25歳の今まで人目を避けて暮らしていた。しかし今日、彼女は決意の表情でバス停にいる。あらゆる傷を癒す奇跡の"テレビ伝道師"に会うために。西へ1500キロ、願いを胸に人生初の旅が始まる。

長距離バスの旅でヴァイオレットを待ち受けていたのは、さまざまな人と多様な価値観との出会いだった。ヴァイオレットの顔を見た途端目を背ける人々、白人兵士モンティ(成河)と黒人兵士フリック(吉原光夫)、追憶の中の父親(spi)、伝道師のアシスタントのヴァージル(横田龍儀)、テレビ伝道師(原田優一)、南部出身で白人の老婦人(島田歌穂)、......その出会いにより、ヴァイオレットの中で少しずつ変化がはじまる。長い旅の先に彼女が辿り着いたのは――

***

▽自らアメリカ南部を旅して、感じたことを伝える演出の藤田さん

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「僕は2年ほど前に、この作品の舞台であるアメリカ南部を旅してきました。その写真を見せながら、どんなことを感じたか、どう作品に結び付いていくのかを話していきたいと思います」と藤田さん。ヴァイオレットと同じように、彼女の地元であるノースカロライナ州の"片田舎"スプルースパインから「グレイハウンド・バス」(劇中の主な舞台となる長距離バス)に乗り、ナッシュビルやメンフィスを経由して、"伝道師"がいるオクラホマのタルサに行くまでの道のりを、たくさんの写真のスライドショーと共に紹介されました。その中からいくつかピックアップしてご紹介します!

◎ヴァイオレットの町/スプルースパイン

▽ヴァイオレットの住む家のイメージに近いという家 

(撮影・藤田俊太郎)

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まず紹介したのはスプルースパインの町の様子。日本からこの町まで行くのは大変な道のりで、藤田さんはこの旅で日本人とは一度も遭遇しなかったそうです。

ここで早速、吉原さんから質問。「スプルースパインってどんな感じなの?」

日本で例えると、ズーズー弁の東北のような存在です北海道や沖縄ではなくて、(本州と)地続きの"地方"のイメージ。若者もあまりいません。過疎は進んでいます」と藤田さん。アメリカ南部は白人の貧困率が非常に高いエリア。閉鎖的な雰囲気は今もあるそうで、藤田さんは「僕が日本人というのも大きいけど、スプルースパインではほとんど誰とも話してないです」と、町行く人に話しかけても目を背けられた経験を紹介されていました。

▽黒人兵士を演じる吉原光夫さん

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◎ヴァイオレットがさまざまな人と出会った長距離バス/グレイハウンド・バス

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▽バスの中でカメラを向けると笑顔で応える乗客の方

(撮影:藤田俊太郎)

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ヴァイオレットと同じバスに乗った藤田さん。移動の中で出会った人の話や、休憩時間におばあさんからコーヒーを買いに行かされた話、バスなのに雨漏りした話、深夜の休憩所で他の乗客が寝る中、藤田さんは3日目まで眠れなかった話、それぞれの町で見た景色など、たくさんのエピソードを紹介されていました。台本の文字だけでは見えてこない景色、ヴァイオレットの旅の空気が共有されます。

▽主人公のヴァイオレット(Wキャスト)を演じる唯月ふうかさん

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▽主人公のヴァイオレット(Wキャスト)を演じる優河さん

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ちなみに移動距離は「東京から福岡までの2倍くらい。だから3日くらいで行けます。アメリカの1/3を横断するようなイメージです」だそう。でもバスで3日間と考えると、けっこう大変な旅ですよね~。

◎ヴァイオレットが会いに行く"テレビ伝道師"/オーラル・ロバーツ大学

▽多くの学生が熱心に聞き入る祈りの時間(撮影:藤田俊太郎)

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▽学生達が祈りを書いた紙が貼りつけられた十字架

(撮影:藤田俊太郎)

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ヴァイオレットが旅に出た理由は、テレビ伝道師(テレビを使って宗教を伝える伝道師)に会って顔の傷を治してもらいたいから。その伝道師のモデルであるオーラル・ロバーツは、"信者の傷に触れると治る"などの様子をテレビで放送した人物です。劇中でヴァイオレットが伝道師と会うのはオクラホマですが、藤田さんはその人が建てた「オーラル・ロバーツ大学」に行ってみたそう。すると、なんと偶然"祈りの時間"に立ち会うことができたそう。すごい!

写真に写っていたのは、伝道師の演説に集中し、涙を流す学生たち。それはなかなかの迫力ですが、藤田さんとキャストの皆さんは「この大人数だからそう感じるのではないか」「何かを信じる、という感覚は特別ではない」などと話し合われていました。

▽ヴァイオレットの父親を演じるspiさん

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▽奇跡のテレビ伝道師を演じる原田優一さん

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◎差別の歴史/公民権博物館

▽人種差別の最も激しかったアラバマ州で爆破されたバスの再現(撮影:藤田俊太郎)

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1964年を舞台にしたこの作品。藤田さんは「差別は前提としてある」と言い、メンフィスにある公民権博物館(ナショナル・シビルライツ博物館)に展示された、キング牧師が暗殺(1968年)された部屋の再現や、差別行動の過激化で爆破されたグレイハウンド・バスの再現などの写真を見せ、米国で黒人が辿ってきた苦難の歴史も説明されました。ヴァイオレットが公民権運動をしたわけではないですが、時代背景として大事な話です。また、ヴァイオレットのような"南部の白人"の貧困問題についての説明も。そのときに語られた「黒人は一致団結して差別に打ち勝とうというコミュニティがあったけど、白人にはそれがない」という視点も印象的でした。

「差別」については、実際に藤田さん自身が経験した人種差別のエピソードも交えながら詳細に語られていて、この作品のベースとして大きなものなんだということを感じました。

▽テレビ伝道師のアシスタント役を演じる横田龍儀さん

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▽ミュージックホール・シンガーを演じるエリアンナさん

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他にも、作品に出てくるさまざまな場所を写真と共に紹介して、スライドショーは終了。藤田さんは「ロンドンで上演するとき、僕はカンパニーの皆さんに『観客がヴァイオレットなんです』という話をしました。観客がヴァイオレットと共に旅をして、いろんな人と出会って、価値観が変わっていくという作品。でもそれから約1年経ち、もうそんなことも言えない時代になっていると思います。今は僕は、個人の話だと思います。顔の傷がなくなるんじゃないかと一歩踏み出したヴァイオレット、ベトナム戦争の恐怖と戦いながら旅をした白人兵士のモンティ、当時"変わらない"と思われた価値観の中に生き、格闘し、苦悩した黒人のフリック。そういう人たちがたまたま同じバスに乗って旅をする話。前提に"差別"があり、その中でヴァイオレット、モンティ、フリックが他者と出会いながら、人間になっていく作品だと僕は思っています」と構想を語りました。

▽リロイを演じる森山大輔さん

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▽ルーラを演じる谷口ゆうなさん

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▽南部出身の白人の老婦人を演じる島田歌穂さん

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▽ヤングヴァイオレット役(Wキャスト)の稲田ほのかさん

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▽ヤングヴァイオレット役(Wキャスト)のモリス・ソフィアさん

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今回の解説を聞いて、これからこの作品がどんなものになっていくのか、キャストの皆さんがどう役をつくり上げるのか、一気に楽しみになった約2時間。さらに舞台の四方を客席が囲む構造や、「白人の音楽で始まり、黒人の価値観が混ざり、最後にゴスペルになる」(藤田)という音楽も楽しみな作品です。


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ミュージカル『VIOLET』は4月7日(火)から26日(日)まで東京芸術劇場プレイハウスにて上演されます。お楽しみに!

取材・文:中川實穗

撮影:藤田亜弓


★終演後アフタートークショー

4月11日(土)16:00公演 優河×吉原光夫/MC藤田俊太郎

4月12日(日)16:00公演 唯月ふうか×藤田俊太郎 

4月14日(火)18:30公演 唯月ふうか×吉原光夫×島田歌穂/MC原田優一

4月16日(木)18:30公演 spi×横田龍儀/MC原田優一

4月18日(土)16:00公演 吉原光夫×原田優一

4月21日(火)18:30公演 成河×藤田俊太郎

4月23日(木)14:00公演 成河×吉原光夫  

※登壇者は急遽変更になる場合もございます。予めご了承くださいませ。

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今年7月に上演されるミュージカル『四月は君の嘘』
2014-15年にはアニメ化、2016年には実写映画化もされた新川直司による同名マンガが、世界で初めてミュージカル化されます。

作品は、若き音楽家たちが成長していく姿を甘酸っぱく切なく、カラフルに描いた青春物語。
作詞・作曲にフランク・ワイルドホーン、編曲にジェイソン・ハウランドというブロードウェイの第一線で活躍しているクリエイターを起用する本作は、本公演前にワークショップを重ねる"ブロードウェイ方式"で作り上げています

先日、本作上演に向けてのワークショップ&試演会があったことをレポートしましたが、この試演会に参加した木村達成さん、音楽を担当したフランク・ワイルドホーンさんにはお話も伺ってきましたので、今回はそのインタビューをお届けします!

主人公・有馬公生役の木村さんには、試演会終了直後、興奮さめやらぬ中でお話いただき、フランク・ワイルドホーンさんには別日にじっくりお話を伺ってきました!
(※公生役は木村さんと小関裕太さんのWキャストです)

【ワークショップ&試演会レポートは →コチラ】

★ 木村達成 INTERVIEW ★

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―― 試演会お疲れ様でした。いま現在の率直な気持ちは?


「(笑顔で)やっと終わった! という気持ちが少しあります。まだ本番は先なのですが、まずは一回、全部作り上げたので。この10日間は濃密で、みんなで頑張っていましたので、とりあえず今は心からほっとしています」
 
 
―― この『四月は君の嘘』、"ブロードウェイ方式で作る" という表現をされています。こういった、本公演よりずっと前にワークショップをやって......という作り方は、木村さんも初めてですよね?

「はい、初めての経験です。楽しかったことは楽しかったのですが......実は「楽しいな」と思えたのは、ワークショップの最後の3日くらい(苦笑)。それまでは本当にキツかったです、精神的にも体力的にも。6時間歌いっぱなしとかもありましたし、ずっと集中していたので、家に帰ったら頭が痛くなったりもしました」
 
 
―― 具体的に、どのあたりに苦労されましたか?

「進むスピードが速かったです! ワークショップの前に楽譜をいただいて音取りもしていたのですが、僕たちの声、僕たちのパッションに合わせて音楽を作っていただけるので、どんどん変わっていく。覚えることもどんどん増えていきますし、事前に覚え、身体に刷り込んだものをそぎ落とす作業も大変で、そのあたりがかなり苦労をしました」
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モダンガールに憧れて田舎町からNYに出てきたミリー、玉の輿を目指して躍起になるが上手く行かず。ある時、下宿先のホテルで事件に巻き込まれ......。

ミュージカル『モダン・ミリー』ジュリー・アンドリュース主演の同名映画を2000年に舞台化。02年にはブロードウェイで上演され、サットン・フォスターがミリーを務め、大ヒットとなりました。

今春、小林香さんの演出により上演。キャストの朝夏まなとさん、中河内雅貴さん、実咲凜音さんに作品の魅力や役について語っていただきました。

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<公演について>
原作は1967年公開のミュージカル映画「モダン・ミリー」。

ジュリー・アンドリュースが演じたモダンガール・ミリーが好評を博し高い評価を得た本作は、公開から30年を経た2000年に舞台化。楽曲をほぼ一新し製作されたこのブロードウェイ版は歌と踊りに彩られた上質なミュージカルとなり、トニー賞作品賞ほか5部門を受賞し大ヒットしました。

1920 年代のニューヨークを舞台に仕事と恋に頑張る主人公・ミリーの姿には、自分の足で人生を踏み出す勇気と明日への活力をもらえること間違いなし!

2020年春、新たな一歩を踏み出すあなたへ贈る、豪華キャスト競演のとびきりハッピーなミュージカル!

 

<STORY>
1920年代のニューヨーク。「大切なのはロマンスよりも理性!」をモットーに、モダンガールに憧れて田舎町から出てきたミリーは、下宿先で知り合ったドロシーや偶然の出会いを繰り返すジミーと仲良くなったり、玉の輿を狙って就職した会社の社長・グレイドンに猛アプローチをかけたり、世界的歌手マジーのパーティーに参加したりと新しい生活を楽しむ。

そんな時、ドロシーが行方不明に!下宿先の女主人ミセス・ミアーズが、下宿にきた身寄りのない女性たちを誘拐していると知ったミリーたちは、ドロシー救出作戦を決行!果たしてミリーたちの運命は!?そして、ミリーが見つけた本当に大切なものとは――。

 

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