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2020年9月1日、吉田都が新国立劇場の舞踊芸術監督に就任した。任期最初のシーズンの開幕は、古典バレエの傑作『ドン・キホーテ』。大原永子前芸術監督在任中の5月に上演を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響でキャンセルとなった演目だ。吉田新芸術監督に、作品の魅力と今後の抱負を聞いた。

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「任期は4年間。やるべきことをどんどんやっていかなければいけないけれど、とても楽しみ。ワクワクしています! こういう時だからこそ、劇場をサポートしよう、応援しようという空気が強く感じられて、ありがたいです」と吉田は就任直後の思いを明かす。
最初の公演『ドン・キホーテ』は、セルバンテスの同名小説を題材とした、マリウス・プティパ、アレクサンドル・ゴルスキー振付による古典バレエの傑作。スペインを舞台に繰り広げられる若い男女の恋物語は、民族舞踊を取り入れたダイナミックな踊り、闘牛士やジプシーたちの活躍、森の妖精たちの美しい群舞にえ、コメディの要素たっぷりと、堅苦しさとは無縁の楽しいバレエだ。6組の主役キャストが日替わりで登場、日本のバレエ公演としてはめったにない豪華さも話題に。「大原永子先生が強い思い入れをもって組まれたキャストです」と、吉田は前任者の気持ちをしっかりと受け継ぐ。

「開幕にふさわしい舞台です。クラシックの要素も、コミカルな演技も楽しんでいただける『ドン・キホーテ』には、バレエの醍醐味が詰まっている。様々な演出が上演されていますが、新国立劇場のアレクセイ・ファジェーチェフ版は、その中でも最もオーソドックス。ここを押さえておけば!という作品です」

出演するダンサーたちについても、「先日、一人ひとりと面談をしたのですが、皆、個性あふれるダンサーたちです。でも意外と、ステージに上がるとそれをひゅっと引っ込めてしまう(笑)。舞台でももっとそのキャラクターを出してほしいので、『ドン・キホーテ』はぴったりだと思うのです!」と笑顔で語った。

英国ロイヤル・バレエ団初の日本人プリンシパルとして活躍した吉田。演劇の国で長くキャリアを積んだ彼女の指導力が、今後、どう活かされていくかも興味深い。自身の経験から、一人ひとり、いまいちど基礎に立ち返ってもらいたいとも強調。

「技術的なことはバレエスタッフが細かく見てくれるので、私はもっと演じること、見せることに意識を向けています。理想はすごくクリアにある。皆にはもっと自由に表現してほしい」

1月の〈ニューイヤ・バレエ〉、2月の〈吉田都セレクション〉ほか、趣向を凝らしたラインナップにも期待が寄せられるが、実は、「この劇場のオリジナル作品が意外と少ないということにも気づきました」と新たな課題にも触れた。当初、シーズン開幕に予定されていた『白鳥の湖』は、海外からの指導者、スタッフの招聘が叶わず延期せざるを得なくなった。そんな中で、「バレエ団のカラーをもっと出し、自分たちで育てていける作品が必要ということも感じたのです」と意欲を示す。
バレエの楽しさを、もっと多くの人に知ってもらいたいという思いも強い。
「今回の舞台は、有料動画配信という新たな試みに取り組みます。リハーサル風景の生配信の予定も。そうすれば日本全国の方にもバレエを楽しんでいただけますね。海外からのお申し込みもいただいています。劇場の中でも、もっとバレエを知ってもらうためのエデュケーショナルな企画にも取り組んでいきたい」

すでに様々なアクションを起こしている新芸術監督。『ドン・キホーテ』は、まさにそのスタートとなる晴れやかな舞台となる。公演は10月23日(金)から11月1日(日)、東京・新国立劇場オペラパレスにて。

加藤智子

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ナイロン100℃は、2020年冬に公演予定であった、第47回本公演の中止を発表した。

 

2020年年初にケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)は、「2020年は4本の演出作品を上演する」とし、春は『桜の園』、夏はKERA×古田企画、秋は新ユニット結成企画、冬はKERAの主宰劇団であるナイロン100℃の第47回本公演を行う、と4企画をの上演を予告していた。
 
しかし新型コロナウイルスの影響から、春の『桜の園』、夏の『欲望のみ』が中止となり、現在、新ユニット・ケムリ研究室 no.1『ベイジルタウンの女神』は各地公演を巡演中である。
 
KERAにとっては、ようやく今年初の公演が上演実現した最中ではあるが、冬の劇団約2年半ぶりの新作公演の中止、という苦渋の決断をすることになった。
 
主たる理由としては、「ソーシャルディスタンスの確保の困難さ」である。
 
KERAは「松永玲子・村岡希美の二人を中心に据え、意外な劇場で行う」という構想を語っていたが、公演のキャスト&スタッフ数や公演内容を踏まえ、予定劇場施設の客席、楽屋、作業動線等を検証した結果、今回の上演企画の場合、現状の形では、ソーシャルディスタンスの保持が困難である、と判断した。
 
ナイロン100℃ファンには残念な知らせとなったが、公演が、改めて上演される機会を待ちたい。
 
ーー
 
劇団主宰のケラリーノ・サンドロヴィッチより、メッセージが届いた。
「またもや中止。今年3公演めの中止が決まってしまった。楽しみにしてくださっていた方々にはまったく申し訳ない。めっきり本数減ってしまったけれど、劇団での公演は自分にとって様々な意味で特別な公演である。もしも今後限られた公演形態しか残せないとしたら、迷わず劇団公演を選ぶ。劇団で芝居を始め、劇団員と共に演劇の何もかもを学んだ私だ。劇団の活動が全ての礎なのである。

 規模としては今年中止になった3つの中で最も小さな公演だったが、その「規模の小ささ」が仇(あだ)になってしまったようだ。狭い楽屋での長期公演。ならば楽屋が密にならぬようにと、公演日数を大幅に短縮した出演者4人のみによる代替公演案(別役実氏の追悼公演としての新作書き下ろし)も提出させてもらったが、こちらも「客席を削減することにより、入場料を跳ね上げないと黒字どころかトントンも見込めず積極的にはなれない」とのことで、制作サイドによる完全中止のジャッジに従う形となった。これはもう、興行である以上致し方ないのだ。

 松永玲子と村岡希美の2人を中心に据え、意外な4名の客演をお迎えした、フェリーニの『8 1/2』のような、イメージの連鎖で紡いでゆく実験作にしたいと考えていた。劇団公演としては1997年夏以来のザ・スズナリ。小空間ならではの微細な表現に満ちた作品になったに違いない。いつかきっと、スズナリで思いを果たしたい。代替案で出した公演も形にしたい。どちらも、かなり具体的に構想が固まっていただけに、残念でならない。出演を予定していた劇団員及び客演の皆さん、スタッフの皆さん、ザ・スズナリの方々、そしてお客さん。どうか待っていてください。」

主宰
ケラリーノ ・サンドロヴィッチ

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今年、11月に東京・新橋演舞場で上演される舞台「女の一生」の制作発表会見が9月30日に行われた。
「女の一生」は終戦直前の1945年4月に森本薫が文学座に書下ろした、明治・大正・昭和を生き抜いた女性の一代記であり、日本演劇界を代表する不朽の名作。会見には大竹しのぶ、段田安則、高橋克実、風間杜夫が登壇した。

【集合写真】
▼左から風間杜夫、高橋克実、大竹しのぶ、段田安則

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大竹は劇場に行くことが当たり前ではない初演時の戦時下と今が重なると述べ、「不自由な時代に突入したが、やっぱり芝居をやりたいと思いました」と語った。
本作の主人公である布引けいは杉村春子が900回以上にわたり演じ続けた当たり役としても有名だが、「私なりのけいを演じなくてはいけないなと思っています。多少のプレッシャーはあるけど大丈夫。頑張ります」と意気込んだ。

出演とともに演出も務める段田は「この状況で舞台にたてるのは当たり前のことではない、今回は命がけで挑みたい」と力を込めた。

高橋は「19歳から59歳までを演じる中で良いかつらをかぶらせていただいている。終わった後に買い取るかどうか検討中」と笑いを誘った。

まずは本の素晴らしさに感銘を受けたという風間は、「南座は中止になってしまったが演舞場はやります、と力強い言葉をうけ、役者を続けていて良かったと思った」と感慨深く語った。

公演は11月2日(月)~11月26日(木)に東京・新橋演舞場にて上演。チケットは10月4日(日)10:00より一般発売開始。

<あらすじ>
明治38年(1905年)日露戦争の後、日本がようやく近代的な資本主義国の姿を整え、同時にその動向が世界の国々と断ちがたく結び合い、影響し始めた時代。戦災孤児の境涯にあった布引けいが、不思議な縁から拾われて堤家の人となったのは、そんな頃である。

清国との貿易で一家を成した堤家は、その当主はすでに亡く、後を継ぐべき息子たちはまだ若く、妻のしずが義弟・章介に助けられながら、困難な時代の一日一日を処していた。甲斐甲斐しい働きぶりを見せるけいは、しずに大変重宝がられた。同時にけいと同様に闊達な気性の次男・栄二とも気性が合い、お互いにほのかな恋心を抱くようになった。
そのけいの思慕とは裏腹に、しずは跡取りであるべき長男・伸太郎の気弱な性格を気がかりに思い、気丈なけいを嫁に迎えて、堤家を支えてもらうことを望んだ。しずの恩義に抗しきれなかったけいは、伸太郎の妻となった。
けいは正真正銘堤家の人となり、しずに代わって家の柱となっていく。担い切れぬほどの重みに耐えながら、けいはその「女の一生」を生きるのである。

時は流れて昭和20年・・・。二つの大戦を経る激動の時代を生きて、今、焼け跡の廃墟に佇むけいの前に、栄二が再び戻ってきた。
過ぎ去った月日の、激しさと華やかさを秘めて、二人はしみじみと語り合うのであった・・・。


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朴璐美オフィシャルファンクラブ×げきぴあ連動企画!!!

TRUMPシリーズ」最新作・音楽朗読劇『黑世界 ~リリーの永遠記憶探訪記、或いは、終わりなき繭期にまつわる寥々たる考察について~』が920日(日)に開幕しました。げきぴあでは、21日に初日を迎えた【日和の章】に出演する朴璐美さんにフィーチャーしたレポートをお届けします。

HP▶▶https://trump2020.westage.jp/

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本作は、劇作家・末満健一さんがライフワークに掲げ、2009年から展開する人気演劇公演「TRUMPシリーズ」の新しい試みとなる<shared TRUMPシリーズ>の第一弾。

ひとつの世界観を複数の作家が共有して創作する"シェアードワールド"の手法を用いた短編アンソロジー形式での公演となり、今作は【雨下の章】と【日和の章】の二作同時上演となります。演出はすべて末満さん、音楽はTRUMPシリーズではおなじみの和田俊輔さんが手掛けます。

鞘師さんと末満さんの対談はこちら▶▶http://community.pia.jp/stage_pia/2020/08/post-808.html

※※以下、ネタバレがありますのでご注意ください※※

全編通して描かれるのは、'14年に上演された『LILIUM -リリウム 少女純潔歌劇-』の主人公・リリーの物語。繭期(人間で言う思春期)のまま不老不死となったリリーの、永遠に続く旅の中で生まれた出会いと別れのお話です。

それぞれのタイトルと作家は以下。

【雨下の章】

  • 「イデアの闖入者」[作・末満健一]
  • 「ついでいくもの、こえていくこと」[作・宮沢龍生]
  • 「求めろ捧げろ待っていろ」[作・中屋敷法仁]
  • 「少女を映す鏡」[作・末満健一]
  • 「馬車の日」[作・降田天]
  • 「枯れゆくウル」[作・末満健一]

出演:鞘師里保、樹里咲穂、池岡亮介、大久保祥太郎、新良エツ子、宮川浩、中尾ミエ、松岡充

【日和の章】

  • 「家族ごっこ」[作・末満健一]
  • 「青い薔薇の教会」[作・葛木英]
  • 「静かな村の賑やかなふたり」[作・岩井勇気]
  • 「血と記憶」[作・末満健一]
  • 「二本の鎖」[作・来楽零]
  • 「百年の孤独」[作・末満健一]

出演:鞘師里保、上原理生、MIOYAE、三好大貴、中山義紘、新良エツ子、朴璐美

まず驚いたのはその芝居のスタイルでした。「音楽朗読劇」と銘打ってはありますが、その言葉からイメージするような、じっとした状態で台本を読むというスタイルの演劇とはかけ離れています。手に台本を持ち、ソーシャルディスタンスを保ちながら、役者たちは全身で物語を表現。TRUMPシリーズならではの細部までこだわった舞台美術、照明、衣裳も美しく、もはやこれは......というものでした。

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すべての物語に登場するのは、リリー(鞘師)と、自らをチェリーと呼ぶ幻覚(新良)。それ以外の登場人物は物語によってさまざまで、つまり役者たちは複数の役を演じます。

【日和の章】に出演する朴さんは、①「家族ごっこ」[作・末満健一]、②「青い薔薇の教会」[作・葛木英]、④「血と記憶」[作・末満健一]、⑥「百年の孤独」[作・末満健一]に出演。その中で、ふたつの役を演じました。ただ、ふたつの役といっても......です!

①④⑥はつづきものとなっており、リリーとある家族の間に流れる100年以上の時間を描きます。その中で朴さんはラッカという人物を演じ、子供時代、成人時代、老女になってからの姿を演じます。その年齢を重ねていく表現は、圧巻の一言。同じ人物がこれほどまでに幅広い年齢を演じられるのか、という驚きに加え、特に老女になってからのお芝居には、ラッカが語る言葉一つひとつに彼女が重ねてきた時間や思いが重なり、舞台上では描かれていない100年の時間が見えてくるのです。それゆえに、リリーの不老不死であることの苦しみも自然と浮かび上がり、客席には涙を流すお客様も多くいらっしゃいました。

そして②は、罪を背負った青年ヴァンプ(吸血種)の役。前述の①④⑥とは、作者も内容も全然違うお話です。罪悪や赦しをテーマに描かれており、朴さん演じるヴァンプは、自分が犯してしまった罪を悔いているのにある理由から償いきれないジレンマを抱える難しい役どころです。青年の中でぱんぱんに膨らんだ罪悪感を、朴さんは時に繊細に、時に衝動的に演じていて、観ていて苦しくもなりますが、さまざまなことを考え、気づかされるお芝居でした。

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そして、本作は"音楽"朗読劇です。つまり、それぞれの役として歌唱します。え!歌声まで演じ分け!?という驚きをぜひ劇場や配信で感じてください。

オムニバス形式だからこそ一度に観ることができ、だからこそその演じ分けにより驚かされるお芝居の数々。朴さん以外のキャストも複数役を演じています。ひとりの人間がいくつもの役を演じることの面白さや、作家によって作風が変わる脚本、シーンによって全く違う表情を見せる舞台美術、作りこまれた衣裳、照明の美しさ、生演奏、生歌唱......そんな演劇の楽しさが詰まった本作を、ぜひご覧ください!

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朴さんにとっては初参加となる「TRUMPシリーズ」。『LILIUM -リリウム 少女純潔歌劇-』で予習しておくとさらに堪能できますが、シリーズの詳しい設定はhttps://trump2020.westage.jp/にも記載があるので、チェックしてみてくださいね。

音楽朗読劇『黑世界 ~リリーの永遠記憶探訪記、或いは、終わりなき繭期にまつわる寥々たる考察について~』は104日(日)まで東京・サンシャイン劇場にて、1014日(水)から20日(火)まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホールにて上演中。

ライブ配信は922日(火・祝)、26日(土)、27日(日)、103日(土)、4日(日)。

取材・中川實穗

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朴璐美オフィシャルファンクラブでは随時新規入会を受付しています。

今ならファンクラブ会員様で「音楽朗読劇『黒世界』」をご観劇(視聴)の方へ限定特典をご用意しております!応募条件は、1021()23:59までに黒世界に関する簡単なクイズに答えるだけ!

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昨年、まさかの舞台化で話題を呼び、連日満員御礼となったLIVE ミュージカル演劇『チャージマン研!』の第二弾LIVEミュージカル演劇「チャージマン研  R-2」10月10日(土)から東京・新宿FACEにて上演されます。

本作は、昭和40年代に制作放送され、平成になってそのチープでクオリティの低い内容がネットやテレビで爆発的に人気になり、新たなファンを獲得したアニメ「チャージマン研!」を原作にした舞台。しかし、主人公・研が4人(クアトロキャストではないです)いることをはじめ、かなり型破りな作品です。初演では、公演中に舞台では前代未聞の"毎公演無料配信""本番中も携帯での写真撮影 OK"にしたことで、連日 SNS でも話題を集め、当日券の列が日に日に長くなり、入り切れなくなるほどでした。

キャストは初演から引き続き、古谷大和、安達勇人、星元裕月、篠原麟太郎、浜ロン、村上幸平が出演。演出はキムラ真(ナイスコンプレックス)、脚本は伊勢直弘、音楽は手島いさむが手掛けます。(公式HPはこちら https://www.lol-w/cha-ken_r2/

果たしてどんな舞台になるのか......!
というわけで、新キャストの藤原祐規さん東拓海さん、アムロレイ芸人として有名な若井おさむさん、そして吉井プロデューサー(以下、吉井P)にお話をうかがいました。

*****

――LIVE ミュージカル演劇『チャージマン研!』第二弾はどのような舞台をイメージされていますか?
吉井P 基本的には初演と同じスタイルです。前回の爆発力がすごかったですからね。普通だったら「じゃあまた違うことをやろうよ!」となるところですが、この作品はスタッフもキャストも「同じことをやろうよ」という声があがっていて。

――初演はお客様からどんな反応がありましたか?
吉井P 「とんでもないことをやったね」「クレイジー」という(笑)。

――(笑)。わたしも拝見しましたが、確かにクレイジーでした。割とお客さん同士もお喋りをしながら観ていたりして、応援上映的な空気もありましたよね。
藤原 え、本番中にお喋りってことですか?

――はい。
藤原 すげえ!(笑)
吉井P 前回はお喋りを止めなかったですね。今回はコロナ対策で席も離れるし、マスクもしてるので、お喋りはできないと思いますけど。

――コロナ対策で変わらざるを得ないところもありますか。
藤原 あ、でもこれ、コロナ対策かわらないですけど、構成案に「口パク」っていう単語が何度も出てきてて......飛沫予防にはなりますよね。
一同 (爆笑)
吉井P これも感染対策です! 言葉を発しない!
 舞台で口パクって、やる側も想像できない......。
一同 (笑)

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――東さんは今回初めて研を演じますが、初演を劇場でご覧になったそうですね。
 はい。もう衝撃がすごくて......。アニメを見ずに行ってしまったので、本当にわけがわからなかったです(笑)。でも原作をご存知のお客様がすごく盛り上がっているのを見て、すごくいいなと感じて。だから今回やれるのはとても楽しみです。

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――何を求められる舞台だと思われていますか?
 僕は再現性だと思っています。原作の細かなニュアンスとか、そういうところがお客様の面白いと感じられた部分だと思ってので、そこは大事にしつつ。でも研が4人いますからね。そこはそれぞれの個性も必要だと思います。

――藤原さんは今回は星君役ですが、初演では声の友情出演ということで参加されていましたよね。
藤原 はい。なので初演は衣裳を着た通し稽古を見学しました。これがどうお客様に受け入れられていくんだろうってことが気になって。そしたらネットニュースとかでもバンバン出てくるし、今回も出演する古谷大和からは「ふっきーさん、次は絶対出たほうがいい」って言われるし。
一同 (笑)

――古谷さんはなんでそうおっしゃったんですかね?
藤原 わからない(笑)。本当にわからないことがとても多い舞台です。

――若井さんも研役ですが、そもそもこの作品はどのくらい把握されていますか?
若井 オファーをいただいたとき、アニメは知っていたけど、舞台化されていたことは知らなかったんですよ。それで「研が4人いるうちの1人だ」って聞いて、「どういうことや」と思って。

――(笑)。そうですよね。
若井 一応、インターネットで調べて、そしたら少しだけ初演の動画があったので見てみたら、なんかすごくみんなでワイワイやってて楽しそうだなって。普段、僕は大人数でワイワイやるのは苦手なんですけど。
一同 あはは!
若井 でもそこはせっかくなので、演技としてワイワイ......
一同 (爆笑)
若井 いや、本当は普段のときも中に入りたいんですよ。でもやり方がわからない! みんなでワイワイやるやり方が。だから、演技の中でワイワイして、そのままのノリを皆さんとできたらなと思っています(笑)。あと、音楽が手島いさむさんというのが楽しみです。僕は30年以上前から、手島さんが所属するバンドの大ファンなので。

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――手島さんはどんなふう音楽をつくられるのですか?
吉井P 手島さんは僕らの話を聞いて、意見もちゃんと言ってくださるので、そこが面白いです。あと、初演でも某作品をパロッたシーンがありましたが、今回も似たようなシーンがありまして。先日の打ち合わせでは、「そこもちゃんと作るから」と言ってくださってましたね。本気でパロッた音楽を作ってくれるんですよ(笑)。

――すごい! それは楽しみです。ちなみに今作の内容も気になるのですが、藤原さんが星君という第4話に出てくるイケメンの役なので、第4話をやるということですか?
藤原 それが......。
吉井P (笑)
藤原 どうやら4話はやらないんですよ。

――え......?
藤原 今、頭を抱えましたね? 僕、まさにそういう状態です。僕は何をしにいくんだろうってところが不安です。
一同 (笑)

――お客さんは第4話を観た前提で台本を書くということなんですか?
藤原 これはまだ僕の想像ですが、アニメの星君は第4話に出てくるんですけど、その前だって一応その世界にはいるわけじゃないですか。だからそういう感じで出てくる。普通に星君として違う話に。研の同級生とかとして出てくるっぽいです。多分。

――それは不安ですね。
藤原 (即答で)不安ですよ。
一同 あははは!

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――ちなみに藤原さんはこの中では一番舞台の経験が豊富ですが、この作品は難しく感じるものですか?
藤原 とても。

――(笑)。
藤原 予想ができない、準備ができないので。
吉井P ははは!

――求められるのってなんですかね?
藤原 引き出しだったり、ひらめきだったり、アイデアですかね。でも、演出のキムラ(真)とは何本も一緒に作品をつくっているので、キムラと相談しながら、みんなと相談しながら、やっていきたいと思います。

――若井さんも不安なこと、ありますか?
若井 4人の研の中で、僕、ダントツで年いってるんですよ。今47歳で、50前なんですけど。歌って踊るらしいので、踊りなんてできるのか......体力は持つのか......。そこはかなり心配ですね。僕、そもそもミスキャストだと思ってるんですけど。
一同 (笑)
若井 この中で、一体どういうカタチで僕は演出されるのかなっていうのが、楽しみでもあり、不安でもありますね。

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――そもそもなぜこの作品のオファーを受けたのですか?
若井 それは逆に僕が聞きたいところです! なぜ、僕にオファーがきたのか。男前の方ばかり出られてますし。20人くらいに断られて最後に残ったのが僕やったんやな、と思って。ただ来たものを断るというのは僕の中ではないですから。せっかくお声がけいただいたので、ぜひやらせていただきますということで引き受けさせていただきました。
藤原 でも僕、若井さんは「なるほど」と思いましたよ。絶対おもしろい。
吉井P 僕もそう思ってるんだよね。絶対おもしろい。
藤原 ちなみに、アニメの研役の声優さんはアムロの声優さんとは違う方じゃないですか。若井さんはどういくんですか? アムロでいくんですか?
若井 いやいや、アムロでいこうというのはないです。でも声を張ると、アムロになってしまう。
一同 (笑)
藤原 そこがもう面白いですよね。まず絶対かぶらないから、他の3人と。
若井 でもそれ、逆に邪魔しません? 邪魔をしない感じでできたらなと思ってますよ。研の声もしっかり研究して。
吉井P いやいや、研の声を真似る必要はないですからね。
藤原 他のキャストも研を真似するわけじゃないですから。
吉井P 安達勇人なんて茨木弁ですし。
若井 え、そうなんですか......探り探りやっていきます(笑)。

――東さんも研役として、今までとちょっと違う芝居になりそうですよね。
 そうですね。でも一回やってみたいなと思っているのが、"真面目にやること"です。
藤原 ああ、それはアリだと思う!
 アニメは正味5分位の中であの展開なので突拍子もないですが、今回、その絵と絵の間の出来事を本気で考えてみたらどうなるんだろうと思っていて。それを一回やったうえで、演じてみたい。......ダメだったら投げます(笑)。
一同 ははは!

――初演はどんな感じでつくっていかれたのですか?
吉井P セリフを4回繰り返すというアイデアは、キムラさんが稽古初日に持ってきたんですよ。前の晩まで「まだわかりません。どうしましょう」ってLINEが来てたんです。でも、初日に4回繰り返しますって言った瞬間から、見えてきた感じはありますね。今「真面目にやる」って話をしてたけど、最初の読み合わせはみんな大真面目に繰り返して読んでいて、大爆笑だったんですよ。
一同 へえ~。
吉井P でも稽古を重ねていくと、その面白さが普通になっていって、足りないんじゃないかって気持ちになるじゃないですか。

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――コメディあるあるですね。
吉井P で、どんどんエスカレートしていって、本番一週間前くらいに「ちょっといきすぎてるよ」って僕が止めたんですよ(笑)。それで少し戻して、本番を迎えました。
藤原 なるほど。足し算したくなる。
吉井P なるよね。キャストからアイデアも出てくるし。どんどん発展していくし。

――前回はニコ生での配信も面白かったですね。
吉井P 今回もやります。あのニコ生でのお客様の盛り上がり方......弾幕の使い方だったりとか、あの遊び方はこの作品にすごく合ってるなと思っていて。実はこの遊び方が、若井さんのオファーにも繋がっているんですけど。若井さんが研として登場したときに、どんな弾幕が流れるか。僕らがどうつくろうと、若井さんがどんな芝居をしようと、そこに必ず登場する言葉があると思うんですよね。
藤原 ありますね!
吉井P そうやって、お客さん同士でも楽しんでくれたらいいなと思っています。

――配信は今の時代にとても合いますね。
吉井P だから劇場に来れない方も存分に楽しんでいただけると思います。

――キャストの皆さんはこの作品だからこそできることもあると思うのですが、何か企んでいることはありますか?
東 前回観たときに「僕はふざけ過ぎないようにしよう」と思ったんですよ。
吉井P (爆笑)
藤原 一番の若手が!
 違うんですよ! 引かれちゃうなと思ったので、塩梅を大切にしたいなって。

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――でも、ということは、引かれるくらいのことを一度考えてみたってことですよね。
 はい。最初はいろいろ考えました(笑)。内容は言えないですけど。シミュレーションした結果、スベッてるから......。
一同 (笑)
 だから一旦落ち着いてやってみたいです。でもどこかで成仏させてあげないといけないから、中盤くらいで出していきたいです。

――(笑)。成仏させる気はあるんですね。藤原さんはどうですか?
藤原 星君ってジュラル星人なので。

――いきなりネタバレを。
藤原 この舞台でジュラル星人ってアンサンブルでしょう? だから僕もアンサンブルに入るのかなと思っていて。アンサンブルは久しぶりですから。

――初心に戻る舞台に......。
藤原 なる、かもしれない。そこをがんばりたいです(笑)。いや、でも原作を観て観に来てくださる方って、観たいシーンがあると思うので。僕の場合、第4話がないからわかんないんですけど。
一同 (笑)
藤原 でもどこかで「星君っぽいな」と思わせたい、というのはあるので。喋り方だったり、立ち方だったり、基本は押さえていきたいなと思います!

――若井さんはチャレンジばかりだとは思いますが。
若井 僕、バラエティ番組とかお笑いの舞台とかで他の人と絡むときに、前日から「よし、これ絶対ウケるわ」と考えて持っていったものって大概スベるんです。
一同 (笑)
若井 なので、共演者の方々と息を合わせてやっていきたいです。とにかく皆さんに迷惑をかけないようにしたいんですけど、でも、あほなことに真剣に取り組むって、やる側も楽しいですけど、観ていただくとめちゃくちゃ楽しいと思うので。楽しんでいただけるようにがんばりたいです!

取材・文 中川實穂
撮影 川野結李歌

LIVE ミュージカル演劇『チャージマン研!』R-2 は、10月10日(土)から18日(日)まで東京・新宿 FACEにて上演予定。

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現在も新国立劇場 小劇場にてピーター・シェーファー2作連続公演『わたしの耳』『あなたの目』を上演中であり、これまでも数々の傑作公演をプロデュースしてきたシス・カンパニーが、10月9日~11日の3日間だけという初の短期公演『たむらさん』を上演する。

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新型コロナウイルスによる影響によって、予定していた9月公演が当初の計画よりも公演期間を短縮せざるをえなくなったことを発端に、こんな状況なのだから、"何か面白いことをやってみよう"と企画されたのが本作。この機会にシス・カンパニーが声をかけたのが、新進脚本家として注目を集め、主宰する<劇団た組。>で純度の高い劇世界を生み出してきた加藤拓也であり、『たむらさん』は加藤による書き下ろし作品だ。

突発的にも感じられるシス・カンパニーと加藤拓也の組み合わせではあるものの、実は2021年以降で数本の大きなプロジェクトが進行中であり、その密なコミュニケーションの積み重ねが、今回のとてつもないスピード感で成立した緊急企画の原動力であったとのこと。そして、そのスピードに飛び乗ったのが、作者の世界観をよく知る、橋本淳と豊田エリーの2人だ。シス・カンパニー×加藤拓也×橋本淳×豊田エリー。この組み合わせによって、どのような作品が生まれるのか興味は尽きない。

【演出家+キャスト コメント】

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作・演出:加藤拓也(かとう・たくや)
加藤です。劇を書いている時は複雑な事は複雑なまま理解できる大人になりたいと思ってたのですが、なんといざそんな世界になると難しくて嫌になってしまいました。簡単な世界の方には簡単には戻らないのでしょうけれども楽がしたいのでどこかでずるできないか考えてしまいます。今回の劇では複雑な事をそのまま持ってる人と簡単にしてしまった人が出てきますが、何度か一緒してる橋本さんと豊田さんは、ややひねくれつつ、やや真っ直ぐなので、そういうものがうまく舞台の上にやや乗せできると思っています。

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出演:橋本 淳(はしもと・あつし)
「たむらさん」のお話を頂いたとき、すぐに飛びつき、面白いと心から思える企画に心躍りました。しかし、その数秒後には、恐ろしいほどの恐怖感が襲ってきました。今現在もずっと襲われています。わたくし、襲われ続けています。しかし、恐怖心が大きいほどに、それは返ってくるものも大きいということ。どうせなら思い切り楽しもうと思ってなんだか開き直ってもいるという不思議な現状。皆様への情報開示もそこまでしていないので、どんな内容かは分厚いベールに包まれていますが、期待大の"挑戦作"です。憧れであったシス・カンパニーさん、そしてとても信頼している作演の加藤拓也氏と共演の豊田エリーさん、この上ないほどの贅沢な場で、思い切り羽を広げさせてもらいます。コロナ禍でなかなか劇場に足を運びづらい時節ですが、皆さまに届く歪な作品をお届け出来る様に、最後まで闘います。お楽しみにしていてください。

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出演:豊田エリー(とよた・エリー)
加藤さんの描く人間は、確かに生きていると信じてしまう実在感に溢れていて、橋本さんもまた人の弱さや歪みも含んだリアルな様を表現するのが素晴らしいので、これからはじまる稽古が楽しみで仕方ありません。今回の作品について、まだお伝えできることは少ないのですが、脚本を読んだ時に味わった、足元がぐらつくような感覚をみなさまにもお届けしたく思っています。憧れのシス・カンパニー公演。これまでに幾度となく足を運んだ新国立劇場 小劇場。どひゃー、ドキドキです。

<公演概要>
公演期間:
10月9日(金)19:00
10月10日(土)15:00
10月11日(日)15:00
公演会場:新国立劇場小劇場(東京・初台)
作・演出:加藤拓也
出演:橋本淳、豊田エリー
チケット料金:S席¥5,500、A席¥3,500
一般前売開始日:2020年9月26日(土)


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小林聡美、八嶋智人、野間口徹による3人芝居、シス・カンパニー公演『あなたの目』が9月22日(火・祝)に新国立劇場 小劇場にて開幕した。本公演は「アマデウス」「エクウス」で知られる英国の人気劇作家ピーター・シェーファーが、1962年に発表した2作の3人芝居を連続上演するというシス・カンパニーによる企画の第2作目。同企画の1作目として9月18日(金)に無事、千秋楽をむかえた『わたしの耳』(演出:マギー、出演:ウエンツ瑛士、趣里、岩崎う大)から、しっかりバトンを受け継いだ。

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対となる『わたしの耳』と『あなたの目』は、それぞれ物語は全くリンクしない独立した戯曲ながら、2作品に描かれているのは不器用だけど切なくチャーミングな人々。『あなたの目』も、"ディスタンス"を意識する現代にあって、人との心の距離の取り方にハッとさせられる"今"を映した作品となった。
出演は、2年ぶりの舞台出演となる小林聡美、このコロナ禍での公演中止を経験してから初めての舞台に立つ八嶋智人、そして野間口徹の3人の巧者たち。それぞれが「これまでの役者人生で一番の台詞量!」と口にしつつ、寺十吾による演出の下、ギクシャクした夫婦関係とそこに第三者の視線を注ぐ探偵が繰り広げる男女3人のビターなコメディを完成させた。

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<「あなたの目」あらすじ>
ロンドンの閑静な地区に立派な会計事務所を構えるチャールズ(野間口徹)。絵に描いたような中産階級出身のお堅い彼のもとに、ちょっと風変わりな男が訪ねてきた。いぶかしがるチャールズに、回りくどく訪問の目的を話し出すこの男ジュリアン(八嶋智人)は、実は探偵。しかも、チャールズ当人が、自由奔放な妻ベリンダ(小林聡美)の素行を疑い、昼間の尾行調査を依頼した探偵事務所の調査員だったのだ。ここ1か月間のベリンダの行動調査の結果を、これまた回りくどく説明するジュリアンに苛立つチャールズ。ジュリアンによれば、ベリンダは不貞こそ働いていないが、毎日あてもなく、ロンドンの街を歩き回っていて、行く先々で、静かに微笑みを交わし合う男の存在があるという...。そこに突然、ベリンダが会計事務所に現れた!そして、つい数週間前から、言葉も交わしたこともないある男との出会いによって「生き返る」ような思いをすることができたと話し始めた・・・。夫婦の関係に第三者が目が介入することで明らかになる人間関係の真実とは?

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【演出家+キャスト コメント】
上演台本・演出:寺十吾(じつなしさとる)
ステイホームで家族と四六時中顔を合わせ、他人とはソーシャルディスタンスにリモート会議。人々の距離について今一度考えさせられる今日この頃にピッタリの作品です。「パブリック・アイ」「第三者の目」、つまり自我を忘れ、神のように「ただ見はるかす事」の出来る探偵が倦怠期の夫婦に素敵な距離感を提案するお話。最後までごゆっくり見て楽しんでやってください。

出演:小林聡美(こばやしさとみ)
日常に流されてつい見過ごしてしまう、大切な人の表情や言葉の意味。それらすべて掬いあげることは難しいけれど、大切な人を真っ直ぐに見つめることのできる八嶋くん演じるジュリアンのような目を持てたらいいなと思います。そんな「あなたの目」に背中を押されて、誰もが勇気をだして新しい一歩が踏み出せたら、どんなに素敵でしょう!言葉より黙って見つめることでうまくいくのだとすれば、今回の3人は喋りすぎましたね。でも楽しかった!

出演:八嶋智人(やしまのりと)
このご時世に客席に来て下すった皆様ありがとうございます♥このご時世だからこそ舞台にいる小林聡美さんと野間口徹くんとスタッフの皆さんありがとうございます♥60 年前のロンドンを舞台に書かれた戯曲にも関わらず、そしてコロナ禍であるにも関わらず、シニカルにユーモラスに僕らを魅了する物語なのは、時代が劇的に蠢く時に人の心が露呈し、「ディスタンス」ってヤツを目の当たりにするからなのでしょう。今日はそれを楽しんでくださいませ♥

出演:野間口徹(のまぐちとおる)
稽古前に読んでいた台本と、寺十さん演出の手にかかった世界は全く違いました。人間を知っている人と知らない人でこんなにも違うのか!?なんて浅はかだったのか、、、と思ったほど。とにかく普段からあまり声を荒げない人間なので、チャールズの怒りに向き合うのに苦労しましたが、じっくりと稽古を重ねて精度を上げてきました。オトナな3人の心の機微を、舞台上で細やかに丁寧に表現したいと思っています。


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2021年2月、シアター711にて小沢道成のEPOCH MAN『夢ぞろぞろ』(第31回下北沢演劇祭参加作品)の上演が決定。本作は2019年に上演された、田中穂先(柿喰う客)と小沢道成による二人芝居の待望の再演となる。

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小沢道成といえば自粛明け本多劇場が再始動する舞台となった本多劇場グループPRESENTSDISTANCE」でのパフォーマンスが記憶に新しい。6月の一人芝居『夢のあと』、そして8月の峯村リエ(東京公演)、寺田剛史(北九州公演)との二人芝居『みんなの宅配便』ではベテラン勢に混ざって圧倒的な存在を示した。

現在はシアタートラムにて上演中のキ上の空論『脳ミソぐちゃぐちゃの、あわわわーで、褐色の汁が垂れる。』に出演中だ。

『夢ぞろぞろ』は駅の売店を舞台に、売店で働く60歳の女性と、ある日突然電車に乗ることができなくなった青年が繰り広げる物語。

初演時は、「仕事に通う途中、いつも同じ場所にいてくれる"売店のおばちゃん"の人生をずっと描きたいと思っていた。」と語る小沢。そんなとき飛び込んできた樹木希林さんが亡くなったというニュース。憧れだった樹木希林さんと売店のおばちゃんの姿が重なり、物語にしっかりとした強い芯が入り「優しくも力強い、前に進める物語を書いてみよう」と劇作がスタートした。

自身で舞台美術も手掛ける小沢は、初演では駅の売店をくるくると回転する仕様に仕上げ、さまざまなシーンが劇的に展開していく。見ているだけで楽しくなるような舞台美術や仕掛けで、現在と過去、現実と夢の境界線を飛び越えて、小沢の〝演劇を遊ぶ心〟が炸裂する。

夢なのか、夢じゃないのか、駅の売店が見たはなしーーー

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小沢道成/田中穂先

◼︎公演情報

第31回下北沢演劇祭参加作品

EPOCH MAN『夢ぞろぞろ』

作・演出・美術: 小沢道成  音楽: オレノグラフィティ

出演: 田中穂先(柿喰う客) 小沢道成

《公演期間》2021年2月19日(金)〜2月28日(日)

《劇場》下北沢・シアター711(〒155-0031 東京都世田谷区北沢1-45-15)

《一般発売日》2021年1月9日(土)10:00~

◼︎ストーリー

寂れた駅の風変わりな売店で働く厄介な60歳の女性と、その駅から毎日仕事に通うある日突然電車に乗ることができなくなった青年の、夢をもたないふたりによる、やがて輝くための、もしくは諦めるための、とある駅で起こった愛しい数日間の物語。

◼︎小沢道成コメント

2020年6月、本多劇場グループPRESENTSDISTANCE」企画で一人芝居の依頼を受けました。

家に閉じこもり期間真っ只中だった僕は本番を約2週間後に控え、今出来ることを考えた結果、『夢ぞろぞろ』に登場した駅の売店で働く60歳の女性の〝その後〟を描いた一人芝居『夢のあと』を新たに書き、上演しました。今の世界でも起こっている〝大切な場所を無くした〟ある女性、という設定です。

書いている時に、『夢ぞろぞろ』を上演した当時のことを思い浮かべていました。

この物語を書くきっかけになったのは樹木希林さんが亡くなられたことだったことや、夏の日に仲間と舞台美術を創作したこと、相手役の田中穂先くんとの稽古の日々、劇場から帰っていくお客さんの表情、多くの大切な記憶を思い出しました。

そして、そのことを思えば思うほど、不思議な温かい気持ちがこみ上げてきます。その後の物語には、穂先くんもいません。くるくると回る売店・舞台美術も何もありません。ですが、物凄く温かい、力強い気持ちが湧いてきたのです。

昨日起こった出来事を思い返すと、ふと笑いがこみ上げ、よし、今日もやったるか!という気持ちになるような。例えば、忘れられない大切な思い出が頭によぎる時、涙がでそうになりながらも温かい気持ちになるような。

この作品には、不思議とそういった前に進みたくなるような力があるのかもしれません。

前に進むことができなくなった青年の話なのにです。過去から離れられない女性の話なのにです。

純粋な再演をやってみたい気持ちはありますが、おそらくそうならない気がします。

2021年を力強く進むために、年明け後の2月、懐かしいのに新しい『夢ぞろぞろ』をお届けします。

小沢道成

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9月13日(日)、世田谷パブリックシアターにて、ケムリ研究室no1『ベイジルタウンの女神』が開幕した。

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ケムリ研究室は、劇作家・演出家ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)と女優・緒川たまきが新たに立ち上げたユニット。第一回公演となる今公演では、仲村トオル水野美紀山内圭哉吉岡里帆松下洸平尾方宣久菅原永二植本純米温水洋一犬山イヌコ高田聖子など力強いキャストが集い、ステージングには小野寺修二、映像に上田大樹、音楽に鈴木光介、と演劇界のトップクリエイターが集合し、大きな期待を受け前売りチケットは即日完売状態だ。

KERAは、今年既にコロナ禍により『桜の園』『欲望のみ』という2つの公演中止を経験している。

ようやく演劇公演で観客と対峙できる日が戻って来た。

今回の公演では、新型コロナウイルスの感染予防対策上、客席数を制限し、劇場入口でも消毒、サーモグラフィ検査、入場時の直接接触を避ける自動発券機導入など、カンパニーは多方面に渡る感染症対策を施し、観客を劇場に招き入れた。

来場客も、観劇前の来場者事前登録や「感染症対策のお願い事項」、劇場入口での感染症対策など、通常の観劇では求められない手間や手順に協力し、開演のつつがない進行をサポートしている。

その向こうには夢の劇場空間が待っている。

今回の作風は、近年の『グッドバイ』や『キネマと恋人』といったKERA作品にみられるような、幅広い層が楽しめるロマンティック・コメディ。

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物語は、大企業ロイド社の社長であるマーガレット(緒川たまき)と、ライバル企業のソニック社の社長タチアナ(高田聖子)という因縁めいた旧知の二人が、通称「ベイジルタウン」と呼ばれる貧民街の再開発を巡って火花を散らすことから端を発する。そこである賭けをすることになり、マーガレットはベイジルタウンにやって来た。そこでマーガレットを待ち受けていたのは、不思議なあだ名で呼び合う貧民街の住人たち、王様(仲村トオル)、ハム(水野美紀)、サーカス(犬山イヌコ)ドクター(温水洋一)、ヤング(松下洸平)、そして彼らと交流を持つ娘スージー(吉岡里帆)などなど。マーガレットとベイジルタウンの人々、ロイド社の社員、タチアナ率いるソニック社などの思惑を巡り、思いも寄らない出来事が巻き起こってゆく...

個性豊かな登場人物たちの生き生きとしたセリフの応酬と、緒川たまき演じるマーガレットやそれぞれのキャラクターのなんとも愛おしい様子に目が離せない贅沢な饗宴だ。久しぶりの劇場での笑いの感覚が染み渡ってくるようだ。

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今回は「来場できない状況の方にもご観劇頂ける機会を」というKERAの思いもあり、9月22日(火・祝)18時開演の追加公演回が生中継配信されることも決定している。

劇場で、それぞれの場所で、ベイジルタウンの世界を堪能してほしい。

公演は、9月東京、10月に兵庫と北九州で上演される。

また、配信は「PIA LIVE STREAM」でも視聴可能。チケットは発売中。

PIA LIVE STREAM」は、チケットぴあで視聴チケットを購入。「PIA LIVE STREAM」配信では、公演生配信に加え、キャスト座談会映像を収録配信予定。

公演詳細はキューブHPで確認してほしい。

< 『ベイジルタウンの女神』公演詳細情報 >https://www.cubeinc.co.jp/archives/theater/kemuri_no1

また、「ケムリ研究室」は、来年2021年夏に、第二回公演『砂の女』(原作:安部公房 上演台本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ)を上演することを発表した。来年も楽しみは続く。

『ベイジルタウンの女神』初日開幕に際し、主宰のKERAと緒川たまきからコメントが届いた。

  • ケラリーノ・サンドロヴィッチ コメント

    胸を張ってエンゲキだと言える公演を、緒川さんとのユニットの旗揚げで開幕することが出来ました。今年3本目のはずだったのに、1本目になってしまいました。それでも幕を開けられて、本当に、本当に良かった。カンパニーの皆さんの尽力とお客さんのおかげです。
    カーテンコールでの盛大な拍手には感無量でありました。客席と舞台で3時間半を共有できることの幸せ。
    『ベイジルタウンの女神』は間口の広い作品です。今日観劇してくださったある演劇ライターの方は早速「海外の長編児童文学を読むような、ドキドキワクワクが詰まった、夢と希望に溢れた、大人も子どもも一緒に楽しめる物語。」とツイートしてくださいました。こんなに誰でも楽しめる作品を、次回いつ書くかわかりません。
    マスクだ消毒だとご不便をおかけしますが、そして定員半減に伴い入場料も割高ですが、どうぞ観に来てください。お待ちしてます。

  • 緒川たまき コメント

この作品のために集まってくださったキャスト、スタッフの愛情がこの作品にはたっぷりと詰まっています。完成するまでの過程はすでに感動の連続でしたが、初日を迎え、劇場にいらしゃって下さったお客様に更なるお力をいただきました。これからは、観てくださる方それぞれの無数の『ベイジルタウンの女神』が誕生していくのだと思います。ぜひ『ベイジルタウンの女神』に会いに来てください。劇場でお待ちしております。

―――――――――

ケムリ研究室 no.1ベイジルタウンの女神

<スタッフ>

作・演出  ケラリーノ・サンドロヴィッチ

振付    小野寺修二

映像    上田大樹

音楽    鈴木光介

<キャスト> 

緒川たまき 仲村トオル 水野美紀 山内圭哉 吉岡里帆 松下洸平

望月綾乃 大場みなみ 斉藤悠 渡邊絵理 荒悠平 髙橋美帆

尾方宣久 菅原永二 植本純米 温水洋一 犬山イヌコ 高田聖子

(※髙橋美帆の「髙」は、はしご高になります)

<公演日程>

【東京公演】9月13日(日)〜27日(日) 世田谷パブリックシアター

【兵庫公演】10月1日(木)〜10月4日 (日)兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール

【北九州公演】10月9日(金) 〜10月10日(土) 北九州芸術劇場 中劇場

https://www.cubeinc.co.jp/archives/theater/kemuri_no1

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シス・カンパニー公演「わたしの耳」が9月9日(水)に新国立劇場 小劇場にて開幕した。
本作は、「エクウス」「アマデウス」の作者としても有名な英国の劇作家ピーター・シェーファーによる男女3人芝居で、この後、9月22日(火・祝)より開幕する「あなたの目」(出演:小林聡美、八嶋智人、野間口徹)と対を成す作品だ。

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まず先陣を切って開幕した本作には、1年半に及ぶ英国演劇留学から帰国後第1弾の舞台出演に挑むウエンツ瑛士、多くの舞台や映像作品でその実力を高く評価されている趣里、コントを得意とするお笑いコンビ「かもめんたる」メンバーであり、「劇団かもめんたる」で演劇活動も展開している岩崎う大が登場。ロンドンのある屋根裏部屋を舞台に、男女3人が過ごすある夜の出来事を描いた本作を、マギーによる上演台本・演出にて上演する。

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<「わたしの耳」あらすじ>
内気な青年ボブ(ウエンツ瑛士)の至福の時間は、狭くみすぼらしい屋根裏部屋には似つかわしくないオーディオセットでクラシックレコードを聴くこと。ある日、クラシックコンサートで隣に座った女性ドリーン(趣里)に一目ぼれ。勇気を出して、自宅のディナーに招待するまで漕ぎつけた。まさに一世一代の大勝負なのだが、女性に不慣れなボブは、明るく経験豊富な会社の先輩テッド(岩崎う大)に助けを求め、助っ人として料理とホスト役を担当してもらうことに...。ディナーの準備を進めるボブとテッドだったが、そこに、いよいよ可愛らしくお洒落をしたドリーンがやって来た。たどたどしいながらもぎこちなく会話を続けるボブ。饒舌になるのは、自分が愛してやまないクラシック音楽の一方的な話題のみ。そんな中、テッドが持ち前の社交性でその場を盛り上げるのだが。。。屋根裏のアパートの一室で、男女3人に起きる一夜の出来事とは...?

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【演出家+キャスト コメント】
上演台本・演出:マギー
登場人物それぞれがまっすぐで滑稽なほど不器用で愛おしくほろ苦い。3人の若者のチャーミングな魅力が劇中どこを切っても溢れています。半世紀前に英国で書かれた戯曲は、今の時代の誰もが共感できる人と人の心の距離感を描いています。そして今回、さらに物理的な距離感にも気を配り演出しました。ソーシャルディスタンスと演劇表現のひとつの解答としても、どや!と全世界に問いたい。そんぐらいの鼻息です。

出演:ウエンツ瑛士(うえんつえいじ)
どんな時代でも期待値なしにありのままの相手を見つめる事は大変難しい。予期せぬ相手の言動を目の当たりにした時、それを単なる「失望」と受け取るのか。それとも自分が見誤ったのか。人生を振り返ってみるとゾクゾクする事ばかりが思い出されますが、それでもなお「青い」っていいなーと思います。いやいや、私も未だに青いな。

出演:趣里(しゅり)
男性陣の普段の会話がとても楽しくて居心地がいい稽古場でした。それに刺激的な現場です。この戯曲は生の感覚が大切な会話劇。そのリアクションが嘘にならないよう心がけているので、皆さんが作る空気感は本当に有難いんです。人間の感情や距離感の取り方、男性二人の間に入る 20 代の女の子の感情の動きなど、最後まで目が離せない舞台です!素敵な時間をご一緒しましょう!

出演:岩崎う大(いわさきうだい)
1960年代のロンドンで暮らす25歳のテッドを、中野区在住41歳の僕がどれだけ演じきれるか?これが今回の個人的テーマでした。人としてよくわからない所の多いテッドで、僕が彼と会話したら軽い喧嘩になると思います。ですが、演じていてとても面白い人間でもあります。僕が気付かないテッドの魅力を見つけてもらえたら幸いです。あの後、テッドがどんな風に家に帰ったのか?興味深いです。

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