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サイモン・スティーヴンスの戯曲を、劇団「ゴジゲン」主宰の松居大悟による演出で日本初上演する『Birdland』が9月9日(木)、東京・PARCO劇場にて開幕した。

撮影:引地信彦

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サイモン・スティーヴンスといえば、日本でも2014年に上演された『夜中に犬に起こった奇妙な事件』でオリヴィエ賞・トニー賞を受賞したイギリスを代表する劇作家。演出を手がける松居は、自身が主宰をつとめる劇団「ゴジゲン」で作・演出・出演をこなし、近年は映画『くれなずめ』やドラマ『バイプレイヤーズ』シリーズを手掛けるなど、ジャンルや枠に捉われない活躍を見せる注目の演出家だ。松居にとってPARCO劇場での演出は本作が初。開幕にあたって松居からコメントが届いた。


【演出:松居大悟 初日開幕コメント】
遠いけど近くて、暗いけど明るい。吐息まで届きそうな気がする。
今まで客席で笑ったり泣いたり衝撃を受けたりしたPARCO劇場に入って、Birdlandを初めて浮かべた時に、なんとなくそう感じて。お、いいぞ、なかなかどうして匂ってくるような鋭さがあるぞと、不安を塗り潰す高揚感がありました。
本日より、舞台『Birdland』開幕します。
何年もこの戯曲を準備して、1ヶ月間マスクで稽古して、劇場で照明や音響と組み合わせて。新PARCO劇場になって初めてピンスポットを使ってないんです。それは別に主張することじゃないか。
無理やり答えを出さずに、答えを出さないという答えを確かめ合える座組です。9年前に青山円形劇場で演出した時に「彼にはまだ円形劇場は早い」と言われたことは忘れられないけれど、あの時以来の海外戯曲。でも今、劇を届ける自信があるのは、あの時よりも周りの顔つきが見られているから。マスクで顔わからないけど。まだ実感は追いついてないけど。ゴジゲン的には、目次がどう立ち向かうのかもポイントです!
戯曲の危うさ、小劇場の泥臭さ、スタッフによる繊細さによって、面白い作品ができていると思っています。
無事に幕をあけて、最後まで無事に走り抜けて、見にきた人も全員無事であってほしいです。"生きたい"と思う劇です、なにより生きていてください。劇場のガイドラインに則って、健康にお越しくださいませ!


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砂の女メインビジュアル.png2020年、劇作家・演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下KERA)と女優・緒川たまきが結成した演劇ユニット「ケムリ研究室」。
2020年の旗揚げ公演『ベイジルタウンの女神』に続き、2021年8月22日にシアタートラムで開幕し、9月10日兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールで無事大千穐楽を迎えた第二回公演『砂の女』。
緊急事態宣言の影響を受け売り止めとなり、カンパニーの、「チケットをご購入いただけなかったお客様、感染拡大下でご来場を断念されたお客様にご覧いただく機会を」という思いから、オンデマンド配信が決定した。


舞台『砂の女』は、安部公房の傑作小説「砂の女」を原作とし、KERAが上演台本と演出を担当した。砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、村人の誘いで案内された砂に埋もれゆく家に閉じ込められる。その家には寡婦が一人住んでいた...。一見奇想天外な設定でありながら、普遍的でリアルな肌触りを持つ稀代の名作の舞台化は、上演前から注目を集め、その注目は評判へと繋がった。
緒川たまき、仲村トオル、オクイシュージ、武谷公雄、吉増裕士、廣川三憲、といった実力派キャストの力演により作り上げられる密度の濃い空間、そして音楽・演奏の上野洋子の眩惑的なインプロビゼーション、小野寺修二の物語に溶け入るステージング、美術・加藤ちかの生み出す圧倒的な砂の世界、映像・上田大樹の肌に迫るような映像表現...。全てが緻密に織り上げられた総合芸術は、各新聞評やSNSなどを通じ、瞬く間に大きな話題となった。

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撮影:引地信彦

全国各地の演劇ファンが、この"研究室"の挑戦的で実験的なコラボレーションを逃さず体感できる絶好の機会だ。

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ケムリ研究室no.2 『砂の女』  オンデマンド配信
<配信期間>9/30(木) 10 :00 配信開始 (10/6(水)23:59までアーカイブ有り)
<配信元> 「PIA LIVE STREAM」(チケットぴあ)にて配信 
<チケット料金> 3,500円
<チケット発売期間> 9月11日(土)10:00 ~ 10月6日(水)21:00販売
<チケット取り扱い> チケットぴあ https://w.pia.jp/t/sunanoonna/
※ 配信される舞台映像は、シアタートラムにて収録された映像を配信用に編集した"配信限定編集版"となります。
 詳細:キューブオフィシャルサイト https://www.cubeinc.co.jp
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<公演概要>
ケムリ研究室no.2 『砂の女』 
原作:安部公房
上演台本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
音楽・演奏:上野洋子  振付:小野寺修二 
出演:
緒川たまき
仲村トオル
オクイシュージ
武谷公雄
吉増裕士
廣川三憲

【東京公演】2021年8月22日(日)〜9月5日(日) シアタートラム
【兵庫公演】2021年9月9日(木)〜9月10日(金) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
企画・製作=キューブ

<ケムリ研究室とは?>
劇作家、演出家、音楽家のケラリーノ・サンドロヴィッチと女優・緒川たまきが2020年に始動させた演劇ユニット。企画、キャスティング他、多くのパートを二人三脚で担う。旗揚げ公演は同年9月『ベイジルタウンの女神』(世田谷パブリックシアター他)。本作『砂の女』は第二回公演にあたる

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気鋭の劇作家・演出家の加藤拓也と15名の多彩なキャスト陣による安部公房の傑作戯曲「友達」の上演が、9月3日(金)に新国立劇場小劇場(東京)にて開幕した。

写真提供:シス・カンパニー

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原作は戦後日本を代表する作家の一人であり、「シュールで不条理」が代名詞の作家・安部公房の戯曲「友達」。その傑作に対して、演劇と映像の両分野で新世代を代表し、常に心をザワつかせる世界観を提示してきた加藤拓也が演出と上演台本を手がける本作。特異で不思議で可笑しな関係性を演じる15名の役者陣にもまさに心がザワつく驚きの顔ぶれがそろった。

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不条理な状況に追い込まれていく「男」を演じる鈴木浩介に迫るのは、安部公房スタジオ出身の祖母:浅野和之を筆頭に、父母:山崎一キムラ緑子、3人兄弟・3人姉妹(林遣都岩男海史大窪人衛富山えり子有村架純伊原六花)の9人家族。そこに、内藤裕志長友郁真手塚祐介西尾まり鷲尾真知子がさらに加わる。

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~INTRODUCTION~
ある夜、ひとりの男(鈴木浩介)の日常に忍び寄る、見知らぬ「9人家族」の足音。
祖母(浅野和之)、父母(山崎一・キムラ緑子)、3人兄弟(林遣都・岩男海史・大窪人衛)、3人姉妹(富山えり子・有村架純・伊原六花)から成る9人家族は、それぞれに親しげな笑みを浮かべ、口々に隣人愛を唱えながら、あっという間に男の部屋を占拠してしまう。何が何だかわからないまま、管理人(鷲尾真知子)、警官(長友郁真・手塚祐介)、婚約者(西尾まり)、弁護士(内藤裕志)と、次々に助けを求め、この不条理な状況説明を試みるが埒があかない。しかも、彼らは、どんどん「家族の論理」に加勢していく流れに...。一体、この「9人家族」の目的は何なのか? どこからが日常で、どこからが非日常なのか? この男を待ち受けるのは、悲劇なのか、はたまた救済なのか?

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和やかで楽しそうに響くタイトルとは裏腹に、足を踏み入れれば、どこか怖いような滑稽なような不思議な別空間が・・・。
初日をむかえるにあたりキャストを代表して、鈴木浩介・山崎一・林遣都・有村架純の4名のコメントが届いた。

【男:鈴木浩介 コメント】
この戯曲は、僕がかつて所属していた劇団青年座で初演された伝説的な戯曲です。今、こうして「男」という役を演じる機会をいただけるなんて、不思議なご縁を感じています。安部公房作品は初めてですが、演出の加藤拓也さん、共演の皆さんと、とにかくいつ初日が来てもいいくらいの覚悟で、練りに練り、深めに深め、稽古を進めてきました。
男の日常があっという間に侵食されていく物語は怖いけれど怖すぎて笑えます。是非笑いながら観ていただきたいですね。

【父:山崎一 コメント】
もともと別役実さんが大好きで不条理劇には長く親しんできましたが、安部公房作品は僕にとっては全く質感が違うもの。
そこに、初めてご一緒する加藤拓也さんの視点を通して作られたこの世界観です。
加藤さんの稽古の進め方から言葉、指示に至るまで初めてのことばかりの稽古場でした。
この新世代の"得体の知れなさ"に出会えたこと、探求できたことに、ずっとワクワクし続けている自分がいます!
是非、お楽しみください!

【長男:林遣都 コメント】
舞台は、僕にとっての鍛錬の場です。そして、稽古は自分の余計な部分を削ぎ落し、時間をかけて芝居を追究できる大好きな場所なんです。今回の作品は、自分の価値観とは違う次元で生きている役で、加藤さんは自分では到底到達できない視点を提示してくださいました。ずっと頭を働かせ、神経を張り詰めて稽古をしてきて、気が付くと1日が終わっている感覚でした。それが何よりも楽しくて、役にも戯曲にも発見がとても多く、それをきちんと自分の身に落とし込んで、毎日の本番に臨みたいと思っています。

【次女:有村架純 コメント】
安部公房さんの戯曲が演出家の加藤さんの手によって文字に起こされ、何度台本を読んでも、私の頭だけでは到底理解には辿り着けないだろうと思いながらの稽古でしたが、そんな時間も心底楽しく、カンパニーの皆様と一緒に、無事に初日を迎えました。
とても幸せです。男と9人の家族による、正義の分断、正義のぶつかり合い。お客様が観劇し終わったあと、心に残るものがどんなものなのかとても気になりますが、是非余韻に浸っていただけたら、と思います。カンパニーの皆様全員で完走します!

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<公演情報>
【東京公演】
2021年9月3日(金)~26日(日)
新国立劇場小劇場

【大阪公演】
2021年10月2日(土)~10日(日)
サンケイホールブリーゼ

作:安部公房
演出・上演台本:加藤拓也
出演:鈴木浩介 浅野和之 山崎一 キムラ緑子 林遣都 岩男海史 大窪人衛 富山えり子 有村架純 伊原六花 西尾まり 内藤裕志 長友郁真 手塚祐介 鷲尾真知子

お問合せ:シス・カンパニー
03-5423-5906 (営業時間 平日11:00~19:00)

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小劇場ミュージカルとして絶大な人気を誇るミュージカル『SMOKE』が、8月28日(土)、東京・浅草九劇で開幕した。韓国で誕生し、日本では2018年に初演。3人の俳優のみで、ひとりの天才詩人の苦悩と葛藤をドラマチックに描き出すミュージカルだ。上演を重ねるごとに"愛煙家"と呼ばれる熱狂的なファンを生みだし、今回で四演目となる。初演からのキャストである大山真志池田有希子に加え、8名の新キャストが加わり計10人の俳優たちが挑んでいる2021年版の観劇レポートを記す。

物語はふたりの青年・超(チョ)と海(ヘ)が、三越デパートの令嬢だという紅(ホン)を誘拐してくるところから始まる。身代金を得て、まだ行ったことのない海を見に行くのだと。しかし目隠しを外された紅は、海を見て、懐かしそうな表情を浮かべた。彼らは知り合いだったのか......? サスペンスのように始まったミステリアスな物語は、予想のつかない展開へ。やがて、自分の才能に絶望し、苦悩し、その中でもひと筋の光を掴もうとするひとりの天才詩人の内面が浮かび上がっていく。モチーフは、20世紀初頭に生きた韓国の詩人、李箱(イ・サン)の遺した詩と彼の人生。文学的奥深さと、激しい感情のキャッチボールが同居する作品を、3人のキャストが時に激情をぶつけ合い、時に仕掛け合い、時に寄り添い紡ぎ出していく。

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超役は大山真志、東山光明、伊藤裕一、山田元の4名。兄貴分的存在で、常に何かに苛立っているような役柄だ。大山の超は低く深い声と大きな存在感で頼りがいのある、しかし暗い道をひとりで突き進んでいくような孤独も感じさせる超だ。もしかしたらこの『SMOKE』という作品を初演から引っ張ってきたトップランナー・大山の孤高の戦いが役柄に反映されているのかもしれない、そう思わせるストイックさが魅力だ。東山が見せたのは鋭角的な超だ。だがその荒々しさは怯えからきているような心許なさがあり、ひどく悲しい。主に小劇場で活躍する伊藤は、この情熱的で激しい作品においても細部まで無理なくナチュラルな超。ことさら自分の"個"をひけらかすことなく、素直に作品と向き合った思われる役作りで、物語の中に息づいている。ミュージカル2作品目ながら安定した歌声を聴かせてくれたのも頼もしい限り。そしてパブリックイメージでは柔らかなイメージを持つ俳優である山田が、4人の中で最も猛々しい超を作り出していたのも面白い。激しさゆえ、絶望の深さも際立つような超だった。

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27歳だが精神は14歳で止まっている少年、海役を務めるのは大山真志、内海啓貴、中村翼の3名。超と2役演じる大山の海は、日本初演から磨き続けてきた海役のまさに集大成と言えそうなパフォーマンス。特に終盤、物語の全貌が見えてからの演技は圧巻で、劇場全体が彼の内面世界に飲み込まれてしまったかのようだった。内海は少年性の強い海であどけなさが可愛らしい。だが後半、自身の記憶を取り戻してからの表情が冷え冷えとしていて、そのギャップが面白かった。中村も幼さが全面に押し出されている海だが、内海とは違いずいぶん超への依存度が高そうな繊細さが印象的。まだ大学生とのことだが、素直で伸びのある歌声もいい。物語の要である海を、3人がまったく異なるアプローチで作り上げているため、作品自体のカラーが海の役者によって全く変わってくるのも見ごたえがある。

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紅役は池田有希子、木村花代、井手口帆夏、皆本麻帆の4名。世代の違う4人が配役されたが、いずれも美しく強く、ミステリアスな女性を作り上げ中ている。韓国産ミュージカルの特性であるアップダウンの激しい感情を、しかしナチュラルに自由に見せられる稀有な女優である池田は、3度目の『SMOKE』でもハッとさせられるほど新鮮。特に今回は、"恋しい"という感情を通奏低音として流しているように見え、ひとつ物語に揺るぎない芯が通った感。木村の紅には"切なさ"が常に漂う。もともとの彼女の魅力である柔らかさと相まって、台詞にあるように海のような紅だ。また、高音も低音も自在の歌唱力も圧巻だった。面白かったのは皆本の紅だ。もともとコケティッシュな魅力のある女優だが、"夢の女"といった風情の、どこからやってきたかもわからない不思議な浮遊感。様々な女優が演じてきた紅だが、確実に新しく、そして目が離せない紅だった。そして、これがデビューとなる井手口。フレッシュさはもちろんのこと、まぶしいほどの透明感だ。大切にしたかった、守りたかった純粋な心の欠片がそのまま具現化したかのようで、新鮮でありながらも、ある意味この作品のテーマをど真ん中を突いているのでは、と思わせる紅になっていた。歌声も美しく、これからのミュージカル界での活躍も大いに期待できる。

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......と、駆け足でそれぞれの役柄の印象を述べたが、もちろん組み合わせによってもどんどんその印象を変えていくに違いない。例えば今回見た大山・超と池田・紅の組み合わせは、長年本作に関わっているふたりなだけあって、ののしりあっていても、その息の合いっぷりからどこか共犯者めいた空気が出てくるのが面白かったが、同じシーンを頑なさを強く感じた山田・超と、その場でどんどん感情を変えていく池田・紅がぶつかったらどうなるだろう? というような興味もムクムクと沸いてきた。今回は36通りのキャストの組み合わせがあるとか。自分だけのお気に入りの『SMOKE』を見つけるのも楽しみのひとつかもしれない。

演出についても特筆したい。今まで浅草九劇では四方を客席で囲ったセンターステージで上演、観客の眼前に俳優がいる緊密さ、迫力も話題のひとつだった。今回はコロナ禍もあり物理的"密"は避け、三方囲み、ステージは特殊フィルムとビニールシートで囲まれた。しかし"囲まれた"ことを利用し、ステージを煙で満たしたり、特殊フィルムを駆使しあえて観客の視界を遮り想像力に委ねたりと、現状を逆手にとった演出の巧みさが見事。時に光の加減でスクリーンやビニールシートに俳優の姿が反射し鏡のようになるなど、作品の内容ともリンクし、面白い効果が生まれた。何よりも3人ずつの俳優たちが相手役と息を合わせ、心情で"密"な作品を作り上げている。これまで『SMOKE』を何度も観ている人にとっても、また新しい『SMOKE』になっているはずだ。

公演は10月3日(日)まで浅草九劇にて。その後10月15日(金)から17日(日)にかけ、大阪・シアタードラマシティでも上演される。9月3日(金)19:00、9月6日(月)19:00公演はライブ配信も決定。公演・配信チケットは発売中。(取材・文:平野祥恵)

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Diverse Theaterとは、Diverse(多様さ)をかかげ、ワタナベエンターテインメントが新たに立ち上げた様々なクリエーター、プロデューサーとのコラボレーションにより、演劇の可能性を拡げる実験的な新プロジェクトです。この第1弾となるDiverse Theater『物理学者たち』では、スイスを代表する劇作・小説家・推理作家のフリードリヒ・デュレンマットによる二幕の喜劇を、ノゾエ征爾さんが上演台本・演出を手掛けます。出演は草刈民代温水洋一入江雅人中山祐一朗坪倉由幸(我が家)ほか。
今回は、その作品解説が到着しましたのでお届けします!

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3人の物理学者と3つの殺人事件、彼らが抱える真実とは?

物語の舞台は、サナトリウム「桜の園」の精神病棟。そこに入所する3人の核物理学者、自称ニュートン(温水洋一)、自称アインシュタイン(中山祐一朗)、「ソロモン王が自分のところに現れた」と言うメービウス(入江雅人)。彼らは本当の狂人なのか?
このサナトリウムで若い看護婦が絞殺された。犯人は"アインシュタイン"を名乗る患者。ここでは3カ月前にも看護婦が殺害されていた。院長のマティルデ・フォン・ツアーント(草刈民代)は放射性物質が物理学者である彼らの脳を変質させた結果、常軌を逸した行動を起こさせたのではないかと疑っていると言う。そして第三の殺人事件が起き、やがて彼らがなぜこのサナトリウムにいるのかが解き明かされていく・・・。

草刈民代が新たな役に挑戦!笑いと悲哀とサスペンスの渦

永遠の白衣をまとった地元名門の出であり、その最後の末裔であるマティルデ・フォン・ツアーント院長。ト書きでは"背中の曲がった老嬢"と書かれている役に、元バレエダンサーで清廉なイメージを持つ女優・草刈民代が挑戦します。"グロテスクな誇張"という文体表現を得意とするデュレンマットの歪んだ世界で、底知れぬ恐ろしさを造形していく草刈民代は見逃せません!

60年を経た今でも色褪せない戯曲は私たちの心にどう突き刺さるか?

2011年の福島第一原子力発電所事故の傷が未だ癒えない日本を生きる私たちに、この作品はどのように映るのでしょうか?
デュレンマットは「物理学者が今日の世界でどのような行動をとるべきか?」という問いを容赦なく観客に投げかけてきます。
では彼ら物理学者たちはどうすれば良かったのか? その迷宮の出口を見つけ、この負の連鎖からいかに脱するかは、私たち自身がこれから考えるべきことなのでしょう。


作品解説/翻訳 山本佳樹

スイスの劇作家フリードリヒ・デュレンマット(1921-1990)の代表作『物理学者たち』は、冷戦下の1961年、核戦争の危機のなかで書かれ、世界の劇場で大ヒットを収めました。近年では、福島原発事故の後、ドイツ語圏を中心にリバイバル上演が盛んに行なわれました。物語は精神病院を舞台とし、ある殺人事件を発端に、科学者の責任が問われていきます。
世界の秩序が失われた現代に悲劇は存在しえないと考えていたデュレンマットは、この作品を「喜劇」として構想しました。前半からジャブのように繰りだされる笑いの数々。第二幕に入って大きなアッパーカット。なんとか身をかわしたかと思ったとき、まさに笑うしかないような最悪な結末でとどめをさされます。
登場人物の性格の誇張や設定の抽象性もデュレンマットの戯曲の特徴であり、それは寓意的で普遍的な世界像と表裏一体をなしています。

『物理学者たち』が書かれた時代の脅威が核戦争だったとすれば、2021年のそれはずばりパンデミックでしょう。デュレンマット生誕100年となる本年、パンデミックのなかを生きる私たちの前に『物理学者たち』が予言劇のようによみがえり、その比喩の力で私たちの心を揺さぶってくれるものと期待しています。

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<公演情報>
ワタナベエンターテインメントDiverse Theater
『物理学者たち』
2021年9月19日(日)~26日(日)
本多劇場

作 フリードリヒ・デュレンマット
翻訳 山本佳樹
上演台本・演出 ノゾエ征爾
プロデューサー 渡辺ミキ・綿貫 凜

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中川晃教がアメリカン・ハイスクールの先生になって、音楽の素晴らしさを実技たっぷりに解説!? なんとも楽しそうなステージ『SCORE!!〜Musical High School〜』が7月24日、25日に明治座で開催される。ミュージカルのみならず演歌やポップス、アニメソングまで披露されるというこの舞台、生徒役には石川由依、上口耕平、おばたのお兄さん、佐藤友祐、徳永ゆうき、夢咲ねねと多彩なジャンルで活躍する面々が揃い、特別講師には坂元健児が参戦。音楽好き、ミュージカル好きにはたまらないステージになりそうだが、本作のみどころについて、《先生》中川晃教《特別講師》坂元健児《学級委員長》上口耕平に語ってもらった。

----どんなステージになるのか予想がつきません。台本もあるとのことですが、ミュージカルなのでしょうか、コンサートなのでしょうか。《先生》役の中川さん、教えてください!

中川 どちらでもあり、どちらでもないというところでしょうか。二部構成で、一部は私が先生役で生徒役の皆さんとの関係性の中、授業を行い、ミュージカルの面白さを届けていく。しっかりとしたシナリオがあり、今そこに、稽古をしていて、それぞれの人の個性が上乗せされつつあるところです。二部は一転してショータイムで、皆さんの持つ素晴らしさが存分にお客さまに伝わるような内容なのですが、ある意味一部で学んだことの回収が二部であったり......というようなところもあります。シナリオはちゃんとあるのですが、稽古ですでに、いただいた台本の上に自分の手書きの台本を用意されている方も......(と坂元さんに視線を送る)。
坂元 ははは!
中川 一方でこちらは完全に台詞を入れてきていて......(と上口さんに視線を送る)。
上口 僕は台本に忠実にやるタイプですから。
坂元 でももともと台詞どおりに言っていいという台本ではないんですよ。僕が勝手に変えたみたいに思われたら困ります(笑)。
上口 僕も最初は忠実にトライして、そこから膨らませていくのが大好き。どんどん広がっていきそうで、最高ですね!

『反応工程』稽古場レポート

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新国立劇場が、全キャストをオーディションで選考し、上演するという企画で昨年、コロナ禍により上演が中止となった千葉哲也演出による『反応工程』が、全キャスト・スタッフが再結集して7月12日より上演される。昨年の中止決定前に行われた通し稽古の模様をつづったレポートを再掲する。

『反応工程』は、学徒動員された経験を持つ宮本研が、自らの経験をもとに執筆した作品。終戦間際の九州の軍需工場で働く動員された学生たちや古株の工員らの人間模様が描き出される。

昨年の4月9日に幕を開ける予定だった本作だが、新型コロナウイルスの感染拡大によりまず4月12日までの公演の中止が決定。さらにその後、緊急事態宣言の発出を受け、全日程の中止が発表された。この通し稽古が行われたのは、全日程の中止が発表される前の3月下旬。そのため、まだマスク無しでの稽古だった。先行きの不透明な状況の中でも、キャスト陣14人は約1500通もの応募者の中からオーディションを経て役を勝ちとっただけあって、意気消沈するどころか、高いモチベーションと集中力を持って稽古に臨んでおり、1ステージも無駄にすまいという強い思いが伝わってくる。

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もともとは染色工場だったが、現在はロケット砲の推進薬を作っている軍需工場という設定で、工場へとつながる休憩室、仮眠室のあるスペースで展開。奥の柱には「火気厳禁」「生産増強」などと書かれた貼り紙が見える。 戦時中であり、若き学生たちが兵器を作る工場への動員を余儀なくされるという非常事態の中にあって、それでもここで主に描かれるのは、彼らの日常である。若者たちは奇妙なほど明るいテンションで日本の勝利を信じ、仕事に励み、酒を飲み、召集を受けた者にも明るく「おめでとう」という祝福の言葉を送るが、そこにはどこか虚しさが伴う...。

"反応工程"という言葉は、ロケットの推進薬を作るプロセス、原料となる薬品が混ざり合い、化学変化を起こしていく過程のことを指しているが、若き学生たちと昔ながらのベテランの職工たち、経営陣、女学生、憲兵など、立場もこれまで歩んできた道のりも思想も異なる者たちが混ざり合い、影響し合っていくさまこそ、まさに"反応工程"と言える。

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もちろん、単なる日常のみが描き出されるわけではない。学生のひとり・影山は軍からの招集を拒んで逃げ出す。同じく学生の田宮は、勤労課の年上の職員・太宰から"禁書"とされているレーニンの著書を渡され、その影響を受けて戦争や正義、国家、そして自分自身に対しての迷いや揺らぎを感じ始める...。

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戦時中、しかも終戦間際の特殊な状況を描きつつも、現代を生きる我々に深く問いかけるようなセリフややりとりも劇中、多く見られる。印象的なのが、禁書を持っていた田宮を教師・清原ら大人たちが見咎め、なんとか穏便に事態を収めようとするシーン。清原は「今はこういう時代」であり「国という一つの全体が激しい力でどんどん変っている。......というより、一つの力でぐんぐん前に進んでいる」のであり、そうした状況にあっては、全体の意思や秩序の下で、個人が制約を受けるのはやむをえないと説き、「制約なり規律なりを、むしろ、積極的に受取ってゆく。......つまり、そういった制約の中でこそ自分を生かしてゆこうという、積極的な身構えが必要だと思うんだ」とまで言い放つ。

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教師のそんな言葉に激しく反発する田宮だが、彼もまた心の中に激しい葛藤を抱いている。彼に禁書であるレーニンの本を渡した太宰は冷静に「日本は敗ける」と語るが、田宮はその言葉を理屈の上では理解しつつも受け入れられない。「明日を見る」と諭すように語る太宰に対し「今日しかない」と叫ぶ田宮...。

物語が始まるのは1945年8月5日。そこから日々、工程が少しずつ進んでいく様子が描かれるが、芝居を見ている我々は、黒板に書かれた日付を見つつ「あと何日で終戦」と頭の中に浮かべる。だが当然ながら、劇中を生きる彼らは、そんなことは知る由もない。いや、その日が近いことは皆がどこかで感じているのかもしれないが、そんな日が来ることが信じられずに今日を生きている。

それは、いつの日か危機的な事態が収束するであろうことを願い、信じつつも、それがいつになるのか見えずに不安を抱え、大切な人々のことを案じる、いま現在の我々の社会とも重なる。

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最終第四幕では、少し時間を置いた戦後が描かれる。第三幕までの数日を生きのび、終戦をまたいだ若者、そして大人たちがどう変化し、戦中の時間をどのように受け止めているのか? 最後までじっくりと見届けてほしい。

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『反応工程』は新国立劇場にて7月12日より上演

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2018年12月から2019年初頭に上演され、大人気を博した作・演出:三谷幸喜音楽:荻野清子によるオリジナル・歴史ミュージカル「日本の歴史」。その待望の再演が、本日2021年7月6日(火)に新国立劇場中劇場(東京・初台)にて開幕した。

写真提供:シス・カンパニー

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観劇後の帰り道でついつい口ずさんでしまったひとが続出したという荻野清子作曲のキャッチーなナンバーは今回も健在。そしてさらに今回の再演にあたっては新曲も誕生した。キャスト陣にもこれまでの、中井貴一香取慎吾新納慎也シルビア・グラブ宮澤エマ秋元才加という初演メンバーに加えて、新たに瀬戸康史が加入。楽曲・キャストともに新しい風が吹き込まれた。

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7名の俳優のみで60役以上にもおよぶ登場人物を演じ、歌い踊る構成は初演時そのまま。そこへさらに新曲や新メンバーとの出会いと融合によって生まれた今回の再演版は、初演を楽しんだ方にも、初めて観劇する方にとっても、新鮮な驚きと喜びを感じられるだろう。

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【作・演出:三谷幸喜 コメント】
「日本の歴史」が帰って来ました!
女装で踊る中井貴一、香取慎吾のエロ坊主、シルビア・グラブの織田信長、宮澤エマの平清盛、秋元才加のババア、新納慎也のジジイ、皆、戻って参りました。
さらに初参加、瀬戸康史の11役早変わり。全編見所しかない、一大ミュージカル。
歴史の転換期とも言うべき今こそ、観て頂きたい作品です。

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<公演情報>
【東京公演】
2021年7月6日(火)~18日(日)
新国立劇場中劇場

【大阪公演】
2021年7月23日(金)~30日(金)
梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
※2021年7月10日(土)より一般発売

作・演出:三谷幸喜
音楽:荻野清子
出演:中井貴一 香取慎吾 新納慎也 瀬戸康史/シルビア・グラブ 宮澤エマ 秋元才加

お問合せ:シス・カンパニー
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舞台『観劇者』 いよいよ本日、開演!

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〈客席にこそドラマがある〉――舞台「観劇者」が、2021630日(水)から74日(日)まで、池袋・​BIG TREE THEATERで上演される。なぜこの場所で公演を観ることになったのか、その過去や経緯にふれながら、観劇する側の客9名の開場から終演後までを描き、普段はステージの上で演じる役者たちがお客さまに扮するという作品だ。今作の脚本・演出を手掛けるのは、自身も俳優として活動する開沼豊。そして、堀田竜成、外岡えりか、林明寛、大滝樹、岩佐祐樹、わたなべかすみ、吉田翔吾、斉藤レイ、長戸勝彦の個性豊かなキャスト陣が、さまざまな背景を持った"観劇者"に挑む。

この度ぴあではM9番(高木蓮)役の堀田竜成、M13番(野間洋平)役の岩佐祐樹、M8番(佐々木真)役の吉田翔吾の3名にインタビューを実施。稽古がスタートして間もないなかでも息ぴったりの彼らから、脚本を読んでの感想から個々の印象まで、さまざまな話を聞いた。

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――脚本を読んだ印象を聞かせていただけますか?

堀田「ストーリーが繋がっていないようで繋がっていて、個人プレーではありつつ、チームプレーが必要な内容なので、個々の表現力が大切になってくる気がします。かなり難しいです(笑)」

岩佐「(開沼)豊さんの作品に出させていただくのは、今回が2回目なんですけど、視点が面白いなって。個人的にセリフ回しや言葉遊びも好きです。僕らは普段(舞台に)出ていますが、今回観劇する側に立って、応援して下さる方の気持ちやどういう思いで劇場に来ているかとか、自分自身も理解が深まるような気がしていて。この舞台を通じて距離が近くなる、そんな作品になるんじゃないかなと」

吉田「斬新なことをやろうとしてるなって。コロナ禍のいま、いいところをついている作品ですよね。やりやすいアイデアショーだなと思いました。今回お客さんが主役の舞台じゃないですか。前に、『俺、将来何してるんだろう』とか思ったときに、新宿駅の人の多さを見て、自分と同じようにいろんなことを考えている人が、この数だけいるって実感して、そこに異常な宇宙を感じた、みたいなことがあって。『観劇者』の台本を読んで、そのときの気持ちを思い出しました」

岩佐「(笑)」

――(笑)。(取材時は)顔合わせと台本読みが終わられた段階とのことですが、どんな雰囲気でしたか?

岩佐「劇場に来るまでの経緯をほかの人が演じているシーンは、出演している僕らも普通にお客さんみたいな...」

――今回、なぜ観劇するに至ったかに繋がる過去のパートでは、録音された声と対話を重ねて演技をしていくという手法がとられているんですよね。

堀田「自分がいないときはひたすら(みなさんの演技を)聞いているので、お客さんと一緒ですよね。普通に役者が演じてる姿を見て楽しみました」

岩佐「掛け合いが素直に楽しかったです。吉田くんも面白くて」

堀田「最高ですよ。吉田さん最高ですよ」

吉田「いやいやいや...。ハードル上がってるわ(笑)」

――吉田さんは、舞台を観にきているものの、なぜか舞台に集中できないとある事情と戦っている、客席で唯一「早く終わってくれ!」と願っている佐々木真を演じられています。

吉田「ほかの皆さんは、過去が描かれるのに、僕だけない(笑)。みなさん特別な思いがあるじゃないですか。僕はないんですよ(笑)。ただ、一番お客さんからの共感を得られるんじゃないかって」

堀田「確かに(笑)。わかりやすいですよね」

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吉田「僕は、岩佐さんの役がグッときましたけどね」

――岩佐さんが演じる野間洋平は、昼夜アルバイトをしながら、月に数回の観劇が生き甲斐という役どころです。

吉田「いつも苦しい思いをして働いているけど、好きなことのためならこんなにも頑張れるんだなって...」

岩佐「(夢中になっていることがあるので)嫌なことは気にならないんでしょうね。目的のために頑張ることが表現されている役なので、グッとくるというか」

――堀田さんは、過去に芸能養成所に通われていた元俳優で、現在はアルバイトをしているという高木蓮役ですが、自分自身と重なる部分はありますか?

堀田「高木蓮くんと僕は、負けず嫌いでプライドが高いところが似てますね。みんな頑張っているときに気を抜いている人を見ると、『ん!?』って思うこともあるし、そういう面では似てるのかなって。ただ、蓮くんは根っからの真面目で一人で頑張るタイプだけど、僕はただプライドが高くて負けず嫌いなのでそこは違うかも。僕、誰かと競ってないと頑張れないんですよ」

岩佐「血液型、何型?

堀田「B型です」

岩佐「あれ? B? 僕もB型なんですけど、Bって...」

堀田「え!? Bなんですか!?

岩佐「Bって、いまの堀田くんの話と反対で、周りがちゃんとやっていないと自分が頑張ろうって考えるタイプがBらしくて」

堀田「あー、僕は逆かもしれないですね」

――ちなみに吉田さんは...。

吉田「僕はA型です。温和です。調和を大切にしています(笑)」

岩佐「そんな感じする(笑)。まあ、血液型は一参考ですけどね(笑)」

――岩佐さんは役とご自身が重なる部分はありますか?

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岩佐「過去にバイトをしながら演劇を続けていたので、その経験からくる共感ポイントは高いかなと。ただ、彼は観劇以外は興味のない人だけど、僕はバイトのなかでも何かしらの楽しみを見つけたいタイプなので、その辺は少し違います」

――吉田さんは...?

堀田「吉田さん難しくないですか!?(笑)」

吉田「重なる点が...ひとかけらもない(笑)。佐々木が観劇に集中できなくなる理由があって、それと同じ経験もしてるんですけど、そこからの経過が真逆(笑)。でもこの劇中での出来事が佐々木にとっても初めてだったと思うんです。僕も同じようなことがあったので、気をつけるようにしていますし、佐々木もそうだと思うので、その点は一緒なんじゃないかなと」

――なるほど(笑)。それぞれ異なる背景を持っている人たちが一つの場所に偶然居合わせる感じって、映画みたいですよね。

堀田「確かに」

吉田「『ラブ・アクチュアリー』ですね」

岩佐「個人的には『有頂天ホテル』的な」 

吉田「あー! そっちですね!俺ももう1個言いたい! そうだ、『フィッシュストーリー』ですね! (笑)」

――ありがとうございます(笑)。今回、岩佐さんは開沼さんが作・演出を手掛けられる舞台にご出演されるのが2度目だと思いますが、開沼さんはどういった演出をされる方ですか?

吉田「聞きたい!

岩佐「台本的にはきっちりとしてそうなのに、演出の自由度は高かった記憶がありまして。前回の『LDK ミディアム2』は主演の田中稔彦さんが大幅にアレンジしても採用したりして。コメディって、演出で言葉のテンポ感を気にしたり、セリフ通りに言って、という方もいらっしゃるとは思うんですけど、豊さんは温和で、できるなら稽古を早く終わらせようとするタイプ、という印象です」

――ビシビシしごく、みたいなことではなく...。

岩佐「あー、全然! 逆にもっとないですか? 大丈夫ですか?っていうタイプだった記憶が...。この3年で変化していなければ(笑)」

――いまのお話を受けて、堀田さん、吉田さんはいかがですか?

吉田「今回の台本だったらある程度自由を利かせてくれたほうがいいのかな~、どうなんだろう。役によって違うとは思うんですけど。僕みたいに一人でやらなきゃいけない役は、直感的に『いまこれ言ったほうが面白い!』と思うものは言ってったほうが、パワーもエネルギーも出るからいいのかなって」

堀田「僕は自由度が高い舞台を経験したことがあまりなくて。自分の気づきとか、やりたいことはどんどん出して、ブラッシュアップできたらいいですよね。そうなりたいって思う部分もあるし、できるようになりたいですね」

――先ほどもちらっとお話しましたが、今回の『観劇者』では、予め録音された音声と対話する箇所がいくつも出てきます。そこについてはどう思われましたか?

吉田「すげえ嫌だなって思いました(笑)」

堀田「シンプル(笑)」

吉田「ただ、僕に関してはそんなにないです(笑)」

岩佐「お芝居って生ものじゃないですか。録音された声が相手だと、日によって違うことがないので、不安もあります。声の相手を自分のなかでイメージすることも必要だし」

堀田「登場人物の背景を説明してくれるのが録音された音声で、出演する僕たちはその声の問いかけを受けて感情を表現することが多かったりするので、そういった点も難しいなって思います」

岩佐「表現力が問われるよね。一人で画を持たせなきゃいけないっていう」

堀田「台本見たときびっくりしましたもん。いまどきだし時代を先駆けた新しいものというか。新たにできたルールにのっとっているけれども、作品として成立している。新鮮な見せ方だなってシンプルに思いましたね」

――ここまでは『観劇者』の内容にふれながらお話を聞きましたが、ここからはそれぞれの印象についてお伺いします。

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堀田「吉田さんは、(この段階では)プライベートであまり話せていないのですが、先日の本読みから全力で演じていて、感動というか、凄いなと」

岩佐「なんで(吉田くんは)眉をしかめてるの?(笑)」

吉田「どう返そうかなって思って(笑)」

堀田「一緒の舞台に出ながらも、いち観劇者として楽しみです。台本を手放してブラッシュアップしたあとはどうなるんだろうって...そんな顔やめてください!!(笑)」

吉田「ハードルが上がっておる(笑)」

堀田「岩佐くんは23年の付き合いですが、今回みたいな役で見るのは初めてなので、新鮮な気持ちというか。あ、岩佐大先輩、すごいなって...(笑)」

岩佐「吉田くんと同じような表情になるから(笑)」

堀田「今回は勉強をさせていただける場というか、いろんなところを見習って、お勉強できたらって思ってます」

岩佐「僕は、斉藤レイさん以外は知り合いで。長い付き合いの(堀田)竜成くんは、2.5次元舞台が持つエンターテインメントな部分での自由さと、ストレートなお芝居の自由さは違うと感じていて、ストレートの部分で最初は恐縮してるんだと思うんですけど、だんだんのびのびとしてくるんじゃないかな(笑)。性格的に自由にやりたい人だと思うので。ストレートの舞台でのびのびとやっている竜成くんを見るのが楽しみです。爆発力のある方なので」

堀田「そうなれるように頑張りたいですね」

岩佐「吉田くんは、一回イベントでご一緒したことがあって、全然違うルックスだったんですよ。眼鏡にコサック帽みたいな。結構変わった人なのかなって考えてたら、調和の取れた...しっかり地面に根をはるタイプというか。面白いけどしっかりしてる。素敵な...素敵なって一言で言っちゃうと雑だな...」

吉田「いやいや、俺も使いますから(笑)」

岩佐「いい人、すごく。薄い言い方で申し訳ないけど、いい人。こういう人が座組にいると助かるんだろうなって。頼りになるし、お芝居に対しても真面目なのが伝わってくるし、かつユーモアがあって。この作品の面白いところをたくさん引っ張ってくれるんじゃないかなって。今回ご一緒できて本当に嬉しいです」

吉田「もういいんじゃない?(笑)まず岩佐さんは、顔合わせの時や、いまも思ったんですけど、言葉がとても達者というか、上手ですよね。イベントのときもきれいにまとめてくれるんですよね。うまくゴールを決めてくれる」

堀田「言葉の魔術師ですからね...。本当にうまいですよ!僕は心からリスペクトしてます。言葉の引き出しがたくさんある。天才」

吉田「あと、落ち着きがすごいですよね。同じ年で、僕も同世代の人には落ち着いてるねって言われるんですけど、彼は落ち着いてますよね。あと(岩佐くんと)同じこと言っちゃうけどユーモアがあって、調和を重んじながら、いろんなところにレーダーをはって、助けてくれる」

岩佐「いいことたくさん言ってくれる...。ありがとうございます」

吉田「堀田さんは『観劇者』の顔合わせが初見で、僕が入った時にとてもいい笑顔で『おはようございます!よろしくお願いします!』って挨拶してくれて。その時に、素敵な座組にしてくれそうって思いました。あと、いま聞いている感じだと、すごい元気。いろんなことを考えた上での元気さを持っていて、稽古場にいてくれたら環境を華やかにしてくれる、スター的存在なんだろうなって」

堀田「そうなれるように頑張ります(笑)」

――それでは、『観劇者』が気になっているみなさんにメッセージをお願いします。

堀田「こういった状況の中で、見に来てくれる方が、ちょっとでも笑顔になれるように。いろいろ考えることもあると思うんですけど、この作品を通して考えなおすことが出来たり、次につながる作品になるように、キャスト、スタッフ一同頑張りますので、ぜひ嫌なこととか全部忘れてその場だけでも楽しめる舞台になればいいなと思うので、楽しみにしてきてください」

岩佐「今回の舞台『観劇者』は、共感性の高いものになるのかなと思いますし、豊さんの脚本も面白いですし、本当に個性豊かな方々が集まっているので、いい意味で何も考えずに足を運んで、2時間楽しく過ごしていただける作品になればいいなと。『観劇者』を観劇者として見て、自分が本当に楽しいな、幸せだなって思うことを再確認できる、僕たちも自身もそう思える時間にしたいです。僕たちも頑張ります」

吉田「僕らが演じるのが、足を運んでくださるお客さまなので、『観劇者』を通じて感じることも多いんじゃないかなと。みなさまが主役の舞台ですよ、と言ったらあれですけど、いろんなことがバシバシ伝わるんじゃないかと思うので、見に来ていただければ嬉しいです」

<公演情報>
「観劇者」
公演期間:6月30日(水)~7月4日(日)
会場:シアターグリーン BIG TREE THEATER
チケット料金:全席指定-7000円
お問合せ先: サンライズプロモーション東京:0570-00-3337


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2013年に初演され、人気を博したジェットコースターサスペンス「WORLD」!その第三弾となる「WORLD」~Change the Sky~がいよいよ明日6月27日(日)に開幕します!

稽古場から届いたキャストの皆さんのメッセージも今回がラスト!

第7回にメッセージを寄せていただいたのは、、、

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金山一彦さん!
国立周蔵役を演じる金山さんにお聞きしました!

――Q1. ご自身の役どころ・キャラクター・お客様に注目いただきたいシーンなどあれば教えてください。

役柄は細かくは言えませんが、深い暗闇の中でじっと息を殺し「期」を待っている国立周蔵役。仮釈放されその「期」を伺いどうしても守りたい人を守りながら動き出します。果たして国立は何を目論みどんな行動を起こすのか。そして目的を達成できるのか?是非劇場でご覧になってください。

――Q2. 稽古をしてみて感じること、稽古中のエピソード等を教えてください。

この国立の役は今回で三度目なんですが、本編の倍の時間演じた様な疲労感を感じます。 一瞬たりとも気を抜けないので、演じてる時以外はどれだけリラックスするかが重要なんです。なのでなるべく緩い会話を心掛けております。

――Q3. 共演者の印象についてお聞かせください。

今回久瑠美役の佐々木さん。とても細くて小さくて可愛らしい彼女ですが、役を演じ始めると芯が通っていて強さを感じております。他の俳優陣も個性が強くとても刺激的で稽古場に行くのが楽しみで仕方ありません。

―― 読者の方へメッセージをお願いします!

去年から続いておりますコロナ禍の中の上演となりますが、万全の感染防止対策で劇場でお待ちしております。案内に従って観劇頂ければ幸いです。どうぞよろしくお願いします。


金山さんありがとうございました!
キャストの皆さんからのメッセージは今回まで!つづきはいよいよ本番!劇場でお楽しみください。



<公演情報>
「WORLD」~Change the Sky~
公演期間:6月27日(日)~7月4日(日)
会場:なかのZERO 大ホール (東京都)
チケット料金:全席指定 9800円(税込)
お問合せ先: サンライズプロモーション東京:0570-00-3337

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