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ミュージックホールでたまたま知り合った謎の美女と、どういうわけか一夜をともに過ごすことになった主人公。甘い雰囲気を期待するも、その美女が謎の言葉を残して殺された! わけのわからないまま国家をゆるがす陰謀事件に巻き込まれ、かつ殺人容疑で指名手配されてしまった主人公の命運やいかに......!? ジョン・バカンのスパイ小説「三十九階段」及び、その小説を原作にしたアルフレッド・ヒッチコック監督映画「三十九夜」をもとにしたイギリス発の人気舞台『THE 39 STEPS ザ・サーティーナイン・ステップス』が、51()より東京・シアタークリエで上演される。登場する139役を平方元基、ソニン、あべこうじ、小松利昌のたった4人の俳優で演じる、サスペンスにして極上のコメディ。4月下旬のある日、この稽古場を取材した。

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取材日の稽古は、2幕冒頭のシーンからスタート。場所はのどかな田舎のようだ。マーガレット役のソニンが牧歌的な歌を口ずさむ一方、平方扮する主人公リチャード・ハネイは裁判所で判事(小松)を相手に、重大な事件が起きていることを訴えている。親身になって話を聞く判事。すでに大逃亡劇を繰り広げているハネイ、ここでやっと身の潔白をわかってもらえるか......と思いきや、実は判事は時間稼ぎをしていただけ。こっそり呼んでいた警官(あべ)に手錠をかけられ、ハネイ大ピンチ! 格闘の末、ハネイは窓から逃亡し......。おそらく本番では数分のシーンであろうが、2幕の幕開き早々、ハイスピードかつ、情報量の詰まった展開である。さらに演出のウォーリー木下からは「ソニンさん、出てくる時にその窓枠を持ってこられますか?」など、容赦なく役割が与えられていく。ただでさえ出ずっぱりで大忙しの俳優たちだが、この作品、舞台上のセット転換なども俳優が担う部分が多い。慌ただしいセットチェンジが可視化されることで、物語のスピード感が上がっていく。

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場面も役柄もくるくる替わり、さらに転換も担う俳優たちが肉体を酷使している様はそれだけで楽しくドタバタコメディとして成立しそうだが、この熟練の4人の俳優は、それだけで終わらせない。決め事が多い舞台なだけに動きも細かく指定されている模様だが、ソニンは木下に"その動き"をするためのキャラクターの心情の調整を相談したり、「ここ、ブラシ使っていいですか?」と小道具をリクエストしたりと積極的に役を深めている。あべからは木下に「この警官は電車のシーンに出てきた警官ですか?」という質問が。台本上の指定はないようで、木下が「その方がハネイは反応しやすいからテンポがよくなるよね、ハメられた感が出て」と判断し、同じ人物になった模様。小松は、電話で喋りながら電話の向こうにいる通話相手の声も担当するなどアクロバットでユニークな演技を器用にこなし笑わせる一方で、「この赤い幕はあべさんに運んでもらった方が(効率がいい)」など、俯瞰した視点からの提案もしている。ちなみにふたりで135役を演じていくあべと小松は"クラウン"と呼ばれる役柄。ただし、様々な役を演じるふたりをクラウンと称しているのではなく、ふたりはクラウンを演じ、そのクラウンが様々な役を演じていくという構造のようだ。ある役の衣裳を着てもすぐにその役になるわけではなく、クラウンでいる状態もあり、"スイッチが入る瞬間"が舞台上であるのが面白い。

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そしてハネイを演じる平方が、誰よりもハードに動き回る。思いもよらない事件に巻き込まれ、追い詰められながらも、この危機を救えるのは自分だけだと奮闘する。平方は危機に陥っているのに美女に会って目尻を下げる人間臭さなどが可愛らしい一方で、激しいアクションシーンもカッコ良くバッチリ決める。平方の愛らしい個性は、いわゆる"巻き込まれ型主人公"が非常によく似合うし、ハネイは間違いなくそのタイプではあるのだが、受け身なだけではない力強さが平方の全身から伝わってくるのもいい。ミュージカルデビュー10周年の節目を迎えている平方のこれまでの経験値が確実に自信となり、ハネイに注ぎ込まれている。同時に平方自身がこのハードな役を楽しみながら演じているのもよくわかる。

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手に汗握るサスペンスフルな物語展開に、ドタバタだけではない俳優たちの名演が期待できる『THE 39 STEPS』。とはいえやはり、"物語の外"の見どころもたくさんある作品だ。セットチェンジは「先にスクリーンを出さないと......」など、さながらパズルのように試行錯誤しているし、シーンの稽古の前に「モノの出し入れの練習をさせてくださーい」という時間があったり、クラウンたちは効果音さえも口で言っていたり。さらに音楽を担当するバンド・ザッハトルテもすでに稽古に合流。ストレートプレイではあるが音楽も重要な要素で、ナンバー数も多い。雷やフィルムのまわる効果音などもバンドが出しているのも面白いし、クラウンたちの衣裳チェンジにかかる時間にあわせて音楽の長さを調整もしている。全方位にわたってアナログな手間を随所に仕掛けている作品だ。だが、大変さはビシバシ伝わるものの"ピリっと"感はまったくしない。座長の平方に至っては、ちょくちょく取材カメラに向かってポーズを送ってくれるサービスっぷり。みんなが楽しんでいることが伝わってくる稽古場だった。手作り感満載、愛情いっぱいの"全力演劇"。演劇を愛する人こそ、大好きな一作になりそうだ。

公演は51()から17()まで。チケットは発売中。(取材・文・撮影:平野祥恵)

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ゴジゲンは2008年に慶應義塾大学演劇サークル"創像工房 in front of."内で結成。年2~3回の上演を精力的に行っていたが、11年『極めてやわらかい道』の後、3年間の活動休止。14年『ごきげんさマイポレンド』より活動再開し、17年に初の3都市公演『くれなずめ』で2000人以上を動員。21年に『くれなずめ』は映画化もされた。今回の『かえりにち』では、劇団員以外に神谷大輔と結城洋平をキャストに迎え、東京、北九州、京都公演を実施する。主宰の松居と、出演する結城に話をたっぷりと聞いた。

ーー作品の仕上がりはどうですか?

松居:物語がないというか、何も起きない物語を作ろうと思っていて。最初にコロナ禍が始まった頃は、できるだけコメディをつくろう、前向きになるようにとか、思っていたんですけど、それも結構長く続いていくと、なんか世の中の方が殺伐としていたり、なんかもう嘘みたいなことばかりいっぱい起きたりする。

だから、劇の中ぐらいは、何も起きなくていいんじゃないかと思って。その脚本はなかなか難しくて、結構苦戦しましたね。劇の中ではみんな思いつきで喋っているような感じになったらいいなと思うけど、90分劇場に座って、観てもらった時の満足感みたいなものも出したいという。

めっちゃ難しいことを個人的にはやっているつもりなんですけど、難しくないように見えるんです(笑)。

ーー「普通」や「日常」を舞台に乗せる、その難しさ。

松居:そうです。これまでは何かしら拠り所があったんですよ。例えば、解散を発表するかしないか、この余興は結局やるのだろうか、とか。何かに向かって物語が進んでいたんですが、今回の芝居は「帰らない」だけなので。なぜ帰らないのかすらもどうでも良くなってくる話です。

結城:松居さんがどういうことをやりたいんだろうと僕も劇団員の皆さんも思っていたと思うんですけど、最初の稽古のときに「背骨を抜きたい」という話をしていて。あ、でも確かにそういう劇って観たことないなというのが一番最初の印象でしたね。

正直、物語を作らないなんて、何をやるのかなと思ったんですけど(笑)、段々本が出来て、形になってきて、ああ、なんとなくこういう事なのかなというのは感じています。

松居:1ヶ月ちょっとの稽古の中で、メンバーや結城くん、神谷くんと話し合って、具現化させてもらえたような感じもしています。台本が遅くなって申し訳ないけど......(笑)。

結城:(笑)。でも、僕はこれをお客さんとして観たいなと思うな。何も起こらないのを観て、どういう風に思うんだろうとわくわくがありますよね。

松居:ゴジゲンは毎回、「これ面白いのか?」みたいな芝居が多いんですけど、今回は特にそうなる気がします。

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イギリス冒険小説家ジョン・バカンの小説「三十九階段」と、この小説を原作に制作された巨匠アルフレッド・ヒッチコックの映画『三十九夜』という2作を元に舞台として制作され、ブロードウェイにも進出した「THE 39 STEPS ザ・サーティーナイン・ステップス」がウォーリー木下の演出により上演される。

ひょんなことからある陰謀に巻き込まれる主人公・ハネイを演じるのは、本作が単独初主演となる平方元基。

ウォーリー木下の上演台本で"ハイパーコメディ"として生まれ変わった本作について木下と平方に話を聞いた。

――先日の下着姿での製作発表会見でみなさん「観たことがないような作品」「ジャンル分けが難しい」とおっしゃっていました。どういう部分が「見たことのない」作品なのか? ヒントをお願いします。

平方:なんとも言えないものが観られるってことじゃないでしょうか? ミュージカルとも、ストレートプレイとも言えない。「そもそも演劇をカテゴライズする必要があるか?」ということですよね。

それ(カテゴライズ)って、ものを棚に整理するために必要な名前みたいなものに過ぎなくて、でもそれは今回必要がなくて、今、目の前で繰り広げられていること全てがお芝居だとしたら、(本作は)そういう体験だと思います。

何なのかわからなくても観ていて面白い。そこが僕たちが今回やる作品の一番の長所だなって。演劇の「はじまり」みたいなことをしている感じがしませんか?げきぴあ①.jpg

木下:"ごっこ遊び"みたいなことをしていますからね。でも見ている人が、何をやっているかわかんないということはないと思うんですよね。

ちゃんと筋はあるし、昔のヒッチコックの映画が好きな人は、そういう視点からの面白さもあるし、原作映画を全く知らなくてもこんな表現があるんだと思う人もいると思います。

1930年代の映画の撮影をしている」という設定なんですけど、その頃のアナログな映画のつくり方と演劇で僕らが"ごっこ遊び"をしているのがリンクしていくような演出になっています。どの世代の人に観てもらっても楽しみ方がいろいろあると思います。

平方:まだお稽古している段階ですが、毎日「生きてるぅ...!」と思うんですよね。その感覚を持ったまま本番でお客様を客席に迎え入れたら、「生きてるぅ...!」の"先"にたどり着くのではないか?と思います()

それが見えそうな手応えもあるし、こんなに役者をやっていて嬉しい気持ちになるような稽古場ってそうそうなくて。こんな気持ちにさせてくれる稽古場でこの後、何が見えるのか・・・?我々がお客様と共鳴した時に、これまで見たこともない景色が見えるんじゃないかと思っています。

お客様が観に来てくださらないと、僕らがどんなに熱を持っていても伝わらないですし、劇場で観てこその作品だと思うので、僕らの熱と喜びを受け取って頂けたら嬉しいです。というか、純粋に楽しめると思います(笑)!

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――稽古を進めていく中での平方さんの印象について教えてください。

木下:稽古場全体に気配りができているし、まさに"座長"ですね。稽古場の空気ってそのまま作品の空気になるものなんですよ。演劇が他の表現と違うのは、1か月ほどの稽古期間で寝食を共にするくらいの濃密な交流を経てできあがるってことで、それこそケンカして絆が生まれたりもします。

そういう本番にむけた真剣な遊びの空間を作ることに、平方さんが誰よりも楽しんでくれていることで、みんなはそれを信じてやっていればうまくいくだろうなという雰囲気になっていますので、本当に助かっていますね。

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"単独初主演"の重圧は「全くない!」

――平方さんにとっては本作が初の単独主演舞台となりますが、"座長"を意識する部分はあるんでしょうか?

平方:本当にないですね。全くない! どこでもこんな感じです(笑)。

街で声を掛けられてもここでしゃべっていても。よそ行きの"仕事モード"の自分とかにすごく憧れていて...()

木下:とても怖い先輩がいる現場とかに行く時どうしているの(笑)? ちょっと私語が出ると「静かにしてくれない?」とか言われることはないの?

平方:「あ、やべっ!」とか言っちゃうかな(笑)。それでも可愛いがられちゃうんですよね。そういうところは意外と策士なのかも...?()

――"単独初主演"ということで背負うものだったり、プレッシャーも...?

平方:それもすごく聞いていただくんですけれど、無さ過ぎて...(苦笑)。これまでコツコツやってきたという自負は多少ありますが、ただ目の前のことを一生懸命やり続けてきたというだけなんですよね。

「主演」とか「単独初主演」というものは、そういう立場を周りや作品が与えて下さるものであり、自分が何かをやったから、そこにたどり着いたという風には思っていないです。

それが素晴らしいものだと周りの方々も教えてくださいますし、もちろん自分でもそう思います。でも、そういう機会にめぐり合えるのも、自分というより、周りの方々がこれまでやってきてくださったことの思いのかたまりであり、"ご褒美"というか、僕が「単独初主演なんですよ」と言うものではないのかな...? と思うんです。

背負うプレッシャーってないならない方が良くないですか? みんな大変だもん()

――製作発表会見で平方さんは「ハネイは変な正義感を持っている」ともおっしゃっていました。女性にもモテるし、どこか放っておけないところもあるのかなと思いますが、ハネイの魅力ってどういう部分にあると思いますか?

木下:もともと僕はヒッチコックの映画が好きで、ああいうタイプの役柄って多いんです。

今回はよりコメディにするために少しオーバーになっているんですが、意外と普通の感覚を持っている人が主役だったりするんですよね。普通の感覚の人が、何かに巻き込まれたり、"受け"の状態で物語が進んでいく中で、自分の中の新しい何かを発見したり、出会いによって変わっていくみたいなのが多いんです。

存在さえしていれば、受けていく中で勝手にハネイというのは作られていくのかもしれないし、稽古の初日から、僕の中では筋は通っていたんですよね。それは(翻訳の)小田島恒志さんも言っていたけど、平方さんは本を読み込んできているから、あとは共演者によって変わっていくので、それを今まさに稽古場でやっていて、そういうところもハネイっぽいなという印象です。

平方:「愛」って言葉を使うんですよ、ハネイは。結局、それは自分が一番弱かったところであり、欲しかったものなんだと思うんです。そういうのが見え隠れする感じが、自分で演じている役柄なんですけど、たまらなく愛おしいというか「わかりますよ!」という瞬間がたくさんあります。

ちょっと間抜けだったり、カッコつけたいのにつけきれなかったり...。相手を好きだと思いつつ、いっぱいいっぱいになると「バカじゃないのか!」と叱責してしまうところもあったり。

何だろうな...? 魅力って(笑)。すごく周りを気にしているのにどこかワガママだったりするんですよね。自分の中で欲望がしっかりとあるのかな(笑)? ハネイ自身、自分の性格をわかっていたら、あんな冒険には出ないと思うんですよね。撃ち殺されそうな状況に自ら入っていくなんてすごいなぁと。僕だったら絶対にやらないです()

木下:やりそうだけど(笑)。

平方:撃ち殺されそうな状況ですよ(笑)?

木下:僕は今回「はじめまして」ですけど、その辺りがちょっとハネイと親和性が高い心を持っているなと感じますね。

平方:自分の知らないことにものすごく興味が湧くので、そこかもしれない! 興味があって、それが自分にとって「面白そう」とか「知りたい」とか思考する前に心が先に動いちゃう! でも結局、問題が後から噴出してきて。それが(本作では)ドラマになっていくけど、普段、生きている僕としては大変ですよ(苦笑)。

取材・文・撮影=黒豆直樹

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<公演情報>
5/1(日)~17(火) シアタークリエ (東京都)

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『ライチ☆光クラブ』や『帝一の國』で知られる古屋兎丸原作のコミック『アマネ†ギムナジウム』が、初の舞台化。原作は派遣社員で人形作家の宮方天音を主人公に、"ギムナジウム"をテーマに彼女が制作した7体の人形が、突如動き出したところから物語は始まる。舞台の演出を手がけるのは、『帝一の國』の舞台版も好評を博した小林顕作。そこで稽古場の古屋、小林とリモートを繋ぎ、作品にかける思い、稽古の手応えなどを訊いた。

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――『帝一の國』に続き、古屋先生の作品が小林さん演出で舞台化されます。今回のお話があった時の心境は?

古屋 単純に「やった!」と思いました。と同時に、『アマネ†ギムナジウム』という作品が顕作さんによってどう舞台化されるのか、ちょっと想像がつかないなとも思いました。

小林 僕も単純に「やったー!」と思いました(笑)。なぜかと言うと、古屋先生のお人柄と言いますか、とてもやりやすいんですよね。原作者の方って作品における神様なので、なかなか直接本意が聞けなかったりするんですけど、先生とは直でやり取り出来ますし、ちょいちょい稽古場に来てくださる。作品を作る上で、これ以上ありがたいことはないですね。

古屋 それは顕作さんの作る現場の雰囲気が、すごく居心地がいいからだと思いますよ。こんなにアットホームで、ウェルカムな現場ってほかにないですから。僕はその片隅で、稽古の雰囲気を感じながら自分の仕事をしているだけです。

小林 そう! 別のお仕事されてますよね?(笑)

古屋 はい。稽古をBGMにしながら。それでもみんなの熱意とか、伝わるものはいっぱいあるんですよね。

――とはいえ原作者としては、自身の作品が舞台化なり、映像化なりされることに不安はありませんか?

古屋 顕作さんに関してはすごく信頼しているので、不安はまったくありません。脚本を読ませてもらっても、全7巻ある漫画が、意外ときっちり収まっている。それはお客さんを主人公の(宮方)天音にする、という手法にされたおかげだと思うんですけど。とても意外であり、面白いなと思いました。

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――"お客さん=天音"という構成は本当に驚きました。

小林 まず思い浮かべたのは、テーマパークのライド型アトラクションです。お客さんにはライドに乗るような感覚で天音になってもらい、『アマネ†ギムナジウム』の世界を楽しんでもらおうと。さらに美少年たちを堪能してもらう、そういうおもてなしの舞台でもあるので、"リアリティアトラクション"とでも言いますか(笑)。ただ漫画の世界を忠実に、より深みを出そうとすると、もっと体験型にする必要がある。そういったイメージを脚本の渡辺(雄介)さんにお伝えしたところ、非常にいいものが出来上がって! これは面白いものになる、と確信しましたね。というのも今回はロングランなので、「3回は観たい!」と思ってもらえるようなものにしなければ、と考えているんです(笑)。

――改めて作品としての魅力とは?

小林 『帝一の國』は一途な少年の真っすぐ過ぎるおかしさを、半分ギャグを交えながら描いていましたが、今回は思いっきり踏み込んで、ひとりの女の子の閉ざされた過去を描いている。その核さえしっかり描けたら、僕の心の女子はえらく感動するし(笑)、実際これを観た女性のお客さんにとっても、ちゃんと残るものになるだろうなと。それって想像出来る『アマネ†ギムナジウム』ではないと思うんですけど、僕がアニメなり漫画なりを舞台化する時に心がけていることは、思いっきり逆を走ること。寄せても真似になるだけですし、作品の本質は逆に走った先にこそあると信じているんです。

――稽古は中盤に差しかかったところですが、見学されての感想は?

古屋 実際にギムナジウムの少年たちが動くと、こんなにも生き生きするのかと驚きました。やっぱり漫画というのは自分の頭の中の妄想だけなので、顕作さんの演出がついたり、実際俳優さんたちが動くことによって、こんなにも変わるのだと。またフィリクス役の(大城)ベイリさん、ヨハン役のとまんさんがすごくいいですね。立っているだけで絵になるというか。特にヨハンのあの雰囲気を出せる子って、なかなかいないと思いますよ。

小林 とまんくん、まんまヨハンですよね。ベイリくんは演じながらも、根っこにある人の良さが滲んじゃっていますけど(笑)。でもフィリクス自体、実はすごく人がいいキャラクター。そういう意味でベイリくんもぴったりなんですよね。

古屋 僕が稽古場に来るのが好きなのは、やっぱりものづくりの現場を見るのが好きだからなんです。キャストのみんながだんだん団結していく様子もわかるし、自分とは違うプロフェッショナルな方が集まって、ものを作っていく感覚がとても楽しい。今日で言えば、天音の声を演じる石川由依さんが来てくださったのも、すごく感動しました。すごく的確で、台本や原作をちゃんと読み込んできてくださっているのがよくわかりましたね。

小林 天音の声の収録をしたんですが、僕からのオーダーはほぼなかったですね。はい正解、はい正解って感じで(笑)。僕からしたらまさに天音だったんです。

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――では最後に、読者の方にメッセージを。

古屋 中学生や高校生の時に『ライチ☆光クラブ』を読んでいたような子たちが、今30代になり、『アマネ†ギムナジウム』を読んでくれている印象です。自分の仕事と趣味の狭間に生きている世代、そんな人たちに刺さるものを描きたいと思ったのがこの作品で。そういう複雑な思いを少し抱きつつ、最終的には楽しかったと、その両方を味わっていただけたらいいなと思います。

小林 すごく重いテーマの作品ではありますが、最後には僕のクセで、なにを観たかよくわかんなくなっちゃう感じはあると思います(笑)。ただ僕の仕事は、「なんか今日楽しかったな」とか、「明日も頑張れるな」って思ってもらえるものを作ること。ただそれに尽きると思っていて。だからこそぜひ3回(笑)。「びっくり、なるほど、もう1回!」で、計3回観に来てもらえたらすごく嬉しいです。


取材・文:野上瑠美子



<公演情報>
アマネ†ギムナジウム オンステージ

2022年4月22日(金)~5月15日(日)
Mixalive TOKYO Theater Mixa
8,000円(全席指定/税込)

[原作]古屋兎丸(「アマネ†ギムナジウム」(講談社モーニング KC))
[脚本]渡辺雄介
[演出]小林顕作
[出演]
フィリクス・シュルツ: 大城ベイリ
ヨハン・ベルク: とまん

《チーム:プレッツェル》
テオ・アプフェル:秦 健豪
ゼップ・ジングフューゲル:松田昇大
ダミアン・ベーゼンマン:深澤悠斗
オットー・グーテンゾーン:本間一稀
エルマー・クーヒェン:矢代卓也

《チーム:バウムクーヘン》
テオ・アプフェル:弦間哲心
ゼップ・ジングフューゲル:中嶋 健
ダミアン・ベーゼンマン:広井雄士
オットー・グーテンゾーン:星 豪毅
エルマー・クーヒェン:土屋 翔

アマネ美ヨングス:小黒直樹 玉元風海人 高橋陸人

宮方天音(声の出演):石川由依

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(C)古屋兎丸・講談社/アマネ†ギムナジウム オンステージ製作委員会

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【脚本・演出 開沼 豊】 顔合わせ後のコメントが到着しました!

≪観劇者とは≫

観劇者(再)のご案内をお読み頂きありがとうございます。

この作品は俳優たちが普段観 劇されるお客様を演じる物語となっています。

そのため舞台上に客席のとある一列のセットを設置し、開場から終演までの間に、それぞ れの観劇者がどのような事情を持ってこの舞台を観にきたのか。どのような想いを持って 演劇を観に来るのかを描いています。

登場人物の誰かにきっと自分や自分の身近な人が当てはまるかと思いますので、等身大の ストーリー展開を楽しんで頂けると幸いです。

≪昨年初演をご覧になったお客様へ≫

また、初演をご覧になったお客様には、新たなキャラクターとして「劇場という空間が好 きな女性」を追加しました。僕自身も舞台観劇はもちろん、劇場という日常の中にある非 日常の空間に、不思議なほど居心地の良さを感じたりすることがあります。 同時にこの空間に来れなくなる日が来たらそれはそれは寂しいだろうなぁと想像したりも します。

初演に登場したキャラクターと新たなキャラクターが混じり合ったはじめての読み合わせ が先日行われましたが、どの登場人物も愛らしく、可愛げと儚さが混在するとても人間ら しいキャラクターが出来ると確信しました。

どうぞ、劇場へお越し頂きまして、観劇者たちを観劇するという、普段あまりない感覚を 味わいに来てください。我々は、アナタの物語を作って劇場でお待ちしています。

【外岡えりか×清水 麻璃亜×大滝樹 インタビュー】

昨年夏に話題を呼んだ舞台「観劇者」が早くも再演。「観劇者(再)」として、202254日(水)から58日(日)まで、前回と同様に池袋・BIG TREE THEATERで上演となる。〈客席にこそドラマがある〉をテーマに、公演を観ることになった経緯にふれながら、観劇する側の客の開場から終演後までを描いており、前回は9人だった観劇者が、今回は10名に。登場人物が持つ様々なバックボーンや思いは、実際に会場に足を運んだ私たち=観劇者が共感するものばかりだ。

今回ぴあでは、前作から続投となる外岡えりか、大滝樹と、新たに参加することとなった清水 麻璃亜の3人にインタビュー。前回の上演時の思い出や、再演に挑む思いを聞きながら、本作の魅力に迫る。

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――「観劇者」が、早くも再演ということで...。

大滝「早くも、ですよね。1年も経たずに」

――前回の上演が昨年67月なので、〈早くも〉という言葉がぴったりのスピードですよね。まず再演が決まった時のお気持ちをお聞かせください。

外岡「昨年の本番中に劇場でなんとなく再演できたらいいねって言葉が飛び交っていたことをすごく覚えていて。でも出演者にそういう気持ちがあっても、再演できる作品ってなかなかないので、こんなにも早く実現したのはスタッフの方と観に来てくださった、それこそ〈観劇者〉の皆さんのおかげだと思っております。(大滝さんの方を向いて)どうでしょう?」

大滝「そう思います!(笑)本当に。一回やってもう一回できるって、私たちもなにかしら良いものを届けられたのかな、なんて思えることなので...。素直に嬉しいです」

――初演を拝見して、本当に面白かったです。観ているこちら側が誰かしらに共感できるようにキャラクターたちが作られていて、私は大滝さんが演じてらっしゃった舞が大好きです。推しがいる人なら共感するポイントがたくさんあると思うんですよね。

大滝「嬉しいです! 豊さんの作品は、言葉が面白いですよね。舞を演じるにあたって、ある意味プレッシャーもあって。みなさん、推しの方のことを真剣に応援されているから、私も(劇中に出てくる舞の推しの俳優の)サトル君のことを真剣に応援しないと、そうしないと嘘になってしまうって思って。やりがいがありましたね」

――そんな「観劇者」に、今回初参加となる清水さんですが、改めて台本の印象や参加するにあたってのお気持ちをお聞かせください。

清水「最初にお話を頂いていろいろ調べたら、舞台上に客席があって、出演者の方が座っているのを観て、え!?って思って。しかもマスクもしてますし...。どういう感じなんだろう?と思って台本を見るのが楽しみで。台本を読んだら、登場人物それぞれのお話だったので、みんなでお芝居をするっていうよりも、一人一人にストーリーがあって.

大滝「絡むかと思いきや、絡まない、みたいな(笑)」

外岡「(笑)」

大滝「それがまた面白いですよね」

清水「そうなんですよね。面白いなって思いました。私が演じる役も、ほぼ一人なので、え!?一人なんだ、どんな感じなんだろうって、稽古前からワクワクしてます」

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――10人で何かを演じていくのではなく、一人芝居が多いという...。

大滝「だから稽古も寂しいよね(笑)」

外岡「そうなの、寂しい(笑)」

清水「そうか!会わないんですね」

大滝「時間をずらしてというか、一人ずつの稽古みたいな感じだから。演出の開沼さん対自分みたいな」

清水「確かに...。緊張しちゃいますね」

外岡「だから舞ちゃん(大滝)は亮太くんがいたり、ご夫婦のところを見てるといいなぁ!って。1人で演じるチームは去年の稽古場で、2人で芝居するチームいいよねって話してました。常に己との稽古みたいになってくるから」

――「観劇者」は、観劇するまでの回想部分で、演技中に録音した音声と対話することも多いですよね。

外岡「すごく難しかったです。(音声のみの人が)そこに居るように見せなくてはいけないので、私たちが見えてないとお客様にはもちろん見えないし」

大滝「こっちはその場で生でやってるから、日によって違うじゃないですか。でも相手役の声はいつも同じトーンなんですよ。だからそこがどうしてもやっぱり...」

外岡「わかる!会話してるとだんだん上がっていったりすることがあるけど、それがないから」

大滝「そこは...役者の腕の見せ所だよね(笑)」

外岡「プレッシャーになっちゃうから!(笑)」

清水「怖い〜って思いました(一同爆笑)。でもそうですよね。会話って積み重ねていくけど、それができないんだって思ったら、不安だけど自分にとって挑戦になるし、貴重な経験だと思いました」

大滝「間違いないですね」

――前回見た方から反響で印象的だったものはありますか?

大滝「ありました!私のことを推して下さっている方から、私も仲間が欲しい、一緒に推せる仲間がいて、舞ちゃんは凄いいいなってコメントがあって。関心深かったし、嬉しかったです。そういう思いも持ちながら観にきてくれているんだ、とか。共感したいんですよね、みんな。」

外岡「私は、見るタイミングによって感情移入する役が全然違うって、みなさんおっしゃっていたのが印象的でした。劇場で何回か見てその時々で共感する役が異なるし、劇場とDVDでも全然違うし、共感できる部分がそれぞれに1つずつ散りばめてあって、その時の自分が選べる、みたいなことを言っていただけたのは、面白かったですね」

――清水さんが今回演じられる未来は、地方の高校に通う女子高生で演劇の仕事に憧れている、という役どころですよね。ご自身も群馬出身ということもあって、重なる部分はありますか?

清水「すごく重なります。私も高校生からアイドルを始めましたが、アイドルとして活動をする事も家族と話し合いをしたし、進学で大学にいくかどうかとかも、家族で話したりとか、東京に出るのも、家族と言い合ったりしたから、他人事じゃ無いというか。自分のことのようで。でも、誰にでもありそうじゃじゃないですか、両親と娘の関係において、」

大滝「決断の時がね」

清水「はい!私もそうですから、観ている方も重ねてくれたらいいなって思います」

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――今回、新たな観劇者も増えますが、未来と同じ、地方出身の女性で。前回の9人誰かしらに共感できるお話だったのに、もう一人増えてもまた共感が生まれそうですよね。

外岡「共感する人がたくさんいそうだなって思いました」

大滝「じんわり来ますよね。あたたかい話で」

――これから稽古がスタートしていくにあたって、清水さんから、外岡さんと大滝さんに聞いておきたいことはありますか?

清水「あります!開沼さんとは初めてなんですが、どういう方ですか?」

大滝「...クマさんみたいな人(笑)」

清水「クマさん!?(笑)」

外岡「キャンプが好きですね」

大滝「そう!キャンプ!」

清水「え!?」

大滝「キャンプが好きな、クマさんみたいな人(笑)」

清水「なるほど!?(笑)」

――その情報で大丈夫ですか?(笑)

大滝「いやいや(笑)。繊細な方だと思いますよ。すごく。だからこういう話も書けるんだなって思うし」

清水「確かに。どういう感じの稽古ですか? でもさっきのお話だと一対一になっちゃうんですよね」

大滝&外岡「そうそうそうそう」

清水「そんなのやったことない!(笑)」

大滝「全部自分にくるよー(笑)」

外岡「なんで怖がらせようとしてるんですか(笑)。全然和気あいあいとした感じの稽古場です」

清水「今日の取材現場の雰囲気もめちゃめちゃ明るくて、ちょっと安心しました。今後、やっていけそうだなって(全員爆笑)」

外岡「よかった〜(笑)。」

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――改めて、開沼さんの演出方法ってどんな感じなのでしょうか?

清水「気になる!」

大滝「(開沼)豊さんのなかには、イメージがしっかり出来上がっていて、ニュアンスをこうして欲しいみたいなものは、ありますね。台詞の言葉が豊さん独特のものだから、きっとこう言って欲しい言い方ってあるんだろうなって、台本を読んで感じていたんですけど、やってみて、修正して、またやってみてって言う感じですよね?」

外岡「基本的に役者を信頼してくれていますよね。それはすごく感じます。ただ、基本は一人なんですよね(笑)」

大滝「本番一週間前に集まってって感じです(笑)」

――最後に来てくださる方へのメッセージをお願いします

外岡「一度自分が演じた役を再び演じられる機会が本当に貴重だなと思っていまして、初演を見ていただいた方も、そうでない方にも、より深いところの観劇者、この作品をお届けできるように私たちも頑張って稽古しますので、みなさんもそれぞれの物語とともに、劇場に足を運んでいただけたら嬉しいです」

大滝「本当に、舞台って贅沢なものだなって思います、上演時間は2時間ぐらいですけど、その場をお客様と共有できるっていうのは本当に嬉しいです。2回目だからどうしても前回を超えなくちゃとか、より良いものって思うけど...。(外岡さんと)同じですが、足すというよりも、掘り下げていって、より深く豊かな作品にできたらいいなと思っています。ぜひ劇場に足をお運びください」

清水「私は普段アイドルとして、ファンの方の支えや力で日々活動できているので、ファンの方は私がアイドルをしてるところを見て好きになってくれたはずなんですけど、こうやって舞台に出演をさせてもらっても絶対に来てくれて。ありがたいなっていつも思っています。今回は観に来てくれる方側を演じるということで、少しでもお客さんの気持ちに寄り添った作品にできたらって思うのと、いつも来てくれるファンの方たちに、少しでも恩返しというか、喜んでもらえるような作品にできたらいいなって思います」

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今回の「観劇者(再)」は、前回出演していた堀田竜成、わたなべかすみ、斉藤レイが声で登場する場面もあり、再演ながら前回とは異なる〈観劇者〉を届けてくれることだろう。202254日(水)から58日(日)まで、池袋・BIG TREE THEATERで上演となる「観劇者(再)」をお見逃しなく。

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いじめに遭った中学生たちを描いた「かがみの孤城」、小学生男子の目線で描く「ぼくのメジャースプーン」、辻村深月の人気作品2本立てで送る「辻村深月シアター」。作・演出の成井豊さんと「かがみの孤城」で主人公・こころを演じる田野優花さんの、作品に向き合う想いとは......。

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――田野さんは、これまで2作品同時上演という経験は?

田野 今回が初めてです。どちらもシリアスな内容なので、役者のメンタルも一緒に引っ張られそう(苦笑)。でも楽しみですね。

成井 2本共出る人は2役を演じてもらいますけど、どちらかがきつかったら、もう一方は演じ分けという意味も含めて遊べる部分のある役に。だから田野さんは「かがみの孤城」のこころは相当きつい役だけど、「ぼくのメジャースプーン」では遊びも入れて楽しんでほしいと思います。

――田野さんをはじめ、今回初参加のキャストに期待することは何でしょう。

成井 初演はコロナ禍が始まったばかりでしたが、初日近くに陽性者が出て。幸いほかの人たちは濃厚接触者には指定されなかったので、アンダースタディに急遽入ってもらって3日くらいの稽古でどうにか初日を開けたんです。

田野 大変だったんですね......。

成井 とても評判が良かったので、それは嬉しいけれど、もっと落ち着いて、ちゃんと集中してやりたかったという気持ちもありました。でも再演って下手すると縮小再生産になってしまう可能性があるから、メンバーはある程度変わったほうが良い。まずは、自分の感性に従って「これだ」と思うものをやってくれれば良いと思います。それだけで初演からのメンバーにとっては新鮮なはず。

田野 私はこれまで、ミュージカルを多くやってきました。もちろんすごく楽しいし、歌もダンスも芝居も好きですけど、芝居だけで表現するメッセージ性のある舞台をやりたいという気持ちが強くなっていたところに、今回のお話をいただいたんです。だからすごく嬉しかったですし、家族も原作小説を買って「すごく楽しみにしてる」って言ってくれて。「がんばらなきゃ」って思いますね。

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――これから皆さんで創り上げる舞台が楽しみですね。

田野 今まで自分が経験してきた感情を大切にしながら、脚本を通してお客さまに届けたいと思います。

成井 僕にとって、辻村さんの作品は主人公が物語の中で経験するひりひりしたリアルな、切実な思いがたまらなく魅力的なんです。2作品共、少女と少年それぞれのものすごく切実な思いが描かれているので、ぜひ両方観てください。

<公演情報>
辻村深月シアター 舞台「かがみの孤城」「ぼくのメジャースプーン」

【東京公演】
2022年5月20日(金)~5月29日(日)

サンシャイン劇場

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ご無沙汰しています、
ゴジゲン松居です。

みなさま元気でしょうか。
劇がやってくるとブログを荒らし散らす
ゴジゲン松居です。

そう、ブログ界のジャイアンこと松居がやってきたということは、そういうことです。
そういうことですよ。
ゴジゲンが新作公演をやるということです!
4月20日から!
「かえりにち」という劇を!

かえりにち_A4本チラシ_0213_omote.jpg

第18回公演でございます。
2人の客演を迎えて、久しぶりの東京、北九州、京都のツアー公演。
前回公演「朱春」から、メンバーも色んなことがありました。
過去公演「くれなずめ」が映画化されたり、Eテレの新しい人形劇「ファンターネ」を手がけたり、フジテレビで生ドラマというものも挑戦しておりました。ゴジゲンのYouTubeも毎週土曜に更新中です。
演劇界はもちろん、エンタメ界も、かなり騒がせてきているという噂の(そんな噂はない)、そんな集団になりました。
主宰としてはなによりでございます。

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(色々と騒がせてきた「かえりにち」出演者たち。見た目では才能がなさそうである)

そんな僕らの最新であり、追求している関心の最先端が見られるのは本公演。です。
僕らの本領発揮です。
「かえりにち」は今の時代だからこそ、殺伐としたこの世の中だからこそ、少し安心できるような、何も起きない一晩のお話です。
何も起きないのに、何も起きないからこそ、台本がめちゃくちゃ難しいです。
それもあとちょっと。

「かえりにち」が、どういう劇なのかというと。
写真で見てみましょう。

image2.jpeg(これは車内のシーンでしょうか。彼らはどこに向かってるのでしょうか。左下隅の僕の素足にも注目です)

image3.jpeg(これは松居を担いでいるシーンですね。演劇的なシーンに見えますが、今回はこういうシーンは少なくて、会話劇の要素が多いかと思います)

ちらっと稽古風景をお見せしました。
男7人の台風が来るはずだった一晩の話です。
台風が来るはずだった、というのはどういうことでしょうか。
かえりにち、とは帰り道とは何がどう違うんでしょうか。
それも、劇場に来ればわかるのではと思います。

今回は配信はしません。劇場に来ないと感じられない表現をお届けします。
小劇場だからこそ感じられる、謎の空気よ届け。

そんなわけで、
ゴジゲンのチケットはこちらのぴあのサイトからお願いします!!

それでは、台本を書くのでこの辺で。
また、げきぴあにやってきますね。
よろしくお願いします!
監督しました映画「ちょっと思い出しただけ」も、現在全国公開中なので、ぜひ!

松居大悟


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上演決定の第一報の後、続報が待たれていた舞台「ザ・ウェルキン」の詳細が発表になった。 THE WELKIN2.jpg 本作は、「チャイメリカ」(2013 年上演)でローレンス・オリヴィエ賞最優秀作品賞を受賞し、英国期待の若手劇作家として注目をあつめるルーシー・カークウッドの新作として、コロナ禍直前の2020年1月下旬に、英国ナショナルシアターで開幕。ロックダウンで中止になるまでの限られた期間の上演だったものの、若い観客層を中心に大喝采を浴びた人気作だ。本作のタイトルは、「天空」を意味する英語の古語。神の使いなのか、科学の予見なのか、75年ぶりに「天空」に舞い戻る大彗星(のちにハレー彗星と命名)を待つ18世紀半ばの英国辺境を舞台に、現代にも残る女性たちが受けてきた苦難の歴史が、陪審員審議の会話の中でドラマチックに描かれる。
出演は、吉田羊大原櫻子鷲尾真知子梅沢昌代那須佐代子峯村リエ明星真由美那須凜西尾まり豊田エリー土井ケイト富山えり子恒松祐里という総勢13人の女優陣と、土屋佑壱田村健太郎と声で出演する段田安則が、物語にスパイスを加える。演出を手がけるのは昨年9月・新国立劇場小劇場での『友達』(作:安部公房)での演出も記憶に新しい加藤拓也。加藤にとっては本作が初めての翻訳戯曲演出となる。

~STORY~
1759年、英国の東部サフォークの田舎町。人々が75年に一度天空に舞い戻ってくるという彗星を待ちわびる中、一人の少女サリー(大原櫻子)が殺人罪で絞首刑を宣告される。しかし、彼女は妊娠を主張。妊娠している罪人は死刑だけは免れることができるのだ。その真偽を判定するため、妊娠経験のある12人の女性たちが陪審員として集められた。これまで21人の出産を経験した者、流産ばかりで子供がいない者、早く結論を出して家事に戻りたい者、生死を決める審議への参加に戸惑う者など、その顔ぶれはさまざま。その中に、なんとかサリーに公正な扱いを受けさせようと心を砕く助産婦エリザベス(吉田羊)の姿があった。果たして、サリーは本当に妊娠しているのか? それとも死刑から逃れようと嘘をついているのか?
なぜエリザベスは、殺人犯サリーを助けようとしているのか...。
法廷の外では、血に飢えた暴徒が処刑を求める雄叫びを上げ、そして...。

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<公演情報>
『ザ・ウェルキン』

【東京公演】
2022年7月7日(木)~7月31日(日)Bunkamura シアターコクーン
【大阪公演】
2022年8月3日(水)~8月7日(日)森ノ宮ピロティホール

作:ルーシー・カークウッド
演出:加藤拓也
翻訳:徐賀世子
出演:吉田羊 大原櫻子
鷲尾真知子 梅沢昌代 那須佐代子 峯村リエ 明星真由美 那須凜 西尾まり 豊田エリー 土井ケイト 富山えり子 恒松祐里 土屋佑壱 田村健太郎 他
(声の出演) 段田安則

お問合せ:シス・カンパニー
03-5423-5906 (営業時間 平日11:00~19:00)

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近年では「風博士」「お蘭、登場」など、これまで数多くの人気作を生み出してきた<劇作家:北村想×演出:寺十吾×シス・カンパニー>の最新作「奇蹟 miracle one-way ticket」が本日3月18日(金)に開幕する。当初3月12日(土)開幕予定だったが、稽古期間中に主演:井上芳雄の新型コロナウイルス感染が判明し、開幕への充分な稽古期間を確保するため、3月12日~17日の計6ステージを中止した上での、満を持しての開幕となる。

写真提供:シス・カンパニー

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本作は「記憶を失くした名探偵」(井上芳雄)と、語り部を務めるその親友(鈴木浩介)が辿る不思議な謎解きの旅。まるで戻るあてのない"行ったきり"の「片道切符」を手にしたかのように、過去から現在へと連なる謎が眠る森へと進んで行く。ミステリアスなタッチの謎解き話でありながらも、そこは北村想ならではの自由奔放に弾けたイマジネーションが紡ぎ出す世界は、どこか飄々とした "オモシロ感"たっぷりに、「名探偵と親友」の新たなバディ・ストーリーが繰り広げられる。そんなバディに次々と謎を運ぶ、井上小百合岩男海史瀧内公美大谷亮介の活躍にも注目したい。

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~STORY~
男の名は、法水連太郎(のりみずれんたろう/井上芳雄)。警視庁などのコンサルタントも務める私立探偵である。そして、何かとこの探偵を支えてきたのが、高校時代からの親友で、現役の医師である楯鉾寸心(たてほこすんしん/鈴木浩介)だ。
ある時、探偵・法水が残した「危急の依頼あり、出かける」との書き置きを見て、楯鉾は法水を追いかけ、深い森へと迷い込んだ。そこで、傷を負い深い眠りについた法水を見つけ出したのだが、目覚めた探偵はあたりを見回し、こう口を開いた・・・
「誰だかワカラヌ私は、何処だかワカラヌここで何をしているのだ・・・」
探偵は、この"迷いの森"から何の依頼で呼び出されたのか・・・。
一体、依頼者は誰なのか?そんな疑問を胸に、記憶を失くした名探偵とその親友は、出口の見えない森の奥深くへと歩を進める・・・ そこに次々と現れる謎に満ちた人々は、現実なのか、はたまた忘却の記憶が生んだ幻なのか・・・

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初日を前に、出演する井上芳雄、鈴木浩介、井上小百合からコメントが届いた。

【井上芳雄 コメント (法水連太郎)】
これまで経験したことがない謎が多い台本で、一読しただけでは想像もつかない・・・というのが最初の印象でした。でも、多くの可能性を秘めている作品だとも感じました。「今」と確実につながっている新作に取り組めるのは本当に贅沢で幸せです。それこそ、「奇跡」のように思えます。
お客様にも、一緒に物語の謎解きを楽しんでいただきながら、思ってもみなかった豊かな泉のようなものを見つけていただきたいですね。
今回、皆様にはご心配とご迷惑をおかけしてしまいましたが、いよいよ新たな初日が開幕します!劇場でお待ちしています。
そして、今回はもちろんストレートプレイなのですが、3曲のオリジナル曲も劇中で歌います。こちらも是非お楽しみに!

【鈴木浩介 コメント (楯鉾寸心)】
井上芳雄君とは、同じ福岡県出身で同じ高校出身という間柄。コロナ禍を通して、いろいろな経験も共有してきましたし、今回のバディコンビを組むにあたっての絆はとても強くなったと感じています。説明セリフが多いので、それをどう表現していくかが課題ですが、演出の寺十さんが仰った「想さんの戯曲を信じて、それを喋ることに徹すれば心地よくなってくる」という境地を目指しています。舞台はお客様が来てくださって初めて完成するものです。皆さんにとっても大変な状況とは思いますが、是非劇場に足を運んでいただけたら幸せです!

【井上小百合 コメント (マリモ・マリモ中)】
いろいろな要素が詰まった複雑な戯曲なので、当初は実際にどう演じたらいいのか、、、どうしても答えを探そうとしていたんです。でも、作者の北村想さんが「ツジツマが合うものを作ってしまったらつまらない」と仰って、「なるほどなあ、人生に答えなんてないよなあ」と思いました。まるで稽古場の全員が「迷いの森」に入り込んだみたいだったんですが、アイデアを持ち寄って皆で探りながらワークショップのように稽古を進める感覚が本当に楽しくて!大事なのは、答えや結果ではなく、『楽しんだ時間』なのかもしれないなあとふと思いました。劇場で、お客様も一緒に森に迷い込んだ感覚になって楽しんでいただきたいです!お待ちしています!

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<公演情報>
『奇蹟 miracle one-way ticket』

【東京公演】
2022年3月18日(金)~4月10日(日) 世田谷パブリックシアター
【大阪公演】
2022年4月13日(水)~4月17日(日) 森ノ宮ピロティホール

作:北村想
演出:寺十吾
出演:
井上芳雄 鈴木浩介 井上小百合 岩男海史 瀧内公美 大谷亮介

お問合せ:シス・カンパニー
03-5423-5906 (営業時間 平日11:00~19:00)

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劇作家・演出家ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)の戯曲の中から選りすぐりの名作を、才気溢れる演出家たちが異なる味わいで新たに創り上げる連続上演シリーズKERA CROSS(ケラクロス)。そのシリーズ第四弾として上演されるのが『SLAPSTICKS』。 サイレント映画からトーキーへ、転換期を迎えるハリウッドにて、激動の時代に映画作りに情熱を注ぐ人々を、映画への愛と希望に溢れる一人の青年を通じて描いた本作。 演出を手がけるのは、幅広い世代から支持を得る最注目の若手クリエイター・三浦直之(ロロ)。 新たに生まれ変わる『SLAPSTICKS』のキャストの皆さんからのメッセージが届きました!

出演者様連載インタビューもいよいよ最終回!

第8回目にメッセージを寄せていただいたのは、、、

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黒沢ともよさん! 

ヴァージニア・ラップ役を演じる黒沢ともよさんにお聞きしました!

――Q1. ご自身の役どころ・キャラクターを一言で表すと?

私が演じるヴァージニア・ラップをひとことで表すと"問い"です。

彼女という存在からも、作品内での立ち位置からも、私はたくさんの"問い"を感じました。

なので私も作品のなかにたくさんの"問い"を残せるように努めたいと思います。

実在した女性です。

女優になることに憧れて必死にもがいている25歳の女の子です。

――Q2. 「SLAPSTICKS」中に1番心が動いたことは?

ロロの皆様との出会いです。

特にルイーズを演じる島田さんは作品についてのレクチャーを受けた日に、作品に対する想いや今の世の中に対する想いを涙ながらに話していて。共に作品作りができることをとても光栄に思いました。なんという感情なのか言葉にすることはできませんが、確実にあの日が1番大きく心が動いた日だったと思います。

――Q3.ご自身にとっての今年(2021年来年2022年の目標としてでも)の漢字は?

私にとっての2021は"移"でした。

ひとつところに留まらず、仕事もプライベートも、物理的にも概念的にもたくさんの移ろいを感じました。なので、2022年の目標は"実"です。

移ろいによって触れられたさまざまなコトをより深め味わい、実り豊かと感じられるよう丁寧に、愛情たっぷりに育てていきたいです。

以上となります!

現在シアタークリエにて上演中となります🎥

是非劇場へお越しください!!

『SLAPSTICKS』メインビジュアル.jpg

『SLAPSTICKS』扮装組写真.jpg

<公演情報>
2/3(木)~17(木) シアタークリエ (東京都)

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