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げきぴあブログをご覧の皆さま、こんにちは。FUKAIPRODUCE羽衣です。

いよいよ6月20日(木)~新作公演『ピロートーキングブルース』が本多劇場で開幕いたします。

新メンバー・松本由花が綴る出演者紹介も残り僅かとなってまいりました。第五弾は、日髙啓介平井寛人です。

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渋くてかっこいいことしか言えない呪いにかかっている漢・日髙さん。付け焼き刃やかっこつけでない言葉のひとつひとつが沁みる瞬間がたくさんあります。

ただ歳をとってとか、経験をしてきたつもりのひとじゃないのが羽衣の最年長であり、あにき、です。この世で受けたもの、つまり歳も経験も、重ねているからこそ為せる厚い信頼とにじみ出る人柄なんだろうな、使い捨てしてる場合じゃないや、と気付かされます。

同じ九州の血が流れるもの同士ということもあり、いつも何気なく、けれど気にかけてくれている日髙さんの前では、時に失礼なくらいきもちが寛いでしまいます。うそのない態度、ということで大目に見てもらえているうちに改めたい所存です。

自分が燃えるだけでなく、その火で導火線を着けていくかのように周りを巻き込んでいくパワーは、即効性があって、それまであったもやもやとかしょうもないプライドみたいなものに抜群に効きます。いいくすりです。そう、でもくすりだから、そのうち免疫がつくんでしょ?と思われそうですが、そうでないから麻薬のようなひとです。自分で自分を奮い立たせるようにならなきゃ、と思います。やさしさで近づいてきて簡単に処方してくれるので。あぶない。


日髙さんなしでは『ピロートーキングブルース』は、ブルース、になり得ないかもしれません。熱いのに、ほろり、とくるような響き、耳と心で、感じてください。

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作家部の平井さん。大学の先輩です(わたしが入学した時にはやめてしまっていましたが)。

はじめは深井さんの授業にお手伝いで来ている羽衣の人、でした。なんだか影の映らないような、不思議な人で、公演をやるというので観に行った平井さん作・演出の『生きているなら愛を示せよ』には驚かされました。

目は激しさを見ていたはずなんですが、心がロマンや孤独を感じていて、ひとつ"体験"した感覚。

平井さんは自分の言葉と美学を持っている人だと思います。

頭の中というよりお腹の中に詰まっている言葉を放出しているような。お腹って自分の真ん中にあるから、理性的じゃなかったりして、放出するとき思いとどまってしまうものを、まったく無防備にさらけ出してしまうエネルギーには惚れ惚れしちゃいます。

普段わたしの目に映る平井さんは飄々としていて、でも時にあどけなかったり、

かと思えば舞台に立つとやっぱり激しくて、愛をうったえかけるようないじらしさと独特な危険な雰囲気に惹きつけられます。今回の『ピロートーキングブルース』でもその持ち味がばっちり出ているはず、です。


それでは、今日も稽古場で笑う姿に安心感を覚えた、平井寛人さんの紹介でした。


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文・松本由花(FUKAIPRODUCE羽衣)
撮影・金子愛帆

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ピピン-3.jpg©GEKKO

「旅の彼方に探す"生きる意味"を...Got to find my corner of the sky(この空のどこかに自分だけの場所があるはず)」
志高く、一人旅にでる若者の心情を描いたスティーブン・シュワルツの名曲『Corner of the Sky』。ジャクソン5を始め、世界中のアーティストによって歌い継がれるこのナンバーこそ、ブロードウェイミュージカル『ピピン』の主役・悩める王子ピピンのテーマだということをご存知だろうか?

1972年の初演から1944公演のロングランを記録した『ピピン』。2013年にダイアン・パウルスの手によってリバイバル上演され、トニー賞4部門を受賞したこともミュージカルファンなら記憶に新しい。

そんな『ピピン』日本版公演が6月10日、東急シアターオーブにて開幕した。ピピンを演じるのは、ミュージカル界の王子・城田優。演出はダイアン自身が行い、セットもブロードウェイで使用されたもの。幕があがると同時に、目の前に広がる魔法のようなきらびやかな光景に客席は沸きに沸いた!

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©GEKKO

本作は、神聖ローマ帝国初代皇帝の息子・ピピン王子の旅と成長を描いた物語。大学を卒業した彼は、自分が特別な存在であることを証明すべく戦争に赴くが失態を晒し、生きる目的を探す旅へとむかう。享楽、陰謀、革命、焦燥、虚無...。様々な感情に翻弄される彼だったが、農場で暮らす未亡人と出会い感慨深い結末を迎える。そして、この壮大なストーリーをサーカス一座がアクロバティックに表現するのが、本作最大の魅力である。

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「この作品のジャンルは"ピピン"。ミュージカルを超えた大作です。実際にやってみないと成功するかどうかもわかりません。そこを含めてお客さんに楽しんでいただくのが、この演出の意図なんだとダイアンさんに言われました。僕の言ってる意味、見ればわかります!」

そう熱く語るのは城田優。その言葉通り、登場シーンから奇想天外! なんとサーカス一座の中央、高く掲げられた紙が貼られたフープを突き破って、輪くぐりでステージに降り立ったのだ。見事な着地を決めると会場は拍手喝采。続いて熱くて甘い『Corner of the Sky』が響きわたると、熱気は一気にヒートアップした。

ピピン-2.jpgのサムネイル画像©GEKKO

さて、そんなピピンを導く進行役、リーディング・プレイヤーを務めたのは本作でミュージカルデビューを果たすCrystal Kay。

開幕直前、城田はこう明かした。「今回、演出したのはシルク・ド・ソレイユ出身のアーティストやトニー賞を受賞したクリエイティブスタッフたち。そんな世界的権威のある人たちに、僕らはブロードウェイの上のレベルを求められたんです。僕も頑張りましたが、彼女は本当に凄いです。見事にその要求を超えてきていますから!」

その言葉は大げさではない。彼女が、フォッシースタイルと呼ばれるダンスで悩めるピピンを誘う姿は実に悩ましく、空中ブランコの上で華麗に舞い、熱唱する姿には圧倒される。そればかりか本格的なイリュージョンを次々連発するのだ。アーティストから世界的エンターティナーへ、秘めたる才能の爆発に興奮が止まらない!

さらに、見どころは続く。祖母を演じる中尾ミエと前田美波里(Wキャスト)も、空中ブランコを披露。もちろん命綱はなく、ただただ妖艶な姿に言葉を失った。そして、継母を演じる霧矢大夢の魔性のダンスにはため息が止まらず、未亡人役の宮澤エマの愛くるしさには頬が緩みっぱなしに!

ほか、チャールズ王に今井清隆、サーカスアクロバットはブロートウェイの出演者が来日し、手に汗握るパフォーマンスを繰り広げる。公演は6月10〜30日まで。以降、7月6~7日(名古屋・愛知県芸術劇場)、12~15日(大阪・オリックス劇場)、20〜21日(静岡市清水文化会館マリナート)にて上演。6月17日と22日はぴあ貸切公演も。チケット発売中。

取材・文:浅水美保

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げきぴあブログをご覧の皆さま、こんにちは。FUKAIPRODUCE羽衣です。

6月20日(木)~開幕の『ピロートーキングブルース』@本多劇場、
新メンバー・松本由花がご紹介する出演者、第四弾は、キムユス田島冴香です。

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主観ですが、意外にもクレバーなユスさん。粛々と、黙々と、何かをしていることが多いような気がします。黙々とマイクスタンドを解体し、また黙々と組み立てるなど。

男前を浪費するタイプなのでしょうか、そこまで武器にしていない様子なのにいつのまにか刃先がこぼれていて、それもまた黙々と研いでなんもなかったみたいな顔してるかんじです。そういうルーティンなのかもしれません、生き様が。

意外にもクレバー、の、意外にも、がとても失礼な気がしてきましたが続けます。もちろん外見云々の話ではないです。たまに情けない声が出たり、想定外の何かにぶつかった時のユスさんの挙動は、人としてのほどよい隙で、だからこそ心遣いもあるのだと思います。

想定外の何か、というのは、だいたいの人が察知した時点で押し黙ったり立ち止まったりしてしまうようなところを、中空を見つめながら堂々と真ん中を歩きぶち当たる、ようなイメージです。どうなっちゃうんだーと身を乗り出して見てしまいます。地下闘技場に来た人の気持ちってこんなかんじなのかな。いや、ユスさんは賭け馬にしちゃ意思があるので正確には違います。

そんなキレのあるユスさん節と、どこに連れて行かれるかわかんないジェットコースターに乗れる『ピロートーキングブルース』、おたのしみに。

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かっこいいたじまさん、ですが、中性的と言うには母性がありあまるひと。いつも自然体で飾り気ない雰囲気を持っていて、隅々まで行き届く気遣いにはあこがれます。

腰が抜けたように笑うところもすきです。舞台でも稽古場でも、その場の雰囲気に肩まで浸かって楽しんでいるのが伝わる振る舞いは見ていて気持ちよく、はっと気付かされたり、ここはたのしい場所だーと思わせられます。

たじまさんの自然体は舞台の上でも健在ですが、単なる「こういう人も必要」みたいなバリエーション的役割ではありません。歌い踊るたじまさんは、いつも全力で、鬼気迫るものすら感じます。良い意味で、今以外を生きることなんて考えてません!という光線が飛んでくるんじゃないかと思うほどです。

そういう全力さとか、かがんで肩を並べてくれるところとか、根っこの部分が深井さんに似ているようにも思います。お二人の空気感は独特で、ふと聞こえてくる会話に口元が緩むこともしばしば。


・・・と、なんだか大きな木とか空の話をしているような気分ですが、実はまだ羽衣2年生になりたてのたじまさん。もうずっといるひとのような大らかさと信頼があって、ついつい忘れそうになります。たぶん、みなさんのお墨付きのやつです。

昨年のワークインプログレス『瞬間光年』では衝撃のソロダンスを披露していましたが、なんとなんと本公演は初参加だそうです。時間とか事実って、案外あてになんないなーと思わざるをえません。

ここ数ヶ月ずーっと、瞳の奥の炎を静かに揺らしているたじまさん、本多への準備は着々と進んでいる様子です。やわらかな全力を浴びにきてください。

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文・松本由花(FUKAIPRODUCE羽衣)
撮影・金子愛帆

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げきぴあブログをご覧の皆さま、こんにちは。FUKAIPRODUCE羽衣です。
メンバー総出で新作に取り組んでおります『ピロートーキングブルース』は、6月20日(木)~本多劇場で開幕です。23日(日)までと短い期間ですので、ぜひお見逃しなく!
新メンバー・松本由花による、出演者紹介の第三弾は、岡本陽介浅川千絵です。

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時に筋トレメニューつくったり、時にフォーメーションつけたりと活躍しつつ、とぼけることも忘れないおかもっちさん。

深井さんや糸井さんと同じく大学の先生なのですが、おかもっちさんの授業はまだ受けたことがなく。ですがたまに学内で見かけるときの歩き方の独特さたるや、一度見たら忘れられないものがあります。名簿片手にスイスイと、釣り糸で引っ張られているかんじ。

お会いするといつも、ご自分の挙動が気持ち悪くないか、怖くないか、すごく気を遣ってくださっているような、怯えているような気がします。大丈夫ですよーと言いたいです。ですがお芝居になると臆する様子ひとつ見せず、清々しい立ち姿です。

身体能力が高いーというのはご本人ふくめ周知の事実ですが、あれだけの経験値があるのに羽衣内では時に邪険に扱われ、しかしそれを気にしない、むしろサッカーゴールの遥か上まで受け止めにいっています。志が。人柄が良いってこういうことを言うのかしらと思わせられます。

持ち前のフィジカルの強さを活かして、とってもワイドな視野で空間作りを支えているだけでなく、『ピロートーキングブルース』では澄み渡るような目と心が光っています。

え?よくよく見ると、すごいことしてる!を、観に来てください。

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羽衣に加入することが決まり、ちょくちょく現場に行くようになった頃、浅川さんについては「面倒見がいい」と「気をつけろ」という両極端な情報を他のメンバーさんから聞いていました。


それから数ヶ月経ち、わたしの目に映る浅川さんは、面倒見のよい心優しいひと、ですが爆弾を投げてくることも多い、かなり愉快なひとです。気にかけて声をかけてくれているのか、自然と天然にそれに至っているのか、まだわかりかねますが、気さくなおねえさんです。

突然ちょっかいをかけてきたり、この時間が永遠に続くのではないかと感じさせるオチのない話。あんまり楽しそうにお話しするので憎むことはありませんが「時間泥棒」と呼ばれる所以は納得です。

そんな浅川さんだからこそ、他の誰かでは思いつかないようなことをナチュラルにやってのけます。

1言えば10返ってくるとはよく言いますが、浅川さんの場合は、1言うとヤンバルクイナ返ってくるみたいな。え、なんで?!というどよめきと、ていうかそれ絶滅危惧種!という奇跡をはらんでいます。


そういう突拍子もない一撃を生む瞬間の中には、何にも代え難いわくわくがあって、舞台の上での浅川さんはその一瞬の連続で生きているからこそ輝くのだと思います。


『ピロートーキングブルース』ではどんな方法で意識の外を突いてくるのか、わたしも楽しみに、さらに突き動かされるまま、わくわくの向こうを覗きにいきたいとおもいます。

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文・松本由花(FUKAIPRODUCE羽衣)
撮影・金子愛帆

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げきぴあブログをご覧の皆さま、こんにちは。FUKAIPRODUCE羽衣です。
間もなく6月20日(木)~開幕いたします『ピロートーキングブルース』@本多劇場。

100%FUKAIPRODUCE羽衣メンバーでお送りする今作、新メンバー・松本由花による、出演者紹介の第二弾は、澤田慎司新部聖子です。

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澤田さんってスーパーマンかもしれません。空を見ろ!鳥だ!飛行機だ!いや、澤田慎司だ!です。

歌もダンスも上手いだけでなく魅力的で、羽衣の公演Tシャツのデザインを担当するなど芸術的なセンスもあり、たぶん空飛べるし、透視とかもできそうです。

それでも嫉妬させないところがまた稀有で、打算的でないからでしょうか。そう考えるとニクい気もします。手持ちのものを自らひけらかすことなく、けれど求められたらニッチな角度からでも攻め込んでくる、へんなお兄さん、みたいな印象です。


『ピロートーキングブルース』では、妙ージカルに欠かせない糸井さんの音楽、の、ハーモニーを作ったりもしています。

みんなで澤田さんを囲んで音程を教えてもらっている時間は、なんだかちょっと可愛らしい空間なのかもと思ったり。生意気ながら、家族のような。その時は真剣に覚えることで精一杯ですが、こういうのって羽衣ならではの空気な気がします。澤田さんは、そういう空気をつくれる人です。

たまの下ネタ、モノマネ、悪ふざけで笑いを誘うのもさることながら、親しみを与える少年心も持ち合わせています。


『ピロートーキングブルース』でも、さまざまな角度から世界を守っています。スーパーマンなので。器用すぎる、けれどそれだけに留まらないパッションを観にきてほしいです。

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ちっちゃくてダイナミックなにいべさん。

簡単に誰かの人生を成り代わりたい、と言うのは時に無神経ですが、パラレルワールドがあったらにいべさんになってみたいです。ダンスとか歌とか、無学なのでわからないのですが、教科書的なものでないにいべさんのパフォーマンスが好きです。

これは2018年のワークインプログレス『瞬間光年』を観たときから思っていて、なので最初のほうは緊張してうまく話せませんでした。

と、言うと半分うそです。聞けばなんでも答えてくれる人なのですが、「にいべさんの歌とダンスすてきです!」なんて、誰でも言えるような言葉で伝えていいのか、、と勝手にためらっています。

しかし当のにいべさんは、服かわいいーとか、手足が長いねーとか、雰囲気変わったー?とかなんとか感じたまま好き放題言ってくださる余裕っぷりです。

にいべさんが撮るお写真も素敵なのですが、目の前の人とかものを自分の目線でまっすぐ見られる人なのだとおもいます。


心の表現が魅力的です。まずハートがあって、それに体がついてきているのだと感じます。でも天秤にかけたらハートの方がどうにもこうにも大きくなっちゃって、その一生懸命さがキュートで、胸打たれます。


『ピロートーキングブルース』で、にいべさんのハートを観に来てください。

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文・松本由花(FUKAIPRODUCE羽衣)
撮影・金子愛帆

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■ミュージカル『SMOKE』2019年版 vol.3■
 
 

石井一孝、藤岡正明、彩吹真央が出演するミュージカル『SMOKE』が、6月6日、東京芸術劇場 シアターウエストで開幕した。昨年日本初演され、その濃密な世界観と美しい音楽に多くの中毒者が生まれた作品。大作ミュージカル常連の実力派3名で贈る今バージョンはファンの間では"大人SMOKE"と呼ばれているようで、彼らならではの力強く美しいハーモニーと、繊細かつ熱い芝居で、劇場をどこか浮遊感のある不思議な色合いに染め上げた。

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作品は、20世紀初頭に生きた韓国の天才詩人、李箱(イ・サン)の遺した詩と彼の人生にインスパイアされた内容で、超(チョ/石井)と海(ヘ/藤岡)が、三越デパートの令嬢だという紅(ホン/彩吹)を誘拐してくるところから始まる。このサスペンスフルな誘拐劇をハラハラした気持ちで見つめていると、物語は予想もつかない方向へ。彼らは一体何者なのか? 何が目的なのか? ドラマチックな展開を見守るうちに観客は、結核をわずらった後日本に流れつき、そのまま異国の地・東京で亡くなった李箱本人の心の葛藤を旅していくことになる。
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げきぴあブログをご覧の皆さま、こんにちは。FUKAIPRODUCE羽衣です。

間もなく6月20日(木)~、『ピロートーキングブルース』@本多劇場が開幕いたします。
是非お運びいただけましたら、嬉しいです。


FUKAIPRODUCE羽衣メンバーで挑む、新作公演。
新メンバーになりました松本由花が、最新の稽古場写真とともに、このメンバー総出の出演者の紹介をいたします!
まずは、鯉和鮎美高橋義和です。

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この世にある癒しはすべて、元はこいわさんから湧き出ているんじゃないかと思います。歌い踊り喋るこいわさんを見るということは、癒し源泉掛け流しということです。とても贅沢です。

そんな可愛らしさの中に灯って揺れる激情は、羽衣の作品や、糸井さんの楽曲にはなくてはならない要素なんだと思います。

こいわさんといえば歌、なのですが、心が鳴っているようですごくすごく美しいです。詩とメロディーとをいちばんおいしく響かせます。悲しく儚く、可愛らしく元気に、強くおおらかに、どんな歌い方をしていても(できてしまうのも憧れます)こいわさん節があって、しかも年々磨きがかかっているというのが恐ろしいです。


こいわさんの一挙手一投足を見ていると、"女性らしさ"みたいな、今の時代じゃ一歩間違えるといやな顔をされそうな価値観に、溺れちゃっていいやーと思えます。勝手に許された気分になれちゃいます。

もちろん大前提に、人として底知れぬあたたかさがあります。羽衣に入りたてで、右も左もわからぬわたしに、いつもさりげに寄り添ってくれていました。エスパーなの?と思いじわりと涙が浮かぶこともありました。深井さんが、こいわさんにお母さんを感じる理由がわかる気がします。はだかのことを"はだかんぼさん"と言うところとか。4文字増えてます。

『ピロートーキングブルース』で、本多劇場が、下北沢が、いや日本が、こいわさんのマイナスイオンでいっぱいになったらいいのにな、と思います。  

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大学で、深井さんの授業に歌人の枡野浩一さんがゲストでいらしたいらしたことがありました。

その際、高橋さんの作った短歌を紹介するとともに、若かりし高橋さんの破天荒エピソードを聞き、やさしげな面持ちとは裏腹に、鋭いナイフのような人なのかもしれない、、という印象を抱いていました。

実際は、熱さも優しさも並外れていて、鋭く突き刺すナイフというよりは、海外の火炎放射器のような。家庭用の。家庭用でその火力?!というところがミソです。

たとえば先日こいわさんがわたしに「たまには子どもらしくして良いんだよーおねしょしたって良いんだよー」と言ってくださった時、一緒にいた高橋さんがすかさず「俺も漏らすよ!」と宣言し、撃ち抜かれました。

すべてを包み込む優しさというより、一瞬で焼け野原になったかと思いきや花が一輪、そこに残った、みたいな、そのたくましい希望のような優しさが、救いになることが何度もあるんだろうと思います。

羽衣の作品にも分厚い層をたくさん堆積させていく高橋さん。誰よりもハリのある声と、大きな体で奇妙な動き、肩から上が上下しながら笑うところなどが好きです。

誰に対しても丁寧で、たまに男性であることを忘れます。どう見てもたくましいのに不思議です。


高橋さんの火炎放射で、本多劇場、焼けちゃうかもですが、やけどとかはきっとしないので安心してご来場ください。

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文・松本由花(FUKAIPRODUCE羽衣)
撮影・金子愛帆

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『レ・ミゼラブル』の世界ベストキャストに選ばれ、エリザベス女王の前でも歌を披露した島田歌穂が、8月7日にサントリーホール ブルーローズ(東京都港区)で、『Musical, Musical, Musical!!』を開催する。

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『Musical, Musical, Musical!!』は、「聴く」「学ぶ」「歌う」ことで"ミュージカルを感じる"、

まったく新しい「体験型音楽イベント」。

【聴く】Feelは、島田と夫でピアニストの島健によるDuoコンサート。海宝直人を特別ゲストに迎え、『レ・ミゼラブル』『メリー・ポピンズ』『アラジン』『キャッツ』など、人気ミュージカルから、お馴染みのナンバーが勢ぞろいする。

【学ぶ】Learnでは、美しい姿勢、深い呼吸を学ぶ。島田がいつも実践している発声法を習い、心を開放する

【歌う】Actionでは、ステージと客席が一体となり、イベントの参加者も島田と共に、ミュージカルの名曲を歌いあげる。観て聴くだけでなく、一緒に歌える『Musical, Musical, Musical!!』で、真のミュージカルの楽しさを体感しよう。

◆島田歌穂によるメッセージ

参加型のイベントが増える昨今。「聴く」「学ぶ」「歌う」をテーマに、私にとって新しい挑戦のコンサートとなります。まず、島健とのDUOコンサートでは、海宝直人さんを特別ゲストにお迎えして、ミュージカルの名曲をたっぷりとお届けします。そして、その後、お客様に簡単な発声法をお伝えしながら、ラストは会場全体で大合唱!いらして下さったお客様、皆様とご一緒に作るひと時。今までにない体験に私も今からワクワクドキドキしています。皆様、是非ぜひお越し下さい!

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◆公演情報

島田歌穂『Musical, Musical, Musical!!』

日程:2019年8月7日(水)

会場:サントリーホール ブルーローズ

開場13:30/開演14:00

出演:島田歌穂 ピアノ:島健

特別ゲスト:海宝直人 ※「聴く」コンサートにゲスト出演

料金:全席指定¥7,800(税込)

チケット一般発売日:2019年6月14日(金)

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劇団「南河内万歳一座」が、2020年の旗揚げ40周年に向けた記念企画の第2弾として上演する『唇に聴いてみる』が6月6日(木)にザ・スズナリで開幕します。

そこで、『唇に聴いてみる』について、そして劇団の40年について作・演出で劇団主宰の内藤裕敬さんに直撃しました。

前編:『~21世紀様行~ 唇に聴いてみる』編 >に続き、後編は劇団の40年についてうかがいます。内藤さんの地元でもある東京に拠点をうつさず、大阪という場所で、しかも40年もの間やってこられたのはどうしてなのか。どこを大切にしているのか、語っていただきました!

*****

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――【前編】の最後に劇団を"続けるためにはやらない"とお話されましたが、まず劇団が40年続くのがすごいことだと思います。どうして続けられたのですか?

 でもね、「続けよう」と思ったことはないのよ、最初から。どうせ劇団員は抜けていくだろうし、状況も変わっていくだろうし、自分の実力もどこまでハードルを超えていけるのかわからないわけだから、続いちゃったら続けるけど、どうせどっかで「お前じゃ無理だ」って世間からレッテルを貼られるだろうって思ってたの。でも続いちゃったんだよな。

――とはいえ劇団を40年も続けるにはなにか力を使わないとやれないと思うのですが。

 一番思ってるのは、ラッキーだったんじゃねーの?っていう。

――(笑)

 こまごま努力したことはあるけどね。ただひとつ言えるのは、劇団活動と自分の演劇創作によってさまざまを"獲得しよう"という気持ちはあった。

――獲得。

 お客さん来てくれないかな?とか、どこかお金くれないかな?とか、劇団員を映画に出してれないかな?とかいうんじゃなくて、そういうものは劇団が"獲得するものだ"という気持ちは初めからあった。お金の面でも、大阪の行政が主催する演劇企画とかあるけど、自分たちがおもしろい作品をやっていれば当然お声がかかるわけで。それも、自分たちの作品発表によって"獲得"していく。そういう気持ちは強かったよね。今、大阪で若い子が「劇場をつくってください」とか「演劇の状況を変えてくれないかな」とか言うんだけど、「そういうのは自分で獲得するんだよ」って言う。観客を獲得して「こういう劇団がある」とか「こういうおもしろいことをやってる」というものがあれば周りも動くけど、なにも獲得できてないのに助成ばかりを望むのはダメって考えたほうがいいよって。

――獲得した先の目標のようなものはあるんですか?「世界を変えたい」的な。

 ない!なんにもない!

 目標を定めると、そこに向かって進まなきゃなんないじゃない。横にもおもしろいことが転がってたりするのに、進まなきゃなんない人は、見ないふりして行かなきゃいけないでしょ?俺はその"横"をやりたいのよ。

――なるほど。

 そういうふうにやっているうちに、こんな人と知り合ったとか、こんな企画をやることになったとか、「次はうちでやってくれませんか?」って劇場が呼んでくれることもあるし。そうやって意図せずに発展していく。そしたら40年になっちゃったわけだから。これからもそういうカタチで、その辺にあるおもしろいことから手当たり次第にやる。

――内藤さんが「おもしろい」と感じているのは「演劇をやること」ですか?

 そうだね。作品づくりがおもしろい。そこにあるチャレンジがおもしろいし。誰とやるかもおもしろいし、どこでやるかもおもしろいし。

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――内藤さんは東京が地元ですが、劇団を続ける中で東京に拠点を移そうとは考えなかったですか?

 実家は東京だけど、大阪の大学で旗揚げしたからね。でも大学卒業して2年目には東京公演やってたよ。当時は大阪に劇団☆新感線もいたし、マキノノゾミくんとか生瀬勝久もいた時代で。でもみんな東京に行くってものすごく遠くに行くような感覚なのよ。ヨーロッパにでも行くかのような。でも俺は、「いやいやいや、新幹線乗ったらすぐだから!」「東京で公演することはそんなにハードルの高いことじゃないでしょ」って思ってた。

――地元が東京の人ならではの感覚かもしれないですね。

 だからひょいひょい行ってたし、卒業3年目には年に2回、東京・名古屋・大阪の3都市公演をやってた。それで話題にもなったし、お客さんもどんどん増えていって、劇団が上り調子になって。そしたらバブルが始まって、演劇に公共の予算が使われるようになった。そうすると、噂を聞いて、国から「富山県でやって」とか「四国でやって」とかオファーが入るようになる。それでこちらも「四国でやるなら、高松だけだともったいないから徳島でできないか?」とか遊び心で広げる。そうやってまた広がっていってた。

――すごい。

 でもその頃には俺がくたびれてきてた。作家としてやせ細ってきて、自分でも発想するものが貧弱になってるなって感じていた。

――劇作に悩み始めたということですか?

 そう。ただ演出はすごくおもしろかったし、演出能力は上がっていたと思う。すると、演出能力に合わせて戯曲の能力がアップしないことで生まれるバランスの悪さが、演劇創作をしている人間としてのバランスの悪さになってきた。それでどうもうまくいかない時期がきた。同じ頃、小劇場ブームもだんだんと落ちてきて、1980年代にできた劇団が解散していって、今のようなプロデュース公演が主流になっていって、その状況で劇団を続けていくのはなかなかしんどい時代がきた。

――でも目標がないなかで低迷期に入ると、続けられますか?

 やめようと思ったんだよ。低迷期が6、7年続いて、「うまくできねーし、やめようかな」と思った。でもやめ方がわからなかった。それまでいろんな方にお世話になったし、ファンの方もそれなりにいるなかで、いきなりプツッとやめるってわけにいかない。「どうやってやめるのが一番いいのかな」「どうにかうまくやめれないかな」みたいなこと考えながらやっていたら、結果的に......

――調子が戻ってきた(笑)。

 やめらんないうちに開眼してしまって、「俺、いけるんじゃねーか!?」みたいな感じになっちゃって。やめなくてよかった!って(笑)。

――そこからはもう。

 全然やめる気がない!

――(笑)。「劇団」という部分はどうですか?内藤さんも、木皿泉さんの脚本・木皿泉、薬師丸ひろ子さん主演の舞台『ハルナガニ』(演出/'14年)や中山美穂さん主演の『魔術』(作・演出/'16年)などやられていますが。

 そういうことができないわけじゃないんだよ。でも演出家として東京で一旗揚げたい、みたいな思いはないからね。例えばうちの劇団でも、有名な俳優さんを呼んだりして商業的にやれば動員をのばしていけると思うんだけど、それはあんまおもしろいと思わないんだよ。

――「おもしろいと思うか」が肝なんですね。

 "おもしろい作品を発表するファクトリー"が劇団だから。作品をおもしろがってもらうのと同時にそこにいる俳優も「この作品を支えているのはすごいな」と思ってもらう、っていうのが本道だと俺は思っていて。だから有名な俳優を呼ぶのは別の企画でやる。劇団の芝居はずっとこういうふうにやってきたし、これからも商業的な展開をしようとは全く思わない。でもそうすると動員が落ちるんだよ。しゃーないな、それは。

――時代の流れもありますか。

 うん、しゃーない。そうしてるうちにまた時代が変わったりもするし。今は2.5次元が主流でしょ。なんだそれ、と思うよ。

――2.5次元、おもしろい作品たくさんありますよ。

 でもさ、基本的に舞台って3次元で成立していて「一瞬でもいいから"3.5次元"が垣間見えないかな」とつくっていくわけじゃない。同じように漫画も、2次元の世界なのに3.5次元が垣間見える一瞬があるんだよ。だけどそれ、舞台化でやれる?って思う。例えばプロジェクションマッピングみたいな新しい技術が舞台に応用できるようになって、今まで以上にいろんな表現が可能になってるけど、それって演劇作品が映像作品に近づいていくことであって、演劇の発展があるように思えない。だから2.5次元が拡大していく方向性は、"技術が発達することで生まれた演劇のサブジャンル"と考えたほうがいいだろうと思ってる。俺は演劇としては、プロジェクションマッピングのようなものを「人がどうやるか」っていうことで演劇は発展すると思うから、そっちのほうをやりたい。そうやって発想することによって、演劇の可能性や新しい劇世界が発想できるだろうっていう方向を向きたいので。ただ、そうするとまた時代に逆行するので、客が入らない。でもそれはね、俺の背骨だから。ずらせないのよ。そこをずらしてやることになったら、劇団やめる。

――つまり南河内万歳一座は、それがやり続けられる場だから続いているってことですね。

 そう。

――最後に劇団のこれからを聞いてみたいと思ったのですが。

 なにも決めない!

――ですね(笑)。公演、楽しみにしています!

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南河内万歳一座『~21世紀様行~ 唇に聴いてみる』は、6月6日(木)から9日(日)まで東京・ザ・スズナリ、6月12日(水)から17日(月)まで大阪・一心寺シアター倶楽にて上演

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1980年に大阪で旗揚げし、40周年を目前にする劇団「南河内万歳一座」(http://banzai-ichiza.com/)が、6月6日(木)からザ・スズナリで『~21世紀様行~ 唇に聴いてみる』を上演します。

本作は、昨年からスタートした旗揚げ40周年に向けた記念企画の第2弾。再演リクエストナンバー1の名作『唇に聴いてみる』を、初演から35年ぶり、最後の再演から23年ぶりに上演するそうです。

というわけで、作品のことや劇団の40年について、作・演出で劇団主宰の内藤裕敬さんにたっぷりうかがいました!

まずは<前編:『~21世紀様行~ 唇に聴いてみる』編>です!

*****

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――『唇に聴いてみる』はかなり久しぶりの再演ですが、どうして今回この作品を上演することになったのですか?

 南河内万歳一座は1980年旗揚げだから、今年が39年目、もうすぐ40周年なんです。でも40周年が2020年でオリンピックの年なので、ややこしいなと思って。

――(笑)

 それで、40年まるまるやって41年目に「40周年記念」をやろうかなと考えているのですが、それまでの3年間は40周年に向けて、いつもはやらないことをやろうと思っていて。昨年は、劇団「空晴」という大阪で上昇気流に乗っている劇団と合同公演をやりまして、今年は劇団「いちびり一家」という大阪の若手とコラボして新しい作品をできればなと考えています。そして今回、再演希望が非常に高い『唇に聴いてみる』を上演するという。

――なぜ今だったのでしょうか?

 この作品はもう再演しないかなと思っていたのですが、戯曲を出版もしていますし、雑誌にも載っているし、現代演劇集のようなものにも収められていて、そういう意味ではうちの代表作なんですよ。それで、当時とは劇団メンバーも変わっているので、「代表作だしチャレンジしたいんだ」という劇団員の熱望もあって、お客さんの再演希望と両方からの希望で「じゃあ再演しようか」ということですね。

――今回、タイトルに『~21世紀様行~(21せいきさまゆき)』を付け加えたのはどうしてですか?

 この作品は20世紀、1970年代くらいの高度成長が減速してきた時代の日本、そして団地が大きなモチーフになっています。団地というのは、核家族化が加速する当時のトレンドだったんですよ。だけどこの本を書いた頃にはもう「団地というものは狭くてギュウギュウ詰めのコミュニティで、隣近所も近いし、面倒ごとも多い」と、人間関係が個人主義化していくひとつの原因になってきていて、そこで抜け落ちたものを描いているんですね。なので21世紀の今やって、観た人が「そんな昔のこと言われてもわからない」という感じになると、あまり再演の意味がないと思った。

――21世紀版に書き直すということもできますよね。

 でも今改めて読み返してみると、書き直して21世紀版にするよりは、このままやったほうがいいように思えた。だから全く直してないです。年号や西暦は変わっても、引きずっている"何か"。日本の、僕たちの、解決しえない生活の中の痛みのようなものが散りばめられている作品なので。それを21世紀の現在の視点で観たら、どう見えるかがすごく興味深く感じて。今回はその辺を意識してやるので、「21世紀様に宛ててつくりますよ、どうぞご自由に観てちょうだい」という感じでつけました。

――ということは、「21世紀様」というのは、21世紀を生きる人たち。

 そう、現代を生きる人たち。

――演出も変わらずでしょうか?

 演出は、難しくなってると思う。この作品をつくった当時はまだ下手で、「会話を積み上げる」というような緻密なこともできなくて、身体性ばっかりだった。台詞はちゃんと言うけど、「それよりも身体性から発想して場面をつくらないと、うちの色は出ないんじゃないの?」みたいな時期の作品なので。だけどそこから僕も劇団もブラッシュアップを重ねてきているので、昔みたいに突撃精神で暴れまわって終わるわけにはいかない。だからといって、南河内万歳一座(以下、万歳)のベースにある"身体的なものを軸とする"みたいな部分を薄めちゃうと面白くない。出演者は両方やらされてて、みんな目を白黒してる(笑)。

――話は少し戻りますが、70年代の空気を描いたお話をやるときに、劇団員の若い方は当時の感覚はピンときますか?

 ちょっと誤差はあるみたい。でもその雰囲気はわかります、っていう感じ。70年代って、日本のコミュニティとか生活環境が核家族化と共に大きく変容した時代で、当時はそれによって「隣近所の付き合いが希薄になる」とかいろんなことが叫ばれたけど、今となってはお隣さんに挨拶しないなんて当たり前でしょ?それがいいか悪いかはさておき、そこから抜け落ちたさまざまなものがあって、それを今、みんなが抱えて生きてる。その出発点がここにある、という感じ。この作品は、その痛みのようなものを、70年代のノスタルジーと共に展開している話なので、芝居全体でなんかちょっと「痛い痛い」と言ってるところがある。だから、その「どこかしら痛いと言ってるな」みたいなことが感じられれば、おもしろく観られると思う。

――初演の頃はどういう気持ちで書かれたのですか?

 この本は、まず35年前に書いて、その2年後に書き直したものが現在のカタチになっているのだけど、万歳の作品は旗揚げ公演以外はすべて自分で作・演出をやっているので。自分でも書く度に「これじゃダメだな」「もっとなんとかならないかな」とか考えるし、皆さんにもたくさんアドバイスをもらいながらやっていた。それで、だんだんいろんなノウハウとかアドバイスが溜まってきて、「それを一回一本の作品で実践できないかな」と思って書いたものなんだよね。今読み返してみたら「やってるやってる」って感じがある(笑)。

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――戯曲を読ませていただいて、物語以外にもいろんなものが絡み合ってうねってるような作品だなと思いました。

 そう。モノローグからダイアローグ、時間がどう現実に戻ってくるかとか、そういうものを暴力的にねじ込んでいたり、フッと霧が晴れるようにどっかにやったりしてて、「いろいろやってるな!」って自分でもびっくりした。この本を書いたのは26歳だったと思うんだけど、これで初めて雑誌『新劇』に戯曲として載って、初めて岸田戯曲賞の候補作品になって、最終選考まで残ったの。岸田戯曲賞なんて遠い存在だと思ってたわけよ、26歳の頃なんて。だからそういう意味でも非常に思い出深い作品で。それで評判になって、再演を重ねる中でブラッシュアップして。韓国公演もやったし、上海と北京でもやったし、その間にも日本で再演を繰り返したので、もういいかなと思ってた。それで23年あいちゃったんだけど(笑)。おそらくこれが最後だと思うんだけどね。

――23年ぶりにやってどうですか?

 新鮮に思えた。当時自分が何を考えていたかとか、「そこに引っかかったんだな」みたいなことが明確に見える。演劇的に劇団のオリジナリティみたいなものをどう出すかってことを戯曲の中でもすごく迷いながらやってるし、劇作家の自分としてもそうだし。そういう意味でのチャレンジと集大成が全部詰まってる作品だなって。だから当時の俺のこだわりが全部残ってるような感じかな。

――先ほど「おそらくこれが最後」とおっしゃいましたが、そうなんですか?

 俺はやるつもりないけど(笑)。そのうちその気になるかなあ?

――明言はしない、という感じですね。

 うん。だいたいもう年だからね、劇団が。40年だから。「死ぬまでやるぞ」とかいう意気込みはまったくないのよ。「もう40年やってるんだろ、終わるときは終わるよ」としか思ってない。だから終わるときまで好きにやらせてもらいたい。終わるときはパッと終わるから。だから「50周年までがんばりますよ」とか「死ぬまで劇団を続けますよ」みたいなのは......いや~もう重い。

――あと10年も重いですか?

 続いちゃったらしょうがないよ?今までも続いちゃってるわけだからね。でも"続けるためにはやらない"ってことだね。逆に好きにやらせてもらうっていう感じ。

→→<後編:劇団編>に続きます!

南河内万歳一座『~21世紀様行~ 唇に聴いてみる』は、6月6日(木)から9日(日)まで東京・ザ・スズナリ、6月12日(水)から17日(月)まで大阪・一心寺シアター倶楽にて上演

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