2022年に役者としてデビュー10年。木村達成さん直撃インタビュー

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大人気コミックを原作にブロードウェイの巨匠と日本の若き才能がタッグを組んで生み出す世界初演ミュージカル、『四月は君の嘘』。コロナ禍で公演中止となってから約2年の時を経て、メインキャストが再集結。この春、上演される。主人公・有馬公生役は木村達成&小関裕太のWキャスト。さらに宮園かをり役を生田絵梨花、澤部椿役を唯月ふうか、渡亮太役を水田航生と寺西拓人が演じる。インタビューでは、主演の有馬を演じ、2022年に役者としてデビュー10年を迎えるミュージカル『四月は君の嘘』稽古中の木村達成を直撃。演劇『ハイキュー!!』以来の須賀健太×木村達成コンビが復活する舞台『血の婚礼』(9月上演)のことから初のソロ・コンサートまで、ざっくばらんに語ってもらった。

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―ミュージカル『四月は君の嘘』の開幕が目前です。今どんな気持ち?

木村達成(以下、木村):連載漫画の初のミュージカル化をどう完成形に近づけるかということばかり考えてます。改めて、ミュージカルの難しさを思い知らされました。アニメ作品って突拍子もない展開があって、それを舞台で表現するとなると、シーンにバラつきが出てくるんです。ワンシーンごとに歌があるんですけど、それを一ページずつめくっている段階というか。次のシーンへのパスやエネルギーが見えていないので、その作業がこれから重要になってきそうです。

―共演の宮園かをりの印象はいかがですか?

木村:ひとりで苦悩する瞬間もあるんですけど、そんなの"どうだって良いじゃん!"というふうに思わせてくれるのが、いくちゃん(生田絵梨花)演じる宮園かをりですね。悩んでる感情さえも、彼女のパワーを前にするとバカらしくさせてくれる。独りで作っているものじゃないっていうのが、今回は一番強いです。宮園かをりは、死期が迫ってることを自覚しての発言であったり、それだけの苦労をしてるので、凄いことを言ってのける役なんです。実際に自己防衛として落ち込んでいても元気なフリをしている人っているから、見えているものが全てじゃないんだなって感じました。

―今回はどんなところを味方に?

木村:今回は、幼い頃に苦悩していたリトル・公生を切り取れば、僕が演じすぎる必要がなくその苦悩が感じられるのではないかなと思っています。人間のギャップも見せられるし、間違いなくそれが最高の味方になってくれると思います。

―木村達成さんがどう主人公を演じるのか、キャラクターとの印象も違ったので興味がありました。

木村:違いますよね?!(笑)。

―前にグイグイ出て行く印象があったので。自分の中に役の引き出しのようなものはありましたか?

木村:模索中です(笑)。

―共通項は?

木村:まず、人間であること。これは不完全ってところです。完璧な人間なんてこの世にいないから、そこは共通なのかな。

―今作を通して、木村さんが伝えたいことは?

木村:誰かとの出会いで人生が変わるとか、見る世界がカラフルに変わることですね。その人との出会いで、その日一日が元気になれることって、僕も経験あるんですけど...音楽の力って絶大じゃないですか。その力も利用しながら、エンターテインメントとしてお客さんに元気になってもらえるような作品にはしたいです。

―木村さんは役者として今年で10年を迎えますが、役者生活の中で、作品のような人生を変える出会いってありましたか?

木村:唯一、いろんなことを吸収して、死ぬまで成長できる職業が役者なのかなって思うと、出会った作品で考え方が変わったりしていった10年間でした。自分に足りない事を作品が教えてくれるというか・・・

―今作のような挫折はあった?

木村:学生の時から一夜漬けするタイプだったんですけど、それを辞めて努力をすることの大変さを覚えて、毎日のように挫折してますよ(笑)。適当な性格なら良かったんですけど、わりと気にしいだし、それでいて強気な発言もすれば実は嫌われたくなかったり。めちゃくちゃ、メンドクサイ人間なんで。

―そうすると、主人公との共通点も少し見えてきたような?

木村:あっ、確かに!(笑)。

―『銀河鉄道の夜2020』で初主演を経験しましたが、今回も主演を務めますね。

木村:この作品は背中を見せて引っ張ってくというよりは、誰かの力を借りないと成立しない作品。誰かが手を差し伸べたくなるような主演であらなきゃと思うんです。新作ミュージカルということで、立ち上げっていうこともありますけど、みんなで何かを考えること、諦めないことが重要なのかなって主演だからじゃないけど、そういう風に考えることはありますね。ただ、苦悩させられる役をここ23年間、多くやっている気がするので、1回最後にしたいかな(笑)。終わったら滅入る気持ちを立ち上げるんですけど、心の整理をする時間がとても必要なので。

―あはは。9月には舞台『血の婚礼』で望まぬ結婚をし家庭を築き上げ、仕事に精を出しながらも"花嫁"を想い続けているレオナルド役にも挑戦することが発表されました。

木村:これは、サディストじゃないですけど...ヤバいと思いますよ。

―この役で、役者としてはどう成長していきたい?

木村:作品に携わるほど役者って言葉が嫌いになってきて、それを取っ払った状態の木村達成でいたいです。目の前の仕事を全力でやることは10年間変わらない作業だし、これからも血を吐くほど全力でぶち当たりたいです。自分の力量ではできない作品が続いている分、自分の実力以上の作品に向けて絶対に届かないところへ手を伸ばす距離感というか、その関係性を保っていたいですね。

―先ほど『血の婚礼』の話題も少し出ましたが、努力の先に新たな扉がまた開きそうな予感がします。

木村:役の印象は嫌な奴だなって感じました。 "お前は俺しかダメなんだ"という発言に力を感じたので、絶対に個で立っていなければならないと思ったし、今まで培ったものが発揮されると思います。

―演劇『ハイキュー!!』以来の須賀健太×木村達成コンビが見れることも、楽しみのひとつですが。

木村:僕と、健太の共演はめちゃ、めちゃ面白いと思いますよ! 僕自身もまた芝居を作れるのが楽しみであり、『ハイキュー!!』以降で経験してきたことが全て投影されるわけですから、ちょっと怖いっていうか、ドキドキでもあります。インタビューでは勝気なことを言いますけど、小心者なところがあるので。でも、健太はそういう僕の弱い部分も知ってるから、そこは最強の味方ですね。

―さらに12月にはソロコンサートも決定しています。

木村:これ、本当にやるの?!(驚)って、本気で思ってます。

―(笑)。ファンと一緒にデビュー10年を祝う素敵な日になりそうですね。10年後はどんな木村達成でいたいですか?

木村:10年後は結婚して子どもがいて、幸せな家庭を築けていたら良いなくらいしか考えられないんですけど(笑)、目の前のことに精一杯なので作品によって自分が変わって、自分でも嫌な人間になる時もあるけれど、そんな時でも見捨てないでほしいです。全てを愛してほしい。どれをとっても木村達成であることに変わりないので。

取材・文:後藤千尋

<公演情報>
5/7(土)~29(日) 日生劇場(東京都)

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