「聖剣伝説3 TRIALS of MANA THE STAGE」が、3月7日から16日まで東京・サンシャイン劇場、4月4日から6日まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールで上演される。「聖剣伝説3」は、1995年に発売されたゲームで、本公演では、そのリメイク版として2020年に発表されたゲーム「聖剣伝説3 TRIALS of MANA」を原作に、脚本・演出を松多壱岱が務める。作中では、マナの力を利用し世界征服をたくらむ勢力の争いに巻き込まれながら、運命に抗う若者たちの旅と成長が描かれる。
物語の主人公である、草原の王国フォルセナ出身で国を愛し、負けず嫌いな性格の傭兵として仕えるデュランを演じるのは、メインダンサー&バックボーカルグループ"超特急"の2号車・カイとして活動中の小笠原海。初の主演舞台に挑む小笠原に、本公演の見どころや役柄の魅力、そして舞台への意気込みを語ってもらった。
初の主演舞台で描く新たなステージ!「聖剣伝説」シリーズの世界に飛び込む喜びと責任感
――はじめに出演が決まった際のお気持ちをお聞かせください。
「聖剣伝説3」という歴史のあるゲームの舞台化作品で主人公を演じさせていただくことになり純粋にうれしい気持ちでいっぱいでした。出演が決まってから実際にゲームをプレイしてみたのですが、30年前の作品にもかかわらず、主人公の選択によってストーリーや結末が変わるマルチエンディングが採用されていることに驚きました。ゲーム内の自由度も高く、さまざまなキャラクターで何度も遊びたくなる魅力があって、この作品が多くのファンに愛されている理由を実感しました。
――舞台初主演を務める意気込みは?
初めての挑戦でわからないことも多いですが、それが未知の世界へのワクワク感につながっています。超特急での活動でたくさんのステージを経験してきましたが、舞台作品ではまた違ったアプローチが求められるとだろうなと。これまで培った経験との違いや、共通する部分を探しながら挑戦したいなと思っています。
――俳優としてもさまざまな経験をされてきた小笠原さんが思う舞台作品の面白さを教えてください。
舞台作品の醍醐味は、お芝居の息づかいや会場全体の空気感を直接感じられることだと思います。同じ作品でも公演によってキャストの掛け合いのテンポや空気感が異なり、毎回新しいものが生まれるのも舞台ならでは。アドリブが多い作品では、1回きりの本番だからこそ生まれるハプニングや一体感も見どころです。僕自身いろいろな作品を観劇するのですが、生ものである舞台の魅力を実感しています。
――共演を楽しみにしているキャストはいらっしゃいますか?
EBiDANの活動をともにする高尾楓斗くん(紅蓮の魔導師役)、阿久根温世くん(ホークアイ役)、山本龍人くん(ヒース役)との共演はもちろん、ドラマで共演経験がある飯窪春菜さん(アンジェラ役)との再共演もとても楽しみです。飯窪さんと礒部さんとは同い年で、出演者の中では年齢層的にもちょうど真ん中くらいの立ち位置。一緒に30代のパワーを見せつつ、全世代をつなぐような存在になれたらと思います。稽古中は集中しつつも、楽しむときは全力で楽しむ、そんなチームになれるといいですね。僕の場合、みんなを引っ張ろうとすると空回りしそうなので(笑)、自分らしく、少しずつ絆を深めていけたらと思っています。
30年の歴史を背負う――衣装が伝える作品の重みと魅力
――デュランの役柄の魅力について教えてください。
デュランは少々気性が荒く負けず嫌い。暴れん坊に見られがちな一方で、誰もが認める剣の腕の持ち主という役どころです。最初は荒々しい一面が目立ちますが、仲間との旅や、人との関わりを経てどんどん成長していく姿がとてもかっこいい。ゲームをプレイした際には、父への尊敬と生まれた国への愛、守りたいものへの強い信念を持つ真っ直ぐな人だと感じました。個人的には「聖剣伝説3 TRIALS of MANA」のCVを担当した声優・江口拓也さんのイメージが強いのですが、江口さんの表現から学びながら、僕だからこそ表現できる新たな"デュラン像"を作りたいと思っています。
――演じるうえで難しそうだと感じていることはありますか?
デュランは長剣を持つキャラクターなので、立ち回りが難しそうだと感じています。これまで日本刀や忍者刀を使った殺陣(たて)を学んだことはありますが、今回はゲームサイズの長剣を忠実に再現したものなのでかなり特殊なケースです。バトルシーンも重要な要素の1つなので、ゲームをプレイしたことがある方に、かつて自分が操作したキャラクターたちがステージ上で動き回る躍動感を感じていただけるよう練習を重ねて演じきりたいと思います。
――稽古&公演に向けてどんな準備をしていますか?
デュランのビジュアルに近づくために、体を鍛えています。パーソナルトレーナーさんの指導のもと、見せる筋肉を意識してトレーニングに励みながら、長期間にわたる公演を走りきれるように体力づくりも行っています。また、朗読劇で共演させていただいた先輩からのアドバイスで落語を聴き始めました。一見舞台とは異なる分野に思えますが、落語家さんの話し方には感情を伝える技術や一語一句をお客さんに届ける力があり、それをセリフ回しに活かすことができるんだそう。僕はセリフを噛むのが怖くてゆっくり話してしまうことが多いので、本番で噛まないためにも、英語のシャドーイングのように、落語を聞いたまま話す練習を重ねています。
――ゲームの世界から飛び出してきたような衣装にも注目が集まりますが、ご自身のビジュアルを見たときの感想は?
実際に衣装を着たときに、30年にわたって愛されてきた作品の重みを強く感じました。歴史ある人気作の衣装ながらも、どこか現代にも馴染むデザインで、レトロな中にこだわりが詰まっています。衣装は細部まで作り込まれていて、戦いのダメージ跡までも丁寧に刻まれているので、キャラクターの過去の背景をも感じさせるような深みがあります。衣装の状態から大雑把なデュランの性格が垣間見える点も面白くて、お芝居のイメージが膨らみました。
2025年、挑戦の年――小笠原海が舞台で切り開く新たな成長物語
――物語では運命と向き合う若者たちが描かれますが、小笠原さんが運命の出来事だったと感じることはありますか?
中学生まで地元の神奈川でずっとサッカーをしていて、高校でもサッカーを続けるため、名古屋の学校へ進学する予定でした。でも、スカウトを受け、芸能のお仕事に出合ったことで運命が激変。当時は純粋に興味が向いたからこの道を選んだだけでしたが、今振り返ると人生の大きな分岐点だったと感じます。もしスカウトを受けていなかったら、今ごろ日本代表としてサッカーで日の丸を背負っていたかもしれませんからね(笑)。
――2025年の活動に向けての抱負を教えてください。
これまで本当に素敵な作品に恵まれてきたと感じていて、「アンナチュラル」(TBS系)や、僕が大好きな漫画「東京喰種」の実写化作品に出演させていただけたことは、今でも大きな財産。さまざまな作品を経て、演技への向き合い方や感情の入り方が変わりました。だからこそ、本作もきっと自分にとって大切なものになるはず。2025年最初の挑戦となる本公演で、新しい課題と向き合い成長できる幸せを噛み締めています。
――最後に読者へのメッセージをお願いいたします。
豪華なキャストの皆さんと共に紡ぎ出す本作ならではの展開は、きっと原作ファンの皆さんにも満足いただけると思います。原作に触れたことがない方にも「聖剣伝説って面白そうだな」と感じてもらえるきっかけになったらうれしいですし、舞台をご覧になったあと、ぜひゲームにも触れてみていただけたら。長年愛されてきた作品だからこそ、原作へのリスペクトを大切に、その魅力をしっかりと舞台で表現したいです。スタッフ・キャスト一丸となって、怪我なく最後まで走り抜けられるよう全力で頑張りますので、ぜひご期待ください!
小笠原海が「聖剣伝説3 TRIALS of MANA THE STAGE」で初の主演舞台に挑む姿は、まさに新たな冒険の幕開けを感じさせる。表現力を磨くために惜しまない彼の努力と熱意が、舞台にどのような新しい風を吹き込むのか。そして、デュランというキャラクターが、彼の手によってどのように新たな命を宿すのか、その瞬間を目に焼き付けたい。