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テキスト: 嶋田真己

モーツァルトの3本の傑作オペラの台本を書いたイタリアの詩人、ロレンツォ・ダ・ポンテの"逃げる"人生を鋭く描く、音楽劇『逃げろ!』~モーツァルトの台本作者 ロレンツォ・ダ・ポンテ~が、2023年2月10日(金)~3月1日(水)まで、福岡、大阪、東京で上演される。上演台本・演出の鈴木勝秀が、史実をもとにロックアレンジされた疾走感あふれる音楽にのせて、"ROCKバカ芝居"の集大成に挑む本作で、自称天才のダ・ポンテを演じるのは、橋本良亮(A.B.C-Z)。そして、モーツァルトを佐藤流司が務める。本番まで1カ月を切った1月某日、熱のこもった稽古を続ける稽古場を見学。その模様をレポートする。

 

稽古場に入ると目に飛び込んでくるのは、生バンドのセットだ。今回のバンド編成について、音楽を担当する大嶋吾郎は「今回は管楽器、ギター、ドラムの変則トリオ。要するにベースレス、ピアノレスです。でも、それが素晴らしいバンドサウンドになっています。ありきたりなものではありません」と説明。稽古中も、キャストたちの稽古に合わせて、アレンジを変えてブラッシュアップしていく姿が見られた。

 

この日は、鈴木が「やることの方向性を確認していこう」と稽古が始められ、物語の初めからシーンごとに細かな動きやセリフの確認を行った。ダ・ポンテを取り巻くカサノヴァ(細見大輔)、ココ(渡邉美穂)、バレッラ(弓木大和)は、物語の進行役も務めるため、冒頭からセリフの掛け合いが続く。コミカルな動きや合いの手を入れることで緩急をつけており、グッと引き込まれた。さらにこの日の稽古では、鈴木は「そこはもうちょっと大きく動いてみようか」「ここ(の合いの手)は1回にしよう」など、一つひとつ丁寧に演出をつけていき、最適を探っていた。

 

今回の演出について大切にしていることを鈴木に尋ねると、「いつものことですが、演劇を音楽として作ること。今作に限って言えば、あらゆる意味で"さらけ出す"ということです。そして、(この作品の時代的背景にあるフランス革命の理念であり、モーツァルトの理想でもある)『自由』『平等』『友愛』(笑)」と教えてくれた。

 

これまでのインタビュー等で、橋本と佐藤は、鈴木の演出について「あまり細かいことを言わない」「自由に演じさせてくれる」と口を揃えて話していたが、それはまさに、鈴木が音楽のように作品を捉え、どう盛り上げるのか、どう観客を飽きさせずに見せるかに注力しているからなのだろう。この合いの手や動きもまさにその一つ。役作りは信頼する役者たちに任せているのだ。

 

また、橋本は「スズカツさんとは3回目ですが、これまでの2回は朗読劇だったので、今回はじっくりと稽古期間があります。でも、稽古中、スズカツさんは僕に何も言わないから、これで合っているのかなという不安はあります。ダメ出ししてくれとも思うのですが、でもだからこそ、自分の反省点を自分自身で考えたり、次はこうしてやろうとアイディアを持って現場に臨むことができている。スズカツさんは、それが狙いなのかもしれません(笑)」とこれまでの稽古を振り返った。

 

さて、その橋本だが、今回演じるのは、詩人で、女好き、ギャンブル好きのダ・ポンテ。ヴェネツィアを追われ、ウィーンに逃げ出してきて、アタマの回転の速さと口のうまさでコネを築き上げていく。こうして肩書きを書くと、いかにもダメそうな男だが、実際にそれを橋本が演じると、非常にスマートな男に見える。橋本のもつ清潔感と爽やかさのなせる技だろう。

 

一方、稀代の天才で、神聖ローマ帝国皇帝ヨーゼフ2世からの信頼も篤いモーツァルト役を演じる佐藤は、天才らしい飄々とした空気感を持ちながらも、人に好かれる愛らしいキャラクターを作り上げていた。この日は、サリエリ役の篠井英介とのやりとりを見学したが、"真面目で堅物"なサリエリとの掛け合いが絶妙で、稽古場でも笑いが起こっていた。

 

さらに、作品の見どころの一つでもある、モーツァルトのオペラをロックテイストにアレンジした楽曲の数々にも触れておきたい。クラシックとロックは一見、真逆のものに思うが、大嶋は「クラシック音楽と、いわゆるロックと呼ばれる音楽とは、リズムやビート感、サウンドの違いがありますが、クラシックにも『ロックを感じる』ことがあります。『ありきたりなものではない』ことはとてもロックだと思います」と話す。そして、「(スズカツさんの)台本は必要な曲の質感や温度感が必ず感じられるので、そのまま作曲し、デモを作った」という。モーツァルトというと身構えてしまう人もいるかもしれないが、きっと「どこかで聴いたことある」「なんとなく知っている」という曲が多いと思う。そうして、それらがポップにロックにアレンジされているため、肩肘を張らずに楽しめるだろう。

 

鈴木も本作における音楽の重要性について言及しており、「稽古の初日から参加してくれている、ミュージシャンが作品を引っ張ってくれています。それに応えるように、キャストもスピード上げて取り組んでいるので、稽古場がまったく停滞せずに、毎日進んでいる感じです。しかもキャリアに関係なく、若手とベテランが同じ土俵でしっかりぶつかり合っているので、とてもいい状態だと思います」と明かしてくれた。

 

橋本と佐藤のソロ楽曲も楽しみだが、2人のハーモニーが聞けるのは嬉しい。美しい歌声でポップに歌い上げる橋本は「ハイトーンが素敵」と大嶋。また、グルーヴ感たっぷりにロック色強く歌う佐藤は「声の成分がすごく良い」と評す。鈴木も「2人のコンビネーションは、予想以上に素晴らしいです。この段階でこのレベルですから、今後の稽古でさらに意思の疎通が高まり、最後に到達するダ・ポンテとモーツァルトの関係のあり方が、はっしーと流司の関係性とリンクして見えてくると、個人的には面白いと思います」と期待を寄せる。

開幕まであと少し。はたしてどんな世界をステージ上に作り上げるのか。楽しみにしたい。

 

最後に、ダ・ポンテ役の橋本良亮、モーツァルト役の佐藤流司、ココ役の渡邉美穂から、開幕に向けたメッセージが到着した。

 

ダ・ポンテ役:橋本良亮

朗読劇でスズカツさんとご一緒した時に、「次は音楽を入れた芝居をやらせてほしい」とご本人にお願いしていました。なので、今回、このような形で夢が叶って本当に嬉しいです。モーツァルトの楽曲がロックバージョンにアレンジされているので、お客さまも絶対に盛り上がると思います。歌っていても気持ちがいいんです。それに、流司くんの声も最高です。僕は、自分で言うのもなんですが、どちらかと言うときれいな声で歌っていますが、流司くんはきれいな声も出せれば、ドスが効いた声も出せる。それが"天才"モーツァルトに合っていると思いました。約1カ月の公演になりますが、1公演1公演を大事にし、お客さまが幸せな気持ちで帰っていただけるように、芝居も歌もお届けしたいと思います。どうぞ、気を張らずにご覧いただけたらと思います。

 

モーツァルト役:佐藤流司

今回は、音楽劇で、しかもロックミュージックですので、自分なりのロックなモーツァルトを演じていこうと思っています。たくさん勉強させていただける豪華なキャストの皆さんに囲まれて稽古させてもらっています。そうした豪華キャストの皆さんも見どころの一つですし、クラシックやオペラ、交響曲をロックアレンジした楽曲もかっこいい。笑いも熱いシーンもあります。舞台セットが少ないために、役者の力量がしっかりと見える舞台にもなっているので、そこも見どころです。はっしーくんとは、良いディスカッションができていますし、お互いに毎日、新しい気持ちで稽古に臨めています。きっと良いものをお届けできると思います。皆さまのご来場をお待ちしております。

 

ココ役:渡邉美穂

私が演じるココは、訳ありな、自由奔放なイタリア人女性です。その言葉通り、かなり自由に演じさせていただいています。強いところもありながらも、かわいらしい部分もある、かっこいい女性になっていると思います。音楽も素晴らしく、キャストの皆さまの表現力も抜群で、思わず引き込まれてしまう音楽劇になっていると思うので、ぜひ楽しんでいただけたらと思います。

 

 

<公演情報>

音楽劇『逃げろ!』~モーツァルトの台本作者 ロレンツォ・ダ・ポンテ~

 

☆福岡公演=2/10(金)~2/12(日)キャナルシティ劇場

☆大阪公演=2/17(金)~2/19(日)梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

☆東京公演=2/21()3/1() 新国立劇場 中劇場

 

脚本・演出:鈴木勝秀

音楽:大嶋吾郎

 

出演:   橋本良亮(A.B.C-Z) / 佐藤流司

渡邉美穂 弓木大和 内河啓介 細見大輔

篠井英介 / 村井國夫

 

ミュージシャン:大嶋吾郎(Vo,G,Syn) YOKAN (Reeds,Brass) GRACE (Dr,Per,Vo)

 

公式サイト:https://nigero-stage.com/

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1月7日より大阪で『「進撃の巨人」-the Musical-』が幕を開ける。

 

2009~2021年に『別冊少年マガジン』(講談社)で連載された諫山創による漫画『進撃の巨人』。コミックス全34巻の発行部数は世界累計11千万部を越え、日本のみならず海外でもセンセーションを起こし、TVアニメ化をはじめ様々なメディアミックスが行われた。

 

連載終了後の現在も絶大な人気を誇るこのダークファンタジー作品をミュージカル化した本作。原作の世界観はどこまで再現するのか、巨人の出現はどのように描くのか...など、多くの関心を呼び、謎のベールに包まれた舞台がいよいよ、白日の下にさらされる。そこで初日前日に行われたゲネプロの模様をレポートする。

 

会場に入ると舞台にはタイトルロゴが描かれた幕が下りており、その向こうに何があるのか客席からはまだ見えない。木々のざわめき、小鳥のさえずり、そして時折、地鳴りのような大きな足音が聞こえてくる。早くも壁の中の世界へと迷い込んだようだ。

 

時は来た。徐々に会場の明かりが落とされ、闇に包まれた。ワイヤーアクションも飛び出すオープニングを経て、物語はウォール・マリアに護られたシガンシナ区から始まる。まだあどけなさを残すエレン・イェーガーとミカサ・アッカーマン、アルミン・アルレルトたちが登場。エレン役の岡宮来夢、ミカサ役の高月彩良、アルミン役の小西詠斗がみずみずしい存在感で惹きつける。エレンを演じた岡宮は巨人に憎悪を募らせ「駆逐してやる」と誓った瞬間、目に獰猛な光を宿し、幼さを脱ぎ捨てる。高月は冷静なミカサを、佇まいで表す。ただそこにいる、という難しい場面も力強く描き切った。小西はあらゆる感情を引っ張り出して、頭脳明晰ゆえに恐怖心も人一倍強いアルミンに姿を重ねる。

 

そんな彼らを筆頭に、原作に忠実なキャラクターが次々と登場する。ビジュアル、衣装、話し方まで、まるで原作から抜け出たようだ。エレンやミカサを幼いころから知るハンネス役の村田充は、ちょっとお茶目な一面も持つ彼を好演。第104期訓練兵団の鬼軍曹、キース・シャーディスを演じる林野健志は195センチという長身を生かし、威圧感をビシビシと放つ。松田凌はリヴァイの冷酷さを表情に影を落として見せるも、優しさを併せ持つ面を声色や仕草で表した。訓練生であるジャン・キルシュタイン役の福澤侑、マルコ・ボット役の泰江和明、コニー・スプリンガー役の中西智也、サシャ・ブラウス役の星波も、怖いもの知らずの若者たちを、若さ特有の高揚感を湛えて熱演した。

 

印象的な場面も幾度となく訪れる。立道梨緒奈演じるハンジ・ゾエから巨人について学ぶシーンでは、机を前にして一列になって椅子に座る訓練生は宗教画のように美しい。訓練生たちの特長を一人一人、紹介する場面ではトランポリンを使ったウオールアクションもあり、サーカスを見ているような面白さもあった。寮内でジャンを中心にダンスするシーンは音楽のライブさながらで、ついつい体がリズムを取る。

 

臨場感を醸成しているのは、Blade Attackersの存在も大きい。彼らは恐怖や喜怒哀楽をアクロバットや様々なダンス、そして力強い歌声で表現し、訴求する。巨人に襲われ、逃げ惑う人々も身体表現で魅せ、ステージ上に大小の渦を作り、混乱を起こした。

 

キャスト達の歌声も注目だ。岡宮は時に力強く、時に優しく、エレンの気持ちを歌に乗せる。小西との掛け合いでは、低音の岡宮と高音の小西のハーモニーが実に心地よく、息もぴったり。幼馴染のエレンとアルミンという関係性を歌声でも丁寧に描いた。高月も凛とした強さが印象的なミカサの心のうちを歌に込める。エレンという光を求めるミカサ、その気持ちが痛いほど伝わってくる。調査兵団第13代団長のエルヴィン・スミスを演じる大野拓朗も圧倒的な存在感を見せた。会場を包み込むような朗々とした歌声に、エルヴィンのカリスマ性が全身からにじみ出ているようだ。

 

100年の沈黙を破り、突如現れた超大型巨人と、人をむさぼり食う巨人たち。それは、最新の映像技術とアナログの技法を用いて魅せた。映像と舞台上のキャストの動きをリンクさせ、巨人の非道ぶりを描く一方で、人力でも超大型巨人の顔や手を動かし、ダイナミズムを発揮する。客席まで巨人の手が届きそうな瞬間もあり、前方の座席では思わず体がのけぞってしまうかもしれない。様々な技法を駆使して表される巨人は、舞台人の叡智の結晶でもあり、息を飲む迫力に圧倒されながらも、そのアイデアや見せ方に感動を覚えた。

 

原作から支持されている各キャラクターの名台詞がどのように発せられるか、どの場面を取り込んでいるのか、目が足りない!と思うほど隅から隅まで見どころばかり。あっという間にエンディングを迎え、ハッと我に返る。エンディングのキャスト全員によるパフォーマンスも躍動感があり、時間を忘れるほどの没入感を満喫した。

 

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本作は19()まで大阪・オリックス劇場で公演後、114()から24()まで東京・日本青年館ホールで上演される。

(取材・文:岩本和子)

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SHOW-ism XI『BERBER RENDEZVOUS』 稽古場レポート

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演出家・小林香が2010年より作り続けているショー・ステージ「SHOW-ism」シリーズの最新作『BERBER RENDEZVOUS』が11月20()から上演される。歌とダンスをふんだんに盛り込みながらも、単なるコンサートあるいはミュージカルでは終わらせず、ストーリー性のあるショーの中で俳優自身の持つ輝きを一層際立たせ、好評を博してきた当シリーズ。第11弾となる今回は、柚希礼音、美弥るりかをはじめとする11名のレギュラーキャストと豪華日替わりゲスト、オールフィメールで挑む新作。内容は"映画愛"に満ち満ちたものになりそうで......11月某日、その稽古場を取材した。

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物語は、新作映画を撮るために11人の女性が集められたところから始まる。パリで撮影のはずが、気付いたらそこはサハラ砂漠。彼女らに課せられたミッションは、2週間で「人間とは何か」をテーマにした映画を1本撮ること。タイトルは『ベルベル・ランデヴー』。報酬は超高額。初対面の者、面識のある者、一方的に銀幕で見ていた者、関係性はそれぞれだがお互いをコードネームで呼び合い、急ごしらえのチームとしてこの仕事に取り掛かることに......

 

この謎めいたミッションの目的は一体何? というハテナもこの物語を貫く大きな軸なのだが、なんと取材日の稽古はその謎が明かされるシーンど真ん中。演出の小林からは「(ネタバレしないように)うまいことレポートお願いしますね!」と、こちらまで重大ミッションを課せられてしまった。おそるおそるレポートを進めてみよう。舞台面にあたる場所にはホリゾント幕になるのだろうか、白い大きな幕が設置されているだけのシンプルなセット。あるいはこれが銀幕になったりもするのかしら......? 「SHOW-ism」シリーズは演劇作品としてはかなり早い段階でプロジェクションマッピングを取り入れたりと、映像の使い方も印象に残るものが多い。そのため想像は膨らむが、答え合わせは本番の楽しみにとっておこう。

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どうやら彼女らが撮る映画は、オムニバスで様々な人間の姿を描いていくものになっている模様。この日、まず稽古にあたっていたのはその短編映画のひとつ、柚希、美弥、原田薫、JKim(この日の稽古は欠席)の4人を中心としたドラマ。祖母、娘、孫の三世代の歴史と思いが紡がれる内容だ。劇中劇シーンは華やかに魅せるものも多いが、ここはずいぶん"芝居"に寄った一幕だ。祖母役の原田が、孫娘役の柚希の背中を送り出すように押す、というアクションひとつとっても、どういう気持ちからその行動をとったのかを原田と小林が丁寧に話し合っている。柚希の演技からも抑えた中に温もりが伝わってくるし、娘役の美弥も愛情あふれる優しい目で母と我が子を見つめている。そんな積み重ねの結果、浮かび上がったのは「人生は美しい」という壮大な、しかしシンプルなテーマ。俳優たちの演技力と美しい音楽の力で、星々と小さな人間を対比させるような美しい情景が見えてくるようで、なんだか稽古の段階なのにすでに泣きたくなるような気持ちになってしまった。一方で、表舞台から退いている柚希演じる"ベラッジョ"が意を決して台詞を口にする、というような、劇中劇の外側の演出もつけられている。本番ではぜひそのあたりも注目してほしい。

 

その後、キャストが勢揃いし、この映画の真の目的が明かされるシーンへ。しんみり、じんわりした前のシーンとはうってかわって、"大・団・円!"といった賑やかさ。キャラクターたちの個性も際立っていて楽しい。柚希の"ベラッジョ"は言葉数は少ないながらもいつのまにか場の中心にいるような求心力があるのがさすがだし、ここまで少しひねた面も見せていた美弥の"ハロッズ"は映画愛を吐露し素直な表情を見せているのがチャーミング。セレブ設定の佐竹莉奈の"オルセー"も普通の女の子らしい明るい笑顔が可愛らしいし、"トキオ"役の鈴木瑛美子は返すたびに変わるコミカルなポーズも楽しく、イマドキの調子の良い女の子といった空気がぴったり。"ソーホー"宮本美季もまたインテリ風な台詞がハマっているし、フラメンコ劇団を率いているという"サグラダ"原田のパワフルさもこの人ならではの魅力だ。小林による"究極の当て書き"とでも言えるような役柄に、俳優たちがさらにその個性と魅力を注ぎ込み輝かせている。慣れ合わない、べたべたしない、しかしたまに意気投合して盛り上がることもある。何よりも仕事はきちんとやる女たち。それはこの登場人物たちの姿でありながら、きっとこのキャストたちの姿でもある。......もう「カッコいい!」としか言いようがない!!

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さらに日替わりゲストが演じる"ノーウェア"の意外な正体も明かされ、ワチャワチャと賑やかな、そして女性らしい華やかな雰囲気も満開に。この日の稽古場には花乃まりあが参加。キュートで愛らしい"ノーウェア"をお茶目に演じていたが、柚希・美弥らとのコミカルな絡みなどはゲストによって内容も変わりそうで、必見だ。しかも、楽しいだけでなく昨今の世界情勢に目を向けるようなテーマ性もうっすら伝わってくるのが小林ワールドだし、映画ファンはそこここに潜む"映画愛"にも、ニヤリとするだろう。取材時は「SHOW-ism」の大きな魅力であるショーシーン、歌とダンスはほとんど見られなかったが、それでもこんなに見どころがいっぱい、キャストの魅力も溢れんばかり。すでに大満足の気分ではあるが、制作チームによれば「作中で撮影されるほかの短編映画には、男性役の柚希が美弥とのデュエットダンスを披露する、フィルム・ノワール風に描いた『常夜灯』や、殺陣を交えながらアクションや激しいダンスで踊り歌う『ハイヒールズ』など、それぞれ全くテイストの異なった5つのオムニバスに仕上がっているので、ぜひいろいろな角度から楽しんでいただけたら」とのこと。完成形を目にするのが楽しみである。

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(取材・文:平野祥恵)

<公演情報>
11/20(日)~12/5(月) シアタークリエ (東京都)

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『BERBER RENDEZVOUS』(ベルベル・ランデヴー)メイキング映像

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役者としてデビュー10周年を迎えた木村達成。2022年を振り返っても『SLAPSTICKS』、『四月は君の嘘』、『血の婚礼』と舞台に立ち続け、現在は11月18日(金)から紀伊國屋ホールで開幕する『管理人』の稽古真っ最中だ。年末の12月29日(木)、30日(金)には自身の10周年コンサートも開催される。

木村達成の「現在地」をざっくばらんに語ってもらった。

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ーー『管理人』のお稽古はいかがですか。

木村達成(以下、木村)」:最初に『管理人』に関するインタビューを受けたときは「すごく難解で......」と言っていたんですけど、実は紐解いていくと、人間らしいなと感じる部分もあって。不条理劇ではあるけど、「その感情あるよね」と思える瞬間が思いの外多かったんですよね。

 

ーーいい意味でギャップがあったわけですね。取り組みやすいという感覚ですか。

木村:いや、何だろうな......この作品は物事が大きく動くわけではないんですけど、例えば、余計なことを言ってみたりするんですよね。そのことにあんまり深い意味はないのだけれども、そういう感情に至るときってあるよね、と。そういうことがたくさん描かれている。とてつもない人間らしさが詰まっているなという印象です。

 

ーー3人芝居ということで、その分濃密なお稽古なのではないですか。

木村:そうですね。僕は前半はなかなか出てこないので、デーヴィス(演:イッセー尾形)とアストン(演:入野自由)、そして(演出の)小川(絵梨子)さんの会話をずっと聞いていて、一緒に物語を読み解いている最中です。

 

ーー小川さんの演出は初めてですよね。印象などがあればぜひ教えてください。

木村:とてもわかりやすく説明してくださいます。まだ立って稽古をしているわけではないので、これからどうなるかは分からないですが、親身に向き合ってくださる素敵な演出家だなと思いました。

 

ーー本読みの時間を長めにとっていらっしゃるんですね。

木村:今は本読みをやらせていただいてます。翻訳されたものと原文を照らし合わせながら、翻訳をされてる小田島(創志)さんと、小川さんと、役者のみんなで話し合って、「この言い方はこうした方が適切なのではないか」といった作業をしています。

 

ーー貴重な時間ですね。

木村:そうですね。海外の戯曲をやる上では、やはり翻訳家の方も交えて、意味の解釈を紐解いていくことはすごく大切な作業だと思うので、有意義な時間を過ごしています。

 

ーー演じられるミック役に関してはどうでしょうか。「こういう役にしていきたい」など、構想があれば。

木村:兄に対する思いやデーヴィスを利用する気持ちなど、言葉にしているセリフの中ではなかなか読み取れないものがたくさんあるんです。それらを、言葉だけではない、何かしらの表現でお客様に伝えることができれば、この作品はもっと深みも増すと思います。

 

ーー「不条理劇」自体はどうでしょう。ご自身の中のイメージなど、不条理劇というジャンルに対して思うことはありますか。

木村:今の世の中「不条理」だらけですし、その言葉だけを聞くと、あんまり観る気持ちにはならないと思うんです(笑)。自分も「不条理劇」はあまり聞いたことがなかったんですけど、まぁ、あえて知らない方が得なのかなとも思って。知っていくと、どんどんドツボにはまってしまう気がするので、あまり深く考えず、いい意味で能天気に頑張っていきたいと思います。

 

ーー続いて10周年コンサートについてもお話を伺いたいと思います。まずは、10周年を迎えたお気持ちを教えてください。

木村:もう10年か。長いようで早かったし、早いようで長かったという感じですね。舞台作品に熱中していると、3ヶ月なんてあっという間に過ぎてしまう。それだけ濃密な3ヶ月を過ごしているにも関わらず、あっという間ってちょっと残念(笑)。集中しすぎてあっという間に終わることが続くと、1年ってこんなに短かったんだと思い知ります。

若い頃はいろいろな初体験を重ねていくので、1年がすごく長く感じる。だから僕もこれからもたくさん初めての体験を重ねて、1年をもっともっと長く活用していきたいなと思うんです。「慣れ」が出てきてしまいそうなときもあるけれど、初めましての人と初めての会話を新鮮に楽しんでいける人間でありたいですね。

 

ーー明かせる範囲で構いませんが、コンサートの構想を教えてください。

木村:もちろん皆さまからリクエストがあった曲も照らし合わせながら、盛り上がるコンサートにしたいですね。「ミュージカル俳優」というのではなく、「役者・木村達成が歌う歌」でありたいんですよね。

綺麗に歌うところもあるかもしれないし、ソウルな感じで歌うところもあるかもしれないんですけど、僕が10周年のコンサートに歌う歌は、一節一節の歌詞に意味があって、なぜ今ここで僕がこの曲を歌うのかということも考えてもらえるようなコンサートになる気がしています。

 

ーー楽しみですね。ちなみに副題の「Alphabet Knee Attack」はご自身で作られたんですか。

木村:はい、自分でつけました。

 

ーーどういう思いを込めたのですか。

木村:理由はあんまり明かしていないので(笑)、いろいろと考察なさってください。

ーーぱっとひらめいた感じですか?それもいろいろ悩まれた?

木村:いや、結構前からこの言葉は自分の中にあって。ダサかっこいい感じというか、中2病みたいな感じが自分らしいかなと思ったんですよね。別に「ドルフィン・アタック」でもよかったんですよ?(笑)でも「Alphabet Knee Attack」は、ちょっと擦れている感じもあるし、キャッチーだし、いいかなと。

 

ーーゲストも豪華です。12月29日は加藤和樹さん。何度も共演経験がある加藤さんの印象を教えてください。

木村:初めてご一緒した作品で彼のことを分かったような気ではいたんですけど、全然そんなことはなくて。また別の作品で出会うと、最初に会ったのとは違う加藤和樹さんがいて。どんどん惚れていきますよ。僕なんかがコンサートをできるとは思ってなかったので、ちょっと手を貸してくださらないかな〜と思って、お声がけしました。

ーー木村さんと加藤さんは仲がいいイメージですが、いろいろ相談をされることも?

木村:そうですね。兄貴ですね。初日にいつもお水をいただくんですけど、「初日に加藤和樹からもらうお水」は、僕の中で結構大切なものです。

 

ーー飲んでパワーが出てくる......みたいな(笑)。

木村:「和樹水」は普通の水なんですけどね(笑)。かーくん(※加藤和樹の愛称)からもらったお水は、特別です。

 

ーー12月30日のゲストは柿澤勇人さん。柿澤さんについてはいかがでしょうか?

木村:かっきーさん(※柿澤勇人の愛称)は、共演が現実には叶わなかったんですけど.....(注:2020年4月1日〜5月31日に上演する予定だったブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』Season3。柿澤はトニー役、木村はリフ役で出演する予定だったが、緊急事態宣言の影響で公演中止となった)。でも当時はインタビューを一緒に受けたり、稽古を一緒にしていたりしました。話を聞いていて、格好いいなと思うんです。考え方が近いところもあって、信じられる人だなと思っています。

舞台での共演が果たせてない分、このコンサートで一緒に何かを作ることができるのであれば、僕も嬉しい。そう思って、出演をお願いしました。

 

ーー2022年ももうすぐ終わりますが、木村さんにとってどんな1年でしたか。

木村:とんでもないような汗をかきながら、ひたむきに走った2022年でした。もちろんその中には、上を向いて太陽の光を浴びながら走ったこともあったし、逆に下を向きながら走ったこともあった。もう駄目になったなという瞬間もあった。

でもそれは、この2022年だけではなく、デビューしたときからずっとそう。走り続けて、やっと花が咲いてきている気がするんです。まだまだこの花を枯らすつもりはないです。ここからとんでもない......花園を作るつもりです(笑)

 

ーー今年もいろいろな作品に出演されましたが、役幅も広かったですね。

木村:同じような役をやらせてもらえないんですよね(笑)。普通はその人がはまった役柄をやり続けて、やっと他の役に挑戦する切符を渡されるじゃないですか。でも、僕は突き詰める前に、いろいろな行き先の切符を渡されて、それにホイホイ乗ってきたので、固定した自分の得意技があんまりないと感じています。

......でもまぁそっち方が面白いっすよね(笑)。僕はそっちの生き方でよかったなと思ってます。

 

ーーぜひ来年に向けての抱負を教えてください。

木村:来年のことを全く考えてなかった(笑)。正直僕は、お仕事の目標みたいなものはあまりないんですね。向上心はもちろんあるし、今のままじゃ駄目だと思うし、もっとやらなきゃいけないなと思うし、今できる限りのことをやっているんですけど、「こういう作品に出たい」というのはあまりなくて。

来年も上を見ながら走るときもあるし、下を見ながら走るときもあるんだろうな。止まりたくなるときもあるかもしれないけど、完全には止まらないで、徐行で進んでいる状態を保てたらいいですよね。それで楽しく笑っていられる環境が自分の周りにあって、おいしくお酒を飲めたらいいなと思います。

 

ーー最後に、ファンの皆さまにメッセージをお願いします!

木村:『管理人』に関しては、観たらすごく引き込まれると思いますね。いろいろな解釈を生む作品だと思います。僕らも1パターンしか回収できないようなパターンではやらないし、本当に見応えある舞台になると思うので、皆さまぜひ劇場で観に来てください。

コンサートに関しては、自分自身の初コンサートではあるんですけど、実はこのコンサートの前にホリプロのコンサートに出てしまうんですね(笑)。でもホリプロのコンサートは歌っても数曲だけなので、慣れることもないでしょう。なので、10周年のコンサートはすごく新鮮な気持ちで迎えられると思う。

お客様も多分当日は緊張すると思うんですけど、一番は楽しむことですから。一緒に木村達成と10周年を迎えたことの喜びを爆発させようぜ!の会なので(笑)。あんまり緊張しないで、自分の殻を破って、全力で楽しんでほしいですね。

取材・文:五月女菜穂

【公演情報】

<「管理人/CARE TAKER」>
11/18(金)~11/29(火) 紀伊国屋ホール(東京都)

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<「木村達成 10周年コンサート -Alphabet Knee Attack-」>

12/29(木) 17:30開場/18:00開演 ヒューリックホール東京

12/30(金) 12:30開場/13:00開演 ヒューリックホール東京

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俳優の大倉孝二、脚本家・演出家ブルー&スカイが共同主宰するユニット「ジョンソン&ジャクソン」。結成の2014年から通算4回目のユニット公演となる今回は、佐藤真弓、ノゾエ征爾、渡辺真起子、というこの上なく力強い俳優陣を迎え、2022年11月9日、ユニットでは初となる下北沢 ザ・スズナリで初日を迎えた。


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撮影:宮本雅通

渡辺真起子扮する一流スターの"ユキコ"が、ある出来事をきっかけに、25年前同じ夢を抱いていたかつての仲間たちに会いにゆくことになるのだが...。
「くだらない、何の役にもたたない芝居作りを澄み切った思いで目指す」と標榜するジョンソン&ジャクソン。

150人に満たない間近な空間で、確かな技術を持つ俳優陣が「これでもか」と畳み掛けるくだらなさを、ひたすら浴び、ただただ笑う。
ジョンソン&ジャクソンにしかない不思議な味わいと、くだらなさと、切なさを久々に体感し、その絶妙な空気感に、唯一無二の尊ささえ感じるほどだ。
劇場にはただ笑いに来れば良い。
観客は贅沢な空間を満喫するだろう。

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撮影:宮本雅通

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撮影:宮本雅通

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撮影:宮本雅通

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撮影:宮本雅通

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撮影:宮本雅通

初日を迎え、ジョンソン&ジャクソン主宰の大倉孝二、ブルー&スカイからメッセージが届いた。

<大倉孝二>
いつも通り、たいした事はしてませんが、息抜きにいらして頂けましたらと思います。
歳をとっても相変わらずバカなことやってる感じですが、よりそこで味わい深くなっていれば、そう感じて頂ければ幸いです。
今回ご参加頂いたキャストの皆さん、こんなに分からないものに本当に一生懸命、真面目に取り組んで下さってるので、皆さんの活躍も見に、是非ザ・スズナリに足を運んで頂けたらと思います。

<ブルー&スカイ>
何とか無事初日が開き、ここまで楽しい初日が迎えられて本当にありがたいし、良かったです。
今までのJ&Jの中でも、今回は分かりづらいくだらなさを沢山入れてみましたが、客演の皆さんは最後まで、どうしたら面白くなるのか一緒に協力して作って下さいました。
大倉さんと僕が分担して脚本を書くスタイルは変わりませんが、以前は大倉さんから来た部分に僕がちょこちょこ笑いどころを加えたりしていましたが、今回は大倉さんから貰ったものがそのまま面白いなと思ってほとんど手を入れませんでした。脚本作りは2人とも、今までで一番苦しみましたね。

公演情報の詳細は、キューブHP(http://www.cubeinc.co.jp)にて確認。

ジョンソン&ジャクソン『どうやらビターソウル』 
【東京公演】 2022年11月9日(水)〜11月20日(日)  下北沢ザ・スズナリ
【大阪公演】 11月25日(金)〜11月27日(日)  ABCホール
<東京・大阪共通>
※開場は開演の30分前です。未就学児童の入場はご遠慮ください。
※車椅子でのご来場はチケットをご購入の上、来場日の3日前(土日祝は除く)までにキューブにご連絡ください。
※新型コロナウイルス感染拡大予防のため、ご来場前に必ずキューブHPにてご観劇に際してのお願いをご確認く
ださい。
作・演出 ジョンソン&ジャクソン
出演 大倉孝二 ブルー&スカイ ノゾエ征爾 佐藤真弓 渡辺真起子
宣伝イラスト:大倉孝二 宣伝美術:坂村健次
大阪公演協力:リコモーション
企画・製作:キューブ
■主催・お問い合わせ:キューブ 03-5485-2252(平日12:00〜17:00)
公演の最新情報はこちら→ http://www.cubeinc.co.jp

チケット情報はこちら

誇張ものまねを筆頭に、ぶっ飛んだ芸でお茶の間に元気を与えるハリウッドザコシショウ。彼が行う年に一度の単独ライブは、漫談・コント・ものまね30連発で構成されている。(テーマソン
グやエンディングソング&映像まで、全て手作り!)
30連発と聞いて驚く方も多いと思うが、11月8日開催の『ハリウッドザコシショウのものまね100連発ライブ!SEASON4収録ライブ』では、タイトルの通り、ものまねを100個披露。驚愕の数である。
ストイックにお笑いに取り組む、芸歴29年のピン芸人。常にアンテナを張っている彼に、仕事とプライベートの境目はあるのだろうか? なぜYouTubeの毎日投稿を12年も続けられるのだろう
か? 後輩と指しあっている"嫌な気持ち将棋"とは......? ハリウッドザコシショウの信念が浮き彫りなったインタビューを公開!

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──幅広いジャンルの時事問題をネタにされていますが、情報収集はどのように?

 

芸人やから色々アンテナ張ってますけど、ニュースを観る時間ってのはそんなにないんですよ。1年間ずっと自分なりにメモを取っていて、その中から年に1回の単独ライブのネタを考えるから、気が付いたらメモをする習性はあるかもね。

 

──ご結婚してお子さんもいらっしゃいますし、全ての時間を自分のためだけに使えるわけではないですよね。

 

自分のことをやるのは家族が寝てからですね。この間も、子供(6歳になる女の子の双子)が「お笑いショーをやる!」って言ってきて。僕が普段作業してる地下室を舞台に見立てて、照明まで焚いて、「"みんなの憧れ、ハリウッドザコシショウさんが出てきます!"って言ったらパパ出てきて」って言われて、2人でショーの司会してるんですよ。どこからそんな知識を得たのかって、ビックリしましたね。

 

──どう対応を?

 

付き合いましたよ、「どうも〜」っ言って(笑)。しつこいんですよ!1時間ぐらいはいいんですけど、2、3時間はもう苦痛っすよ(苦笑)ひと通り終わったら「もう1回」って言われて、舞台を暗転されました(笑)。

 

──お子さんは、お父さんのご活躍を認識されているんですね。

 

テレビにちらっと映るのは観ていて、今は「パパだ〜」みたいな感じで言ってるけど、中学・高校になったら、裸芸人だし絶対毛嫌いされるでしょ?それが嫌ですね。周りの皆にもたぶんイジられるじゃないですか。

 

──ザコシさんは、もはやイジられる立場やキャラではない気がします。

 

『ドキュメンタル』も『R-1』も一位獲ってるからイジメられないのかな?でも、Twitterでエゴサーチすると「ザコシ気持ち悪い」とか「ザコシの腹はありえない」とか書かれてますよ(笑)。

 

──エゴサーチされているのが意外です。

 

めちゃくちゃする。世間の声を気にしなくなるのは、もう老害じゃないですか。何を言われても僕は何とも思わないですけど、ただ、量を気にしますね。テレビに出ても反応がなくなったら潮時かなって。世間に対して何にも波紋を起こせなくなるということですから。

 

──単独ライブではアンチツイートすらも笑いに変えていますが、傷心することはないですか?

 

マジでムカつくようなことがあれば、ずっと心に刻みます。傷つくというよりも、いつか仕返ししてやろうって。「どう嫌な気持ちにさせるか」って気持ちで動いてるから、僕は(笑)。後輩で、だーりんずの松本りんすっていう大無礼な奴がいるんですけど、僕が売れてない時から"嫌な気持ち将棋"の先手を打ってきてたんですよ。よくよく思い返してみたら、こいつムカつくなと。でも、ただ怒るとそれだけで終わっちゃうから、今はこの溜まった感情を、メディアを通して仕返ししています(笑)。企画を立てて動画であげて、全部お笑いとして将棋の後手を打っているんです。

 

──後輩の名前をメディアで出すというのは、優しさと捉えることもできますよね。

 

考えようによってはそうだけど、僕かなりしつこいから、あっちは本当に嫌な気持ちになってますよ(笑)。知名度は上がるけど、大無礼な奴として有名になってますから、作戦通りですよ(笑)。この間も、あいつが金ないからいい飯を奢ったのに、飲み終わったら「いや〜、長かったっすね」って言いやがって(笑)。だから帰りに動画撮って、嫌な気持ちにさせました。イジると面白くなる要素がたくさんあるのにいい子ちゃんぶるから、自分の持ち味を出せてないんですよね。もっと恥をかいて損しろと。損しないとおもろなんないから。カッコ悪いのを隠したがるサマも面白いから、そういうの世間に届けたいっていうのがありますね。

 

──りんすさんと飲まれている時のザコシさんのモチベーションは、プライベート?それとも、ネタ探しの感覚で?

 

ネタ探し(笑)。

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──人生において、プライベートと仕事の境目はありますか?

 

あんまりないですね。結婚する前は、好きな女の子とデートする時とかはお笑いのこと考えずにいたけど、今はそれが全くないから。芸人ってやっぱ、モテたいとかカッコつけたいとか思うと面白さが半減するんですよね。そのほうが伸びるって人もいるけど、稀ですわ。 異性のことを考えずにただただ面白いことを突き詰めてる舞台のほうが、僕は絶対面白いと思いますよ。

 

──境目がない中で、何をしている時が一番心が休まりますか?

 

動画編集かもしれないな。自分の好きな空間で、好きな映像を編集してる時はすごく楽しいっすよ。後輩集めて、思い通りに動いてもらって動画撮って、自分で笑いたい。そのついでにYouTubeにあげてるから趣味感覚。これは仕事じゃないから、つまらない動画をあげても文句言うなよって前提でやっています。お金を取るコンテンツだったら、絶対に同じ笑いのクオリティのを撮りますけど、そうじゃないからね。

 

──2009年から毎日ご自身でYouTube投稿されていますが、続けるほうが心が安定しますか?

 

やってないと不安なのかもしれないです。「毎日あげる」って言ったのに、それを守らないのが気持ち悪いんですよ。何事も、やるって言ったのにやらない人って結構いるじゃないですか。三日坊主だったり、どんどん上げる回数が減って終いには辞めちゃう人なんて、もう素人ですよ。そこがプロとアマの境目だと思うんです。プロだったら、最終回までずっとやり通さなきゃダメですよ。

 

──誇張モノマネをされている時、通常とはかけ離れたテンションですが、本来の開放している感覚なのか、それとも、もう1人の自分を演じている感覚なのでしょうか?

 

プロレスラーの武藤敬司さんとグレート・ムタみたいな感じじゃないですか?本名の中澤滋紀に、ハリウッドザコシショウが乗り移るって感覚が近いかもしれない。古いドラマですけど『ヤヌスの鏡』みたいな感じで、2面性があるという。

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──ファンはザコシさんの様々な顔を知っていますが、なんと褒められるのが一番嬉しいですか?

 

別に褒めるとかいらないですよ。好きな芸人として名前を挙げてもらえれば本望です。もっと認めてもらいたいとかない。僕が出てるテレビ絶対見ろよ!とも思いませんし。『さんまのお笑い向上委員会』みたいな番組もあれば、暴れていないのもあるし、全部あのテンションでやるのも無理ですからね。自分の性に合っているのは、アイドルとか俳優の好きな芸人枠として「ご本人が来ています!」みたいな感じで出ていくパターンかな。

 

──ご自身の位置を確立するためには紆余曲折があったかと思います。

 

もうね、自分が面白いと思ったことをやるしか、自分の火力の強さが出せないんですよ。「ああ、これ面白くないな」って思いながらやると、出力できない。だから、やりたい仕事しかやらない努力をしているというかね。

 

──その努力というのは?

 

それこそ、『R-1』の優勝とか。 あれで、こういう芸人っていうのが世間に広まったじゃないですか。それが広まらないと、やりたくない仕事も入ってくるんですよ。やっぱり、やりたいことをやるためには、何か一個結果を残さないと。音楽で言うところのヒット曲。そういうのがあることによって、自分がやりたい仕事をやっても文句を言われなくなる。売れなきゃ、自分のやりたいことだけができるようには絶対にならない。どの世界でも、期間を設けてもらって結果を出さないとクビになるからね。

 

■ハリウッドザコシショウ/1974年生まれ。静岡県出身。1992年に大阪NSCに11期生として入学し「G★MENS」として活動。同期は陣内智則、中川家、ケンドーコバヤシなど。2002年にコンビ解散、ピン芸人として活動を始める。「R-1ぐらんぷり2016」ではノーシードから優勝。アマゾンプライムで配信中の番組「ドキュメンタル」では史上初のV3達成。11月8日に「ハリウッドザコシショウのものまね100連発ライブ!SEASON4収録ライブ」を開催。

詳細は、https://w.pia.jp/t/zakoshisyoh/ で確認を。

DVD「ハリウッドザコシショウのものまね100連発ライブ!SEASON3」好評発売中。

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チケット情報はこちら

これまで67か国以上で上演され、日本では1967年、東宝創立35周年記念東宝ミュージカル特別公演として菊田一夫が製作を手掛けた歴史ある公演「ミュージカル『The Fantasticks』」。

55年の時を経て、新演出により新たに上演が決定いたしました。『シラノ・ド・ベルジュラック』などで知られる仏劇作家エドモン・ロスタンの韻文劇『レ・ロマネスク』をもとに、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』『真夏の夜の夢』のエッセンスを織り交ぜたストーリーはロマンティックかつ普遍的で、誰もが経験する恋と人生の物語

演出を手がけるのは、東宝ミュージカルの次世代を担う実力派演出家 上田一豪

米ミュージカル市場最長連続上演を記録し、いまもなお世界中で愛されつ続ける名作が装いを新たに上演となります。

そんな新しい「ミュージカル『The Fantasticks』」世界を作り出すキャストの皆さんよりメッセージが届きました!

早速ですが、第8回目にメッセージを寄せていただいたのは、、、

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エル・ガヨ役を演じます、愛月ひかるさん! 

――Q1.今回の公演、ミュージカル「The Fantasticks」の魅力・見どころを教えてください。

素晴らしい楽曲の数々。誰もが人生の中で味わった事がある出来事が出てくると思うので、その時の事を思い出したり感情移入して観れる所。

――Q2. 稽古をしてみて感じること、稽古中のエピソード等を具体的に教えてください。

今回は女性である私がエル・ガヨを演じるので、性別を越えて、人としての魅力にあふれた人物にしたいです。

――Q3.自分の役以外でやってみたい役は?

宝塚を退団後、初めてのお芝居なのでお稽古場も緊張していたのですが、共演者の皆様とディスカッションしながら作っていく過程はどこの世界でも同じなんだなという安心感とワクワク感で日々過ごしています。

読者の方へメッセージをお願いいたします。

今回、この歴史ある作品に出演できる事本当に嬉しく思っております。退団後初めてのミュージカルですが、宝塚時代の男役とは又違った魅力を皆さまに味わっていただけるようにエルガヨとしての人生を生きたいと思います。ぜひ劇場に足をお運びください。            

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<公演情報>
10/23(日)~11/14(月) シアタークリエ (東京都)

https://www.tohostage.com/fantasticks/index.html

チケット情報はこちら

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これまで67か国以上で上演され、日本では1967年、東宝創立35周年記念東宝ミュージカル特別公演として菊田一夫が製作を手掛けた歴史ある公演「ミュージカル『The Fantasticks』」。

55年の時を経て、新演出により新たに上演が決定いたしました。『シラノ・ド・ベルジュラック』などで知られる仏劇作家エドモン・ロスタンの韻文劇『レ・ロマネスク』をもとに、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』『真夏の夜の夢』のエッセンスを織り交ぜたストーリーはロマンティックかつ普遍的で、誰もが経験する恋と人生の物語

演出を手がけるのは、東宝ミュージカルの次世代を担う実力派演出家 上田一豪

米ミュージカル市場最長連続上演を記録し、いまもなお世界中で愛されつ続ける名作が装いを新たに上演となります。

そんな新しい「ミュージカル『The Fantasticks』」世界を作り出すキャストの皆さんよりメッセージが届きました!

早速ですが、第7回目にメッセージを寄せていただいたのは、、、

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モーティマー役を演じます、山根良顕さん! 

――Q1.稽古をしてみて感じること、稽古中のエピソード等を具体的に教えてください。

みなさんがプロフェッショナルなので、演出とキャストが話して流れが出来ていくのを見たり、舞台のセットが出来たり、ピアノや歌を聞いていたりするのが、すごく贅沢だなぁと思っています。

――Q2. 自分の役以外でやってみたい役は?

自分以外の役ではベロミーをやってみたいと思います。見ていて簡単な役ではないと思うのですが、自分にも娘がいるので一番共感して役に入りやすいんじゃないかな?と思うからベロミーですね。

――Q3.本作の紹介に「これは、誰もが経験する恋と、人生の、ほろ苦い物語。」とありますが、ご自身の中でほろ苦い思い出などありましたらお聞かせください。

大学生の頃付き合っていた彼女とキャンプに行こうとなったのに免許を持っていなかったので、キャンプ場まで父親に車で彼女と自分を連れて行ってもらって、帰りにまた車で迎えに来てもらいました。その後程なく別れました。

読者の方へメッセージをお願いいたします。

音楽もいいし、セットも可愛くて、ストーリーも少し不思議な話だけど誰もが経験するような青春の楽しい、恥ずかしい、悔しい感じを思い出す、僕みたいなミュージカル初心者でも楽しめるし、玄人も楽しめる作品だと思います。是非観に来てください!

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<公演情報>
10/23(日)~11/14(月) シアタークリエ (東京都)

https://www.tohostage.com/fantasticks/index.html

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これまで67か国以上で上演され、日本では1967年、東宝創立35周年記念東宝ミュージカル特別公演として菊田一夫が製作を手掛けた歴史ある公演「ミュージカル『The Fantasticks』」。

55年の時を経て、新演出により新たに上演が決定いたしました。『シラノ・ド・ベルジュラック』などで知られる仏劇作家エドモン・ロスタンの韻文劇『レ・ロマネスク』をもとに、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』『真夏の夜の夢』のエッセンスを織り交ぜたストーリーはロマンティックかつ普遍的で、誰もが経験する恋と人生の物語

演出を手がけるのは、東宝ミュージカルの次世代を担う実力派演出家 上田一豪

米ミュージカル市場最長連続上演を記録し、いまもなお世界中で愛されつ続ける名作が装いを新たに上演となります。

そんな新しい「ミュージカル『The Fantasticks』」世界を作り出すキャストの皆さんよりメッセージが届きました!

早速ですが、第6回目にメッセージを寄せていただいたのは、、、

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ヘンリー役を演じます、青山達三さん! 

――Q1.今回の公演、ミュージカル「The Fantasticks」の魅力・見どころを教えてください。

やっぱり生きてるっていいなぁ、と感じさせてくれるミュージカル。

――Q2. ご自身の役どころ・キャラクターを一言で表すと!

意気に感じて、今を生きる、老俳優。

――Q3.稽古をしてみて感じること、稽古中のエピソード等を具体的に教えてください。

世の中が大変な時ですが、スタッフ・キャストが一心不乱に、お客様に楽しんでいただける舞台を生み出そうと頑張ることは、       ささやかながら、意味があるんじゃないかと感じています。

読者の方へメッセージをお願いいたします。

作品が書かれた当時とは、今日の生活スタイルは随分変わってしまっていますが、                           親子の情、男女の情は、やはりあまり変わっていないのではないかと思うのですが、どうでしょうか?

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<公演情報>
10/23(日)~11/14(月) シアタークリエ (東京都)

https://www.tohostage.com/fantasticks/index.html

チケット情報はこちら

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これまで67か国以上で上演され、日本では1967年、東宝創立35周年記念東宝ミュージカル特別公演として菊田一夫が製作を手掛けた歴史ある公演「ミュージカル『The Fantasticks』」。

55年の時を経て、新演出により新たに上演が決定いたしました。『シラノ・ド・ベルジュラック』などで知られる仏劇作家エドモン・ロスタンの韻文劇『レ・ロマネスク』をもとに、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』『真夏の夜の夢』のエッセンスを織り交ぜたストーリーはロマンティックかつ普遍的で、誰もが経験する恋と人生の物語

演出を手がけるのは、東宝ミュージカルの次世代を担う実力派演出家 上田一豪

米ミュージカル市場最長連続上演を記録し、いまもなお世界中で愛されつ続ける名作が装いを新たに上演となります。

そんな新しい「ミュージカル『The Fantasticks』」世界を作り出すキャストの皆さんよりメッセージが届きました!

早速ですが、第5回目にメッセージを寄せていただいたのは、、、

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ミュート(黙者)役を演じます、植田崇幸さん! 

――Q1.ご自身の役どころ・キャラクターを一言で表すと!

私が演じますミュートは劇中で一切喋ったり歌ったりしないのですが、その分動きや表情で作品に彩りを加え、他の登場人物達と事あるごとに関わっていきますので、是非その点にもご注目ください。

――Q2. 稽古をしてみて感じること、稽古中のエピソード等を具体的に教えてください。

皆様優しい方ばかりです。
特に今拓哉さんが色んな方と積極的に話しておられ、休憩中の雰囲気が明るいです。
このご時世、なかなか飲みに行けないので皆様と積極的にコミュニケーションをとっていきたいです。

――Q3.自分の役以外でやってみたい役は?

今回ヘンリー役を演じられる青山達三さんに憧れています。
誰よりも早く稽古場に入り、入念に準備され、稽古では大変エネルギッシュにお芝居をされている姿を見て、自分もいつの日かヘンリーを演じられれば!と思っています。
最後に、読者の方へメッセージをお願いいたします。
どの楽曲も大変に旋律が美しく、思わず身体が動き出してしまうような曲も沢山ありますので、是非楽曲にも注目してご覧ください。
思わず笑ってしまうような愉快なシーンや、ホロっときてしまうシーンありの、心温まるミュージカル作品です。

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<公演情報>
10/23(日)~11/14(月) シアタークリエ (東京都)

https://www.tohostage.com/fantasticks/index.html

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