松居大悟✖️結城洋平が語る、ゴジゲン『かえりにち』

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ゴジゲンは2008年に慶應義塾大学演劇サークル"創像工房 in front of."内で結成。年2~3回の上演を精力的に行っていたが、11年『極めてやわらかい道』の後、3年間の活動休止。14年『ごきげんさマイポレンド』より活動再開し、17年に初の3都市公演『くれなずめ』で2000人以上を動員。21年に『くれなずめ』は映画化もされた。今回の『かえりにち』では、劇団員以外に神谷大輔と結城洋平をキャストに迎え、東京、北九州、京都公演を実施する。主宰の松居と、出演する結城に話をたっぷりと聞いた。

ーー作品の仕上がりはどうですか?

松居:物語がないというか、何も起きない物語を作ろうと思っていて。最初にコロナ禍が始まった頃は、できるだけコメディをつくろう、前向きになるようにとか、思っていたんですけど、それも結構長く続いていくと、なんか世の中の方が殺伐としていたり、なんかもう嘘みたいなことばかりいっぱい起きたりする。

だから、劇の中ぐらいは、何も起きなくていいんじゃないかと思って。その脚本はなかなか難しくて、結構苦戦しましたね。劇の中ではみんな思いつきで喋っているような感じになったらいいなと思うけど、90分劇場に座って、観てもらった時の満足感みたいなものも出したいという。

めっちゃ難しいことを個人的にはやっているつもりなんですけど、難しくないように見えるんです(笑)。

ーー「普通」や「日常」を舞台に乗せる、その難しさ。

松居:そうです。これまでは何かしら拠り所があったんですよ。例えば、解散を発表するかしないか、この余興は結局やるのだろうか、とか。何かに向かって物語が進んでいたんですが、今回の芝居は「帰らない」だけなので。なぜ帰らないのかすらもどうでも良くなってくる話です。

結城:松居さんがどういうことをやりたいんだろうと僕も劇団員の皆さんも思っていたと思うんですけど、最初の稽古のときに「背骨を抜きたい」という話をしていて。あ、でも確かにそういう劇って観たことないなというのが一番最初の印象でしたね。

正直、物語を作らないなんて、何をやるのかなと思ったんですけど(笑)、段々本が出来て、形になってきて、ああ、なんとなくこういう事なのかなというのは感じています。

松居:1ヶ月ちょっとの稽古の中で、メンバーや結城くん、神谷くんと話し合って、具現化させてもらえたような感じもしています。台本が遅くなって申し訳ないけど......(笑)。

結城:(笑)。でも、僕はこれをお客さんとして観たいなと思うな。何も起こらないのを観て、どういう風に思うんだろうとわくわくがありますよね。

松居:ゴジゲンは毎回、「これ面白いのか?」みたいな芝居が多いんですけど、今回は特にそうなる気がします。

ーーそういう意味だと、ゴジゲンらしさもあるということですよね。

松居:うんうん。この人たちはどこに連れて行ってくれるんだろう的なのは、ある、はず。

ーーその中で、結城さんは野々宮というタクシー運転手の役を演じられます。脚本を読むと、ずっと一人で喋っていますよね(笑)

松居:結城くんも神谷くんも知り合って10年ぐらいになるんですけど、その人の人間性を僕は知っているんですけど、その人間性を表すというよりも、僕の知っている結城くんと神谷くんに「こういう立ち位置でいてほしい」という思いが結構あって。掴めそうで掴めない感じで、変な哲学を持っていそうだなというところ。

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ーー結城さんの人間性というよりも、役者としてどんな結城さんを観たいかを描いた。

松居:そう。結城洋平という役者に板の上に立ってもらうなら、こういう人を見てみたいという感じです。

ーー結城さんは実際に演じられてどうですか?

結城:やってみて......めちゃくちゃしっくりくる(笑)。松居さんが僕のことを考えて書いてくれてるからだと思うんですけど、すごくやっていて楽しい。普段は別の公演とかで台本をもらったら「ああ、セリフを覚えなきゃ、話を理解しなくては」と思うんですけど、今回はそうじゃなくて、楽しいから読んでいるという感じが、ものすごくありますね。

松居:昨日もそうだったんですけど、結城くんが台本を読みながらすごく笑ってくれるんです。面白いっすね、みたいな。それが嬉しくてね。劇団員はそんなことしてくれないから(笑)

結城:僕もなんかただのファンみたいになっている部分もあるんですけど、ゴジゲンの人たちが松居さんの本を初めて読んでいる姿を、1番近いところで見られるというのは、めちゃくちゃ贅沢。ただの掛け合いだけでもすごく面白いんですよ。

ーー松居さんと結城さんが最初に出会ったのは?

松居:ワークショップ、ですね。

結城:僕がまだそのとき劇団に入っていて、当時の制作の子が「こんな面白い劇団あるよ、一度ワークショップ受けてみたら?」というので、お邪魔して、お話ししたのが初めてですね。

松居:活動を休止する前はね、ワークショップを結構やっていたんですよ。新しい人と出会いたいと思って。

ーーそうなんですね。当時のことは覚えていらっしゃいますか?

松居:横顔はすごい覚えています(笑)

結城:ワークショップが終わった後、電車で一緒に帰りましたよね?

松居:その時、忍者の話していたよね。僕、芝居の印象というよりも、結城くんという男は本当に忍者になりたいと思っているという印象ですね。

結城:そう、本当に忍者になりたくて。山を探して、いつ籠もってもいいような心積もりではいます。

松居:忍者は隠密なので、もしかしたらもう忍者かもしれない。

結城:あえて世の中で、表に出ることで身を隠すというやり方かもしれない。

松居:こんな感じで、人当たりいいし、全然普通に話せるのに、なんかちょっと変じゃないですか。それが結城くんのイメージですね。

ーー結城さんからご覧になって松居さんの当時の印象は。

結城:初めてゴジゲンを観たのは、2009年の『たぶん犯人は父』だったんですが、僕は演劇を始めたばかりだったので、なんて面白い劇があるんだというのが1番最初の印象。松居さんと話してても、演劇お兄さんっていう感じですね(笑)

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ーー今回の出演は念願叶った感じなんですか。

結城:はい。でもなかなか、自分からは。役者は求められる仕事だと思っているので、声をかけてもらうまでは出るのは嫌だなと思っていたんです。今回、声をかけてもらって、すごく嬉しかったですね。

松居:昔はさ、「出たい」と言ってたけど、ここ5、6年は言ってくれなかった。

結城:まだ自分が(ゴジゲンに)出られる感じじゃないなと感じていたんだと思います。軽い感じで「出させてくださいよ」と言って、「いいよ」と言われて出演したとしても、それは意味があるのかなと思ったこともあったりして。だから、すごく嬉しかったですね。

ーーなぜ、このタイミングでオファーを?

松居:最強(※劇団員の本折最強さとし)が今回出られないということで、誰かいないかなという話をしていて、パッと結城くんと神谷くんが思い浮かんだんです。すごく傍にいて、ゆるやかにイベントを一緒にやったりしていたけど、本公演に出てもらっていなくて。昔、一緒にやりたいねと言っていたけど、今、そういう話もしなくなって。ただただ普通に同業の仲間として一緒にいる感じが心地よくて。

ガツガツしてなかったのが良かったんですよね。ちょうど僕らも演劇でどうこうしようというのが、なんかなくなってきたというか。どうにもならんよみたいな。いい意味で、諦念というか。

昔は観に来た人の人生を変えたいとか、大きい劇場でやりたいとか、1000人動員したいとか、いろいろあったんですけど、なんとなく飛距離が分かってきた。こういうことをやると、これぐらいの距離まで行けるということが分かってきたときに、投げようとしなかったら、どれぐらいの飛距離が出るんだろうと思って。

ーーベクトルが変わったんですね。

松居:そう。そもそもゴジゲンって、いつも変な場所にいて。演劇界に仲間に入れてもらえてないような気がしながら、でもこうして取材してもらったりしているんですけど。そんな感じしません?

ーーでもそこが魅力な気がします。もちろん演劇が核なんですけど、映画だったり、テレビだったり活動がどんどん広がっていく劇団だなと思っています。

松居:でもやっぱり演劇が拠点だから、もうなんかやりたいことやってみようと。

結城:ゴジゲンの皆さんと一緒に稽古場にいて思うのは、みんな優しいんですよ。ギスギスしてないし、全員が全員なんかキャラクターを持ちつつ、みんなのことを思って稽古場にいるというのをすごく感じますね。

松居さんが脚本を書いて持ってくるときに、松居さんとしてもどう思われるかなと思うじゃないですか。それで松居さんが話すのを躊躇っていたんですけど、僕は、これ、何の時間なのって思っちゃったんです(笑)。でも劇団員の皆さんはそのことを分かっているから、何も言わずにちゃんと待つんですよ。きっとお互いのことを信頼しているんだろうなと思いましたね。

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ーー「欲がない」と仰ったけども、これからどうなりたいというのは。

松居:劇団については、今はもはや、こういう劇団に憧れてるとか、こういう劇場に行きたいとか、こういう賞を取りたいとか、全くなくて。ちょっと前は、みんながいつか劇団辞めるんじゃないかと思って、そわそわしながら、ゴジゲンにいることが価値のあるものにしたいと思って、頑張っていた。

でも、もはやそれもなくて。みんなそれぞれゴジゲンというものを手段にして、何か違うこともできるようになってきたから。

ーー年に1度はやりたい。

松居:うん、年に1度はやりたいし、僕にとっては1番原点であり、拠点であり、1番新しいことに挑戦できる場所なので、すごく大事。みんなにとっても、そうなったらいいなと思っています。それが経済的に成立すればいいかなという感じですかね。劇団だけで飯は食えないけど、劇団と劇団にまつわるいろいろな活動で生活できたらいいな。

ーー個人としては。

松居:個人としてはどうですかね。毎年変わっていっているんですけど.......健康かな。健康で、立ち止まらないようにつくり続けることかな。

ーーちなみに結城さんは今後の目標はありますか?

結城:演劇の必要性みたいなことを、このコロナ禍で2年ぐらい考えて。必要だろうとか、必要じゃないだろうとか、今やるべきだとか、そういうことをすごく考えた。今回の『かえりにち』が、僕の中で1つ腑に落ちる部分があって。後押ししてくれるというか、肯定してくれるというか。

きっと、今回の公演が終わった後に、こういう風にやりたいなというのが出てくるのかなという予感がありますね。答えじゃないけど、1つの道がちょっと見えてきそうな感じはありますね。

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ー最後に、観客のみなさまに一言お願いします!

結城:この作品をお客さんとして観に行きたいなとすごく思っていて。なかなかそう思うことはないんですけど。稽古をしていて思うのは、肯定してくれるということ。優しい気持ちになれる劇なのではないかなと思うので、ぜひご来場ください。

松居:肩の力が絶対に抜けられる劇。難しくもないし、劇場に来ないと絶対に感じられない作品になっていると思います。舞台を観た帰り道もそうですし、観た日以降の帰り道が愛おしくなる。今の時代に生きることがちょっとだけ豊かになると願ってます。

ーー楽しみにしています!ありがとうございました!

取材・文:五月女菜穂

撮影:川野結李歌

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ゴジゲン第18回公演「かえりにち」は、4月20日(水)~4月29日(金・祝)まで東京 ザ・スズナリにて。その後、5月2日(月)~5月4日(水・祝)まで福岡・北九州劇場 小劇場、5月7日(土)~5月10日(火)まで京都・THEATRE E9 KYOTOにて上演。チケットは発売中。

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