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ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)新作舞台「世田谷パブリックシアター+KERA・MAP#007『キネマと恋人』」が、11月15日(火)・16日(水)にシアタートラムにてプレビュー公演を行い、11月18日(金)に本公演の初日を迎えました。
本作はウディ・アレン監督の映画「カイロの紫のバラ」にインスパイアされKERAさんが書き下ろしたもの。 シアタートラムの小空間に映画への愛が満ち溢れた夢の世界が出現。 ひととき現実を忘れるKERA流ファンタジック・コメディに観客も大喝采の初日でした。

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初日を終えたKERAさんと出演の妻夫木聡さん、緒川たまきさんが次のようにコメントを寄せました。



◆ケラリーノ・ サンドロヴィッチ (台本・演出)

『キネマと恋人』は、『カイロの紫のバラ』というとても好きな映画がモトネタなので、そういう意味でも特別な作品なのですが、プレビュー3公演を経
て、今日の芝居が一番良かったです。みんな楽しんでやってくれていて、今日も妻夫木に「楽しい?」って聞いたら「めちゃくちゃ楽しいです」という答えが返ってきたのでホッとしたんですけどね。今回は振付の小野寺(修二)くんや映像監修の上田(大樹)くんの力をいつもの倍以上費やしてもらい、スタッフや色んな人の力を借りて完成に至りました。演劇は総合芸術だということをまさに体現したような作品になったんじゃないかと思います。

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◆妻夫木聡 (高木高助/間坂寅蔵役)

『カイロの紫のバラ』のように、観ている間は夢見心地で、劇場を出た後も「ああ、良い夢だったな」と甘くも苦い切なさが余韻として残れば良いなと思っていましたが、やはり人間が生で演じることによって、自分の想像以上に、さらに豊潤な作品になったと感じています。きっとエンディングには色々な受け取り方があって、僕が演じる寅蔵の「考え方だな」という台詞にもあるように、皆にとってのいつかのハッピーエンドにつながればと思っています。とにかく僕たちは演じていて楽しくて、いつまでも続けば良いという気持ちでいるので、これから一日一日、一分一秒を本当に大切にしながら演じていきたいです。

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◆緒川たまき (森口ハルコ役)

この作品の中の登場人物は皆、厳しい現実と、甘い夢を見る時間とを行き来するようなところがあるんです。例えば私が演じるハルコさんは、大好きな映画を観ることで辛い現実を忘れることができます。上演時間が3時間を超えるお芝居ですが、疲れるというよりはむしろ、演じる度にまたこの作品に会えたという喜びで元気がチャージされていきます。私にとってそういう力がある作品なので、観てくださる方にとってもそうでありますように、と思っています。

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■2016年版『ミス・サイゴン』 vol.9■


ミュージカル『ミス・サイゴン』が現在、帝国劇場で上演中だ。ベトナム戦争という重くシリアスな史実を背負った作品ながら、エンタテインメントとしての華やかさも併せ持つミュージカル。世界各地で公演され、日本でも1992年以降コンスタントに上演され続けている。大作ミュージカルらしく、プリンシパルキャストはダブル・トリプル制をとっているが、今回も個性豊かな顔ぶれが揃った。キャスト評含め、2016年版『ミス・サイゴン』の感想を記す。
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舞台は1970年代ベトナム戦争末期。村が焼かれ、両親を失った17歳の少女キムは、サイゴンの町でナイトクラブを営む男・エンジニアに拾われる。エンジニアやクラブの女たちは、ベトナムを出て自由の国・アメリカで暮らすことを夢見ていた。そんな中で初めて店に出たキムは、アメリカ兵クリスと出会い、恋に落ちる。だがサイゴン陥落の混乱の中、引き裂かれてしまうふたり。3年後、戦争が終わり社会主義国家となったベトナム。クリスとの息子・タムを生んでいたキム、相変わらずアメリカ行きの夢を諦められないエンジニアを中心に、キムの許婚トゥイら、様々な人々の思惑は絡まり、キムの運命はさらに過酷な渦の中に。一方アメリカでは、帰国したクリスがエレンと結婚、しかしいまだ、戦争の悪夢に苦しんでいる。そしてキムが生きていること、息子がいることを知るのだが...。

戦争という極限状態の中で、それでも激しく誰かを愛し、あるいは憎み、また生に執着する生々しい人間の姿を切り取った作品だ。特に新演出になった2012年以降は感情のひだをいっそう繊細に表現、悲しいほどに必死に生きる人々の姿が浮き彫りになった。今回も舞台上に出てくる登場人物すべて、舞台の隅に至るまで全員がリアルに、地に足を付けて生きている。そしてベトナム人もアメリカ人も、等しく傷付いていく。この作品は「戦争は何も生み出しはしない」という人類の反省と、平和への祈りがテーマ。そのことをキャスト全員が深く重く受け止め、覚悟を持って作品に向き合っているのだろう。メインキャラクターがたどるドラマチックな物語に引き込まれながらも、時折視線をはずすと、サイゴンやバンコクの街角で、必死な目をしている人の姿が目に入りハッとする。やはり『ミス・サイゴン』は、ほかのミュージカルとは何か違うのだ。観ているこちら側も、背筋が伸び、彼らが訴えかけることをきちんと受け止めねば、と思う。
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とはいえやはりアラン・ブーブリルとクロード=ミッシェル・シェーンベルクによる珠玉の楽曲は美しく、悲壮なだけではないミュージカルらしい楽しみももちろんある。逆に、ミュージカルという広く大衆に訴えかける手法の中に描かれるからこそ、シリアスなテーマがストンと素直に心の中に落ちてくるのかもしれない。

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宝塚歌劇月組公演 ミュージカル『アーサー王伝説』が10月14日、東京・文京シビックホールで開幕した。月組の新トップスターに就任したばかりの珠城りょうが主演する作品。初日に先立ち13日、通し舞台稽古が公開されるとともに、珠城らが会見を開いた。
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『アーサー王伝説』は、近年日本でも人気を博すフランス生まれのミュージカル。『太陽王』『1789 -バスティーユの恋人たち-』と同じくドーヴ・アチア氏の脚本・作詞・作曲による最新作の、日本初演だ。「岩に突き刺さった剣を引き抜いた者が王となる」という伝説でも有名な、イギリス・ケルトに伝わる騎士道物語をもとに、キャメロットの王・アーサー、その妻グィネヴィア、アーサーの異父姉にして彼に恨みを持つモーガン、そして王に忠誠を誓う円卓の騎士らの物語がドラマチックに綴られていく。自身の出生の秘密や異母姉との確執、そして王妃と部下の不義に悩みながらも、王として歩んでいくアーサー王の姿が、これからトップスターとして月組をひっぱっていく珠城の姿にも重なるよう。珠城自身も「きっと潤色・演出の石田昌也先生も、これから月組の未来を担っていく私と重ねて書いてくださった部分もあるんじゃないかなと思います。それをご覧になるお客さまが、珠城りょうと重ねて観てくださるのなら、とてもありがたいこと」と話す。

この日はアチア氏も観劇。「日本語はまったくわからないのですが、時々目に涙が浮かぶほど大きな感銘を受けました」と感想を。さらに主演の珠城についても「彼女から、王としてのカリスマ性をすごく感じました。素晴らしい役になった」と笑顔で話した。

珠城は入団9年目という近年まれにみるスピードでトップ就任したことも話題になっているが「私自身も、そして月組も、のびしろをお客さまに感じていただけるような舞台人でありたい、そういう舞台を作りたいと常に思っています。ですのでやはり、エネルギッシュで力強く、そして明るくいれたら」と新生月組をアピール。また、珠城の相手役となるトップ娘役・愛希れいかは「アーサー王には寛容で寛大な心がある。そこが珠城さんと同じだなと感じています。とても大きな心ですべて受け止めてくださる」と話していた。

東京公演は10月19日(水)まで同劇場で上演。10月28日(金)から11月9日(水)には梅田芸術劇場シアター・ドラマシティでも上演される。

▽ 『アーサー王伝説』より。アーサー:珠城りょう、グィネヴィア:愛希れいか
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▽ 『アーサー王伝説』より。モーガン:美弥るりか
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▽ 『アーサー王伝説』より。ランスロット:朝美絢
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▽ 『アーサー王伝説』より。
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げきぴあでは、珠城りょうさん、愛希れいかさん、ドーヴ・アチア氏が登壇した、公開舞台稽古後の囲み取材の模様を詳しくお伝えいたします。
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ドーヴ・アチア氏は、フランスオリジナル版のプロデューサー。
彼が手がけた作品は、宝塚で上演された『太陽王』『1789 -バスティーユの恋人たち-』のほか、日本では『十戒』『ロックオペラ モーツァルト』も上演されています。


珠城りょう
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「今回、大劇場でのお披露目の前に『アーサー王伝説』で主演男役として初めて舞台に立たせていただきます(大劇場でのお披露目は来年1~3月の『グランドホテル/カルーセル輪舞曲』)。お話を伺ったときには、『1789』(2015年)を月組が上演したこともあり、すごくご縁を感じたのと、素晴らしい楽曲の数々に挑戦させていただく期待、それを実際に自分にこなせるのかという不安...両方の気持ちが同時に押し寄せてきて、しばらく心臓がドキドキしていました。でも今の月組の皆さんと一緒に、ひとつの作品を作り上げるということはどういうことなのか、ひとりひとりの力がどれだけ大きいのかということを日々感じながら、お稽古に励んできました。いま出来る自分の精一杯の舞台をお客さまにお届けできればいいなと思いますし、この新しい、ケルト音楽がベースになっているフレンチロックの音楽もお客さまに楽しんでいただけたらと思います。また、今回から愛希を相手役としてトップコンビとして組ませていただきますので、そこも楽しんで頂ければ」


愛希れいか
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「『1789』に引き続きフランスのミュージカルをやらせていただけると訊いてすごく幸せで光栄に思いましたし、また月組で公演できることに、私もすごくご縁を感じました。音楽もとても難しいロックミュージカルですし、お稽古場では苦労する点はたくさんあったのですが、いま舞台稽古を終えてみると、やはりこの作品を出来ることがとても幸せに感じました。宝塚らしくフィナーレもついています。新たな月組のスタートに、私もしっかり力になれるよう精一杯がんばりたいと思います」

■浦井健治ソロコンサート『Wonderland』#8■


浦井健治さんのデビュー15周年を記念したソロコンサート『Wonderland』が、昨日・9月29日に東京国際フォーラム ホールAにて開催されました。

幸せで温かな「浦井健治ワールド」が広がったこのコンサートのレポートを、撮りおろし写真満載でお届けします!
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ホールが超満員となる5000人の観客が詰め掛けたこの日。ライブは浦井が2006年に発表し、今年8月にリリースした初のソロアルバム『Wonderland』に収録されたオリジナル曲「彼方へ」からスタートした。シンフォニックなサウンドをバックに、ひとつの歌詞、ひとつのフレーズを大切そうに歌う浦井の姿から、彼がこのコンサートへかける思いが伝わってくる。続けてこの夏に主演した『王家の紋章』より「ファラオとして」を激しい気性のメンフィス王さながらに熱く、そして『デスノート THE MUSICAL』より「デスノート」をドラマチックに歌い上げると、客席の温度も急上昇。曲によってガラリと変わる表情は、役者・浦井健治の真骨頂だ。

▽ 浦井さん、曲によってガラリと顔を変えます!
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しかし一転してMCでは「東京国際フォーラム!ホールA!イェーイ!」とハイテンション、自分でも「何だこのノリは...」と苦笑する、天然な浦井ワールドが炸裂。井上芳雄、山崎育三郎と組んでいるユニットStarSでのコンサートは経験しているもののソロコンサートは初である浦井、「今日は僕、ひとりなんですよ...どうしましょう。芳雄さんっ、育!」といないふたりに助けを求める一幕も。さらには、そのStarSコンサート時(2013年)、客席のサイリウムの光を「ホタルイカみたい」と発言し客席に衝撃を走らせた彼、この日は最初のMCで早々に「サイリウムの光、めっちゃキレイ!米粒みたい!...違うか、チンアナゴみたい」と言い放ち、客席からも大きな笑いが(さらにそのあと、「米粒って...自分、ひどいな。でもきっと炊きたてだよ?」というフォロー?も)。5000人の観客を一瞬にして脱力させるのも浦井の魅力である。

▽ MCではこの笑顔!
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▽ 照井さんも笑顔!
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【チケットぴあニュース】

ミュージカル『マイ・フェア・レディ』が現在、東京芸術劇場 プレイハウスにて上演中だ。映画でオードリー・ヘップバーンが演じたヒロイン・イライザは霧矢大夢(きりや ひろむ)と、真飛聖(まとぶ せい)のWキャスト。霧矢版を観劇したレポートを記す。 
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下町育ちの花売り娘・イライザが、言語学者のヒギンズ教授に正しい言葉と淑女としてのマナーを教え込まれ、レディとして生まれ変わるシンデレラ・ストーリー。名作として名高い1964年の映画でもよく知られているが、元は1956年に"戦後のブロードウェイを代表する大傑作"と賞賛された舞台だ。日本では映画公開に先立ち1963年に初演、これは日本で初めて日本人が日本語で演じたブロードウェイ・ミュージカルとしてミュージカル史に名を刻んでいる。 

▽イライザ役、霧矢大夢
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▽イライザ役、真飛聖
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そんな歴史ある作品だが、今の時代でもまったく古びず、むしろ恋をする高揚感や切なさ、苦しさなどはひりつくほどリアルでフレッシュに伝わってくる。演出のG2は2013年に"リボーン版"を謳い、訳や演出を一新。今回はその3年ぶりの再演だが、それぞれカンペキな人間ではない、だがまっすぐに生きている登場人物たちの愛おしさがさらにパワーアップしている。"きちんとした言葉遣いを習いたい"と素直な気持ちで頑張るイライザを、霧矢は明るくキュートに演じる。その健気な前向きさに、周囲の人々が力が貸すのは納得だ。イライザを教え導く立場ながら、女心を解さず衝突するヒギンズ教授は寺脇康文。前回より"変わり者感"が増し、イライザとヒギンズの関係も、さらにもどかしくなった。教養を身につけ自立していく一方でヒギンズに次第に惹かれ、自分を特別扱いして欲しくなるイライザ。イライザに惹かれながらも、自分のその気持ちにすら気付かないヒギンズ。恋をしたら自分を見て欲しい、ありのままの自分を愛して欲しい......そう思うのは、いつの時代も同じなのだ。そして大人の恋だからこその不器用さは見ていていっそう微笑ましく、観客は彼らの恋に心を寄り添わせ、応援したくなる。それこそがこの作品が永遠の名作であるゆえんだろう。 
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音楽は、初めてこの作品を観る方もどこかで耳にしたことがあるであろう、おなじみの名曲揃い。『踊り明かそう』という名で親しまれている曲が、『じっとしていられない』とタイトルを変えるなど、リボーン版で大胆な手を入れたG2だが、その訳は芝居の中で歌われてこそ光る。芝居と歌の間で感情を途切れさせることなく、気持ちの高ぶりが歌になる。ミュージカルの本来の在り方を再発見し、そしてミュージカルの素晴らしさを改めて輝かせているリボーン版『マイ・フェア・レディ』は、普遍的な良さを、新鮮な感動で包んだ名作だ。 

ほか出演は田山涼成、松尾貴史、水田航生、麻生かほ里、高橋惠子ら。東京公演は8月7日(日)まで。その後8月13日(土)・14日(日)に愛知県芸術劇場 大ホール、8月20日(土)から22日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールで上演。



以上、先週「チケットぴあニュース」でお伝えした公演レポートですが、せっかくですので、げきぴあではもう少し詳しくお伝えします!

イライザ役、霧矢大夢さん真飛聖さんとWキャスト)。
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イライザは下町育ちで貧しくはありますが、自分の意思で状況を変えようと行動する女性です。
霧矢イライザは、前回よりひたむきな健気さがいっそう増し、時に一般常識からしたら破天荒に見える行動も愛らしい。彼女自身は自分の足で立っていける女性なのでしょうが、その素直さ、ひたむきさに、周りが自然と手を差し伸べたくなる、応援したくなるのです。
劇中、ヒギンズ夫人が発する「わたし、あの子のファンになっちゃった!」という言葉は、観ている誰もの気持ちでもあるに違いありません。
そして寺脇康文さん扮するヒギンズ教授との"正しい話し方"訓練のシーンのやりとりは、ちょっとした間合いにも可笑しさが溢れ(関西出身の霧矢さんの本領発揮!?)、絶品です!

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市川猿之助、市川海老蔵が顔をそろえる歌舞伎座「七月大歌舞伎」夜の部を観てきた。


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幕開きは『荒川の佐吉』。
ヤクザの世界に身を投じた男・佐吉の生き様を人情味豊かに描く本作。
主人公の佐吉は二代目市川猿翁の当たり役のひとつだ。
その佐吉を伯父から受け継ぎ、猿之助が初役で演じる。
元は腕の立つ大工だったが、思うところがありヤクザの子分となった佐吉。
序幕では、威勢はいいがどこか頼りない佐吉を猿之助が軽妙にみせる。
坂東巳之助の大工仲間・辰五郎が、また大工に戻らないかと誘うものの、「強いから勝つのではなく、勝つ者が強い」という理屈で生きられるヤクザの世界が好きなのだと語る佐吉。
この場面は後の重要な展開につながるだけに、猿之助が説得力のある語り口で観客を惹きつける。
そんな佐吉の敵となる成川郷右衛門を市川海老蔵がこちらも初役で勤める。
海老蔵の成川は人を斬った後の一連の動作が美しく、凄みを感じさせる。
本作の見どころとして、佐吉が男手一つで育てる子ども・卯之吉への愛情も重要な要素だ。
佐吉が子どもに添える手の動きひとつとっても、かけがえのない存在であることが伝わり、猿之助が細部にまで心を配って演じているのがわかる。
後半、佐吉が身を切られるような思いで下す決断、そして桜の花が舞い散る中での情景と、悲しさの中にも爽やかな印象を残していた。


続いては、歌舞伎十八番の『鎌髭』と『景清』。
二作とも悪七兵衛景清を海老蔵が演じる。
『鎌髭』は、海老蔵が初演時の資料をもとに作った新たな上演台本で2013年に復活、翌年には『壽三升景清(ことほいでみますかげきよ)』として再演し、今回はさらに練り上げたものを上演する。
平家の残党景清は、源頼朝を倒し平家再興の大望を抱いている。
そんな景清を捕らえようと、源氏の武将三保谷四郎らが罠を仕掛けて景清をおびき寄せる。
ところが景清はわざと罠にかかったふりをし、源氏の面々を挑発する。
市川右近の猪熊と酒合戦をする件は様式美の中にも可笑しみがあり、肩の力を抜いて楽しめる。
海老蔵は超人的な力を持つ景清に相応しい大仰な衣裳と鬘がよく似合い、まさにはまり役。

『景清』は『壽三升景清』の牢破りの場面を再構成して上演。
自ら縄にかかり牢に繋がれている景清を詮議するため、源氏の武将が連れてきたのは景清の妻・阿古屋とその子ども・人丸。
沈黙を貫く景清に対し、阿古屋を拷問にかけようとする詮議役の岩永を、もう一人の詮議役・秩父庄司重忠が止める。
人払いをしたのち、重忠の言葉に説き伏せられ、ようやく口を開く景清。
海老蔵の景清はその存在感の大きさで荒事の芸を体現。
対峙する猿之助の重忠も知将に相応しい颯爽とした佇まいが印象的だ。
重忠の言葉に恭順した景清が牢を破った後、舞台上に出現する巨大海老の宝船は圧巻のひとこと。

世話物の人気狂言と歌舞伎十八番を一度に堪能できる贅沢な公演だった。


公演は7月26日(火)東京・歌舞伎座にて。
チケットは一部を除き発売中。


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氷点下の恐怖! 岡田将生&勝村政信が贈るホラー芝居

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岡田将生勝村政信が英国ホラー演劇の傑作に挑む話題作『ウーマン・イン・ブラック〈黒い服の女〉』が8月7日(金)に東京・PARCO劇場にて開幕する。開幕を目前に控えた6日、舞台稽古が報道陣に公開されるとともに、岡田と勝村が意気込みを語った。 
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中年の弁護士が、かつて体験した恐怖体験。それは顧客の遺産整理のために訪れた田舎町の屋敷で出会ったもの。今でもその影に悩まされる彼は、若い俳優を雇い、忌まわしき過去を"劇"の形で再現していくことで、その恐怖の呪縛から逃れようとするが......。ロンドンでは今年27年目を数えるロングランを続け、世界でも40余国で上演されている大ヒット作。劇中劇をたくみに利用した構造、照明や音響から直接肌に感じる恐怖に加え、何よりも観客の想像力によって恐怖が倍増されていく、演劇ならではのホラー作品だ。日本では1992年より上演を重ね、今回で7度目の上演。両役とも新キャストとなったが、若い俳優を演じる岡田の爽やかな素直さ、中年弁護士を演じるベテラン勝村の手練れた老獪さのコントラストが、物語の行く末を謎に満ちたものにし、ビビッドな恐怖を生み出した。 
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会見では、岡田が「今日(舞台稽古で本番用の)照明を全部当てて演じましたが、めちゃくちゃ怖かったです。(結末を)知っているのに怖い。知らなかったらもっと怖い」と語り、勝村も、客席での体感気温は「氷点下でしょうね! 地球全体が凍ってしまうという"全球凍結"に近い瞬間がある」と、そのホラーぶりをアピール。 

また舞台出演2作目で、ふたり芝居という難易度の高い作品に出演する岡田は「舞台での立ち方、しゃべり方、一から勝村さんが教えてくださった。色々なことを吸収して、この『ウーマン・イン・ブラック』で成長した姿を勝村さんに見てもらいたい。先輩の足をひっぱらないよう一生懸命くらいつきたい」と意気込み。その岡田を勝村は「将生君は過剰なことをせず、シンプルに色々な表現ができる人。僕ら年配者はどうしてもちょっとずつエンターテインメント寄りに作ってしまったりするので、僕としても勉強になった。...ご覧になってわかるように、身長も顔も、基本的に何も、言うことはないですよね...」と、高く評価している模様。そんな息のあったふたりが生み出す恐怖の物語で、この猛暑を少しひんやりさせてみては。 

公演は8月7日(金)から30日(日)まで同劇場にて。その後愛知、新潟、大阪でも上演される。チケットは発売中。


初日直前 囲み取材レポート


ひと足先に<チケットぴあニュース>にてお伝えした、『ウーマン・イン・ブラック〈黒い服の女〉』の開幕ニュースですが、げきぴあでは初日前日にあたる8月6日に行われた、岡田将生さんと勝村政信さんの囲み取材のレポートをもう少し詳しくお届けします!


――明日初日を迎えるにあたっての意気込みを。

岡田「先輩の足をひっぱらないよう一生懸命くらいついて、本番のこの一ヶ月を乗り越えたいなと思います。ふたり芝居で掛け合いも面白いですし、そこから来る恐怖もあるので、ぜひ劇場にきていただけたら嬉しいです」

勝村「この作品はロンドンでもいまだにロングランされていますし、日本でも長い期間上演されてきているもの。先輩たちの作り上げた素晴らしいものに、泥を塗らないようにしていきたい。ふたりでずっと夏を味わうことなく頑張ってきましたので、ぜひ劇場に足を運んでいただければと思います」
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■音楽劇『ライムライト』vol.4■


石丸幹二が主演する音楽劇『ライムライト』が7月5日、東京・シアタークリエで開幕した。喜劇王・チャップリンの晩年の傑作映画を、世界で初めて舞台化する注目の作品だ。
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物語は落ちぶれた老芸人・カルヴェロと、若きバレリーナ・テリーの純愛を描くもの。もとが映画作品であることを意識してか、フィルムの回転する音で始まるこの舞台はしかし、"チャップリンの映画"という印象に縛られることなく、物語の本質を掘り下げることで、新たな『ライムライト』の世界を再構築した。たとえば、石丸扮するカルヴェロには、ちょび髭といったいかにもチャップリンなアイコンはない。だが逆に、その純化した物語の中にこそ、チャップリンの精神が浮き彫りになるようだ。それは人生の悲哀を見つめながらも、日々をけなげに生きる人間に深い愛情を注ぐ、優しいまなざしだ。登場人物たちが時に自分に言い聞かせ、時に相手を励ます言葉は美しくシンプルで、心を打たれる瞬間が何度も訪れる。
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音楽も美しい。何度もリフレインされる名曲『エターナリー』は、その都度、甘さや切なさを運んでくる。また、カルヴェロが最後の舞台で歌うナンバー『You are the Song』はとりわけ祈りのような崇高さで響く。もともとチャップリンの未発表作『The freak』のためのこの曲が効果的に活きた。さらにこれらチャップリンが作った音楽に加え、荻野清子が書き下ろしたナンバーが美しく溶け合い、作品世界を色づける。"音楽劇"という手法が物語に見事にマッチした。

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「リバーダンス」初日レポート


何の予備知識も不要!驚異的な身体能力で繰り出される超スピードの足技と、懐かしさと神秘さを併せ持った一流のアイルランド音楽によって、アイルランドの5000年にも及ぶ歴史と人々の想いを2時間で体感できる、大興奮のショーです。


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『リバーダンス』は、欧州で開催されるエンタテインメントの祭典・ユーロビジョンソングコンテストでアイルランドが開催国となった1994年に作られた題目をもとにして作られた、伝統とモダンが共存するエンタテインメントショーです。20周年を迎えたプロダクションで7年ぶりの来日ツアーということで、東京公演に足を運んできました。


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CLUB SEVEN 10th stage! 開幕レポート

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■CLUB SEVEN 10th stage! 集中連載vol.4■

★ 開幕レポート ★


節目にして集大成の『CLUB SEVEN』開幕!
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俳優兼演出家であり、日本を代表するタップダンサーでもある玉野和紀が贈るショー・ステージ『CLUB SEVEN 10th stage!』が4月2日(木)、東京・シアタークリエで開幕する。勢いのある旬の俳優を配し、幅広い層から人気を集めるシリーズだが、今回も東山義久、西村直人、中河内雅貴、相葉裕樹、佐々木喜英、大山真志、白羽ゆり、蒼乃夕妃ら、実力派からイケメン俳優、元宝塚スターまで豪華なメンバーが揃った。4月1日には開幕に先駆けて最終舞台稽古が公開。その模様をレポートする。

舞台はソング&ダンスパート、スケッチと呼ばれる寸劇の数々、ストーリー性のあるミニ・ミュージカルなど、あらゆるエンターテインメントの要素を詰め込み、スピーディに展開。スケッチでナンセンスな笑いに客席を落とし、ドラマチックなダンスシーンでうっとりとさせ、ミニ・ミュージカルではホロリとさせる。舞台の勢いにあわせ観る側の感情もジェットコースターのように大きく起伏する。その臨場感はライブ・エンターテインメントの究極の楽しみだ。

また人気コーナー『五十音順ヒットメドレー』では、100曲近いナンバーを数珠繋ぎで披露。音楽からCM、芸人、キャラクターなど最近のヒットのパロディが次々と登場し、観る側はお気楽に大笑いできる楽しいコーナーだが、女装に扮装、カブリものと怒涛のように衣裳も替え演じていく俳優陣は見るからにハードそう。だがそのハードさが俳優たちのリミッターを外すのだろう、汗とともに俳優たちから溢れんばかりの魅力がほとばしる。今回も玉野、東山、西村らベテラン陣が様々な得意技で自分のフィールドに空気の流れを持っていけば、負けじと中河内、相葉、佐々木、大山ら若手が瞬発力良くハジケていて、素敵な表情を見せていた。アドリブ性も高く、真剣勝負でありながらも俳優たちの素の表情も垣間見れるのも、ファンにとっては嬉しいところ。

2003年から始まり、今回で記念すべき10回目の公演を迎えるが、玉野によると今回は節目であり集大成とのこと。どんなジャンルであれ、ライブ・エンターテインメントが好きな人は観ておくことをおススメする。

公演は4月20日(月)まで同劇場にて。その後4月23日(木)に福岡市民会館 大ホール、4月27日(月)に愛知県芸術劇場 大ホール、4月25日(土)・26日(日)に大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティで上演される。チケットは発売中。




以下、舞台写真とともにその魅力を少しばかりご紹介。
(掲載は順不同です)
(抜粋のご紹介ではありますが、まっさらな状態で観劇されたい方は、以下ご注意ください)


▼ 玉野和紀さん
日本を代表するタップダンサーでもある玉野さん、やっぱりタップのシーンは圧巻です!
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▼ 東山義久さん
クールガイなイメージの東山さんですが、誰よりも激しくヒドイ(←悪口ではないですあしからず...)扮装を嬉々として着こなしていらっしゃいました(笑)。
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▼ 西村直人さん
皆勤賞の西村さんはおなじみのキャラも多数!
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▼ 中河内雅貴さん
ベテランチームと若手チームの橋渡し的なポジションで、大奮闘の中河内さん。
その芸達者ぶりに唸らされます。
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▼ 相葉裕樹さん
スケッチでもミニミュージカルでもその演技力が爆発。
コメディセンスも抜群です。
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▼ 佐々木喜英さん
時折りみせるはにかんだ笑顔も素敵。
そして臆せず見せる変顔も!
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▼ 大山真志さん
今回初参加にして最年少。
ということで無茶ぶりも多く降りかかる...か!?
五十音順メドレーでは様々なキャラに扮します!
ああ、本当は全部ご紹介したい...。
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▼ 白羽ゆりさん
ダンスに歌にとマルチに活躍。
そしてミニミュージカルでは泣かせます...。
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▼ 蒼乃夕妃さん
名ダンサーでもある蒼乃さん。
東山さんとのペアダンスをみせたこのシーンは、濃厚かつハイレベルで見惚れてしまいました。
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