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しりあがり寿の漫画を原作とした舞台第3弾「おん・すてーじ『真夜中の弥次さん喜多さん』三重(みえ)」が東京・東京ドームシティ シアターGロッソで6月24日(日)まで上演中です。開幕に先駆け行われた公開ゲネプロに潜入してきました!

2016年1月の第1弾、同年5月のテレビ版、2017年6月の第2弾に続いての第3弾となる本作は、川尻恵太(SUGARBOY)が脚本・演出を務め、歌あり踊りあり笑いありで、あの奇想天外な世界観を再現した人気舞台シリーズ。弥次さん(弥次郎兵衛)は唐橋充喜多さん(喜多八)は藤原祐規が、初演から演じています。

今作は、W主演のふたりに加え、田代哲哉松本寛也が引き続き出演し、新キャストとして、佐藤祐吾、芹沢尚哉、深澤大河、大海将一郎、岩義人、コロ(ピヨピヨレボリューション)、湯澤幸一郎という個性豊か&濃厚な顔ぶれです! また、日替わりゲストとして、松村龍之介、納谷健、廣野凌大、伊崎龍次郎、阿澄佳奈が出演します(※スケジュールはこちら→https://www.clie.asia/on_yajikita/)。

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今作も、相変わらず薄っぺらな江戸の町から"リヤル"を求め、お伊勢さんへの旅を続ける弥次さん喜多さんの物語。「シーサイド・イン」など原作エピソードにオリジナルエピソードも加え、恋人同士の弥次さんと喜多さんを中心に、さまざまなエピソードがカオスな世界の中で描かれます。主演のおふたり以外は、一人何役も演じるのがこのシリーズの特色。日替わりゲストも複数役演じますので、ぜひ期待していてください!

また、今回は過去シリーズ最多の楽曲数。メタル、タンゴ、バラード、J-POPなどなど、いろんなテイストの楽曲が独特の色彩を放ちます。


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渡辺えりが作・演出を務め、80年代から小劇場界を牽引してきたオフィス3○○が、(前身の劇団3○○から数え)創立40周年を迎えます。

記念公演となる『肉の海』が現在、東京・本多劇場で上演中。
その公演レポートをお届けします!nikunoumi03_11_6795.JPG


 

昨日掲載された舞台稽古の写真を見ただけで、『肉の海』がただならぬ作品だと感じた方は多いはず。事実、渡辺えり率いるカンパニーのエネルギーに、ずぶんと "海" に呑み込まれるような舞台だ。

オフィス3○○が創立40周年を記念し、渡辺が純文学の新鋭・上田岳弘の小説『塔と重力』を下敷きに、渾身の力を込めて作り上げた『肉の海』。その幕開け、客席からくたびれたおばさん天使(渡辺)がとぼとぼやってきて、いきなり本音を吐き始める。「ああ、涙が止まらない。水分を出したくないのよね、カサカサにシワシワに乾いてくるのよ......」とぼやいていると、別の天使たち(久世星佳、土居裕子)が現れ、3人が歌い出す。それは涙の歌だ。nikunoumi03_01_6805.JPGnikunoumi03_02_6821.JPG

「誰のために泣いているの?」――。

どうやら彼女たちは自分が何者かわからない様子。「あなたは誰?」と言い合っていると、突如、そこはアリスのワンダーランドになっていた。ここで度肝を抜かれたのが、三田和代演じる老女のアリスだ。どうやらこのアリス、夢から覚めないうちに不思議の国で100年も生きてしまったらしい。よほど思索にふけったのだろうか。彼女の放つ言葉がどれも真理を突いているように思えるのが面白い。そこに少女のアリス(これが初舞台の屋比久知奈)が現れ、いつしか現実の世界へ。nikunoumi03_03_6840.JPGnikunoumi03_04_6884.JPG

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■ミュージカル『1789』2018年版特集vol.5■



ミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』が現在、帝国劇場で上演中。その公演レポートをお届けします!
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【公演レポート】

フランス革命に材をとったミュージカル『1789-バスティーユの恋人たち-』が現在、東京・帝国劇場で上演中だ。2012年にフランスで初演、日本では宝塚歌劇団での上演を経て2016年に装いも新たに帝国劇場で上演されたもの。今回はその、好評を博した帝国劇場版の再演だ。キャストも大半が初演からの続投で、さらに一層熱気の高まったステージを魅せている。主人公ロナン、その恋人オランプ、王妃マリー・アントワネットの主要3役がダブルキャスト。それぞれを観た感想を記す。

物語は、18世紀末のパリが舞台。財政は破綻し、搾取される民衆は疲弊しているが、貴族たちは贅沢三昧。民衆たちの不満は高まっている。そんな中、税金滞納を理由に父を貴族に殺された農夫ロナンは、革命運動を牽引しているデムーラン、ロベスピエール、ダントンらと出会い、革命へ身を投じていく。ある日、王妃マリー・アントワネットと、その恋人フェルゼン伯の逢引きに遭遇してしまったロナン。侍女オランプの機転で王妃はその場を逃れるも、ロナンは誤解からバスティーユ監獄に投獄されてしまう。その事件をきっかけにロナンは自身も知らないうちに王室のスキャンダルに深く関り、一方でオランプと次第に惹かれあっていく...。若者たちが"人間が生きることの意味"を問い、より良い世界の実現を目指していく熱い戦いを縦軸に、様々な階層の恋人たちのままならぬ恋を横軸に絡めたドラマチックなストーリーが、ノリの良いロック・ミュージックに乗って描かれていく。

主人公ロナンをダブルキャストで演じる小池徹平加藤和樹をはじめ、メインキャストは30代前半の俳優が中心。ミュージカルの殿堂・帝国劇場で上演される作品としては異色の、若いカンパニーだ。その若さゆえの思い切りの良さ、ひたむきな熱さが作品中に溢れ、2016年の初演でも"若いパワー"が巻き起こす熱狂が伝わった本作。今回の再演でも初演同様の熱さがほとばしっている。が、若いということは成長も早いということ。ロナン役の小池と加藤がともに、ひとまわりもふたまわりもその存在感を増し作品をどっしりと支えるとともに、他のキャストもそれぞれ成長を感じさせる充実のパフォーマンスを見せ、作品をさらに輝かせた。

▽ 小池徹平1789_2018_05_01_07B_0344+.jpg

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■『リトル・ナイト・ミュージック』特集vol.8■


チケットぴあニュースより

映画界の巨匠イングマール・ベルイマン監督の『夏の夜は三たび微笑む』から着想し、ミュージカル界の同じく巨匠スティーヴン・ソンドハイムが作曲・作詞を手掛けたミュージカル『リトル・ナイト・ミュージック』 が、4月8日に東京・日生劇場で開幕した。主人公のデジレ役に大竹しのぶ、その元恋人フレデリック役に風間杜夫。日本を代表する俳優同士の27年ぶりの共演が、なんとミュージカルで実現したことでも話題を呼ぶ。また演出は、自身も女優・歌手で、本作出演経験のある英国人マリア・フリードマンが務める。01_7M4A6969.JPG


19世紀末のスウェーデン。弁護士フレデリック(風間)は、18歳の若妻アン(蓮佛美沙子)との結婚生活が11か月経過した今も彼女に手が出せずにいる。前妻との息子ヘンリック(ウエンツ瑛士)は、年下の義母アンに密かに恋心を抱いている。ある日、フレデリックとアンは芝居を観に行くが、その主演女優はフレデリックのかつての恋人デジレ(大竹)。デジレとフレデリックは14年ぶりに接近するが、デジレにもカールマグナス伯爵(栗原英雄)という恋人が。既婚の彼はデジレと堂々と不倫中で、あろうことか妻シャーロット(安蘭けい)に、デジレとフレデリックの関係を探らせる。奇妙な縁で結ばれた6人はやがて、デジレの母と娘が住む郊外の屋敷で顔を揃え......。02_7M4A5775.JPG03_7M4A7364.JPG

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■ミュージカル『マタ・ハリ』特別連載(15)■

【東京公演開幕レポート】

1月の大阪公演を経て2月3日、ミュージカル『マタ・ハリ』東京公演が開幕した。『ジキル&ハイド』などを手がけるフランク・ワイルドホーンが音楽を担当し、2015年に韓国で初演されたミュージカル。日本初演となる今回は、主人公のマタ・ハリを柚希礼音、彼女の運命に深く関るふたりの男性、ラドゥーとアルマンの2役を回替わりで加藤和樹が演じる(初日は加藤がアルマンを演じ、Wキャストの佐藤隆紀がラドゥーを演じた)。演出は石丸さち子4IMG_8576.JPG


物語は、1917年のパリが舞台。ヨーロッパ全土を巻き込む第一次世界大戦は3年目に突入し市民は疲弊、上層部にも焦りが見えている。そんな中、オリエンタルで官能的なダンスで人々を虜にしているダンサーがいた。名はマタ・ハリ。フランス諜報局のラドゥー大佐は、ヨーロッパをまたにかけ活躍しているマタに目をつけ、スパイになるよう圧力をかける。同じ頃、マタは戦闘機パイロットの青年アルマンと出会い恋に落ちるのだが、実はそれもラドゥーが仕掛けた罠で......。


オープニングが秀逸だ。舞台には、水墨画にも似た、煙のような雲のような背景。モノトーンのシンプルなセットの中、こちらも黒を基調にしたシックな衣裳に身を包んだキャストが、民衆として、兵士として、戦争に苦しむ市井の人々の嘆きを叫ぶ。それぞれがワンポイントで赤い何かを手にしているのは、彼らが願う生への渇望か、命そのものか。そして「生きろ」と叫ぶ彼らの中に、誰よりも鮮やかな朱色の衣裳で、マタ・ハリが舞い立つ。マタ・ハリの代名詞であるエキゾチックな"寺院の踊り"を踊る柚希は、しなやかかつダイナミックなダンスが美しいだけでなく、女性らしい腰まわり、筋肉、すべてが美しくまさに劇中で「男性だけでなく女性も魅了する」と語られる妖艶さ。何よりも"生"のエネルギーに溢れている。まさに、この閉塞した時代に舞い降りた女神といったインパクトだ。10IMG_8366.JPG1IMG_8479.JPG

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東京・日比谷の劇場、シアタークリエの開場10周年を祝う記念公演『TENTH』が現在、好評上演中だ。2部構成で、第1部はこの劇場で上演された名作ミュージカル3作のダイジェスト公演を週替わりで、第2部は日替わりの内容でガラコンサートを上演する。

▽ 第1部『next to normal』より1TA_0213.JPG

2007年11月に演劇の街・日比谷に開場したシアタークリエ。10年のあいだに上演された作品は、150本超。その内容も、ミュージカルからストレートプレイ、翻訳劇に気鋭の作家による新作など、バラエティに富んでいる。特に海外ミュージカルの翻訳上演では、客席609という劇場サイズを活かし、オフ・ブロードウェイの良作や、小規模のチャレンジングな作品も積極的に上演。海外ミュージカルといえばどうしても大劇場で大がかりな上演になりがちだった日本演劇界で、それだけではない良作を打つ機会を増やし、日本演劇界を豊かにする一役を買ってくれている。

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キャラメルボックス2017グリーティングシアターVol.4『光の帝国』が東京で上演中です。

約1か月をかけて全国各地を回るグリーティングシアターでは、キャラメルボックスが初めて行く会場もあり、東京2か所の会場のうち、たましんRISURUホールも、そんな初めての会場のひとつ。

公演は10月7日(土)と8日(日)の2日間ということで、さっそく立川公演の初日を観劇して来ました。

 

本作は恩田陸さんの小説「光の帝国」を原作に、成井豊さんと真柴あずきさんが脚本と演出を担当。

不思議な能力を持つ小学5年生の春田光紀とひとりの老医師との"友情"を軸に、2組の家族の物語が展開します。

主人公の光紀を演じるのは、関根翔太、その姉記実子を森めぐみ、医師の長男・猪狩悠介を鍛治本大樹と、若いキャストが中心となり舞台を牽引していきます。

そして、彼らの熱演に負けないくらい、客席も熱かったです!

感動の余韻がいつまでも続いているためか、カーテンコールの拍手が鳴り止まず、その様子にこちらも胸が熱くなりました。

さて、そんな感動の立川初日を終えたばかりのキャストを直撃しました!!

 


 

関根
「まだ始まったばかりなので、また新たに初日を迎えた気持ちです。どの会場でもそんな新鮮な感じでやれたらなと思います」


「(開幕した)北千住とはまた違う反応がありますね。笑いどころが違ったり、お客様が反応するところが違っていますね」

関根
「加藤さんの前説を袖で聞いていたとき「立川初です!」と言ったとき「わー!!」と声が上がったのを聞いて、立川の近くに住んでいるお客様も結構いらしてくださっているのかな、と思いました」


「グリーティングシアターならではの、その土地のネタを入れさせていただいてますし」

関根
「しかも、今回はネタを入れるところが2か所あるんですよ。いつもは一か所なので、そういうところも楽しみにして欲しいです」

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鍛治本
「2会場目ですからね。劇場が変わると色々と雰囲気も変わってくると思います。グリーティングシアターの醍醐味を感じながら、これから行く先々の会場でもお芝居を変化させて行けたらいいなと思ってます。僕の役は、悠介が作った脚本を振り返る形で物語が進んでいくので、みんなの演技を見守っていくうちに、だんだんと出演者のことも好きになっていくので、この愛はどこまで増えていくんだろう、と楽しみに感じています」

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そして、悠介の弟・康介役の竹鼻優太がたまたま通りかかったのでスマイルショット。

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最後に、製作総指揮の加藤昌史さんよりコメントをいただきました。

「立川へは来たことない人が多いと思いますが、あれっと思うくらい近いんですよ。多摩地区の交通網は立川を中心に放射状に広がっているんです。青梅線、五日市線、多摩モノレール、中央線、南武線、立川が今、電車の中心なんです」

ラーメン通で知られる加藤さんだけに「立川はラーメンの世界でも熱い!」と力説されていました。

観劇の前後に美味しいラーメンを食べて、心も食欲も満たせそうですね。

立川公演は、10月8日(日)12:30と16:00開演の2ステージです。

 

グリーティングシアターVol.4『光の帝国』は11月5日まで、埼玉、愛知、大阪、広島、鳥取、新潟の各地を巡演。

各地の皆さま、お楽しみに~♪

  

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尾上菊之助が企画から取り組んだ新作歌舞伎『極付印度伝 マハーバーラタ戦記』が歌舞伎座で上演中です。
10月1日に初日の幕を開けたこの舞台は、開幕するやいなや、SNSを中心に"面白かった!"という感想が多く見られ、口コミ効果で評判が広がっています。

 

世界最長の叙事詩「マハーバーラタ」を歌舞伎化するという、誰もが想像すらできなかったこの企画は、菊之助が2014年にSPACの『マハーバーラタ』を観たとき、これを歌舞伎にできないかと考えたそうです。

本作は、そうした菊之助の熱い思いから、自ら脚本の製作、振付等にも携わり、何度も打ち合わせを重ねて創られたんだとか。

 

インドの宗教や哲学、神話の要素が詰まったこの物語を、日本の伝統芸能である歌舞伎でどのように上演するのか...。
実際の舞台を観る前までは、半信半疑のような気持ちの方も多かったのではないでしょうか。
ところが、そんな外野の了見の狭さを軽々と飛び越え、眼前には今まで観たことのない、全く新しい世界が出現していました!

 

序幕から圧巻でした。
古いお堂のような場所に居並ぶ神々は、黄金を身にまとっているかのように煌びやか。
それでいてケバケバしさはなく、神聖さを感じさせます。
衣裳を手がけたのは、SPACの高橋佳代さん。
インドのカタカリダンスをイメージして作られたそうです。
大黒天(だいこくてん・楽善)、シヴァ神(菊之助)、那羅延天(ならえんてん・菊五郎)、梵天(ぼんてん・松也)が微睡んでいると、竹本の語りに合わせてひとりずつ目を覚まします。
この演出は『忠臣蔵』の大序を意識して作られたのだな、と気付くと同時に「やっぱりこの作品は歌舞伎なのだ」と腑に落ちた瞬間だったようにも思います。

mahabharata201710_01.jpg「マハーバーラタ戦記」序幕 左より 太陽神(左團次)、大黒天(楽善)、シヴァ神(菊之助)、那羅延天(菊五郎)、梵天(松也)、帝釈天(鴈治郎)[(c)松竹]

  

さて、この序幕で語られる神々の会話は、後の物語に大きく関わる話をしています。
争いを繰り返す人間が原因で世界が滅んでしまうから、この世を一度終わらせてしまおうか、と人間からしてみれば"物騒"な内容を議論しています。
世界を救う方法を模索している神々のうち、太陽神(たいようしん・左團次)は"慈愛が世界を救う"と言い、反対に帝釈天(たいしゃくてん・鴈治郎)は"武力で世界を支配すれば争いはなくなる"と説きます。
そこで、那羅延天は二神に各々子をもうけ、その子たちがこの世界をどうするか、ふたつの案を試してみようと提案します。

神々の思惑で、この世に生を受けたのが、菊之助演じる迦楼奈(かるな)と松也演じる阿龍樹雷(あるじゅら)です。
ふたりは同じ母・汲手姫(くんてぃひめ・梅枝のちに時蔵)から生まれるのですが、迦楼奈の父は太陽神、阿龍樹雷の父は帝釈天と、別々の宿命を背負っていたのです。

物語は、青年へと成長した迦楼奈を軸に描かれますが、運命の糸に導かれるように、王権争いの渦中へと巻き込まれていきます。
そのキーマンともいうべき存在が七之助演じる鶴妖朶(づるようだ)王女。
彼女は、出自の正しさから自分こそが王を継ぐに相応しいと正統性を主張します。
ここだけ聞くと、鶴妖朶は正しいようにも思えますが、邪魔者を殺そうとしたり、罠を仕掛けたりとなかなかの策略家で恐ろしい女性です。
そんな鶴妖朶に窮地を救われ、恩を感じた迦楼奈は永遠の友となる約束を交わします。
こうして、阿龍樹雷たち兄弟(五王子)と迦楼奈も加わった鶴妖朶たちとの王権争いの幕が切って落とされたのです。

 

mahabharata201710_02.jpg「マハーバーラタ戦記」序幕 左より 迦楼奈(菊之助)、阿龍樹雷(松也)、汲手姫(時蔵)、五王子の教育係の仙人・久理修那(菊五郎)[(c)松竹] 

9月8日、初秋の風が感じられる中、渋谷・CBGKシブゲキ!!にて「実験落語neo~シブヤ炎上しまくり~」(主催:CBGKシブゲキ!!)が開催された。

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かつて1970~80年代、渋谷のライブハウス「ジァンジァン」で三遊亭円丈が主宰を務めていた新作落語の会「実験落語」が2016年6月「実験落語neo」として復活、回を重ね、今回で7回目を迎えた。

毎回、ジァンジァン時代の「実験落語」ゆかりの落語家だけでなく、若手落語家、また異ジャンルの演者が並ぶ、バラエティ豊かな布陣が特徴の「実験落語neo」シリーズ。

今回は、三遊亭円丈をはじめ、上方落語界を代表する桂文珍、円丈の二番弟子であり、独創的な物語を創り続ける三遊亭白鳥、若手落語家ブームを牽引する春風亭昇々、そして昨年、日本スタンダップコメディ協会を設立し、その会長を務める清水宏という顔並び。始まる前から、何かが起こりそうな予感のするラインナップだ。

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トップバッターの春風亭昇々は、古典落語の常套から入り、その登場人物の八つぁんが「もう飽き飽きだ」と反乱を起こす『落語の掟』を披露。古典落語の『つる』が、ストーリーの中の登場人物が本音を吐露することで、より輪郭の際立つ改作、快作となっていた。

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次は、清水宏が学ラン姿で登場。客席へ呼びかけ登場からやり直し、会場が盛り上がったところで、スタンダップコメディの名手が座布団の上に座り披露したのは、中学生の青春グラフィティを落語にした『第三中学仇討黄昏(あだうちのたそがれ)』。パンツを巡る教師との攻防戦が描かれているのだが、時折入る浪曲の節と、清水の熱い語り口、そして飛び散る汗に、客席が熱気に溢れていった。

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次に登場した桂文珍は、円丈とは長い付き合いだと語る。かつて円丈がなんば花月に1週間出演した際に、ずっと一緒にいたこと、35年前に「円丈・文珍二人会」を開催した時に、円丈が披露した禁断の落語の話など、優しい語り口で客席を笑いに包む。本ネタは、終活について話す夫婦の会話から、セレモニーホールを舞台にした『旅立ち』を披露。採用面接に立ち会う面接官たちの会話、就職希望者たちのキャラクターも個性豊かに描かれていた。時には浪曲も折り込み、文学作品になぞらえてオチを付ける。文珍の魅力を堪能できる一席となった。

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三遊亭白鳥は、師・円丈作の『悲しみは埼玉に向けて』を自身の経験をもとに改作した『悲しみは日本海に向けて』を披露。「発車のベルはまだ鳴らない」というモノローグはそのままに、自身がまだ「三遊亭にいがた」だった二つ目時代を描いた暗黒ドキュメンタリー落語だと語る。本題前、客席に問いかけたところ、ほとんどの人が初めて白鳥を見るということが発覚。いわば、アウェーの状態からスタートしたものの、すぐに客席を笑いの渦に巻き込んでいった。

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そして、トリの円丈は、前座の高座生中継を番組にした『前座チャンネル』を披露。これは、今年8月に谷中全生庵での「円朝忌」でも高座にかけ、噺家、落語関係者という笑わない客を笑わせたという作品。前座の失敗を真打の師匠が中継するという、落語ならではの部分を味わえる作品でもある。台本を見台に置くスタイルが定番となり、自らの記憶力の衰えも、もはやネタにしている。生き方を高座に反映させ、笑いに変えている円丈。万雷の拍手のもと高座を下り、終演となった。

好評の「実験落語neo」シリーズは、次回、第八回「実験落語neo~シブヤ炎上2017晩秋~」を11月にCBGKシブゲキ!!で開催する予定。

<上演データ>
CBGKシブゲキ!! 『実験落語neo~シブヤ炎上しまくり~』
日時:2017年9月8日(金)
[出演]三遊亭円丈、桂文珍、三遊亭白鳥、春風亭昇々、清水宏
(開場時ロビーにて、"三遊亭はらしょう"によるウエルカム落語上演あり)
主催:CBGKシブゲキ!!

2017年8月30日 CBGK シブゲキ‼にて『なつのおわりのゾンビフェス!』が開催された。"ゾンビ"をキーワードに、俳優・入江雅人がホストを務める形で、お笑いコンビ、落語家、俳優、活弁士と様々なエンターティナーが集合し開催された。

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小松利昌

オープニングアクトは俳優・小松利昌。おどろおどろしくゾンビに扮し登場。しかし一変、ゾンビが告白の練習をする"恋するゾンビ"話。小松扮するゾンビ女子が、一生懸命に告白しようと練習しようとする姿が、健気で妙に可愛い。
小松が自ら創る小道具のクオリティも彼のコントの見所だが、この日も質感のある"内臓各種"を披露し、全力のゾンビ芸が笑いを誘った。

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阿佐ヶ谷姉妹

次に登場したのは、お笑いコンビ・阿佐ヶ谷姉妹。トレードマークのピンクの揃いのドレスで登場し、このイベントの為に作られたゾンビのオリジナルテーマソングの歌唱を披露。「はらわたからアイラブユー」というキテレツな歌詞を2声コーラスの美声で披露。それだけで終わらず"歌って漫才"のネタも披露。

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チョコレートプラネット

続いて、お笑いコンビ・チョコレートプラネットが登場。ゾンビと人間の男が、ひたすら取っ組み合いをするコント。長田庄平扮するゾンビが、松尾駿扮する男に迫り、男は「臭い臭い」と突き放すが、懲りずにゾンビは絡んで来る。通常4分くらいのネタを、この日はロングバージョンで叫び戦い続けた。

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立川志ら乃『ナイトプールに行くような女をゾンビになってどうにかしたい』

そして次は、落語家・立川志ら乃の落語。志ら乃は従来から『悪魔のいけにえ』というテーマで落語を行ない、同じゾンビ好きとして、twitter上で入江雅人との縁が出来たことから、このイベントの出演に至った。この日は、『ナイトプールに行くような女をゾンビになってどうにかしたい』という新ネタを披露。ゾンビになるための稽古を習いに行くという、古典落語『あくび指南』を彷彿させながらも全編がゾンビという独創的な噺を、歯切れのいい語り口で聞かせた。

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