■ミュージカル『王家の紋章』#2■
連載開始から40年を迎える少女漫画の金字塔『王家の紋章』が、初のミュージカル化!
累計発行部数4000万部超を誇る少女たちのバイブルを、脚本・演出=荻田浩一、音楽=『エリザベート』のシルヴェスター・リーヴァイという豪華クリエイターがどうミュージカル化するのか、期待が高まるところ。
物語は考古学を研究するアメリカ人少女・キャロルが、仲間たちとあるピラミッドを発掘したことをきっかけに古代エジプトにタイムスリップしてしまい、そこで出会った若き王・メンフィスをはじめ古代エジプトの人々と愛憎のドラマを繰り広げていく壮大なもの。
ヒロインであるキャロルは、宮澤佐江と新妻聖子がWキャストで演じます。
ということで『王家の紋章』ビジュアル撮影レポ&インタビューシリーズ、今回は宮澤佐江さんが登場!
宮澤さん、帝国劇場は初出演!! です。
◆ ビジュアル撮影レポート ◆
カメラマンさんと「お久しぶりです!」と会話を交わしていた宮澤さん。
以前出演された、地球ゴージャス『クザリアーナの翼』の時も、同じカメラマンさんだったそう。
演出の荻田さんからは、「キャロルは元気な子なので、基本は明るめの表情で」と注文が。
様々なタイプのキュートな表情がどんどん出てくるのは、さすが現役アイドル!です。
ヴェールの裾の可愛いピンク色が、誰からも愛されるキャロルに似合っている...と思うのは私だけではないはず。
後半は、フリーな雰囲気で、カメラマンさんとのセッション撮影。
これ、まだ稽古に入るずっと前ながら、すでにキャラクターになりきる役への理解度が試されそう......。
俳優さんって、大変......。そして、スゴイ!
ヴェールを巧みに使い、キャロルになっていく宮澤さん。
神秘的な表情からは、古代エジプトの世界で「ナイルの娘」と崇められていくキャロルの姿が想起されます。
さて、撮影を終えた宮澤さんに、お話を伺ってきました!
◆ 宮澤佐江 INTERVIEW ◆
――キャロルに扮しての撮影、素敵でした。
「すごく緊張しました。緊張していっぱい汗をかいてしまいました(笑)」
――宮澤さんは『王家の紋章』という作品のことをご存知でしたか?
「(小声で)知りませんでした...。でも出演が決まってから、少しずつ読み進め、世界観を学んでいます! すごいですよね、60巻目がこのあいだ新刊として発売されたと聞いて。連載40年目なんですって? 私より先輩ですね(笑)。絵がすごく印象的で、私は実際にエジプトに行ったことはないのですが、古代のエジプトの風景が、紙面から伝わってきます。白黒で描かれているのに、あぁこんな色合いなのかなというのが目に浮かんで。お話はナイル川を挟んで古代と現代を何度も行き来するのですが、その間に予期せぬことがたくさん待ち受けていて、そのたびにメンフィスとキャロルの愛が深まっていく。現実味がありそうでなさそうなところが、"ザ・コミック"! ですよね。ドラマが濃厚すぎて、"キュンキュン"を通り越して、"ギュンギュン"しています(笑)。こんなこと、舞台上でされたら、私、もうどうして良いの? とか思い妄想しながら読んでいます」
――演じるキャロルには、どんな印象を受けましたか?
「現代に生きるキャロルちゃんは、好奇心旺盛な女の子。私と少し、似ているかもしれません。でも古代に行くと、どんどん凛々しくなりますよね。そういうところもちゃんと、お芝居で表現していかなきゃと思います」
――そして、宮澤さんは帝国劇場へは初出演ですね。まず、宮澤さんが帝劇に出る、ということに驚きました! この出演は、オーディションで決まったのですか?
「最初にやってみないかと声をかけていただき、その後何度かお歌のテストを受けました。ぜんぜん自信はなかったのですが、せっかく頂いたチャンスだと思って頑張りました。...そうしたら、こんなすごいことになってしまって! 自分でも信じられないです。帝国劇場は、何度もミュージカルやお芝居を観に来ていますが、自分がここに立つなんてことは思いもせず、作品を観ていましたので、おそれ多い、といいますか...」
――しかも、山口祐一郎さんはじめ、いかにも帝国劇場らしいキャストの皆さんに囲まれていますね。
「そうなんですよ! 帝国劇場に観にいくとその後の公演のチラシをもらうじゃないですか。それを見ると、絶対にそこに載っていらっしゃる方たちですよね。そのような皆さんと一緒に舞台に立つなんて...。"ホップ・ステップ・ジャンプ"という言葉がありますが、ステップを飛ばして、ホップからジャンプに行っちゃった、みたいな感じです。正直、自分の中で踏んできた階段がないので、誰よりも頑張らなければいけない、人生の中で一番頑張らなきゃ、と思っているところです」
――ただ、宮澤さんはこれまで、アリーナクラスのビッグステージは山ほど経験していらっしゃいます。
「いや、それとはぜんぜん違います! まず、今までは仲間がいましたが、今回はひとりの"宮澤佐江"としてこの作品に出させていただくという、自分の環境が違います。さらにその場所が帝国劇場というのは...本当に、長い歴史があり、様々な人の思いも刻まれてきている舞台ですので...。やっぱり不安でいっぱいです」
――でも地球ゴージャスへご出演された時も素敵でしたので、今回も宮澤さんのキャロル、楽しみにしています。ミュージカルはお好きなのですか?
「はい、よく行きます! (地球ゴージャスの)岸谷五朗さんの舞台は頻繁に行かせて頂くんですが、五朗さんが演出した『ソング・ライターズ』は、私が『クザリアーナの翼』に出る前に初演を観させていただいて、あまりに感動して号泣して初演で2回行って、去年の再演も行っています」
――同じ作品を3回というのは、もうファンの行動ですね(笑)。そして今回はシルヴェスター・リーヴァイさんという、日本でも大人気の方の作品です。
「あの『エリザベート』の! ですよね、ホントにすごいことですよね...」
――初演ですから、宮澤さんの声質に合わせて作られた曲が、もしかしたら今後世界で歌われていくことになるかもしれません。
「プレッシャーですね(笑)。でも、やっぱり初演に参加できて嬉しいという気持ちもあります。この、今年私たちがやる『王家の紋章』が、たくさんの方に観ていただいて、たくさんの方から素敵な意見を頂いたら、本当に世界に広がっていくかもしれない。キャロルも、どんどん違う人が演じて、引き継がれていくのかもしれない。そう思うと、やっぱり一番最初にその役を演じられる、この作品に携われるというのは、私の中でも財産になるんじゃないかなって思います。もちろん「それは私にかかってるんだ」というくらいに、自分にプレッシャーを与えて必死に頑張らなきゃ、と思ってるんですが」
――本当に期待しています。最後にライトな質問を。『王家の紋章』、キャロルを取り巻く男性は素敵なキャラクターばかりですが、宮澤さん個人としては誰がお好きですか?
「えー! どうしよう。まずぱっと思ったのは、私、自分で言うのも何なのですが、ブラコンなんです。兄・兄・私、の3人きょうだいで、今も一緒に暮らしてますし、お兄ちゃん大好きなので、ライアン兄さんを好きになりそうな傾向はすでに持ってますね(笑)。メンフィス役の浦井さんには、先ほどちょっとご挨拶させて頂いたのですが、素敵でした! 背が高くてお顔が小さくて、何頭身なんだろう!? ってカンジ。やっぱりスターさんなんだな、と。メンフィスのキャラクター自体は、最初は強引すぎて「こういう人、絶対無理!」って思ってたんですが(笑)、次第にちょっと不器用な部分が見えてきたり、キャロルに対する大きな愛が見えてきたり。女性って、愛される方が幸せって聞くけど、そういうことを教えてくれるのはメンフィスなんじゃないのかなってちょっと思いました。でも、一番共感するのはイズミルですね! 最初はそんな気持ちじゃなかったのに、気付いたら本当に恋をしてしまってる、キャロルのことを好きになればなるほどキャロルを傷つけるのがわかってる、なのに気持ちを止められない...って、イズミルが一番苦しいと思う。一番優しくて、素敵な人なんじゃないかな。なので、客観的にみたらイズミルです! キャロル・宮澤佐江から見たら、ライアン」
――メンフィスが可哀想な結論に(笑)。
「ふふふ(笑)! わからないです、本番始まったら「やっぱりメンフィスが一番!」って言ってるかもしれません。そんな自分がすでにちょっと想像できます(笑)」
取材・文・撮影:平野祥恵
【公演情報】
・8月5日(金)~27日(土) 帝国劇場(東京)
※8/3(水)・4(木)プレビュー公演あり
一般発売:5/28(土)