中川晃教、10年ぶりのスタジオ録音アルバム『decade』リリース記念イベント開催

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中川晃教「無力な自分を感じた」故郷仙台・気仙沼の復興を祈る
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シンガーソングライターであり俳優の中川晃教が、10年ぶりのスタジオ録音アルバム『decade』をリリース。3月10日、お台場ヴィーナス・フォートにて、リリース記念イベントを開催した。 

2001年にデビューした中川は、その翌年・2002年にミュージカル『モーツァルト!』の主役に抜擢され、以降、数々の舞台にひっぱりだこ、その高い歌唱力は日本ミュージカル界に欠かせない存在になっている。一方で「自分はシンガーソングライターとして世に出ることが出来たのに、自分が一番大切に思っている音楽活動が出来なくなっていくということに苦しんだ時期もあった」と葛藤したことも明かす。だが「発想を変え、ライブを継続していく中で、必ず新曲を書いて、お客さんに届けていこうと思い、新曲を書き続けてきた。この10年間、アルバムとしては発売できなかったけれど、作ってきた新曲たちが育まれ、今回新鮮な形でスタジオ盤として収めることが出来た。苦しかった時期も葛藤していた時期も、すべてこの1枚のアルバムを作ることで昇華されている」と、10年ぶりのアルバムへ込めた思いを語った。 

イベントでは、アルバム収録曲3曲に加え、ピアノ弾き語りで4分弱の即興曲を歌うサプライズもあり、集まった大勢のファンを喜ばせた中川。披露された1曲『そして、僕は魚になる』は東日本大震災後に書いた曲であるといい、「僕は仙台出身で、父の実家は気仙沼。子どもの頃から見慣れていた、心の中に焼きついている海の景色が、一瞬にしてなくなった。何が自分は出来るだろうと、無力な自分を感じたんです。あんなに美しかった海が今は怖いと誰もが感じたと思う。その海をテーマに、やるせない気持ちを書きました。5年間、あの日を忘れることはできなかった。気仙沼にお墓参りに帰った時などに、まだまだ改善されていない景色を見ると、本当にどうなっていくんだろうと思います。でも心から復興を信じ、僕も自分で出来ることをやっていきたい」と、故郷への思いも話した。 

イベントのラストには、ボーナストラックとして収録された『Can't Take My Eyes Off You(君の瞳に恋してる)』も披露。こちらは今夏日本初演されるミュージカル『ジャージー・ボーイズ』のナンバー。60年代のアメリカで一世を風靡したバンド、ザ・フォー・シーズンズの真実の物語を綴った作品で、中川は"天使の歌声"と称されたフランキー・ヴァリ役を演じる。「ミュージカルというキーワードは、いまや切っても切り離せない、中川晃教の一部になっている。そして『ジャージー・ボーイズ』は僕にとって運命を感じる作品」と中川が語るこのミュージカルの楽曲を、心の底から楽しそうに歌っていた姿が印象的だった。 

ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』公演は6月29日(水)から7月31日(日)まで、東京・シアタークリエにて上演。チケットは4月30日(土)に一般発売を開始する。



...ということで、3/9にリリースされたばかり、中川晃教さん最新アルバム『decade』のリリース記念イベントレポートです!
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ニュースサイトにも記しましたが、この日のイベントは、3曲披露の予定が、ピアノ弾き語りで即興曲も飛び出すサプライズも。
そんなことからも、中川さんの、歌うことが楽しくて仕方ない、という気持ちが伝わってきます。
音楽が本当に大好きなんだろうなあ...。

もう、登場からこんな感じで...。
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ケータイで写真撮ってるし!(楽しそう...)
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「音楽って、皆さんのポケットの中に入れてもらって、皆さんの日常と一緒にはぐくまれていく、それが音楽の素敵だなと思えるところです。今回の『decade」」もそういう思いを込めて、1曲1曲選曲しています」と、中川さん。
『そして、僕は魚になる』
こちらは、東日本大震災後に、故郷である仙台、気仙沼に向けて書いた曲とのこと。
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「私は仙台出身で、そして父の実家が気仙沼になるんです。ふるさとという場所に対する思いは、小さい頃からずっと培われて僕の中にあるもの。大きな震災でしたので、私が子どもの頃から見慣れていた、心の中に焼きついている海の景色が、一瞬にしてなくなった。その時に、何が自分は出来るだろうと、無力な自分を感じたんですね。でもやっぱり人は生きていかなければいけない、明けない夜はないんだと思って、ピアノの前に向かって生まれた曲がこの歌です。美しい景色、美しい海だけれど、あんなにも自然の力って怖いんだということを誰もが思ったと思うんです。その海をテーマに、やるせない気持ちを書きました。
ちょうど明日(イベントは3月10日)で震災から5年。早かったな思います。でもその「早かったな」というのは、苦しいところからり立ち上がっていかなきゃいけないと前向きに心を鼓舞する、そしてみんなが一丸となることで「出来ないことはないんだ」と信じられる気持ち、人間の力が、早かったなと思わせてくれるんだなと思います。
一方でやっぱりあの日を忘れることはなかった5年間でした。気仙沼にお墓参りに帰った時などに、手付かずの状態にさえ思えてしまう景色を見ると、本当にどうなっていくんだろうと思います。でも心から復興を信じ、僕も自分で出来ることをやっていきたいと思います」
と、曲に込めた思いを取材の場で話していらっしゃいました。


そして弾き語りでの即興からの...
『Miracle of love』(ピアノ弾き語り)
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最後は「僕にとって運命を感じるこの作品、『ジャージー・ボーイズ』!! この曲で終わります」という中川さんの紹介で、
『Can't Take My Eyes Off You(君の瞳に恋してる)』
集まったファンのみなさんも、ノリノリでした♪
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イベント前、囲み取材も行われましたので、そちらのコメントもご紹介。


――10年ぶりのスタジオ収録盤アルバムのリリースになりました。この『decade』は、中川さんにとってどんな1枚になりましたか。

「僕は2001年にデビューして、今年でデビュー15周年になります。振り返るとあっという間だったと思えるのですが、今回スタジオでのレコーディングをきっかけに、僕が書いてきた音楽1曲1曲と向き合うことで、やっぱり15年は僕にとって大きな時間だったなと実感しました。人の心に届く歌が歌えるようになりたいと思って、ミュージカルの経験も、人間としても経験を積み重ねてきた今の僕が到達した、それがこのアルバムなんだなと実感しています」
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――なぜ、10年ぶりになったのでしょう。

「音楽活動というと、曲を作って、スタジオに入って、レコーディングにして、アルバムやシングルとして世の中にお届けして、コンサートを行っていく...というのが通常だと思うのですが、僕は2001年にデビューし、ほぼ1年後の2002年にミュージカルを始めている。その中でリリース活動がだんだん難しくなっていった時期に、かなり葛藤はありました。自分はシンガーソングライターとして世に出ることが出来たのに、自分が一番大切に思っている音楽活動が出来なくなっていくということに苦しんだ時期もあった。でも発想を変えて、ライブを継続していく中で、必ず新曲を書いてお客さんに届けていこうと思って、新曲を書き続けてきました。この10年間、アルバムとしては発売できなかったけれど、10年のあいだ作ってきた新曲たちが育まれて、今回新鮮な気持ちでスタジオ盤として収めることが出来たので、苦しかった時期も葛藤していた時期も、すべてこの1枚のアルバムを作ることができたことで、昇華されています」


――アルバムをリリースし、またさらに新たな目標も広がったのでは?

「今回のアルバムは老若男女問わず、幅広い方々に聴いていただきたいと思って作りました。そしてきっと、11曲あるうちの1曲は必ず、誰にとっても心に届く歌、楽曲になることを前提に選曲しました。
僕が小さい頃、母が古賀政男先生のもとで指導を受け歌っていた、僕にとってはそういった親のバックボーンがあって今の自分がいると思っています。演歌や歌謡曲といった日本の音楽は小さい頃からずっと聴いていたし、美空ひばりさんとか布施明さんとか、歌の力というものを強く感じる歌手の方々のような歌を、僕も歌っていきたい。そして自分の個性であるピアノを弾いて歌ったり、リズムのある楽曲は、洋楽から影響を受けていると思う。ジェームス・ブラウンやスティービー・ワンダーといった洋楽の要素も自分の中でクロスオーバーしている。なので目標としては「本当に色々な世代の方に聴いていただく歌を歌っていきたい」です。
そしてもうひとつ、ミュージカルを作りたいという目標があるので、いつの日か自分のオリジナルミュージカルを書けるように頑張っていきたいと思います」


――リリースを待っていたファンへひと言

「ミュージカルの世界だけでなく、大きくエンターテインメントの世界の中で、自分の信じた道...誰も歩いていない、自分だけの道を歩いていきたいといつも思って頑張ってきています。その自分を応援してくれるファンの存在、そして(劇場や会場に)足を運んでくださるお客さまの存在というのは何よりも僕にとって力です。その力をお借りして、こうして15周年の年にアルバムをリリースできていることに喜びを感じています。同時に、ミュージカルというキーワードは僕にとっていまや切っても切り離せない、中川晃教の一部になってきていることも実感しています。
そして、昨今ミュージカルというものを頻繁に話題に取り上げていただける時代に入ったのかなと実感しているのですが、それはミュージカル、そしてエンターテインメントというものに真剣に向き合って頑張っている仲間たちの力も大きい。ミュージカルが、たくさんの方々にとって、元気や、また明日も頑張ろうと思える活力になっていけるように、これからも仲間たちと一緒に頑張っていきながら、ひとりでも多くの方に歌声を聴いていただけるように僕も頑張っていきたいと思います」
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とっても真摯に取材を受けていた中川さんですが、最後に「...すごい真面目でいい感じでしたね、自分!」と笑うところも、とてもキュートでした!


取材・文・撮影:平野祥恵



【『ジャージー・ボーイズ』公演情報】
・7月1日(金)~31日(日) シアタークリエ(東京)
※6/29(水)・30(木)プレビュー公演あり。
一般発売:4/30(土)

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