当サイトではすでにインタビューや記事で、作品の魅力を追っている『ジャージー・ボーイズ』ですが、ついに2月15日、日本版ボーイズたちが一堂に会しました!
本日は都内ライブハウスにて行われた記者会見の模様をお届けします。
『ジャージー・ボーイズ』は、『君の瞳に恋してる』『シェリー』など、誰もが知る名曲の数々を生み出し、レコードは世界中で1億枚以上売り上げ、世界ナンバーワン人気に上り詰めた(ビートルズ以前、世界でもっとも人気のあったグループと称されています)4人組ボーカルグループ、ザ・フォー・シーズンズの実話をもとにした物語。
60年代アメリカン・ポップスらしい、キラキラしたフォー・シーズンズのサウンドとともに、グループの盛衰を春夏秋冬の4場面で描く物語の妙で、2005年のブロードウェイで開幕以降、トニー賞最優秀ミュージカル賞、グラミー賞など数々の賞を総なめに。
2014年にはクリント・イーストウッドの手による映画版も好評を博しました。
この人気作が、ついに日本版として登場します。
【バックナンバー】
今回はメインボーカルであるフランキー・ヴァリ役の中川晃教さん以外の3名は、ダブルキャスト。
その、計7名のボーイズが、この日は集結しました!
<チームRED>
中川晃教/藤岡正明/矢崎 広/吉原光夫
<チームWHITE>
中川晃教/中河内雅貴/海宝直人/福井晶一
日本版を手がけるのは、気鋭の演出家・藤田俊太郎。
「震えるほど素晴らしいスタッフの皆さん、キャストの皆さんとお仕事できることをとても嬉しく思っています。演劇を大事に、音楽を大事に、決定版と呼べるような、新しい『ジャージー・ボーイズ』を作っていきたい」と意気込みを語ります。
"日本版"として新しい演出になることについては、
「せっかく僕がこのメンバーとやれるので、ブロードウェイ版や映画とはまったく違う作品を作りたい。詳細をいま明らかにしてしまうと、本編を観る楽しみがなくなってしまうのですが、<日本人が演じるジャージー・ボーイズ>という色々な構造を用意して、日本人が演じるからこその構造、日本のお客さまが入っていきたやすいものをたくさん用意しようと思っています。
ただ、奇抜なアイディアで読み解くのではなく、ちゃんとバンドの崩壊や青春というものをきちんと描けるようにしたい。抽象的ですが、これだけの素晴らしいメンバーが、きちんと日本人としてジャージー・ボーイズを演じるという輝きに達せられるような演出を考えています」とのこと。
続いて、キャストの皆さんの意気込みはこちら。
フランキー・ヴァリ役=中川晃教さん。
「本国のプロデューサーでもあるボブ・ゴーディオさんが、色々と審査をしてくださって、日本のフランキー・ヴァリ役は中川でいいでしょうと言っていただいて、物事がスタートしました。そういう意味では、僕にとってもこの作品はチャレンジの作品です。そして何より、ボーカルグループの物語です。全員でこの物語が感動の渦の中にいけるように、みんなで力をあわせていい作品にできるように頑張っていけたらと思います」。
役柄と自身の共通点については
「フランキーはニュージャージーの町の出身で、ニューヨークシティに憧れていた。僕は仙台出身なんですが、東京に出て行くことに憧れていたという部分では、共通するかもしれません。また仲間に出会っていくことによって自分の歌をみつけていく、そして自分の歌が世界に求められる歌になっていく、そこには光と影がある。葛藤もあるけれど、振り返るといつでもそこには大切な仲間たちがいる。それはこの作品のポイントなのかなと思います。僕自身も本当に、ミュージカルという仕事だけじゃなく、仲間をすごく大切にし、いつも仲間に助けられている実感があります。いま俺の横にいるマサ(藤岡正明)なんかはデビューほとんど一緒で、共演も続き、まさにそんな存在。信頼できる仲間がいるからこそ、好き勝手できるし、力を発揮できる。ですので、仲間と夢を持って、どこまでも子どもでいる...夢を諦めず青春をずっと追いかけていける、そんなところが自分と重なればいいなと思います」と語りました。
〈RED〉トミー・デヴィート役、藤岡正明さん。
「ブロードウェイ版が来日した際に観に行ったのですが、終始「楽しい~!」と思いながら観ていました。本当に楽しいミュージカル。そして日本初演ですが、たぶんこれは今後、再演、再々演と続いていく作品になるんじゃないかな、日本の新しいスタンダードミュージカルの誕生の瞬間になると勝手に思っています。ぜひご期待いただけたら。
来日公演を観た時は、とてもカラっとしているミュージカルだなと思ったんです。悲しい出来事も起こりますが、それでもカラリとしている。僕の演じるトミーは、ひどいことをやってるので、普通に考えたらヒールっぽく思われがちなんですが、まったくもってそうは思われない。愛嬌のある作品です。僕自身が良くも悪くも楽観的なので、そこに入り込みやすい気がして、すごく共感を覚えました。そういうところは、自分が演じる上でも取り入れていきたいです」
来日公演を観た時は、とてもカラっとしているミュージカルだなと思ったんです。悲しい出来事も起こりますが、それでもカラリとしている。僕の演じるトミーは、ひどいことをやってるので、普通に考えたらヒールっぽく思われがちなんですが、まったくもってそうは思われない。愛嬌のある作品です。僕自身が良くも悪くも楽観的なので、そこに入り込みやすい気がして、すごく共感を覚えました。そういうところは、自分が演じる上でも取り入れていきたいです」
〈WHITE〉トミー・デヴィート役、中河内雅貴さん。
「自分で言うのは変ですが、まっすぐでアツくて、仲間思いのところは自分もトミーと似ているかなと思っています。台本を読み、またメンバー4人の関係性で、自分の役も変えていったりしたいとは思っていますが、自分の持っているエネルギーを役に反映できたら良いですね。初心にかえって、皆さんと一緒にいいものを作っていきたいと思います」
〈WHITE〉ボブ・ゴーディオ役、海宝直人さん。
「この『ジャージー・ボーイズ』は既存のアーティストの楽曲で作品を作る"ジュークボックス・ミュージカル"なのですが、その中でも珍しく、そのアーティスト自身を描いている作品でもあります。音楽と、彼ら自身を深く掘り下げて、音楽にもこだわって演じていけたらと思っています。
役については、まだ映画で見た印象ではありますが、自分とボブはあまり共通点を感じなかったかな(笑)。ただ、役と離れているからこそ面白いこともたくさんあるでしょうし、みんなで芝居をしていくなかで、自分と通じるところもこれから出てくると思います。そういうところも楽しみにしながら、役を作り上げていけたらと思います」
〈RED〉ボブ・ゴーディオ役、矢崎 広さん。
「ザ・フォー・シーズンズは、アメリカで愛されているグループですし、ブロードウェイでのミュージカル化、映画化もされ、世界各地に色々なジャージー・ボーイズがいます。その中で、ジャージー・ボーイズの一員になれることをうれしく思います。日本初演を演じさせていただくことも光栄に思っていますし、緊張もしています。自分で得るものも大きいと思っていますので、全力で頑張りたいです。
僕の演じるボブ・ゴーディオさんは、(オリジナルブロードウェイ版の製作に関わり)今回の公演にも関わってくださっているわけで、それはずっとザ・フォー・シーズンズを愛しているからこそだと思います。自分にとってこの日本の初演版が、そういう作品になればいいなと思いますし、そこが自分とボブの共通点になれば、そのくらい自分も作品を愛せるように向き合っていければと思います」
〈WHITE〉ニック・マッシ役、福井晶一さん。
「このお話をもらったときに、年齢的に自分はザ・フォー・シーズンズのメンバーではないんじゃないかと思ったのですが、4人のなかのひとりに入れていただいて光栄に思っています。素晴らしい、日本のミュージカル界を担う若者たちと一緒に、この新しい作品を作れる喜びをいま感じています。
僕も若い時、まず歌が好きで、そして北海道の田舎で華やかな世界に憧れていました。若い頃に憧れていた華やかな世界の栄光や、東京に出て来て色々なことがあり挫折して...というところもありましたので、そういうところは自分の中からニックを見つけられるのかなと思っています。またニックは少し4人の中では年上なので、そこも共通点。それから僕はこういう(会見のような)場がすごく苦手なので、もしかしたらニックもこういう場に違和感を感じてたんじゃないかなとも思っています(笑)。でも頑張っていきたいと思います」
〈RED〉ニック・マッシ役、吉原光夫さん。
「皆さんの話をきいていると、ありそうでなかった作品なんじゃないかなと思っています。男くさいメンツで、仲がいいのか悪いのかわからないんですが(笑)、ケンカして、酒のんで、楽しくやりたいと思います。
演じる役については、福井さんと少し似てるかもしれませんが...、僕、けっこう最近まで、中河内や藤岡みたいな立ち居地のつもりでいたんですが、もう自分は一番年長者で、中川君に「胸を貸していただいて」とか言われる年齢になってきたんだなというのを最近実感するんです。気を遣われるようになってきた(笑)。最初はキャスティングを聞いて、「僕、この役?」って思ったんですよ。でもその感じが共通点なのかなと思いました」
そして〈RED〉と〈WHITE〉の両チームを、シングルキャストで演じる中川さんは
「ふたつのチームでプロモーションをビデオを撮ったのですが、まったく空気が違っていました。REDチームはわりとコワモテな感じ、WHITEの方は爽やかな感じ。(といったところで藤岡さんから「ほんとはREDチーム、コワモテはひとりしかいませんからね?」とのツッコミが)
...(そのコワモテ=吉原さん!?は)実はかなりムードメイカーだし、胸を借りたいなと思っています。そしてWHTITEチームも胸を借りれる方がいて、とってもいいバランス。WHITEの方はポジティブで前向きに楽しく、そしてREDチームは「めんどくせぇ~」とか言いながらも、やるときはちゃんとやるメリハリ感がなんとも言えません(笑)。ご覧のとおり個性的な人が揃っていて、実力も揃っている。あとはボーカルグループとしてどこまで高みを目指せるか。切磋琢磨していける素晴らしいチームなんじゃないかなと思っていますので、どちらもぜひ観ていただければ」と、それぞれのチームの魅力を語ります。
また、ボブ・ゴーディオのGOサインが出ないと演じることができないというフランキー・ヴァリ役。
実在のフランキーは(作品の中でも)"天使の歌声"と呼ばれています。
その歌を歌うことについては、次のように話しました。
「デモテープを送ったのですが、トワングという独特の発声法があるのですが、そのトワングを用いて歌うパートと、アタマからトワングで歌って地声に変化するところ...というように、かなり具体的なテクニックを用いなければ歌えないナンバーを歌うことを望まれているんだなとよくわかりました。ボブさんと直接会話を交わしてはいませんが、メール等々ではこういう風に歌って欲しいと頂きました。
...やっぱり自分が持ってる声とはまた違う声――第3の声とでも言うような、新しい声を自分自身も発見している最中です。でもハーモニーになったときの音程やピッチがコントロールしきれていない自分がいて、精度がまだ満足いっていないので、そういう意味ではやりがいがある役です。
トワングという歌唱方は、独特なのですが、それでいて逆にのどに負担がない。ミュージカルやアクトをやっている俳優たちみんながこの発声を習得したら、きっと僕の仕事はなくなるんじゃないかな(笑)。そのくらい世界的にはよく使われる発声。逆に、これが出来ないと世界には出て行けないのかなと思います。いいチャレンジをさせていただいています」
ザ・フォー・シーズンズといえばコーラスワークが命といっても過言ではありません。
中川さんを中心に、REDとWHITEがどんなチームを、どんなグループを、そしてどんなハーモニーを作り上げていくのか、楽しみですね!
もうひとつ、最後に中川さんの意気込みを。
「フランキー・ヴァリ自身も、ボブ・ゴーディオと出会うことによって大きく人生が変わっていった。僕自身も中川晃教として、ボブ・ゴーディオさんと『ジャージー・ボーイズ』をきっかけに出会ったことによって、ボーカルという部分においても、ミュージカルというジャンルの中でも、ひとつ自分自身のステージが上にあがることを信じたい。とにかくこの素晴らしい名曲と、素晴らしい物語に、僕自身体当たりして、この作品を本当に成功させていきたいという思いを感じています」
取材・文・撮影:平野祥恵
【公演情報】
・7月1日(金)~31日(日) シアタークリエ(東京)
※6/29(水)・30(木)プレビュー公演あり。
一般発売:4/30(土)