「ETERNAL CHIKAMATSU」稽古場レポート

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ポケットに手を入れたルヴォーさんが稽古場に現れ、俳優陣がスタンバイしているところまで出向いて、本日の稽古について話し始めた。端から見ると、世間話でもしてるみたいにリラックスした表情で、キャストから笑いまで取っている。繊細かつ緻密で求心的なルヴォー演出のイメージを覆す、フランク&フレンドリーな雰囲気だ。
 「すいません、いいですか」という、そのきれいな発音の日本語のひと声で始まったのは、『心中天網島』のおさん(伊藤歩)が、治兵衛(中島歩)に金策用の着物を持たせて送り出そうとする場面。夫の愛人のために粉骨砕身する妻と、恐縮しつつもそれに甘える夫の会話には、ちょっと現代人には理解しづらい歯がゆさがある。ルヴォーさんは伊藤さんと中島さんに質問を投げかけたりしながら、両者の真意を少しずつ探ってゆこうとしているようだ。
 こうした『天網島』の各場面を、現代からやって来たハル(深津絵里)と、謎のジジイ(中嶋しゅう)が傍観している。そしてハルはこの後、近松が描いた心中物語にどんどん介入してゆくという、この作品ならではの大胆な展開となる。ルヴォーさんと話し合いながら脚本を執筆した劇作家/演出家の谷賢一さんは、稽古にもつねに立ち会い、日英のせりふの表記の確認や変更に対応している。この日も、ラストシーンの一部のせりふを変更することになり、ルヴォー、深津、七之助、演出助手、通訳の5人が、ラップトップPCを開く谷さんを囲んで、鳩首会議を始めていた。稽古に入る前も入ってからも、脚本はとめどなくアップデイトされているそうだ。ちなみに、今回ルヴォーさんの通訳をつとめているのは、演出家の小川絵梨子さん(!)。谷さんと小川さん、いま日本演劇界でめざましい活躍を続けている二人の若手演劇人が顔を揃えた現場は、将来語りぐさになるんじゃないだろうか。
 さて、本日はいよいよラストシーンに突入。ハルの主体性がより明快になってゆくにつれて、深津さんの凛とした美しさが際だってゆく。七之助さんの、歌舞伎の女方の完成された表現美がこれに拮抗して、異なる二つの強烈な個性が、絶妙なハーモニーを醸し出す。花道と廻り舞台の機能を合体させたような装置もフル稼働し、歌舞伎のスペクタクル性を意識した趣向に富む演出が、いろいろ試されていた。
 「これでひとまず全体の絵ができました。ラブリー。素晴らしいです」とルヴォーさんが満足気な表情で全員に声を掛けて、本日の稽古は終了。順調に進んでいるようだけど、今日見た光景が、そのまま本番に反映されると思ったら大間違いな気もする。これからどのような進化を遂げるのか。ますます初日が楽しみになってきた。 

(文=伊達なつめ)


『ETERNAL CHIKAMATSU』-近松門左衛門「心中天網島」より-
[作]谷賢一 [演出]デヴィッド・ルヴォー 
[出演]深津絵里 / 中村七之助 / 伊藤歩 / 中島歩 / 入野自由 / 矢崎広 / 澤村國久 / 山岡弘征 / 朝山知彦 / 宮菜穂子 / 森川由樹 / 中嶋しゅう / 音尾琢真 / 他 

【大阪公演】2016/2/29(月)~3/6(日)梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
【東京公演】2016/3/10(木)~27(日)シアターコクーン

★東京追加公演は明日20日に一般発売!

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