1960年代のアメリカで一世を風靡したバンド、ザ・フォー・シーズンズ。
ビートルズ以前に世界で最も人気のあったバンドと言われ、今でも彼らのヒットナンバーは色あせることなく、世界で愛されています。
アメリカン・ポップスの代名詞のような『君の瞳に恋してる』『シェリー』などは、たとえ彼らの名前を知らない世代でも、一度は耳にしたことがあるはず!
ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』は、そんなザ・フォー・シーズンズの名曲約30曲で、彼ら自身の真実の物語......成功と、その裏にあったメンバー間の格差やすれ違い、プライベートの不幸までを綴るもの。
2005年にブロードウェイで開幕、昨年は初来日公演が実現、またクリント・イーストウッド監督による映画版もヒットした名作です。
そして今夏、この待望の日本キャスト公演が決定!
"天使の歌声"フランキー・ヴァリ役に、中川晃教。
ザ・フォー・シーズンズのリードヴォーカルにして、脅威のハイトーン・ヴォイスを、日本ミュージカル界が誇る歌声の持ち主、中川さんがどう聴かせてくれるのか。今から楽しみです!
そしてフランキー以外の3人のメンバーは、Wキャスト(2チーム制)。
フランキーをグループに誘ったトミー・デヴィ―トは藤岡正明と中河内雅貴。
グループ最年少にして、作曲家でもある(このミュージカルの製作にも関わっている)ボブ・ゴーディオは、海宝直人と矢崎広。
(ちなみにボブがフォー・シーズンズ加入前に作ったヒット曲『Short Shorts』は、タモリ倶楽部のオープニングナンバーとして日本人にはおなじみです)
トミーとともに当初からグループを組んでいたニック・マッシ役は、福井晶一と吉原光夫。
チーム分けはこうなっています。
<チームRED>
中川晃教/藤岡正明/矢崎 広/吉原光夫
<チームWHITE>
中川晃教/中河内雅貴/海宝直人/福井晶一
さて、まだまだ公演は先ですが、本作に主演する中川晃教さんにお話を伺ってきました!
また中川さん、3月9日(予定)に10年ぶりのスタジオ録音オリジナル・フル・アルバムがリリースされることも発表に。
このアルバムにはフランキーの最大のヒット曲『君の瞳に恋してる』のカバーも収録されるとのこと。その、久々のアルバムリリースについても語っていただきました。
◆ 中川晃教 INTERVIEW ◆
――『ジャージー・ボーイズ』、いよいよ日本版が始動しますね。中川さんの演じるフランキー・ヴァリは"天使の歌声"と呼ばれています。キャスティングを聞いた時、中川さんにぴったりであり、中川さんにしか出来なさそうで、ワクワクしました。
「嬉しい! 僕のまわりでも「この作品いいよね」と仰る方が多いです」
――映画にもなりましたから、知名度も高い作品ですね。
「そうそう、クリント・イーストウッド監督の映画を観た人も多くて。逆に、もともと舞台作品だということを知らない人もけっこういますよね。でもあの映画、ミュージカルに出演していたキャストを使っているじゃないですか(※フランキー役のジョン・ロイド・ヤングはブロードウェイ版のオリジナルキャスト。ほかボブ役、ニック役などもミュージカル版の出演者)。ミュージカルをやっていた人たちが映画でもフィーチャーされていくというステップも、この『ジャージー・ボーイズ』の、成功への階段を上っていく内容とも重なるような気がします。それ以外にも、今まで僕が経験してきた作品とはなんだかちょっと違う、特別な思いを感じていて...」
――と、いいますと?
「ブロードウェイミュージカルを日本版でやる、というのはよくあることですが...その普通の感覚とは違う、"勢い"を感じるんです。この作品が決まるまでの流れとかも。「この作品をやろう!」という話も、けっこう急だったんですよ(笑)。しかも、僕の演じるフランキー・ヴァリという役は、本来は音楽の(ザ・フォー・シーズンズのメンバーでもある)ボブ・ゴーディオのオーディションを受けて、彼のOKをもらわなければやらせてもらえないんです。でもそんな時間も機会もないから。歌っているところを撮って、本国に送って...。プロデューサーさんとかは「絶対に中川さんなら大丈夫」って太鼓判を押してくれるんだけど、「ちょっと、そんな簡単じゃないよ!?」って思っていました(笑)。実際にGOを出すのはアメリカ側じゃないですか!」
――たしかに(笑)。
「しかも来日版を観にいった時にパンフレットを読んだら、フランキー役が通わなきゃいけない学校があるんですって?(フランキー役を養成する学校、通称「フランキー・キャンプ」。フランキーの独特の発声をマスターすることが大変であると共に、この作品にとってそれがとても重要であることが伺える) そんな大変な役をやるんだ、しかもまわりの人たちがすごく乗ってくれているのに、これは失敗できない...と思って、本腰を入れて練習をしましたよ。去年の4・5月頃かな。そのデモテープを送る頃、実は本番とか稽古とか色々と重なっていて忙しい時期だったのですが、その中でもすごくこの『ジャージー・ボーイズ』の準備をしていたんです。今までたくさんの作品をやらせて頂いていますが、これだけ早い時点から準備して、これだけ作品のことについて自分なりに勉強して、というのは初めての経験です」
――その、本国に送ったというのはどの曲ですか?
「最初に1曲、『Big Girl Don't Cry』を撮りました。それで1回目のOKをいただいて、そのあとさらに6曲入れてくれと言われてデモテープを送って、最終的なOKをもらいました」
――(デモテープを聞かせてもらい...)すごい、中川さんの声じゃないみたいです! 普通のファルセットじゃないんですね。
「トワングという、独特の発声なんです。普段の声の出し方とは全然違います。ただこれは、ミュージカルの中でもよく使ってる発声ではあって、すごく役に立つんです。一生懸命ヴォイスレッスンにも通いましたよ」
――中川さんにしか出せない声だとは思うのですが、今までの中川さんのイメージとも全然違う。すごく楽しみになりました。
「"中川晃教の経験値"ももちろん活かされると思うんですけど、さらにもうひとつ違うところに自分自身も行ける、挑める作品と出会ったなという喜びを、僕も感じています」
――中川さん、実在の人物を演じることも多いですよね。そういう面でプレッシャーなどありますか?
「あんまりないんですよね、プレッシャー(笑)。ただこの作品に関しては...フランキー・ヴァリって独特な声がありますから...。うーん。でも誰かが「これ、絶対にアッキーだよね」って言ってくれて、役が"降ってきた"感じです。"出会い"でしかない。プレッシャーは感じないままに、いい意味で、追い風のようなものに乗っかって、先ほど言った"新しいところ"に進むための準備を今はしたいと思っています。ザ・フォー・シーズンズという実在する人たちの物語だから、そのニュアンスや質感を大事にしつつ、でも決して古臭いものにはせず、このミュージカルならではの描き方をしていければ。やっぱり僕にとっては、特に音楽ですね。音楽という部分で、自分自身の力がより発揮できれば」
――ザ・フォー・シーズンズの楽曲自体も人気がありますね。
「実は僕、あまりザ・フォー・シーズンズのことを知らなかったんですよ。でもいい曲、多いですよね。作品をやるにあたって、サウンドトラックを聴くと、すごくポップでいいなって思います。1960年代の音楽を大好きな人たちも多いですので、そういう方にとっては夢のような時間になると思う。去年の来日公演も、年配の方も多く、みんな立ち上がって踊りだすんじゃないかというくらいの、すごい盛り上がりでした」
――来日公演をご覧になっているんですね。いかがでしたか?
「すごくいい作品だと思いました。とにかく音楽が良い! そしてテンポが良かったです。ただテンポが良すぎる流れを、自分がやるなら、もうちょっと日本人の心に届くようにいくといいなと思って観ていました。今回の日本版は藤田俊太郎さんの演出ですので、そのあたりも日本人にフィットするようになるんじゃないかな」
――藤田さんとは何かお話をされていますか?
「俊太郎さんは、僕が出演した蜷川幸雄さんの『エレンディラ』(2007年)の時に演出助手だったんです。すごくお世話になった方。一緒に作っていく上でとても頼りになります。この作品も、演劇からミュージカルまで、日本人が今までやってきたすべての素晴らしい作品を超越したところにチャレンジ出来たら、というお話をされていた。きっと、演じる側も、そして演出含め、葛藤しながら生み出していくことになると思います。そういうのって、いいですよね」
――最後に。ニュー・アルバムのリリースも発表になりました! フランキー・ヴァリのカバーも入るとか。せっかくですのでそちらのアピールもお願いします!
「3月9日に10年ぶりの、スタジオ録音オリジナル・フル・アルバムがリリースされます。10年前にリリースしたのがベストアルバムで、その間ライブ音源をリリースはしていますが、スタジオ録音は久しぶり。ベストアルバム以降、リリースしていなかった自分の10年間の楽曲たちがこの中に入っています。アコースティックなサウンドからR&B、ポップスまで、ライブで何度も何度も積み重ねてやってきているので、10年間リリースしなかった分、音も含めて深まりが増している。そのタイミングでリリースできるというのは、とっても僕としては嬉しい。そして『ジャージー・ボーイズ』の『Can't Take My Eyes Off You(君の瞳に恋してる)』も入っています。ミュージカルという、自分自身が無限の可能性を信じてやってきていることのひとつが、この曲でフィーチャリング出来たらと思っています。楽しんでもらえるアルバムに仕上がってると思うので、ご期待ください。すごくよい音になると思います!」
取材・文・撮影:平野祥恵
【公演情報】
・7月1日(金)~31日(日) シアタークリエ(東京)
※6/29(水)・30(木)プレビュー公演あり。
一般発売:4/30(土)
【CDリリース情報】
タイトル:decade
3月9日リリース予定
◆ 通常盤
・品番VICL-64523
・CD(11曲入)
・定価:¥3000+税
・オリジナル楽曲+ボーナストラック『Can't Take My Eyes Off You(君の瞳に恋してる)』
◆ 初回限定盤
・品番:VIZL-936
・CD(通常盤と同じ)+DVD(密着レコーディングドキュメント映像+「Can't Take My Eyes Off You(君の瞳に恋してる)」MV収録予定)
・価格:¥4500+税
作品内容
・中川晃教10年ぶりのスタジオRecオリジナルフルアルバム
・「シンガーソングライター中川晃教」の書き溜めたオリジナル楽曲達が収録
・初回盤特典DVDにはレコーディングの密着ドキュメント映像等収録予定
・今年、初夏に、初めて日本人キャストで上演される人気ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』の中でも歌唱する"君の瞳に恋してる"(Can't Take My Eyes Off You)がボーナス・トラックで収録決定!!
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