■ミュージカル『王家の紋章』#5■
連載開始から40年を迎える少女漫画の金字塔『王家の紋章』が、初のミュージカル化!
脚本・演出=荻田浩一、音楽=『エリザベート』のシルヴェスター・リーヴァイという豪華クリエイター陣が、古代エジプトを舞台にした壮大なロマンを、この夏、舞台上に描き出します。
ビジュアル撮影レポ&インタビューを掲載している当連載、今回は平方元基さんが登場!
平方さんが演じるのは、エジプトと対立するヒッタイト国の王子・イズミル。
イズミルは主人公であるエジプト王・メンフィス(浦井健治)と、国としても対立し、さらに現代から古代エジプトにタイムスリップしたヒロイン・キャロルも取り合うことになっていきます。
◆ ビジュアル撮影レポート ◆
イズミルは宮野真守さんとのWキャスト。
おふたりともすらっとしたスタイルで、"少女漫画から抜け出したよう"...なところは共通しているのですが、撮影時の女性スタッフの歓声が微妙に違っていたのです。
宮野イズミルは「カッコいい!」という声がメインでしたが...。
平方イズミルは「キレイ...」の声、多し!
美しくて神々しさすら感じるんです。
撮影カットを見ながら、手を合わせているスタッフも(笑)。
ホント、ご利益がありそうな美しさ。
イズミルといえば...の銀髪ロングのカツラもよく似合っている。
アップにしても美人!
カメラマンさんも絶賛です。
軽く微笑む顔も、キリリとした顔も、どちらも素敵です。
そんな中、素で笑う平方さんにちょっとホッとしたりもして。
後半は、ポーズ、照明などをフリーであわせていく撮影です。
様々なポーズを織り交ぜ...。
平方イズミルの視線の先に、砂漠の風景が広がっているようです!
いやー、もう、...素敵です!
原作漫画きっての人気キャラ、イズミル王子、楽しみです!!
平方さんにも、もちろんお話を伺ってきました!
◆ 平方元基 INTERVIEW ◆
――平方さんは『王家の紋章』という少女漫画はご存知でしたか?
「いえ、全然知らなかったのですが、僕の周りの方々、特に女性の方はみなさんよく知っていて。しかも40年前から連載が続いているって! すごいことですよね。東宝作品で、"漫画原作"ということをここまで打ち出すのも珍しいことだな、色々な意味で新しい挑戦なんだなと思い、出演のお話をいただいて以来、興味津々です」
――その後、原作は読みましたか?
「ふふふ、読んでいるところです! 最初の方は、イズミルはいつ出てくるのだろう、まだかな、まだかな...って思いながら読みました(笑)。でも、そんなに複雑なストーリーというわけじゃないのに、何が起こるかわからない。アドベンチャーチックなところは、男性も読んでいて楽しいと思います」
――現時点では、イズミル王子はどんな人物だと思っていますか?
「聡明で武術に長けている王子。平方元基の新しい一面をご覧いただけるのではないかと思います。漫画から伝わってくるイズミルの芯の部分...信念や思い、そういう部分がどこまで描かれていくのかなというのは、僕自身もすごく楽しみにしているところ。でも、紙の上に描かれていたものが、実際に人間が演じることによって膨らんでいくところもあると思うので、あまり最初から"イズミルはこうだ"と決め付けず演じたいです。原作を忠実に守るタイプの作品もあると思いますが、今回は原作も大切にしつつ、新しいイズミル像をお客さまにお見せできたらいいですね。そういった面では演出の荻田さんをはじめ、共演の皆さんも安心して挑戦させていただける方々なので、今から楽しみです」
――その共演者ですが、キャロルを挟んで、ライバルが浦井健治さんですね。共演は『ロミオ&ジュリエット』以来でしょうか?
「そう、ベンヴォーリオとティボルト以来です。ライバルが健ちゃんって、面白くないですか(笑)? 普段からよく連絡を取りあっていますので、緊張もしませんし、構える必要はないんですが、やっぱり"敵"という関係性はなかなか演じにくいですね。実際に稽古が始まってから、生々しさを少しずつ出していければいいかなと思っています。目の前に現れるメンフィスとちゃんと対峙しなきゃ。でも普段は、すごく仲良くしてくださっている先輩です。いろいろ教えていただきたいですし、稽古や本番期間中、食事にも一緒に行きたいですね!」
――平方さん、意外なことに荻田浩一さんの演出作も初出演なんですね。
「そうなんです。でも荻田先生とはプライベートでよく飲むんですよ(笑)。この間も『ダンス オブ ヴァンパイア』を観に来てくださいました。独特な世界観がありますよね、ノスタルジックというか。あの世界に自分がどれだけ飲み込まれていけるかが課題かな。その中で自分らしさも提示していきたいですし......面白い化学反応を起こせる一因でありたいです。でも、あの荻田先生の世界の中に、祐さん(山口祐一郎)がいて、めぐさん(濱田めぐみ)がいて、キャロルはふたり(宮澤佐江、新妻聖子)まったく個性が違っていて......。本当にどうなるかわからない! きっとお客さまもそう思っていらっしゃいますよね。初日の幕が下りるまで、みんな同じ気持ちだと思います。お客さまもキャストもスタッフも、全員ドキドキして観るんでしょうね」
――そして、音楽がシルヴェスター・リーヴァイさんです。平方さん、リーヴァイ作品のオリジナルキャストになるのは『レディ・ベス』に続いて2度目ですね。
「公式HPを見ると、リーヴァイさんのコメント動画があるじゃないですか。あれを見ると...なんていうんでしょう、リーヴァイさんの熱意が伝わってきて、いっそう頑張らなきゃ! と思います。リーヴァイさんは日本を愛してくださっていますし、今回は特に漫画という、日本人が大切にしている文化のひとつをミュージカルにしてくださる。その時にミュージカル俳優がリーヴァイさんにお返し出来ることって......やっぱり、真摯に作品に向き合うことだと思うんです。「元基にこの曲を歌わせて良かった」と思っていただけるように、頑張っていきたいです」
――『レディ・ベス』の時は、世界初演、オリジナルならではの経験はどのあたりに感じましたか?
「その役はどういう役なのか、なぜこういう旋律が使われているのか......というところを、作曲者ご本人の口から直接伺えたことは、とても大きかったです。日本語だと、どうしてもほかの言語ほど、音楽に言葉を乗せられなかったりして、ニュアンスがわからなくなってしまうところがあるんです。そんな相談をしたら「君が感じているままに自由にやるのが一番いいと思う」と言ってくださった。僕に自由にやれって言ってくれる人って......スゴイ(笑)! あまりいませんよ(笑)。 僕の"自由"って、どれだけ自由か、知ってます!?」
――(笑)。
「今年1月までやっていた『ダンス オブ ヴァンパイア』でも、コミカルな役どころではありましたが、演出を受けながら、手綱を離されると本当にどこに行くかわからない性質だなって自分でも再確認したんですよ(笑)。でもそれを制したり、いいところは引き伸ばしたり、うまく調理してくださる方々の言うことを真摯に受け取めながら演じるのが、演技者としては快感です。でもいい素材でなければ調理もしていただけないので、常に新鮮な素材でありたい、血の通った人間として舞台に立ちたいと思ったところなんです」
――『ダンス オブ ヴァンパイア』のアルフレートは、素の平方さんが持つチャーミングさが出ていて、可愛く面白かったです! でも今日のイズミルはそんなお茶目な顔は封印して、本当にステキで美しい王子でした。撮影中はどんな気持ちでしたか?
「厳かな気持ちになりました。この衣裳を着けて、照明やBGMでも五感がくすぐられる空間を作っていただいたので、そこにどこまで乗っかれるか、"俳優力"が勝負だなと。でも『王家の紋章』の世界......光があって、雲があって、地平線が見えて......そんな世界を感じられましたし、すごく気持ちよかったです」
――私たちにもエジプトの砂漠が見えた気がしました。
「僕も砂漠が見えました。あと、イズミルの"核"を感じられた。なんて言うのかな......"側(ガワ)"がすごければすごいほど、そこで生きていかなきゃいけない人って、抗うんだなって思ったんです」
――ガワに抗う、ですか?
「はい。王子という殻、ガワを纏ってる。例えば『アラジン』でジャスミン姫がこんな王宮から抜け出したいって言いますよね。あれと同じだと思うんです。イズミル王子だって、自分の国のことを思いながらも、自分の恋愛や欲望や葛藤もある。でもそういう繊細な部分は、王子ゆえにみんなには言えない。今日の撮影では、そういうところが僕の中から出てきました。ただキレイなだけじゃ絶対に面白くないと思いますし、そんな中身の部分がお客さまに伝わればいいですよね。この素晴らしい衣裳を着こなしながら、繊細な内面まで表現できるように頑張りたいです」
決めカットを撮影中、「イズミル王子としてではなく、平方さんとしての笑顔をお願いします!」とリクエストしたところ、「ちょっと待って、普段の俺ってどんなイメージよ!?」とこの笑顔でした♪
取材・文・撮影:平野祥恵
【公演情報】
・8月5日(金)~27日(土) 帝国劇場(東京)
※8/3(水)・4(木)プレビュー公演あり
一般発売:5/28(土)
【『王家の紋章』バックナンバー】