『僕ヶ原』『夏の陣』演出・中屋敷法仁×脚本・吉田恵里香が初対談!

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歴史朗読劇『僕とあいつの関ヶ原』『俺とおまえの夏の陣』が、7月7日(木)に開幕します!

本作は、2014年に初演、今年が3回目となる銀河劇場ニュージェネレーションシリーズ朗読劇。人気俳優が揃ったキャスト陣はもちろん、映画『ヒロイン失格』脚本などを手掛けた吉田恵里香さんの作品を、劇団「柿喰う客」の中屋敷法仁さんが演出するという、新世代のコラボレーションとしても注目の作品です。

今回、そんな中屋敷さんと吉田さんの初対談が実現! 熱い稽古の合間に、作品について語っていただきました。

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――早速ですが今年のチームはいかがですか?
中屋敷「"こいつらぶつけたらどうなるんだろう"っていう興味が湧き上がる座組です。俳優個人ではなくチームで作っていく作品なのですが、今回は初共演の人が多いので、ここでしか見られないようなチームワークが生まれているのがすごくいいなと思っています」
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――吉田さんは今日の青竹チームの稽古をご覧になってどうですか?
吉田「本は変わらない中で、座組で雰囲気や流れる空気が変わるんだなって感じました。演じる役者さんで武将のキャラも見え方も違うので楽しいです。小早川秀秋なんかは特に初演からどの公演も全然違いますし、今日は『こういう島左近もあるんだな、なるほど』と思いながら観ていました」
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――その違いの部分はどう演出されてるんですか?
中屋敷「俳優さんは一人何役も演じなければいけないので、必ず偏るんですよ。得意なもの不得意なもの、好きなもの嫌いなものっていうのがあるので。だから、どういう絡みになると一番面白いかなっていうところを調整しています。どっちのチームに合わせよう、じゃなくて、その共演者でどういうチームワークを作るか、ということを考えています」

――朗読劇ならではの演出のこだわりは?
中屋敷「(俳優は)本当は台本を放したいんですよね。台本を放して共演者を見たい。でも(朗読劇だから)台本から逃げはできないんですよ。俳優さんは台詞を覚えると、あたかも台詞が自分のものであるかのように喋るんですけど、ともすると台詞に対しての緊張感がなくなってしまうんですね。もしかしたら千秋楽くらいにもう一回台本開いたらまた全然違う発見があるかもしれないと思うんですよ。朗読劇は、稽古初日から公演が終わるまで毎回言葉と出会い続けるので、最後まで言葉と物語から逃げにくくなっている。作品の鮮度のようなものが落ちないので、その状態からさらに発展ができる側面がある。台本があることによって普段のお芝居じゃできないような、危険な踏み込み方、感情の踏み込み方ができると思っています」

――手元に台本があることが一つの"縛り"になっているということですか?
中屋敷「縛りにもなっていますね。縛りがあるからこそ、もし台本がなければ理性を失うかもしれないくらいのところまで飛んでも大丈夫、飛んでも返ってこれる場所がある。あとはチームですね。普通のお芝居は自分の台詞しか覚えてないと思うんですけど、朗読劇はキャストが同じ物語をみんなで頭から読む。そこが好きなんです。この作品は基本的に俳優さんがハケないので、自分が出ていないときも物語に対する緊張感を失わないし、1ページ目から最後のページをめくるまで共に歩んでいく。同じ時代を生きていく、という状態になっていればいいなと思っています」

――現代と戦国時代では、背負うもの、考え方、スケールも全然違うと思いますが、どのように役を作るのでしょうか。
中屋敷「(現代人である)自分の身体とか感情が抱えきれないスケールと向き合うのは、すごく楽しいなと思っています。『討て!』とか『天下を担う』とか、日常では言いませんもんね。だけど、役だから喋るんじゃなくて、あなたがそういう言葉を喋ってどうなるんだろうっていうところ、自分の感情がどうなっていくんだろうとか、自分の身体がどれくらい熱くなっていくんだろうとかいうことを試しましょう、みたいなことは言っています。(ダメ出しで)『家康っぽくないよ』とかは絶対言わないので、あなたの身体から考える、あなたの感情から生まれる武将の人間像をつくってくれという話をしたりしますね」

――脚本としてはいかがでしょうか。
吉田「本当はその時代でしかわからない考え方とか価値観とかが多分あったと思うんですよ、家康さんにも。だけど時代を超えて変わらないものも絶対あると思うので、そういう部分で紡げたらいいなと思っています。それは時代も年齢も超えることなので、若い役者さんがやられても、それぞれの人生経験とか価値観でいいし、若い人がやることによって若いお客さんのシンパシーが得られるのかなって思っていて。歴史の人物ってだけで一歩引いちゃうし、その人が『命を大事に』とかもし言ったとしても、『ふ~ん』ってなるけど、若い俳優さんがやるから今のお客さんにも響いているのではないかなって思います」
中屋敷「吉田さんがこの人はいい人にしようとか、悪者にしようとか、そういう一面的なことで書いてないのがきっと俳優はすごく助かっていますし、どこまでも演じ甲斐があるなと思います。俳優が自由に演じられるようになっているのが、稽古場の雰囲気が軽くなる一因です」
吉田「よかった。歴史ものって結構大変で、書いた直後は『もう書きたくない』って思ったんですけど(笑)、舞台を見ると、これをまたやりたいからもう一本歴史小説書きたいなって思うんですよ」
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――最後に中屋敷さんから今年の作品の魅力をご紹介お願いします。
中屋敷「これは初演から思っていたことで、年々その性格が色濃くなっていると思うんですけど、いろんな朗読劇がある中で、このニュージェネレーションシリーズは、普段あまり共演することのない新しいマッチングでの言葉のボクシングみたいな部分があります。ドラマという刀を持って共演者と斬り合いをするような、感情をぶつけ合うような、そういう熱いものをぜひ観ていただきたいです。稽古場はあくまで打ち合わせにしかすぎないので、本番がどうなるか誰にもわかりません!楽しみにしていてください」
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『僕とあいつの関ヶ原』は7月7日(木)から9日(土)、『俺とおまえの夏の陣』は7月10日(日)に東京・天王洲銀河劇場にて。

取材・文:中川實穗

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