■ミュージカル『王家の紋章』#11■
連載開始から40年を迎える少女漫画の金字塔『王家の紋章』が、初のミュージカル化!
脚本・演出=荻田浩一、音楽=『エリザベート』『モーツァルト!』のシルヴェスター・リーヴァイという豪華クリエイター陣が、古代エジプトを舞台にした壮大なロマンを、この夏、舞台上に描き出します。
▽(c)細川智栄子あんど芙~みん(月刊プリンセス)
お待たせしました、5月16日に行われた製作発表記者会見の詳細レポートをお届けします!
会見には事前募集に当選したオーディエンス230名も参加したのですが、なんとこの募集には、約7000通もの応募があったとか...。
日本でも人気の高いシルヴェスター・リーヴァイさんが音楽を書き下ろすという点も注目ですが、この会見では、劇中ナンバーが本邦初披露。
その歌唱披露のフォトギャラリーはこちら→★
公式サイトには歌唱披露の動画もUPされています!
さて、会見には原作者である細川智栄子氏&芙~みん氏も登壇。
▽写真左が細川智栄子さん、右が芙~みんさん
細川両先生、次のようにご挨拶。
「私たちは読者の皆さま...特に少女の皆さまに、愛や思いやりや優しい心、そして勇気をお届けしたいと思い、作品の中にそれをこめ、生涯をかけて漫画を描いてきました。そんな思いで連載を40年続けている『王家の紋章』がこのたび東宝ミュージカルになる。私たちも随分と喜んでいます。こういうお衣裳を着た皆さんを見たら、私たちも古代の世界に入り込んだ気分でワクワクしています。私たちも皆さんの作られるミュージカルを楽しみにお待ちしたいと思っています」(細川)
「姉とともに連載を描き続けて、今年で40年となりました。この作品をミュージカルにしていただけますことになりまして、大変幸せに思っています。最高のキャストの方々、スタッフの皆さまに恵まれました。歴史の中、エジプトとヒッタイトを舞台に、素晴らしい音楽にのせて、愛が、夢が、そして嫉妬心、欲望がゆらめいて、皆さんのお心を満足させると思います。8月には帝国劇場で、国を超え、そして三千年の時と空間を超え、古代エジプトの王国へおいで頂ければと存じます」(芙~みん)
なお、少女漫画界が誇る大人気作ですが、今まで他メディアで展開されたことがなかった理由は、細川先生が次のように語りました。
「若いときにテレビドラマ化をやったことがありますが、テレビの放送と漫画を描くスピードが異なってきてとても苦労しました。ですので『王家の紋章』は今までアニメ化の話などもありましたが、一切お断りしようと妹(芙~みん氏)と話し、私たちは誠心誠意漫画を描くことに力を入れました。だからこれだけ長く続いたんだと思います。
でも今回は「4巻まで(の舞台化)だったらどうか」と言われ、それだったら(漫画の続きを)急かされることもないので、とお受けしました。それに間に立っていただいたプロデューサーさんがとても素敵な方で、そちらに参ってしまって...(笑)」。
お上品で素敵な両先生ですが、ご挨拶の際なかなかマイクに声が乗らず、すかさず伊礼さんが手助けするこんなシーンも。。(その後、山口さんも遠く離れたお席から両先生のもとへ...。おふたりとも、ジェントルです!)
演出のみならず、脚本・演出をも手掛けるのは、宝塚歌劇団出身、荻田浩一さんです。
「細川先生と芙~みん先生が大切に生み、育てていらっしゃる『王家の紋章』を初めて舞台化する...、初めて生きている人間が歌い踊り、演じるという、奇跡のような瞬間に携わらせて頂くことに本当に感謝しています。この物語は、少女漫画の王道で、愛と夢に溢れています。8月の帝劇を甘い夢でいっぱいにしたい。その甘い夢を錚々たるキャストが紡いでいってくれます。先生方、本当にとても愛らしいのですが、先生方のような愛らしい純真無垢な乙女心を、観客の皆さまにもきっと抱いていただけると思います」とご挨拶。
なお、舞台化の構想については荻田さん、
「現代と古代を行き来する物語ですが、(この会見の場で)現代の格好しているのは伊礼さんしかいないことから、現代側の物語がいかにはしょられるかということが皆さんにもわかるかと...(笑)」と語り場内を笑わせたところで、伊礼さんから「僕も古代エジプトに行かせてもらっていいですかね!?」と拗ねたような発言が。
「...ぜひ自腹で行ってください(笑)。でも原作の設定のとおり、キャロルが現代から古代エジプトにさまよいこんでくる旅人です。その、いなくなってしまった妹を捜し求めるライアンさんの孤独が、現代側の物語を背負っていただけるんじゃないかな。
ただ、時を行き来するような、ちょっとSF的な要素は、この物語の大きな魅力のひとつではありますが、やはり一番の魅力はものすごくロマンチックな夢物語であるということ。キャロルとメンフィスがお互いを求めて、本当に広い世界を巡り歩く物語です。その壮大なイメージやファンタジックさは、少し神話的でもありますよね。いい意味でおとぎ話感、ファンタジー感が出せれば。しかもリーヴァイさんがものすごくたくさんの、しかもロマンチックな曲を書いてくださいましたので、その音楽が、ふたりの愛のさすらいに、観客の皆さまを無理なく連れていってくださるんじゃないかなと思っています。"ロマンチックな曲を、たっぷりロマンチックなシチュエーションで聴いて味わっていただく"というところが、今回の作品の醍醐味では」と語りました。
この日は原作から抜け出したような扮装で登場したキャストの皆さんの意気込みは次のとおり。
古代エジプトの若き王、メンフィス役の浦井健治さん。
浦井さんは今回が待望の初・帝劇単独主演でもあります。
「先生方が生涯をかけて紡いでこられたこの原作が、東宝のミュージカルとして、帝国劇場で初めて舞台化される。この舞台化への流れこそがロマンであり奇跡でもあるなと思います。連載40周年、累計4000万部という、少女漫画の金字塔であるこの作品が、荻田さんとシルヴェスター・リーヴァイさんのタッグでミュージカル化される、まさか自分がそこで、初の帝国劇場単独主演できるとは。とても嬉しいのですが、今はド緊張しています。この機会を与えてくれた多くの方の愛や支えにしっかり応えていけるようにやっていきたい」と、その心境を。
さらに「僕がミュージカルを初めて観た『レ・ミゼラブル』に出演されていて、そして帝国劇場に初めて『エリザベート』で立たせて頂いたとき、いつも優しく傍で見守っていてくださっていた祐さん(山口祐一郎)が今ここにいてくださることがすごく光栄に思っています」と言ったところで、山口さんが"何をおっしゃる"とでもいうかのように、深々とおじき...。
「...このキャストだからこそできるミュージカルになるんじゃないかなという顔ぶれが、各ジャンルから集結している。しっかり荻田さんについてやっていきたいです」とのことでした。
ちなみにリーヴァイさんの楽曲の魅力は
「宝物のような楽曲が多いのですが、歌うとなるとものすごく体力が必要で、音楽が素晴らしいゆえに、ちゃんと役の心情を掴んでいないと、すべての感情を音楽に持っていかれてしまう怖さもあります。今日の歌唱披露も、とにかく相手の目をみて歌うようにしていました。その場で起こることにちゃんと反応していかないと、音楽に流されて、本来の役のもっているメッセージが失われてしまうくらいに楽曲が素晴らしいんです」と話していました。
さて、ヒロイン・キャロルはダブルキャストです。
まずは、SKE48を卒業後、これがはじめての舞台出演となる宮澤佐江さん。
「素晴らしい『王家の紋章』という作品のヒロインに選んでいただいて本当に光栄に思っています。同時にとても緊張しています。頑張ることは当たり前だと思うのですが、私は特に一番頑張らなきゃいけないと自分で思っています。帝国劇場という、夢にも思えなかったくらい素晴らしい場所に自分が立てることに感謝して、キャロルという可愛らしい女の子をしっかり、私らしく演じたい」と意気込みを。
同じくキャロル役、新妻聖子さんは
「私は本当に幼い頃から『王家の紋章』が大好きで、今日は細川先生と芙~みん先生のナマ声が聞けただけで、さっきから武者震いが止まりません。子どもの頃から夢と感動を頂いてきた原作の初の舞台化で、キャロル役をいただけたことは、私にとっては奇跡。作品に、お客様に失礼のないよう、全身全霊で、キャロルと向き合って、この夏『王家の紋章』に命を捧げたいと思います」という力強いご挨拶です。
新妻さんの原作愛に溢れるコメントの数々は後ほど改めてご紹介しますが、リーヴァイ作品で言えば『マリー・アントワネット』でも、世界初演のオリジナルキャストになっている新妻さん、その魅力を
「非常にメロディアスであり、どこか湿度と情緒があって、我々日本人の風土にもあう旋律が多い。ただ今回『王家の紋章』のデモ音源を聞かせていただいた最初の印象は、「リーヴァイさんの作品の中で一番ポップかも」でした。特にキャロルは唯一現代の人間が古代に迷い込む役割ですので(もともとは現代アメリカ人であるため)冒頭なんて『ヘアスプレー』の音楽のようなアメリカンな旋律。でも、古代に飛び込んでいったら、キャロル(の音楽)もその時代にちゃんと染まる。音楽で時代をも飛び越える手法は素晴らしいです」と語りました。
国としても対立し、キャロルをも取り合う、ヒッタイト国の王子イズミルもダブルキャストです。
宮野真守さんは
「皆さんのお話を聞き、改めてすごく歴史的瞬間なんだなと感じています。僕もイズミルの役で『王家の紋章』のミュージカルに出るとなった時、まわりのみんな、特に女性スタッフにすごく喜んでもらいました。それだけ多くの人に愛されている作品で、僕がその中にいられるとことが幸せに思います」と心境を。
また宮野さんも、帝劇初出演ですが、「子どもの頃から劇団ひまわりに入っていますが、この歳になって夢見ていた舞台・帝国劇場に立てるということが感無量です。今の自分が、ここでどんな挑戦が出来るのかは、現場で切磋琢磨していくことですが、今は楽しみで仕方ない。そして最後にはメンフィスに勝ってやろうと思っています(笑)! ...それくらいの気持ちで戦っていきたいと思いますので、ぜひ皆さん応援よろしくお願いいたします」とのことでした。
▽突然ライバル心をむき出しにされた浦井メンフィス、「ええええ~...」といった表情。そして喜ぶ原作ファンの新妻さん...。
もうひとりのイズミル、平方元基さんは
「本当に緊張していて、いまココに立っている瞬間も汗が吹き出しています。『王家の紋章』はとても五感をくすぐられる漫画。そこに描かれている温度や質感、感触、そういったものを丁寧に表現していけたらいいなと考えています」とご挨拶。
今回の楽曲については「リーヴァイさんの曲でも、今まで聴いたことのないようなテイストの曲がてんこもり。お客様も期待していただいていいんじゃないかな。この『王家の紋章』という作品の質感が、リーヴァイさん、日本語わかるんじゃないかなというくらい丁寧に表現されていました」とのことでした!
キャロルの兄、ライアン役は、伊礼彼方さん。
「私だけ不思議な格好をしていますが...。この作品はとても帝国劇場に相応しいテーマ、題材だと思っています。これだけの素晴らしいキャストが集まって、帝国劇場を『王家の紋章』の色に染めるのが非常に楽しみです。ライアンは現代側の人間なのですが...現代代表は僕ひとりだけですか?」
と言ったところで、キャロル・新妻さんが「私もいるじゃない!」
対して伊礼さん「いやいや、あなたすぐエジプト行っちゃうじゃないの。(自分は)取り残されるから。彼女がエジプトに行ってしまったら僕はたぶん孤独にかられると思います。なので、キャロルがメンフィスとラブラブしてるとき、僕は袖でアイシスに求愛しようかなと思います(笑)。新しいドラマが生まれるのを皆さん楽しみにしていてください!」とユニークなご挨拶でした。
アイシス役の濱田めぐみさんは次のようにご挨拶。
「私は古代エジプトの作品に携わることが多くて(『アイーダ』日本初演のタイトルロールも濱田さんでした)、今回も、すごく運命的なものを感じました。彼女の中に宿る品性や精神性が、この作品に不可欠なパートを受け持っていると思います。その部分を大切にし、ひとりの人間として、女性としての思い、苦しみ、生々しい彼女の生き様というものを舞台上で演じられたら。今まで色々な役をやらせていただきましたが、すべての役の良いところをアイシスに投影し、原作ファンの方々、ミュージカルファンの方々の期待を裏切らないように誠心誠意心を込めて演じさせていただきます」。
濱田さんの話す"リーヴァイさんの楽曲の魅力"も非常に奥深いものでした。
「すごく人間の感情の動きに沿っている音楽です。たとえば楽しい曲、嬉しい曲というのは、一般的に楽しいまんまで終わる曲も多いのですが、人って、すごく楽しいことを考えているときに、悲しい瞬間や苦しい瞬間がよぎったりするじゃないですか。例えばアイシスの歌うナンバーでは、それがちゃんと音に表れているんですよ。歌う側はその微妙な音に最初戸惑うのですが、全体像を通してみると、人の思考、感情、心の流れは実にそういう風にできているなと、そのリアリティを音で表現されているんだなと感じます。ひとつの宇宙のような、喜びも悲しみも一曲の中にすべてが網羅されている。そして一曲ずつ粒だっているのですが、その曲たちが全部でまとまってひとつの作品になったときに、リーヴァイさんの楽曲は完成するんだなという印象です」。
そして日本で上演されているリーヴァイ作品、皆勤賞!の山口祐一郎さんが、宰相・イムホテップを演じます。
「いま皆さんのお話を、愛とロマンスが溢れる夢のような舞台になるんだろうな、そのひと時を皆さま方と過ごすことが出来れば素敵だなと思って聞いておりました。しかしふと我に返ってみると、僕は(愛もロマンスも)何にも関係ない(笑)。僕はそういう役なんだなと今改めて再発見したところです。それでもきっと楽しめる素晴らしい作品になると思います。皆様方とワクワクしながら、この作品の誕生を待ちたいです」
...と、山口さんらしいチャーミングなご挨拶でした!
さて、原作『王家の紋章』の魅力については、皆さん次のように話します。
浦井「自分のは少女漫画に触れることが少なかったのですが、この『王家の紋章』は各キャラクターが本当に生き生きと描かれていると思います。そのキャラクターたちがその場面ごとに、生きているような臨場感で傷ついたり、愛を求め合ったり、出会い、別れる。壮大なロマンとして描かれているということが素敵で、すべてが魅力的」
宮澤「浦井さんがおっしゃったように、作品に出てくるキャラクターひとりひとりの感情に共感が出来ます。漫画のページをめくればめくるほど、そうだよね~、とすべてのキャラクターに対して、共感してしまう部分が、すごく魅力的だと思います」
新妻「『王家の紋章』を語りだすと止まらないので、いかに手短に話すか今困ってしまっています...。では私はキュンキュンするポイントに的を絞ってお話してもよろしいでしょうか(一同笑)。女子目線だとメンフィスと...いや~、となりにメンフィスがいる(笑)! ...落ち着きます。メンフィスとか、イズミルSとか...世界イケメン図鑑のエジプト・トルコ代表みたいな方が出てくるようなお話ですよ! 私、思うのですが、メンフィスというのは、少女漫画の歴史における元祖"俺様男子"なんですね。女性はやっぱり強引で、でもちょっと優しくて、そして美しい男子に惹かれます。その女性の理想が全部詰まっている。昨今、"壁ドン"とか"顎クイ"とかありますが、メンフィスは(キャロルの)腕、折っちゃいますからね!壁ドン、顎クイ、腕ポキです、すごいんですよ。...手短にまとまらないなあこれ、どうしよう(笑)!とにかくですね、もう好きすぎて...まとめてきます、今度!(会場爆笑&大きな拍手)」
宮野「(新妻さんのあとで)喋りづらいったらありゃしない...(笑)。僕も原作の物語の構成にぐっと引き込まれました、どうなるんだろうと思わせる仕掛けが、ものすごく細かく計算されている。夢中で読みました。そして今新妻さんが話されたように、麗しい男性がたくさん出てくるじゃないですか。でも今の草食男子にはないオラオラ感がある。少女漫画のロマンチックな原点はここなんだなというものを感じました。その中でオラオラ担当として頑張ってオラオラしていきたいなと思っています」
平方「...オラオラ担当の平方です。皆さん仰っていたように、どのキャラクターに目線をおいても、物語が進んでいくんじゃないかなというくらい丁寧に描かれています。それに「この続きはどうなるんだろう」という展開がひっきりなしに押し寄せてくる。運命にそれぞれが翻弄されていて、逃れられない運命を背負って物語が出来ている。僕、父親にも漫画を見せたのですが、少女漫画を見たことないような父親がハマってしまいました。男性でも冒険心をくすぐられる。そこも僕にとって魅力的でのめりこんでしまうポイントのひとつです」
伊礼「男性には夢想、妄想ランキングが3つあります。第3位が"女性の服が透けたらいいな"。第2位が"空を飛びたいな"。第1位は"過去や未来にタイムスリップしたい"。男は小さい頃からこんなことばっかり考えている。この漫画にはその、タイムスリップがあり、そこで時空を超えた愛が描かれる。これに尽きるんじゃないでしょうか」
濱田「それぞれのキャラクターがとにかく魅力的で、しかも発する言葉がものすごく生々しく実感がこもっている。どのキャラクターにも心が動くし、どのキャラクターの目線から見ても納得できる部分がある。私も読んでいて次の展開が気になる気になる、ってかんじでした。それに加え、古代エジプトと現代を行き来しながらも、ふたつの時代が併走して存在しているというのが面白い。古代の話になったらそこが本筋なんだろうと思って読んでいたら、現代も同時並行で動いていて、逆もそう。時間軸のブレや、人がもしタイムスリップしたらこういう状態になるのかなと想像を掻き立てられ、その当時発売されていた巻まで一気に読んだ記憶があります。世界観、シチュエーションにびっくりして、そこにまず引き込まれました」
山口「さきほどこれは神話である、ファンタジーである、SFであるというお話がありましたが、愛とロマンスのためだったら時代も空間もあらゆる規制も超えてそれを達成するというのはなんと素晴らしいのでしょう。そして今だったらドメスティックバイオレンスで大変なことになると思いますが、愛しているんだから、相手の腕を折ろうがなんだろうが俺のものになれという(笑)。そういう愛され方をいったん味わってしまうと、現代社会の普通の愛情で足りるんでしょうかね? そんなことを心配しながらも、きっとこの現代社会の中で忘れてしまった本当に人間の素直な愛情表現を舞台の中で垣間見れればいいなと思っています」
そして、この皆さんのお話を受け、荻田さんは演出上のポイントを次のように話しました。
「皆さんがおっしゃったキャラクターの魅力というものが、限られた上演時間の中で、どれだけこってり盛り込めるかというのが、一番の課題。先ほど甘い雰囲気を...と申し上げましたが、やっぱりこの物語が40年間も愛されている理由は、やはり美しい、甘いというだけでなく、そこにうごめいている人間の業、サガの強さが描かれているからだと思います。ただそれを前面に出してしまうと、やっぱり最初の絵の印象から受ける美しさを損ねてしまうので、美しさを損なわない程度にいかにみんなが荒々しく生きていけるか。特に古代側の皆さんにお願いしたのは、現代のひ弱な人間じゃなく、それぞれが人間としての力、生命力、エネルギーに満ち溢れたキャラクターであってほしいということ。原作の魅力もそこにあると思います。運命に翻弄されているんですが、ただ流されているだけじゃなく、抗って戦っている。その戦っている雄々しさが美しい絵で語られるということにこの漫画の魅力がある。ゆめゆめしいロマンチックさとともに、キャラクターひとりひとりの力強さを、皆さんといっしょに構築していきたいと思います」
荻田さんと、この素敵なキャストの皆さんが作り上げる、世界初演の『王家の紋章』。
一体どういったものになるのか、楽しみに待ちましょう!!
浦井さん、宮澤さん、新妻さん、宮野さん、平方さんの囲み取材の模様もご紹介しましょう。
――本日、扮装での会見でしたがどうでしたか?
浦井「どうですか?」
宮野「気持ちが高まりますね」
浦井「一気に古代にタイムスリップした感触がありますね」
平方「砂漠が見えます」
新妻「油田がね」
浦井「油田...油田?」
宮野「僕ら(イズミル)に限り油田が見えがちです(笑)」
――浦井さんは俺様系男子を演じる。
浦井「元祖・俺様系男子を演じさせていただきます。世の女性の皆さまにキュンキュンしてもらえるような萌えポイントをたくさん作っていけたら」
新妻「期待してます...!あーもう。腕折ってください!」(身体中からハートが飛びそうな新妻さんです)
――宮澤さんはSKE卒業後、初舞台ですね。
宮澤「今もすごく緊張しているのですが、10年間(アイドルとして)やってきたものをこの舞台に捧げたいと思いますし、感謝の気持ちをこの舞台から伝えられたら。アイドルの時に出来なかったことを今回たくさん挑戦できると思います。アイドルだったことを(観客の皆さんに)忘れさせることが、私にできることだと思うので、頑張ります」
――衣裳がすごいですね。
新妻「それよりこの(浦井さんの)ホットパンツが...」
宮野「ひとりだけ半ズボンですね」
浦井「そうなんですよ、それが俺様。半ズボン系俺様(笑)。(公演が)夏なので」
――イズミルの役作りは?は元祖オラオラ系?
宮野「そうですねー...。じゃあ私生活からドSでいこうかな? でも僕は不思議な感じなんですよ。普段は声をあてるほうなので、自分が扮装して演じるというのが」
――浦井さんと宮澤さんは公演中に誕生日をむかえますね。
全員「おめでとー!」
浦井「早いよ!」
宮澤「作品中にお誕生日を迎えるのが初めてなので...どれだけの方に祝ってもらえるのかなー(笑)」
浦井「帝国劇場の楽屋って上まで吹き抜けのスペースがあるので、そこで窓をガラっとあけてみんなでお祝いする...みたいなことはたぶんあると思うよ?」
宮野「本人たちからリクエスト?めずらしいタイプのサプライズですね(笑)」
平方「じゃあそれ、やりましょう!」
――宮澤さんと宮野さんは、帝国劇場初出演です。
宮野「憧れの場所ですし、そこに立てる喜びは強いです」
宮澤「私は帝国劇場のお芝居やミュージカルを観にいかせて頂いたことがあるのですが、自分がここに立てるという気持ちで見たことがなく、憧れとか目標とかにするものではないくらい素晴らしい場所。夢みたい。一生懸命、1ステージずつ挑戦していきたいと思います。がんばります」
――おふたりに、帝国劇場あるあるを。
浦井「劇場のまわりにごはんやさんがいっぱいあって、マチソワのあいだに出前をとる!どこの店がおいしい、とかみんなそれぞれありますよね」
新妻「(私は)"しなの路"ですねー。帝劇の地下にあるお蕎麦屋さんなんです」
浦井「"蘭"とかもおいしいよね
新妻「うんうん、古きよき喫茶店ですね、オムライスと焼きうどんが美味しい」
宮野「すごい!」
浦井「あとは1000人以上入るのに、すごくひとりひとりのお客様が近い。舞台上からだと。これは立ってみないとわからない感触です」
新妻「あと楽屋が畳です!」
――最後に...
浦井「楽しく和気藹々とやっていけたらと思いますが、少女漫画の金字塔と言われる『王家の紋章』が今回はじめて舞台化されます。この作品が世界中で愛されるよう、原作ファンにもミュージカルファンにも愛されるエンターテインメントとして成長していけるように、それぞれの役を全うしていきたいです」
取材・文・撮影:平野祥恵(ぴあ)
【公演情報】
・8月5日(金)~27日(土) 帝国劇場(東京)
※8/3(水)・4(木)プレビュー公演あり
一般発売:5/28(土)
★ぴあ貸切公演 プレリザーブ受付決定!★
【対象公演】8月16日(火)13:00
【プレリザーブ受付日程】5/19(木)11:00まで受付中
【『王家の紋章』バックナンバー】
#10 製作発表会見速報!