■『ラディアント・ベイビー』#6■
ミュージカル『ラディアント・ベイビー~キース・へリングの生涯~』稽古場取材会のレポート、後半です!
レポート前半→★
こちらは全キャストによる歌唱披露
♪「STAY」
の模様です。
(キャスト全員、キースのイラストTシャツ!)
キース・ヘリング役の柿澤勇人さん
ツェン・クワン・チー役の平間壮一さん
アマンダ役の知念里奈さん
カルロス役の松下洸平さん
オフィシャルサイトでもこの稽古場取材会の動画が公開されました。
しつこいですが、『ラディアント・ベイビー』、楽曲がホントに素敵ですよ~!
2曲のシーン披露、そして1曲の歌唱披露でしたが、非常にパワフルなステージングで、2曲分の場面だけで出演者の皆さんは汗だく!
特に歌にアクロバットなダンスに大活躍の平間さん、汗だくでした。
「すごい汗だよ...」と柿澤さん。
さて、稽古場公開にあわせ行われた囲み取材の模様もレポートします。
演出の岸谷五朗さんは作品について、
「キース・ヘリングは31歳で、これから人生にはすごく色々なことがある...といった時期に亡くなっています。その、彼の駆けぬけた人生が非常に魅力的。たくさんの作品を残した彼の亡くなる2年前から始って、どんどん過去を回想しながら、彼の生き様と80年代のNYが描き出されていきます。本当にエンタテインメントな作品。オフ・ブロードウェイで上演された作品ですが、振付も演出も全部新しくしていて、今みんなで必死に戦っています」
と語ります。
また岸谷さんはHIVに関する啓蒙のチャリティ「Act Against AIDS(AAA)」を継続して行っていますが、「1993年にAAAを立ち上げる時、シンボルマークにキース・ヘリングの絵を使わせてもらった。キース・ヘリング財団が本当に力を貸してくださって、その旗印のもと「Act Against AIDS」のイベントを始められたんです。今回、キースの物語を演出させていただけるというのは、キースへの恩返しみたいなところがあります」とも語っていました。
キャストの皆さんは現在の心境を次のように語りました。
柿澤「まだ稽古の途中で、作品の全貌を僕たちも今、みんなで探している状態なのですが、キャストそれぞれ声の色もキャラクターも、踊り方も違っていて、すごく熱いヤツらが集まっています。そのエネルギーがこの作品に集まれば、80年代の色々なものが混在したエネルギーを映し出していけるのではないかと思います」
ちなみに難しい点としては「台本が短いスパンで現在から過去に遡ったり、また現在に戻ったりと、行ったり戻ったりするつくりになっているので、それをどうしたら分かりやすく伝えられるか、そこが難しい。みんなで台本をきちんと確認し合う作業をしています。あとは、80年代のNYってどうなんだろうというのを、とにかく資料を読んで、(当時のNYを)知らない僕たちがその感覚を何とか出したいなと頑張っています」と柿澤さん。
平間「いま本当に楽しいです。"楽しい"しか感想が出てこないくらい。カンパニーのひとりひとりのことを僕自身が尊敬できていますし、その私生活の自分たちのチームワークも舞台上に出るのではないかと思っています。特に、五朗さんはそういった(俳優の素の)パワーを大事にされている気がするので、今回めちゃくちゃ楽しんでいます」
知念「すごく楽しいです。みなさんそれぞ個性が違っていて、そこに岸谷さんがこんな風に演出するんだなっていうところがとても楽しく、伸び伸びとやらせてもらっています。これから2幕の演出に進んでいくと、どんな風になるのか、私もすごくワクワクしています」
松下「稽古が部活みたいになっています(笑)。みんなで朝はストレッチから始まって、そのあと体を動かしてアップをして、稽古に入って、みんなで汗かいて......。久しぶりにこういう感覚を味わっています。あと五朗さんが、褒めてくれるんですよ~! すっごい褒めてくれる。役者のモチベーションを絶対に下げない演出をしてくださいます。キャストのモチベーションが下がったり迷ったりすると止まっちゃう、すごくスピードの速い作品なので、そこは五朗さんが僕らのケツをバンバン叩いてくれるので、僕らもそこに負けないように、一生懸命くらいついて良い作品にしたいなと思います」
最後に岸谷さんからのPRは
「非常にハジけた、生きるために駆け抜けたキース・ヘリングの、本当に勢いのある時代をミュージカルにしています。80年代NYのお話です。ぜひ、皆さんに元気を与えられるような作品にしたいと思います」とのことでした!
<なお...>
この稽古場公開は、蜷川幸雄さんの訃報が入った翌日に行われました。
囲み取材では、蜷川作品に出演経験のある柿澤さんを中心に、その話題も。
柿澤さんは、「(蜷川さんは)芝居を変えてくれた人。僕の考える世界を変えてくれた人です。いまでもなんで逝ってしまったのか、本当に信じられない。僕は『海辺のカフカ』という作品に参加させてもらいました。すごく難しい本ですし、僕の役も難しくて、もう、"死ねコノヤロー、ブス、クソ、ヘタクソ、やめちまえー!"と言われて、いわゆる"千本ノック"です。家帰って泣いて40度の熱が出て、でもくらいついていって、なんとか世界ツアー成功したときに、「あんなにボロクソに言ったけど、おまえ本当にいい役者になったな」と蜷川さんに言ってもらえたことがすごく励みになって、まだ俺、芝居やりたいなって思いました。いつも「お前、自分を疑えよ」って仰っていて、その言葉が僕の胸の中にあります。
たぶん、あっちの世界でも...僕がやっていることを見ているかわからないけど、見えるとしたら、相変わらずつまんねー芝居してんなって言ってるんじゃないかな...。でも蜷川さんにもこの作品を見てほしいなって思います」と涙を目に浮かべ、語っていました。