■『ラディアント・ベイビー』#3■
今も世界で愛され続けているポップ・アートの先駆者、キース・ヘリングの生涯を、疾走感溢れるロックミュージックで綴ったミュージカル『ラディアント・ベイビー~キース・へリングの生涯~』、中村キース・ヘリング美術館での合同取材会レポート後半です!
今回は会見の模様を中心にお届けします。
★前半は→コチラ
出席者は、岸谷五朗(演出)、柿澤勇人、平間壮一、知念里奈の4名。
キース役、柿澤さんは
「このような美術館に来させていただき、より一層身の引き締まる思いでいっぱいです。1990年まで生きていた偉大なるアーティストを演じるというのは、生半可な気持ちじゃできないこと。相当な覚悟を持ってやらなきゃいけないなと思っています。彼が31歳で亡くなったというのもあるのですが、スピード感を持って全力で突っ走って、駆け抜けていきたい。それからいま読んでいる資料で、彼はエイズ発症を知ってから、まわりにはそんなに暗い面を出さなかったようなんですが、実はイーストリバーの川沿いで泣きに泣いた...もう生きられないんだ、死んじゃうんだ...という文章がすごく印象的でした。もっと生きたかったんだろうなと思いますし、それを、キースのかわりに...ではありませんが、人生の大切さを伝えられたらと思います」とご挨拶。
なお「生半可な気持ちじゃできない」という意図については、「実在する人物を演じたことはあるのですが、それは例えば大河ドラマだったり、現代の人間は誰も会ったことがなく、イメージによるところが大きい役でした。でもキースは(今の)世界中の人が知ってるし、実際に会ったことがある人もいるほど最近の人。実際、僕が蜷川幸雄さんの芝居に出ているとき、オノ・ヨーコさん、アンディ・ウォーホール、蜷川さん、キース・ヘリングの4ショットの写真が出てきました。実際会って話している人がいる、そういう役を演じるのは初めての経験です。そういう意味でまた違う覚悟がいると思います。僕、学生時代は音楽と体育ばかりやっていたので、絵がへたくそなんです。なので今、毎日練習して描いてます。...あ、でも一回だけ美術で5をとったことがあるんですが、それは題名「蟻地獄」という木彫りでした(笑)。それは我ながら良い出来だったんですよ。サッカーばかりやってた自分が部活もさぼって、木彫りばかりやってた。その感覚が残ってるので、敬意を持って、キースが天国から見ても楽しんでもらえる作品にしたいです」と、意気込みもまじえ、語っていました。
こちらは、キースの友人である写真家、ツェン・クワン・チー役の平間さん。
「もともとキースの作品が大好きで、自分でも絵を描いていたりしていました。今回この作品に携わることができて本当に嬉しく思います。柿澤君のすばらしい歌声と表現力、それを支える仲間としていれることが本当に嬉しくて、役としてもですが、素の平間壮一自身が柿澤君の魅力に惹かれていってサポートしたいという気持ちになって、本番舞台をキースとツェンでいれたらと思います」
知念さんは、キースのアシスタントであるアマンダ役。
「実際にキースの作品を見て、そのエネルギーとパワフルさに圧倒されています。ただ実在した素晴らしいアーティストのお話というだけでなく、とても意義のある作品に参加させてもらうんだなと思い、いま高揚しています」。
そして演出の岸谷さんは
「これから厳しい苦しい楽しい稽古に入りますが、最高のエンターテインメントを作り上げたいなと思っています」とご挨拶。
なお、エイズ啓発運動のチャリティー"Act Against AIDS(AAA)"を発足し、続けている岸谷さんは、自身とキースのつながりをこう語りました。
「キースと僕のつながりは、1993年にはじめたAAAというチャリティーから。それはエイズで苦しむ子どもたちへの支援なんです。当初日本でエイズ、HIVということがよく知られていなく、"手を繋ぐと感染する"とかとんでもないウワサが蔓延していました。それに苦しんだ男がキース・ヘリング。このチャリティーを日本で始めた時のシンボルがキースの絵でした。あのキース・ヘリングのシンボルマークを旗印にAAAを始めなかったら、ここまでの啓蒙・啓発活動にはならなかったかもしれません。
この活動のきっかけは、14歳の子どもからもらった手紙でした。実はHIVに感染してます、怖くて仕方ない、なぜかというととんでもない差別がおきてるというものでした。エイズは、偏見と差別で、人間が一番大事にしければいけない"絆"を壊す病気だった。それに対してアーティストがそうじゃないと立ち上がったのがAAAです。僕の心の中で、20数年、キースと繋がっています。そのキースの一生を自分の本職である芝居で表現できるということはすごく大きな恩返しです」
さて、会見で一番盛り上がったのはこちら、イラスト大会!
4人が記憶だけで、1分でラディアント・ベイビーのイラストを描く...というもの。
取材陣からも大きな笑いが起こっていた、その内容は...。
ドローイング・タイム!
岸谷「ムズい」
平間「これダメなやつですね」
岸谷「わー直しようがない...これ記者の皆さんの時間の無駄だと思う」
等々、ボソボソ話す皆さん。
知念さんが先陣を切ります。描いた絵をオープンにした時の皆さんの反応がこちら。
...爆笑です!
「しっぽつけた時点であれ、違ったかな、と...。目はあったような気が...」と知念さん。
「これはこれで、キーホルダーにしたいですね。違う意味でいいなあ」とフォローする岸谷さんですが、「通知表でいうと...2かな」との評価で、「けっこう低いじゃないですか...」と呟く知念さんでした。
いやー、一発目から、なかなかの衝撃作が飛び出ました!
柿澤さん、大笑い。
お次は岸谷さん作品をオープン。
みなさんから「おぉぉ~」と感嘆の声が上がるも、胸につけていたバッチを外し見比べ、「あ、全然違う...」と岸谷さん。
「でもデデン!って感じが五朗さんぽいですよね。男らしく、デデン!としてる」と先輩のフォロー(?)をする平間さんです。
平間さんは取材陣からもなかなかの感嘆の声。
知念「えー、上手!」
岸谷「上手上手!壮一はストリートで絵を描いていたこともあるんだよね」
柿澤「これとかすごい、感じが出てる」(上記カットで、指をさしてるところです)
知念「でもちょっと惜しい...」
岸谷「何かが違うね、なんか耐えてる感じがするよね」
平間「性格、出てますか」
岸谷「輝いてない。耐えてる。「待て」ってかんじ。通信簿で...4かな。さあ、5を見てみましょう!」
...と、ハードルを上げられた柿澤さんですが、すでにキース作品の模写で練習を重ねて上手くなっていることは、連載1回目でもお伝え済み!
デデン!
皆さんから「一番上手だよ!」の声。
「僕、毎日描いてるんですよ。これ、描けなきゃヤバいなと」という柿澤さんに、岸谷さん「でもちょっと...(ベイビーが)大人だね?」とツッコミ。
そして平間さんが気付きます。「これ、キース・ヘリング? カキザワ・ハヤト?」。
「そう、サインもキースと同じKHなんです!」と柿澤さん。ホントですね!
イラストを持っての撮影となりましたが、「このカット、いる?」となんども言っていた、岸谷さんでした。
バッチリ使わせてもらいました!
正解を改めて確認中...。
そう、ラディアント・ベイビー、正解はチラシやポスターにいますよー!
実際の舞台で、柿澤キースは絵を描くのか!?
そのあたりもお楽しみに。
チケット発売中です!
△ 後ろのオブジェは、part1で平間さんがお気に入りにあげていたものです。
取材・文・撮影:平野祥恵
【公演情報】
・6月6日(月)~22日(水) シアタークリエ(東京)