『ラディアント・ベイビー』#2 合同取材会in中村キース・ヘリング美術館 part1

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■『ラディアント・ベイビー』#2■


今も世界で愛され続けているポップ・アートの先駆者、キース・ヘリングの生涯を、疾走感溢れるロックミュージックで綴ったミュージカル『ラディアント・ベイビー~キース・へリングの生涯~』

去る4月1日、日本初演されるこのミュージカルの出演者たちが、そのキースの残したアートに実際に向き合うべく、キース・ヘリングのコレクションのみを展示する美術館「中村キース・ヘリング美術館」へ。
そこで合同取材会が開催されました。
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作品上演への意気込み等々は後編でお届けしますが、まず前編は、美術館でキースの残したアートに触れた出演者たちの横顔をお届けします。

出席者は、岸谷五朗(演出)、柿澤勇人、平間壮一、知念里奈の4名。

エントランスでは、キースのポートレイトが出迎えます。
その写真を撮影したのはキースの友人、ツェン・クワン・チー。舞台では平間さんが演じます。
学芸員の神田さんからは「かなり近くまで寄って覗き込むように、キースがツェンにまなざしを投げている。この写真から、ふたりの親密な関係性、ふたりが強い絆で結ばれた盟友同士だということがわかります」と解説が。
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その奥は、キースが通っていたという伝説的ディスコ〈パラダイス・ガラージ〉の雰囲気を模したという空間があったり...。
※なお、劇中松下洸平さん演じるカルロスとキースが出会うディスコは、パラダイスです!こんな雰囲気の中でふたりは出会ったのかなー...。
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私たちがキースと聞いて抱くポップなイメージとはちょっと違うキース作品も。
このあたりの時期の作品については、岸谷さんが、この日みた中で印象的な作品として挙げていました。
曰く、「ちょっとゾクっとする怖さがあった。キースの可愛い絵はよく目にしていますが、そこに辿りつく前のキースの、右にも左にも上にも下にもいけない時のキースの絵がもっと見たい、サブウェイに描く前のキースは果たしてどんな世界を描いたのかということに興味を抱きました」
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丁寧に作品を見...。
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学芸員さんの説明に真剣に耳を傾ける皆さん。
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▽キース・ヘリング役、柿澤勇人さん。
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▽ツェン・クワン・チー役、平間壮一さん。
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▽アマンダ役、知念里奈さん。
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▽演出の岸谷五朗さん。
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キースがHIV予防啓蒙活動に力を入れていたことはよく知られていますが、それ以外にも社会に問題提起を続けていました。4人の後ろにはフリー・サウスアフリカの文字が。
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キース役・柿澤さん、食い入るように作品を見ています。
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絵画のみならず、立体作品も。
こちらは平間さんがお気に入りとしてピックアップ。
「ネットとかで調べると絵はいっぱいでてくるんですが、オブジェを実際に目の前にして、びっくりしました。キースが(立体を)工場で作ってる映像もみせてもらったのですが、それを病院に届けて、子供たちが勇気をもらっていた。好きで絵を描いてるだけの人じゃなくて、人のために動いていて、本当に優しい人。あれは見れてよかったです」
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こちらのキース・マウスは、取材陣からも人気でした♪
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実際にキースの作品に触れた皆さん、感想を次のように語りました。

柿澤「この美術館でキースの描いた絵を見て、説明を伺い、ドキュメンタリーを見て...。とにかく純粋に自分の思う信念を貫いて、時には全力で悩んで、とにかく全力で生きて駆け抜けた人なんだなと改めて実感しました。実際にこうやってたくさんのキース作品を見たのはNYに行って以来。僕はNYがすごく好きで、行ける時は行くようにしてるのですが、その時は別の芝居ですが同性愛カップルのふたり芝居をやる時で、正直当時の僕はそういう文化がわからなくて。わからないなりに頑張ろうと、グリニッジビレッジやウエストビレッジに行き、友だちに頼んでゲイクラブに行ったんです。今思うと、その世界にずっとキースがいたんだなと不思議に思います」

平間「絵を見て思ったのは、可愛いだけじゃないんだなということ。この美術館にきて色々な作品を見てみると、この人は、率直に心が思ったままに絵を描いて、悲しみや戦い、愛、人間、色々な思いをばばばっと描く。しかも映像を見ると、考えて描くというより手が勝手に動くかのように描いている。文字がぶれようと形が崩れようが、それがまた作品になると(ドキュメンタリーで)言ってましたが、本当に細かいことは気にせず、自分が思うものを表現したかったんだろうな。そう思うと、同じ表現者として自分も思うがまま、"これはやっちゃいけないだろうな"とか気にせず、自分が表現したいと思うものをぶつけていける人間になりたいなとキースから教えてもらった気がします」

知念「私はこんなにすごい人を知らなかったんだなとちょっとびっくりしています。もちろんたくさんの絵は目にしてきましたが、可愛い、ポップ、こんな(イラストの)Tシャツ素敵、というもののひとつだったんですが、それぞれにすごくメッセージが詰まっていた。人種差別やエイズといった社会問題を提起する活動をしていて、それを自分の芸術で世にメッセージしている。本当に素晴らしい活動をされていた方。この作品に参加できることを改めて嬉しく思っています」

岸谷「絵の中にHIVだったり反アパルトヘイトだったり、すごく重いテーマがある。その非常に深刻な問題を、キースのアートという魔力がそこに加わることによって、ひとつのシンボルのようになるんです。それは文章にしたらたいへんな文字数が必要で、みんなで話し合わなきゃいけないことが、たった一枚のシンボルで、みんながそこへ進んでいける。しかもその絵がキュートで可愛い。そんな力を持っている人はほかにいないだろうな思います。(キースの活動していた)当時、僕もNYに何十回も行ってるんですが、間違いなく、ペイントだらけで汚かった地下鉄の、真っ黒い中に白い絵があったなって記憶があります。まだまだ犯罪都市だったNYの町に(キースの絵が)点在してた。本当にあの荒れていた当時のNY、キースがいた町をもう一度歩きたい。そう思わせるアートを町中に描きなぐったこともキース・ヘリングの魅力」


取材会レポート、後半に続きます!

取材・文・撮影:平野祥恵


【『ラディアント・ベイビー』バックナンバー】

【公演情報】
・6月6日(月)~22日(水) シアタークリエ(東京)


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