永作博美、三田和代ら出演者が井上ひさし戯曲『頭痛肩こり樋口一葉』を語る!「女は生きてても死んでても元気」

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井上ひさしの戯曲『頭痛肩こり樋口一葉』(東宝・こまつ座提携特別公演)が、樋口一葉没後120年記念として8月から上演されます。

本作は、1984年の初演以来、これまでの上演回数755回(!)という女性6人による群像劇。前回は2013年に栗山民也演出版として上演されました。今回は、主演に永作博美さんを迎え、三田和代さん、熊谷真実さん、愛華みれさん、深谷美歩さん、若村麻由美さんは2013年公演に引き続き出演されます。

そこで、主演の永作さん、三田さん、熊谷さん、愛華さん、若村さんにお話を伺ってきました! 

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永作博美

――今回、永作さん以外のみなさんは再演となりますが。
三田「嬉しかったです。初演ではおたおたしてできていなかったこともいっぱいあるので、今回は少し落ち着いて。武士としてのプライドも少し交えながらやっていけたらと思います」
 
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三田和代

愛華「本当に待ちに待ったというか。まさか再演が叶うと思ってなかったんですけれども、こうしてみなさまとお目にかかると、そのときのことが思い出されて、今は噛み締めています。前回をいい意味で超えながら、それでいて新鮮に演れたらと思っています」
 
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愛華みれ

熊谷「深谷美歩さんが製作発表会見で『今日のためにがんばってきました』とおっしゃってたんですけど、私も井上作品に出させていただくときは、この日のためにがんばってきたってよく思います。他の芝居で手を抜いてるわけじゃないんですけど(笑)、何か自分が試されるというか、いつもそんな気がするんですね。特にこの作品に関しては、本当にやりたかった役だったので、この役を熊谷さんにって言ってくださったときの感動のままにまた演じたいなと思います」
 
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熊谷真実

若村「今、ふと思い返したんですけど、私、再演って初めてなんです。どんな感じがするんだろう...。初めて読む戯曲のつもりで演じたいです。幽霊役は初めてだったんですけれども、自力で幽霊をやるのはなかなかハードだなということを体験し(笑)。稽古場のときから怪我をしていて、万全の状態で臨めなかったんですね。だから今度こそは、怪我のないように。そういう調整もしながら臨みたいなと思っています」
 
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若村麻由美

――これまで、そのときどきの旬な女優さんが樋口一葉を演じてていますが、永作さんはどのような樋口一葉にしたいですか。
永作「"樋口一葉"とタイトルがついているのですが、実は樋口一葉さんのことをすごく描いているとか、説明をしているわけではない台本なので、とにかく読み倒して、井上さんの想いを探り出すしかないなと思っています。樋口一葉さんって喜怒哀楽というところでの印象が少ないんだと思うんですよね。口をむっとつぐんだ印象なので。なので、そこは私なりの振り幅で喜怒哀楽を作って、感情を豊かにできたらなと思っています」
 
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永作博美

――同じ役を再び演じることになるみなさんは、今回はどう演じたいですか。
三田「前回はソフトな感じで作って、劇評も『やさしいお母さん』なんて評が出たりして。でもそれじゃあ足りないんじゃないかなって。百姓の出だけれども武士への憧れが強くて、やっと武士になったと思ったら(時代の変化で)平民に落ちぶれちゃう。でもどこか武士としてのプライドっていうのが根底にあるんじゃないかな。今回はそこに挑戦してみたいなって思います」
愛華「私は生まれ持ってのお嬢様というのを心の中に持たなければいけなくて。階級があって、そこにすがっていたり、プライドがあったりっていう時代の、その時代じゃなきゃいなかった人たちなので、もう一回時代の空気感の違いを見つめ直してみたいと思います」
熊谷「お八重さんっていう人は小学校の先生から女郎に身を落とすっていう。言っちゃえば転落人生。そのきっかけは旦那さんなんですよね。初演のときも無我夢中でしたが、今回は全体重かけて、お八重さんと向き合う覚悟です」
若村「何よりも心がけるのは本当に怪我をしない(笑)。最重要課題です、私にとっては。あとはイチからもう一回スタートラインに立ってやってみようということです」
三田「花蛍さんって、浮かんだり飛んだり跳ねたり。くるくるくるくる常に浮遊してるんですよ」
若村「観たお客様に『あれ、ワイヤーで吊ってたの?』っていわれたことが何回かあって。よし!って。次は万全な足首で臨みたいです」

――永作さんは違う時代の役を演じるときに大事にされてることはありますか?
永作「時代も違いますし、時代の経験もまだ少ないので、とにかく現場の方に聞く。わからないことはまず聞く。おかしなことがあったらどんな小さなことでも言ってくださいと。指摘してもらわなければわからないことが多いので。例えば下駄のさばきだったりもそうですし、雨傘の置き方も今と逆だったりしますし、ちょっとしたことで全然違うですよね。まず所作を埋めていくことから、という感じなのでたくさんみなさんに聞いて、演じようと思います」

――時代設定も違う中で何度も舞台化されているこの作品の持つ魅力はなんだと思いますか?
三田「やっぱり生きる、ということ。みんな崖っぷちみたいなところまで追い込まれてるんだけれども一生懸命生きている、というところが、時代を超える感動の源じゃないかなって思います。それはやっぱり井上さんのエネルギーですし、井上さんの作品って普遍的な感じがしますね」
若村「名作中の名作だと思いますし、次の世に残る作品だと思うんです。次の世に残るということはつまり普遍性があるからであって、シェイクスピアなんかもそうですけども。私は、樋口一葉は貧しい中、必死で生きていく中で、常に死を想っていたと思う。『たけくらべ』や『にごりえ』に"生きる女たち"を一生懸命書いてるのと同時に、死を想っていたというのがすごく重要な気がして。『先ず臨終の事を習うて後に他事を習うべし』という言葉がありますけれども、死というものを受け止めたり考えたりするから、今を一生懸命生きようと思えるという...」
三田「一葉はやっぱり天才だと思いますね。まさかこの歳(樋口一葉が小説を発表したのは19~24歳)で、これだけの人生の奥深さを感じたんだなと思うと怖いぐらいですよね。舞台では随所に一葉の作品がセリフで出てくるんですよ。その点はね、井上先生うまいなって思う」

――永作さんは今現在、樋口一葉をどのような人物だと捉えていますか?
永作「女の人が前に出て行く先駆者とか第一人者とか、そういう印象があるので、そこに関しては非常に勇気を持った人だと思います。それだけ背負っていたんだろうし、きっと大変だったろうなって。背負ってるものをすごく感じてしまいますね、今は。でも今私がこうやって表に出て仕事をしていることを考えると、そういう意味では大先輩。そういう先輩をやらせていただくって嬉しいし楽しみです」

 
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永作博美

公演は8月5日(金)から25日(木)まで、東京・シアタークリエにて。東京公演ののち、9月に兵庫、新潟、宮城、山形、滋賀、長崎、愛知でも上演。

【出演情報】
『爆報THEフライデー』(6月24日(金)午後7時~TBS系)に、三田和代さんがゲスト出演。
今年で芸能生活50周年を迎えた三田和代さんの知られざる激動の半生が紹介されます!

ライター:中川實穗 カメラマン:源賀津己

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