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■ミュージカル『1789』2018年版特集vol.2■


待望の再演となるミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』顔寄せに続き、稽古場も取材してきました。
そのレポートをお届けします。1789_2018_02_01_1306.JPG

この日の稽古場で最初にあたっていたシーンは、バスティーユ監獄のシーン。
バスティーユといえば、この物語の舞台であるフランス革命前夜の時代には主に政治犯が収容されていた場所。
その彼らを解放しようと市民たちが襲撃した事件、「バスティーユ襲撃」といえばフランス革命の始まりであり、バスティーユ監獄はフランス革命の象徴的アイコンです。

物語の主人公・ロナンは、王妃マリー・アントワネットとその愛人フェルゼン伯の逢引きに遭遇。
王妃の侍女オランプのとっさの機転で、やってきた秘密警察から王妃は逃げることが出来たものの、その騒ぎにまきこまれたロナンはたまたま革命派が印刷したビラを持っていたことから、捕えられ監獄へ入れられてしまったのです。

ロナン(Wキャスト)小池徹平さん1789_2018_02_11_1300.JPG
ロナン(Wキャスト)加藤和樹さん1789_2018_02_12_1327.JPG

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■『リトル・ナイト・ミュージック』特集vol.2■


ミュージカル界の大巨匠スティーヴン・ソンドハイムの最高傑作と称されるミュージカル『リトル・ナイト・ミュージック』
4月の公演に向けて現在カンパニーは絶賛お稽古中ですが、3月18日、その稽古場の一端が報道陣に公開されました。LNM2018_02_00_2476.JPG

物語は、19世紀末のスウェーデンを舞台に、大女優デジレ(大竹しのぶ)とその昔の恋人フレデリック(風間杜夫)、フレデリックの若き妻アン(蓮佛美沙子)、フレデリックの息子で義母に恋しているヘンリック(ウエンツ瑛士)を軸に、さまざまな恋の鞘当て、ボタンの掛け違い、恋人たちの思惑が絡み合うラブ・コメディ。

夏は白夜で陽が沈まず、冬は一日中暗いというスウェーデンの独特の気候の中、恋に喜び恋に悩む彼ら彼女らの行き着く先は......。


さて、この日披露されたのは1幕ラストの『田舎でウィークエンド』
登場人物全員が出てくる、1幕の幕切れに相応しいビッグナンバーです。
『レ・ミゼラブル』だったら『ワン・デイ・モア』、『ウエストサイド物語』だったら『クインテット』ってところでしょうか!

「田舎」とはデジレの実家、アームフェルト家のこと。
ここではデジレの母であるマダム・アームフェルトと、デジレの娘・フレデリカが暮らしています。
デジレは女優で各地を飛び回っているから、娘を自分の母親に預けている、といった形。

マダムは木野花さん、フレデリカはトミタ栞さん。執事のフリード安崎求さん)もいますね。LNM2018_02_10_2045.JPG

そこにデジレ大竹しのぶさんが帰ってきました。LNM2018_02_11_2105.JPG
マダムは奔放なわが子に苦言を呈していますが、フレデリカは久々に会ったお母さんのことが大好きな様子。
いい笑顔!LNM2018_02_12_2270.JPG

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■ミュージカル『1789』2018年版特集vol.1■


フランス生まれ、日本では2015年に宝塚歌劇団で初演され、翌2016年には東宝版として新たに上演されたセンセーショナルなミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』
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『ベルサイユのばら』や『レ・ミゼラブル』など、ミュージカルではお馴染みの「フランス革命」を時代背景に、打ち込みなども多用された斬新なサウンド、ファッションショーのような美しい衣裳、迫力の演出と、今までのミュージカルの価値観を破り「革命を起こした」と呼ばれるこの作品。

多くの熱狂的なファンも獲得し、初演ではチケットが完売となったことも、記憶に新しいです。
そんな本作が、2年ぶりに帝国劇場に帰ってきます!

初演時もその創作過程を追ったげきぴあ、今回も3月上旬の某日、キャスト・スタッフが一堂に会する「顔寄せ」の場を取材しました。
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【『1789』2016年公演バックナンバー】

# 製作発表レポート速報
# 製作発表レポート詳報
# 神田沙也加ロングインタビュー
# 加藤和樹 インタビュー
# 顔寄せレポート
# 稽古場レポート Part1
# 稽古場レポート Part2
# 初日前会見レポート

【『1789』2018年公演バックナンバー】

# 製作発表レポート


メインキャストでは2名がニューフェイスに。
そのほかは、好評だったオリジナルキャストが再集結!

主人公のロナンはWキャスト。
こちらは小池徹平さんIMG_1239.JPG

こちらは加藤和樹さんです。02加藤和樹_1187.JPG

ロナンは農夫ですが、父を貴族に殺されたことがきっかけで、革命運動に身を投じていきます。
俳優として、タイプも印象も異なる小池さんと加藤さんのダブルキャストは、初演時にも話題でした。ぜひ両ロナン、見比べて欲しい!

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今月末に幕を開けるミュージカル『Romale ~ロマを生き抜いた女 カルメン~』
カルメンといえばビゼーのオペラでも有名ですが、今回はメリメの小説『カルメン』を原作に、演出・振付の謝珠栄が彼女ならではの視点で描き出す、魔性の女と呼ばれたひとりの女性の物語。

主役のカルメンを、元宝塚歌劇団トップ娘役であり、宝塚時代にもカルメン役(1999年『激情-ホセとカルメン-』)を好演した花總まりが扮することも話題です。

稽古が本格スタートしたばかりの2月中旬某日、ともにカルメンに翻弄される男性を演じるホセ役の松下優也さんと、ローレンス役の太田基裕さんにお話を伺いました。
 

松下優也太田基裕 インタビュー ◆

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● 原作小説やオペラの知識がなくても、楽しめます!



―― 今回のミュージカル『Romale』は、有名なカルメンの物語を下敷きにしています。オペラなどでカルメンはとても有名ですが、今回はオリジナル要素も強い、新しいカルメンの物語ですね。

太田「僕、もともとのカルメンの物語、あんまり知らなかったんですよ。お話をいただいて調べたのですが、僕の演じるローレンスは、色々検索しても出てこないから、今回のオリジナルのキャラクターなんだろうな、って思いました」

松下「俺もそんなに知らなかったです。名前を知ってるくらい。有名なのってなんなんだろう、やっぱり『闘牛士の歌』とか? ......けっこう、イメージはあるけれど詳しくは知らない、って人が多いんじゃないかな」

太田「でも、台本はすごく読みやすかった」

松下「うん、すごく読みやすいし、わかりやすい」

太田「だからお客さんも原作小説や、有名なオペラの知識がなくても、楽しめると思います」

松下「そうだね。まぁ、原作とは少し違うお話になっているのかもしれないけれど、これだけ長いあいだ(メリメが小説として発表したのは1845年)、世界で愛され続けている理由はあるんだろうな、って思いました。ストーリーとしては意外とシンプルですし......」

太田「今回のミュージカル版は、展開も「どうなるんだろう」と思わせつつ、最後はきれいに着地していますよ」


―― おふたりが演じる役柄について、教えてください。松下さんが演じるのが、ホセですね。

松下「僕が演じるホセは、あることがきっかけで自分が生まれ育った故郷から離れなければいけなくなってしまいます。その後軍隊に入り、そこで出会ったロマ族のカルメンに恋をします。それまでは真面目に軍人としてやってきたのですが、カルメンと出会ってから、どんどん堕ちていってしまう......。そんな男です。ホセ自身は貴族なのですが、そんなに上の階級ではなく、さらにバスク地方出身。謝先生によると、バスク地方というのは今も民族性が強く、だから結構、(スペインの社会の中ではマイノリティであり)みんなと違う部分もあるというのが重要な部分かな」


―― そして太田さんが、ローレンス。

太田「イギリスの貴族です。たぶん身分的には相当上の方。カルメンに翻弄される男のひとりです。彼も、カルメンには何かある(自分を単純に愛しているとは思っていない)、とわかっているんですが、"恋は盲目" ではありませんが、彼女を愛してしまう。そういう、嫉妬の感情が面白いですね」


―― おふたりは、以前にも共演があるんですよね?

松下「そうです、『黒執事-地に燃えるリコリス-』(2014年)という作品で一緒でした。でもその時は、そんなにたくさん喋ったりはしなかったですよね」

太田「絡むシーンもあまりなかったですし......」

松下「そうそう。でも今回、なんだか一番距離が近い気がします。だって共演の皆さん、ミュージカルをガッツリやっている方たちだし、キャリア的にも経験豊富でしょう......」


―― お互い、なんと呼んでいるんですか?

松下「俺はもっくんです」

太田「俺は...... 優也くん、かな?」

松下「もっくんって、"もっくん" 以外、呼ばれることあるんですか?」

太田「......ないね」

松下「(笑)!ですよね。」

太田「だってもう、自分で「もっくんって呼んでください」って言っちゃってるもん(笑)」
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■『リトル・ナイト・ミュージック』特集vol.1■


『ウエストサイド物語』の作詞や『太平洋序曲』 『スウィーニー・トッド』の作詞・作曲などを手掛け、アメリカ演劇界最高峰の栄誉トニー賞をこれまで8度受賞しているミュージカル界の大巨匠スティーヴン・ソンドハイム
その巨匠の最高傑作と称される ミュージカル『リトル・ナイト・ミュージック』が、4月に上演されます。

主役の大女優デジレに大竹しのぶ、その昔の恋人フレデリックに風間杜夫という豪華共演で実現する今回の上演、その稽古場にいち早く潜入してきました!
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物語の舞台は19世紀末のスウェーデン。
恋多き大女優デジレと、その昔の恋人である中年弁護士フレデリックを中心に、3つの家族、数組のカップルの恋が入り乱れるラブ・コメディです。

この日は全員揃っての「歌入り本読み」が行われるということで、それまで個々、歌パートの練習などを重ねてきたキャストさんたちが、全員であわせる初めての場。
作品の全体像が立ち上がる瞬間です。

全員が顔を揃えるのが初とあって、簡単に出演者・スタッフの紹介があり、演出のマリア・フリードマンさんからの挨拶もありました。

マリアさん、数々の受賞歴を誇るイギリスの大女優です。特に『パッション』『ラグタイム』ではオリジナルキャストとして、ローレンス・オリビエ賞の主演女優賞を受賞しています。
そしてかつて『リトル・ナイト・ミュージック』にも出演しています。LNM2018_01_05_00143.JPG

そのマリアさん、出演者の皆さんに向かって「本当に美しいキャスティングだなと感動しています。ここから数週間、皆さんとご一緒するのが楽しみ。最終的に美しい作品になっていくだろうと確信しています」と話しました。

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■夢幻朗読劇『一月物語』特別連載 その3■


芥川賞作家・平野啓一郎の代表作を、音楽・バレエを融合したあたらしい形の朗読劇として上演する夢幻朗読劇『一月物語』 がまもなく開幕します。

作品は、明治の日本・十津川村を舞台に、格調高く流麗な文体で綴られた幻想的な物語。

幽玄の世界と、その擬古典的文体があいまって、「現代の神話」とも称される名作を手掛けるのは 谷賢一
その、谷の演出のもと、元宝塚雪組男役トップスターの水夏希、世界的バレエダンサーの横関雄一郎ら実力派が出演する注目作です。

初共演ながら、作品に対するストイックさや、語る言葉のクレバーさで似通った雰囲気をかもし出している水夏希さん、横関雄一郎さんのおふたりにお話を伺ってきました。

●あらすじ(オフィシャルより)
明治三十年、奈良県十津川村。
神経衰弱の気鬱を逃れ、独り山中をさまよう青年詩人・真拆は、老僧に毒蛇から救われ、山寺に逗留する。
俗世から隔絶された奇妙な時空の中で、真拆は、いつしか現実と夢界の裂け目に迷い込み、運命の女と出逢った。 それは己の命を賭けることでしか成就しない愛、だが、刹那に失われる運命の愛だった......。
古典的風格さえ漂う端麗な筆致で描かれた聖悲劇。

水夏希 × 横関雄一郎 INTERVIEW ●

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●「今まで経験した朗読劇とは、全然違います」(水)



―― 先日読み合わせを拝見しましたがとても面白かったです。横関さんもその時は踊らず、俳優さんたちの語りをずっと聴いていらっしゃいましたね。感想は、いかがですか?

横関「聴いているのが、すごく楽しいです。毎日でもずっと聴いていたい」

「(自身の稽古じゃない時間も)ほとんどお稽古場にいらっしゃいますもんね」

横関「毎日幸せです(笑)。僕、こういった朗読劇への出演は初めてなのですが、演出の谷(賢一)さんが突き詰めていく奥行き、それを演者の方が自分なりに変換していくスピードのはやさ、本当にすごいなと思いながら聴いています」

「稽古を重ね、本当に1回1回すごく変わっていくんですよ」

横関「僕、水さんの「岩棚に腰を下ろす」ってセリフが好きです(笑)」

「あはは(笑)、あそこは谷さんのOKも出ています。"岩棚に腰を下ろす感"が出てる、と」


―― 今回、水さんは "高子" 役と、"地の文" を担当されています。いわゆる鍵括弧のセリフ、キャラクターの発言に感情を乗せて語るのは俳優さんの得意とするところかなと思いますが、地の文はいつもの "演じる" という作業とは、勝手が違うのでは?

「もう、全然違います。地の文を読む朗読ってほとんどやったことがないんですよ。2015年に石丸さち子さんとやった『サンタ・エビータ~タンゴの調べに蘇る魂』では少しありましたが、あの作品は全体がエビータの手記、自分が自分のことを語っているという形でした。今回は別の人の行動や心情を語ったり、状況を語ったりする。さらにその時によって、真拆を揺さぶるように言ったり、真拆のことをクールに解説していたり。はたまた淡々と情景を描写したり、観客に問いかけるように語りかけたり。忙しいです(笑)。ただ、『エビータ~』で「扉代わりになっている布をどけると...」という文章のところで、石丸さんが実演してみせてくれたものが、本当に「扉、今開けた、見えた!」と衝撃を受けたのを覚えています。その後『ヴォイサリオン』(2016年)で声優の方々とご一緒した時も、あの方たちは声のプロですから、もう声だけで「振り向いた」とか、わかるんですよ。そういうものは意識しますし、経験値となっています」


―― 地の文というのはひとりで何役もやっているようなものですね。平野啓一郎さんの原作も、日本語の美しさや装飾的な言葉が地の文に表れていて、まさに地の文が主役という感じがしました。

「そうなんです。ただ、最初はそう思わず、「これ、真拆の物語だな、高子が全然出てこないな」って思っていました(笑)。何度か読んで、地の文の重大さに気付きました」


―― 特に今回の『一月物語』は典雅で普段遣いではない日本語も多い。でも水さんの朗読がとても豊かで、するすると耳に入ってきました。

「ありがとうございます! 谷さんには「もっと、もっとやって」って言われています(笑)」


―― おふたりとも最初にこの物語に触れたとき、どんな印象を受けましたか?

「私はこういう摩訶不思議なストーリーが大好きなので、「この話、良い!」と思いました。出演のご相談をいただいたときには「すごくいいと思う!」と即決です。怖くて、おどろおどろしくて、ちょっと官能的で、でも夢があって......という、人間の世界を超越した物語、みたいなところが大好き」

横関「読むごとにちょっとずつ印象が違うんです。その日の自分のコンディションや感情で、印象が変わっていく。日によっては "ロミジュリ" っぽさを強く感じたり、日によっては「(真拆と高子の)ふたりは、これでよかったんだ」と思ったり、日によってはすごく泣けたり......。多面性を持つお話だなと思いました」


―― いま "ロミジュリ" という言葉もありましたが、谷さんの演出も面白いですね。真拆と高子はロミオとジュリエットだ......と仰っていたのも、面白い解釈だなと思いました。

「そうそう、"薄っぺらく言うと"、ロミジュリだと仰っていました(笑)。お話をきいていると、谷さん自身が真拆と似ている気がするんです。文学青年で、情熱的だけど実は繊細、というところが。ご自身でも、真拆の情熱や何かを突き詰めるところ、突き詰めた上で行き場のなくした情熱......そういう思いがすごくわかると仰っていました。キャラクターの心情を解説していただいて「なるほど!」と思うことがたくさんあります。またこの物語の舞台になった十津川にもひとりで行かれていて、熊野古道の闇や音のない感覚、真拆が感じたであろう孤独といった感覚も伝えてくださって、そのお話にこちらも想像力がかきたてられるんです。谷さん、本当に面白いです」ichigetsu03_05_1094.JPG

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■夢幻朗読劇『一月物語』特別連載 その2■


芥川賞作家・平野啓一郎の代表作を、音楽・バレエを融合したあたらしい形の朗読劇として上演する夢幻朗読劇『一月物語』 が3月に上演されます。

作品は、明治の日本・十津川村を舞台に、格調高く流麗な文体で綴られた幻想的な物語。

幽玄の世界と、その擬古典的文体があいまって、「現代の神話」とも称される名作を手掛けるのは 谷賢一
その、谷の演出のもと、元宝塚雪組男役トップスターの水夏希、世界的バレエダンサーの横関雄一郎ら実力派が出演する注目作です。

この作品で音楽を担当するのが、ミュージカル、ストレートプレイ、コンサートと幅広く活躍するかみむら周平

たんなる「朗読劇」の枠を超えた作品になりそうなこのステージ、音楽も非常に重要な存在であると伺い、かみむらさんにお話を伺ってきました。

●あらすじ(オフィシャルより)
明治三十年、奈良県十津川村。
神経衰弱の気鬱を逃れ、独り山中をさまよう青年詩人・真拆は、老僧に毒蛇から救われ、山寺に逗留する。
俗世から隔絶された奇妙な時空の中で、真拆は、いつしか現実と夢界の裂け目に迷い込み、運命の女と出逢った。 それは己の命を賭けることでしか成就しない愛、だが、刹那に失われる運命の愛だった......。
古典的風格さえ漂う端麗な筆致で描かれた聖悲劇。

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● かみむら周平 INTERVIEW ●

 
●「お客さまの想像を膨らませるために、音楽が言葉と相乗効果にならないといけない」



―― 今回の作品では、かみむらさんが作る音楽が非常に重要になってくるとおききしました。まだお稽古が始まる前ですが、現時点の構想をお伺いできればと思います。

「基本、生のピアノ一台で演奏しようと考えています。いわゆるノイズだったりというものをシンセサイザーで用意はしているのですが、それは音響さんとのコラボレーション、レイヤーで入れていくイメージです。演出家(谷賢一さん)も "音楽を効果的に使う" と話していて、「攻めよう」とは言ってました(笑)。僕の中では「こんなイメージかな」というものがあって、昨日、3曲デモを作ったところ。まさに今日、谷さんとお話するんです」


―― 「3曲」ということは、独立した楽曲がいくつもあるってことなんですね。

「そうです。台本に「ここに音楽が入る」とすでに書かれています。谷さんの方で曲のタイトルもつけられています。『予感』とか」


―― そもそも生演奏の、しかも朗読のバックで流れる音楽......もちろん時にはバックではなく、音楽が表に出てくることも含めですが、そういう作品の音楽とは、どの程度が決まっていてどの程度がアドリブなのかな、という疑問があります。

「アドリブでやろうとは思わなくて、基本的には決まってくるはずです」


―― 劇中音楽はこれまでもたくさん手掛けていらっしゃいますが、朗読での劇中音楽ということで、気をつけていらっしゃることは。

「朗読劇は、観る方の目の前で、俳優さんが衣裳を着て動くわけではありません。俳優が発する言葉を聞き、お客さんが頭の中で想像をする。その想像を膨らませるために、音楽が言葉と相乗効果にならないといけないと思っています。そのあたりを一番気にかけますね。どういうハーモニーがいいのか、もしくはもっと音を減らした方がいいのか。どうしても音楽を作るときは自宅でひとりで作るじゃないですか。作る時って、やっぱり不安なんです。明るい状態で作ると、不安だからどんどん、(余白を)埋めていってしまう。だから、部屋を真っ暗にして確認するんです。そうするとどんどん、(埋めていったものが)うるさいものになる。ピアノをポーンと叩いて、音が減衰していくあいだにもっと考えられるじゃん、といった意識が出てくるんですよね。今回もきっとそういうことが出てくるんじゃないかな」
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いまや日本ミュージカル界に欠かせない存在である藤岡正明
今年も『ジャージー・ボーイズ』イン コンサート『不徳の伴侶』『タイタニック』と出演作が次々と発表になっています。fujioka08 15th_1447.jpg

藤岡さんにそれぞれの作品について、そして、俳優として、ミュージシャンとして......様々なお話を伺ってきました!

今回は【後編】として、『不徳の伴侶』『タイタニック』、そしてTV番組『カラオケ☆バトル』のお話までお聞きしています。

★『ジャージー・ボーイズ』イン コンサートや、ご自身のライブツアーについて語った前編はコチラ★



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●朗読ミュージカル『不徳の伴侶 infelicity』(5/29~6/3 東京)


―― 『ジャージー・ボーイズ』イン コンサートのあとは、『不徳の伴侶』が5・6月にありますね。作・演出を荻田浩一さんが担当される作品です。

「僕、荻田さんの演出作に再演から参加したり、ミュージカルコンサートでご一緒したりはしているので、厳密に "お初" ではないのですが、イチから芝居を作り上げる現場でガッツリまともに向き合ったことが、実はないんです。もともと荻田さんのことはよく知っていて......まぁ、主に飲みの席で、なんですが(笑)。ただ、そのコンサートの演出で少しだけ触れた演出家としての荻田さんは、ちょっと怖いと思うくらいの真面目な目をしていました。言葉も、普段は柔らかい方なのに、違うものは違うとハッキリ言う。荻田さんが思い描くビジョンが、佇まいから伝わってくるんです。ですので、"荻田さんとガッツリ演劇をやりたい!" という気持ちですね」


―― 特に今回の作品は荻田さんの「自主公演」ですので、こだわりもひとしおではないかと想像しています。

「そうなんですよ、荻田さんが10年温めてきた題材だそうです。普段、とても大きな劇場などでもたくさん演出をしている方ですが、今回はこういった小劇場(赤坂RED/THEATERの座席数は200弱)。変な話、ここでお金儲けをしようとかじゃないですよね。この作品は、荻田浩一の情熱でしかない!ってことです。その情熱に、僕も乗りたいな、と思いました。まだ稽古も先ですが、面白くなるといいなと思っていますし、そういうものを、僕も欲しているのかも」


―― そういうもの、とは、商業的なあれこれを抜きにして良い作品を、という?

「そう、やりがいが見出せる作品。もちろんお金を稼ぐことも重要ですが、自分自身が夢を見ていたいなと思うんです。やっぱりこの仕事が好きでやっているから。そこに情熱を120パーセント注ぎこめたら、生きてる心地がするんだろうなって思って」

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■夢幻朗読劇『一月物語』特別連載 その1■


芥川賞作家・平野啓一郎の代表作を、音楽・バレエを融合したあたらしい形の朗読劇として上演する夢幻朗読劇『一月物語』 が3月に上演されます。

作品は、明治の日本・十津川村を舞台に、格調高く流麗な文体で綴られた幻想的な物語。

幽玄の世界と、その擬古典的文体があいまって、「現代の神話」とも称される名作です。

構成・演出を手がけるのは、「斬新な手法と古典的な素養の幸せな合体」(永井愛)と評された、ポップでロックで文学的な創作スタイルで、脚本・演出ともに幅広く評価を受ける 谷賢一

出演には、朗読という表現方法にも積極的に取り組んでいる、元宝塚雪組男役トップスターの水夏希、世界的バレエダンサーの横関雄一郎ら実力派が揃い、さらにミュージカル、ストレートプレイ、コンサートと幅広く活躍するかみむら周平の音楽が、その世界を彩ります。

2月末の某日、この作品のキャスト・スタッフが一堂に会する「顔あわせ」を取材しました。ichugetsu01_00_1170.JPG

●あらすじ(オフィシャルより)
明治三十年、奈良県十津川村。
神経衰弱の気鬱を逃れ、独り山中をさまよう青年詩人・真拆は、老僧に毒蛇から救われ、山寺に逗留する。
俗世から隔絶された奇妙な時空の中で、真拆は、いつしか現実と夢界の裂け目に迷い込み、運命の女と出逢った。 それは己の命を賭けることでしか成就しない愛、だが、刹那に失われる運命の愛だった......。
古典的風格さえ漂う端麗な筆致で描かれた聖悲劇。



これまでに音楽朗読劇『ヴォイサリオン』、リーディングドラマ『サンタ・エビータ』、『パンク・シャンソン~エディット・ピアフの生涯~』など "朗読" というジャンルに果敢に挑戦している水夏希さん。
今回は日本情緒溢れるこの世界で、どんな声を聴かせてくれるのでしょう。
水さんは、この作品の要といえる地の文を担当するとともに、謎めいた女・高子を演じます。ichugetsu01_01_1159.JPG

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いまや日本ミュージカル界に欠かせない存在である藤岡正明
今年も『ジャージー・ボーイズ』イン コンサート『不徳の伴侶』『タイタニック』と出演作が次々と発表になっています。

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藤岡さんにそれぞれの作品について、そして、俳優として、ミュージシャンとして......様々なお話を伺ってきました!



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●「役者・藤岡正明」と「ミュージシャン・藤岡正明」?

―― 去年末はその武器である歌を使わないストレートプレイ『欲望という名の電車』でも大役を果たされていて、その前の『ビリー・エリオット』も芝居色の強い役柄を演じていました。もともとの出発点は音楽活動だと思いますが、最近は俳優としての藤岡さんを見る機会が多い。ちょっと今日は、「役者・藤岡正明」「ミュージシャン・藤岡正明」を語っていただければと思っているのですが......。

「『欲望という名の電車』は、自分でもなんで僕にあの役が来たんだろうと最初は思いました(笑)。まず、ミッチという役は "180何センチの大男" ですしね。たしかに、そういう意味では去年は "役者" に寄っていて、歌をガンガン歌うということもあまりなかったし、自分の音楽活動というものもほとんどなかったですね」


―― 一転して今年は、コンサート『TENTH』からはじまり、ミュージカルが何本も決まっていて、さらにライブツアーもある。2018年は「歌う藤岡正明」の年なのかな、と思ったのですが、これは狙ってのことですか?

「いえ、狙ってでは、まったくないです。ただ自分としては、"刺激的でありたい" と思っているんです。自分自身が「ここ!」と思える、この仕事をやる上での縁を感じられるところには、どんどん出ていきたい。ただ、いま「狙ってではない」と言いましたが、最近ちょっと、役者としてだけでなく、歌手としてムラムラしてきました(笑)」


―― ムラムラですか(笑)。

「だから久しぶりにミュージシャンとして、3月にライブツアーもやります。ここ最近は自分のオリジナル曲をやって、普通にギターを弾いてポップスを歌うってことをあまりしてこなかったんです。だから、オリジナルライブは2年半ぶりかな? でも実は、そのやっていない間に、ギターばかりいっぱい買っちゃって。何本増えたんだろう? ってくらい。それで、家でギターを弾くという時間が、ある意味忘れていたものを思い起こさせてくれる時間だったんです。役割としてのミュージシャンではなく、自分の部屋でビールでも飲みながら、ただひたすらギターを弾いているという行為が「俺にとって音楽ってなんなんだろう」みたいな......。そんなことから、最近ふつふつと、やっぱり音楽をやりたい! って思うようになったんですよね」

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