11月30日に行われた注目のミュージカル『1789 バスティーユの恋人たち』の製作発表会見の模様をお届けします。
『1789』は2012年にフランスで初演されたミュージカル。
ノリのいいポップス&ロックで綴られた、いかにもフレンチ・ミュージカルらしい、ポップでカラフルでドラマチックな作品です。
日本では今年4月に宝塚歌劇団月組が初演し好評を博し、その勢いのまま、今度は東宝版ミュージカルとして登場。
演出は宝塚版同様、日本ミュージカル界の鬼才・小池修一郎が務めます。
作・音楽を手がけたのは、日本でも上演された『ロックオペラ モーツァルト』『太陽王』も生み出しているDove Attiaさん率いるチーム。
『ロミオ&ジュリエット』の大ヒット以降、現代フレンチ・ミュージカル、次々と日本に上陸していますね~。
さて、物語はタイトルからもわかるように、フランス革命を背景にしています。
18世紀末フランス、貴族が贅沢におぼれている中、貧困にあえぐ民衆たちの間では革命への機運が高まっていきます。
そんな中、父を貴族に殺害されたロナンは、革命運動を牽引しているデムーラン、ロベスピエール、ダントンらと出会い、革命派へ身を投じます。
一方で王宮では、王妃マリー・アントワネットはフェルゼン伯と許されざる恋に落ち、その逢引の手引きをする侍女オランプは、ある騒動からロナンと出会い強く惹かれあうのですが...。
動乱の時代の中で、革命への熱き思いと、激しい恋が、絡みあっていくのです。
会見では、豪華出演陣が、舞台衣裳を着けて登場!
フレンチ・ミュージカルといえば、ポップな楽曲に加え、衣裳もポップでオシャレ!な印象がありますが、今回もその期待にもれずゴージャスな衣裳で、目を奪われました。
会見場は円形ステージがあり、そのステージを使っての出演者の登場シーンはさながらファッションショー!!でした。
主人公ロナンは、ともに帝国劇場初主演となる小池徹平、加藤和樹。
今年は『デスノート THE MUSICAL』のL役が大評判になったのも記憶に新しい小池徹平さんは「小池先生ではなく徹平の方です。現場での呼ばれ間違い・聞き間違い、この現場では覚悟しています」と発言し場をなごませ、「...初めての帝国劇場。すごく素敵な、大きなステージに立てる喜びを噛み締めながら、演じさせていただきたいと思っています。Wキャストも初めて。自分がやる役を客観的にみれる機会だったり、今までにない視野で自分の役に取り組めることを楽しみにしています。素敵なミュージカルにしたいと思っています」とご挨拶。
作品への印象は「全体的にカッコいいなという印象。勢いをすごく感じますし、ほかのミュージカルと比べるとどんどん歌で物語が進行していく分、歌ひとつひとつにパワフルさを感じます」と語ります。
加藤さんも、ストレートプレイにミュージカルにと大活躍ですが、ミュージカルでは昨年の『レディ・ベス』のロビン役、そして『タイタニック』主演と、次々と話題作に出演。ついに帝劇主演です。
「このお話を頂いてすぐにフランス版の映像を見ました。自分自身、その世界にすごく引き込まれました。ワンシーンずつがコンサートやフランス映画を見ているように豪華絢爛。踊りもアクロバティックで、ナンバーも心が躍るもので、ワクワクした気持ちになりました。今回、小池先生がフランス版とも宝塚版とも違う色を付け、東宝版『1789』になるということで、僕自身も楽しみにしています。オリジナルナンバーも加わるとのこと、ミュージカル界の革命を起こせる作品にしたいと思っています」と熱い意気込みを。
加藤さんは本作の印象は「ミュージカルというときれいに歌い上げたり、より感情を込めて歌う部分が強いと思いますが、『1789』はオーケストラではなくデジタルっぽいものだったりと、"今"を感じさせる楽曲が多い。ですので、そこでのライブ感というものが一番の違いなんじゃないかな。もちろんミュージカルはライブなのですが、本作は"よりロック"なので、その部分が強いと思います」と話しました。
ロナンと恋に落ちるオランプ役に扮するのは、神田沙也加と夢咲ねね。
宮廷に仕える侍女であり、立場としては王宮側の人間ですね。
まずミュージカルは多数出演経験ある神田さんですが、フレンチ・ミュージカルへの出演は初。
「『1789』は本当に音楽が素敵な曲ばかり。いつも自分が歌わせていただく曲ってたくさん聴くんですが、この作品はそれだけではなく、皆さんが歌う曲が本当に素晴らしいものばかりで、常に聴いています。音楽としてとても好きになった作品です。そして曲たちが本当に良いというのは大前提で、おしゃれ、洗練されているという印象。独特の見せ方、歌い上げ方も美意識をどこか感じます。楽曲の世界の中で自分がどういう風に存在しようかとたくらむのが楽しみになるような気持ちです。
東宝版はどんな演出になるのか、また私がその中でどんなことが出来るのか自分でも発見していきたい。小池さんとも初めてご一緒させて頂きます...徹平君じゃないですよ、徹平君とは10代の時にご一緒させて頂いています(笑)...初めて小池先生の演出を受けさせていただくので、いい演技ができればと、心から精進してまいりたいと思います」
元宝塚星組トップスターの夢咲さんは、帝国劇場初出演ですが、こちらはフレンチ・ミュージカルの常連。
なんといっても、日本初演となった宝塚星組版『ロミオとジュリエット』のジュリエットを演じています!
「今日キャストの皆さんと初めてお会いして、本当に豪華な方たちとご一緒させていただけるんだなということで、すごく嬉しくて幸せな気持ちでいっぱいです。同時に、私が足を引っ張ってはいけないなという責任感も押し寄せています。私なりに精一杯頑張りたいと思っています。
私はフレンチ・ミュージカルにご縁があり、宝塚に入団した時からフランス版『ロミオとジュリエット』を見て、ずっとウォークマンで(その楽曲を)聞いているような生活を送っていたので、今回もフレンチポップスの作品に出させていただけるのがとても嬉しく、ある意味心強い部分。楽しみたいと思います」と意気込みを語りました。
続いてミュージカル界の若きイケメンが揃う、革命家たち。
教科書でもおなじみ、ロベスピエールは古川雄大。
まだ革命をなす前の彼は、若手議員であり、いち弁護士です。
「宝塚版を観させていただき、とても楽しませていただきましたし、魅力的だと思いました。あの宝塚版がどう東宝版に変化するのかも楽しみですし、小池先生のご指導のもと、自分なりにロベスピエールという役を掘り下げて、しっかり役割を果たしていきたいと思います」と挨拶。
弁護士のダントンは上原理生。
やはり上原さんと言えば『レ・ミゼラブル』の学生革命家のリーダー・アンジョルラス役などが印象的ですが...
「私、舞台上でよく革命に身を投じているのですが、ことごとく失敗しており、天に召されてしまうのですが(笑)、今回は歴史的にも成功を収める革命です。また、いつもは女っ気のない革命家が多いのですが、今回はあるので、こんなに革命家冥利に尽きることはございません」と笑わせつつ、
「小池先生が仰っていましたが世界情勢も色々有り、この革命家たちは最終的には革命をなしますが、なした先にどんな世界を夢見ていたのか、それをお客さんに感じていただけたら一番幸せかなと思います。史実ですので、尊敬の念をもって誠心誠意取り組みたい」と意気込みを話しました。
その演説で民衆を革命へと扇動したジャーナリストのデムーランは渡辺大輔。
「念願の小池先生の舞台に初めて立てるということで、決まった時は心から嬉しかったです。素敵なキャストの方々とこうして大きな舞台に立てることを非常に嬉しく思っています。デムーランは、パリにあるパレ・ロワイヤルで1789年の7月14日、「武器をとれ」とパリ市民に対して武装蜂起を説いた人。そのことでパリ市民が決起し、バスティーユの牢獄を襲撃し、そこからフランス革命が始まっていきます。現在の世界情勢を考えると同じようなことが起きてほしくないなと思いますが、それは今だからこそわかること。お金持ちであればいいのか、貧しければいいのかも、昔の考えと今の考えは違う。そういう部分でも自分たちは責任をもって人間ドラマをしっかり大事にして演じていきたいと思います」と熱い思いを語っていました!
そしてここからは王党派...宮廷側の皆さま。
芸達者なベテラン揃いで"磐石"感がぷんぷんです!
ルイ16世の弟で王位を狙って暗躍するアルトワ役は、吉野圭吾。
「自分はブロードウェイ・ミュージカルやウィーン・ミュージカルはたくさん出ているのですが、フレンチ・ミュージカルというのは初めてです。どういう部分がフレンチなのか、それを見つけていきたいと思います。...なんかオシャレなかんじなんですかね?...ね?小池先生。楽しんで演じたいと思います」
...と、挨拶からして飄々としている吉野さん、マリー・アントワネットの悪友であり、享楽的な存在...というのは、ぴったりな気がしますよ!
アルトワの手先・ラマール役は坂元健児。
「秘密警察のラマールを演じます。...どう見ても(この衣裳では)すぐにばれてしまいそうな秘密警察ですが、どうやって隠していこうかと悩んでいます(笑)。僕、最近はめっきり恋愛をする役が減ってきているのですが、今回はオランプとの恋愛があるということなので......。特にそこを頑張りたいと思います!!」という宣言が。
そしてマリー・アントワネットの恋人、スウェーデン貴族フェルゼンは『戦国BASARA』等で人気を博す注目の若手俳優、広瀬友祐。
『エリザベート』の革命家・シュテファン役で帝劇の舞台は経験済み。
「この作品に出演できる喜びと幸せに感謝すると共に、何か役者人生においても、素敵な、意義のある時間になればいいなと思います。またマリー・アントワネットの恋人として、花總まりさん、凰稀かなめさん、こんなにも素敵な方の恋人役を出来るのかと思っています。贅沢な時間を堪能したいと思います」と少々緊張気味にお話されていました。
最後に、フランス王妃マリー・アントワネット役に花總まりと凰稀かなめ。
花總さんは、今夏の話題作『エリザベート』タイトルロールも大評判でした!
「宝塚に在団中に一度、マリー・アントワネット役をさせていただいたことがあるのですが、その時とは作品自体の雰囲気が全然違うので、今回は小池先生のご指導のもと、また新たにマリー役を作っていきたいと思います。
楽曲も、特にアントワネットは幕開きすぐに、いかにも今までのミュージカルとは違う...フレンチポップスだなと感じる歌を歌わせていただく。ミュージカルの歌い方とポップスの歌い方は全然違ってきます。自分もそれに徹して、フレンチらしさを醸し出していけたらと思います」と話しました。
一方、宝塚を卒業したばかりの、元宙組トップスター・凰稀さんは
「私事ですが、今年の2月に宝塚を卒業し、今回が女優として初舞台となります。17年間、男として立ってきたので、不慣れなことばかりで皆さまにご迷惑をおかけしてしまうかもしれませんが、精一杯努めていきたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします」とご挨拶です。
作品については「フレンチロックということでノリがいい分、内面的な部分が軽くなりすぎないように気をつけていかなければと思っています」と話しました。
アントワネットのゴージャスな衣裳は、ひときわ会場でも目を引いていました。
おふたりの印象を言葉にするなら、
ゴージャスな衣裳を<違和感なく>着こなす、お人形さんのような花總マリー。
ゴージャスな衣裳を<個性的に>着こなす、スーパーモデルのような凰稀マリー。
...というところでしょうか。個性がまったく異なる王妃になりそうで、このWキャスト、注目です!
ほか、会見には登壇されていませんが、ロナンの妹・ソレーヌにソニン、ロナンの宿敵ペイロールに岡幸二郎という配役。
さて、これら豪華で贅沢なキャストをまとめるのが、鬼才・小池修一郎。
宝塚版も手がけた小池さんですが、今回は、宝塚版とも違う新しい作品になるとのこと。
「今回用に新しい曲も(オリジナル版作曲チームに)お願いしている」というようなお話も!
会見での皆さんの扮装姿に、小池さんも「私も今、皆さんのすごいコスチュームに圧倒されています。フランス人が見ても「おっ」と思ってくれるクオリティなんじゃないかな」と満足そう。
そして小池さんのご挨拶は、非常に重みのある内容でした。
まずは作品全体について、「フランス人が作ったフランス革命のミュージカルですので、私はちょっとシビアなものなのかなと思ったら、逆にフレンチポップスの、音楽的にノリのいいことを主眼として作られた、青春ものでもあり、恋愛もの。歴史色としては、最後に〈人権宣言〉というものを出演者みんなで謳い上げるというところが、作り手たちが考えるフランス革命。フランス革命の発端が人権宣言という形で表明されたのである...ということを伝えた作品です」と解説。
続けて「その人権宣言は、歴史の教科書で習いますが、私たちにとって"非常に身近なもの"ではない。そのことは現在の表現の自由などに結びついていますが、日々、そのことを考えて暮らしているわけではない。でも、私たちが権利について考えるひとつのベースメントがここ、フランスの人々にあった。
その中には思想家もいますが、農民のロナンが、革命家たちのたまり場であるパレ・ロワイヤルに流れついて、そこで啓蒙され、逆に彼の存在が革命家たちにも影響を与えるというところが、この作品の面白いところでもあり、そしてこんにちに繋がるところなのかなと思います。つまり、偉大な革命家を賛美する作品でもないし、滅び行くフランス王国、ブルボン家のマリー・アントワネットを中心とした人々の悲劇ということでもない。それらを全部織り交ぜて、フランスという国が人権宣言を出した...そこに至るプロセス、そこに至る人々のことを描いているわけです。
ここで謳われている権利ということに対する考え方は、すべての人の中にそれがあるということ。それを謳ったときの彼ら(ロナンたち)の中にその意識があったかどうかわからないが、実はルイ16世やマリー・アントワネットたち支配者にもこの人権はあったと思う。そして世界中の人々、宗教も人種も超えて、ひとつの社会を構成していくのだという根本の認識が盛り込まれていると思います。これが、実はこれから私たちが向かっていけなくてはいけない大きい21世紀の課題なんだと思います」と、現在社会の課題と切実に結びついているテーマであることを話します。
もちろん、それは先日のパリでのテロ事件を含めた現在の世界情勢に思うことが多々あるようで、小池さんはこの作品の新曲の打ち合わせでパリに行き、帰国したわずか2週間後にあの事件があった...そうです。
ご本人も「ついこのあいだのテロがなければ、私もそこまで、この作品とこれからの世界を結び付けて考えなかったかもしれない」と言いつつ、
ご本人も「ついこのあいだのテロがなければ、私もそこまで、この作品とこれからの世界を結び付けて考えなかったかもしれない」と言いつつ、
「物語の最後はバスティーユの牢獄を襲撃し、門を開ける。この物語の中に込められているものは、おそらく、21世紀、これから私たちが生きていく中で、〈人権宣言がなされて、フランス革命があって、こんにちの社会に繋がった〉ということを、ただ「そうなんだ」と思うということから一歩先に、この作品から感じ、考え、そして私たちが未来に向かっていくこと。それがひとつのポイントになるという気がしています。
この作品は、これだけ魅力的な出演者がいて、とてもノリのいいカッコいい音楽に、カッコいいダンスを踊り、目に刺激的で、耳に心地いい。あらゆる世代の方にアピールすることを目的として作られている。それが舞台の上でエキサイティングに描かれればいいと思っていますが、その先に何があるのか。ふと、これからの私たちが日々、世界の中で生きていくことと接点があるということを、改めて感じています。この作品には、深みとはいいませんが、そんな厚みはある。
カッコいい作品です。ただ(それだけではなく)その中からもうひとつ何か汲み取れると、この作品を私たちが今やることの意味があると思います。これからの世界というものを感じさせてくれる...考えさせられるというほどの、プロパガンダの作品だとは思いませんが、革命を乗り越えこれからどうやって社会と関わっていくか...皆さんと一緒に感じていくことが出来る作品だと思うので、そこを目指して頑張りたいと思います」
...と、上演意義を熱く語っていました。
最後に、Wロナンの、帝劇初主演の意気込みを。
「帝国劇場というのはミュージカルの殿堂。僕は経験も浅いですし、自分の中でも色々準備することはあると思いますが、(稽古に)入って、小池さんから教えてもらうこともたくさんあると思いますし、たくさん素晴らしい方がいらっしゃる。こんな大きな舞台ですし、とにかく現場で見て、吸収して、頑張りたい。同じ役をやる加藤さんはミュージカルをすごくされている方なので、わからないことは恥ずかしがらず聞くのもいいと思いますし、感じたことをふたりで、小池さんの力も借りて、素敵なロナンを作り上げられたら」(小池徹)
「帝国劇場出演2度目で主演をやらせていただくのですが、ミュージカル歴でいうとこのくらい(と指をつまんでみせ)ですので、日々精進していきたいと思います。Wキャストの小池さんと、ロナンという役を作り上げたい。...でもお互い、タイプが全然違いますよね、今見ていただいてもおわかりかと思いますが。だから、そういったWキャストの楽しみ方もぜひしていただければ。小池先生についていけば間違いないので、頑張っていきたいと思います」(加藤)
そして速報でもお写真でお伝えしましたが、会見で披露された革命家たちのナンバー「サ・イラ・モナムール」のパフォーマンスの模様、再度(別カットで)掲載いたします!
【公演情報】
・4月11日(月)~5月15日(日) 帝国劇場(東京)
※4/9(土)・10(日)プレビュー公演あり
一般発売:1/30(土)
★ぴあ半館貸切公演 いち早プレリザーブ受付中!★
※前方10列目までの<ぴあスペシャルシート>受付有り
・12/3(木)11:00まで受付中
【『1789』バックナンバー】