■ミュージカル『1789』2018年版特集vol.1■
フランス生まれ、日本では2015年に宝塚歌劇団で初演され、翌2016年には東宝版として新たに上演されたセンセーショナルなミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』。
『ベルサイユのばら』や『レ・ミゼラブル』など、ミュージカルではお馴染みの「フランス革命」を時代背景に、打ち込みなども多用された斬新なサウンド、ファッションショーのような美しい衣裳、迫力の演出と、今までのミュージカルの価値観を破り「革命を起こした」と呼ばれるこの作品。
多くの熱狂的なファンも獲得し、初演ではチケットが完売となったことも、記憶に新しいです。
そんな本作が、2年ぶりに帝国劇場に帰ってきます!
初演時もその創作過程を追ったげきぴあ、今回も3月上旬の某日、キャスト・スタッフが一堂に会する「顔寄せ」の場を取材しました。
【『1789』2016年公演バックナンバー】
# 製作発表レポート速報
# 製作発表レポート詳報
# 神田沙也加ロングインタビュー
# 加藤和樹 インタビュー
# 顔寄せレポート
# 稽古場レポート Part1
# 稽古場レポート Part2
# 初日前会見レポート
【『1789』2018年公演バックナンバー】
# 製作発表レポート
メインキャストでは2名がニューフェイスに。
そのほかは、好評だったオリジナルキャストが再集結!
主人公のロナンはWキャスト。
こちらは小池徹平さん
こちらは加藤和樹さんです。
ロナンは農夫ですが、父を貴族に殺されたことがきっかけで、革命運動に身を投じていきます。
俳優として、タイプも印象も異なる小池さんと加藤さんのダブルキャストは、初演時にも話題でした。ぜひ両ロナン、見比べて欲しい!
ロナンと恋におちるオランプも、Wキャスト。
神田沙也加さんと...
夢咲ねねさんです。
オランプはマリー・アントワネットとルイ16世の息子である王太子の養育係。
彼女自身は貴族ではないようですが、宮廷に仕える身ですので、革命派のロナンとの恋には、立場の違いが大きく立ちふさがります。
贅沢を極める王侯貴族の象徴であるマリー・アントワネットもWキャスト。
こちらは凰稀かなめさん。
そしてもうひとりのマリー・アントワネット役は新キャスト、龍真咲さん。
新キャストといっても龍さんは、日本初演となった2015年宝塚月組公演で、主人公のロナンを演じていますので、作品自体には縁深いですね。
ここからは革命チームをご紹介。実在した、歴史上の人物です。
ロベスピエール役は新キャスト、三浦涼介さん。
三浦さんは帝国劇場も初出演。製作発表会見の場では「子どもの頃から母に帝国劇場に立って欲しいとずっと言われていました」というエピソードも語っていました。
ダントン役、上原理生さん。
日本ミュージカル界随一の「革命家俳優」!?
『レ・ミゼラブル』ではアンジョルラス役を長年務め、昨年は『スカーレット・ピンパーネル』でロベスピエール役も......。
デムーラン役、渡辺大輔さん。
ロベスピエール、ダントン、デムーランの革命家3名の友情も見どころのひとつ!
ロナンの妹、ソレーヌ役はソニンさん。
宝塚版にはない、ソレーヌをはじめとする女たちのカッコいいナンバーは必見です。
ここからは王党派。
王弟のアルトワ役、吉野圭吾さん。
ラマール役、坂元健児さん。
コミックリリーフ的に登場する坂元さんの弾けた演技にもご注目を。
王妃の恋人であるフェルゼン役は、広瀬友祐さん。
そして市民たちの敵であるところの貴族の象徴といった存在であるペイロール役、岡幸二郎さん。
ロナンをとことんいたぶります。
初演では岡さんの鞭さばきもすごかった!
演出はミュージカル界の鬼才、小池修一郎さん。
『1789』は宝塚版、東宝版、両方の演出を手掛けています。
小池さんからは次のような意気込みが語られました。
「この作品、「ミュージカルに革命が起こった」と言ってもらいました。何が「革命」なのだろうと考えてみると、まず、この場に(レ・ミゼラブルの革命家)アンジョルラス(経験者)が4人いますね(岡幸二郎さん、坂元健児さん、吉野圭吾さん、上原理生さん)。それから今回はひとり減りましたが、初演では『テニミュ(ミュージカル「テニスの王子様」』OBも4人いました(加藤和樹さん、渡辺大輔さん、広瀬友祐さん、初演のロベスピエール役・古川雄大さん)。
『レ・ミゼラブル』というのはこの30年、東宝・帝劇を支えてきた、日本のミュージカルのひとつのベースです。そこに新しく台頭してきたテニミュに出ている方々が同じ舞台で交わる。さらに映像メディアや音楽シーンで活躍している方、そして宝塚のスターだった方たちが一緒に出る。また演劇のひとつの金字塔である俳優座出身のおふたり(磯部勉さん、増澤ノゾムさん)もいる。さらにダンサーとして出ている人たちは、今のリアルなダンスシーンから集まってくれて、帝劇や翻訳ミュージカルに出演するのが初めてだという方もすごく多かった。そういう意味で色々なエネルギーが集まった。ここにいる皆さんは演技なら演技、歌なら歌、パフォーマンスならパフォーマンス、ダンスならダンスと、それぞれがそれぞれに "自分の技" を持っている。
このミュージカルが成功したと言っていただけるなら、そういう方々が集まってひとつの作品を作ったというところに理由があると思います。今回も、それぞれが自分の得意技を出し、(他の人の)知らない技との出会いで化学反応が起き、何か新しいものが生まれたらと思います。
この作品はとても真面目なフランス革命の物語とも取れるし、フランス革命の話をフランス人がこんなにシニカルに書いていいのかと思うところもある。音楽もとても盛り上がりがあり、ノリが良い。笑いもあり、このテーマをこんなに軽々しく扱っていいのかと思うところも、勢いで乗りきってしまう。それらを全部合わせ飲んで、ひとつの鍋に入れて、ぐいっと飲んだら飲み干せてしまうようなところがこの作品の特色です。でも最後に、「人間というのは色々な人がいて、それぞれが色々な生き方をしている。違う人生を歩んでいるけれど、どの時代でも、どんな立場にいても、悲しみや苦しみや孤独を味わいながら、それでも乗り越えて生きていく」ということを確認できる作品なんじゃないかな。そういう意味では普遍性があり、サラリーマンが観ても、イケイケの若者が観ても、みんなそれぞれにどこか感じるところがある作品だと思うし、そうありたいと思います。それぞれに作品の中でどこか自分との接点を見出して、ノるときはノって、感動するところでは感動してもらって、帰ってもらいたい。そういう作品を作っていきたいと思います」
ミュージカル界に新しい風を吹き込んだ革命的なミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』。
今年も熱い風を吹かせようというキャスト・スタッフの思いが伝わった稽古場でした。
この作品、げきぴあでは今年も初日まで様々な角度から追っていきますので、お楽しみに!
取材・文・撮影:平野祥恵(ぴあ)
【公演情報】
4月9日(月)~5月12日(土) 帝国劇場(東京)
6月2日(土)~25日(月) 新歌舞伎座(大阪)
7月 博多座(福岡)