宝塚月組公演『1789 -バスティーユの恋人たち-』制作発表レポート

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3月11日、宝塚月組公演『1789 -バスティーユの恋人たち-』制作発表が都内にて行われました。
2012年にフランスで初演、大好評となった作品の日本初演に、月組が挑みます。
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『ロミオとジュリエット』の大ヒットから、<フランス産ミュージカル>の上演の機会が日本でも増え、宝塚でも『太陽王 ~ル・ロワ・ソレイユ~』、宝塚以外でも『ロックオペラ モーツァルト』、また『ノートルダム・ド・パリ』の来日公演等、次々と上演されています。

『1789 -バスティーユの恋人たち-』は、『ロックオペラ モーツァルト』『太陽王』を生み出したDove AttiaさんとAlbert Cohenさんによる作品。
作品に作曲家クレジットがないのは、5・6人でチームを組んで、みんなで曲を作っているから(打ち込み系の作曲をする彼らは、1曲の中でもどんどんみんなで案を出し合って作っていく形態をとっているそうです/会見内、小池先生のコメントより)。

物語はフランス革命を舞台に、革命に翻弄される人間の生き様を描くもの。
宝塚でフランス革命といえば...かの『ベルサイユのばら』がありますが、同時代を舞台にした作品に挑む理由や意気込みも、会見ではたっぷりと語られました。

そんな、今アツい<フレンチ・ミュージカル>の新作を、日本で数々のヒットを飛ばしているミュージカル界の鬼才・小池修一郎が脚色・演出します。
新・人気レパートリー誕生になるか、大きな期待がかかります!

まずは小林公一理事長
「宝塚歌劇は今年101周年で新たな世紀がスタートしました。これからも老若男女それぞれのお客さまに楽しんでいただける舞台を続けていく所存です。この公演は<これからも挑戦する宝塚>の作品のひとつ。フランスでヒットした作品の日本での初めての公演ですが、これから新たな宝塚歌劇の財産となりますようにと思っていますし、ぜひともそうならないとと思っています。宝塚歌劇がこれからも挑戦する姿を感じ取っていただけるような作品にすべく、全員一丸となって頑張っていきたいと思います」と、100周年を終え、新たな世紀へと踏み出したタカラヅカの、新たな一歩となる作品であると強調。
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また小林理事長は、同時代を描いた『ベルサイユのばら』との比較を、「当然『ベルサイユのばら』は宝塚の財産。こちらは貴族、宮廷側からみた革命の話です。同じフランス革命でも色んな視点があると思いますが、今回はフランス人が作ったということで、その外側(民衆側)から見た物語。また、宝塚としてはそういう時代はある意味得意分野ですので、新たな視点から描くフランス革命、新たな大作ということで今回、上演の運びとなりました」とも語りました。


演出は、『エリザベート』をはじめ日本ミュージカル界を代表する人気作を次々と手掛けている小池修一郎
小池さんはこの会見の当日が3月11日だったことから、
「思い起こせばちょうど4年前、東京宝塚劇場ではフランス産のミュージカル『ロミオとジュリエット』を雪組が上演していました。私も劇場にいましたし、2000人のお客さまと生徒たち、スタッフ、それにちょうどフランスから作曲家(ジェラール・プレスギュルヴィック氏)が来ていました。
その時(震災)に私がつくづく思ったことは、世の中には色々な出来事がある、良いこともあれば、辛いこと悲しいこと苦しいこと、悲惨なこと、色々なことがあるけれど、現実の社会にけっして消えることのない苦しみ悲しみといったものに対して、人は向かっていく。その中で宝塚歌劇の使命はやはり、喜び、希望を与えるということだと思っています。

それはもちろん楽しい喜劇、エンターテインメントで(喜びを与えるということ)と同時に、この作品のようなものもあると思います。この作品はフランス革命という、過去に歴史的な事実としてあった出来事を脚色して、ミュージカル化しています。それからもう220年経っていますが、まだまだ世の中に平和や幸せがすべてに行きわたっているわけではない。そういった現実を前提とした作品をやりながら、でもその中で希望を失わないで生きていこうという勇気を与えてくれる作品なのではないかなと思っています」
と上演の意義を熱く語ります。
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また内容に関しては
「フランスで作ったフランス革命のミュージカルなので、思いもよらぬ視点もあるかなと思ったのですが、構造としては龍真咲が演じるロナンは地方出身の農民が革命運動の中に身を投じていくというドラマです。そういうところが従来語られている英雄、名を残した人たちの物語との違いかなと思います。
ただ楽曲はポップスとしてノリのいい楽しい音楽。歴史的事実を踏まえて作られているにも関わらず、楽曲になるとやたらノリがいい(笑)。日本の昨今の舞台でいうとよく表現される「イケメンミュージカル」にちょっと(構造が)カブる。でも主筋では(シリアスな)革命の話、そこと行ったり来たりする構成です。
宝塚版としてはロナンという人の生き方と、彼の生きた時代のまわりの、彼の会うことのなかった王族含め、それぞれの人たちが並行して描かれています。フランス革命というものを通じて、困難な時代を生き抜く人々の姿をお伝えできれば、そしてそれが演劇となったときに生きる糧、意味、明日への希望を持つ...そういったことへのひとつの答えになればと思います」
と、宝塚歌劇の存在意義とリンクさせてのご説明でした。


次にキャストのご挨拶です。
主人公、ロナン・マズリエは月組トップスター龍真咲
ロナンは官憲に父親を銃殺された青年。その後革命に身を投じます。
「日本初上陸、初上演となるこのミュージカルにわが月組が携わらせていただけますことを心より嬉しく思っております。エネルギーをしっかりと持ち、月組全体で初日に向けて精一杯お稽古に励んでまいりたいと思います」とご挨拶。
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実在した人物が多く登場する中、ロナンという架空の人物を演じる龍さんですが、
「実在の人物はある程度筋があって、その人の人生や、どう時代と関わってきたのかが明確に見えているのですが、私は(その対象が)いない。ですので(革命への)信ずる思い、本当は光の当たらない人物たちのひとりの代表者として演じることができたらと思っています。またもともと形のないものを作れるということは、私自身の中での想像と、先生のイメージの中からないものを生み出せるということ。これまで再演が多かった月組の中ではあまりすることがなかった作業ですので、新たな自分への挑戦だなと大変楽しみに思っています。
やはり宝塚の主役はきれいなお衣裳できらびやかなものというイメージではないかと思うのですが、(ロナンは民衆のひとりなので)そこを覆し、地に足をつけて、血なまぐさかったり、土を感じるような、匂いのするような役を作ることができたら。民衆のひとりから立ち上がっていくので、いまの月組の状態とリンクさせられるところがきっと多くあると思うので、しっかりと(みんなを)ひっぱっていきたい」と話しました。

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△ テーブルの上の花も、トリコロール!


フランス王妃マリー・アントワネット役は、愛希れいか
「日本初上演となるこの作品に挑戦させていただけることを大変嬉しく思うと同時に、世界中でたくさんの人々に愛されているマリー・アントワネットを演じられることを幸せに思っています。この作品の世界観の中で、彼女の目指した王妃とはなんだったのか、またひとりの女性、母親として懸命に生きていく姿、そういったところを大切にしながら演じたい。公演を見終わった後にお客さまにもっともっとマリー・アントワネットのことを愛してもらえるように演じることができたらと思っています。これからこの作品が愛され続ける作品のひとつになりますよう心を込めて精一杯務めて参りたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします」とご挨拶です。
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アントワネット役については「このような身分の高い役はほぼ初めて。でもマリー・アントワネットという女性は王妃でありながら親しみやすい部分、少女の心を持っている可愛らしい部分が素敵、共感する部分のひとつだと思っています。...自分は田舎育ちですので、そういう親しみやすい部分を足せたらと思います」とも。


ロナンの友人であり、革命家でジャーナリストであるカミーユ・デムーランは凪七瑠海
「このような曲も素晴らしく斬新で、スケールも大きなこの作品に出させていただけること、とても嬉しく思います。私は歴史上の人物である革命家のひとりを演じます。史実上でも革命においてとても重要な面を果たす人物でもあるので、彼の熱い心、熱い気持ちを借りながら、この大作に挑んでいきたい」と意気込み。
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役柄については「どの資料を読んでも、デムーランは、目がギョロっとしていて、髪はクセ毛で黒くてモジャモジャで、青白くて線が細くて、とうていバスティーユ牢獄を落とす時に先頭を切った人とは思えないような人物。そして気分が高揚してくると吃音になったりするそうです。一見ひきこもりそうなタイプかと思いきや、それをも乗り越えて「行くぞ!」とみんなを従える。とてもバイタリティに溢れる熱い人だと思うので、そこの部分を大事に、人間臭さを大事にしたい」と話しました。


シャルル・アルトワを演じるのは美弥るりかルイ16世の弟です。
「フランスで大人気だった作品を初めて日本でやるこの舞台に出演させていただけることをとても光栄に思っています。私の演じるアルトワ伯はとても軽薄な考えの持ち主であり、自分の手を汚さずに王位にのし上がろうとする悪意を持った人物でもありますので、龍さん演じるロナン側の皆さんからとても憎まれる貴族として、色濃く演じていけたら」とご挨拶。
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また「アルトワ伯はアントワネットの悪友と言われているくらいで、いろんな資料をみても軽薄で享楽的だと書かれています。そういう部分も感じさせつつ、小池先生が書いてくださったものはとても鋭い部分もたくさんあると感じましたし、自分の指示や考えによって話が展開していく部分も大切な役割であると思っていますので、そういった鋭い頭が切れる部分も出していけたら」とも語りました。


珠城りょうが演じるのはマクシミリアン・ロベスピエール。
「このような作品を日本初上陸でしかも月組で初演を務めさせていただくことを本当に幸せに思っています。革命家のロベスピエールは皆さんもよくご存知の人物だと思いますが、のちに独裁者と呼ばれる前の、革命に燃えている、全盛期の彼を演じることになりますので、心を込め、彼が何を求めていたのかを情熱的に演じたい。ロベスピエールは宝塚でも『ベルサイユのばら』や『スカーレット ピンパーネル』などたくさんの作品に出てきますし、教科書にも出てくる人物。いろいろな資料もありますが、この『1789』という作品の中で自分がどういう風にいるかというのをまずは考えようと思っています。この時代の彼は本当にただ、理想と自分の意思を強くもっている男で、弁護士で品もありますし、自分の信念で言葉を声にしたいという強い思いで生きている人物だと思います。そのあたりを深めて演じていけるように作っていきたい」と話しました。
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大作の誕生に期待するかのように、小池さんには多くの質問が飛びました。
龍さん演じるロナンについて、モデルはいるのかという問いには
「私も調べたのですが、特定なモデルはないと思います。ただ彼のような青年はたくさんいたんだと思います。フランスに限らず民主化運動が起こるときに、必ず学生や労働者から参加する人がいる、そのことのひとつの典型として描かれていると思います」と小池さん。

また、当然『ベルサイユのばら』、また小池さん自身が演出した『スカーレット ピンパーネル』の影響に関しての問いも。
「私たち(宝塚の人間)は『ベルばら』帝国に生きています、私もその臣民のひとりです(笑)。実は自分がマリー・アントワネットとかに関わる作品をやるとはゆめゆめ思っていませんでした。生涯縁がないと思っていたのでちょっと戸惑いました(苦笑)。ただ(今作は)市民がメインで、彼らが倒そうとする王家・宮廷というところにアントワネットがいる。そしてやっぱりフランス人からみると彼女はオーストリーから、外国から来た嫁なんですよね。その彼女をどう描くかと思うと、非常にフェルゼンという存在に対しては共感を持って描いていて、とても魅力的に描かれています。そういう点では私たちが(『ベルサイユのばら』などで)思っているマリー・アントワネットとそんなにかけ離れていない。極端に私たちが知っているフランス革命と違うことをつきつけている題材ではない。あえていえば、ロナンが恋する相手はマリー・アントワネットの息子の養育係だというところ。それはアンドレやオスカルのように架空、創作されている人物たちです。そこが今回の作品のオリジナリティ。
少し話はずれてしまいますが、今回やるにあたり、つくづく池田理代子さんは本当に、フランス革命という史実にあれだけの架空の人物を見事に取り込んで作られたなと思った。素晴らしい天才だとつくづく改めて思った次第です」とのこと。

さらに、これまでの海外作品も大胆に翻案、宝塚にあうよう見事に作り上げている小池さんですが、今回もオリジナルから多々変更を加えていることを明かします
「幕明きから多分(フランス版とは)すごく違う。もともと最初にパリで上演され、フランス語圏でツアーがあり、再度2013年にパリに戻った時に、筋を変えています。最後に死ぬのが誰かというところも変えてある。もともと最後の筋が違うふたつの題材があります。それをさらに今回宝塚、龍を中心とした構成で作っています。
ロナンがどういう人だったかというと、バスティーユの襲撃の時、門に板を吊り上げていたんですね。それをおろすと民衆が中に入れる。それは民衆側の人が登っていって縄、鎖を切り落として橋を渡した。彼らの行動としては「一番乗り」みたいな感じですね。民衆はバスティーユ要塞の地下に火薬庫があったので、みんなバスティーユには火薬を取りに行ったんですが。その橋をおろした人物と仮定して処理しています。
また曲もすでに作られていたのに舞台に使われなかった曲もたくさんありますし、この公演用に書いていただいた曲もある。これを好きに使いなさいと言われていますが、逆にいま、曲が多すぎて(整理しているところ)。音域も、女性だけで歌いますので場合によっては向こうでは女性の役が歌っていたものを、宝塚では男役が歌ったほうがバチっとはまるというものは、男役にもっていこうと思っています。ずいぶん歌う人を入れ替えていますので、オリジナルのミュージカルと比べるとあの曲はこの人の歌だったけど宝塚版はこの人の歌なんだなと、バージョンの違いをみていただけるんじゃないかなと思います」


日本初演の『1789 -バスティーユの恋人たち-』、どんな作品が誕生するのか、楽しみに待ちましょう!
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取材・文・撮影:平野祥恵

【公演情報】
4月21日(金)~6月1日(月) 宝塚大劇場(兵庫)
 一般発売:3/21(土)
6月19日(金)~7月26日(日) 東京宝塚劇場(東京)
 一般発売:5/17(日)

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会見では楽曲の披露も!
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『Ca ira mon amour(サイラ・モナムール)』は龍さん、凪七さん、美弥さん、珠城さんで。
「いよいよ待ちに待っていたミュージカルが始まる。本来ならば美弥が演じるアルトワはこの曲には参加しないのですが、敵対するチームであっても、この思いをしっかり共有していることを確認できたのでとても良いナンバーになったかなという感触」と龍さん。

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