ヒラノの演劇徒然草の最近のブログ記事
チャールズ・M・シュルツ原作のコミック『ピーナッツ』の世界観がそのままミュージカルになった『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』。
前回更新でお届けした"顔寄せ"後、引き続き行われた読み合わせ稽古(座ったまま動きを付けず、台本をアタマから最後まで読み合わせていく作業)の取材レポートです!
といっても、ミュージカルなので、セリフのほかに歌も入りますので、耳だけで聴くとすでに作品が一本出来上がっているような状態です...!
演出の小林香さんの「今日を逃すとしばらく稽古場には来られないスタッフもいますので、皆さん、"本意気"でやってください」というひと言から始まったこの読み合わせ。
6人、熱唱してます!
主人公はこちら、チャーリー・ブラウン(村井良大)。
いい人なんだけど...ちょっとさえない。いや、まったくさえない?
もう、幕開きから、けちょんけちょんに言われてます。
村井さん、すでに表情がチャーリー・ブラウン!
いや、さえないところがではなく(笑)、コミックで彼がスヌーピーやルーシーに言い負かされ、「・・・。」と何も言い返せず真顔になっちゃうところ、ありますよね。
まさにそんなチャーリー・ブラウンの顔がオーバーラップするところ、多数!
特に辛らつなのが、ルーシー(高垣彩陽)。
というより、ルーシーはもともとがガミガミやさんなんですね。
ルーシーに「これこそ近年まれに見る"失敗者"の顔よ!」とまで言われてしまうチャーリー・ブラウン。
この作品、それぞれのキャラに結構な長セリフがあるのですが、立て板に水!といった感じでまくしたてる高垣さん、お見事です。
あまりにひどい言われっぷりに、村井さんの口元、ちょっと笑っちゃってます。
2017年7月、Bunkamuraシアターコクーンが"魔都"に生まれ変わる!
藤木直人主演、マキノノゾミ作、河原雅彦演出の新作、音楽劇『魔都夜曲』の上演が決定した。
1930年代、"魔都"とも称された、エキゾチズム溢れる上海。
ひとりの日本人青年を中心に、華やかさと暗部を抱えた上海の歴史に隠された秘めた恋と、時代の光と影、人間群像を、生バンドのジャズの音色と共に、華やかにドラマティックに描き出す、オリジナル音楽劇が誕生する。
物語の舞台は1939年、上海。
当時の上海はフランスやイギリス、アメリカ、日本などの列強の租界地として異国情緒が溢れる都市となっていた。人々の思惑や欲望を飲み込む多国籍の都市は、"魔都"とも称された。
その都市にある男が降り立つ。男の名は白河清隆(藤木直人)。公家の血を引き父は日本政府の要人、諸国を遊学し芸術に親みながらも遊興に明け暮れていた。上海には、父からの指示で来たのだが、相変わらず遊び歩く日々。その清隆の前にある二人の兄妹が現れる。中国人の父と日本人の母を持つ、周志強(チョウ・チーチャン 小西遼生)、周紅花(チョウ・ホンファ マイコ)。清隆と二人の間には次第に友情が生まれていく。
新田日出夫(橋本さとし)が支配人を務めるクラブ「ル・パシフィーク」には様々な人々が集まる。クラブのあちこちでは、音楽談義も語られれば、直面する政情に熱を帯びた論議も起こり、ジャズの音色とともに、人々の思惑渦巻く不可思議な空間だった。清隆、志強、紅花は、ル・パシフィークで様々な人々と出会う。
紅花は清楚な外見からは予想がつかない自由奔放な一面ものぞかせ、清隆はそんな紅花にいつしか惹かれてゆく。しかし、ふたりの恋には、それぞれの宿命が待っていた。志強と紅花にはある秘密があった。
時代は大きな影を落とし始めていた。時は太平洋戦争前夜。未だ目的が見出せなかった清隆も、彼の存在自体が持つ宿命により、容赦なく歴史の大いなる波に巻き込まれてゆく。
各国列強がにらみを利かせ思惑渦巻く都市・上海で、清隆は次第に自分のなすべきことに目覚めてゆく。清隆と紅花、そして取り巻く人々の大いなるドラマが展開してゆく――。
チャールズ・M・シュルツ原作のコミック『ピーナッツ』の世界観がそのままミュージカルになった『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』。
その開幕が来月に迫ってきました。
3月6日には、キャスト、スタッフが一堂に会する場である"顔寄せ"が開催され、いよいよ作品が本格始動。
その模様をレポートします!
なお、このミュージカル、今年はオフ・ブロードウェイでの初演から50年目という記念すべきタイミングでの上演なのですが、その初演は1967年3月7日。
まさに、翌日には作品誕生から満50歳! という中での顔寄せで、皆さんの気合いも十分!! でした。
登場するのはチャーリー・ブラウン、ルーシー、サリー、ライナス、シュローダー、そしてスヌーピーというおなじみのキャラクター6名。
つまり、キャストはわずか6名!
少数精鋭です。
プロデューサーさん曰く「スーパーな6人とスーパーなスタッフがいないと出来ない、大変なミュージカル」とのことなのですが、そんなスーパーな6人はコチラ!
チャーリー・ブラウン役、村井良大さん
「本当に素敵な作品なので、この6人で力を合わせて、素敵な舞台にしていきたいと意気込んでいます!よろしくお願いいたします」とご挨拶。
昨年の世界初演は大好評、チケットは全公演即日完売したミュージカル『王家の紋章』が、今年ふたたび上演されます!
累計発行部数4千万部を誇り、40年間連載が続いている少女漫画界屈指の大ヒット作を原作に、『エリザベート』『モーツァルト!』の音楽を手がけたシルヴェスター・リーヴァイを作曲に迎えて制作された超大作ミュージカル。
原作の魅力を最大限に生かしながらも、深い人間ドラマが描かれたグランドミュージカルとして、原作ファン、ミュージカルファン入り乱れ、大熱狂を巻き起こしました。
物語は、古代エジプトと現代アメリカを行き来し、壮大なロマンが描き出されていきますが、その中で現代パートを一手に担っていたのが、ライアン役の伊礼彼方さん。
現代から古代エジプトへとタイムスリップするヒロイン・キャロルの行方を探し続ける兄・ライアンの孤独や、演じる上での難しさ、こだわり、やりがいなどを、伊礼さんに伺いました。
●物語●
アメリカ人少女・キャロルは、エジプトで友人や恋人共に考古学を研究していた。ある日、ピラミッドの発掘が行われることになるが、それは古代エジプトの王・メンフィスの墓だった。その直後、キャロルのもとに現れた謎の美女・アイシス。弟メンフィスを愛するアイシスの呪術によって、キャロルは古代エジプトへとタイムスリップしてしまう。
彼女を待ち受けるメンフィスとの出逢いや様々な試練、そしてエジプトを狙うヒッタイト王国の王子・イズミル――。数奇な運命が、キャロルを歴史の渦へと巻き込んでいく――。
(公式サイトより)
◆ 伊礼彼方 ロングインタビュー ◆
●ライアンは孤独です
―― 『王家の紋章』、もうすぐ再演の幕が開きます。初演は大好評でしたが、昨年の8月、あの1ヵ月を思い出すと、どうでしょう?
「楽しかったです。同世代の役者がいっぱい集まって、若い世代で帝劇を埋めているという意味でも、とてもやりがいのあったお仕事でした。そして今回の再演。再演まで、あっという間だったねぇ。早かった!」
―― ダブルキャストの役柄もある中で、伊礼さんが演じるライアンはシングルキャストでした。大変でしたね。
「そうそう、疲れました。俺、ずっと楽屋で『健治へ』ってCDを制作してましたので、大変でした(笑)! どうする、意外とすぐ売り切れたな、どうしよう、ってどんどん作っていったら、ちょっと残ったので、今年も劇場で販売しようかなと思っています(笑)」
★伊礼さんのCD『健治へ』については、昨年の「浦井健治&伊礼彼方ロングインタビュー」に詳しく載っています→コチラ
―― そっちの大変ですか(笑)。で、ライアン兄さんですが、ヒロイン・キャロルの兄です。演じていていかがでしたか?
「孤独でしたよ~! しかも舞台上、ほとんどエジプトの色で出来上がっちゃっていて、居場所がない(笑)。作品としては、それでいいんでしょうけどね」
―― ひとりで現代サイドを担っていらっしゃった。
「そのやりがいはありました。自分ひとりで(空気を)作るしかないという。再演では、シーンの再構築があったり新曲が加わったりというようなことがあると聞いていますので、現代側と古代エジプト側の関係をもう少し掘り下げていって、お互い効果的になればいいなと思いますね」
―― 「お互い効果的になれば」とは?
「ライアンのセリフって「キャロル」ばかりなんですよ(笑)。ずーっとキャロルを探してるから! それに、現代サイドのシーンでほとんど誰とも絡まないでしょ。けっこう、ひとりでやるのに限界があるんです。感情って、第三者が共感してくれたりすることで、浮き彫りになったりするでしょ。実生活でもそうだけど、芝居は特に、それを使った方が伝わりやすい。でもそれが(現代パートの構成上)限られてしまっています。だから例えばエジプトでのメンフィス・キャロル・イズミルの関係性がよりくっきりして、そちら側の感情が濃くなれば、そことのギャップを利用して、ライアンの孤独や切なさも強く浮き出てくると思うんです。古代エジプトでの愛憎が深まれば深まるほど、キャロルが現代に帰った時の喜び、そしてまたすぐいなくなったときの苦悩、切なさ、孤独、絶望に変換できるので。逆もまたしかりで、こちらの孤独が深まれば、古代での愛がさらに強く見えると思いますね」
映画版『ミス・サイゴン』こと、『ミス・サイゴン:25周年記念公演 in ロンドン』の公開が、来週に迫ってきました!
1989年の9月20日、ロンドン・ウエストエンドで幕を開け、世界中で愛され続ける、ミュージカル史に残る名作『ミス・サイゴン』。
ベトナム戦争末期のサイゴンを舞台に、ナイトクラブで働く少女・キムとアメリカ兵クリスの悲恋を中心に、戦争下で生きる人々の葛藤や苦しみ、愛が描かれる壮大なドラマですが、この映画はロンドン版25周年にあたる2014年9月、ロンドンのプリンス・エドワード・シアターで上演された25周年記念公演を、最新の映像技術で撮影、映画化したものです。
日本では1992年に初演。
日本版25周年の記念の年にこの映画版は公開されることとなります。
『ミス・サイゴン:25周年記念公演 in ロンドン』は3月10日(金)より、
TOHOシネマズ 日劇にてロードーショー(全国順次公開)。
世界中のサイゴンファン垂涎のスペシャルな記念公演の映像を映画館の大スクリーンで観られる日が待ち遠しいところですが、そんな中、なんとエンジニア役を演じたジョン・ジョン・ブリオネスさんと、<25周年記念スペシャル・フィナーレ>に出演したオリジナル・キャストのレア・サロンガさんの独占インタビューが到着しました!
今回はレア・サロンガのインタビューをお届けします。
レア・サロンガ(Lea Salonga)
フィリピン出身。1971生まれ。
『ミス・サイゴン』キム役オリジナルキャスト(当映画・記念公演のスペシャル・フィナーレにも登場)。キム役はロンドンに続きブロードウェイ版でも演じ、トニー賞を受賞。『レ・ミゼラブル』ではアジア人初のエポニーヌ役を演じた。『レ・ミゼラブル』25周年コンサートでもファンテーヌ役を務めている。映画『アラジン』『ムーラン』のヒロインの声も担当、ディズニーランドよりディズニー・レジェンドの称号を授与された。
レアさん、過去に来日経験あり。
出演したコンサート「4Stars」(2013年)の記事はコチラ→★
◆ レア・サロンガ インタビュー ◆
●『ミス・サイゴン』以前は...
――子どもの頃『王様と私』に出演されてたレアさんですが、子どもの頃からミュージカル女優になるのが夢だったのでしょうか?
「子どもの頃は歌うのも楽しかったけれど、本当は医者にもなりたいと思っていて、大学では生物学を専攻していたのよ。だから、ミュージカル俳優、またはフルタイムの歌手になることをずっと夢見ていたとは言えないけれど、今はこうやって俳優と歌手をやっている。全てうまくいったわ」
――『ミス・サイゴン』キム役のオーディションを受けたきっかけは何ですか? またオーディションでのエピソードをお聞かせください。
「私が所属していた歌手の組合の組合長からオーディションのことを聞いたの。彼女は、私にトライするべきだと言って、電話で長々と私の母を説得してくれたの。もし役をもらえなかったとしても、人生は変わらず進むんだからと、私たちはトライすることに決めた。もし役をもらえたら、そのときにどうするか考えようって。あの決断は絶対に後悔しないわ。私たちに、演技する機会以上のものを与えてくれたんだもの」
●『ミス・サイゴン』について
――1989年初演の初日、その前の、稽古場でのエピソードをお聞かせください。
「この作品が初演を迎える頃、私はとても若かった。かなり保守的で温室育ちだった私には、ショックを受けることがたくさんあったわ。露出度の高い衣裳や、クリスとのロマンティックで情熱的なシーンに慣れるのは大変だった。その過程では、大きな信頼と、全ては最終的にはうまくいくという確信が必要だった。衣裳のスケッチを見て恐れおののき、衣裳あわせでは更に恐ろしくなり、舞台上で男性とキスをすると知ってとてもストレスを感じたわ。おかげさまで、最終的には全て乗り切ったわ」
映画版『ミス・サイゴン』こと、『ミス・サイゴン:25周年記念公演 in ロンドン』の公開が、来週に迫ってきました!
1989年の9月20日、ロンドン・ウエストエンドで幕を開け、世界中で愛され続ける、ミュージカル史に残る名作『ミス・サイゴン』。
ベトナム戦争末期のサイゴンを舞台に、ナイトクラブで働く少女・キムとアメリカ兵クリスの悲恋を中心に、戦争下で生きる人々の葛藤や苦しみ、愛が描かれる壮大なドラマですが、この映画はロンドン版25周年にあたる2014年9月、ロンドンのプリンス・エドワード・シアターで上演された25周年記念公演を、最新の映像技術で撮影、映画化したものです。
日本では1992年に初演。
日本版25周年の記念の年にこの映画版は公開されることとなります。
『ミス・サイゴン:25周年記念公演 in ロンドン』は3月10日(金)より、
TOHOシネマズ 日劇にてロードーショー(全国順次公開)。
世界中のサイゴンファン垂涎のスペシャルな記念公演の映像を映画館の大スクリーンで観られる日が待ち遠しいところですが、そんな中、なんとエンジニア役を演じたジョン・ジョン・ブリオネスさんと、<25周年記念スペシャル・フィナーレ>に出演したオリジナル・キャストのレア・サロンガさんの独占インタビューが到着しました!
今回はジョン・ジョン・ブリオネスのインタビューをお届けします。
ジョン・ジョン・ブリオネス(Jon Jon Briones)
フィリピン出身・1965年生まれ。1989年ロンドンのオリジナル版『ミス・サイゴン』で舞台デビュー(公称。詳細は下記インタビューに...)。ドイツ、アメリカ、アジア、そして故郷のフィリピンをツアーし、最後の年はウエストエンドでエンジニア役を演じた。エンジニア役以外ではブロードウェイミュージカル『Allegiance』(2015年11月~2016年2月)の開発にレア・サロンガ、ジョージ・タケイらとともに携わった。映画にも多数出演。
ちなみに日本版エンジニアのダイアモンド☆ユカイさんはジョン・ジョンさんを「リスペクトしてる」そうで、
「ジョン・ジョンを見たときに、これは新しい、何か今までのイメージを塗り替えるパワーと実力があり、"こんなこともやっちゃうの?"ということをやっていて、魅力がある。そこに勇気付けられました」
と話していました。→★
◆ ジョン・ジョン・ブリオネス インタビュー ◆
●『ミス・サイゴン』について、初演のエピソードなど
――1989年の初演版に出演、ロンドン・オリジナル・キャスト(アンサンブル)でしたが、初演の初日を迎える前、稽古場でのエピソードをお聞かせください。
「『ミス・サイゴン』のオリジナルの舞台が、僕の舞台デビューではなかったんだ。フィリピンで長い間舞台活動をしていたからね。26年前のことを思い出すのは難しいけれど、いつも覚えているのは、いろいろな街だけでなく、いろいろな国々の出身の役者たちで構成される舞台としては、あれが最初でないとしても、最初の舞台のひとつだったということだよ。僕ら役者たちそれぞれがユニークで異なるものをストーリーにもたらし、僕らはひとつの大きなファミリーになったんだ! でも、国籍が異なることで、時々、誤解を生むこともあり、特に僕はそうだったね。だって英語を勉強し始めたばかりだったから。例えば、ショーの後にパブでみんなで会話していて、僕の周りのキャストたちが早口で話していて笑い始めたら、僕も笑い始めるんだよ!彼らが何を話しているのかは全然わからないんだけどね。それで、彼らが、僕に「どう思う?」と聞いてきても、僕は何て言っていいかわからなくて、肩をすくめて、まるで考えているような表情をつくるんだ。(本当はわかっていないということが)ばれないように願いながらね。実際に彼らがどう思っていたかはわからないけれど」
――初日はどのような状況でしたか?
「オープニングナイトは魔法のようだったよ。劇場に着くまで、こんな大きな舞台だとは知らなかったんだ。劇場の前にはレッドカーペットを敷かれていて、外にはTVの取材陣がいて、衣裳台にはたくさんのプレゼントがおいてあって、クリスマスみたいだった。観客の中にはセレブもいたしね。そこで気付いたんだよ、僕は白人で満席になった劇場で演じるのは初めてだったって」
――その頃から、エンジニア役を演じてみたいと思っていましたか?
「考えたこともなければ夢にすら思ったこともないよ。23歳で初めて海外に出て、何百人といるフィリピン人の中から選ばれただけでうれしかった。与えられた役を演じることに精一杯でクビにならないことだけを考えていたよ」
2月27日、「第24回読売演劇大賞」贈賞式が執り行われました。
読売演劇大賞は、1994年に読売新聞120周年を記念し、演劇界の活性化を願って創設された賞。
今回は2016年1月から12月までに国内で上演された、すべての演劇作品を対象に、最もすぐれた作品・人に贈賞されます。
部門賞は
(1)作品賞 (2)男優賞 (3)女優賞 (4)演出家賞 (5)スタッフ賞
があり、さらに俳優・スタッフを問わず、新人を対象にした
・杉村春子賞
があり、以上5部門の最優秀賞+杉村春子賞の中から「大賞」を選出します。
今回は大賞に、最優秀スタッフ賞の堀尾幸男さんが、
そして最優秀作品賞に『ジャージー・ボーイズ』が選出。
大賞をスタッフが受賞すること、またミュージカル作品が最優秀作品賞を受賞すること、ともに読売演劇賞史上初という結果になりました。
贈賞式には受賞者はもとより作品関係者らも数多く出席し、さらには高円宮妃久子殿下もご臨席する、華やかなものとなりました。
受賞者のスピーチをお伝えします。
★杉村春子賞(年間に活躍した新人を対象にした賞)
三浦春馬さん(『キンキーブーツ』のローラ役の演技で)
<12センチのハイヒールにド派手な髪型、タイトなミニスカートで歌い踊るドラァグ・クイーンを演じるために、普段の生活からトレーニングを重ね筋肉質の肉体を作り上げ、舞台上で強烈な輝きを放った>(選評より)
「このたびは栄誉ある杉村春子賞に選出してくださいまして本当にありがとうございました。こうしてこの賞を手にしていると思うと、約3年前、ブロードウェイで『キンキーブーツ』を観て、この役に挑戦したいと心から願ったあの自分が本当に懐かしい。その思いが舞台で現実となり、その舞台が形となってこの賞に繋がったんだなと思うと、それまでを支えてくださった『キンキーブーツ』の制作委員会の皆さまに、そして『キンキーブーツ』を観にきてくださった皆さまにも本当に感謝しています。一番は僕を支えて続けてくれたアミューズのスタッフと、家族です。心から、言葉にならない感情がわきあがってくるのを感じています。これからもこの賞をいただいたことによって、微力ですがもっともっと、自分がこのミュージカル、そして演劇を、日本の皆さまに身近に感じてもらえるような、そんな働き、努力をしていきたいと思います。本日は本当にありがとうございました」
OSK日本歌劇団『真・桃太郎伝説 鬼ノ城 ~蒼煉の乱~』東京公演が2月23日に博品館劇場で開幕した。桃太郎のモチーフと言われる彦五十狭芹彦命=イサセリ皇子を主人公に、古代日本の政治情勢から「桃太郎伝説」を照射、歴史ロマン溢れる新たな「桃太郎」の物語を作り出した意欲作。2月22日には報道向けに最終舞台稽古が公開されるとともに、トップスター高世麻央が囲み取材に応じた。
舞台は古代日本、大和朝廷が誕生したばかりの頃。天皇の腹違いの兄・イサセリ皇子は将軍の任をとかれ、失意のなか山中で修行にあけくれている。いつしかタケル(犬飼健)、ユン(猿沢唯)、マオリ(鳥羽真織)という仲間も出来、平穏な日々を過ごすイサセリ。だがあるとき、吉備の国で温羅(ウラ)という男が莫大なタタラ(鉄)の剣を用意し、朝廷に謀反を起こす準備をしているという情報が入り......。子どもの頃に触れたような心躍る伝奇的なドラマと、権謀術数が渦巻く政治劇が上手く絡まる作劇が見事で、まずはその物語にぐいぐいと心が引き込まれる。またイサセリに扮する高世が気高く凛々しく、ウラ役の桐生麻耶が温かくおおらかな役作り。対決するふたりの個性がしっかりと際立ち、見ごたえ十分。ほか、どの俳優も芸達者で見せる部分ではしっかりと骨太な芝居をし、時にはユーモラスな顔も見せ、緩急のある芝居でその物語をしっかりと伝えている。作・演出・振付は、OSK出身のはやみ甲。出身者ならではの、俳優たちの個性や特性を見事に浮き立たせた丁寧な作りが光った。
宝塚歌劇月組『グランドホテル』『カルーセル輪舞曲』東京公演が2月21日に東京宝塚劇場で開幕した。本作は月組新トップ・珠城りょうのお披露目公演。
『グランドホテル』は1928年のベルリンにある超一流ホテルを舞台に、そこに行き交う人々のドラマを描く群像劇で、トニー賞5部門を受賞したブロードウェイ・ミュージカル。宝塚では1993年に涼風真世主演で上演。ブロードウェイ版同様、トミー・チューンを演出・振付に招聘して上演され、その質の高さ、作品の奥深さが話題となり、伝説となった。今回、その作品を24年ぶりに宝塚で上演するということで注目を集めている。珠城はホテルの客のひとり、フェリックス・フォン・ガイゲルン男爵役。身分が高く、若く、ハンサムで、一見優雅に見えるが実は借金まみれというひと癖ある男を、ダンディに演じている。相手役である愛希れいかはかつては世界的人気を誇り、今は盛りが過ぎたバレリーナ、エリザヴェッタ・グルーシンスカヤ。トップ娘役としてまもなく5年目にさしかかる彼女が、成熟した魅力で実年齢よりかなり年上の役に挑んで好演している。珠城と愛希のトップコンビはこれが大劇場お披露目になるが、知的さも感じる落ち着きのある演技で、大人のふたりの繊細な恋を美しく魅せた。舞台狭しと大勢のキャストがフォーメーションを変えていく独特の演出も印象的で、見ごたえのある、質の高い演劇作品になっている。
また後半のレビュー『カルーセル輪舞曲(ロンド)』は、日本初のレビュー『モン・パリ』誕生90周年を記念した作品。世界各国をめぐるバラエティに富んだシーンは、月組の様々な魅力を味わえる。宝塚らしい美しい色彩や、宝塚ファンにはおなじみの『モン・パリ』のメロディを織り込んだテーマ曲も耳に残る。
初日前に行われた通し舞台稽古後には珠城、愛希が取材に応じた。珠城は名作『グランドホテル』の男爵を演じることについては「衣裳ひとつとってもオーソドックス。役柄としてはひと癖あり、王道とは言えないかもしれませんが、こういうスタイルの役を演じられるということは男役冥利に尽きます」と語り、また自身が目指すトップ像を「今まで背中を見てきたトップさんたちは、みなさん組の中で太陽のような存在だった。私もそういう、組の皆を照らすような大きい明るい存在でいたい」と話していた。
公演は3月26日(日)まで同劇場にて。
ミュージカル史に燦然と輝く名作『ミス・サイゴン』。
ベトナム戦争末期のサイゴンを舞台に、ナイトクラブで働く少女・キムとアメリカ兵クリスの悲恋を中心に、戦争下で生きる人々の葛藤や苦しみ、愛が描かれる壮大なドラマです。
初演は1989年の9月20日、ロンドン・ウエストエンド。
日本では1992年に開幕、その後も上演を重ねる人気作。
今年2017年は日本初演から25年目のアニバーサリー・イヤーにあたります。
そんなアニバーサリー・イヤーに、ファン必見の映画が公開になります!
それは、『ミス・サイゴン:25周年記念公演 in ロンドン』。
ロンドン版25周年にあたる2014年9月、ロンドンのプリンス・エドワード・シアターで上演された25周年記念公演を、最新の映像技術で撮影、映画化したもの。
ロンドンでも1回限りしか上演されなかった貴重な舞台が、最新の映像技術で撮影され、
さらに公演後、映画のために観客を入れずに追加撮影も実施。
これにより、貴重な1回限りの映像+通常では撮影できない臨場感あるアングルでの撮影が実現、キャストの生き生きとした表情をとらえた、まったく新しい『ミス・サイゴン』となっています。