チャールズ・M・シュルツ原作のコミック『ピーナッツ』の世界観がそのままミュージカルになった『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』。
前回更新でお届けした"顔寄せ"後、引き続き行われた読み合わせ稽古(座ったまま動きを付けず、台本をアタマから最後まで読み合わせていく作業)の取材レポートです!
といっても、ミュージカルなので、セリフのほかに歌も入りますので、耳だけで聴くとすでに作品が一本出来上がっているような状態です...!
演出の小林香さんの「今日を逃すとしばらく稽古場には来られないスタッフもいますので、皆さん、"本意気"でやってください」というひと言から始まったこの読み合わせ。
6人、熱唱してます!
主人公はこちら、チャーリー・ブラウン(村井良大)。
いい人なんだけど...ちょっとさえない。いや、まったくさえない?
もう、幕開きから、けちょんけちょんに言われてます。
村井さん、すでに表情がチャーリー・ブラウン!
いや、さえないところがではなく(笑)、コミックで彼がスヌーピーやルーシーに言い負かされ、「・・・。」と何も言い返せず真顔になっちゃうところ、ありますよね。
まさにそんなチャーリー・ブラウンの顔がオーバーラップするところ、多数!
特に辛らつなのが、ルーシー(高垣彩陽)。
というより、ルーシーはもともとがガミガミやさんなんですね。
ルーシーに「これこそ近年まれに見る"失敗者"の顔よ!」とまで言われてしまうチャーリー・ブラウン。
この作品、それぞれのキャラに結構な長セリフがあるのですが、立て板に水!といった感じでまくしたてる高垣さん、お見事です。
あまりにひどい言われっぷりに、村井さんの口元、ちょっと笑っちゃってます。
こちらはチャーリー・ブラウンの妹、サリー・ブラウン(田野優花)。
お兄さんと違って要領がよく、なかなか気が強い。お兄ちゃんにもズケズケ思ったことを言います。妹は強い。
宿題をめぐっての先生とのやりとりはコミックでも定番ですね。
サリーの主張はどうみても屁理屈なんだけど...一理あるなあ、と思わせるところがクスっと可笑しいポイントでもあります。
そしてサリーの哲学を歌ったナンバー、とても田野さんに似合う、可愛らしいナンバーです♪
ルーシーの弟、ライナス(古田一紀)。
逆らうと怖い姉の被害にしょっちゅうあっているからか、ライナスはチャーリー・ブラウンとも気が合います。
でもそんな姉と弟の、ちょっとしんみりきちゃうくらい良いシーンも...。
ライナスの優しい言葉に、いつもは気の強いルーシーがワンワン泣いちゃうのも、ほっこりポイント。
あと、ライナスといえば毛布ですね!
もちろん作中にも毛布、出てきます(このシーン、後日更新の稽古場レポートでたっぷりと...)。
シュローダー(東山光明)は、いつもおもちゃのピアノを弾いているアーティスト。
東山さんの手に注目。弾いてます。
敬愛する作曲家はベートーベン。
そのベートーベンをテーマにしたナンバー『ベートーベン・デー』は6人全員で繰り広げるショーシーン...になるのではと予測!
そしてそして、チャーリー・ブラウンの飼っているビーグル犬・スヌーピー(中川晃教)!
先日、読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞したばかりの中川さんの美声もたっぷり!
...なのですが、中川さん、歌声はもちろんですが、その犬っぷりに衝撃を受けます(笑)。
中川スヌーピーの鳴き声、おそらく稽古場の外までとどろいていたのではないかと思う、本気の「ワォーン!」です。
チャーリー・ブラウンが夕食を持ってきてくれました。
この、喜びよう!
かと思いきや、とても賢く哲学的で、みんなの人気者であるスヌーピー。
とっても人間臭い行動も。
...そのポーズ、誰に向けてのもの?
チャーリー・ブラウンは野球チームの監督でもあります(エースはスヌーピーなんだけど)。
そんなベースボール・ゲームのシーンも。
皆さんの表情、決まってますね~。
しつこいですが、まだまだ稽古は始まったばかり、読み合わせの場です。
いつもいいたいことを飲み込んでいるチャーリー・ブラウンですが、たまには爆発しちゃいます。
村井さんの爆発っぷりに、稽古場、大爆笑でした!
数10秒の短いシーンから、ビッグ・ナンバーで綴るシーンまで。
畳み掛けるようにシーンが連なり、最後は心温まる「ハピネス」が観る者に届く......。
そんな可愛らしいミュージカル『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』。
そしてこういうハッピーな作品、やっている皆さんが楽しそうじゃないとね!
その面でも、このメンバーで贈るこのミュージカル、素敵な作品になりそうですよ!
取材・文・撮影:平野祥恵(ぴあ)
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