宝塚OGの最近のブログ記事

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■『キム・ジョンウク探し』#4■


村井良大彩吹真央駒田一という、たった3人のキャストで贈るミュージカル『キム・ジョンウク探し~あなたの初恋探します~』
その稽古場にふたたび潜入してきました!
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本番初日まで10日以上ある中で、この日の稽古は"粗通し"。
アタマから最後まで、本番同様に通していきます。
チームワークの良さが反映されているのか、なかなかお稽古、テンポよく進んでいるようですよ。


当連載をお読み頂いているユーザーの皆さんはもうおなじみかもしれませんが、まずは登場人物のご紹介。
ムン・ミニョク役=村井良大さん。
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勤めていた会社をクビになり、付き合っていた彼女にフラれ、色々と残念な彼がはじめたのが〈初恋探し株式会社〉。初恋の人を探してあげる会社です。
村井さん、前回稽古場にお邪魔した時とずいぶん顔つきが変わっていました。
髪型が変わったせい...だけじゃない、はず!
頼りなくてダメダメ君であるミニョクの"愛されキャラ"っぷりが、200%アップ、な印象です!
(村井さん、お楽しみのもうひと役のご紹介は記事後半で...)


ヒロイン、アン・リタ役=彩吹真央さん。
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新聞記者を辞めた彼女、そのことが厳しいお父さんの逆鱗に触れ、ぷらぷらしてるなら結婚でもしろ!とばかりにお見合い広告を出されてしまいます。
しかしそこでも乗り気でない彼女、さらに父親の怒りを買い、すったもんだのあげく連れていかれたのがミニョクの〈初恋探し株式会社〉。
...ということで、ミニョクとアン・リタは、アン・リタの初恋の相手"キム・ジョンウク"を探す旅に出るのです。


ちなみに村井さんと彩吹さんは、開演前のアナウンス(通称・影アナ)も担当。
こちら、録音じゃなく、ナマです! そして粗通し稽古でも、この部分からバッチリやっていました。
この日は村井さんの大好きなUSJの「バック・トゥ・ザ・フューチャー・ザ・ライド」が終わってしまう!という話を、彩吹さんが「そんな個人的は話はいりません」とそっけなく返すくだりに、スタッフ大笑い。
皆さん、上演開始時間よりちょっと前にお席についていることをおススメします


さて、彼と彼女に絡んでいく数多の人々を演じていくのが"マルチマン"=駒田一さん。
といってもマルチマンという役の登場人物はなく、様々の役を次々と演じていく俳優さんのことを"マルチマン"と呼んでいます。

マルチマン、カッコいいバージョン。
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宝塚歌劇団OGを中心とする"BAD GIRLS"が、ひとつのジャンルのダンスをテーマに、異国の男性ダンサーとMeetするDANCE LEGENDシリーズ

第1弾『Bad GIRLS meets BADBOYS』ではバレエ、
第2弾『Argentango』ではアルゼンチンタンゴに挑戦したBAD GIRLS。
第3弾となる今回は、フラメンコに挑戦します!
タイトルは『フラメンコ・カフェ・デル・ガト』

ハイレベルなダンステクニックに加え、物語性のあるシアトリカルなショーにも人気の高いDANCE LEGENDシリーズですが、今回はシリーズ皆勤賞の湖月わたるさん水夏希さん、そしてシリーズ初参加にして、2015年に宝塚を退団し今回が退団後初ダンス公演となる緒月遠麻さんの3人に、お話を伺ってきました。
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◆ 湖月わたる×水夏希×緒月遠麻 インタビュー ◆


●宝塚OGの皆さん、フラメンコの魅力を教えてください!

――第1弾は"バレエ"、第2弾は"アルゼンチンタンゴ"と続いた「DANCE LEGEND」ですが、今回のダンステーマは"フラメンコ"とのこと。今日は、「フラメンコとは何ぞや」「フラメンコの魅力とは」を、ぜひ皆さんにお伺いしたいと思います! と言いますのは、フラメンコってあまり接点がなく、それこそ宝塚のスペインを舞台にした作品の一場面で拝見する、というくらいの触れ方しかなくて...。

「そうですよね、普通あまり接点がないですよね」

湖月「私たちも、スタートはそんな感じですよ」


――皆さん、宝塚歌劇団のご出身ですが、音楽学校でフラメンコは習うものなんでしょうか?

湖月「私、劇団レッスンで1年くらい習ったんです」

「私たちの時代は、なかったですよ~!」

湖月「ちょうどこのあたりが境目なのかな? ずっと長い間あったみたいなんですが、私たちが入ったころで、なくなってしまったみたいです。なので私は、チラっとは触れていましたが、公演で本格的にフラメンコを踊ってはいないですね...闘牛士とか、スパニッシュ系のダンスは色々とあるのですが」

「私は...踊ったことないです」

緒月「え? ちか(水)さん、ありますよね?」

「え?」

緒月「『情熱のバルセロナ』(2009年、水さんトップ時代の雪組公演)で...」

「あぁ、私はそこでは踊ってないの」

緒月「そうか。私はその公演で、少しやりました。と言っても、男性の動きでしたが」


――フラメンコって、どんな印象ですか?

「ひと言で言うなら、"世にも難しい"、です(笑)」

緒月「ちかさんがそれを言うかなあ...(笑)」

湖月「私、マリア・パヘスさんが『リバーダンス』の中で踊ったフラメンコの映像を観た時に、「なんなんだ!」と思いました、すごく情熱的で、でもすごく素敵なダンスで...」

「今までやったことのないダンスですよね。"感情のままに踊る"という印象」

緒月「うん」

「このあいだ、フラメンコ雑誌を見ていたら、「これ、絶対NGだよね?」って写真が載ってるんですよ(笑)。なんといいますか、"中途半端"な。でもその中途半端な格好がカッコいい世界」

湖月「わかる! そこ(のポジション)に行くまでの途中、みたいな瞬間を切り取るの」

「私たち、宝塚出身というのもありますし、特にバレエとかは動きが決まっていて、とにかく美しく、というものに慣れているんですけれど、フラメンコはそういうものがないんですよね。だからこそ、触れる機会はあまりないですけど、でも一度触れてみたら「何この世界!」となるんです」

湖月「うん、ハマりますね。やっぱり踊りたくなる。みなさん、フラメンコを知ると、見たくなるというより、踊りたくなるんですって」

「うっかり嵌らないようにしないと! ハマったら深すぎて大変(笑)」

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■『キム・ジョンウク探し』#2■


村井良大彩吹真央駒田一という、たった3人のキャストで贈るミュージカル『キム・ジョンウク探し~あなたの初恋探します~』
待望の日本版初演となる本作の稽古場を取材してきました!
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『キム・ジョンウク探し』は、韓国で2006年に誕生し、2014年までのロングランを重ねた人気ミュージカルです
何をやってもダメダメな男性・ミニョクが会社をクビになり、新たに始めたのは"初恋の人を探してあげる会社"。
そこにやってきた、初恋の人"キム・ジョンウク"が忘れられない女性、アン・リタ。
ふたりは"キム・ジョンウク"を探す旅に出て...。

「君たち、気付けよ!」と言いたくなる男女のもどかしい、でも身につまされるような、ささやかで愛おしい物語を、3人の芸達者な俳優が、汗だくになって作り上げています(本当に皆さん汗だくです)!
その、ほんの一端をレポートします。

伺った時に稽古していたのは、物語開始早々に登場する『運命の人(タクシー)』のシーン。
広崎うらんさんによる、振付稽古をしているところでした。

作品を貫く重要ナンバーであるとともに、
村井良大さん扮するミニョクと、
彩吹真央さん演じるアン・リタが、初めて出会うシーンでもあります。
駒田一さんは...なんせ二十ウン役をこなしますので、その前にも色々、ふたりと絡んでいますが(笑)。

ミニョク役の村井さん。
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ミニョクはチラシによると"なにをやってもダメダメなさえない男"。
その"ダメダメな"村井さんが、何といいますか...めちゃくちゃ、可愛いです!
台本には"ミニョク、べそをかきながら出て行く"とかあって...。
いやぁ、べそをかく村井さん...見たい...!
この写真は、ラジオから流れるヒット曲を(カッコよく)歌い上げてる村井さんですけど。

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【チケットぴあニュース】

内博貴が主演するミュージカル『グレイト・ギャツビー』の製作発表会見が5月20日、都内にて行われた。共演は相葉裕樹、愛原実花、大湖せしる、山口馬木也ほか。演出は錦織一清、脚本は『マッサン』の羽原大介が手掛ける。
原作はF・スコット・フィッツジェラルドの代表作にして、アメリカ文学をも代表すると称される傑作小説。"狂騒の20年代"と呼ばれた1920年代のNYで、毎週末、絢爛豪華なパーティを繰り返す謎の大富豪、ジェイ・ギャツビー。彼は何のためにそんなことを繰り返しているのか。その裏には、あまりにも純粋な愛があった――。1974年にロバート・レッドフォードが、そして2013年にはレオナルド・ディカプリオが主演した映画もあまりにも有名だが、そのディカプリオ版を観た内が、自らプロデューサーに舞台化を提案したという。内は「映画を観終わってすぐ、これをミュージカルにしたら面白いんじゃないか、とビビっと来た。それから、やりたいやりたいと言い続けてきました。言い続けると、夢は叶うものですね」と感慨深げに話す。

この物語のどこにそんなにほれ込んだのか、という問いには「デイジーというひとりの女性への熱い思い。"そんなに人を愛せる?"と、僕自身、そんな経験がないからこそ惹かれた」と内。自身とギャツビーとの共通点は「今は思いつかない」と話すも、演出の錦織からは「女にだらしない男が一途な男を演じるとマスコミが喜ぶから、そんな大俳優になってください!」というユニークなエールが贈られていた。

その錦織は「25年前だったら、僕がギャツビーを演じられたのではと、(内に)嫉妬する」と話し会場を沸かせていたが、「アメリカが希望に燃えていた時代を描き出したい」と意気込みを。ヒロイン・デイジーを演じる愛原実花は「与えられた課題をこなすだけでなく、自発的にデイジー像を作っていきたい」と話していた。

公演は7月2日(土)から10日(日)まで、東京・サンシャイン劇場にて。その後、愛知・京都・兵庫公演あり。チケットは5月28日(土)に一般発売を開始する。



▽ニック・キャラウェイ役の相葉裕樹
ギャツビーの友人であり、ストーリーテラーでもあるニック。
「(ストーリーテラーというのも)僕にとって初めての役回り。気合を入れて頑張りたい」と相葉さん。
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■『キム・ジョンウク探し』#1■

韓国で2006年に誕生し、2014年までのロングランを重ねた人気ミュージカル『キム・ジョンウク探し~あなたの初恋探します~』

何をやってもダメダメな男性が会社をクビになり、新たに始めたのは"初恋の人を探してあげる会社"。
そこにやってきた、初恋の人"キム・ジョンウク"が忘れられない女性。
ふたりは"キム・ジョンウク"を探す旅に出て......。

たった3人の俳優が演じるこのロマンチック・コメディ・ミュージカルが、作品誕生10周年の今年、ついに日本版として登場します。
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"初恋の人"と、"初恋の人を探してあげる男性"2役を演じるのは村井良大
"初恋を忘れられない女"を演じるのは彩吹真央
そして、彼と彼女に絡むすべての登場人物を演じていく"マルチマン"は、駒田一
マルチマンが演じる役柄はなんと、22役!...と、チラシ等々には書いてありますが、どうやらさらに増え続けているようで...!?

この注目作の関係者が一堂に会した「顔合わせ」の場を取材してきました!
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ミュージカルで言えば、昨年の『RENT』マーク役の熱演も記憶に新しい村井良大さん
「ミニョクと、キム・ジョンウクの2役を演じます。未熟なところもあるかと思いますが、最後までよろしくお願いします!」とご挨拶。
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"初恋の人"と"初恋の人を探してあげる男性"...つまりカッコいい男性と、さえない男性の2役です。
この2役を村井さんがどう演じていくのか、楽しみですね!

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フランス発のメガヒットミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』、ついに開幕しました!
4月7日、東京・帝国劇場にて、初日前会見が行われましたので、その模様をレポートします。
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登壇者は、ロナン役の小池徹平&加藤和樹、オランプ役の神田沙也加&夢咲ねね、マリー・アントワネット役の花總まり&凰稀かなめの6名。
この3役が、Wキャストです。

★ニュースサイトでのご紹介は→コチラ

ロナン(Wキャスト)小池徹平さん。
小池さん、帝国劇場初出演にして、初主演!
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「劇場に入って3日目くらいにして、ようやく劇場の雰囲気に慣れてきました。衣裳を着て動くということを稽古場でやっていなかったので、着るとより気持ちが入るところもありつつ、動きの制限も出てきたりもして、試行錯誤をしながら頑張っています。本番が近いので、身の引き締まる思いで毎日頑張っています」と意気込みを。

初・帝劇の感想は
「まだお客さんが入った状態ではないのでわからないのですが、この建物の中にいるというだけで少しずつ、実感が沸いてきています。この劇場はエレベーター移動が多いので、全然来ない時があって(笑)、そういう時は階段を使ったりもしているのですが、そんなことすらも楽しい(笑)。階段移動を楽しいと思っちゃうのは、初めてなので。劇場の裏も表(舞台の上)も、今のところは楽しくやれています!」とのことでした。
 

同じくロナン(Wキャスト)加藤和樹さん。
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「稽古場で出来ることはすべてやれたかなと思いますが、舞台稽古に入って、やはりセットの中に立ってみないとわからないことがたくさんあって、小池(修一郎)先生はじめスタッフさんと息を合わせながら、ひとつひとつを丁寧に確認しながらやっています。ダンスナンバーが多いので、特に怪我にはみんな気をつけて慎重にやっています。Wキャストなので客席で観る機会があるのですが、思った以上に派手で華やか。これがすべてひとつにつながった時にどうなるか、僕自身も楽しみにしています。間違いなく革命的な作品になるのではないかなという実感があります」と自信を見せます。

加藤さんは2014年『レディ・ベス』以来、2年ぶり2度目の帝劇出演ですが
「ちょうど2年前の今頃、『レディ・べス』も舞台稽古の最中ではなかったかな。2度目とは言え、今回は畏れ多くも主演という形ですので、やはり新たな気持ちです。素晴らしいキャスト、スタッフに囲まれながらやれているので、いい意味で身も心も預け、肩の力を抜いて出来るのでは。帝国劇場に初めて立った時には「帝劇には魔物が棲んでいる」と言われて臨んだ舞台だったのですが、今回は面と向かってぶつかっていけるのではないかと思います」と話しました。

■ミュージカル『グランドホテル』vol.14■

「まったく別の作品」ふたつの『グランドホテル』まもなく開幕
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4月9日(土)に開幕を控えるミュージカル『グランドホテル』の出演者たちが7日、舞台稽古のさなか会見を開催した。英国出身の鬼才、トム・サザーランドが演出を手がけ、キャストをGREENとREDの2チームに分け、結末も2パターン用意する注目の作品。主演は中川晃教(GREEN)と成河(RED)。ほかに元バレリーナの草刈民代(RED)や、これが初ミュージカルとなる真野恵里菜(RED)など、様々な個性を持ったキャストが集結し、"ふたつの『グランドホテル』"を描き出す。

グレタ・ガルボらが出演した映画でもよく知られる作品だが、物語は1920年代のベルリンを背景に、豪華なグランドホテルに行きかう人々の人間模様を描く群像劇。中川と成河が演じるのは、重い病を患い、残された日々をグランドホテルで過ごそうとやってきたオットー。それぞれ「グランドホテルで人生を探したい、そんなオットーを生きられたら。舞台の端から端まで、上も下も、全部余すことなく堪能していただく舞台です。集中してやっていきたい」(中川)、「華やかで煌びやかで、かつ影がある作品。オットーはその中で、哲学的なメッセージを背負ってホテルを出て行く存在ですので、その部分を注目していただければ」(成河)と意気込みを語った。

なんといっても見どころは、2チームが全く異なる結末だということ。稽古も別で、お互いがどうなっているのかを出演者自身も知らないという。両チームに出演する藤岡正明は「こんなに違うと、(2パターン)覚えるのが本当に大変、と稽古をしながら思っていました。まったく別の作品を観るつもりで来ていただければ」とアピール。同じく両チームに出る湖月わたるも「セットの転換も違うし、場面の見え方が全然違う。私は素敵な男爵(宮原浩暢、伊礼彼方)とバレエを踊らせていただくのですが、そのシーンはまったく同じ曲なんですが、まったく違う振付になっています」と話す。

和気藹々とした雰囲気の中、ソツなく両チームのアピールをするキャストが多い中、「作品としてはREDの方が1ナノくらい面白いんじゃないかな」(吉原光夫/RED)、「負けてらんねえ!と思います。僕はREDとGREENのバトルだと思ってます」(伊礼彼方/RED)、「宣戦布告をされましたが、僕はあんまり戦ったりするのは好きじゃない(笑)。最終的にはお互いいい作品になればと思いますが......やっぱり負けられませんね」(宮原浩暢/GREEN)など、ライバル心をむき出しにした発言も。ぜひ両チームを見比べてみてほしい。

公演は4月9日(土)から24日(日)まで、東京・赤坂ACTシアターにて。その後、愛知、大阪公演あり。チケットは発売中。



◆ REDチーム フォトコール ◆


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▽オットー・クリンゲライン役、成河
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『クリスマス・キャロル』や『二都物語』といった名作を数々生み出した、イギリスの国民的文豪チャールズ・ディケンズ
彼が死の間際に記し、そして完成させることなくこの世を去ってしまった作品、それが『エドウィン・ドルードの謎』です。
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タイトルからわかるとおり、ミステリー仕立ての小説で、主人公の青年エドウィンと婚約している美しい娘・ローザをめぐり、エドウィンの叔父でありローザを秘かに愛するジャスパー、同じくローザに一目ぼれしたインド出身の青年ネヴィル、その双子の姉妹のヘレナ、ローザといわくがありそうな阿片窟の女主人パファー......と、なんとも怪しげな人物をたっぷり配し、そしていかにも何かが起こりそうな荒れ模様のクリスマスの晩を最後に、エドウィンが行方不明になってしまう......という物語。

つまり文豪ディケンズは、曰くありげなフラグを立てるだけ立て、結末を用意せずに絶筆

続きは一体どうなるの? エドウィンを殺した犯人は誰なのか? そもそもエドウィンは本当に死んでるの?
...それについては、イギリス文学の研究者が山ほど研究しているところでもありますが、このミュージカルでは、なんと観客が投票によって結末を決めます!
犯人に加え、探偵役も、そしてハッピーエンドに向かうことになるカップルも、すべて観客の投票が決めます!
その数、なんと288通り
これ、大げさだと思いますか?
本当です。
資料用に借りた台本も、「○○が選ばれた場合→何ページへ」といった具合で分岐が山ほどありました(その分、ぶ厚い)。
そして担当、稽古場を取材してきました!

本日はその稽古場レポートをお届けします。
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...なのですが。
ミステリーといえば、もちろんネタばれ厳禁。
その上このミュージカル、設定は<劇場支配人の山口祐一郎率いる一座が、ここ・ロワイヤル音楽堂で、『エドウィン・ドルードの謎』という芝居を上演する>というもの
つまり俳優の皆さん、ご本人自身として舞台に立っているところもある、という構造

さらに、演出は、ドラマに映画に引っ張りだこ、コメディをやらせたら現在の日本で右に出るものはいない福田雄一
福田さんならではの、現実世界とリンクする小ネタが満載なのです...!
...ストーリーもネタばれ厳禁なら、ストーリーに関わりなさそうな小ネタもネタばれ厳禁な感じで...。

(どう書けば...)という心の声を押し殺し、ウンウン唸りながらもとりあえず、キャスト紹介をしつつ、雰囲気をお伝えしていきましょう!

劇場支配人、山口祐一郎さん。
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山口さん、狂言回し的に、舞台に出ずっぱり!
舞台上で起こっていることの解説をしたり、茶々を入れたり、大車輪の働きです。
そんな忙しい山口さんですが、この日の稽古開始前、キャストがたむろしている稽古場外の待合室に「明日の稽古、お休みだっていま福田さんから発表が~!」と飛び跳ねてご報告しにくる姿がなんとも微笑ましかった。ミスター・チャーミングですね♪
そんなチャーミングな山口さんの素顔に近い表情も、舞台ではたっぷり見られそうなんです。

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■ミュージカル『グランドホテル』vol.13■


1920年代のベルリンの豪華なグランドホテルを舞台に、様々な事情を持った人たちのドラマが交錯する――。
名作ミュージカル『グランドホテル』が、英国の鬼才トム・サザーランドと、日本の才能ある俳優たちによって蘇ります。

『グランドホテル』といえば、群像劇の先駆けとなった作品であり、こういった様々な人々が交錯していくタイプのドラマを"グランドホテル方式"と呼ぶほど。
その、日本初演は、1993年の宝塚歌劇団月組でした。

ということで、今回の出演者の中で、宝塚歌劇団出身のお三方...安寿ミラさん、湖月わたるさん、樹里咲穂さんにお集まり頂き、インタビューをしてきました!

今回は〈GREEN〉〈RED〉の2チーム制で上演されますが、
安寿さん・樹里さんは〈GREEN〉チーム、
湖月さんは、〈GREEN〉〈RED〉両チームへの出演です。

※インタビューは、稽古開始前に行っていますので、ご了承ください。


安寿ミラ×湖月わたる×樹里咲穂
INTERVIEW ◆

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△左から 樹里咲穂、安寿ミラ、湖月わたる

●宝塚月組版を観た安寿さんと湖月さん、そして出演していた樹里さん

――『グランドホテル』、日本初演は1993年の宝塚月組公演でした。宝塚歌劇団出身のお三方ですが、作品はご覧になっていますか?

湖月「はい、観ています!」

樹里「出演していました!」


――あっ、そうなんですね!

樹里「そうなんです、出てました(笑)。」

安寿「(今回の出演者の中で)唯一じゃない? 過去にこの作品に出ている人」

樹里「だから、ふとした時に、前の時の歌詞が出てきちゃうかもしれなくて...(笑)」

湖月「それくらい、心にも身体にも刻まれてるってことでしょ?」

樹里「刻まれていますね...!」

安寿「いくつの時?」

樹里「研4の時です」

安寿「えー! ...私も、月組のを観ています。(湖月さんに)あれ、宝塚にもう入ってた?」

樹里「わたさん(湖月)の方がひとつ先輩なので...私のほうが上級生に見えます(笑)?」

安寿「うん、見える(笑)。そうなんだ~、じゃあ、観てるよね」

湖月「はい。お稽古場から、特別な雰囲気がありました。トミー・チューン(オリジナル版の演出家)さんがいらしてて、みんなが椅子を持っていて。すごい熱気がありましたよ」
※トミー・チューン版は、椅子を巧みに使ってシーン展開をしていくのが、印象的でした。

安寿「あれ、かなめ(涼風真世)の退団公演で...それに、(79期生の)初舞台公演だよね?」

樹里「そうです、そうです」

安寿「『グランドホテル』(1993年4-5月)と、星組の新・宝塚大劇場のこけら落し公演(『宝寿頌』/『PARFUM DE PARIS』:1993年1-2月)の狭間に、私たち(花組)がやったのよ」

湖月樹里「あぁ、そうでした!」

安寿「こけら落としと、かなめの退団という話題の公演の谷間に、何の話題もない『メラコリック・ジゴロ』があったの(笑)」

湖月樹里「わ~、大好きな作品」

樹里「今でも(再演を)やってますもんねぇ、『メラコリック・ジゴロ』。私は『グランドホテル』でベルボーイをやってました。ベルボーイは8人くらいいたのかな? 要するに荷物運びですよね。椅子がいっぱい出てくる演出だったので、椅子をひたすら出し入れして、筋肉がついてムキムキになったのを思い出します(笑)」

安寿「樹里、(1989年の宝塚の)NY公演は行ってない?」

樹里「参加していないんです」

安寿「あれ、そうなんだ。私はそのNY公演に参加していて、NYに着いた日に観させられたのが、『グランドホテル』だった。時差ボケで、ほとんど覚えていないんですが(苦笑)」

湖月「あ~...、それは寝ちゃいますよね(笑)」

安寿「だから私、ブロードウェイ版と、月組版を観ているんですよ。でもそれ以来観ていないし、何せ記憶も薄いので、今回の上演、"とうとう来たか"と思いました。自分も出るのに、"やっと観られる"って」

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■ミュージカル『グランドホテル』vol.12■


1920年代のベルリンの豪華なグランドホテルを舞台に、様々な事情を持った人たちのドラマが交錯する――。
名作ミュージカル『グランドホテル』が、英国の鬼才トム・サザーランドと、日本の才能ある俳優たちによって蘇ります。

キャストインタビューや顔合わせ取材など、様々な角度で本作を追っている当連載ですが、今回は、3月8日に行われた、公開稽古の詳細レポートをお届けします!
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先に出したニュース記事はコチラ→

物語は、1920年代の大都市ベルリンを舞台に、華やかな「グランドホテル」に集う境遇の異なる人々が織りなす人間ドラマ。
ホテルという場所で、様々な人々が出会い、別れ、時にすれ違う、群像劇です。
物語上まったくドラマが交差しない人々もいて、そこはまさに"群像劇"=〈グランドホテル方式〉の基礎を作ったと言われる作品なんです。

今回は〈GREEN〉〈RED〉の2チーム制で上演され、それぞれのチームで結末も異なる...ということが、注目されていますが、この日、その「ふたつの結末」の具体的なところも、明かされました。

〈GREEN team〉出演:中川晃教/他
...悲劇的エンディング
華やかな時代からナチス台頭の足音が忍び寄り、グランドホテルの登場人物たちもまた、死と隣り合わせの運命が待ち受けている。悲劇的結末を暗示する...

〈RED team〉出演:成河/他
...ハッピーエンディング
人生の意味を見出したオットーは、フレムシェンと共に旅立つ。再び情熱を取り戻したグルシンスカヤは嬉々として次の公演地へ。それぞれが希望ある未来に向けてホテルを後にする...


こちらが、演出のトム・サザーランドさん。
先日には、トムさんがイギリスで上演した『グランドホテル』が、英国演劇界で栄誉ある賞「2016年オフ・ウエストエンド・シアター・アワード」の最優秀ミュージカル作品賞と最優秀振付賞を受賞したばかりです!
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稽古に入る前、トムさんより解説がありました。

「原作はヴィッキー・バウムによる同名小説です。それまでの小説というものは、ひとり、ないしはふたりの主人公がいて、その主人公たちをめぐるお話を描くものでしたが、彼女は新しい小説の技法を確立しました。ストーリーの中にはとてもたくさんの登場人物がいて、キャラクターによっては作品の中で出会うことすらない、そんなキャラクターもいます。共通項は、みんな、グランドホテルにいるということ。その物語の中で、それぞれの登場人物の人生があぶりだされます。

そしてこれはヴィッキー・バウムがその頃過ごしていたベルリンという場所、時代を描いたもの。不穏な時代であり、変革を待っている時代です。変革がどの方向に行くかということは、後々歴史が語りますが、その時は誰もわからない。英語での表現ですが、「踊り狂ったその先に戦争がある」...1929年当時のドイツはそんな時代です。

そして、ひとつこのミュージカルの中で明らかにされていることは、「持てるものと持たざる者がいる」ということ。その頃のベルリンでは、持てる者たちが、力ずくで自分たちが優れているというその立場をもぎ取っていた。ヴィッキー・バウムはユダヤ系の女性で、小説を書いたその年にベルリンを離れ、アメリカに逃亡します。その後、作品は有名な映画となり、さらに1989年にはブロードウェイでトニー賞を受賞するくらい素晴らしいミュージカルが誕生しました。このミュージカルの革新性というものは、最初の小説の革新性と同じくらいのものでした。そして今回、日本でこの作品を上演しますが、皆さんが「舞台作品はこういうものだろう」と思っている、その限界をぐっと超える作品にすることを目標にしています。それは『グランドホテル』という作品が、常に成し遂げてきた道です」


また、前述の「ふたつの結末」についての説明も。

「今回はふたつのまったく異なるバージョンをお見せしたいと思っています。それは先ほど申し上げた、「持てる者と持たざる者がいる」ということがヒントになっています。同じ音楽で、同じ脚本です。その同じ脚本と音楽を、キャストの皆さんがその公演ごと、違うチームでまったく違う作品にしていきます。
片方のバージョン(RED)は楽観主義、前向きにすべてのことがうまく収まるという方向で作られます。それはそれぞれのキャラクターが何か目指しているものがある、それを達成し、ゴールに辿りつき、そして幸せを手に入れる。
もうひとつのバージョン(GREEN)は歴史が物語っている、ベルリンの1920年代終盤から30年代にかけて起こることを示唆します。人々の中にある夢や希望は剥奪され、嫉妬、嫌悪といった感情がどんどん台頭していく。そして力ずくでものが進んでいく時代です。その前までは、リベラルな社会だったはずなのに...。

また結末だけが変わるのではなく、今回、ダブルで演じられる役どころがたくさんあります。この素晴らしく描かれたキャラクターたちは、その演じ手がその人なりに解釈し、その人なりに演じ、人物像を作ることができます。まったく同じ素材を使いつつ、今も稽古場では白熱した稽古をしていて、まったく違うバージョン、違うキャラクターが生まれつつあります。自分自身でも本当にここまで違うふたつのバージョンが出来るのかと、今興奮のさなかです。この作品の持つ素材の力、キャストの皆さんの素晴らしい力をぜひ本番で感じていただければ」


◆ 公開稽古レポート ◆


さて、この日披露されたのは幕開きのビッグ・ナンバー『グランド・パレード』。
それぞれの人物像と、抱えた事情が、ホテルの喧騒の中少しずつ見えてくる、まさにドラマがここから始まる感満載のナンバーです。

静寂の中、愛と死の化身...スペシャルダンサー、湖月わたるさん登場。
湖月さんが呼び鈴を鳴らし、物語が回転しだします。
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「グランドホテル、ベルリン。いつも変わらない。誰かが来て、誰かが去っていく...」と、グランドホテルで行き交う人々を眺めるオッテンシュラッグ医師が、登場人物を、少し毒気を混ぜながらシニカルに紹介していきます。

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藤田記子(カムカムミニキーナ)

FUKAIPRODUCE羽衣

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劇団 石塚朱莉