■『ビッグ・フィッシュ』2019 vol.4■
ティム・バートンの傑作映画をもとにしたミュージカル『ビッグ・フィッシュ』。
多くの人々に愛された感動作が今年、ふたたびやってきます!
父と息子の和解、家族の愛という普遍的なテーマを、ティム・バートン監督らしいファンタジックな世界観の中で描いていく物語。
10月上旬、時系列としては公開稽古が行われた10月16日より前の稽古場の模様をお届けするレポート、後半です!
稽古場にいるキャストは、川平慈英さん、浦井健治さん、霧矢大夢さん、夢咲ねねさんという2組の夫婦。
前回のレポートから少し場面は進み、2幕。
とはいえ、こちらも「現在」のシーンです。
場所はベッドルーム。
エドワード(川平さん)の病は、ちょっとばかり深刻なようです。
ベッドで西部劇を見ているエドワード。
それを見て「あなた大好きよね、西部劇」と言うサンドラ(霧矢さん)。
その言い方が、愛情があって良いんです~!
そこにやってくるウィル(浦井さん)。手にはフォルダを持っています。
「なぜ(エドワードが生まれ育った)アシュトンのことは何も話さないのか」と、長年の疑問をぶつけます。さらには「僕も息子が産まれてくる、自分の息子が父親に対し疑問を持っていたら辛いと思う」とまで。
エドワードはエドワードで、「息子が自分をなじる」と怒り、ウィルはまた、父との和解を諦めます。
ふたりの間には、冷たい川が流れている......相容れることができない......。
ウィルの登場の動線を変更している白井晃さん。
その前のシーンを受けて、「ヤングウィルが成長して浦井さんになったとわかるように」。
演劇的な見せ方になっていました!
初演では、父と息子の諍いは西部劇風の法廷シーンでしたが、今回はこの場面が新曲になっています。
『二人の間の川』、父と息子のお互いに対する憤りを歌う切ない内容ではありますが、男性ふたりのデュエットソングは迫力があってカッコいい!
《12 chairs version》でのひとつの大きな見せ場になること、間違いありません!!
夫の憤りをなだめるジョセフィーン(夢咲さん)。
一方で親夫婦。
ショックを受けたエドワードがパニック状態になりますが、サンドラが優しくなだめます。
「私がついているから大丈夫」。
ここでサンドラが歌う『屋根はいらない』も名曲ですし、少しずつ死が近付いているエドワードの苦しさと深い夫婦愛が伝わってくる大・名シーンでもあります!
稽古場ですでに泣きそうに......。
《12 chairs version》、"2組の夫婦" あり方、その対比(どっちも素敵)もくっきりと見えてきそうです。
連載まだ続きます~!
取材・文・撮影:平野祥恵
【公演情報】
11月1日(金)~28日(木) シアタークリエ(東京)
12月7日(土)・8日(日) 刈谷市総合文化センター 大ホール(愛知)
12月12日(木)~15日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール