初めまして、中村鶴松と申します! これから5回に渡って、11月に全国14ヵ所で上演される『錦秋特別公演2016』の見どころをたっぷりとお伝えしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします!



2016年4月にKAAT神奈川芸術劇場の芸術監督に就任した俳優で演出家の白井晃が、
長年、上演を切望していたブレヒト劇「マハゴニー市の興亡」が9月同劇場で、ついにその全貌を現す。
初日を目前に控えた稽古場では、もとはオペラだった本作を、ジャズピアニストのスガダイローを音楽監督に迎えジャズテイストの音楽劇に再構築する、という白井の革新的な挑戦に、みなが煽られるように熱気にあふれた稽古が続いている。
「三文オペラ」などでブレヒトとの名コンビとして知られる作曲家クルト・ヴァイルのひねりのきいた音楽を、
主演の山本耕史が力強く歌い上げれば、ヒロインのマルシアがまるで語りかけるような説得力で歌声を響かせる。
中尾ミエ、上條恒彦、古谷一行という選りすぐりのベテラン俳優陣の芝居は作品に重みを加え、若き男性アンサンブルや女性ダンサーたちの動きも日に日にシャープさを増していた。
スガダイローが率いるバンドの奏でる音楽は、聴く者に挑みかかるような鋭利な感触を与えるのに、
一方で、妙に心の奥底が駆り立てられ、浮き立つような気分にさせることも。
それが、人間社会の愚かさや滑稽さを、情緒的な感情に引きずられずに描いていく叙事詩的なブレヒトの世界観に見事にフィットし、不思議な高揚感につながっていく。
■写真提供=KAAT神奈川芸術劇場
■撮影=伊藤大介(SIGNO)
俳優の身体が雄弁に存在する舞台、との定評がある白井がこだわるのは、俳優たちの動きと動きが互いに呼応して連動していくこと。
せりふの響き方一つにも細心の注意を払いながら、完成度を高めていくその様子は、実にアグレッシブで、情熱にあふれている。
KAAT神奈川芸術劇場に、いったいどんな「欲望の街」が出現するのか。
そして舞台上にもある客席「マハゴニー市民席」に座る観客らがどのように「参加」していくのかについても期待が高まる。
(文・阪清和)
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【公演情報】
「マハゴニー市の興亡」
2016年9月6日(火)~9月11日(日)まで、赤坂RED/THEATERにて上演される、
舞台(ステージ)「不機嫌なモノノケ庵」。
原作は、スクウェア・エニックスのウェブコミック配信サイト『ガンガンONLINE』にて、連載中。
2016年7月3日(日)からはTVアニメがスタート。
ある日突然、妖怪を見る能力に目覚めた高校生・芦屋花繪(あしやはなえ)は、モジャモジャした妖怪に取り憑かれたことがきっかけで、妖怪祓いを営む「物怪庵(もののけあん)」の奉公人になることに...。
芦屋を雇ったのは、どこか不機嫌そうな物怪庵主・安倍晴齋(あべのはるいつき)。
しかし、クールで冷静な安倍と、想定外の行動を取りがちな芦屋は、水と油のような存在。
妖怪たちとの出会いを通しながら変わっていく二人の関係を、それぞれの視点で物語る。
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現在大活躍中の若手俳優、
陳内将・入江甚儀・元木聖也・原嶋元久を迎え、
4人全員が芦屋 花繪・安倍 晴齋の二役を演じ、全12公演が全て異なる組み合わせとなる、今までになかった舞台(ステージ)となります!
Ⓒワザワキリ/スクウェアエニックス・「不機嫌なモノノケ庵」製作委員会
また、毎公演キャストと交流のある若手人気俳優をゲストに迎えたアフタートーク、<御喋りノ怪> を開催!
ゲストの第1弾として、
岸本卓也、木ノ本嶺浩、寺山武志、久保田秀敏、平田雄也、安川純平、杉江大志の出演が発表されました。
そのほか、来場者限定の非売品特典 の詳細も発表されています!
ゲストの組み合わせや、非売品特典の詳細については公式ホームページにて。
順次最新情報を更新中!
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【公演情報】
舞台(ステージ)「不機嫌なモノノケ庵」
■公演期間:2016年9月6日(火)~11日(日)
■劇場:赤坂RED/THEATER 東京都港区赤坂3-10-9 赤坂グランベルホテルB2F
■チケット:前売り:6,500円/当日券:7,000円(全て税込)全席指定・非売品特典付き
脚本:錦織 伊代(アイデアフラッド)
演出:矢島 弘一(東京マハロ)
◆ 緒月遠麻&大湖せしる INTERVIEW ◆
◆ 古川雄大 INTERVIEW ◆
緻密で勢いのある良質なコメディーを作らせたら天下一品!の劇作家で演出家の倉持裕さん。その倉持さんがこの秋、待望の新作コメディー『家族の基礎~大道寺家の人々~』を引っ提げ、シアターコクーンに初登場します。9/6(火)の初日に向けて着々と準備が進行中の稽古場に潜入、果たしてどんな作品になりそうかを探ってきました!
とある家族の、ある意味"壮大"な歴史を描く群像劇となる今作は、キャストも超豪華! 大道寺家の父・尚親(なおちか)と母・須真(すま)に扮するのは、これが舞台初共演となる松重豊さんと鈴木京香さん。長男・益人(ますと)には初舞台の林遣都さん、長女・紅子(べにこ)には舞台でも大活躍中の夏帆さん。さらには堀井新太さん、黒川芽以さん、坪倉由幸さん、眞島秀和さん、六角精児さんといった個性派がズラリと顔を揃えます。
お邪魔した日は本番まであと約2週間、というタイミングで稽古はまさに佳境。稽古場に入ると、真ん中には大きな円が描かれていて、これは廻り舞台との境界線の印とのこと。実は今回の芝居、廻り舞台を駆使する演出を行っている模様。とはいえ稽古場の床は実際に廻すことができないため(本番前に廻り舞台を使える稽古場に移動するそう)、ここでは演出の倉持さんはもちろん、スタッフもキャストも各自の動きと舞台の回り具合を想像力で補いつつ、動きを計算していかなくてはいけないのです。これってかなり、脳が刺激される作業といえそう!
見学させていただいたのは、二十一場。この芝居はトータルで二十七場まであるので、ここは後半部分のクライマックスシーンと言えそうです。稽古場の中央には可動式の大きな3つの箱状の舞台装置があり、これが物語の展開によって出たり入ったり、向きを変えたりすることで場面転換を行うのです。この場面では舞台は東京のはずれにオープンさせた劇場"大道寺シアター"の舞台袖ということになっていて、この箱状装置の向こう側がステージという設定。劇場のこけら落とし公演の初日を迎え、右往左往する大道寺家の人々、そしてその周囲の人々。ステージ上では須真役の鈴木さんと、大衆演劇の座長・五郎丸役の六角さんとが劇中劇を行うことになっているのですが......。観客席からは装置が邪魔して、この劇中劇は後ろのほうでチラチラ見える、という感じになりそうな様子。倉持さんから「手前でやっている芝居がメインですので、劇中劇のほうは気楽にやってみてください!」と言われ、鈴木さんも六角さんも時々アドリブを入れたりもしながら楽しそうにセリフを重ねていきます。途中、鈴木さんがうっかり他の役者に向かって「須真さん?」と呼び掛けてしまい、「あ、須真さんは私だった!」と叫ぶというお茶目な一面を見せて一同爆笑、という場面も。倉持さんも「よくあることですよ」とニコニコ。
◆ 浦井健治 & 伊礼彼方 ロングインタビュー ◆