西田シャトナー作・演出 『ソラオの世界』 が7月に上演されます。
『ソラオの世界』は、西田シャトナー氏の代表作のひとつ。
2009年の初演から4度の上演を経て、自身の作品を上演する"SHATNER of WONDER"シリーズ第四弾として、戯曲段階から再構築して上演されます。
本作は、昏睡状態に陥り自分の夢の中に閉じ込められてしまったソラオが見る、夢の世界の物語。
現実の世界で、自分は動かず"誰かがやってくれる"ことで楽しんできたソラオ。夢の世界に閉じ込められても、「きっと誰かが起こしてくれる」と人任せで楽しんでしまうが――。
今回、主人公・ソラオを演じるのが、多和田秀弥さん!
ミュージカル「テニスの王子様」2ndシーズンの手塚国光役や、「手裏剣戦隊ニンニンジャー」のスターニンジャー/キンジ・タキガワ役を演じ、現在はテレビドラマ「不機嫌な果実」や「めざましテレビ」(リポーター)にも出演中と幅広い活躍をされています。
舞台は約1年ぶりの出演。そして今作が初主演です!
そんな多和田さんに、『ソラオの世界』への想いを語っていただきました。
――出演が決まったときの感想を教えてください。
「率直に嬉しかったです。これまでの経験から、主演の人の姿を思い返すと『責任を持たなきゃいけない』っていうプレッシャーから不安にもなりました。」
――それって主演の方を役だけじゃなく本当にそばで見てきたからこそ感じることですね。
「そうですね。それがなかったら普通に『やったー』っていう感じだったかもしれないです。
でも多分『やったー』だけで挑むより、そういう想いを持って挑むほうがいいと思います。」
――演出の西田シャトナーさんとはお話しされましたか?
「まだ作品については詳しく話してないですが、舞台を観て、楽屋でお会いしたときの一言目が『おもろかったやろ?』だったんですよ。演出家の方がここまで自信を持って言うって、演者もすごく頼もしいだろうなと感じました。
この方が『行こう!』って言うところで、一緒に同じ方向に走れたらって思います」
――『ソラオの世界』はご覧になりましたか?
「拝見しました。けっこう突発的だし、セットをものすごく動かしたりして。勢いが重要なんだと感じました」
――今回のソラオという役はどうですか?
「もしかしたら僕に近い役かもしれないです。『ソラオの世界』を観たとき、
ソラオを昔の自分のように感じて。だから今までと違う、多和田秀弥が演じる新しいソラオをお見せしたいです」
――パワーマイムもありますが。
「いやー......(不安な表情)。パントマイムが苦手で、『さっきとドアの位置違う』ということになりそう。
でも作品に欠かせないものですし、これを経験することで、絶対この先の自分の財産になりますし、新たな挑戦にもなるので、がんばりたいって思っています」
――楽しみにしてることはありますか?
「舞台セット、空間が楽しみです。シャトナーさんのイメージ図を見たのですが、シンプルなんだけどそこにいる自分を想像するとワクワクしました。それと歌。舞台上で歌うのは久しぶりなので、ガツンといきたいです!」
――この作品にも挑戦がありますが、最近は『めざましテレビ』リポーター、連ドラ出演(『不機嫌な果実』)、CM出演とチャレンジが多いですね。
「そうですね。この6月で、初めて舞台に立ってから5年経つんですよ。
その中でもこの2015年から2016年の1年間はすごく怒涛だったなって思います」
――その中でこの作品へのチャレンジってどんなものですか。
「僕個人としてもすごく重要だと思っています。ここで新たな扉を開けたいです。そこからまた新しい道が待っていると思うので、自分にプレッシャーをかけてやらなきゃいけない......勝負どきです」
――ソラオは夢の話でもありますが、多和田さんの夢は?
「例えば歌番組でアーティストが歌ったり踊ったりしているのを見て、自分もあそこに入ってみたいな。
僕はダンスが好きなので、ステージで踊ってるところを想像したり。朝ドラにも出たいです。いろいろと想像しちゃいますね」
――それは、叶えるつもりで夢をみてますね。
「叶えたいものしか想像してないです。叶えていくと充実感もありますし、どんなことでも無理とは思わずにやりたい。この作品も、未来の自分を想像できれば楽しくやれるんじゃないかなって思います」
――最後に作品を楽しみにされてる方、ファンの方にメッセージをお願いします。
「シャトナーさんの作品を愛している方々には、『おもしろかったよね』って言ってもらえるように誠心誠意ソラオとして世界を生きたいと思います。そして、僕を楽しみにしてくださる方々には、いつもの僕とは違う姿を絶対に見せたいです。
暑い時期ですが、劇場にはソラオの世界が待ってるので、浸りに来てください!」
SHATNER of WONDER#4『ソラオの世界』は
7月28日(木)から31日(日)まで、東京・Zeppブルーシアター六本木にて。
(中川實穗)
『ママと僕たち』 ~たたかえ!!泣き虫BABYS~が、7月8日に東京・AiiA 2.5 Theater Tokyoで開幕しました!
本作は『ママと僕たち』シリーズ第3弾。
ですが、「3作目ってことは、今から観ても内容がわからない?」なんて心配は無用!
この作品単体で観ても100%楽しめる作品です。シリーズを観てこられた方は120%で楽しめます!
毎回注目の赤ちゃん役ですが、今回はシリーズ全作に出演中の原嶋元久さんをはじめ、佐藤永典さん、木戸邑弥さん、井澤勇貴さん、三浦海里さん、上村海成さんの6人!
井澤さんは3歳児、上村さんはおもちゃのピカール君役、それ以外のメンバーは0歳児の役です。
撮影:渡部俊介
今回の舞台は、「おもちゃの国入口」駅のなかにある保育園"夢のきしゃぽっぽ保育園"。
そこに原嶋さん演じる公彦が入園するところから物語は始まります。園に通う赤ちゃんたちのママは育児と仕事で大忙し。
そんな姿を赤ちゃんたちは心配そうに見つめつつも、保育園では、おもちゃのお人形が突然命を宿したり、何でも願いを叶えてくれるという怪しいおもちゃが現れたりと賑やか。
さらに、"地球侵略を目論むエイリアン"まで襲来して――!?
まずすごいのが、赤ちゃんの赤ちゃんっぷり。立ち方や重心、目の動かし方、表情まで、とにかく赤ちゃんで、大人が演じていることをふと忘れてしまうほど。
甘ったれで泣き虫なのに「ママを助けたい」とがんばる純粋な愛情は、特に子供がいる人はホロリときそう。
かわいさ100%の赤ちゃんの中で、井澤勇貴さん演じる愛之助くんの3歳児らしい、やや打算の入った泣き方もポイント。
甘える姿もキュートでした!
健気で忍者(?)な柾くん(佐藤永典さん)や、
頼れるリーダーの朝陽くん(木戸邑弥さん)など、赤ちゃんそれぞれのキャラクターも個性的。
脚本・演出の村上大樹さんが「あて書き」とおっしゃっていましたが、俳優さんそれぞれとピッタリなんです。
少々マニアックですが「村上さんの目から見たこの俳優さんはこんなイメージなんだな」と思って見るのもまた面白そうですね。
もちろん「赤ちゃんかわいい!」だけで終わらないところが『ママ僕』の魅力。
脇を固める大人役には、うたのおにいさんであるしんじろうお兄さん役として全作出演中の今井ゆうぞうさん、まさかのデーモン閣下のほか、山田まりやさんや上地春菜さん、内藤大希さん、佐藤貴史さんなど、あらゆるジャンルの実力派の方々が集結!
赤ちゃんのかわいさに負けない強烈で濃厚なお芝居を繰り広げます。
撮影:渡部俊介
閣下の歌はもうそれだけでも観に来た甲斐がある、と感じさせられる美声ですし、演じるキャラクターはなんともチャーミング。
また、今井さんの存在感も『ママ僕』の見どころのひとつ。
実際にうたのおにいさんとして活躍してこられた今井さんならではの空気感で客席を何度も笑わせてました。
ぜひご期待ください!
そんな閣下とうたのおにいさん(今井ゆうぞうさん)の異ジャンル対決は...見なきゃ損ですよ!

デーモン閣下を含む大人チームも"日替わり"で参加するこのLIVE、赤ちゃんたちがアイドル的な衣装に着替え、シリーズの人気曲を披露するのですが、これがまた楽しい!
しかも全部名曲!歌詞は赤ちゃんらしくてかわいいし、ダンスもキレッキレだし、観ているだけで元気になること間違いなし。
ペンライトを持って参加するともっと楽しめます。
楽しくて、笑えて、だけど気持ちが温かくなるこの舞台。
「イケメン達が赤ちゃん役」というとマニアックな印象を受けるかもしれませんが、脚本・演出の村上大樹さんが開幕に際して「『いい大人が赤ちゃん役とかヤバくない!?』そんな先入観を抱いているみなさんにこそ見て欲しい!」とコメントされていた通り!
どんな人が観ても楽しめる舞台です。もし迷っているなら背中を押したい!
そして一度観たら絶対また観たくなるので、そのときは会社の同僚とか、ママ友とか誘って、一緒に盛り上がってほしいなと思います。
公演は、7月8日(金)から18日(月・祝)まで東京・AiiA 2.5 Theater Tokyo、7月22日(金)から24日(日)まで大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ にて。
現在、Zeppブルーシアター六本木にて斬劇「戦国BASARA4 皇」本能寺の変が上演中だ。
「戦国BASARA」シリーズ舞台化13作目となる今作。タイトルを"舞台"ではなく"斬劇"という表記へ変更し、より本格的な「斬」をひたすら追求し続けている。、
ファン待望の新キャラクター後藤又兵衛役(演:汐崎アイル)や、シリーズ初出演となる唐橋充演ずる織田信長にも注目が集まる。
今回は初日直前会見の様子と共に舞台写真も公開!
この夏、8月11日(木・祝)から、明治座にて舞台『TARO URASHIMA』が上演されます。その名のとおり、おとぎ話の「浦島太郎」をもとに、大人だけでなく子どもも楽しめるミュージカルになるそうです。脚本は自身も俳優であり、また脚本や演出でも活躍中の池田鉄洋さん。いったいどんな話になるのでしょうか?お話を伺ってきました。
――今回の舞台の話はどのように始まったんですか?
「明治座で、ミュージカルで、浦島太郎を」から始まったんです。でも、最初は、なぜ私に話がくるんだろう? 声をかけてくれた理由はなんだろうと思いました。でも、スタッフたちと話していると、僕がおもしろい、と思うポイントが彼らのそれと近いなと感じたんです。それでお受けしました。
――今回は出演ではなく脚本で参加とのことでしたが、執筆でいちばん苦労されたのはどの場面ですか?
玉手箱の場面ですね。元の話がよければそれをベースにすればいいけど、割と残念な話なので、本当に悩みました。浦島太郎がその箱を開けざるを得ないようにするにはどうしよう、と本当に悩みました。結局、何かの理由で乙姫を守るために開けるという展開がいいということになり、それならば、玉手箱をあげるときは、乙姫が浦島太郎を守りたいからという理由で玉手箱が存在するようにしました。いうなれば、二人の愛の結晶ですね。
――浦島太郎が「とことんツイてない人」という設定はどこから出てきたんですか?
あの浦島太郎は、演出の板垣恭一さんと、千葉プロデューサーと、何度も話をしながら作り上げたキャラクターなんです。
もともと浦島太郎って不思議な話で、最初に亀を助け、そのあと竜宮城でいい思いをして、最後は玉手箱でひどい目に遭う。冷静に考えるとここまでの話は、ツイてない男の「プロローグ」。すべてがツイてないことに結びついていく話なんじゃないかなと思ったんです。そこから「とことんツイてない、だけどメゲない男っておもしろいよね?」って展開になって。そして乙姫についても「どっちもツイてないキャラクターだったらどうでしょう?」ということになり。どうしても中身がスカスカな浦島太郎の話に向き合ったときに、とんでもなく個性的な感じにしてやろうかなと思ったんです。
――脚本に描かれている海の世界と陸、人間の世界。その設定がおもしろいですね。
海の生物ってそんなに陸の生物を食べたりしない。だから、その背景を考えてみた結果、こうなりました。以前、魚の干物を食べていたときに、「この様子を元の魚が見たらショックだろうな...解剖されて開かれて干されている訳だし。元の形がわからないくらい加工されているならともかく、干物ってまるわかりだし!」...っていろいろ考えていて(笑)
今春、「海の風景」という舞台(草笛光子、串田和美、小島聖、池田鉄洋の4人芝居)をやっていたのですが、全然話は違うのですが、海について考える時間がたっぷりあったんです(笑)。そこから考えて、おもしろいと思うものを全て脚本に入れました。
浦島太郎の話って基本的にハッピーエンドじゃないですよね。鶴になって飛んで行ったという結末もあるようですが、それで果たして幸せか? とも思いますし。この舞台では、大人にも子どもにもわかりやすい「ハッピーエンド」な終わり方にしたいです。でも、もともとの浦島太郎の話を子どもたちの知己とは大きく変えたくはなかったです。「全然ちがう!」って言われたくないですし。
――今回、登場人物が相当多いですよね。
私が手掛けた作品では過去最多です。一人ずつの物語を書いていくと2,3時間で終わらない舞台になるので、最後に話がうまくまとまったときには「よくやった、自分!」と思いました(笑)
キャスティングはプロデューサーに一任しました。僕より千葉さんの方がよく知っているし。今回アテ書きはしてないんですよ。木村了くんの出演が決まったときに、もっといろいろやれるだろうと加筆をしたくらい。その後、次々に素晴らしい人たちが参加してくださることになり、それならば...と、他の役にも嬉しい書き直しをしましたね。
――浦島太郎役の木村了さん、そのほか気になるキャストの話も聞かせてください。
まず、「了くんが浦島太郎をやるなら間違いはない」と思いました。木村さんのすごさは知っているから。彼の舞台は「帝一の國」シリーズの2と3、「ライチ★光クラブ」を拝見しています。
浦島太郎は、結構難しい役だと思うんです。ツイてない役だから華は出ないでしょうが、木村さんならそんな設定でも華に変えられる力を持っているから。また、「どんな球でも受けるよ!」という度胸もある。
あと、亀役が斉藤暁さんで嬉しかった。...かわいいし。帝役を和泉元彌さんがやってくださることも嬉しかったです。帝ってかなりハードルが高い役ですが、和泉さんなら完璧。浮世離れ感もピッタリです。タカアシガニ将軍役の舘形(比呂一)さんには筋肉を見せつけて踊ってほしいですね。本当に贅沢極まりないです。
プロデューサー的には「ディズニーに負けない作品」「宮崎アニメに負けない作品」とおっしゃっていたんです。そこで(脚本が)俺でいいの?とは思ったんですが(笑)
演出の板垣さんはエンターテイメントを突き詰めている人であり、役者さんの持てる華は全部見せたいという欲張りな人。俺も頑張って書いてますが、板垣さんはさらに欲張りに仕上げてくると思います。
――「TARO URASHIMA」の登場人物の中で、池田さん自身に一番近いキャラクターは?
浦島太郎ですね。というのも、僕はとことんツイてなかったんです。厄年くらいからずーっと。何をやっても裏目に出て、結婚したときに「もう、どうでもいいや!家族が大事!」と思うようになってからはすごく楽になりました。でも、バリに行けば台風に遭い、ハワイに行けば年に一度の大嵐に遭う。「はい、本番!」って声がかかった直後にヘリコプターがバラバラ飛んできたこともある。撮影でも必ず雨になるので「池田のせいじゃないか?」と言われるたびに猛烈に否定していたんですが、心の中では「すみません、私のせいです」って思っていました。だからツイてない、でもメゲないキャラクターということで、浦島太郎の中に僕が入っていますね。でも、ハワイで嵐に遭っても、僕は当然雨が降ると思っているのでイライラしない。その姿を当時の彼女、つまり今の奥さんに「素敵」と言われましたが!内心、この雨は俺のせいなんだけど...と思っていたけど(笑)
――池田さんから観て、この作品の見どころは?
「大祓」(おおはらえ)で検非違使たちが歌い踊るところは、かなりショーアップしてほしいと思ってます。タイやヒラメの舞い踊りも、「る・ひまわり」といえば板垣さんですし、思いっきりやってくださると思います。かわいい子たちがダンスして歌うというのも「る・ひまわり」ならではですしね。
僕が初めて明治座で観たのは風間杜夫さんの「居残り佐平次」でした。明治座って割と声を出しながら観ても許される「王道の演劇」を上演してきた場所なので、「今回もそういう場にしなさいよ」って言われているような気がします。
あと、今回は「お客さん」として自分の作品を観ることができるので楽しみです。これまでに大きな舞台の演出などをやらせていただいたときは、出演もしていたので直接観ることができなかったし。自分が演出して出演する舞台の場合、舞台を録画したものを見ながらダメ出ししてましたから(笑)
2007年に映画化もされた作家・伊坂幸太郎の人気作『アヒルと鴨のコインロッカー』が新進気鋭の演出家・ほさかようの手により舞台化されることがわかった。
出演は、キャラメルボックスの看板俳優・多田直人、現在上演中の『新・幕末純情伝』で土方歳三を演じる細貝圭、OOPARTSの好演が光った清水由紀、舞台『黒子のバスケ』の高尾和成役で注目を集めた山田ジェームス武など多彩な顔ぶれが揃う。
舞台化にあたり、脚本と演出を担うほさかようは次のようにコメントした。
「十年前に初めてこの本を読み終えた時、目の前の世界が歪むほどの切なさと感動を覚えました。あの時感じた心の動きを、舞台ならではのやり方で伝えたいと思います。ご期待ください。応えますので。」
《ストーリー》
「ずっと誰かが来るのを待ってたんだ」
引っ越してきたばかりの大学生・椎名は隣人の河崎と名乗る男にいきなり本屋強盗に誘われる。ひきこもりがちな外国人のドルジ、ペットショップを経営する麗子、そして二年前に同じアパートに住んでいたという琴美......彼等の奇妙な関係と隠された謎が明らかになる時、過去からつながる物語は終幕へと向かう――伊坂幸太郎原作による傑作青春ミステリー堂々の舞台化!
■公演概要
公演タイトル:舞台『アヒルと鴨のコインロッカー』
原作:伊坂幸太郎(創元推理文庫刊)
脚本・演出:ほさかよう
出演者:多田直人、清水由紀、細貝圭、山田ジェームス武、実川貴美子、馬渕史香、渡邊りょう、免出知之、土井玲奈、首藤健祐
公演期間:2016年9月14日(水)~19日(祝)
会場:ポケットスクエア ザ・ポケット
料金:4,000円(全席指定・税込)
一般発売:7月23日(土)10:00より発売
チケット:チケットぴあ
公演専用アドレス→ http://w.pia.jp/t/ahiru/ ※7/7アップ予定
0570-02-9999(Pコード452-560)
公式サイト:ahirutokamo.com
市川猿之助、市川海老蔵が顔をそろえる歌舞伎座「七月大歌舞伎」夜の部を観てきた。
幕開きは『荒川の佐吉』。
ヤクザの世界に身を投じた男・佐吉の生き様を人情味豊かに描く本作。
主人公の佐吉は二代目市川猿翁の当たり役のひとつだ。
その佐吉を伯父から受け継ぎ、猿之助が初役で演じる。
元は腕の立つ大工だったが、思うところがありヤクザの子分となった佐吉。
序幕では、威勢はいいがどこか頼りない佐吉を猿之助が軽妙にみせる。
坂東巳之助の大工仲間・辰五郎が、また大工に戻らないかと誘うものの、「強いから勝つのではなく、勝つ者が強い」という理屈で生きられるヤクザの世界が好きなのだと語る佐吉。
この場面は後の重要な展開につながるだけに、猿之助が説得力のある語り口で観客を惹きつける。
そんな佐吉の敵となる成川郷右衛門を市川海老蔵がこちらも初役で勤める。
海老蔵の成川は人を斬った後の一連の動作が美しく、凄みを感じさせる。
本作の見どころとして、佐吉が男手一つで育てる子ども・卯之吉への愛情も重要な要素だ。
佐吉が子どもに添える手の動きひとつとっても、かけがえのない存在であることが伝わり、猿之助が細部にまで心を配って演じているのがわかる。
後半、佐吉が身を切られるような思いで下す決断、そして桜の花が舞い散る中での情景と、悲しさの中にも爽やかな印象を残していた。
続いては、歌舞伎十八番の『鎌髭』と『景清』。
二作とも悪七兵衛景清を海老蔵が演じる。
『鎌髭』は、海老蔵が初演時の資料をもとに作った新たな上演台本で2013年に復活、翌年には『壽三升景清(ことほいでみますかげきよ)』として再演し、今回はさらに練り上げたものを上演する。
平家の残党景清は、源頼朝を倒し平家再興の大望を抱いている。
そんな景清を捕らえようと、源氏の武将三保谷四郎らが罠を仕掛けて景清をおびき寄せる。
ところが景清はわざと罠にかかったふりをし、源氏の面々を挑発する。
市川右近の猪熊と酒合戦をする件は様式美の中にも可笑しみがあり、肩の力を抜いて楽しめる。
海老蔵は超人的な力を持つ景清に相応しい大仰な衣裳と鬘がよく似合い、まさにはまり役。
『景清』は『壽三升景清』の牢破りの場面を再構成して上演。
自ら縄にかかり牢に繋がれている景清を詮議するため、源氏の武将が連れてきたのは景清の妻・阿古屋とその子ども・人丸。
沈黙を貫く景清に対し、阿古屋を拷問にかけようとする詮議役の岩永を、もう一人の詮議役・秩父庄司重忠が止める。
人払いをしたのち、重忠の言葉に説き伏せられ、ようやく口を開く景清。
海老蔵の景清はその存在感の大きさで荒事の芸を体現。
対峙する猿之助の重忠も知将に相応しい颯爽とした佇まいが印象的だ。
重忠の言葉に恭順した景清が牢を破った後、舞台上に出現する巨大海老の宝船は圧巻のひとこと。
世話物の人気狂言と歌舞伎十八番を一度に堪能できる贅沢な公演だった。
公演は7月26日(火)東京・歌舞伎座にて。
チケットは一部を除き発売中。
★ 姿月あさと & 伊礼彼方 INTERVIEW ★