歌舞伎俳優の片岡仁左衛門さんが、2018年度の文化功労者に選出されました。
顕彰式は11月5日に開かれますが、それに先立ち、都内で仁左衛門さんの会見が行われました。
1949年(昭和24年)9月、大阪中座『夏祭浪花鑑』の市松で本名の片岡孝夫で初舞台を踏んでから今年で69年。1972年(昭和47年)『吉田屋』の伊左衛門を勤めてからは、上方和事の伝承にも尽力されてきた仁左衛門さん。
父・十三世仁左衛門さんも選ばれた文化功労者に、親子二代での栄誉となりました。
会見の冒頭「この度、文化功労者という栄誉に浴しまして、身の引き締まる思いでございます」と挨拶。
仁左衛門さんの飾らない受け答えに時折笑いがおきつつも、歌舞伎への熱い思いやご自身の美学が伝わってくる会見の様子をレポートします。
――来年で70年。これまで長く活躍されてきた原動力は?
ただただ、歌舞伎が好きということですね。正直、廃業を考えた時期もありましたけれど、やはり歌舞伎の魅力から離れならなかった。だから今日まで努力してこられたということですね。
――過去には大きなご病気もされましたが、復帰されたときにどんな思いでやっていこうと思われましたか?
命は助かりましたが、役者として(舞台に)立てるかどうかわからない状況でした。それが、再び舞台に立てると決まったときには、非常におこがましい言い方ですが、神様がもっと歌舞伎のために頑張れと仰ってくださったんだと思いましてね。それまでは他のお仕事もやっておりましたけれども、極力歌舞伎一本に絞って、全力で精一杯、父や先輩方から教わったことを後世に伝えなければいけない、そして私自身も勉強しなければという気持ちで歩んでまいりました。