江戸川乱歩の『黒蜥蜴』を新派が舞台化!

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稀代の女盗賊・黒蜥蜴と、彼女を追う名探偵・明智小五郎との対決を描いた江戸川乱歩の傑作『黒蜥蜴』
これまで幾度となく舞台、映画、テレビなどで上演、上映されてきた傑作ですが、新派版として6月に三越劇場で上演されます。

新派版『黒蜥蜴』は、新派文芸部の齋藤雅文さんが出演者に当てて新たに書き下ろしたオリジナルストーリー
出演は、明智を喜多村緑郎さん、黒蜥蜴を河合雪之丞さん、宝石商の娘早苗を春本由香さん、黒蜥蜴の手下・雨宮潤一を劇団EXILEの秋山真太郎さん、そして刑事の片桐を永島敏行さんが演じます。

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左から齋藤雅文さん、春本由香さん、河合雪之丞さん、喜多村緑郎さん、永島敏行さん、秋山真太郎さん

ちなみに、昭和37年に『黒蜥蜴』が初めて舞台化された際、黒蜥蜴役を演じたのが初代水谷八重子さんなんだとか。新派としての上演は初めてだそうですが、こんな繋がりがあったのですね。

5月某日に行われた記者会見では、出演者の皆様と脚色・演出を担う齋藤さんが意気込みを語りました。


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■喜多村緑郎さんのコメント
今回の演目をどうしようかと考えていたとき、自分を含め、雪之丞さんも春本さんも古典の基礎がまだできていないので、当初は古典をやりたいと考えていました。そんな中で縁あって『黒蜥蜴』をやることになりました。『黒蜥蜴』は以前、自分で原作から脚本を書いたことがありましたので、いつかやりたいとは思ってましたから、今回実現できて嬉しいです。僕は小学生の頃、ルパン三世が大好きでして、台本を書きながら、ルパン三世にどっぷり浸かっていた子どもの頃を思い出しました。齋藤さんの書いた台本が素晴らしくて、つくづく新派に入ってよかったなと思いました。市川猿翁の下で培ったDNAを活かして、また共演の皆様方のお力を借りて、フレッシュな顔ぶれでやる"新"新派の意気込みでやっていきたいと思います。

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■河合雪之丞さんのコメント
30年間市川春猿という名前を使わせていただいておりましたが、最近はようやく河合という名前に慣れてきました。三越劇場は役者人生の中で転機になるキッカケの劇場でして、初めて個人で舞踊リサイタルを催したのもこの劇場でしたし、新派に移籍した時もそうでした。そして6月は新派の新しい作品の幕開けになります。本当に深いご縁を感じる劇場でございます。黒蜥蜴は過去、様々な方が演じていらっしゃいますが、私も、新しい黒蜥蜴を皆様にお見せできればと思います。また、よく皆様から「スーパー歌舞伎があるんだからスーパー新派があってもいいんじゃないの?」と言われることがあります。八重子さん、久里子さんのお力を借りながら、これからの新派を我々若い世代が古典の継承と、埋もれた名作の復活、そして新しい作品を新しい形にする、この3本を柱に新派の未来へ繋げてゆきたいと考えております。

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■春本由香さんのコメント
今回で3回目の舞台になります。初舞台は昨年9月に『婦系図』で兄の尾上松也と共演致しまして、妙子という役をやらせていただきました。今回の役はちょっとわがままなお嬢様の役でして、妙子と少し似ているところもありますが、時代背景も違いますし、試行錯誤しながら頑張ってまいります。

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■秋山真太郎さんのコメント
初めてだらけのことで、劇団EXILEとしても新派初参加ですので、責任を持って取り組みたいと思います。この話をいただいた後、周りから「新派さん厳しいよ」と聞いていたので、稽古初日はドキドキしていましたが、皆さんすごく優しくて(笑)。女方の芝居を稽古から見るのは初めてだったので、セリフの発声など、すごく勉強になると思いました。(演じる役について)ステレオタイプのヒール役は作りたくないと思っています。脚本にはいろんな要素を含んだニュアンスで書かれているので、暴力的でありながら繊細で壊れそうな面もあったりとか、一筋縄ではいかないようなキャラクターにしていきたいなと考えています。今は、『黒蜥蜴』という華やかで美しい世界観を早く構築していきたいなと、ワクワク楽しい気持ちでいっぱいです。

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■永島敏行さんのコメント
原作にはない警視庁の刑事役で、明智小五郎にライバル意識を持っている役どころです。新派は二度目の参加になりますが、芝居の勉強をさせてもらっていますし、新しい自分を探すことができるので楽しみです。今回の役では、昭和時代の空気を感じられるように演じたいと思ってます。と言うのも、僕の母親が「戦前は大変だったけれど楽しかった」と。昭和初期の時代は、みんながラテンからワルツまで踊れて、常にダンスパーティがあったそうなんですね。三越劇場は異空間の楽しさがある場所です。片桐という役は、黒蜥蜴と明智のいる世間離れした世界を庶民の目線で繋ぐ役割だと思っています。

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左から齋藤雅文さん、春本由香さん、河合雪之丞さん、喜多村緑郎さん、永島敏行さん、秋山真太郎さん

 

■齋藤雅文さんのコメント
三越劇場はとても素晴らしい劇場で、デザイン、雰囲気、空間が素晴らしいですし、500人規模でこのような劇場は日本では珍しいんじゃないでしょうか。美術館そのもののような空間で密度の濃い『黒蜥蜴』を作れる気がします。時代は、大正や昭和初期をイメージしていただければ。大人の紙芝居のような舞台を作りたいと考えています。めくるたびに違うものが見えてくる、娯楽性に富び、かつ新派らしい悲恋メロドラマを楽しく作りたいと思います。(演出については)今まで歌舞伎のお手伝いをしながら学んできた早替わりだったり、様々な手法を使いつつ、シンプルで単純ながらも感動する舞台を構築したいと考えています。

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あらすじ

時は昭和初期。国宝級のダイヤ「クレオパトラの涙」を保有する宝石商岩瀬の娘が誘拐された。
〝お嬢さんを私からお買い戻しになるお気持ちはありませんか。代金。「クレオパトラの涙」一個──〟
刑事の片桐の目の前で堂々と誘拐を成功させたのは、社交界の花形、緑川夫人と呼ばれる有閑マダムであり、その実、暗黒街を牛耳る女王、恐ろしき女賊の黒蜥蜴。彼女の目的は、世界中の美しいものを手に入れること──。手下の雨宮潤一と共に時に人を殺めることも厭わず、数多くの罪を犯していた。
そんな黒蜥蜴の前に、名探偵の明智小五郎が立ちはだかる。英知溢れる名探偵と、美しさに取り憑かれた女賊の壮絶な対決の数々が満都を舞台に繰り広げられる!黒蜥蜴が本当に手に入れたかったものとは──。その末に待っているもの、それは──。
甘く切ない結末に、諸君の胸は締め付けられるに違いない。



会見の最後に永島さんが、役のイメージとして、映画「ボルサリーノ」でアラン・ドロンが演じた役を明智、ジャン=ポール・ベルモンドが演じた役を片桐に重ねたと仰ったところ、齋藤さんが「チラシ見ると銭形警部ですよね(笑)」と返す一幕も。チームワークの良さが垣間見えた瞬間でした。

公演は6月1日(木)から24日(土)まで東京・三越劇場にて上演。

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