《第6回クォータースターコンテスト》げきぴあ賞獲得の山本タカさん(くちびるの会)インタビュー

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第6回目を迎えた、"15分編集なしの演劇動画を競う"《クォータースターコンテスト》の結果発表と授賞式が昨年12月に開催されました。

 

クォータースターコンテスト(以下QSC)は、演劇・舞台系動画のニュースサイト・エントレが2012年に立ち上げたコンテストで、グランプリを獲得すると賞金30万円が副賞として授与されます。

 

審査員は演劇・映像分野で活躍するクリエイターが務め、第6回は、初回から続投の鴻上尚史さんをはじめ、第3回から参加している映画監督の行定勲さん、初参加の福原充則さん桑原裕子さんの4名が担われました。

 

今大会の投稿作品数は81本、そのうち事前の選考で選ばれたノミネート作品は11本。
審査方法は、ノミネート作品の中から各審査員が1位から3位までの順位を決め、総合点数がもっとも高い作品がグランプリとなります。
その結果、グランプリは劇団子供鉅人の山西竜矢さんの作品「さよならみどり」が獲得しました。

 

第6回クォータースターコンテスト(QSC6) 結果発表はコチラ

 

さて、QSCにはもうひとつ、協力団体が選出する各賞があります。
第6回は、8つの団体が賞を設け、6作品が各賞を受賞しました。(2団体の賞は該当者なし)

 

げきぴあは第1回目から参加させていただいておりまして、選定基準は「この団体、あるいはクリエイターが創った本物の舞台が観たいかどうか」です。が、過去の受賞作には舞台での上演は難しい作品もありましたので、今回は原点に立ち返り、【げきぴあ賞】を選ばせていただきました。

その結果、第6回QSCの【げきぴあ賞】はくちびるの会「ポスト、夢みる」に決定いたしました!!

 


  

◆『ポスト、夢みる』

 

  

昔ながらの赤いポストを女性に見立て、郵便局員・白ヘルへ抱く淡い恋心と、移りゆく街の風景を重ねた切ない物語。ノスタルジックなタッチで描かれた背景のイラストが時間の経過で変化する様や、照明の使い方が印象的で、全体の構成もうまくまとまっていました。特に、夕日に染まったポストと白ヘルとのやりとりは秀逸です。

 

[動画作品情報]
撮影カメラ:iPhone7
作・演出 山本タカ
ポスト:橘花梨
白ヘル・学ラン:佐藤修作
演出助手・音響:佐野七海
音楽:朝日太一
イラスト:やだともか
小道具:北澤芙未子
機材協力:エイプリルズ
協力:イトーカンパニー、エイプリルズ、ゴーチ・ブラザーズ、四次元ボックス

 


 

【げきぴあ賞】の副賞はインタビュー掲載です。
本作の作・演出を務めた山本タカさんにお話しを伺いました。

 

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ーー山本さんはくちびるの会というご自身が主宰する演劇ユニットをお持ちですが、演劇を始めたきっかけを教えてください。

高校時代から演劇部で、部長も務めたりとどっぷり演劇少年でした。元々目立ちたがり屋で、みんなを楽しませるのが好きだったんです。出身は愛知の豊橋ですが、大学でも演劇をやりたくて、諸先輩がたが出ている明治大学で演劇学を専攻してました。

 
ーーそこまで山本さんを惹きつけた演劇は何だったのですか?

明確に「演劇やっていこう!」と思った一番最初は、野田秀樹さんの『半神』をテレビで観たときですね。「あっ、えらいことが演劇で起こせるんだ!」と映像ごしに感じて、そこから絶対やっていこうと思ってからは演劇一直線できました。

 
ーー野田さんの作品以外にも影響を受けた方はいますか?

木野花さんの演出助手を何度かやりました。それが縁で、福原充則さんの作品に触れたり、唐十郎さん作『ジャガーの眼』に付かせていただいたりして、それまでは野田さんしか(自分の中に)無かったのが、他の作家の言葉にも影響受けるようになったと感じています。

 
ーー今回、審査員に福原さんがいたのも応募の動機になりましたか?

それは大きいですね。あと、去年グランプリを獲ったmizhenの藤原佳奈さんとは同年代で、元々交流もあったので、「あっ、獲ってる!」と思ってからは絶対出そうと思ってました。

 
ーー初投稿でしたよね?

はい。映像を撮ること自体も初めてです。

 
ーー作品の制作過程を教えてもらえますか? 

応募しようと思ってから、構想を練りました。どうやって映像で見せるかを考えて、定点で撮りたいなと思いました。当初は、人間が紙芝居になったら面白いなー、みたいな。二次元の中に閉じ込められている三次元の人間という設定を考えてましたが、制限をつけた方がより面白いなと思ったので、動かない主人公にしようと。それで、カフェで案を練っていたら、そこの窓からポストが見えたので、ポスト目線の話にしようと大枠を決めました。

 
ーー擬人化はよく使う手法ですか?

人間じゃないものはよく描きます。先日やった芝居にも"妖怪ケムリ"という役が出てくるのですが、なんだか名づけがたい観念を内包している役がよく登場します。

 
ーーポストを主人公に据えることを決めてからは順調でしたか?

どつぼに嵌まりました(苦笑)。主人公が動けないから、ずっともどかしい状態をどうやって変えていこうかなというところに四苦八苦した感じですね。「ポスト何もできないじゃん!」って半分後悔しながら(笑)。

 
ーー構成は山本さんおひとりで考えたのですか?

作曲をしてくれる朝日太一さんが映像方面に詳しかったので、まとまる前のブレストは朝日さんとやり、その後はひとりで考えました。

 
ーー作家として本作に込めた想いやテーマを聞かせてください。

僕の作品はよく懐かしいって言われるんです。消えちゃったモノだったり、もうすでに消え始めている半透明のようなモノ、あるいは街の風景だったり、意識の中から消えている物質みたいなものにすごく興味があって。この作品は公園とポストが一緒になって消えていく物語なんですけど、ずっと街角に立っていたポストの目線から人々の営みを定点観測している感覚になれるような作品が創りたいなと思って。街や人々の生活や意識が変わっていく様を、同じ場所で見続けている状況を描きたいと思ったところが、今回の挑戦です。
最後、ポストが無くなって、子どもたちの声が聞こえる中、(そこにあったポストが)消えたこと、無くなったことすら忘れ去られる寂しさや切なさが一番描きたかったところです。

 
ーー恋愛の要素もありますね。

長い時間をかけて変わっていく愛着とか愛情の姿みたいなものを見せたいなという思いもありました。ポストを中心にすることで、新鮮な恋心が60、70、80年と経つうちに、愛情の形や想いが変わっていく様と、大きな風景の変遷を重ねて人間ドラマを描きたかったんです。

 
ーー作っていてどんなところが楽しかったですか?

1日で撮ったんですけど、みんなで終電間際まで、もう1テイク、もう1テイクと作った過程が楽しかったですね。スクリーン貼るところからはじめて、僕も照明やりながら、紙を動かしたり。直しながら撮ったので、結局3テイクしか撮れなかったですが。

 
ーー逆に苦労したところは?

手作り感が味と言えばそうなんですけど、もっと綺麗にできたなと。音響環境もそうだし。撮影機材はiPhone7で撮りました。実は、マイクが7で保証できるものが無いと言われまして、カメラの調達も難しい時期だったので、音もiPhone7で録ったんですが、そこは悔やまれますね。

 
ーー照明は綺麗でしたね。

友人から好意でLEDを貸してもらいました。操作は自分たちで説明書をみながらやりました。
クレジットされてない友人たちの協力もあって、ひとりの人が凄かったとかじゃなく、みんなで作った賜物だなと思います。

 
ーー友人のみなさんの感想はどうでしたか?

昔はハチャメチャした作品をつくっていたので「意外としっとりした落ち着いた作品だね」と僕を知ってる人からしたら意外だったようです。
普段の作品は、スペクタクルなものが多いので、毛色はかなり違います。
恋に焦点が当たるような作品は書かなかったですね。

 

ーー自己採点を付けるとしたら何点?

80点ですかね。現実的に叶わなかったこともあるので、全力でやった80点です。

 

ーーキャスティングはどうやって決めたのですか?

ふたりとも「くちびる」に出てくれるので、柔軟に対応してくれるだろうなと思ったので声をかけました。ポストにしたのも、花梨が何やったら面白いかなとか、彼女にどんな衣装が似合うだろうといった考えもありました。

 
ーーところで、将来の展望や野望はありますか?

野田さんや唐さんの言葉に影響を受けてきたところもあるので、いつか"山本語"みたいな、新しい言葉を発明したいですね。
"野田節"とか、よく言われるじゃないですか。
いかにもそれっぽい、僕の言葉だと一目瞭然でわかるような"山本タカ言葉"を作ることが野望です。

 

ーー最後に、今後の活動予定を教えてください。

4月にせんがわ劇場でオーディエンス賞受賞公演があります。
「くちびるの会」第5弾公演です。

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くちびるの会 第5弾
(第8回せんがわ劇場演劇コンクール オーディエンス賞受賞公演)
『逃げぬれて、夜』
日時:2018年4月19日(木)〜4月23(月)
作・演出:山本タカ
於:せんがわ劇場
   

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