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『スペインの悲劇~ヒエロニモの怒り~』稽古場

東京にスタジオを持ち、独自の活動を展開する劇団現代古典主義の『スペインの悲劇~ヒエロニモの怒り~』が、第31回池袋演劇祭に参加。9月14日(土)~16日(月・祝)に歌舞伎町のコフレリオ新宿シアターにて5公演をおこないます。

昨年の池袋演劇祭にも参加し、優秀賞を受賞しました。今年は大賞をめざして取り組むのは、過去に上演した"復讐劇"の再演です。前回の上演とは劇場が変わり、どんな趣向をこらしてくるのか......演出の夏目桐利さんにお話を伺うとともに、その稽古場の様子を覗いてみました!

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稽古場は、客席17名のスタジオ。「作品を発表する場所を持ちたい」と劇団が所有している空間で、ふだんはここで作品を上演しています。

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『スペインの悲劇~ヒエロニモの怒り~』稽古場

真っ暗な稽古場に、静かに足音が響きます......。

演出のテーマのひとつは"暗夜"だそうで、手が届きそうな距離にいる俳優の姿も、ぼんやりと見えるのみです。

「ひそひそ声で、誰もが権力におびえている......。身分の低い人達は、兵隊の足音が聞こえると、とっさに息を呑んで陰に隠れ気配を消したくなってしまう。そんな空気を客席にも感じてほしい。まるでお城を覗き見しているような芝居になれば」(演出・夏目)

▼あらすじ▼

16世紀スペイン。世界最大の植民地帝国として隆盛を極めた黄金時代。ポルトガル支配の成功にファンファーレが響く中、華やかな劇中劇で幕が上がる。しかし宮廷には不穏な空気が垂れ込める......。一介の司法役人ヒエロニモが、息子ホレイショーの遺体を発見したのだ!息子が殺害された理由もわからず、ヒエロニモは哀しみと怒りに震え、宮廷内にいるはずの殺人者へ復讐心を募らせる。そしてたった一人で、暗闇を手探りするように、国家利益のために手段を選ばないスペイン王族たちに立ち向かう。

50人以上が登場し、3時間をこえる原作を大胆に再構成。舞台上で同時に見せることでそれぞれの関係性や想いが強く引き立つ、怒濤の70分!

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物語の舞台は16世紀のスペインですが、書いたのはイギリスの劇作家トマス・キッドで、1587年に初演されました。この芝居の大ヒットにより、"復讐劇"が流行し、シェイクスピアの『タイタスアンドロニカス』や『ハムレット』にも影響を与えたと言われています。

原作には『ハムレット』でも見られる要素がちりばめられていて、亡霊が復讐をうながしたり、劇中劇が登場したり、剣による決闘があったり、登場人物の名前まで似ています。

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『スペインの悲劇~ヒエロニモの怒り~』稽古場

大きな見どころのひとつでもあるフェンシングのシーンは大迫力!基礎的な動きはプロのフェンシング指導者に教わっているそうです。

剣を構える立ち姿は凛々しく、立ちあった瞬間は火花が散りそうな勢いがあります。その戦いのさなかに、セリフがテンポよく重なります。動きとセリフの相乗効果で、決闘中の心の揺れや想いが強さを増して伝わってきます。

稽古場には汗を滴らせ声を絞り出す右:大西輝卓(ヒエロニモ役)と左:樽谷佳典(ロレンゾ役)の気迫が満ちています。その熱気に拍車をかけるように、見守るほかの出演者や、演出の夏目さんの真剣な視線が突き刺さります。

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『スペインの悲劇~ヒエロニモの怒り~』稽古場

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『スペインの悲劇~ヒエロニモの怒り~』稽古場

夏目さんは演出で「テンポよく歩いて」「もっと早く低く声を出して」など指示します。その指摘からは、リズムを大事にしていることがわかります。音やリズムを大切にした演出が、物語を『観る』というよりも『体感する』という感覚を創りあげていくのでしょう。

そうやって練り上げられる空間に、復讐などに燃える登場人物たちの熱が重なります。

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2017年初演時(撮影:荒井琴美)

家族や恋人を想う心は、いつの世も深いものです。それが、原作に手を加えたことにより現代の人達にもっと伝わるように再構成されています。怒りと、愛と、その行方を劇場で体感したくなります。

『スペインの悲劇〜ヒエロニモの怒り〜』は、9月14日(土)から16日(月・祝)まで、コフレリオ新宿シアターにて上演。

取材/河野桃子

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9月5日(木)に東京・紀伊國屋ホールにて『GRIEF7』Sin#2 が開幕します。

本作は、昨年7月に初演された舞台の続編。"七つの大罪"をベースに、牢獄で出会った男たちの物語を描き、演出は錦織一清、原作は野村桔梗、脚本は三浦 香、音楽は金子隆博楠瀬拓哉という豪華布陣のエンターテインメントステージです。公演公式ホームページはこちら 

出演者は、初演から出演する米原幸佑加藤良輔SHUN(Beat Buddy Boi)三浦海里に加え、今回から吉田広大(X4)中山優貴(SOLIDEMO)が参加します。

歌稽古が始まったばかりという稽古場にて、出演者の加藤さん、三浦さん、中山さんにお話をうかがってきました。

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――初演、とてもおもしろかったです。待望の続編ということですが、今どんなことを感じていますか?

三浦 僕、今回やるとわかって嬉しかったです。またあのメンバーで集まれるんだと思って。一言で言うと「気を許せるカンパニー」で、稽古場の雰囲気がすごくよくて。今回は新しいキャストもいますが、ふたりとも柔らかい空気感を持っていらっしゃるので、絡むのが楽しみです。
加藤 僕はストーリーの展開も楽しみにしています。前回、謎だらけのまま終わりましたからね。それと二作目ということで、初演以上に挑戦ができると思っているので、そこもがんばりたいです

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――中山さんは初参加ですね。前作はご覧になられましたか?

中山 はい、観ました。ストーリーは重いのに、エンターテインメントが詰まっている舞台でおもしろかったです。そういう皆さんがつくったものを壊さないようにしたい気持ちと、新キャストとして新しい風を吹かせられたらという気持ちがあります。

――今作もさらに重いストーリーですよね。

三浦 いろんな新事実が出てきますよね。こことここが繋がってたの!?という驚きもあるし。初演は(米原)幸佑さん演じるエディが真ん中にいたけど、そこも実は...というようなところもあるし。
加藤 そうだよね。さらに踏み込む感じ。新しいメンバーの役もおもしろいなって思う。
中山 深いところまで攻めてますよね。僕が演じるエヴァンと、(吉田)広大くんが演じるウォンが入ることで、一作目から出ている登場人物の別の面が引き出されているなと思いました。そこを知ったうえで一作目を観ると、また違うおもしろさも味わえそう。

 

東京・歌舞伎座ではすっかり恒例となった「秀山祭九月大歌舞伎」が9月1日(日)に開幕しました。

近代の歌舞伎を代表する名優として知られている、初代吉右衛門の功績を顕彰し、その芸を継承することを目的とした「秀山祭」は今年で14年目、12回を迎えます。

初日の前日、8月31日に「寺子屋」(夜の部)の舞台稽古が行われ、松王丸の中村吉右衛門さん、武部源蔵の松本幸四郎さん、松王の女房・千代の尾上菊之助さんが囲み取材に応じました。

 

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「秀山祭」への意気込みを聞かれた吉右衛門さんは「意気込みですか?もう息も切れていますよ(笑)」と冗談めかしつつも、「初日から千秋楽まで、みなさんが健康に気をつけて無事に終えていただければ、私は責任者としてとても幸いです。初代吉右衛門という人は、湯殿の長兵衞にしろ、沼津にしろ、寺子屋にしろ、松浦にしろ、役の気持ちをつかんだ役者でした。そのことを歌舞伎座に来て、芝居を観ていただいて、少しでもわかっていただけたら幸せです」と話されました。

幸四郎さんと菊之助さんはそれぞれ「毎年参加させていただき、いろんなお役をやらせていただき、本当にありがたいです。私にとって初代吉右衛門は曾祖父にあたりますから、(秀山祭は)特別な興行として取り組まさせていただいております。この9月は、特に大きなお役をやらせていただきますが、一日一日を100%出し切れるよう勤めさせていただきます」(幸四郎さん)、「三代目歌六さんの百回忌追善記念興行に、岳父の下、私、そして丑之助とともに出演が叶いましたこと、こんな嬉しいことはございません。毎年岳父の側に出させていただきまして、ひとつひとつご指導いただきまして財産をいただいている気持ちです」(菊之助さん)とコメントされました。

 

 

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また、「寺子屋」について聞かれると、吉右衛門さんは「初代吉右衛門は源蔵も松王も両方勤めてまして、好評を得たお役でございます。今日(こんにち)、いろいろな型が残っておりますけれども、私のうちに伝わる型を源蔵をされる幸四郎さんにお教えしました。それが忠実に再現されましたら、お客様の御心をつかめるんじゃないかと思います」と話し、それを受けた幸四郎さんは「こんな幸せな時間はないと思っております。毎日、今日が最後というつもりで精一杯勤めます」と真剣な面持ちで答えていました。

吉右衛門さんが勤める松王丸の女房を演じる菊之助さんは「私自身緊張しておりますが、舞台には(息子の)丑之助がおりまして2倍の緊張でございます。その緊張に負けないよう、自分の役になりきって勤めたいと思います」と話すと、吉右衛門さんが「親御さんは緊張しておりますけれども、私としてはこんな嬉しいことはございません。孫が出てきたら"大丈夫かな、大丈夫かな、あーよくできた!"と微笑んでおります」と満面の笑顔で話されていました。

 

 

公演は9月1日(日)から25日(水)まで、東京・歌舞伎座で上演。

吉右衛門さんは昼の部「沼津」の十兵衛、夜の部「寺子屋」の松王丸、幸四郎さんは昼の部「幡随長兵衛」の長兵衛、「寺子屋」源蔵、夜の部「勧進帳」の弁慶を仁左衛門さんと交互出演(仁左衛門さんが弁慶の日は富樫で出演)、菊之助さんは「寺子屋」千代を菅秀才(初役)の丑之助さんと一緒に出演します。

三世歌六の百回忌追善狂言は、昼の部「沼津」、夜の部「松浦の太鼓」の2演目です。

 

チケットはぴあにて発売中

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原作は、三田誠によって描かれる正統かつ至高の魔術ミステリー。現在放送中のTVアニメも後半戦に突入し、さらなる盛り上がりを見せている人気作品の舞台化作品である、音楽劇「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -case.剥離城アドラ-」

  

今回、ロード・エルメロイII世役の松下優也グレイ 役の青野紗穂による、美麗なキャラクタービジ ュアルを使用した舞台キービジュアル第 1 弾が 解禁となった。

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©三田誠・TYPE-MOON / LEM STAGE PROJECT

またロード・エルメロイII世、グレイの個別キ ャラクタービジュアルも併せて解禁されている。

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△ロード・エルメロイII世(松下優也)

©三田誠・TYPE-MOON / LEM STAGE PROJECT

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△グレイ(青野紗穂)

©三田誠・TYPE-MOON / LEM STAGE PROJECT

今後も順次解禁されるというキャラクタービジュアルにも期待したい。

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【Introduction】

とある極東の地方都市にて行われた魔術儀式・聖杯戦争。あらゆる願いを叶えると言われる万能の願望機・聖杯を巡って行われたその戦いを、征服王イスカンダルとともに駆け抜けた少年がいた。その名はウェイバー・ベルベット

時を経て少年は青年となり、かつての師が冠したロード・エルメロイの名を受け継ぐこととなる。魔術師たちの総本山・時計塔で、「ロード・エルメロイⅡ世」として教鞭を執る彼の元に舞い込む様々な事件。現代の常識でははかり知れない、魔術の世界で引き起こされる出来事に、内弟子の「グレイ」とともに立ち向かっていく――。

原作は、三田誠によって描かれる正統かつ至高の魔術ミステリー。2019年7月からはTVアニメの放送を控える人気作品が、待望の舞台化。脚本に斎藤栄作、演出に元吉庸泰、そして総合演出にはウォーリー木下という豪華スタッフ陣に加え、出演者には俳優・アーティストとして確かな実力を持つ、松下優也青野紗穂を迎える。そして、納谷健百名ヒロキ木戸邑弥玉置成実花王おさむ壮一帆ら華やかで実力も備えた面々が顔を揃える。

神秘と幻想、魔術と謎の交錯する音楽劇「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿」、いざ開幕。

  

  

【STORY】

『時計塔』。

それは魔術世界の中心。貴い神秘を蔵する魔術協会の総本山。

この『時計塔』において現代魔術科の君主(ロード)であるエルメロイⅡ世は、

とある事情から剥離城アドラでの遺産相続に巻き込まれる。

城中に鏤められた数多の天使、そして招待者たちそれぞれに与えられた

〈天使名〉の謎を解いた者だけが、剥離城アドラの『遺産』を引き継げるというのだ。

だが、それはけして単なる謎解きではなく、『時計塔』に所属する

高位の魔術師たちにとってすら、あまりにも幻想的で悲愴な事件のはじまりであった──。

 

【公演日程】

<プレビュー公演>

□会  場 : 市川市文化会館 大ホール

□公演日程 : 2019年12月15日(日)17:00開演

□チケット : S席:8,000円 A席:7,000円(全席指定・消費税込)

※未就学児童入場不可

<東京公演>

□会  場 : なかのZERO 大ホール

□公演日程 : 2019年12月19日(木)~23日(月)

□チケット : S席:9,000円 A席:8,000円(全席指定・消費税込)

※未就学児童入場不可

<大阪公演>

□会  場 : サンケイホールブリーゼ

□公演日程 : 2019年12月26日(木)~28日(土)

□チケット : S席:9,000円 A席:8,000円 [ブリーゼシート:7,500円](全席指定・消費税込)

※未就学児童入場不可

<福岡公演>

□会  場 : 久留米シティプラザ ザ・グランドホール

□公演日程 : 2020年1月11日(土)・12日(日)

□チケット : S席:9,000円 A席:8,000円 [バルコニー席:7,500円](全席指定・消費税込)

※未就学児童入場不可

<東京凱旋公演>

□会  場 : 新宿文化センター 大ホール

□公演日程 : 2020年1月17日(金)~19日(日)

□チケット : S席:9,000円 A席:8,000円(全席指定・消費税込)

※未就学児童入場不可

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舞台、声優、そして現在はミュージカル「レ・ミゼラブル」にも出演するなど、ジャンルを超えて活躍する女優、朴璐美。常に新しい挑戦をし続ける彼女が、近年力を入れているのがプロデュース活動だ。

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2018年、彼女自らがプロデューサーとして先頭に立ち、「役者の呼吸すらも感じられる小さな劇空間で、観客を巻き込み、一緒になって嘘のない本物の舞台を作り上げる」ことを目指し、舞台製作団体「LAL STORY」(ラルストーリー)を立ち上げる。そして、立ち上げから約1年という短期間で4本(再演含む)もの舞台を製作し、いずれも大盛況のうちに幕を閉じた。

中でも、劇団桟敷童子の東憲司を演出として迎え、青年座の山路和弘と文学座の石橋徹郎、そして朴自らも出演した3人芝居「死と乙女」は、3人の演者の生の息遣いが濃密な空間に響き渡り、細部にまでこだわられたアリエルドーフマンの心理サスペンス劇を東憲司が大胆な演出と舞台美術で豪快に斬り込み人間の闇を深く抉り出した。この作品は話題を呼び、口コミで知った演劇ファンが連日当日券を求めて長蛇の列をなすなど、小劇場の公演としては異例の成功を収め、またストレートプレイ第一弾企画にしてバッカーズファンデーション演劇奨励賞を受賞した。

そして2019年10月、そのLAL STORYが新たなストレートプレイ第二弾企画を上演することが決定した。

体感型朗読劇と合わせて、通算で5本目の公演(ストレートプレイとしては2本目)として選ばれたのは、「ガラスの動物園」「欲望という名の電車」などで知られるテネシー・ウィリアムズ作「さけび」。

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テネシー作品でありながら、この作品は今までの彼の作風とは全く異なる異色のものだ。当時、批評家たちに全く受け入れられなかったこの「さけび」は、1967年に一旦上演されるも、その後10年弱にも渡りテネシー自ら改稿を重ね、タイトルも変えて何度も上演された、テネシーの執念とも言えるこだわりが見える、特別な思いを持って描かれた作品だ。

物語の登場人物は、とある寂れた劇団の俳優兼作家である兄のフェリースと、その劇団の看板女優である妹のクレア。この二人の所属する劇団が、失敗続きの公演の果てに、極寒の最果ての地の劇場に辿り着く。だが、「あなたと妹さんは───狂っている」そう電報を残し、劇団員全員が消えてしまった。残された二人の兄妹。フェリースは急遽演目を「二人だけの芝居」に変更し、幕を上げる。しかしその内容は、二人が抱える暗くて悲惨な過去の事件へと結びついていく。現実と虚構が入り混じり、正気と狂気の境界線が滲んでいく瞬間に見えてくるものとは・・・。

偏にこの作品のあらすじを書くことが容易でないほど、この戯曲は複雑な構造をしている。それゆえか、日本ではほとんど上演されたことがない。世界に目を向けてみても、近年になってようやく上演され始めたばかりである。もしかしたら時代が早すぎたのかもしれない。コミュニケーション不全が問題視される現代社会だからこそ、今、上演する意味があるのかもしれない。何れにしても、日本の演劇ファンにとって貴重な時間となることは間違いないだろう。

また、非常に複雑なこの作品の世界を表現する登場人物は、たった2人のみ。この事も「さけび」を難解作たらしめる大きな要因だ。

この難解な2人芝居に挑むのは、それこそ舞台・ミュージカル・映像・声とジャンルを問わず活躍し続け、毎日芸術賞などを受賞しているベテラン・青年座の山路和弘と、これが朴とは5度目のタッグとなる、演劇界で異才を放ち数々の賞を総なめにしている劇団桟敷童子主宰の東憲司、そして再びプロデューサーと兼任で出演をする朴璐美。「死と乙女」のメンバーが再結集を果たし、盤石の布陣でテネシー・ウィリアムズの悲痛なまでの「魂の叫び」に挑む。

過去の上演例がほとんどなく、また意外にもテネシー作品は初めてという3人は、この異色中の異色の作品に何を見出し、それをどのように表現するのか。期待はふくらむばかりだ。

公演は、サンモールスタジオにて10月17日(木)〜27日(日)まで。

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《公演概要》

LAL STORY PRODUCE-sp-「さけび」

2019年10月17日(木)~27日(日) サンモールスタジオ

作 : テネシー・ウィリアムズ

演出 : 東憲司(劇団桟敷童子)

出演 : 山路和弘 朴璐美

http://sun-mallstudio.com

公式HP

http://lal-story.wixsite.com/cry00

《チケット販売情報》

プレリザーブ:8月25日(日)11:00~9月1日(日)23:59

一般販売:9月7日(土)10:00~

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キューブ所属の次代を担う若手俳優陣のサポーターズクラブ C.I.A.(Cube Infinity Artists)。8月26日に「C.I.A.」の2曲目となるオリジナル曲「ドドドどんまい!」を配信リリース!同日開催されたC.I.A. 夏のイベント『MISSION IN SUMMER 2019 〜令和もよろしく C.I.A. 的?夏の運動会〜』(8月27日も開催)でも同曲が初めて生披露された。

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「C.I.A.」は2017年末に発足。普段はテレビ・映画・舞台を中心に個々に活躍しているメンバーたちが集まり、ライヴやイベントなど様々な活動でファンとの交流を広げている。

C.I.A. 夏のイベント『MISSION IN SUMMER 2019 〜令和もよろしく C.I.A. 的?夏の運動会〜』では、各チームに分かれたメンバーが、各種競技で熱いバトルを繰り広げた。

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さらに新曲「ドドドどんまい!」の初・生披露では、アップテンポの楽曲とダンスを交えたパフォーマンスに、大きな歓声が湧いた。

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また、同イベントでは、年末に開催する『SUPER LIVE 2019』の詳細がサプライズ発表。歌や踊りだけではなく、笑いあり、お芝居ありの「C.I.A.」ならではの暖かい空気感で、ファンとの距離も近いライブは「SUPER LIVE」の魅力の一つ。去年大盛況だった同イベントから1年、彼らが一回り成長した姿を見られるのも楽しみだ。

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今年は、12月27日(金)〜29日(日)の3days5公演、品川インターシティホールにて開催。出演者は、現在フジテレビ&FODにて放送中の「僕はまだ君を愛さないことができる」に出演している白洲迅に加え、現在放送中のフジテレビ「ルパンの娘」にレギュラー出演し独特な空気が目を引く加藤諒、TBS「初めて恋をした日に読む話」に出演し「天使!」「かわいすぎる!」と話題になった永田崇人など、その他にもキューブ所属の次世代を担う注目の若手俳優たちが集結する。




C.I.A.presents「SUPER LIVE 2019」

<日程>
2019年12月27日(金)19:00
2019年12月28日(土)13:30/17:30
2019年12月29日(日)13:30/17:30
※開場は各回45分前

<会場>
品川インターシティホール

<チケット料金>
6,500円(税込・全席指定)
※未就学児童のご入場はご遠慮ください。

<出演者>
白洲迅、加藤諒、木戸邑弥(29日のみ)、川原一馬、冨森ジャスティン、金井成大、永田崇人、坂口涼太郎、花塚廉太郎、中谷優心、市川理矩、村上貴亮、菊池銀河、神田聖司、林勇輝、安田啓人、木村風太(29日のみ)、渋谷龍生、中田凌多
※出演者は変更になる場合あり。


<一般発売日>
11月23日(土)


<リリース情報>
「ドドドどんまい!」
作詞・作曲・編曲 : 原田茂幸 (Shiggy Jr.) / 振り付け : えりなっち
▼配信リリース
https://linkco.re/z3ggtRE4


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9月3日(火)に開幕するミュージカル『Little Women -若草物語-』の稽古場レポート<後編>。

本作は、名作小説『若草物語』とその続編『続・若草物語』を下敷きにした作品で、2005年にブロードウェイで初演を迎えたミュージカル。今作では、主人公で次女のジョーを朝夏まなとさん、長女のメグを彩乃かなみさん、三女のベスを乃木坂46の井上小百合さん、四女のエイミーをフェアリーズの下村実生さんが演じます。翻訳は小山ゆうなさん、演出・訳詞は小林香さんが手掛けます。

→あらすじや配役はこちら

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前回は姉妹の話が中心でしたが、今回はそれ以外の人たちもどんどん登場しますよ!

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▲まずはお母さま(香寿たつき/中央)。お母さまが帰宅すると、姉妹が口々に「今日、こんなことがあったのよ!」と報告する姿がとってもかわいいです。不在の父に代わり家族を支える、やさしくて強くて温かなお母さま。だけど娘たちが寝静まったとき、本当は心細い、夫にそばにいてほしい気持ちが静かにこぼれてきます。その心の内を明かす香寿さんの歌が印象的でした。

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▲続いて登場するのは、マーチおばさん(久野綾希子)。この時代を象徴するような考え方をしている威圧的で厳しい人。ジョーに対して「くだらない物語を書いて」「女の子はみんな結婚するんです」などと言っているのを聞くと胸が痛みます。けれど言うことのきかないジョーに、彼女の「ヨーロッパに行きたい」という気持ちを刺激して生き方を変えさせようとする策士!根っこにあるは姪っ子にしあわせになってほしい気持ちなのでしょうけどね...。その強引さが詰まった楽曲にもご注目を!

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▲そして次は、いくつもの事件が起こる(!)舞踏会のエピソード。メグとジョーが初めて舞踏会に招かれます。舞踏会の場でもジョーの振る舞いは相変わらず(笑)。でもかわいいんですよ。ジョーはふざけていても、たとえ怒っていても、かわいく感じるのは朝夏さんの力!

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▲そして出会っちゃった!メグとブルック先生(川久保拓司)。すぐに恋が始まりますよ。ふたりの甘い話し声や笑顔の交わし方に「恋の始まりっていいね~」という気持ちに(笑)。さっきまで自信がなさそうだったメグの変わりようにも注目です。

実は同じ時、ローリーもジョーにアピールします。鈍いジョーには友情の言葉としか受け取られないのですが、ふたりでいると本当に楽しそうなんですよねー。さてそんなふたりがどうなるのか...本番で見届けてください!

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▲舞踏会から帰宅したジョーたちは早速報告会を。

しかし、自分も舞踏会に行きたかったエイミーが、悔しさからジョーの小説を燃やしてしまいます...!それに気付いた時のジョーは......これまでに見たことのない表情。このときのお母さまがエイミーを叱る言葉、ジョーにかける言葉もとても素敵だったので、ぜひ注目してみてください。

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▲お母さまにどんな言葉をかけられても、絶望したジョーにはすぐには届きません。エイミーに対しても「ずっと許さない」と心を閉じてしまいます。エイミーは心から反省し、ベスに励まされながら、諦めず、ジョーに謝り続けます。

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▲仲直りできてよかった!このときローリーが一役買ったことから、ジョーは「あなたを私たちの兄弟とここに宣言します!私たちにとっての初めての男兄弟だと」と、ローリーを認めるという出来事も。

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▲お次に登場するのは、四姉妹からずっと怖がられていたローレンスさん。あるとき、ベスのピアノを聞いてマーチ家にやってきます。ベスと交流をしているうちに、しかめっ面に違うものが混じり始める......そのじんわりとした変化は心温まりました。ふたりのデュエットも、とてもやさしいものでしたよ。

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▲うれしいことも悲しいこともすぐ家族に報告する姉妹が素敵です。

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一幕を見学して、歌ももちろん素敵でしたが、姉妹の笑顔や、家族のにぎやかさ、ジョーの真っ直ぐな心とそれを応援する家族など、そこにある"空気"や"温度"がまず浮かぶような作品だったように思います。これからの稽古でさらに磨かれてどんなふうに幕が上がるのか、とても楽しみになる稽古場取材でした!

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▲一幕ラストに朝夏さんが歌い上げる『Astonishing』はジョーの生き方が染み込んだ熱く素晴らしい曲。ぜひ期待していてください。

『Little Women -若草物語-』は9月3日(火)から25日(水)まで東京・シアタークリエにて上演後、愛知、福岡を巡演。

U-25チケットも取り扱い中!

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その1.出会い

それは4年前のニューヨークのサミュエル・フレンチという演劇書専門の本屋さんでのこと。「3Winters」というタイトルと女性の顔が三つ重なっている本の表紙に惹かれてこの戯曲を手に取りました。裏面にはクロアチアの現代史について書かれた作品だということと、女性作家の作品だということ、ひとつの家族の歴史ということが紹介されていました。いわゆるジャケ買いでこの戯曲を購入し、拙い英語力で読んでみたら面白いぞと確信し、翻訳家の常田景子さんに無理やり翻訳を頼み込みました。常田さんも大いに気に入ってくれてこの作品が日本で上演される第一歩が始まりました。

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▲ NYの本屋さんで運命的な出会いとなった「3Winters」の戯曲本。

その2.企画が通るまで

文学座はアトリエ公演も本公演も、熾烈な競争の先に企画が決まります。この企画を提出して、何度か落選しました。大きな理由は、クロアチアという場所の馴染みのなさと、私のプレゼン力だったように思います。ユーゴスラヴィアが解体し、クロアチアという国家がEUに加盟していくという時代背景は日本人には分かりにくいのではないかという危惧もわからなくもありません。しかし今作は、毎日家族にご飯を食べさせ、子どもを育て、夫の世話もしてという、愛に溢れた女性の目線で社会問題が描かれている点で、日本の女性にも訴えかけることが多いのではないかと思いました。私の祖母や母の時代は、女性が教育を受けることへの偏見が日本でもあったように、クロアチアが舞台のこの作品でも、女性の差別された歴史が感じられます。そこで落選してから2回、企画を出し続けました。そしてやっと、この作品を皆さんと共有する機会を得たのです。

その3.下調べの時間

そもそも翻訳劇というのは奇妙なものなのかもしれません。アジアに住む私たちが、アリサとかルツィアとか呼び合って、知りもしない内戦の傷跡を感じている人間を表出するのですから。そのために、私も俳優もいろいろリサーチをしました。内戦についての資料の本は読んでいるだけで胸が苦しくなるものも少なくありません。クロアチアにも行ってみました。行ったのは首都ザグレブと世界遺産のドブロブニクですが、この美しい場所でそんなに遠くない過去に内戦があったなんてにわかには信じがたいと思いました。けれど、私よりずっと若い人が、内戦時代の記憶を語ってくれたり、戦争という言葉が、平和ボケした私たちよりずっと身近にあるのだなと感じました。クロアチアには大きな経済基盤がないので、大学は出たけど職はなしという状況が続いているようです。愛国心はあって、プライドもある人たちが、しかし経済的には苦しく、その為に"よりどころ"を欲して排他的になって行くというのは、日本だけではなく、クロアチアでもアメリカでも世界のいたるところで起きていることなのだなぁと実感させられる旅でした。

今回の作品は4世代の女たち、100年の歴史が語られています。それぞれの時間を、俳優さんたちに如何に理解してもらい、想像力の翼をはばたかせてもらうのか、そのために、年表を作ったり、はたから見たら小学生の夏休みの宿題のようなこともしました。

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▲ 2018年にドブロブニクを訪れた松本。

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▲ ザグレブにあるクロアチア国立劇場でも本作『スリーウインターズ』が上演されました。

ぴあ写真5ザグレブ街並み.jpg▲ ザグレブの街並み

4.稽古が始まって

生身の俳優という存在が目の前にいると、時に、自分の思っていたことが見えなくなるというか、いろいろな要素が立ち昇って来て、取り込めるところは積極的に取り込みたいという欲望もあって、自分が揺らいでいると感じることもあります。それは、私の演出家としての甘さなのだとは自覚しながらも、より一層、作品世界を豊かにするために何が必要なのかを考え続けています。そして、己に問いかけます。どうして、この作品が好きなのか、やらねばならないと思い込めたのか。その根幹を信じてきちんと観ていただく方に、お届けするのが私の使命ですものね。

創作ノートを公開するというのがこの読み物の眼目なのですよね。しかし、創作ノートというのはどう提示していいか難しいものでもあります。

いろんなメモ書きをします。舞台美術の模型も時には作ります。漫画のコマ割りみたいなものを書く時もありますし、key wordを書き連ねることもあります。選曲するために、ものすごい数の曲を聞きます。それから、またメモ書きをして、新しい発想が出ない時はもがき苦しみます。

根本は、どうしてこの作品をやりたいのだろうかということだと思います。

それを観ていただいた人に、感じてもらうために作っているのだと思います。そして往々にして、こちらの意図を超えて、観客は自分の価値観と感性とに照らし合わせて作品を理解しようとし受け止めます。それは、作り手からすると、恐怖と恍惚です。少なくとも、語りたい作品になるべく、幼児の書き連ねるメモ書きのようなものを書いたり、それを嫌になってゴミ箱に放り投げながら、クロアチアと日本の境界線が曖昧になって、彼の国の女の生き様や苦しみと、私たちの生き様と苦しみが共鳴して、今の日本の問題に目線が行くように作品を創って行こうと思っています。

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▲ 松本祐子

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▲ 寺田路恵

ぴあ写真8倉野.jpg▲ 倉野章子

ぴあ写真9増岡、石田.jpg▲ 左から、増岡裕子、石田圭祐

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▲ 前東美菜子

【変更】ぴあ写真10上川路.jpg

▲ 上川路啓志

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▲ 稽古初日に撮影した集合写真

◆公演概要◆

【タイトル】文学座アトリエの会 『スリーウインターズ』

作/テーナ・シュティヴィチッチ 訳/常田景子 演出/松本祐子

【日程】2019年9月3日(火)~ 9月15日(日)

【会場】文学座アトリエ

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喜劇作家・演出家の鈴木聡とジャズピアニスト・作曲家の佐山雅弘、そして主演は稲垣吾郎という強力タッグで大きな話題を呼んだ大人のためのミュージカル、〈恋と音楽〉シリーズ。

昨年、シリーズの決定版とも呼ぶべき『君の輝く夜に~FREE TIME,SHOW TIME~』が京都劇場で上演されましたが、今秋、いよいよ東京・日本青年館ホールで開催されます。

ショウシーンを大幅にリニューアルして"東京版"ともいうべき〈ショウタイム〉を盛り込んだ今作。

 

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ショウ稽古の様子と、キャストのコメントをお伝えした稽古場レポート【前編】に続いて、【後編】では、芝居の稽古の様子に加え、演出の鈴木さんと、音楽担当の佐山雅弘さんの息子で、今回のバンドマスター(以下バンマス)とピアノを担当する佐山こうたさんの対談をお届けします!

 

***

 


物語は夏の終わり、海の見えるダイナーに、ジョージ(稲垣)がやってくるところから始まります。ドアを開けて少し謎めいた男ジョージが入ってくると、ダイナーの女主人ライザ(北村岳子)がたちまち色めきだす様子が、なんともおかしい!

 

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......ちなみに本作の舞台は日本なので、登場人物も当然日本人の名前なのですが、ライザ・ミネリファンの自称"ライザ"が、ジョージや、のちほど登場するビビアン(安寿ミラ)、ニーナ(中島亜梨沙)にもそう呼び名を付けたので、物語はこの名前で進みます。

 
さて、ジョージは誰かを待っている様子。外を眺めながら物想いにふける稲垣さんの横顔に、さまざまな想像がかき立てられます。

そんな観る側の気持ちを代弁するかのように、「女性を待っているのね」「もしかして、今日会う約束をした昔の彼女?」などとストレートに聞くライザには、共感しかありません。

 
"圧の強い(笑)"ライザをさりげなくいなしながらも、尋ねられたら自然体で答える姿は、稽古前にスタッフたちと和やかに話していた稲垣さんそのまま。

一方、ズケズケとした物言いで、隙あらばジョージに迫ろうとするライザを嫌味なく演じられる北村さんは、普段から稽古場のムードメーカーだからこそなせる技。鈴木さんの"あて書き"の魅力を改めて感じました。

  

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8月3日にプレビュー公演、8月9~12日に京都公演を終え、現在は東京公演中の、ヨーロッパ企画第39回公演「ギョエー! 旧校舎の77不思議」。

新作公演となる本作は、ヨーロッパ企画メンバーに加え、客演に若手の祷キララ、亀山一徳(ロロ)、金丸慎太郎、日下七海(安住の地)、そしてベテランの納谷真大(ELEVEN NINES)を招いた"オカルト青春コメディ"。

どのような公演になっているのか、共にヨーロッパ企画で、作・演出の上田誠さん、出演の本多力さんに話を聞いてきました!

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**

――栗東プレビュー公演と京都公演を終え、現在は東京公演中という時ですが、幕が開いてどのように感じていますか?

本多 総量がすごいです。(77不思議ということで)出てくる物の量もそうですし。なので、毎公演、みんないつも以上にくたくたになっています。でも本番中、客席から悲鳴が上がることもありますし、「怖い...」みたいな声も聞こえるんですよ。これは今まで舞台をやっていてあまりなかった体験なので、新鮮で楽しいです。

――そんなに怖いんですか!?

上田 「全く怖くない」と言う人もいるので、そう言っていいのかわからないですが、でも怖い瞬間はあると思いますよ。

本多 基本は面白いです。

上田 そう。自分らで言うのもなんですが、面白い9:怖い1、くらいですね。

――今回は、ヨーロッパ企画の皆さんが先生役で、客演の若い4人(祷キララ、金丸慎太郎、亀島一徳、日下七海)が生徒役で、納谷真大さんが教頭先生だとうかがいました。先生が多いですね。

上田 (笑)。よく気付かれましたね。担任、副担任、生徒指導...5人くらいで4人の生徒を見るという。

本多 「副担任」って久しぶりに聞いたもんな。

――(笑)。今回、どういうものをつくろうと思って「ギョエー!旧校舎の77不思議」をつくられたのですか?

上田 去年は20周年ということで、群像会話劇で、SFコメディで、仕掛け的なものもあって...という、自分たちがこれまでやってきたことの集大成をやれたので(「サマータイムマシン・ブルース」「サマータイムマシン・ワンスモア」の2作品を同時上演)、21年目は新しいところに無理矢理にでも踏み出さないとと思っていました。それで、学校を舞台にした77不思議の話は前々からやりたいことだったので、ちょっと自信はなかったけどやってみた、という感じです。

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――「新しいところ」というのは、どんなイメージですか?

上田 コメディにはなるのですが、今までの僕らにはない調味料を使うというか。今回で言うところの怖さだったり、ちょっとネガティブな感情だったり......

――これまであまりやってきてないもの、ということですね。

上田 そうです。ヨーロッパ企画といえば割と「安心して笑える」というイメージだったけど、もう少し味の幅を広げたい気持ちがあって。でも難しいですけどね。お客さんにたくさん来てほしい色気もありますし。だからこの公演はけっこうドキドキしたんですよ。ホラーでお客さんが来なかったらどうしようかなとか。でも新しいところへ、と思って。

――実際のお客さんの反応はどうですか?

上田 好意的に観てくださっていると思います。今回は、今話したことに加えて、これまで以上にアミューズメント的なものも意識したんですよ。例えば"お化け屋敷"って負の感情とか怖いものを扱っているけれども、全体としてはちゃんとアトラクションの面白さがあるじゃないですか。

――そうですね。

上田 この作品を観に来るときもそういう気持ちで来てもらえたらいいなと思って。演劇ってどうしても芸術作品を観に行くような心持ちになるんですけど、僕らはせっかくコメディでエンターテインメントをやっているので、身構えそのものをそういうふうにできたらいいなと思う。アミューズメントパークに行くような気持ちで劇場に来てもらうことがなにかできないかな、というような。そこはうまく受け入れてもらえるような感じがします。

――演じている本多さんはどのように感じていますか?

本多 ヨーロッパ企画ではあまりやったことのないテイストの芝居をしていると思います。熱さとか、パッションをぶつけ合うとか、エモーショナルなシーンがあるんですよ。

上田 今回、学園モノの要素があるので、先生と生徒がぶつかりあったり、先生同士でぶつかりあったりするので。

本多 今まであまり出したことのない感情を出しています。この作品は「オカルト青春コメディ」と言っているのですが、最初に言った物量の話じゃないですが、これも量が多い。オカルトの怖さもあるし、青春の生徒同士の恋愛、先生と生徒の対立、先生同士の対立もあるし。

上田 妊娠問題もあるし、いじめ問題もあるし。

――そんなに!

本多 もりだくさんですよ。

――全部解決できるのでしょうか?

上田 そこが"旧校舎"ならではのものになります。

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本多 77不思議をつくることに苦労した?

上田 そこはそんなに苦労しなかった。

本多 そうなんやね。

上田 それよりも今回は、20周年が終わって、みんなが一息つく感じになったら嫌だなと思っていて。それはキャストもスタッフも、お客さんもそうで。なので、「手を緩めずに77不思議をやりますよ!」っていうのが一番大きかったです。21年目を迎えた劇団を、今までの20年はなかったことのようにして「この劇からまた始めよう」というムードに持っていくことをすごく考えました。だから今まで以上に役者とも話したし。多くなかった?

本多 そうだった。

上田 スタッフさんとも密に話しました。今までは脚本・演出に追われて、その辺のことってなんとなく「めいめい」って感じだったんですけど。今回は77不思議をやらなきゃいけないからスタッフさんに負担をかけますし、「このセクションはうまくいってるかな」とか「役者セクションはどうかな」とか、そういうことに取り組みました。

――なにを思って、そこに取り組まれたのですか?

上田 今回の「先生と生徒」というのもそうなのですが、僕らってもともと同世代で始めた劇団で。今まで青年コメディをやり、中年コメディをやり、いつか老年コメディまでいけたらいいなというような気持ちでいたんです。でも、去年の「サマータイムマシン・ワンスモア」では、うちの事務所の藤谷理子さんという若い女優さんが出て、彼女にバトンを託すような場面をつくったりもして。

――今回の客演も、若い俳優さんが4人いらっしゃいますよね。

上田 そうですね。昔は同じ世代だけでつくっていたものが、今回は役者も19歳から50歳までいて、スタッフも映像スタッフもいれば音楽の青木慶則さんもいて。そういう人たちがヨーロッパ企画に集まるっていう、"層"が分厚くなっている状況になっている。これは初年度にはなかった"今"の面白いカタチだなと思うので。それを有機的に機能させたいというのはあります。だから今回劇層が大きいというか、「77不思議」と言ってかなり大風呂敷を広げているのですが、その風呂敷もちゃんと畳めた感じはしています。

――これからどんどんそうしていきたいっていうことでしょうか。

上田 そうですね。特に本公演を分厚くしていけたらいいなというのは最近思っていることです。

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――この作品は8月3日のプレビュー公演から始まって、10月5日の札幌公演まで続きますが、開幕から半月以上経って何か変化は感じていますか?

本多 これはこの公演に限らないことですが、台本をもらったときに「面白いな」と思ったことって、1か月稽古しているうちに忘れていくんですよ。でも幕が開くと、お客様がまた気付かせてくれるんです。

――ああ、そういうところから変化が生まれそうですね。

本多 そうですね。お客さんの反応でこちらも変わっていったりします。あとは、台詞を間違ったときに取り返そうとする人がいたり、体調がよくて声が大きい人がいたり、そういうさざ波でまた変わっていったりもしますし。その変化を日々楽しんでいます......あれ、なんかあまり内容なかったですね?

上田 これだけ喋って。

――(笑)。いや、ありましたよ。

上田 でもツアーも長いので、なるべくいろんな味が楽しめるように、演者も飽きないように、つくろうとはしています。だから今のところまだいろいろ発見がね、

本多 うん、発見はありますね。あともうひとつ、客演で来てくれている祷きららさんが今19歳で、舞台が2回目なんですよ。その成長ぶりはすごいです。それを本当に先生のような気持ちで見てます。

上田 あ、それ感じてた? 成長著しいね。

本多 うん。こっちは一切成長してないのに(笑)。

上田 こっちは日々の台詞を言えなくなるくらいなのに(笑)。

本多 本当にすごいですよ。まだ2回目ですから技術という意味ではつたない部分もあるかと思いますが、それを凌駕するなにかがある。ハッとさせられて初心にかえることもあります。それはすごく刺激になりますね。

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ヨーロッパ企画第39回公演「ギョエー! 旧校舎の77不思議」は8月25日(日)まで東京・本多劇場にて上演後、広島、福岡、名古屋、大阪、高知、愛媛、横浜、北海道を巡演。横浜公演は9月28日(土)に神奈川・関内ホールにて。

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E39GyoeeRitto_0804.jpgE39GyoeeRitto_1051.jpg撮影:清水俊洋

取材・文:中川實穗

取材撮影:イシイノブミ

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