■新作ミュージカル『怪人と探偵』 vol.1■
9月に誕生する、新作ミュージカル『怪人と探偵』。
江戸川乱歩が創作した人気キャラクター・怪人二十面相と明智小五郎を題材に、オリジナルミュージカルの脚本はこれで3作目となる森雪之丞の作・作詞・楽曲プロデュース、美しい舞台づくりに定評のある白井晃の演出で送る意欲作です。
大怪盗・怪人二十面相に中川晃教、名探偵・明智小五郎に加藤和樹、ヒロイン・令嬢リリカに大原櫻子ほか、魅力的なキャストがズラリ。
テーマ音楽を東京スカパラダイスオーケストラが書きおろすほか、作曲を『SONG WRITERS』(2013・2015年)で森とタッグを組んだWEAVERの杉本雄治が務めることでも注目を集めています。
8月中旬の某日、その稽古場を取材してきました!
げきぴあではその稽古場レポートを3回にわたり、お届けします。
●STORY●
舞台は昭和34年、東京麻布。北小路家の令嬢・リリカと、安住財閥御曹司・竜太郎の婚約発表パーティーの最中、大広間の柱時計には怪人二十面相の犯行予告状が貼り付けられる。
「3日後10時北小路家の家宝"パンドーラの翼"を頂戴する」――。
予告された日時、犯行を阻止するために北小路邸を訪れた探偵・明智小五郎とリリカは、互いを見てショックを受ける。二人は過去に、深いつながりがあったのだ。
10時の鐘と共に予告通り二十面相が現れるが、"パンドーラの翼"は爆発し、二十面相はリリカを連れ去る。明智は、爆発に巻き込まれて負傷してしまい......。
主なキャストはこちらの方々です!
怪人二十面相役、中川晃教さん。艶のある歌声で空間を支配します。
明智小五郎役・加藤和樹さん。デキる大人の男の、落ち着いた佇まい。
リリカ役・大原櫻子さん。天真爛漫さの奥に、どこか影を感じさせる少女です。
明智探偵団団長・小林芳雄役の水田航生さん。仕事熱心な若者ですが、恋には不器用な模様。
明智探偵事務所秘書・花崎マユミ役のフランク莉奈さん。キュートだけど、ちょっと妄想癖があるらしい?
元子爵・北小路邦麿役の今拓哉さん。
邦麿の妻・雅子を演じる樹里咲穂さん。
そのほか、北小路家の家政婦・浪江はな役の高橋由美子さん、中村警部役の六角精児さんら、個性豊かな顔ぶれです。
当日の稽古は、1幕1場から。
とある博物館に二十面相から犯行予告が届き、明智探偵団や警官たちが警戒しています。時間軸としては、北小路家のパーティーに先立つ事件です。
「♪チクチクタク......♪」「♪来るぞ!来るぞ!♪」――指定の時刻まであと少し、今か今かと人々が警戒する"怪人襲来"のナンバーは、焦燥感を煽るような曲調。何かが始まる予感に満ちていて、見ているこちらもドキドキします。
やがて二十面相が現れる......のですが(どんな風に登場するかは観てのお楽しみ!)、この時、それまで出番がなかった中川さんがサッと稽古に合流、二十面相よろしくいきなり舞台に現れたものだから、共演者の皆さんは、素でびっくりされていました。
明智に追い詰められ、逃げる二十面相。追跡する人々がわちゃわちゃと行き交う中、メインテーマ『憂愁モダン』が流れます。
いかにもスカパラらしい軽快なリズムに乗せて、アクロバティックなダンスとアクションが、流れるように展開。どこかテレビアニメのオープニングを思わせるような、楽しさいっぱいのナンバーです。
ちなみに、中川さんは休憩時間に「この曲、覚えちゃうよね?」とスタッフさんと談笑。一度聞いたら忘れられない、とてもキャッチーな曲調です。
▽ 思い思いの武器を手にした人々。ホウキにブラシに......あれ、スッポンを持っている人もいますね......。
▽ 二十面相と鉢合わせ、ステッキを突きつけられたマユミは、お色気作戦(?)で二十面相を惑わし......?
やがて舞台上には二十面相と明智だけが残り、宿命のライバル!という荘厳な雰囲気に。本番ではここでタイトルが浮かび上がるとのことで、心の中で「かっこいい!」と叫んでしまいました。
ここで1幕1場が終了。リリカが登場する2場へと続いていきます。
レポート第2回では、さらに詳しく稽古の様子をお伝えしますので、お楽しみに!
取材・文:羽成奈穂子
撮影:吉原朱美
【公演情報】
9月14日(土)~29日(日) KAAT 神奈川芸術劇場 ホール
10月3日(木)~6日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール