9月5日(木)に東京・紀伊國屋ホールにて『GRIEF7』Sin#2 が開幕します。
本作は、昨年7月に初演された舞台の続編。"七つの大罪"をベースに、牢獄で出会った男たちの物語を描き、演出は錦織一清、原作は野村桔梗、脚本は三浦 香、音楽は金子隆博・楠瀬拓哉という豪華布陣のエンターテインメントステージです。公演公式ホームページはこちら
出演者は、初演から出演する米原幸佑、加藤良輔、SHUN(Beat Buddy Boi)、三浦海里に加え、今回から吉田広大(X4)、中山優貴(SOLIDEMO)が参加します。
歌稽古が始まったばかりという稽古場にて、出演者の加藤さん、三浦さん、中山さんにお話をうかがってきました。
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――初演、とてもおもしろかったです。待望の続編ということですが、今どんなことを感じていますか?
三浦 僕、今回やるとわかって嬉しかったです。またあのメンバーで集まれるんだと思って。一言で言うと「気を許せるカンパニー」で、稽古場の雰囲気がすごくよくて。今回は新しいキャストもいますが、ふたりとも柔らかい空気感を持っていらっしゃるので、絡むのが楽しみです。
加藤 僕はストーリーの展開も楽しみにしています。前回、謎だらけのまま終わりましたからね。それと二作目ということで、初演以上に挑戦ができると思っているので、そこもがんばりたいです
――中山さんは初参加ですね。前作はご覧になられましたか?
中山 はい、観ました。ストーリーは重いのに、エンターテインメントが詰まっている舞台でおもしろかったです。そういう皆さんがつくったものを壊さないようにしたい気持ちと、新キャストとして新しい風を吹かせられたらという気持ちがあります。
――今作もさらに重いストーリーですよね。
三浦 いろんな新事実が出てきますよね。こことここが繋がってたの!?という驚きもあるし。初演は(米原)幸佑さん演じるエディが真ん中にいたけど、そこも実は...というようなところもあるし。
加藤 そうだよね。さらに踏み込む感じ。新しいメンバーの役もおもしろいなって思う。
中山 深いところまで攻めてますよね。僕が演じるエヴァンと、(吉田)広大くんが演じるウォンが入ることで、一作目から出ている登場人物の別の面が引き出されているなと思いました。そこを知ったうえで一作目を観ると、また違うおもしろさも味わえそう。
――その中でも皆さんの役柄について聞いていきたいのですが、加藤さん演じるライタ・カワイはどうですか?牢獄の中に入っている人間ですが、心理カウンセラーで、みんなのお世話もしていて、初演では「なんで捕まったんだろう?」と思わせる人物でしたが。
加藤 前回は僕自身も「どういう過去があるんだろう」「どういう人間なんだろう」と悩みながら演じていた部分があります。今回は割とそこに踏み込んであるので......楽しみにしていてほしいです!
――罪を犯しそうにないのに罪を犯して牢獄に入っているという事実はお芝居にどう影響しますか?
加藤 結果的に罪を犯すか犯さないかは大きな違いなのですが、その衝動みたいなものって実は誰でも持っているんじゃないかなと思うんですよ。だから、そういう意味ではそんなに遠い感じではないと思って演じました。だって人間って簡単じゃないじゃないですか。やればやるほど......深いなって。
三浦 ふふっ。
――三浦さんは新米の看守ムラセという役です。この登場人物の中で「囚人ではない」という立場はまた違いますか。
三浦 そうですね。だから初演はみんなとは違うつくり方をしたのですが、今回は、立場は違えど中の人たちと近い空気を出しているような気がしました。今、話に出ましたが、僕もそこに大きな差はないんじゃないかと思うんですよ。(チラチラ加藤を見ながら)その辺りは囚人先輩が「人間は深い」って言ってたので、その深みを取り入れられるように......
加藤 浅い!今のは浅いよ!
中山 しかもちょっとディスってるし(笑)。
一同 (笑)
――今回、ムラセはやや不穏ですよね。
三浦 初演でも、ふと出てきそうな感情を抑えて溜めて、という感じがあったのですが、今回はそこが爆発するのかなと思っています。
――中山さんの演じるエヴァン・ロドリゲスは、同性愛者に身体を提供することで生きていたけれど、ある理由で牢獄に入るという役ですね。
中山 今までにやったことのない役柄です。ただ、捕まる部分は別としても、こういう生き方の人もいるだろうし、そこには苦悩もあるだろうし、希望もあるはずだと思うんですよ。まだ模索中ではありますが、しっかりと役作りをしたいと思っています。
――エヴァンは映画『プリティ・ウーマン』(アメリカのロマンチックコメディ。シンデレラストーリーの王道)が好きという設定があるのですが、切なかったです。そのギャップから実生活が痛々しく見えるというか。
中山 『プリティ・ウーマン』はエヴァンの理想なんでしょうね。キラキラしていて。だけど自分の人生はそうもいかず。でも生きていかなきゃいけないし、そこに価値も見出さなきゃいけない。そこに、いろんな葛藤があるのかなと思っています。
――今はまだ歌稽古ということなので、前作に出演した加藤さんと三浦さんに聞きたいのですが、錦織さんの演出はいかがでしたか?
三浦 実は僕は苦戦したんですよ。これまであまりやったことがないタイプの芝居で。むやみに動かない、という演出がなかなか飲み込めず、率直に難しかったです。
加藤 実は僕も前回、錦織さんのおっしゃったことを捉えきれていなかったのかもと思っていて。
――そうなんですか?
加藤 はい。なので、今回はもっとセッションしたりして、錦織さんの意図を理解してやっていきたい。今作が決定したときにまずそこを思いました。錦織さんって、役者の人となりを見て台詞を足されたりするんですけど、今回はそういうことがもっともっとできる関係になりたいなと思っています。それができれば、錦織さんの見ている世界により近づける気がするので。今回、そこは僕のひとつのテーマです。
――この作品は、米米CLUBなどで活躍する金子さんの音楽も魅力のひとつですね。
中山 ロックな感じもポップな感じもあっておもしろいなって思いました。キーが結構高いのですが、ギリギリのキーって感情が出しやすい。そこはしっかり歌いたいと思っています。
三浦 (唐突に)僕は恐怖ですよ。
一同 (笑)
三浦 僕は普段、お芝居で歌わないので。ただ初演はキャストに同じ立場の碕 理人がいたので、ふたりで「がんばろうね」とか言えたんですけど、今回出ないし!新キャストはふたりとも歌手ですし!
加藤 本物だもんね。(中山の)歌声、素敵だった。
三浦 そう......がんばります。初演でカラムさんが歌った楽曲を今回は僕が歌う予定なので、そこに前回からの繋がりも込めてたいと思っていますし。今回、新キャストのおふたりにいろいろ教えてもらうつもりです!
加藤 大丈夫だよ、この作品はチームワークがいいから。
三浦 うん。そこは本当にそうだなって思います。
加藤 そういうのってお客様にも伝わるしね。
中山 そうですね。
加藤 今回もいい作品になると思います!
『GRIEF7』Sin#2は、9 月5 日(木)から9 日(月)まで東京・紀伊國屋ホール、9 月21 日(土)から24 日(火)まで大阪・ABC ホールにて上演。チケットは発売中
取材・文:中川實穗
撮影:源 賀津己