新国立劇場は、小川絵梨子芸術監督が2シーズン目を迎え、個人と全体(=国家や社会構造、集団のイデオロギーなど)の関係性をテーマにしたシリーズ"ことぜん"で幕開け! 第1弾として、五戸真理枝の演出により、ゴーリキーの「どん底」が新訳で上演される。9月中旬、初日を約2週間後に控えた稽古場に足を運んだ。

20世紀初頭に書かれた戯曲で、黒澤明により同名の映画に翻案されたことでも知られる本作。社会の底辺と言える木賃宿に集う人々が巻き起こす悲喜こもごもの出来事が描き出される。

日本でも文学座、自由劇場、俳優座などにより、繰り返し上演されてきた「どん底」だが、五戸は21世紀のいま、本作をあえて上演するという"現代性"を強調すべく、オープニングからある仕掛けを施している。物語の舞台はあくまでも現代日本であり、車が頭上を通り過ぎていく高速道路の高架下で、金網や「安全第一」と書かれた工事用のフェンスが立てかけられた場末の地。そこに、とある劇団のメンバーたちが集まり、「どん底」を上演するという構造になっている。

瀧内さん (1).JPGのサムネイル画像

この日、まず稽古が行われたのは、オープニングから第1幕にかけての部分。仕事をする者、寝転がったまま悪態をつく者、病に苦しむ者、酔っぱらったままの者、そんな彼らに怒りを露わにする者...木賃宿に暮らす面々の暮らしぶり、朝の様子が描写される。貧しさとみすぼらしさが際立つが、不思議と暗い感じはない。

3077.JPG

3032.JPG

3106.JPG

本作はそもそも、特定の主人公を中心に物語が展開するわけではないのが大きな特徴と言われる。まさに今回の五戸版でも、舞台上に散らばるバラバラの個性が猥雑に、色濃い存在感を放ち、物語を築き上げていく様子が第1幕のわずかな時間からも感じられる。

興味深いのは五戸による演出の指示。第1幕をおよそ45分でひと通り通すと、その後、休憩をはさんで30分ほどかけて、ちょっとした会話の間からセリフの口調や語尾、動きや姿勢についてまで細かく、じっくり丁寧に演出していく。

「セリフに感情が乗り過ぎてしまっているので、もう少し抜いて」、「もうちょっとだけふざけた感じで」、「もう少し雑な感じで」、「怒っているシーンだけど、少し余裕やゆとりがある感じで怒ってみてください」――。時に自ら「すごく不思議なことを言っていますが...(笑)」と前置きしつつ、独特の感覚と言葉を駆使しながら、俳優陣に細かいニュアンスを伝え、主人公のいない場末の舞台に存在するキャラクターたちの個性を浮き上がらせていく。

原さん正面 (1).JPG

3056.JPG

令和の時代の「どん底」は見る者に何を訴えかけ、どんな「ことぜん」を浮かび上がらせるのか? 完成を楽しみに待ちたい。

「どん底」は10月3日より新国立劇場にて上演。

(取材・文:黒豆直樹)

btn_ticket.jpg

ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)の名作戯曲を、才気溢れる演出家たちが新たに創り上げるシリーズ「KERA CROSS」の第二弾として、生瀬勝久演出、出演に、藤木直人、ソニン、真飛聖、小松和重、生瀬勝久 他という華やかな顔ぶれでの上演が発表され、すでに話題となっている舞台『グッドバイ

舞台『グッドバイ』は、太宰治の未完の遺作小説『グッド•バイ』をベースに、KERAが新たにドラマを創り上げ、2015年に初演。第23回読売演劇大賞 最優秀作品賞、優秀演出家賞(KERA)、最優秀女優賞(小池栄子)を受賞し、更に平成27年度芸術選奨 文部科学大臣賞(KERA)を受賞するなど、大きな反響を呼んだ傑作。その戯曲を、2020年1月、生瀬勝久が演出し全く新たな形で上演する。

妻子を田舎に残し、東京で10人もの愛人を作り雑誌編集者として生活する不埒な男・田島周二と、彼を取り巻く女たち、妻、そしてひょんなことから田島と知り合う怪力で大食いの美女・キヌ子、など周囲の人々を巻き込みながら珍騒動が展開される。

今回、新たに公開されたビジュアルでは、藤木扮する田島、ソニン演ずるキヌ子、生瀬演ずる連行、そして真飛聖、小松和重の5名が笑みをこちらに向けている。

good bye visual vol.1.jpg▲今回発表されたビジュアル

KERAの作品史上初のロマンティック・コメディであり、"恋愛狂騒劇"(スクリューボール・コメディ)と銘打たれた、この作品の世界観が垣間見えるような満面の笑顔だ。

KERA CROSS第二弾『グッドバイ』は、2020年1月11日より、かめありリリオホールを皮切りに、2 月にシアタークリエ他、全国各地で公演。 

詳細は「KERA CROSS」オフィシャルサイト(https://www.keracross.com)で順次公開。

<公演詳細>

KERA CROSS 第二弾『グッドバイ』

原作:太宰 治(「グッド・バイ」)

脚本:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

演出:生瀬勝久

出演:

藤木直人 ソニン 真飛聖 朴璐美 長井短 能條愛未 田中真琴 MIO YAE

入野自由 小松和重 生瀬勝久

●2020年1月11日(土)~13日(月・祝) かめありリリオホール 

●2020年2 月4(火)〜16日(日)シアタークリエ 

チケット料金=10,000円(全席指定・税込)

チケット一般発売=2019年11月16日(土)

●各地公演(2020年)
【山形公演】1月16日(木) 山形市民会館
【新潟公演】1月18日(土) 長岡市立劇場
【広島公演】1月21日(火) JMSアステールプラザ 大ホール
【大阪公演】1月23日(木)〜26日(日)梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

【香川公演】1月28日(火) レクザムホール(香川県県民ホール)小ホール
【愛知公演】1月30日(木)〜31日(金)日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
【福島公演】2月2日(日) パルセいいざか

企画・製作=東宝  キューブ

チケット情報はこちら

【ダンス オブ ヴァンパイア 2019 #1】
 
ロマン・ポランスキー監督映画をもとに、1997年にウィーンで初演されたヴァンパイア・ミュージカルの傑作『ダンス オブ ヴァンパイア』
日本では2006年の初演以来、山口祐一郎が主演をつとめ、熱狂的に支持されている人気ミュージカルです。

物語は吸血鬼のクロロック伯爵と、ヴァンパイア研究の権威・アブロンシウス教授の対決を軸に、時にコミカルに、時に哲学的に、人生の深淵を描く内容。
ひと癖もふた癖もある登場人物たちのやりとりひとつとっても楽しい作品です。

この中で、ヒロイン的ポジションなのが、伯爵に憧れる女の子、サラ
娘を大事にしすぎる親の庇護下を飛び出し、新しい世界を見たいと望む好奇心旺盛な少女ですが、ほかのキャラクター同様、この子もなかなかひと筋縄ではいかない人物です。
なんと言っても、お風呂が好きすぎる...!?

そんなヒロインに今回初挑戦する桜井玲香さんにお話を伺ってきました!

乃木坂46の初代キャプテンとしてファンからもメンバーからも愛された桜井さんは、9月1日の「乃木坂46 真夏の全国ツアー2019」千秋楽公演をもって乃木坂を卒業。
このインタビューはその翌週、卒業したばかりのタイミングで行われました。

※サラ役は神田沙也加さんとダブルキャスト。

◆ 桜井玲香 INTERVIEW ◆

TdV2019-1-1_34146.jpg
―― 乃木坂46をご卒業されたばかりですね。卒業公演の映像をニュースなどでもたくさん拝見しました。今の感覚は...寂しいですか?


「まだあんまり実感が湧かなくて。ライブ(9/1の卒業公演)が終わった翌日も、2代目キャプテンになった秋元(真夏)の出演舞台のゲネプロがあって(舞台『サザエさん』)、それをメンバーのみんなと観に行って。あんなに涙のお別れをした次の日に、十数人のメンバーと会っちゃいました(笑)。でも、こんなによくしてもらっていいのかっていうくらい、最後までみんなの愛を感じた卒業でした。大満足です」
 
 
―― そしてこの『ダンス オブ ヴァンパイア』が卒業後、舞台としては新たな一歩になると思いますが、その前に、桜井さんは昨年末から今年のあたまにかけての『レベッカ』"わたし" 役が、グランドミュージカル初挑戦でした。まずこの時の思い出から伺わせてください。初日のこと、覚えていますか?
 
「緊張しすぎて、覚えてません(笑)」
 
 
―― 『レベッカ』って、"わたし" のソロから始まりますよね。緊張もひとしおだったと思いますが...。

「そうなんです、あたまが真っ白でした(笑)。稽古場でさえあの第一声を出すのは緊張していたので、慣れないまんま初日を迎えてしまった......という感じでした。"わたし" は、ご一緒した大塚千弘さんが初演から演じていらっしゃるんですが、千弘さんもあのオープニングがトラウマらしく「玲香ちゃん、もうホント、緊張するからー!」「すごいから!」って仰っていて。仰るとおりとても緊張はしたのですが、千弘さんがあえてそう仰ってくれたから私も素直に「怖いです」って言えたし、千弘さんでさえ緊張するんだ、っていう安心感もあり、とても助かりました」
 
 
―― 緊張しても仕方ない、と。

「はい。でもまさか(本格ミュージカル出演)1作目で、物語の先陣を切るパートを担当するとは思っていなかったので、ちょっと作品を間違えたかな!? って思ったのですが(苦笑)。だって、指揮を見て歌うのも初めてだったんです!」

「フラガール」稽古場公開・会見取材レポ

チケット情報はこちら

乃木坂46井上小百合が主演し、元℃-uteの矢島舞美、ドラマや映画の話題作への出演が続く富田望生と注目キャストがそろう舞台「フラガール-dance for smile-」
2006年に日本アカデミー賞を総なめにした傑作映画の舞台化に際し、稽古場取材会、会見が行われた。

稽古場取材会では、総勢11名でのパフォーマンス。フラガールたちが元気いっぱいに踊る明るいナンバー、そしてしっとりとした表情を見せる2曲を披露した。

W_75K1393.jpg

W_75K1603.jpg

会見では出演者たちがそれぞれに意気込みを語った。

_A7R4895.JPG

井上小百合(乃木坂46)
「この作品はわたしも母親と映画館に見に行った作品なんですが、何の気なしに見ていた作品で、わたしが主演をやることになるとは思っていなかったので、本当にありがたい機会だなと思っています。どこにでもいるような少女が成長していって、なにか世の中を大人たちを変えていくというお話を通して、わたしもここにいる皆さんと、成長していけたらいいなと思っています」

_A7R4914.JPG

矢島舞美
「今回はわたしは先生役ということで、みんなにフラを教える立場なんですけど、フラガールは炭鉱で働いていた女の子たちがこのフラダンスをはじめて成長していく物語なので、実際に舞台上にたって、お客さんを目の前に踊る姿が、実際のストーリーとリンクしてとてもリアリティのあるものになるんじゃないかな、と思います。そんなみんなに心突き動かされながら、わたしが演じる平山まどかも成長していく姿をみなさまにも感じ取っていただけたらうれしいなと思っております」

_A7R4928.JPG

富田望生
「わたしはこの物語の舞台、福島県いわき市で生まれ育ちました。『フラガール』という映画はものごころついてはじめてみた映画でして、自分にとって思い入れのある作品です。ハワイアンセンターにも何度も行っていたので、なんて華やかなおねえさんたちなんだ!と見ていた、夢とも憧れともちがう、どきどきわくわくするこの感情を、今度は舞台に見に来てくださったみなさんに届ける側になるんだ、と。そんな想像もしていなかった不思議な気持ちで稽古が進んでいくなかで「あ~なんちゅう世界に足を踏み入れてしまったんだろう」というくらい(笑)すごくリスペクトのある作品ですし、もちろん故郷に対する愛というのもある作品ですし、そういうことも含めて素敵な舞台をお届けできたらな、と思います」

_A7R4953.JPG

太田奈緒(AKB48)
「わたしはフラガールという作品はすごく人気で、その舞台に、まだ舞台経験もそんなにない中で大事な役を任せていただけるので、みなさんに追いつけるくらいがんばりたいです。個人的には他のいろんなアイドルのみなさんもおられるので、そのファンの方も見にこられるとおもうので、そういうファンの方を奪いたいな......(笑)と思っています、がんばります!」

_A7R4976.JPG

福島雪菜(劇団4ドル50セント)
「普段は劇団4ドル50セントという劇団で活動させてもらっているんですけど、劇団以外に出るというのが今回はじめてで、最初は聞いたときに、マネージャーさんこれ送る人間違えてるんじゃないかな?自分じゃないのでは?と思っていたんですけど、マネージャーから、いやお前が出るんだよ、言われて、最初は緊張するかなとおもっていたんですけど、今はわくわくとドキドキで一生懸命がんばろう、とそういう気持ちです。」

_A7R5004.JPG

伊藤修子
「わたしだけ40代で、結構大変なんですけど(笑)。さっき冨田さんが始めてみた映画がフラガールといってたんですけど、わたしはE.T.とかそういうレベルなんですけども......(笑)。みなさんについていくのが大変ですが、がんばっていこうと思っています。よろしくお願いいたします。」

W_75K1808.jpg


舞台『フラガール - dance for smile -』は、10月18日(金)から27日(日)まで東京・日本青年館ホール、11月2日(土)から4日(月・祝)まで大阪・サンケイホールブリーゼにて上演。チケットぴあでは9月19日より先行先着を実施。一般発売は9月21日(土)より。

(撮影:川野結李歌)

チケット情報はこちら

チケット情報はこちら


『ジキル&ハイド』『スカーレット・ピンパーネル』『マタ・ハリ』等、数々のヒットミュージカルの音楽を手掛けるフランク・ワイルドホーン
彼の生み出した珠玉の名曲たちを、豪華スターが歌いつぐミュージカルショーFRANK WILDHORN & FRIENDS 2019が10月に東京にて開催されます。

メインアクトレスは柚希礼音
元宝塚歌劇団星組トップスターとして人気を誇り、退団後はミュージカルに、音楽活動にと活躍中。
昨年はワイルドホーンの手掛けた『マタ・ハリ』日本初演に主演したのも記憶に新しい彼女。
今年は芸能活動20周年を迎え、いっそう精力的に活動しています。

女優としてひっぱりだこの柚希さんですが、いわゆる「ミュージカルコンサート」に出演するのは意外なことに、今回が初。

柚希さんにワイルドホーンさんの楽曲の魅力や、コンサートに挑む心境などをお伺いしました。

★ 柚希礼音 INTERVIEW ★

FW1chany_DSC5818fr.jpg
―― 柚希さんはこれまでにフランク・ワイルドホーンさんの作品は『スカーレット・ピンパーネル』(2008年の宝塚星組公演)、『マタ・ハリ』(2018年)にご出演されています。ワイルドホーンさんは日本でも、その楽曲はもちろんご本人の人柄もミュージカルファンの間ではお馴染みですが、最初にお会いしたのは『スカーレット・ピンパーネル』の時でしょうか?

「はい。わざわざ来日されて歌稽古をしてくださったのですが、その時に初めてお会いしました。ワイルドホーンさんがいらっしゃる前にも稽古は進めていたのですが、彼がピアノを弾いてくださって、それにあわせて歌ったときに「なんて素晴らしい楽曲なんだ!」って思ったんです。緩急やテンポが、ドラマチックなんですよね。この方がこの素敵な音楽を作ったんだ......いや、こういう方が作られる楽曲だから素敵なんだ......って思ったのを覚えています」
 
 
―― 中でも『スカーレット・ピンパーネル』で柚希さんが演じたショーヴランには、『君はどこに』という素敵なナンバーがありますね。

「そうなんです、まさに『君はどこに』で思ったんです。"タラララ、タラララ"と音取りをしている段階では「これはどういう歌なんだろう...?」と思っていたのに、ワイルドホーンさんが弾いてくださったら、切なさや複雑な感情が一気に伝わってきて「こんな素敵な曲なんだ!」とわかった(笑)。元々ご自分でピアノを弾きながら作曲される方だからでしょうか、さすがですよね。その後『マタ・ハリ』の時も思ったんです。まだ役作りが見えていないときから、音楽が役作りを引っ張ってくれるようだな、と」

チケット情報はこちら

 
5人のイケメン&5人の美女たちが織り成す恋の駆け引き。
『ラヴズ・レイバーズ・ロスト -恋の骨折り損-』 が10月1日(火)に開幕します!

日本では『恋の骨折り損』として知られるシェイクスピアの戯曲ですが、このミュージカルは、演出の上田一豪さんく「シェイクスピアだってことはいったん忘れて、現代のぶっとんだコメディだと思って観に来てほしい」という、まったく新しい作品になっています。

出演も、村井良大、渡辺大輔、入野自由、大山真志、三浦涼介 という今をときめく若手イケメン俳優に、
沙央くらま、中別府葵、田村芽実、伊波杏樹、樋口日奈 という様々なジャンルで活躍する個性豊かな美女たち!

宣伝ビジュアルもオシャレでゴージャスな雰囲気ですよね。

9月某日、通し稽古を取材してきました。
演出の上田さんのコメントとともに、その様子をお届けします。

LLL1-01_ZZZ6053.JPGLLL1-02_ZZZ5594.JPG
舞台はアメリカのとある高級リゾート地。
大学卒業後5年たち、その間放蕩生活を送っていた国王ファーディナンドと学友のビローン、デュメーン、ロンガヴィルですが、国王は「これから3年間は恋愛禁止、ひたすら勉学に身を捧げる」と誓いをたて、友人たちにもその勅令を出します。しかも「女性は我が宮殿の1マイル以内に近付いてはならない」とまで...!
だが隣国の王女が病の父王に代わり大使として国王に面会に来る約束になっていたため、この時だけ特例として許可が下りたものの、やってきた王女とその友人たちは、国王と学友たちとかつて恋心を抱きあった相手で...!?
「恋愛禁止」の誓いを立てた若者たちが、しかし押さえきれない恋心に振り回されてしまう、コミカルなストーリーです。

 
まず稽古場に入って抱いた感想は「若い!」。
休憩時間もすでに、熱気に溢れています。
上田さんによると「僕の稽古場、だいたいこんなかんじです。ワイワイ仲良くやってます(笑)」

そして稽古場の2階部分にとっても気になるとある小道具が鎮座。この記事の写真にもチラリと写りこんだりしていますが、それは「残念ながら実際には使いません。(劇中で登場する)箱に入らなかったんですよ~」上田)とのこと。とはいえ、ちょっぴり作品を象徴するような? 存在でもあります。

通し稽古の前には上田さんから「今日は "お風呂" もあります」といった説明が。

お風呂!
そう、このミュージカル、ある方の入浴シーンがあります!お楽しみに!!

さて、物語は前述のように、国王が学友たちと「恋愛禁止」の誓いを立てるところからはじまります。

煩悩断ち(?)する男子たち...。グラビア写真といったものから、PS4まで。若者が好きなものをボンボン箱にしまっています。LLL1-11_ZZZ5466.JPG

もっとも未練たらたらなのがビローン=村井良大さん
国王から「じゃあいいよ、帰って」とまで言われてあわててとりなすビローン...。なんだかその気持ち、よくわかります(笑)。
LLL1-12_DSC8054.JPG

↓ 男の子~!
LLL1-13a_DSC8071.JPG

チケット情報はこちら

佃典彦さん.jpg

どーも、名古屋のミラーマンこと佃典彦です。

今回の文学座公演「一銭陶貨」の台本を担当致しました。

さっそくですが「陶貨」って聞き慣れない言葉ですよね。僕も最初「何だそりゃ」って思いました。「陶貨」との出会いはNHK名古屋局の会議室でした。ドラマ担当のディレクターからシナリオをお願いしたい企画があるので来てくれと呼ばれたのです。で、おもむろに出されたのが「陶貨」でした。見た瞬間、「おはじきですか?」と尋ねたところ「いえ、陶貨です・・・一銭陶貨」とディレクター。実は第二次大戦末期、愛知県瀬戸市で製造されたシロモノだとか。「え?陶器のお金ってことですか?」当たり前の質問にディレクターは一銭陶貨にまつわる話を僕にしてくれました。

「昭和19年、金属も足りなくなった日本は家庭からは鍋や釜、もちろん寺の鐘や仏像やあらゆる金属を武器に変えるべく金属供出を断行しました。そしてついにお金もその対象になったのです。金貨・銀貨・銅貨に代わるモノとして選ばれたのが陶器と言うワケです。有田焼の有田、清水焼の京都、そして瀬戸物の瀬戸。この三都市に陶貨製造の命が下ったのです。ポイントは<割れない陶器>・・・当然お金ですから割れたりしちゃったら大変です。しかし当時はまだセラミックなんかありません。

しかもお金ですから富士山やら「大日本帝国」なんて文字やらを小さい中に極印しなければならない・・・。さらには空襲が襲うわ、男衆は兵隊にとられていなくなるわで普通に考えたら新しい技術を開発するなんて状況じゃない。有田と京都は早々に白旗を上げました。しごく当然です。でも瀬戸の職人<窯ぐれ>達は違いました。最後の最後まで苦難と闘って

陶貨を作ったのです。」

話を聞いてなんだかメチャクチャ感動しちゃいました。目の前にある一銭陶貨が誇らしく思えました。だって瀬戸市は僕の住んでる名古屋のすぐ隣なんですから!

しかしながらこの企画は編成上の都合でお蔵入りに・・・。何とかしてどこかでこの瀬戸の職人の意地っ張りの物語を作品に出来ないかと思っていました。

声が掛かったんです、僕に、文学座さんから!これは大チャンスと松本祐子さんにプロットを書いて渡しました。三本書いたっけ。そしてついに「一銭陶貨」は上演される運びとなりました。稽古初日の本読みに顔を出した僕は自分の作品なのにウルルと泣けちゃうシーンもあったりしまして、これはもうステキな意地っ張り達の物語になる事を確信しました。

是非、皆さまご来場下さい!お待ちしております。

稽古初日 写真.jpg▲ 稽古初日に撮影した集合写真

IMG_5008.jpg▲ 2007年『ぬけがら』公演舞台写真

◆公演概要◆

【タイトル】文学座公演 『一銭陶貨 ~七億分の一の奇跡~ 』

作:佃 典彦 演出:松本祐子

【日程】2019年10月18日(金)~10月27日(日)

【会場】紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA

B2ポスターol.jpg

チケット情報はこちら

チケット情報はこちら

■新作ミュージカル『怪人と探偵』 vol.3■


あの怪盗二十面相明智小五郎を題材にした、新作ミュージカル『怪人と探偵』
その稽古場レポートの、ラストとなる第3回をお届けします!

名作詞家・森雪之丞の作・作詞・楽曲プロデュースということで、セリフや歌詞の美しさ、音楽の高揚感はやはりピカイチ!な本作。耽美な舞台作りに定評がある白井晃演出も、ハマること間違いなしの世界観で、期待が高まります。出演は、中川晃教加藤和樹大原櫻子といった実力派たち。kaitan2019-3-21_DSC9674.JPGkaitan2019-3-22_ZZZ2708.JPG

さて前回は、怪人二十面相明智の密な関係性をお伝えしましたが、演じる中川さん&加藤さんも、よく一緒に行動し、動きやセリフの相談、練習をしていました。
例えば、二十面相がステッキを中村警部(六角精児)に突きつけ、彼の行動を制限するという場面。加藤さんが「こんな風に」と実践して、中川さんにアドバイスしていたのです。

ステッキをまず胸の前に突きつけて動きを止める。kaitan2019-3-11_ZZZ2927.JPG


そしてその後、首にステッキを持っていき、後ろから押して動きをコントロールする、といった風に。kaitan2019-3-12_ZZZ2930.JPG


この華麗なステッキさばきに、「さすが!」と唸る中川さん。胸から首に移す動作の素早さといい、惚れ惚れするほど格好良かったです。

チケット情報はこちら

■新作ミュージカル『怪人と探偵』 vol.2■


森雪之丞が作・作詞・楽曲プロデュース、白井晃が演出を務め、中川晃教加藤和樹大原櫻子らの出演で送る、新作ミュージカル『怪人と探偵』

その稽古場レポート、第2回をお届けします。


大怪盗・怪人二十面相と、名探偵・明智小五郎の対決を、一人の女性・リリカの存在を挟み描く本作。
前回は1幕1場の流れをザッとお伝えしましたが、もう少し詳しく稽古の様子を見ていきましょう!kaitan2019-2-01_ZZZ2795.JPG

 

"首飾りを盗む" という犯行予告が届いた博物館で、明智探偵団や警官たちが二十面相の登場を警戒しています。

そして犯行予告の時刻。柱時計の鐘が鳴ったものの、二十面相は現れない......? 動揺する一同。しばし訪れる静寂が、さらに緊張感を煽ります。キャストの息遣いも聞こえるような静けさに、見ている側もドキドキ。

と、ここで、演出の白井さんは、鐘が鳴っている間の緊張感を、さらに高めるようキャストに要求。首飾りを気にしつつ周囲を警戒している様子や、その後、警部の笑い声でフッと緊張が解けるまでの流れを丁寧に説明した上で、「ここは出だしのシーンだし、もっと緊張感が欲しい。今の3割増しくらい、大盛りで。体のキレももっと欲しい!」と訴えかけます。すぐに対応し、さらに熱気を込めて演じてみせるキャストたち。この瞬発力はさすがですね。

チケット情報はこちら

 
ミュージカル俳優として、シンガーソングライターとして、そしてあの大人気ユニット「MonSTARS」のメンバーとして活躍する石井一孝。
彼が原案・作曲・主演を務める"一人芝居ミュージカル"『君からのBirthday Card』が9月15日(日)、東京・浜離宮朝日ホールで上演されます。
IMG_0162.jpg
昨年"Story Live"と銘打ち上演されたこの作品は、もとは石井さんの既存の楽曲から構成した「カタログ・ミュージカル」が出来ないか?という発想からスタートしたそう。

この作品が今年はさらにバージョンアップして、再登場。
作品にこめる思いを石井さんに伺ってきました。

  

◆ 石井一孝 INTERVIEW ◆

ishii_DSC2118.JPG 
――『君からのBirthday Card』、これは昨年初演された、石井さんの一人芝居ミュージカルとのことなのですが、そもそもなぜ "一人芝居ミュージカル" をやろうと思われたのか、そのきっかけを教えてください。

「僕、ミュージカル界にお世話になって27年になるのですが(1992年『ミス・サイゴン』でデビュー)、もともとシンガーソングライター志望だったので、曲を書くのも好きなんです。曲を書くのが好きで、歌を歌うのが好き、芝居をするのが好き。となったらいつかは自分でミュージカルを作りたいと思っていました。その夢は15年くらい前からずっと持っていたかな。でもやっぱりそれはとても労力のいる作業だし、なかなか一歩が踏み出せなかったのですが、『Swing in the Midnight Blue』というアルバムを出した時に、姿月あさとさんとのデュエットソングを入れたんですよ。その時に雑談でそんな話をしたら、ズンちゃん(姿月)が「書けるじゃないですか、オリジナルソングがいっぱいあるんだから」って言ってくれて。つまり、それまでに書いた曲ぜんぶあわせると100曲くらいあるんですよ。その中で気に入った曲で構成して、ストーリーをつけて......いわば『マンマ・ミーア!』方式だよね(笑)。その手があったか! と。それならゼロから作るのに比べたら半分くらいの労力でできる、しかも自分の曲を勝手に使ってカタログミュージカルにする俳優は世界をみてもなかなかないんじゃないか、このヘンテコな感じも俺っぽいんじゃないか、と、やり始めたわけです(笑)」
 
 
―― まず音楽ありきだったんですね。

「そうそう。最初はストーリーもなかった。それで(劇中歌の)『No rain,No rainbows』『夜の雲』『HAPPY BIRTHDAY』、このあたりは昔からライブでよくやっている曲で、これは入れたいな、どうやったら『No rain,No rainbows』を入れられるだろう、というようなところからストーリーを考えていきました。そうしたらやっぱりメインテーマが欲しいな、パーティソングや、『テナルディエ・イン』(レ・ミゼラブルの『宿屋の主人の歌』)みたいな"にぎやかし"の曲、パロディソングも欲しいな、となって、結局半分は新曲、半分は既存曲、という着地になりました」ishii_DSC2083.JPG

<< 前の10件  24  25  26  27  28  29  30  31  32  33  34   >>
アーカイブ

カテゴリー

ジャンル

カレンダー

アーカイブ

劇団別ブログ記事

猫のホテル

文学座

モナカ興業

谷賢一(DULL-COLORED POP)

劇団青年座

劇団鹿殺し

 はえぎわ

柿喰う客

ONEOR8

M&Oplaysプロデュース

クロムモリブデン

演劇集団 円

劇団チャリT企画

 表現・さわやか

MONO

パラドックス定数

石原正一ショー

モダンスイマーズ

ベッド&メイキングス

ペンギンプルペイルパイルズ

動物電気

藤田記子(カムカムミニキーナ)

FUKAIPRODUCE羽衣

松居大悟

ろりえ

ハイバイ

ブルドッキングヘッドロック

山の手事情社

江本純子

庭劇団ペニノ

劇団四季

演劇チケットぴあ
劇場別スケジュール
ステージぴあ
劇団 石塚朱莉