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東野圭吾の初期作品であり、その驚愕のトリックから名作と名高い『仮面山荘殺人事件』がこの秋、初めて舞台化されることに。平野綾、木戸邑弥、辰巳琢郎と注目のキャストが揃う中、脚本・演出を担当するのはこれまでも『容疑者Xの献身』『ナミヤ雑貨店の奇蹟』と東野作品の舞台化を手がけてきた演劇集団キャラメルボックスの成井豊さん。そして山荘に集う人物たちの1人を演じるのは、元乃木坂46メンバーで、グループ卒業後は初めての舞台出演となる伊藤万理華さん。舞台に関するお話をたっぷり伺いました!

  

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――まず成井さんにお伺いしたいんですが、これを舞台化することになった経緯というのは。

成井 単純に、2年ほど前に読んで大感動して。「これをやりたい!」と思ってしまったんですよ。これは山荘に閉じ込められた人々の間で起こる殺人事件なので、舞台にもしやすそうですし。ただ私の場合、そういう「場所が全く動かない、時間もあまり飛ばない」という作品をむしろやらない人間で(笑)。普通は「演劇にしやすい」と言われる作品にはあまり興味を持たない人間なんですよね。となると、この作品を舞台化すると僕らしさが出せないんじゃないか、というのも感じました。

 

――それでも、作品に惹かれたポイントはどこだったんでしょう?

成井 ネタバレになっちゃうので非常に話しづらいんですけど、「真相が分かった瞬間」のヒロインの思いですね。それと同時に、基本的には主人公の樫間に感情移入して読んでますから、彼の気持ちがわかる部分もありますし。この作品はトリックの部分で非常に話題になった作品のようなんですが、東野さんの作品は『容疑者Xの献身』にしろ、トリックの凄さだけでは終わらないドラマの深さを持っている。そこに感動しました。

 

――伊藤さんはこの作品、読まれてどう思われましたか?

伊藤 私、活字が苦手で、普段全く読まない人間なんですけど(笑)でも1日で読んでしまって。それぐらいすっと入ってくるし、先が気になる作品だったんです。だからこの作品に自分が出られるんだ、と思うとすごく楽しみです。でももう雪絵の役を演じることが決まった状態で読んだんですけど、全く共通点もなくて......だからそこはまだ想像ができないですね。

成井 原作の雪絵って、言葉遣いがちょっと現代にそぐわないところがあるよね。今どき、上流階級の人でもあんな言葉遣いしないでしょう、という。だから共通点がない、と感じたんじゃない?

  

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伊藤 そうなんです。

成井 もう30年近く前の作品だからね。僕は2019年でやりたいんですよ、なので今の言葉遣いにアレンジします。そうすれば共通点も見つかると思いますよ。

伊藤 そうなんですね! よかった(笑)。セリフでも言ったことないような言葉遣いだったので......。

 

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昨年上演され好評だった朗読劇「青空」が 8/9(金)より三越劇場にて上演される。

少年と動物の絆を描いた作品を豪華出演者が日替わりで朗読をします。

今回、松井珠理奈さん佐藤晴美さん(E-girls/Flower)鈴木福さんの3名からコメントが到着しました。

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松井珠理奈さん

いろんな役を演じてみたいと思っていましたが、まさか、このような役を演じる日がくるとは思ってませんでした!

わたし自身、動物が大好きで、わんちゃんも飼っていてその存在にいつも癒されています。

人と動物の絆や大切さ、今私たちがこうして暮らすことができている、日々の感謝の気持ちをしっかり込めて演じたいと思います!

佐藤晴美(E-girls_Flower)縮小350.jpg佐藤晴美さん(E-girls/Flower)

悲しい戦いの中、沢山の強い愛に触れることができる素敵な作品だと思いました。

個人的には初めての朗読劇ですが、台本を読んだ時思わず涙してしまった言葉達をしっかりお伝えできるように頑張ります!!

是非楽しみにしていてください!!

鈴木福 縮小350.jpg鈴木福さん

今回初めて朗読劇に参加させていただくことになりました。
素晴らしい方々との共演で、とても緊張しますが嬉しいです!

戦時中に少年と犬の麦、猫の小太郎たちが一生懸命生きていく姿、国を愛す気持ち。

命を大切にする心を声だけで表現するというのは難しいと思うし、なかなかできない経験なので、楽しみながら頑張りたいと
思います!!

ぜひ今年の夏は、「青空」を観に劇場へお越しください。

*************************************************************************

今夏、動物を愛する全ての人に贈る青春物語。

この物語は犬と猫の気持ちが言葉となります。

彼らの本音にクスリと笑ったり、涙したり、心が豊かになったり、温かくなってください!

公演は2019年8月9日(金)~8月18日(日)に東京・三越劇場にて上演。チケットは発売中!

詳細:公式HP https://hounangumi.info/

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■ミュージカル『SMOKE』2019年版 vol.5■
 
 
昨年日本初演され、その濃密な世界観と美しい音楽でたちまち話題となり、多くの熱狂的ファンを生み出したミュージカル『SMOKE』
20世紀初頭に生きた韓国の天才詩人、李箱(イ・サン)の遺した詩と彼の人生にインスパイアされたミュージカルで、たった3人のキャストが、ミステリアスで奥深い世界を作り上げていきます。

今年はキャスト・劇場を変え、6月と7~8月の2パターンで上演中ですが、ひと足先に上演された"大人SMOKE"こと池袋芸術劇場バージョンを経て、いよいよ浅草九劇の〈ORIGINAL CAST〉バージョンも始動しています!

その稽古場を7月某日、取材してきました。
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◆ about『SMOKE』 ◆

李箱(イ・サン)の作品「烏瞰図 詩第15号」にインスパイアされ、その詩のみならず彼の人生やその他の作品群の要素も盛り込み作られたミュージカル。
イ・サンは、才気ほとばしる作風が讃えられる一方で、その独自性と難解さゆえに酷評もされた、両極端の天才詩人。結核をわずらった後、日本に流れつき、そのまま異国の地・東京で27歳の若さで亡くなります。

このミュージカルでは、彼の精神世界を謎めいた筆致で描き、誰も想像できなかった物語が繰り広げられます。
登場人物は、
 詩を書く男「(チョ)」、
 海を描く者「(ヘ)」、
 心を覗く者「(ホン)」
の3名のみ。 俳優の実力も問われる、スリリングな作品です。

 

浅草九劇の〈ORIGINAL CAST〉バージョンは、3つの役どころそれぞれトリプルキャストです。
」...大山真志、日野真一郎、木暮真一郎
」...大山真志、日野真一郎、木内健人
」...池田有希子、高垣彩陽、元榮菜摘
その組み合わせ、なんと27通り!
初演で「海」を演じた大山さんと、「超」を演じた日野さんは、今回は「海」「超」の2役を演じます
これはお稽古も大変そう!

 
その3×3×3の稽古場、どう進めているのかというと、(少なくともこの日は)シーンごとにキャストが入れ替わり、全員でリレーするように、全体を通していました。
 

メインで取材していた時間帯は、「超」=大山さん、「海」=日野さん、「紅」=元榮さんの組み合わせ。
大山さん、日野さんは初演も出演していましたが、初演とは違う役どころを演じているところをちょうど拝見できました!
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オーランド・ブルーム主演、デヴィッド・ルヴォー演出のブロードウェイ版『ロミオとジュリエット』が映画館で上映中です。

 

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本作は、2013年9月にニューヨーク・ブロードウェイで開幕し、ブルームはこの舞台でブロードウェイデビューを果たしました。

オーランド・ブルームと言えば、映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』のウィル・ターナー役や『ロード・オブ・ザ・リング』のレゴラス役で世界的に有名な大スター。

そのブルームがシェイクスピア4大悲劇のひとつ『ロミオとジュリエット』でロミオ役に挑戦した話題の舞台です。

演出は日本でも名の知れた演出家デヴィッド・ルヴォーが手がけました。

演劇ファンには説明不要のルヴォーですが、少しだけ経歴に触れると、トニー賞を受賞したアントニオ・バンデラス主演の『NINE』をはじめ、ジェシカ・ラングの『ガラスの動物園』、日本で上演した、宮沢りえ、堤真一出演の『人形の家』などビッグネームとタッグを組み数々の作品を世に送り出してきました。昨年の草なぎ剛主演『道』の演出は記憶に新しいところ。

そんなプレミアム感満載の舞台を、日本語字幕付きで映画館で鑑賞できるチャンスを見逃す手はないとばかりに、早速映画館へ足を運びました。

 

R&J_gekipia_main.jpg(C)Carol Rosegg

 

『ロミオとジュリエット』は14世紀ごろのイタリア・ヴェローナが舞台として描かれていますが、ルヴォー版では現代を思わせる演出となっています。

例えば、ロミオがバイクにまたがって登場したり、衣裳もTシャツにジーンズという装いでこの物語が現代とどこか地続きになっているかのように感じます。

  

R&J_gekipia_sun.jpg(C)Carol Rosegg

 

オーランド・ブルームのロミオは、登場した瞬間から観客の視線を一気に集め、美しい顔立ちと凛とした佇まいで"モンタギュー家"の一人息子を体現。

誠実さと大人の色気が混在した魅力的なロミオに、ジュリエットがたちまち心を奪われてしまうのは無理からぬことと妙に納得してしまいました。

少しネタバレになりますが、ジュリエットの乳母がロミオのことを悪く言いたいのに、思わず「ハンサム」と口にしてしまう場面は可笑しかったです。

  

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(C)Carol Rosegg

 

敵対する"キャピュレット家"の一人娘ジュリエットは、舞台を中心に活躍している実力派女優のコンドラ・ラシャドが務めます。アフリカ系アメリカ人の彼女は大きな瞳がくるくると動き、活発で可愛らしいジュリエット像を造形していました。

 

R&J_gekipia_mon.jpg(C)Carol Rosegg

 

前半のふたりが恋する場面では、詩のように流麗なセリフがこれでもかと繰り出され、衣裳やセットといった視覚面ではなく、言葉によって甘美なシーンが構築されていました。また、時折挟み込まれるコミカルなセリフや仕草に度々笑いが起こり、この作品が喜劇的要素を含んでいることを改めて実感。観客の感度の高さはさすがブロードウェイですね!

 

演出面では、作品のテーマのひとつである"炎"が効果的に使われていました。
その意味するところは、舞台だからこそ成立する表現方法なのだと思います。

 
今回の上映は、松竹が本場ブロードウェイの舞台を映画館で楽しめるようにと立ち上げた【松竹ブロードウェイシネマ】の第二弾。

東京・東劇では、3週間の限定公開で、大阪、名古屋のほか、全国でもロードショー予定とのこと。公開期間が限定されているようなので、鑑賞される予定の方は事前に公式アカウント等で確認されると良いと思います。

 

<公式アカウント>
https://www.instagram.com/shochikucinema/
https://www.facebook.com/ShochikuBroadwayCinema

▼オーランド・ブルーム主演 ブロードウェイ版「ロミオとジュリエット」予告
https://www.youtube.com/watch?v=TcLi5fhoazY

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7月9日、『実験落語neo~シブヤ炎上まつり2019~』が渋谷の劇場、CBGKシブゲキ!!で開催され、満員の盛況となった。1970年代~80年代に、新作(創作)落語のレジェンドである三遊亭円丈が、渋谷の文化発信基地であった小劇場「ジァン・ジァン」で開催していた新作落語の会を、2016年に復活させ始まった「実験落語neo」。今回で早くも15回目を迎えた。
中でも、三遊亭円丈作の新作落語を出演者たちが演じる、1年に1度の特別な会が<シブヤ炎上まつり>だ。

開場中、ロビーで上演される三遊亭はらしょうによるウエルカム落語の演目も、円丈の代表作「悲しみは埼玉に向けて」。ロビーには人が溢れ、そのままの熱気をもっていよいよ開演。

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トップバッターは、三遊亭粋歌。台風の命名をテーマにした「あきな5号」を披露。本妻派と架空の愛人派の小競り合いをキュートに演じていた。

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2番手は、笑福亭たま。「ご挨拶がわりに」と30秒のショート落語を次々と披露。客席の空気をつかんで、「アマゾンの朝は早い」へ。ホームドラマ的要素のある演目に、自作のギャグを詰め込んだ一席で、客席を笑いの渦に巻き込んでいた。

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次に登場したのは、春風亭百栄。45年ぶりに出所した任侠が現世に戸惑う「イタチの留吉」という演目を披露。留吉が憑依しているかのような高座に、客席がドッと沸いていた。

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仲入り後は、柳家喬太郎が登場。円丈作「82年はバラ色だった」を改作し、「令和元年はバラ色だった」を口演。令和元年を神様のミスで体験できなかった男の話。不思議な話ではあるものの、喬太郎の瞬発力と演技力で、笑いと静寂が一瞬で入れ替わるような、客席をぐっと引き込む魅力的な一席となっていた。

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トリは、全作の生みの親、三遊亭円丈。「奇跡の噺家・柳家ヘレン」を披露。三重苦の噺家が客席の反応を知るため紐を客席に投げ、「面白かったら引っ張って」という、観客参加型落語である。会場が文字通り一体となり、爆笑の渦に包まれたまま、高座を下りた。

自作の落語を持つ実力者が円丈作品を演じているのだが、総じてそれぞれの自作の演目かのような錯覚を覚えると同時に、円丈作品の底知れない発想力を感じられる会となっていた。



<上演記録>
『実験落語neo〜シブヤ炎上まつり2019〜』(第十五回)
2019年7月9日(火)
会場:CBGKシブゲキ!! (東京都)
出演:三遊亭円丈、柳家喬太郎、春風亭百栄、笑福亭たま、三遊亭粋歌


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2018/2019シーズン、小川絵梨子さんが新たに芸術監督に就任してからというもの、全キャストをオーディションで選んだ『かもめ』、名古屋の老舗劇団・少年王者舘の新作『1001』など、魅力的な公演を連発している新国立劇場。

この小劇場で7月11日から上演されるのは、実在の事件や人物を題材にした作品が高い評価を得ている劇団「パラドックス定数」の野木萌葱さんが書き下ろした『骨と十字架』。その稽古場におじゃましました。

物語の中心となるのは、北京原人の頭蓋骨の発見に関わった古生物学者、ピエール・テイヤール・ド・シャルダン。彼はすぐれた学者であると同時に進化論を否定するキリスト教の教えに従う司祭でもありました。信じる二つのものが相反するとき、どうすればよいのか。その苦悩を男たちの研ぎ澄まされた会話で描く骨太の作品です。

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稽古場には、さまざまな高さの燭台が4つ。クラシックな椅子も置かれています。イエズス会本部の部屋を表したセットです。

5月末からスタートした稽古では本読みの時間をたっぷりと取ったとのことで、私たちがうかがったのは立ち稽古がはじまってから1週間ほど経った頃でした。

この日稽古されていたのは、近藤芳正さん演じるラグランジュと主人公テイヤールが対立するシーン。キャストは布をたっぷりと使った司祭の衣装をつけていますが、これは稽古用のものだそう。

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演出の小川さんが声をかけると、静かに稽古場中央に進み出たふたりが、そのまま静かに稽古をはじめました。冒頭、ふたりとも表面的には冷静に会話を進めます。けれども少しずつ空気が緊迫していき、とうとう決裂してしまいます。部屋を飛び出たテイヤールに、伊達暁さん演じるリサンが寄り添い、理解を示すところも次の幕につながる重要な場面です。激昂する近藤さんとの対峙と、穏やかな伊達さんの登場。テイヤールの未来はどうなるのか、観客がぐっと引き込まれるであろうやりとりが続きます。

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一旦通したあと、「じゃあ見ていきましょう!」と明るく声をかけた小川さん。「この会話で空気が変わるところが3,4箇所あります」と具体的に説明していきます。

神を信じていると同時に進化論も確かなものと思っているテイヤール、その両立はありえないと考えるラグランジュ、お互いのフラストレーションが爆発する引き金となるセリフを解説し、「この言葉を、どれだけの覚悟で発しているか」と語ります。

「いまのテイヤールの発話は砂利のような感じ。でも、この人の言葉の届き方は、コットンくらいじゃないかな」とたとえながら伝える小川さん。休憩中も、このシーンについて話し合うキャストたち。このシーンをしっかりつくりあげようという気迫が稽古場に満ちていました。

自分の信じるものが否定される苦しみ、それでも研究の道を進まずにはいられない学者の性。テイヤールの揺れ動く姿は、観る者の心をおおきく揺さぶるに違いありません。

「骨と十字架」は公演中です!

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ケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下KERA)さんの代表作を、新演出&新キャストで上演するシリーズ企画「KERA CROSS」。その第1弾『フローズン・ビーチ』が間もなく開幕します。そこで現在、都内某所で行われている稽古の様子をレポート。その連載企画の第3弾です。

今回注目するのは、双子の姉妹・愛と萌のふた役を演じる花乃まりあさん。

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元宝塚歌劇団の花組娘役トップで、退団後はドラマ『越路吹雪物語』で2018年に女優デビュー。演出の鈴木裕美さんとは、『二十日鼠と人間』(2018年)以来、2度目の顔合わせになります。

この日は第2場を稽古中。義母の咲恵と愛がふたりで暮らす別荘に、愛の友達の千津と、その親友の市子が8年ぶりにやって来ます。ここから...。

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こうなった経緯は本番を楽しみにしていただいて...。

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なんでもないはずの日常が、突如大きくうねり出すのはKERAさんの脚本ならではです。

そしていったん退場していた愛が、血のついた包丁(!)を持って再び登場。物語は一気に緊張感を増していきます。

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千津、市子、咲恵に比べれば、花乃さん演じる愛は、裕美さんいわく「元々のつくりが一番おバカに出来ていない」女性。それゆえ一番周りに翻弄されてしまう女性でもあります。実は花乃さん、別のキャストが体調不良のため、急遽代役を任せられたのですが、稽古参加初日にはすでにすべてのせりふが完全に入っていたそう。その真面目さ、演じることへの真摯な姿勢は、愛の真っすぐさにも通じるものがあります。

そんな愛がブルゾンちえみさん演じる市子に包丁を!

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第2場の冒頭からここに至るまでの激動の展開に、稽古とはいえ一時も目が離せません! 中でもこのシーンでは、これまで周囲に翻弄されてばかりいた愛が、初めて主導権を握り物語を動かしていきます。

そしてここは愛と市子の体を張ったやり取りが多いシーン。そのため流れを止め、細かく動きの確認をしていきます。

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お客さんに見えやすいことはもちろん、俳優がケガをしないことも舞台ではとても大切。そのため演出の裕美さんも一緒に、一見簡単なような動きでも、ひとつひとつしっかりと確認をしていきます。

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ちなみにレポートの第2弾で、裕美さんの演出シーンのひとつとして紹介したある動き。実は愛の動きで、花乃さんが実際にやるとこんな感じ。

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説明は出来ないけれどもとんでもなくおかしい。そんなKERAさんらしい笑いを象徴するシーンですが、花乃さんが真面目に、美しくやればやるほど、そのおかしみは増していくようです。

この『フローズン・ビーチ』は、KERAさん作品によく見られる、ありそうでないこと、なさそうであることが融合し、絶妙なバランスの上に成り立っている作品。それを作者のKERAさんではない裕美さんが演出し、ナイロン100℃の劇団員ではないキャスト陣が演じることは、とても難しいはずです。しかし今回見学させてもらって感じたのは、そんなこちらの不安を払拭するような、前向きで創造的なスタッフ、キャスト陣の姿勢。改めてこの名作をまた劇場で楽しめることが、グッと楽しみになりました。

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取材・文:野上瑠美子

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演出・脚本を三浦 香、脚本を伊勢直弘、振付を當間里美、楽曲制作をAsu(BMI Inc.)という『Club SLAZY』シリーズのスタッフが再集結した完全新作オリジナル舞台『Like A(ライカ)』
'18年2月の初演、'19年1月の第二弾に続き、この8月に第三弾となるroom[003]が上演されます!

海沿いの静かな街に立つ一軒の高級ホテル『PERMANENT』で働く人々の謎に満ちたストーリーは、第二弾でさらに謎を呼び、今回、果たしてどこにいくのか......。※詳細はコチラ

というわけで、1作目から出演するBB(ビービー)役の辻凌志朗さん(※「辻」は一点しんにょう)、インスペクター役のSHUNさんキーパー役の中谷優心さんアッシャー役の髙﨑俊吾さんにお話をうかがいました!

*****

――今回3作目が決まってどうでしたか?
髙﨑 『Like A』の現場はすごく刺激的なのでまた参加できるのが楽しみです。どんなストーリーになるのかとても気になっているので、台本はよ!って感じですね(笑)。

――刺激的ってどんな現場なんですか?
髙﨑 キャストもスタッフの方もクリエイティブな人が多いんですよ。だからひとつの舞台をつくるというより"作品"をつくっているような感じがあって。大変ですけど刺激的です。
 僕はついこの間、初演をやっていたような気がして、もうroom[003]なのかということに驚きました。前作で深まった謎も明らかになった謎もあって、ミステリーとしては今作は重要なところになるんじゃないかなと思っています。まあ、僕の予感なんですけど(笑)。
SHUN (笑)。僕は続編というものが初めてだったので、room[002]に入るときに「みんなとの関係も深まっているしエンジン全開でやれる」と思っていたのですが、実際にやってみると逆に「まだできる」という気持ちがうまれました。room[003]はそこを超えていけるんじゃないかなって思います。

――「まだできる」という気持ちが生まれたんですね。
SHUN そうですね。前作で怒られまくったので(笑)。まだいけるんだろうなって。
中谷 思い出したくない(笑)。
SHUN 幼馴染4人(辻・SHUN・中谷・バトラー役の石賀和輝)のシーンでけっこう手こずったんですよ。みんな稽古場からへこみまくって帰ってたから(笑)。でもそのときにすごくもがいたので、それが役の厚みにもなっていると思いますし、今回成長したところを見せられる機会があるのはすごく嬉しいです。
中谷 僕は香さんの演出で、Asuさんの曲を、里美さんの振付でやれるのは本当に幸せだなと思っています。俳優としてもアーティストとしても。

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ケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下KERA)さんの代表作を、新演出&新キャストで上演するシリーズ企画「KERA CROSS」。その第1弾『フローズン・ビーチ』が間もなく開幕します。そこで都内某所にある稽古場にお邪魔しました。

第1弾のレポートに引き続き、第2場の稽古中。鈴木杏さん演じる千津、花乃まりあさん演じる愛、シルビア・グラブさん演じる咲恵のもと、市子役のブルゾンちえみさんが登場します。

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キャリアウーマンネタで大ブレイクしたブルゾンさんですが、俳優として舞台に立つのはこれが初。ただ舞台を観ることは今までも大好きだったそうで、これが念願の初舞台となります。

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演じる市子は千津の親友であり、言動に突飛なところもある人物で、非常に難しい役どころですが、ブルゾンさんはお笑いタレントさんとはいえ、笑いに寄せていくようなことはしません。とにかく役に、作品に真摯に取り組んでおり、それでいて市子が持つ違和感のようなものもじんわりと滲ませます。

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演出は鈴木裕美さん。俳優さんへの熱のこもった指示だしの様子を見ると、多くの俳優さんから信頼を寄せられているのも、なるほど納得です。

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裕美さんの演出にはよく例えが登場します。「あごめんなさい!」という千津のセリフに対しては、「"冷蔵庫の野菜ジュース飲んじゃった!"くらいのノリで」など、身近な事柄から、誰にとってもイメージしやすい、絶妙な言葉を選んで俳優さんを導いていきます。

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また「これどういうことなんだろうね?」など、わからない点に関しては俳優さんに問いかけつつ、一緒に正解を見つけようとディスカッションを重ねていきます。KERAさんの戯曲は理屈ではない部分も多く、答えを出しづらいところもあるようですが、「これがKERAさんのミソなんだと思う」といった言葉も聞かれ、この難題を全員で少しずつ切り崩していく様子も見られました。

ちなみにこれ、どのシーンかわかる人は相当なナイロン100℃好き。

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このように裕美さんは演出家席でじっとしていることなく、自らどんどん動きながら作品を構築していきます。またこれは完全に余談ですが、裕美さんが俳優さんに向かって話している時、突如裕美さんのSiriが反応、「トカゲの~」と話し始めました。もちろん稽古場全員が爆笑。どうやら裕美さんの「人影」という言葉を拾ったようで、こんなミラクルな笑いが起きるのも、裕美さんのキャラクターゆえではないでしょうか。

もちろんそんな風通しのいい稽古場は、どんどん作品を進化、そして深化させていくのです。

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第2弾はここまで。第3弾では、双子の姉妹・愛と萌を演じる花乃さんに注目してレポートします!

取材・文:野上瑠美子

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ケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下KERA)さんがこれまでに書き下ろした膨大な脚本から、珠玉の名作をピックアップ。そこに新たな演出家、出演者をかけ合わせ、再構築するというシリーズ「KERA CROSS」がついに始動します。その第1弾に選ばれたのは、第43回岸田國士戯曲賞を受賞した傑作『フローズン・ビーチ』。1998年、2002年とナイロン100℃の本公演として上演された、まさにKERAさんの代表作です。

今回演出を任されたのは、KERAさんからの信頼も厚い鈴木裕美さん。ストレートプレイからミュージカルまで、幅広く手がける名演出家です。

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4人のキャストには、非常にバラエティ豊かな面々がそろいました。まずはKERAさん作品には2度出演経験のある実力派の鈴木杏さん。

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キャリアウーマンネタで大ブレイクしたブルゾンちえみさん。

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元宝塚歌劇団花組トップ娘役の花乃まりあさん。

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ミュージカルを中心に圧倒的な存在感を見せるシルビア・グラブさん。

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その仕上がりがまったく予想出来ないのと同時に、妙にワクワクするこの組み合わせからも、KERA CROSSならではのチャレンジングな姿勢が伺えます。

その化学変化がいかなるものなのか。稽古場にお邪魔させていただき、気になる創作過程の様子を3回にわたってレポートします!

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まず物語の舞台となるのは、カリブ海と大西洋の間に浮かぶリゾートアイランドにある別荘。ここは双子の姉妹・愛と萌の父親・梅蔵の持ち物であり、梅蔵には盲目の咲恵という後妻がいます。その別荘を訪れたのが、愛の旧友の千津と、その幼なじみの市子。彼女たちを巡る、16年に渡る愛憎のストーリーです。

本作は第1場が1987年、第2場が1995年、第3場が2003年と、8年ごとの物語が展開されていきます。この日は第2場から稽古スタート。花乃さん演じる愛とシルビアさん演じる咲恵が、楽しげに会話を弾ませています。

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咲恵は盲目でありながらとても大らかで前向きな女性という設定。明るい性格のシルビアさんにはぴったりの役どころです。またKERAさん作品への参加はこれが初めてのシルビアさんですが、三谷幸喜さん作品の常連でもあり、やはりそのコメディセンスは抜群。KERAさんと三谷さんでは笑いの質は大きく異なりますが、セリフの掴み方や間合いが絶妙で、KERAさんの戯曲にもしっくりなじんでいます。

そこに現れたのは、愛と咲恵とは8年ぶりの再会となる、杏さん演じる千津。

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愛と咲恵の関係性同様、話し方や雰囲気が第1場の千津とは大きく異なります。もちろんある理由があってのことなのですが、ヒントは1995年という時代。このあたりのチョイスが、KERAさんならではの強烈な皮肉とユニークさと言えます。

杏さんの芝居がうまいのは今さら言うまでもありませんが、これまでにナイロン100℃『社長吸血記』(2014)、KERA・MAP『修道女たち』(2018)とKERAさんの演出を2度経験。そのため脚本の読み込みが深く、的確なので、シーンがどんどん面白くなっていきます。

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ちなみにこちらは愛と咲恵を出し抜いて得意満面の千津。この何秒か前とのギャップがとてつもなくおかしいのです。

IMG_5155.jpgひとまず第1弾はここまで。第2弾では初舞台のブルゾンさんについて。また第3弾では急遽出演が決定した花乃さんについて細かくレポートします!

取材・文:野上瑠美子

撮影:石阪大輔

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