『仮面山荘殺人事件』成井豊✕伊藤万理華対談「"チーム感"を出していきたい」

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東野圭吾の初期作品であり、その驚愕のトリックから名作と名高い『仮面山荘殺人事件』がこの秋、初めて舞台化されることに。平野綾、木戸邑弥、辰巳琢郎と注目のキャストが揃う中、脚本・演出を担当するのはこれまでも『容疑者Xの献身』『ナミヤ雑貨店の奇蹟』と東野作品の舞台化を手がけてきた演劇集団キャラメルボックスの成井豊さん。そして山荘に集う人物たちの1人を演じるのは、元乃木坂46メンバーで、グループ卒業後は初めての舞台出演となる伊藤万理華さん。舞台に関するお話をたっぷり伺いました!

  

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――まず成井さんにお伺いしたいんですが、これを舞台化することになった経緯というのは。

成井 単純に、2年ほど前に読んで大感動して。「これをやりたい!」と思ってしまったんですよ。これは山荘に閉じ込められた人々の間で起こる殺人事件なので、舞台にもしやすそうですし。ただ私の場合、そういう「場所が全く動かない、時間もあまり飛ばない」という作品をむしろやらない人間で(笑)。普通は「演劇にしやすい」と言われる作品にはあまり興味を持たない人間なんですよね。となると、この作品を舞台化すると僕らしさが出せないんじゃないか、というのも感じました。

 

――それでも、作品に惹かれたポイントはどこだったんでしょう?

成井 ネタバレになっちゃうので非常に話しづらいんですけど、「真相が分かった瞬間」のヒロインの思いですね。それと同時に、基本的には主人公の樫間に感情移入して読んでますから、彼の気持ちがわかる部分もありますし。この作品はトリックの部分で非常に話題になった作品のようなんですが、東野さんの作品は『容疑者Xの献身』にしろ、トリックの凄さだけでは終わらないドラマの深さを持っている。そこに感動しました。

 

――伊藤さんはこの作品、読まれてどう思われましたか?

伊藤 私、活字が苦手で、普段全く読まない人間なんですけど(笑)でも1日で読んでしまって。それぐらいすっと入ってくるし、先が気になる作品だったんです。だからこの作品に自分が出られるんだ、と思うとすごく楽しみです。でももう雪絵の役を演じることが決まった状態で読んだんですけど、全く共通点もなくて......だからそこはまだ想像ができないですね。

成井 原作の雪絵って、言葉遣いがちょっと現代にそぐわないところがあるよね。今どき、上流階級の人でもあんな言葉遣いしないでしょう、という。だから共通点がない、と感じたんじゃない?

  

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伊藤 そうなんです。

成井 もう30年近く前の作品だからね。僕は2019年でやりたいんですよ、なので今の言葉遣いにアレンジします。そうすれば共通点も見つかると思いますよ。

伊藤 そうなんですね! よかった(笑)。セリフでも言ったことないような言葉遣いだったので......。

 

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――伊藤さんは今回、乃木坂46を卒業して初の舞台出演ですよね。グループ時代にも演劇作品には出演されていますが、演劇、舞台への印象は?

伊藤 最初にやったのが『プリンシパル』という、サバイバル形式のちょっと特殊な舞台だったんですね。なのでみんな舞台に恐怖心を抱いてしまって(苦笑)。そこを乗り越えるのに時間がかかったんですけど、でも私はそんな中でも「こんな世界があるんだ!」っていい意味でたくさん刺激をもらったんです。その後に出た『すべての犬は天国へ行く』も、『墓場、女子高生』も、どちらも大変なことはありましたけど、2つとも大好きで。特に『すべての犬〜』で一緒に共演したメンバーとは、今でも仲がいいんですよ。

 

――この瞬間が楽しい! というのはありますか?

伊藤 皆さんとコミュニケーションが取れて、なんかこの舞台の空気感が分かってきたな、グルーヴ感が出てきたな、というときって「行ける!」って思うじゃないですか。そういう"チーム感"が好きというか、やりたかったことでもあって。だから今回もみなさんのチーム感に、きちんと自分が乗ることができれば、と思います。

 

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成井 そこは大丈夫ですよ! 特にキャラメルボックスからは主役経験者を集めましたし、頼りになるメンバーばかりですから。ちゃんと周りを見てアシストしてくれるはずです。

 

――伊藤さんはダンスが得意とのことで、身体を使う舞台は合っていそうですね。

伊藤 身体は常に動かしてたいタイプなんです。でも雪絵はそういうシーンがなさそう(笑)。

成井 今回はダンスシーンがないからね。このメンバーを集めて歌もダンスもないという(笑)。

 

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――ストレートプレイに近い感じになるんでしょうか?

成井 でもリアリズムだけでつくっちゃうと、多分面白くないんですよね。やはり自分の趣味もありますけど、テンションとスピード、そこは多少誇張すると思います。でも、演劇ってそういうものだと思うんですよ。

伊藤 私、最近舞台をなるべく観に行くように心がけてるんですけど、体と発するセリフがぴったり一致している人を見ると、すごく見てて気持ちいいんです。なんだかダンスに近いというか、リズム感というのを自分の中で作っているのかな、と思うことがあって。

成井 その通り! 舞台ではリズム感って重要で、映像の場合は監督が編集してくれるけれども、舞台は役者がセリフで作らなきゃいけない。だから本当にリズム感が大事なんですよ。映像のリアリティと、演劇はまた別だから。

伊藤 わかります。別ですよね。

成井 現実の再現なんてナンセンスです!(笑)

伊藤 あとファンの方に今よく聞かれるのは、原作読んでから観たほうがいいのか、観てから読んだほうがいいのか、ということなんですけど。

成井 これは......読まないで来てほしいなあ。ぜひこの衝撃を劇場で味わってほしいし、観たあとにタイトルの意味とかいろいろわかるんですよ。観てから読むと倍楽しめますよ、素晴らしいセリフでも泣く泣くカットしたところもある。芝居観てびっくりして、小説読んで納得して。2回楽しめます!

 

――成井さんは演劇集団キャラメルボックスが活動休止になり、最初の公演になりますよね。気になっているファンの方も多いと思うので、メッセージをいただけますでしょうか。

成井 この公演の企画自体は2年前に始まっていて、たまたまこのタイミングになってしまった、だからこの作品の稽古、本番ができることに関しては「ようやく」という気持ちです。でも劇団が活動休止になってしまい、そのときにはいろいろなことを考えました。ファンの皆さんを裏切る形になりましたし、自分が芝居を続ける事が本当に出来るのか......そういう心配も実はありました。それはこの公演が終わった後にもやっぱり続くと思います。この作品では、芝居に対する愛情や志みたいなものを失わず、これからもやり続けていく、そんな自分の姿勢を出すつもりですし、それをお客様に観ていただきたい。いつも以上に頑張らなければ、と思っています。

 

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取材・文:川口有紀

撮影:桑原克典

 

 


 

【公演スケジュール】

舞台「仮面山荘殺人事件」

2019/9/28(土) ~ 10/6(日) サンシャイン劇場 (東京都)
2019/10/11(金) ~ 10/13(日) サンケイホールブリーゼ (大阪府)
2019/10/19(土) 新潟市民芸術文化会館 劇場 (新潟県)

  

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