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傑作小説が舞台化!多部未華子が蜷川演出に挑む
世界的なベストセラーで、2010年に映画化され話題となった、カズオ・イシグロの小説『わたしを離さないで』が、蜷川幸雄演出により舞台化される。ある運命を抱えながら寄宿学校で育った男女3人の、揺れ動く感情、関係性の変化を鋭く描いた作品。その中で、主人公・八尋を演じる多部未華子が、本作に挑む心境を語ってくれた。
本作は蜷川自身が好きな作品で、多部をはじめ、共演の三浦涼介、木村文乃の3人とも、蜷川が希望したキャスト。多部も「いつかご一緒させていただきたいと思っていた」と話す。「蜷川さんの舞台は、舞台に立っている方全員がイキイキしているように見えるし、難しい作品でも視覚的に素晴らしいので楽しくなりますよね。私もいつか、蜷川さんの舞台に立てたらいいなと思っていたので、早い段階でそれが叶ってすごく嬉しいです」。
多部は野田秀樹原作の『農業少女』、宮本亜門演出の『サロメ』、松尾スズキ演出の『ふくすけ』に続き、約1年8ヶ月ぶりの舞台出演。久しぶりの舞台に「課題がいっぱい」と苦笑い。「発声、キャラクター作り、感情の出し方、舞台に立ったときの基本的なことからすべてが課題です。でも、一番最初に、蜷川さんが何をやってもいい自由な空気を作ってくださったので、とにかく感じたまま演じています」。
小説をもとに、脚本家・倉持裕が舞台を日本に変えて描いた本作。多部は、原作を読み、映画も観たうえで舞台に挑んでいるという。「舞台では、物語の流れや感情の揺れ動く様子などの、原作の持つ良い部分を大事にしていると思います。舞台美術や空間作りは蜷川さんならではの雰囲気で、良い意味で原作のイメージを覆しているのではないかな。ビジュアル面でも面白いなと思っていただけたら嬉しいです」。
また、演じる八尋については「感情を抑制している女の子」と捉える。「喜怒哀楽があまりなくて、感情に波がないんです。それを舞台で観ると、すごく単調になってしまうのではないかなと思うので、心の中にある苛立ちや悲しみをどう表現していくか、稽古で探っていきたいと思います。蜷川さんからは、何かを背負っている雰囲気を出しながら、青春時代の若者らしく、ハツラツと演じてほしいと言われているので、その空気感を大事にして演じていきたいですね」。過酷な運命に翻弄されながらも、しっかりと舞台で生きる彼らの姿に、生きることについて考えずにはいられないだろう。
取材・文:黒石悦子
■『レディ・ベス』世界初演への道 vol.9■
ついに開幕した『レディ・ベス』、大作ミュージカルらしく、見どころがいっぱいの作品になっていますね!
この作品を多角的に追っている当連載ですが、"世界初演"を作り上げるスタッフワークについてもお届けしたく、美術・二村周作さんに続き、本日は衣裳・生澤美子さんのインタビューをお送りします。
●プロフィール●
コスチュームデザイナー。1973年、東京都出身。文化服装学院を卒業後、チャコット(株)に7年間勤務。在職中に、テーマパークのパレードコスチュームや、有名アーティストのコンサートの衣装等から、国体やイベント、バレエ、ミュージカルの衣装のデザイン・制作、鴨川シーワールドのユニフォームのデザイン・制作などを担当する。2003年渡米後、独立。Shigeru Yaji 氏に師事し、主にカルフォルニアで活動。(オフィシャルHP)
●生澤美子氏 インタビュー●
――まずは生澤さんご自身のことを伺わせてください。チャコットにお勤めでいらして、そのあとアメリカに留学されたんですね。
「はい。チャコット時代はデザインから製作から、何でもやっていました。お店にも立っていましたよ(笑)。その中で、日本で有名な某テーマパークのパレードの衣裳製作に関わりまして、パークの立ち上げのタイミングでしたので、デザイナーさんがたくさんアメリカからいらっしゃったんです。そこであまりに素晴らしい衣裳と素晴らしいデザイン画と素晴らしいスタッフに会ってしまって、アメリカに行こうと決めました。その来日したスタッフの中に、ブロードウェイミュージカル『ピーターパン』の立ち上げの際のデザインをすべてやっていらしたShigeru Yajiさんがいらして、その後カリフォルニアで彼のプロジェクトに色々と参加させていただきました」
■『レディ・ベス』世界初演への道 vol.8■
クンツェ&リーヴァイの新作ミュージカル『レディ・ベス』世界初演、いよいよ開幕!
この作品を多角的に追っている当連載ですが、"世界初演"を作り上げるスタッフワークについてもお届けしたく、本日は美術・二村周作さんのインタビューをお送りします。
●プロフィール●
武蔵野美術大学造形学部空間演出デザイン学科卒業。ロンドンセントマーチン・カレッジオブアートアンドデザイン修士課程取得。2002年には文化庁在外研修員としてロンドン、チューリヒに留学。2011年にはミュージカル『キャバレー』の成果に対し第38回伊藤熹朔賞(舞台美術をはじめ各芸術分野において顕著な功績のあった人に贈られる賞)本賞、2013年に紀伊国屋演劇賞(個人賞)、2007年に読売演劇賞最優秀スタッフ賞を受賞するなど、日本を代表する舞台美術家である。現在玉川大学パフォーミングアーツ学科非常勤講師。
●二村周作氏 インタビュー●
――まず、二村さんはなぜ<舞台美術>の世界に入られたのでしょうか。
「もともと舞台が好きで、大学生の時はいわゆる"劇研(演劇研究会)"に入っていました。役者に憧れた時期もありましたよ(笑)。でも絵が好きで、美大に進んでいたんですね。ですので、美術と演劇と両方関われる仕事...となると、やっぱり舞台美術の道に進んでいきました。それに、子供の頃から祖母に連れられてよく歌舞伎を観に行っていまして、"きれいなもの"を見る機会があったことから、そういうものに憧れたのだと思います」
■『レディ・ベス』世界初演への道 vol.7■
ミュージカル『レディ・ベス』が4月11日・12日のプレビュー公演を経て4月13日、東京・帝国劇場にてついに開幕しました。
開幕ニュースはコチラにも掲出しましたので、併せてご覧ください。
4月13日の初日は、カーテンコールで出演者によるご挨拶もありました。
まずはロジャー・アスカム役、山口祐一郎さんの
「本日は世界初演ミュージカル『レディ・ベス』にご来場たまわり、まことにありがとうございます。この若葉萌える季節にぴったりの若々しい主役のおふたりに今日は初日のご挨拶をしていただきたいと思います」というご紹介で。
主人公、レディ・ベスを演じた平野綾さん。
「この日を迎えられたことがまだ夢のようで、信じられない気持ちでいっぱいです。ベスの役作りのために色んな本を読んだり、彼女がどんな考えを持っていたんだろうと考えたりすればするほど、自分が未熟なことに気付かされました。ベス、そして『レディ・ベス』という作品で、私も成長させていただいたと思います。今日はやっと始まったばかり。ここからまだ長いので、その中で、もっともっとみなさまに良いものをお届けできるように成長していきたいと思います。この"0番(センター位置)"に立たせていただくということは、すごく責任のあること。至らないことばかりですが、ここにいるキャストの皆さん、スタッフさんに支えられて今、ここに立たせていただいていると思います。これから『レディ・ベス』が皆さんに愛される作品になればいいなと思います」
とうっすら目に涙を浮かべながらご挨拶。
ロビン・ブレイク役、山崎育三郎さん。
「今日この日、この瞬間のために、脚本のクンツェさん、作曲のリーヴァイさん、小池修一郎先生、本当に多くの先生方、スタッフの皆さま、そして尊敬するキャストの皆さま、オーケストラの皆さま、本当に皆で心ひとつにしてここまでやってきました。これからまだまだ長いですが、皆さんに愛される作品になるように、日々カンパニー一同進化しながら、この作品を高めていきたいと思いますので、ぜひまた劇場にお越しください」。
ミュージカル『レディ・ベス』ついに開幕!の続きを読む
■『レディ・ベス』世界初演への道 vol.6■
ミュージカル『レディ・ベス』いよいよ明日、プレビューが開幕します!
そんなタイミングではありますが、稽古場レポートの第3弾を更新!
本日はヒロイン・ベスを中心としたシーンをお届けします。
本日はヒロイン・ベスを中心としたシーンをお届けします。
のちのエリザベス1世、レディ・ベスは、平野綾さんと花總まりさんのWキャスト。
開幕直前イベントで、石丸幹二さんが「稽古場からアスカムはあごひげを着けている」と仰っていましたが、ベスも稽古場の段階からカツラをつけていました。
腰まで届くロングのカツラを被るWベス、お人形さんのように可愛い。
そして髪には黄色い花の髪飾りが。
こちらもイベントで、この花は<イモーテル>であり、物語の重要なファクターになっているとの説明がありましたが...。
イモーテル、和名では永久花。
永久に枯れない花...どんな形で登場するのでしょう。想像がかきたてられます!
『レディ・ベス』稽古場レポート vol.3の続きを読む
■『レディ・ベス』世界初演への道 vol.5■
プレビュー開幕まで1週間を切りました!
ミュージカル『レディ・ベス』稽古場レポート、本日はロビンのシーンと、メアリーのシーンを中心にお届けします。
吟遊詩人であり、ベスの恋人になるロビン・ブレイクは山崎育三郎さんと加藤和樹さんのWキャスト。
ロビンについては、おふたりのインタビューも掲載していますので、そちらもご覧ください。
で、そのインタビューでも語られていましたが、ロビン、手にはリュートを持っています。
こちらは山崎育三郎さん。
朗らかなナンバーで、フォークロア的な懐かしさもある曲調です。
今回の『レディ・ベス』は作曲のシルヴェスター・リーヴァイさんがケルト音楽の要素を取り入れたと仰っていましたが、さっそくそんな風が感じられます。三和音の伴奏とか。
ワクワクしてきます!
『レディ・ベス』稽古場レポート vol.2の続きを読む
■『レディ・ベス』世界初演への道 vol.4■
ミュージカル『レディ・ベス』の開幕を首を長くしてお待ちの方も多いかと存じます。
先日の<開幕直前スペシャルイベント>で、その世界観の一端を覗くことができましたが、世界初演となるこの作品、キャスト・スタッフの皆さまがどうやって作り上げているのか。
そんな制作現場を少しだけですが、お届けしたく、
げきぴあ、3月某日にお稽古場に伺ってまいりました!
編集担当も初の稽古場...。
ドキドキワクワクです。
...アレ、意外と普段(ほかの現場)と変わらない?
和やかだし、みなさんマイペースに自分のことに取り組んでいるよう。
と思ったのですが、この稽古場の"スゴさ"に、のちのち気付くことに...!
『レディ・ベス』稽古場レポート vol.1の続きを読む
■『レディ・ベス』世界初演への道 vol.3■
日本でワールドプレミアの幕を開けるミュージカル『レディ・ベス』。
4月11日(金)の開幕も近づいてきました。
物語は、約45年もの長きにわたって英国女王として繁栄をもたらしたエリザベス1世が主人公。
父王・ヘンリー8世の娘として生まれながらも、女王即位まで波乱の半生を歩んだ彼女の青春時代を描きます。
これを、『エリザベート』『モーツァルト!』を生み出したクリエイター、ミヒャエル・クンツェとシルヴェスター・リーヴァイが手掛ける超・話題作です。
この作品で、ヒロインであるレディ・ベスの恋人ロビンをダブルキャストで演じる山崎育三郎&加藤和樹のふたりに話を伺ってきました。
●山崎育三郎&加藤和樹 インタビュー●
――いよいよ『レディ・ベス』が動き出していますが、稽古場の雰囲気はどんな感じでしょう?
加藤「顔寄せの次の日から、もう立ち稽古に入りました」
山崎「急に立ち稽古に入りましたね~! やはり世界初演ですから、変更...というか「これはやっぱりこっちにしよう」「メロディはこっちに変えよう」「キーはやっぱりこの高さで」とかの調整もどんどん入る。でもそういうものにもすぐ対応できるような状況になっています。全員で、ワールドプレミアに向けて作っている、という熱気があります」
加藤「アンサンブルさんも、(演出の)小池さんが役のオーディションを稽古の中でやっていくんですよ。「このセリフを言ってみて」とか。そういう部分も、ひとりひとり能力を見て、適材適所で選ばれている。そういう現場ってなかなか僕は知らないので、新鮮です。現場で生まれるものがすごく多い」
――その中でおふたりが演じるのは、吟遊詩人のロビンという役です。彼はどういう人物なのでしょうか。
加藤「なんか...本当に自由です。細かいことは考えない、常に前向き。子どもみたい」
山崎「自分は自分。人と比較したりしないし、自分の生き方を見つけて、ポジティブに楽しく人生を生きていこうよ、っていう人。だからベスに会って、彼女が王族の人だとわかっても、彼女に対する態度も、言葉遣いもそんなに変わらない」
加藤「ハタから見たらすっげえ失礼なヤツですよね、王家の人間に対して(笑)。でも彼にとってはみんな平等なんです」
山崎「うん、誰だろうと関係ない。貧しい人だろうと王女さまだろうと。身分とかお金持ちだとかじゃなくて、君は人としてどういうヤツなの、俺はこういうヤツだよ、って向き合う人です。そんなロビンの生き方に惚れて付いてきている3人組の男の子がいて、彼らを引き連れて、パフォーマンスしたり歌ったりジャグリングしたり大道芸人のようなことをしながら自由に楽しく生活しています」
■『レディ・ベス』世界初演への道 vol.2■
日本の地で世界初演の幕をあける大作ミュージカルとして注目を集めている『レディ・ベス』。
3月23日、帝国劇場で「開幕直前スペシャルイベント」が開催されました。
登壇者はメインキャスト14名そろい踏み!豪華です。
開幕を心待ちにするファン1000人の前で、楽曲披露やトークショー、プレゼント抽選会が行われました。
ひとあし先にニュース配信した記事はコチラ。
違うカットのお写真でのご紹介ですので、こちらもチェックしてみてください。
イベントは、まずは楽曲披露からスタート。
♪「神に見放されて」
メアリにー捕らえられたベスが死に怯え歌うナンバー、だそうです。
平野綾さんのベスで。
♪「悪魔と踊らないで」
ベスの姉、メアリーのナンバー。
未来優希さんと吉沢梨絵さんのデュエットで。
本番の舞台では一緒には立たないメアリーがパワフルに歌うこの曲には、客席からも手拍子が!
カッコイイ~!
↑未来優希さん
↑吉沢梨絵さん
♪「誰でも歌える」
ベスとロビンがお互いのことをもっと知りたいと歌うナンバー、とのこと。
花總まりさん、加藤和樹さんのカップルは並びも美しい!
↑花總まりさん
↑加藤和樹さん
♪「何故好きなのか?」
ベスとケンカをしてひとり残されたロビンが、それでもベスに惹かれてしまうのは何故なんだろうと歌うナンバーとのこと。
山崎育三郎さんがロマンチックにしっとり聴かせてくれました。
東宝チャンネル(公式)に、動画もアップされています。
4曲、いずれも世界初披露!でした。
これら『レディ・ベス』の楽曲に関しては、後ほど山崎さんが「今までのクンツェ&リーヴァイの作品とちょっと変化がある気がします。それぞれのキャラクターにあわせた楽曲なになっています。(キャラクターごとに)ロックだったりポップスだったりクラシカルだったりスペイン風だったり、いろんなメロディが流れる。皆さんに新しいミュージカルが見ていただけるんじゃないかな」と話していました。
レオナルド・ディカプリオ&トム・ハンクス主演、スティーブン・スピルバーグ監督映画『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』。
パイロット、医者、弁護士になりすまし、若くして大金を手にした天才詐欺師、フランク・アバグネイルと、彼を追い続けるFBI捜査官カール・ハンラティの追跡劇を描き、日本でも大ヒットしたこの映画がミュージカル化、2011年にブロードウェイで上演されこちらも大ヒット。
そのミュージカルが、日本初上陸を果たします。
3月11日、出演する松岡充、福井晶一、新妻聖子、菊地美香、彩吹真央、今井清隆、演出の荻田浩一が登壇し、製作発表会見が行われました。
あり得ない大胆かつ鮮やかな手口で詐欺を繰り返し、捜査官を翻弄するフランク・アバグネイルですが、彼は実在する人物。映画も実話が元になっています。