誇張ものまねを筆頭に、ぶっ飛んだ芸でお茶の間に元気を与えるハリウッドザコシショウ。彼が行う年に一度の単独ライブは、漫談・コント・ものまね30連発で構成されている。(テーマソン
グやエンディングソング&映像まで、全て手作り!)
30連発と聞いて驚く方も多いと思うが、11月8日開催の『ハリウッドザコシショウのものまね100連発ライブ!SEASON4収録ライブ』では、タイトルの通り、ものまねを100個披露。驚愕の数である。
ストイックにお笑いに取り組む、芸歴29年のピン芸人。常にアンテナを張っている彼に、仕事とプライベートの境目はあるのだろうか? なぜYouTubeの毎日投稿を12年も続けられるのだろう
か? 後輩と指しあっている"嫌な気持ち将棋"とは......? ハリウッドザコシショウの信念が浮き彫りなったインタビューを公開!
──幅広いジャンルの時事問題をネタにされていますが、情報収集はどのように?
芸人やから色々アンテナ張ってますけど、ニュースを観る時間ってのはそんなにないんですよ。1年間ずっと自分なりにメモを取っていて、その中から年に1回の単独ライブのネタを考えるから、気が付いたらメモをする習性はあるかもね。
──ご結婚してお子さんもいらっしゃいますし、全ての時間を自分のためだけに使えるわけではないですよね。
自分のことをやるのは家族が寝てからですね。この間も、子供(6歳になる女の子の双子)が「お笑いショーをやる!」って言ってきて。僕が普段作業してる地下室を舞台に見立てて、照明まで焚いて、「"みんなの憧れ、ハリウッドザコシショウさんが出てきます!"って言ったらパパ出てきて」って言われて、2人でショーの司会してるんですよ。どこからそんな知識を得たのかって、ビックリしましたね。
──どう対応を?
付き合いましたよ、「どうも〜」っ言って(笑)。しつこいんですよ!1時間ぐらいはいいんですけど、2、3時間はもう苦痛っすよ(苦笑)ひと通り終わったら「もう1回」って言われて、舞台を暗転されました(笑)。
──お子さんは、お父さんのご活躍を認識されているんですね。
テレビにちらっと映るのは観ていて、今は「パパだ〜」みたいな感じで言ってるけど、中学・高校になったら、裸芸人だし絶対毛嫌いされるでしょ?それが嫌ですね。周りの皆にもたぶんイジられるじゃないですか。
──ザコシさんは、もはやイジられる立場やキャラではない気がします。
『ドキュメンタル』も『R-1』も一位獲ってるからイジメられないのかな?でも、Twitterでエゴサーチすると「ザコシ気持ち悪い」とか「ザコシの腹はありえない」とか書かれてますよ(笑)。
──エゴサーチされているのが意外です。
めちゃくちゃする。世間の声を気にしなくなるのは、もう老害じゃないですか。何を言われても僕は何とも思わないですけど、ただ、量を気にしますね。テレビに出ても反応がなくなったら潮時かなって。世間に対して何にも波紋を起こせなくなるということですから。
──単独ライブではアンチツイートすらも笑いに変えていますが、傷心することはないですか?
マジでムカつくようなことがあれば、ずっと心に刻みます。傷つくというよりも、いつか仕返ししてやろうって。「どう嫌な気持ちにさせるか」って気持ちで動いてるから、僕は(笑)。後輩で、だーりんずの松本りんすっていう大無礼な奴がいるんですけど、僕が売れてない時から"嫌な気持ち将棋"の先手を打ってきてたんですよ。よくよく思い返してみたら、こいつムカつくなと。でも、ただ怒るとそれだけで終わっちゃうから、今はこの溜まった感情を、メディアを通して仕返ししています(笑)。企画を立てて動画であげて、全部お笑いとして将棋の後手を打っているんです。
──後輩の名前をメディアで出すというのは、優しさと捉えることもできますよね。
考えようによってはそうだけど、僕かなりしつこいから、あっちは本当に嫌な気持ちになってますよ(笑)。知名度は上がるけど、大無礼な奴として有名になってますから、作戦通りですよ(笑)。この間も、あいつが金ないからいい飯を奢ったのに、飲み終わったら「いや〜、長かったっすね」って言いやがって(笑)。だから帰りに動画撮って、嫌な気持ちにさせました。イジると面白くなる要素がたくさんあるのにいい子ちゃんぶるから、自分の持ち味を出せてないんですよね。もっと恥をかいて損しろと。損しないとおもろなんないからね。カッコ悪いのを隠したがるサマも面白いから、そういうの世間に届けたいっていうのがありますね。
──りんすさんと飲まれている時のザコシさんのモチベーションは、プライベート?それとも、ネタ探しの感覚で?
ネタ探し(笑)。
──人生において、プライベートと仕事の境目はありますか?
あんまりないですね。結婚する前は、好きな女の子とデートする時とかはお笑いのこと考えずにいたけど、今はそれが全くないから。芸人ってやっぱ、モテたいとかカッコつけたいとか思うと面白さが半減するんですよね。そのほうが伸びるって人もいるけど、稀ですわ。 異性のことを考えずにただただ面白いことを突き詰めてる舞台のほうが、僕は絶対面白いと思いますよ。
──境目がない中で、何をしている時が一番心が休まりますか?
動画編集かもしれないな。自分の好きな空間で、好きな映像を編集してる時はすごく楽しいっすよ。後輩集めて、思い通りに動いてもらって動画撮って、自分で笑いたい。そのついでにYouTubeにあげてるから趣味感覚。これは仕事じゃないから、つまらない動画をあげても文句言うなよって前提でやっています。お金を取るコンテンツだったら、絶対に同じ笑いのクオリティのを撮りますけど、そうじゃないからね。
──2009年から毎日ご自身でYouTube投稿されていますが、続けるほうが心が安定しますか?
やってないと不安なのかもしれないです。「毎日あげる」って言ったのに、それを守らないのが気持ち悪いんですよ。何事も、やるって言ったのにやらない人って結構いるじゃないですか。三日坊主だったり、どんどん上げる回数が減って終いには辞めちゃう人なんて、もう素人ですよ。そこがプロとアマの境目だと思うんです。プロだったら、最終回までずっとやり通さなきゃダメですよ。
──誇張モノマネをされている時、通常とはかけ離れたテンションですが、本来の開放している感覚なのか、それとも、もう1人の自分を演じている感覚なのでしょうか?
プロレスラーの武藤敬司さんとグレート・ムタみたいな感じじゃないですか?本名の中澤滋紀に、ハリウッドザコシショウが乗り移るって感覚が近いかもしれない。古いドラマですけど『ヤヌスの鏡』みたいな感じで、2面性があるという。
──ファンはザコシさんの様々な顔を知っていますが、なんと褒められるのが一番嬉しいですか?
別に褒めるとかいらないですよ。好きな芸人として名前を挙げてもらえれば本望です。もっと認めてもらいたいとかない。僕が出てるテレビ絶対見ろよ!とも思いませんし。『さんまのお笑い向上委員会』みたいな番組もあれば、暴れていないのもあるし、全部あのテンションでやるのも無理ですからね。自分の性に合っているのは、アイドルとか俳優の好きな芸人枠として「ご本人が来ています!」みたいな感じで出ていくパターンかな。
──ご自身の位置を確立するためには紆余曲折があったかと思います。
もうね、自分が面白いと思ったことをやるしか、自分の火力の強さが出せないんですよ。「ああ、これ面白くないな」って思いながらやると、出力できない。だから、やりたい仕事しかやらない努力をしているというかね。
──その努力というのは?
それこそ、『R-1』の優勝とか。 あれで、こういう芸人っていうのが世間に広まったじゃないですか。それが広まらないと、やりたくない仕事も入ってくるんですよ。やっぱり、やりたいことをやるためには、何か一個結果を残さないと。音楽で言うところのヒット曲。そういうのがあることによって、自分がやりたい仕事をやっても文句を言われなくなる。売れなきゃ、自分のやりたいことだけができるようには絶対にならない。どの世界でも、期間を設けてもらって結果を出さないとクビになるからね。
■ハリウッドザコシショウ/1974年生まれ。静岡県出身。1992年に大阪NSCに11期生として入学し「G★MENS」として活動。同期は陣内智則、中川家、ケンドーコバヤシなど。2002年にコンビ解散、ピン芸人として活動を始める。「R-1ぐらんぷり2016」ではノーシードから優勝。アマゾンプライムで配信中の番組「ドキュメンタル」では史上初のV3達成。11月8日に「ハリウッドザコシショウのものまね100連発ライブ!SEASON4収録ライブ」を開催。
詳細は、https://w.pia.jp/t/zakoshisyoh/ で確認を。
DVD「ハリウッドザコシショウのものまね100連発ライブ!SEASON3」好評発売中。